[ たんぺん詰め放題 ]

葉っぱ天国 > 短編小説 > スレ一覧キーワード▼下へ
1:ねおん◆mU:2016/10/29(土) 20:19


書きたいものを好きなだけ書いていきます

16:空ラビ◆mU:2018/02/10(土) 16:05


そこで私、名案を思い付いた。

「ってことは、アイドル様に奢ってもらえるチャンスですかね〜?」

ヘラヘラしながら、ズイッと強引に窓際のソファへ腰かけた。

「…は、お前ほんと図々しすぎ!」

美しい顔がグニャリと歪められて、暴言をはかれました、私悲しい。

英国紳士くんに
「いいじゃん、女の子には奢ってあげるもんだよ」

とにこやかに微笑んで、「何にする?」と首をかしげられたので、

「モンブランと、カフェラテ!」

と叫びながら、暴言野郎にニヤリと笑ってみせた。

「ったく、お前は優しすぎるんだよ」

「女の子には優しくして当たり前〜」

「いや、男にも優しすぎるわ」

「…人には優しく接するべきなの!」

「動物にも優しいわ」

「………いいじゃん。」


あれ、口喧嘩なのか、誉めてんのかわかんないぞ。

17:空ラビ◆mU:2018/02/12(月) 11:33


暴言野郎→コウ
英国紳士くん→ヒスイ

18:空ラビ◆mU:2018/02/12(月) 11:54


_____

私がモンブランを食べはじめても、
変わらず、悪口という名の誉め言葉をヒスイに投げ掛け続けているコウを見つめて、少し昔のことを思い出した。

私とコウは、中学生のときに出会った。
その時のコウは、アイドルになるために毎日必死にレッスンや仕事に取り組んでいて、まともに学校に来れたのは週に1日や2日ぐらい。

当然、常に学校にいられないコウはいつも1人だった。

でも…、私は毎日来ているにも関わらず、1人だった。

『女子』という輪の中で、
例えば、常に特定の誰かと行動するとか、休みの日には遊ぶだとか、

縛られてしまうのが、堪えられなかった。

そうして、教室という世界の中で塞ぎこんでいくと、
望んでいた通り、誰も話しかけてこなくなった。

19:空ラビ◆mU:2018/02/12(月) 12:04


でも、思っていたより人間は我が儘。

居心地はとても良かった。
だけど、
このまま誰とも話さず中学校生活を終えるのかと思うと、途端に怖くなって、

『…国語のノート、貸そうか』

しょうもない理由をつけて、

『あぁ、ありがとう。助かる』

特定の友達がいない、コウに話しかけた。

それからは、コウが来たときはどうでもいい話をして、たった2人で盛り上がって。

コウが休みの日は、ただ1人で勉強か読書をする。

そうやって休み時間を乗りきって、私たちが中学生を卒業する頃に、

『今日になったら教えてくれるって、何のこと?』

放課後の教室、耳元でコウに告げられたのは、

『デビュー、することになった』

それは、コウがずっと目指していて、
私も願っていたものだった。

20:空ラビ◆mU:2018/02/12(月) 12:12


高校生になると同時にコウは引っ越して、その1年後にデビューを飾った。


________

「いやぁ〜、モンブランは美味しいね!」

「人の金で食うモンブランは、そりゃ上手いだろうな」

フッ、と口角をゆるりとあげて微笑むコウ。
今の私があるのは、紛れもなくコイツがいたからだなぁ、とぼんやり考えつつ、

口の中をモンブランでいっぱいにしながらモゴモゴと、
「ゴチになりますッ」と叫ぶと、
2人に笑われた…、まぁ良いか。

______

21:空ラビ◆mU:2018/02/13(火) 21:25



カフェを出てすぐの道にて、
コウは、電柱の影でひっそりとマネージャーに電話している。

「奢ってくれてありがと〜う、今日の収録も頑張ってくださいなっ」

コウ待ちのヒスイに対して、
ピシッ、と似合うはずもない敬礼をしてふざけた。

変装バッチリ、不審者モードなヒスイは黒尽くめ。うん、怖い。

結局払ってくれた男前な2人…、
あ、アイドルだから、実際男前なのか。
ふむふむ、なるほど、と感嘆していると、
「ふふふ、いいよ、収録頑張るね。」

と、優しい返答。
サングラス越しに目を細めて微笑んでいるのが見える、ヒスイ。

「大天使…」と小さく呟きが溢れた。

「近くにマネージャー呼んどいた、
おい、マシロ。」

電話を終えたなり、私に話しかけてくるコウ。
…大天使から大魔王になっちゃったよ。

「なに?」

「おまえ、ここで一緒に待ってろ」

唐突に告げられたそれに、
飄々とのらりくらりをモットーに生き…、るようにしている私も、流石に驚いた。

「…いや、それはおかしいでしょ。
奢って、とか言った私も悪い、けど。
流石に、外でそんなことしちゃ、撮られたらどうする…、「ミズキだよ」

…なんでミズキ、?

「お前、ミズキがいちばん好きだろ」

そう、淡々と言われた。

確かに、コウのグループで誰が好き?って言われたら、

全てにおいて、ミズキがいちばん好きだ。

22:空ラビ◆mU:2018/02/14(水) 18:58


「…うん?そうだけど、…え?」

「そうなら良いから、待ってろ。
もう来るから、あ、来た」

…人気アイドルの迎え、早いよ。

______

23:ネオン:2018/02/17(土) 14:42


____ガラッ

黒いカーテンで窓が遮られている、
いかにも有名人を隠すかのような大きい車。

その車のドアが唐突に開くと、

「マシロ、久しぶり!」

どこぞの王子様ですか、なミズキが、笑顔を覗かせた。
黒髪がサラリと目元にかかっている。
うん、爽やか。

いつの間にかいそいそと乗り込んでいたコウとヒスイに視線をやっても、

…あいつら、こっち見ないぞ。

どうしたら、この場を切り抜けれるのかな…。とりあえず、

「あ…、うん。私帰るね〜」

いつも通りな感じでひらひらと手を振ると、

鋭く睨まれて、

「マシロ、早く乗って。撮られたら大変でしょ。」

そう言われて、ひらひらさせていた手首ごとグイッと引かれ、

______ガチャリ

ミズキにもたれかかるようにして
車チェックイン完了してしまった様子の私を乗せて、

ついでに、

「酔わないように、ちゃんと座りな?」

ニコニコとする色白王子様と、

「…ミズキ怖ぇ」
「大丈夫かなぁ」

ふざけんなこの野郎な2名を乗せて、


…車、出発進行……。

24:ネオン:2018/04/06(金) 16:20


__________

「きゃー、きゃー、もうコウ君かっこいい〜、握手してくださいっ」

「ありがとう、俺のこと応援してくれて。そんなに好きでいてくれるなんて…、君のこと…」

そういうと彼は私の耳元まで口を近づけ、

「愛してるよ」

……
「きゃー!かっこい、へぶしっ、ちょ、コウ!!叩かなくても良いじゃん、今リンと楽しくさ、
『街中を颯爽と歩くプライベートのコウと、彼を見つけたファンの女の子ごっこ』してたのに!」

コウが持っていたドラマの台本の角で叩かれた、痛い、酷い。

「名前長すぎるし、俺そんなこと言わねぇし。」

「いいじゃん、こっちは楽しく遊んでるだけなんだから〜」

は?と私を一睨みしてから台本に視線を戻したコウを睨みつつ、

「コウいじるの楽し!」と、もうソファに座ってケラケラ笑っているリンの隣によいしょ、と腰掛けて、

「あれ、何で私ここにいるんだろ〜、と考えた」

「いや、口に出しちゃってるから!」

ぺしィッと、ツッコんでくれるリン、ありがとうよ

「でも、本当なんで?」

SsOW(エスエスオーダブル)の楽屋で1人場違い女がアイドルに問うております。

車で連行されて、車内でミズキに聞いても、「なんでだろうね?」とはぐらかされてしまった。

楽屋の奥でモグモグとおにぎりを食べているヒスイが、ゴクン、と飲み込んで、

「俺とリンは知らないよ、何でなのか、ね?」

ヒスイが首かしげて聞くと、をリンも隣で、「そうそう」と頷いている。

「コウか、ミズキ…、あ、そうだ、マシロちゃん、来て」

ちょいちょい、と手招きされて、
なんだなんだ、とヒスイに寄っていった。

ヒスイの前まで行くと、座っているヒスイと目線が合うようにしゃがむと、

「わざわざごめんね」

と、それだけのことで謝ったヒスイ、なんと優しさが…。

「ミズキね、今隣の部屋で雑誌の単独インタビュー受けてるの、ほら、今度の映画のやつで」

ヒスイにそう言われ、あぁ、あの映画ね、と頷いた。

「だから、もうすぐ戻ってくるから、廊下で待っといて、『何で連れてきたか教えてくれないと帰るよ』って、言えば良いんじゃないかなって。」

25:空ラビ◆jk:2018/06/16(土) 13:05


「なるほどね、ありがとーう「ヒスイ、俺のことからかわないでよ」

手を合わせてヒスイに感謝を表した、
その時に、横から白く長い腕がスルッと伸びて、私の頭にポンっとおかれた。


新着レス 全部 <<前 次100> 最新30 ▲上へ
名前 メモ
画像お絵かき長文/一行モード自動更新