“+*絵菜の短編小説集*+”

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31:相原梨子◆x.:2017/12/04(月) 21:33

4.家出した理由

私は誤魔化しつつ、カバンを探り出した。
いずみちゃんは隣に腰かける。
ヤバイ、匂いとかでバレるかな…?

「あなたから、私の友達の匂いがするな。マオちゃんでしょ?会いたかったな、あなたと」

ミオって言われなくて良かった。
いずみちゃんに笑いかける。

「やっぱり!ミオちゃんと友達ですよね!?すごくあなたのこと思い出して話してましたよ」

気付いてないみたい。
思わずホッとする。
いずみちゃんは、ミオである私のことと、マオである私のことを話している。

「どうして私を知ってるの?」

「あなたは画家でしょ?先輩感覚であなたのことは知ってます」

いずみちゃんはパアッっと顔を輝かせる。
先輩感覚がよかったのかな?
いずみちゃんとヘンな感じだったけど話しながら向かう。

「お母さんはそのまま引き返すわね。いずみ、頑張って。マオちゃんも頑張ってね。あと…」

いずみちゃんのお母さんは、私の耳元でささやいた。

「仲良くしてあげてね、いずみと」

挨拶行ったときに、同い年…って言ってた人だ!
詳しいことは、『マオの内緒アート日記1消えた画家の日記』を見てね!

「じゃあね」

ちょうど電車は停まり、いずみちゃんのお母さんは降りた。
いずみちゃんと私のふたりきり。

「学校はどこに行ってるの?」

いずみちゃんが口を開く。
盆江野小学校だなんて言えな〜い!
私はオロオロしながら、「普通の公立の小学校です」と答える。
だけど、真実だよね。
盆江野小学校って公立小学校だし。

「私も公立。一緒だね」

いずみちゃんは、急に悲しげな顔をして、こちらを見る。
私を見つめているようだ。

「どうして家出したの?」

え…?
いずみちゃんをマジマジと見る。

「どうして、家出しちゃったの?」

それ、は…。
お母さんとケンカしたから。
だけど…。
私がバカバカしくなってきた。
ケンカくらいで、家出なんかして。


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