8【若×い】
「ウリケン!もう、行くのが早いよ!あれ?ウリケン?」
作品展は、図工室にあった。
図工室に行くと、誰も居なく、空っぽだった。
「美陽ちゃん、いないよ。」
『夏海って子と外で遊んでるわ。』
ナツミ?
ウリケンも友達できたんだ。
やっぱりひふみ学園に来てよかったみたいだわ。
『おっこは作品展見ていったら?ウリケンは大丈夫よ。』
「そうね。朝子ちゃんたちの作品も見たいしね。」
そう言って、朝子ちゃんたちの作品を探す。
あちこち歩いても、一年生、二年生と、下級生のばかり。
六年生の作品が見当たらない。
「あら?お客さん?」
図工室に、少しあたしより背が高い女の先生が来た。
「初めまして。六年生の作品を見に来ました。」
「六年生の作品はここにはありませんよ。案内します。」
「ありがとうございます!」
女の先生に着いて行くと、そこは家庭科室だった。
電気を付けると、照らされた家庭科がよく見えた。
細かく彩られた絵。
繊細なところが凄い作品。
「凄いですね。」
「そうでしょう。ここの作品は、わたしがみんな担当しているんですよ」
「みんなとても上手いですね。あたしは図工が苦手なのに。」
あたしが呟くと、女の先生はにっこり笑って言ってくれた。
「あなたが図工が苦手でも、大丈夫ですよ。わたし、4月10日に図工教室をこのチラシに載っている書道展の隅で開くの。良ければ来て」
そう言ってくれて、チラシをもらった。きっと暇だよね。
図工教室、絶対行こう!
「行きます!絶対行きます!あたし、関織子っていいます。先生は?」
「わたしは、川村夏子。出来たら来てね。よろしくお願いします」
「はい!」
続く