2.尚子ちゃんが来た理由
「あいぴーにどうしても会いたかったから来ちゃったんだけど」
そんなこと言ってくれて嬉しい!
尚子ちゃんは、ひとつの封筒を差し出してきた。
中を見てみる。
「それね、書いてきたの。桃ちゃんとあいぴーとふたりへの手紙だよ」
お姉ちゃんも目を輝かせる。
何が書いてあるんだろう。
気になってうずうずしていると、尚子ちゃんが「見ていいよ」と言ってくれた。
お言葉に甘えて読む。
『あいぴーへ
こんにちは、あいぴー。突然来てごめんなさい。
引っ越して会えなくなったあいぴー。
まだ出来ていないことがたくさんあったのに、もうそんな時間はない。
今日もギリギリ来れたけど、時間はほんのちょっとだけ。
わたしがしてみたいこと、してもいいかな?
いいなら、言って。
“尚子ちゃん。してみたいことって何?”って。
尚子』
「えっと…尚子ちゃん。してみたいことって何?」
尚子ちゃんは、待ってましたと言わんばかりに微笑んだ。
「わたし、ずっとあいぴーって呼んでたけど、藍って呼びたいの」
へっ?
藍呼びがいいの?
わたしの名前は尚子。
あいぴーが、知らないうちにアイドルになっていた。
そんなこともあるけど、あいぴー呼びがみんなに広まった。
ニックネームを考えたわたし。
みんなと違う呼び方で呼びたい!
「ねえ、尚子。藍ちゃんすごいわね」
お母さんがレイハピガールを見ながらつぶやいた。
あいぴーすごい!
けど…みんなと違う呼び方…。
お母さん、藍ちゃんって言ったよね?
藍ちゃんはなし!
じゃあ…何なのよぉ〜!