イデアになりたい林檎たち

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1:Apple スレ主:2016/11/01(火) 17:24

意識と外界の輪郭を無くした色を探して欲しい。
観測できる、私の中の小宇宙。
輪郭を溶かしてキーボードを叩くよ。
エーテルから解放された私を探しにきて欲しい。
触れて、溶かして私を再構築して欲しい。

2:Apple スレ主:2016/11/01(火) 17:24

-星-

「私は記憶を無くした可哀想な女の子なの。」
彼女はゆっくりと息を吸い込んでこう告げた。
僕はどうすることもできずに、そうだね。とだけ言って目を閉じた。
「泳ぐみたいにもがいて、走ってた。
誰かが私を追いかけた。私の事を知ってる誰か、それは誰だっていいの。」
眠くて眠くて仕方ない僕をよそに
彼女は不安そうに少しづつ、言葉を、吐き出して。
僕の膝に頭を乗せて、呟いた。
「それで?」
僕は眠ってしまわぬよう彼女に問いかける。
「追いつかれたら私は死んでしまうの」
夜風が頬を撫でる。薄く目を開けると、床にばら撒いた砂糖のような星空が静かにそこにあった。
「私は追いつかれたら、死んでしまうの。」
もう一度念を押すように彼女は言った。
「君は死なないよ。」
なぜだか彼女が泣いている気がして、
やけに甘ったるく乾いた僕の口から咄嗟に出たのは、根拠のない言葉だった。
そっと彼女のひんやりした手を握りしめ、僕はそのまま、眠りについた。


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