【正味】自由に書きますわ【新しくスレ作るんもうエエ】

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1:ぜんざい◆A.:2016/10/07(金) 22:41 ID:74A



 どうもこんばんはぜんざいです。

 私、思ったのです。書きたい作品が多すぎて、その分だけスレを作ると数がとんでもないことになるからどうしようと、完全に無駄だぜ? と。そして答えがこうなりました。


 もういっそ全部引っくるめて自由に書いてしまえと(

 終着点がここなのです。

 なので、とにかくひたすらジャンルバラバラの夢小説書きます。
 コメント及び感想待ちます! 小説投稿はやめてほしいんだぜ?(⊂=ω'; )

 まあ簡単に言うと、私の落書きのようなものなので、他の人は感想だけということになりますね。うわあ上から目線だぁ! 恐らくコメントには感涙します、めっちゃなつきます。ビビります。

 ジャンルは大まかに言えば、wt、tnpr、妖はじ、turb、krk、FT、中の人、FA、mhaです。
 これからも増えるだろうと思われる模様。
 2ch的なものも出てくると予想されます。

 これまでの上記で『2chやだ!』「作品がやだ!」「ぜんざいがやだ!」言うからは目がつぶれないうちにご帰宅or gohome(΅΄ω΄→ ハヤク!

 2ch系では顔文字や「wwww」表現が出るかと思われます。嫌な方はブラウザバック!


 それでは、そしてーかーがやーくウルトラソheeeeeeeey((

 文的にうるさくてすいません。



.

203:ぜんざい◆A.:2017/02/15(水) 00:35 ID:PaI


 結局返ってきたバイクはボロボロで目が死ぬ。恐らく死んだ魚の様な目をしているであろうこっちに、沖田総悟らしい人物が(見た目だけ)申し訳なさそうにやって来た。



「すいやせーん、借りたつもりだったんですけどー、土方のヤローが避けやがったからぶっ壊れましたァ」
『(まぁまた出したらエエか……)ん、まあ新撰組やし、しゃーない』
「!? あァ、まぁ、はい」



 驚いたように目を見開いて見上げてくる沖田くんにあっ、これヤバイかも。と危機を察知してグイッと頭に被った布を引っ張り、苦し紛れに沖田くんの頭を一度ぽんと叩いてから足早にその場を去った。
 エンカウントして目ェつけられたら結構困るんですよね、いおりさんは傍観しとりたいんや、許せや、つか許してください頼みますマジで。

 帰宅して中に入ると何やら高級そうな包みが。……どないして入ったんや高杉サァン。開けてみれば高そうな和菓子詰め合わせ。甘味屋に行く前に届けてほしかった。正味行く前に届けてほしかった。二回目やんこれ言うん。


**


 そして翌日、ポストにとある茶封筒が入っていた。中身を見ればこっちの隠し撮りの写真の数々それと手紙。なに、これはあれか? 高杉さんの新手の嫌がらせですか?
 いやいやー、とか内心思いながら導入(笑)されていた手紙をぺらりと開く。そしてそこには!



「貴女をいつも見ている。そう、いつもいつも見ているんだ。左腕の包帯の下が見たいな、貴女の全てが知りたいよ、口調はどんな感じだい? 土佐弁? 関西弁? 標準語? 右足首のバンクルが高級そうで、足枷みたいに見えてとても綺麗だね。ところで左手の薬指の綺麗な指輪は誰から? でも俺はまだあげてないよ? ああ、安心して。大丈夫だから。分かってるよ? 無理矢理押し付けられたんでしょ? そして僕に嫉妬して欲しいんでしょ? だって君は他人を寄せ付けたくないみたいだからね。俺以外とは触れ合いたくないって事でしょ?」



 ……うぇぇえええぇぇえええぇぇい!
 なんだこの勘違い男! なんだこの勘違い男! 大事な事だから二回言うたよ! なんだこの勘違い男! 大事な事だから三回言うたよ! こっちは恭弥一筋やっちゅーねんボケ! 誰がお前なんかに嫉妬してもらいたいねん! キッモ! キッモ!!!



『勘違い馬鹿乙(笑)ダッセキッモ』



 手紙を書いた人物に嘲笑して、歩き出す。手紙をライターで燃やして炭になったからそのまま捨てた。とりあえず写真持って新撰組に行こうそうしよう超怖い。



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204:ぜんざい◆A.:2017/02/16(木) 23:46 ID:PaI




 新たなバイクに飛び乗りブォンブォンドルルルルと音を立てながら爆走して到着した新撰組屯所前。とりあえず、『すんまっせーん』とか軽ーく言う勇気もないので『ごめんください』と控え目に扉を開けた。こっち多分めっちゃ怪しい人やと思うねん。やってボロ布頭から被っとるんやで。
 は、と自嘲気味た笑みを微かに浮かべて一歩足を踏み入れれば、こっちに向かってスッ飛んでくる黒い影。人影のようにも見えるので避けるわけにもいかず、一緒になって吹き飛ばされないようにガシッとその人を片腕で支えた。左肩ゴキって言うた! ゴキ言うた!!
 どうやら目を回しているようで、顔を見てみればジミーと有名な山崎退だった。え。
 彼が飛んできた方向を見ればそこには今にも山崎さんぶん投げましたと言ったポーズの土方十四郎さん。



「……な、にか用か」
『今、投げはりました……?』
「いーぇぇえ!? 投げてませんけどぉ!?」
『あっはい』



 土方さんは声をあげながらこちらを脅すように見てきた。とりあえずそれをスルーして『被害届出しに来ましてん』と布の奥から彼を見据える。とりあえず山崎さんは地面に捨てた。



「被害届だと?」
『……まぁ。……ストーカーにおうてまして』
「近藤さんんんんんんん!? 志村の次はボロ布さんか!! 節操ねーな!?」
『多分その人ちゃいます』
「え」



 その後、土方さんの薦めで少し事情聴取されるらしく、取り調べ室へと連れていかれた。途中で沖田くんも合流しました。一度もこちらを見てくれませんなぜでしょう嫌われとるん? こっち。



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205:ぜんざい◆A.:2017/02/27(月) 23:56 ID:gAY

新連載的な。(銀魂沼にどっぷりハマったなんて言えへn((⊂三´ω`セイヤッ)
 #3年Z組銀八先生 #普通に #ギャグを目指す #始まるのは2Zから

 夢主設定。

 小原 いおり(こはら いおり):女
 見た目はこれまでの連載の女夢主と一緒。違いと言えば少し髪が伸びて肩につくかつかないぐらいのショートカット(毛先外ハネ)ぐらい。コミュ障。身長が172cm。極度のめんどくさがり。アニメは少年漫画系とラノベ系(両共グロ含むものもいける)、映画はグロテスクなものを好む(バイオハザードとか)、他はアニメのみ。よくスケブに鉛筆走らせてる。ゲーマー。二次元に嫁が居て三次元で歌い手さん追っかけしてるなんでもこいこい系全方位オタク。ドラマは見ない。両生類で、普段の声が男寄り。意識すればエロボ出る。オツムの出来はあまり良いとは言えないし悪いとも言えないとても平均的な人間。バイク通学。とある仕事で学校を休みすぎて二年からZ組に落とされた(実は学校側の配慮だったりする)。セーラーの上から赤と黒のナイキジャージ(上着)を着用。前のチャックは閉めない。顔も普通。ゲームと漫画の読みすぎで視力低下した眼鏡女子(生まれつき目が弱かったので進行が早い)。関西弁。あんま自分から話し掛けないし喋らない。多分ツッコミ要員になると思われる。桂や高杉とか女子に絡まれているのをクラスメイトはよく見かける、本人は受け答え。癒しは神楽と妙。一人称こっち。少しだけ太め、あんま誰も気付かない程度に太め。

**

 一年の時は、まぁ仕事が忙しくてあんまり学校来れなくて、それでも理事長の配慮で進級出来た。……けどなぁ。



「その代わり、Z組だよ」
『……マジすか』



 Z組とかホンマ無いわ。
 この春休みを終えればこっちは2-Z組になる。噂ではZ組はとんでもない問題児どもの集まりやとか。不良とか不良とか不良とか。もうこっちなんか取って食われるてまうわボケェ。クラス替えもこの銀魂高校は無いし、最近運動してへんし、護身術になりそうなのは3歳から中学に入るまでやってた少林寺拳法ぐらい。それでもやめてしまってブランクは4年程、出た大会でぽんぽん優勝取れたあの黄金期にはもう戻れない。初段取ってもやめんかったらよかったんやろか……。
 死んだ魚のような気力の無い目でボヤッと遠くを見る。ああ、学校行きたくない。成績も下がったから仕事一旦やめさせられたし、散々や……中学からやっとったもんやのに。エエもん、別のとこで同じ仕事するもん、こっちを手放したこと後悔しろ。
 そんなイライラをぶちまけるようにバイオハザードシリーズを一気見。いやあ、もうほんとなんてスプラッター。爽快感がパないわ。とガラスのコップに注いでいたコーラを飲み干す。



『……あー、めんどくさっ』



 さて、今日は浦島坂田船のCDの発売日やから、バイク飛ばすか。



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206:ぜんざい◆A.:2017/02/28(火) 00:25 ID:gAY

歌い手さんの名前が出てきます。関係者様だったり嫌や! 言う人はNGです!


 昼間、バイクを飛ばしてCD買って、そのままマックででも腹を満たそうかと言うとき、ビルにある大きな液晶から「今や国民的有名漫画、週刊少年マガ○ンで連載していた『セイクリッド・ソードワールド』が突然の打ちきり! 終了を祝うかのようにアニメ映画化が決定しました! 打ちきりと引き換えのファン待望の映画化! 才能に満ち溢れた高校生作家「三日月 恭夜」のアニメ映画! アニメは視聴率が朝ドラ並みと言う異例の快挙だったソレが、映画化です! あっ、二回も言っちゃった」と大きく宣伝されていた。へえ、あれアニメ映画化するんや。DVD出たら見よかなぁ。
 それぐらいの気持ちで手から下がる袋を握り直してマックへと入店した。
 このあとアニメイトでも行くか。そう、とうらぶ! 待っとってや、みっちゃあああん! 伊達組ばんざあああああい!



**



 そして始業式。出るのかめんどいとか思っていれば理事長に「アンタはこっちね」と引きずられ、始業式ほったらかしでZ組の教室前まで連れてこられた。「そこで待ってりゃ呼ばれるから」とだけ理事長は告げて行ってしまった。……Z組始業式出んでエエとかなにこれ夢のようやねんけどすっげー。

 そしてしばらく。いつまでたっても名前が呼ばれない。中からは何かを殴る音とオマケのようについてくる野太い悲鳴、そして笑い声と怒鳴り声。なんやこれカオス。このまま帰ってエエかなエエやんな。なんて考えながら暇だったので先程からイヤホンで先日買った浦島坂田船聞いてます。埋ーまってーいくー、泣きーむーしーなノォートがー! 流石志麻さん、そのエロボに一生着いていきますまーしぃかっこエエよまーしぃ。いや、他のメンバーも好きやで? でも志麻さんが一番好き。声がダイレクトアタックしてくれました。
 するといつの間にやら静かになっていて少し首をかしげると勢いよく目の前の引き戸が開いた。鬼の形相の銀髪の先生が居たので教室やっぱ間違えたかな、と無言で引き戸を閉める。だが直ぐ様再び戸が開けられイヤホン剥ぎとられた。あれ、若干涙目やんこの先生……あれ、よぉ見たら銀八先生やったわ。すんません。



「あのねぇ、さっきから数十回呼んでんの、反応してよ! 入ってこいよ!」
『……聞こえませんでしたわ』
「そりゃイヤホンつけてりゃね!? おとなしく待ってろよ!」
『……かれこれ30分待ってから着けたんやけどな……』
「すいませんでしたあああああ!」



 困ったようにそう言えばスライディング土下座して来たのでそれを少しだけ鼻で笑ってからふと気付き『スカートの中覗いても短パンやで』と告げれば「ごめんなさい」と立ち上がって90度に腰を折られた。覗く気やったんやな。
 ようやく教室に案内されて教卓の隣に立つ。このクラスの方々から様々な視線が突き刺さって痛いです。誰だ今こっちの顔見て鼻で笑ったやつ。あそこのアイマスク君ですね分かります。誰だこっちの胸に視線を寄越してる変態は隣の銀八先生ですね分かります。ふっつーの大きさの胸見てもおもんないやろ。
 あっ、あそこの泣きボクロの眼鏡の紫髪の女の子めっちゃ美人。髪の毛可愛くポニテにしたあの子も綺麗や、前列の渦巻き眼鏡掛けたチャイナ娘も眼鏡を外せばきっと可愛い。何ここ宝庫?



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207:ぜんざい◆A.:2017/02/28(火) 00:40 ID:gAY


「ほら、自己紹介しろ」
『小原いおりです、よろしく』
「もうちょっとなんかないの!? 好きなことは何々ですだとかなんでこのクラスに移籍してきたのかとか」
『……このセンセめっちゃめんどい、鬱陶(うっと)い』
「お前さっきから酷くね!?」



 あーうんはいはい的な感じて『じゃあ質問ある人手ぇあげて聞いてくださいー』とか適当に言ったらいっせいに手が上がった。ノリエエな。なんやこのクラス。



「小原さんは彼氏いますか!?」
『二次元嫁なら居ります、彼氏は居ません』
「あら、小原さん、あなた好きな食べ物は?」
『甘いものとインスタント』
「得意教科はなんなの?」
『国語と美術』
「なんでこのクラスに来たんだ? 問題でも起こしたのか?」
『出席日数足りんかった』
「小原さんゴリラはケツ毛ごと愛せますか!?」
『すまんなに言うとるか分からへん。あえて言うなら絶対無理』
「おい小原ァ、SMプレイか放置プレイどっちが好きでさぁ」
『やる方なら何でもエエ……ってなに言わすねんドアホ』
「マヨネーズは好きか」
『何でそのチョイスやねん、普通やわ』
「喧嘩は好きか?」
『好きか嫌いか以前にそもそもせぇへんわ喧嘩』
「第二の眼鏡アルか?」
『強いて言うなら紳士やな、チャイナの可愛子ちゃん。っていうか第二の眼鏡てなんやねん』
「小原お前スリーサイズいくつ?」
『なんでそれやねん!』



 銀八先生の頭を肩に掛けていたスクバでぶん殴り『とりあえずよろしく』と死んだ目で手を振れば「ひゃふー!」「祝えー!」「ケーキアルか!」とか騒ぎ出す始末。何やこのクラス。



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208:ぜんざい◆A.:2017/02/28(火) 22:08 ID:gAY

※小説沿いじゃないです。……小説沿いではありませんよ!


 席に着けばHRほったらかしで集まってくる2-Zに困惑する。お前ら流石に先生可哀想やで。とか思ってたら先生普通にジャンプ読んどるし。



「私神楽アル、よろしくネいおり」
『よろしく神楽』
「私志村 妙、よろしくお願いねいおりちゃん」
『よろしく妙』
「ぼ、僕は柳生九兵衛、よろしく……」
『よろしく九ちゃん、いおりでエエよ』



 可愛らしい(一人美少年みたいな)子たちと早速名前呼びをして仲良くなった。ここのクラスエエ人ばっかや。

 それから数日。

 授業中、隣の席の沖田に「あそこのV字前髪は土方さんでぃ。カッコつけたがりだから気ぃつけな」とかいろいろ土方に仕掛ける悪戯を二人で考案したりとなかなかに楽しい。案の定沖田と一緒に土方に怒鳴られた。こっち悪ないやん、こっち悪ないやん!

 昼休み、神楽と飯を食べていて神楽の飯の量の多さに驚きながら『よぉ食うんやな』と心の中で感心する。このほっそい体になんでそんな入るんや。

 休み時間騒がしい周りをスルーしてなかなかにインパクトのあるエリザベスにイラストデッサンしてもエエか頼めば[可愛く描けよ]とプラカードで返事が返ってきた。エエな、そういうキャラ。乱入してきた桂もエリザベスの隣に書いてやったわ、はーっはっはっは!

 帰りのSTにて、銀八先生からあーだこーだとまったく自分のためにならない話を手短に話され、解散。



「あ、いおりちゃん、今日一緒に帰らないかしら?」
「駅前のサーティツーに寄り道するアルよ! 冷たくて甘いアイス食うネ!」
『……ん、行く』



 バイクやしどないするかと悩んだものの楽しげだから誘いに乗っておこう。バイクは手で押しながらいけばいい。見ればうしろで近藤が「お妙さんが行くなら俺も!」とか挙手しているがお前付いてきたら轢くぞ、いおりさん本気だぞ。このあと風紀委員の土方と沖田が近藤と共にサーティツーにやって来ました。近藤めェ。そしてなぜか土方と沖田に奢らされました。なんでやねん。

**

 翌日、あまり寝れなかったが、ようやく仕事を無事終えて登校するぞ! ってところで外を見れば夜に雨でも降ったのか所々大きな水溜まりが伺える。

 そんなの気にせずブォンブォンとバイクにエンジンを掛けて住宅街を走る。こっちは風になった! うぇーい。なんて若干テンションハイになりながら住宅街を走る。
 そして、事件は怒ったのである。



.

209:ぜんざい◆A.:2017/02/28(火) 22:38 ID:gAY

高杉くん性格が少し丸くなってます。


 ばしゃりと嫌な音が聞こえた。続いて「うおっ」何て言う男たちの声も。



『え……』



 急ブレーキを掛けて振り返れば学ランでたむろしていた不良たちがこちらを見て「学ランがぁぁあ!」「ズボンのケツが!」と怒鳴りこちらへやって来て叫ぶ。



「どーしてくれんだ! 一張羅がずちゃ濡れじゃねーか!」
『……すんませんした』
「すんませんで済むわけねーだろーが!」
「クリーニング代寄越せ!」
『ホンマすんませんした』
「こっち見て言えコルァ!」
「慰謝料払えよ!」
「それが無理なら体で払え!」
『さーせんっしたー』
「雑!」
「目がつめてぇ!」
『黙っとれや』
「んだとコルァ!」
『二回目やん』
「うるせーよ!?」
「女だろーと関係ねぇ! やっちまえ!」



 やっべ、とアクセルを握って走り出す。相手さんもバイクだったのか後ろでブオンブオンと激しいエンジン音が響く。夜よく走っとるやつやんうるさっ。とりあえず曲がり角を存分に使ってドリフト決めて華麗に撒いた。スマホの時計を見る。今何時や九時や遅刻や。ここまで来たらどーでもエエわとゆっくりとバイクを走らせていると。



「高杉ィ! 今日こそテメェをブッ倒してやるぜ!」
「……ハッ、クズが。そこら辺でくたばってろよ」
「鼻で笑ってんじゃねえ!」
「この人数じゃ流石のテメェも負けるだろーよ!」



 塀の上で三十人位に囲まれてジリジリと後退している同じクラスの高杉を発見した。そこ空き地やってんな。
 アイツも遅刻か、いや絡まれて学校行けなかったパターンの奴かこっちと一緒やな。可哀想に。
 どうやら高杉は武器も何も持っておらず、所持しているのは通学鞄のみのようだ。いつも登下校は河上と後輩のパツキン美人ちゃんとしとった気ィするけど……。
 あっ、高杉がとうとう塀ギリギリまでやって来てしまった。しゃーないな、助けてやろう。



『高杉』
「! 小原……!? なんでお前こんな時間に」
『言うとる場合か。こっち来い。飛び降りろ』



 そう告げれば高杉は少し顔をしかめて躊躇ったあと、目の前の三十人を越える大勢を見てから舌打ちしてバッと塀を飛び降りてこっちのそばに来た。ここまで言えばさすがに分かっているようでバイクの後ろに跨がる。



「飛ばせ小原!」
『ん、掴まっときや』



 言われなくても、とアクセルを握りびゅん、と飛ばす。咄嗟に高杉は片腕でこっちの腹を抱える様に抱き、速度に耐えた。後ろでも見てるんちゃう? そして現在時速100km越えたところ。あの不良連中の姿はみるみるうちに遠ざかる。やったね、もう大丈夫。ってところで減速してそのまま進む。このまま学校行こう。
 ふうと溜め息を吐いた高杉に『お前あんなに囲まれて、前に何したんや……』と小さく呟けば「うるせェ」と返ってきた。なんや、聞こえてたんか。



「わりぃ、助かった」
『大丈夫や、こっちも逃げとったところやから』
「……は?」
『ちょうどあそこの集団みたいな不良どもに……ってあれやん。いおりさん追われてたんあの集団やん』
「馬鹿野郎なに呑気に減速してんだ飛ばせ!」
『すまん飛ばす』



 そうして再びアクセルを握って、なんとか撒いて二人してぐったりしながら教室へ入ればちょうど国語だったらしく銀八先生に「お前ら二人大遅刻なってなんでそんなに疲れきってんの」とタルそうな目で告げられた。



「なになに二人で仲良くしっぽりでもしてたの」
『そんなわけ有るかボケェ!』
「黙ってろ銀八テメェ!」



 二人でドカバキと銀八を蹴り踏み抜いた。ちょっとすっきり。あれから高杉とは気が合うようで今や一緒にいる時間はクラスメイトの中では一番多くなった。恐らく銀八への怒りで波長が合わさった。



.

210:ぜんざい◆A.:2017/03/01(水) 23:40 ID:/VU



 それは昼休み、課題を提出し終えた職員室の帰りだった。とりあえずついでに被写体探しでもするかとノートを小脇に抱えている。
 するとそれはまぁベタなことに、曲がり角でドォンと女子生徒とぶつかった。なんちゅうベタ、漫画で黒く塗り潰すのもベタ、関係無かった。



『っ、う』
「あいたっ!」



 どさりと尻餅をつく彼女にやらかしてもためっちゃテンプレやんとか考えながら『すまん』手をさしのべる。そうすると彼女は「ありがとうっす」と可愛らしい声でその可愛らしいお顔を見せてくれた。あれ、この子あれちゃう? 高杉とよくつるんどる後輩の子。



「ぶつかって申し訳ないっす! あ、あたし来島また子って言います! 一年っすよ!」
『あ……二年の小原や。ぶつかってすまん』



 ずいぶんと無愛想な返しをしてしまった。が、彼女は「小原先輩ッスね……小原ァ!?」とそのつり目かつ大きな目をひんむいてこちらを凝視した。美人に見つめられると照れる。とりあえずわなわなと震える来島に小さく『……どした』と聞けばビクッと肩が震えた。……え、こっちなんかしたっけな……。
 そして彼女はいきなり顔をあげてこちらに詰め寄る。



「最近晋助先輩と仲が良い女子生徒っすよね!? 一番気が合うとかで!」
『すまん知らんアイツがそれ言うたん? なぁ言うたん?』
「不良に囲まれてたところを颯爽とバイクに乗せて助けたとか!」
『いやそれ偶然居合わせただけやねんけど』
「恋人って噂もあr『すまん高杉とか正直考えられへん』即答っすか!? ぱねえっす!」
『何がぱないねんこっち高杉にかなり失礼なこと言うたぞ。確かに高杉見てくれはエエけどいおりさんはそこまでやな』



 お前はどこぞのベルバブ漫画のパー子かよとか思いながら手元のノートがないことに気づく。あのノートは中学から使っているものだ、中身が知れたら……うぉう黒歴史確定なり。いやなり。ってなんやねんバカヤロー!
 するとふと来島が「あ、ノート落ちてるっすよ」とサッと拾ってくれた。『お。ありが』とまで言えたが、とう、まで続かなかった。彼女が「勉強熱心っすねー」とぱらぱらとページをめくりだしたのだ。いやいやなにしてんのぉぉお!?
 そして不意にピタリと停止する彼女にあちゃーと頭を抱え込む。そして彼女はこっちを見、ノートを見、そしてまたこっちを見、再びノートに目を落として「はあああああ!!?」と絶叫した。ちょ、しーっ! しーっ!



「えっ、こっ、これっ、嘘っ、えぇええぇ!? まさか御本人っすかああああ!!!??」
『ちょ、しっ、しっ。声でかいっ、御本人やからっ。静かにっ。バレるっ』
「す、すいませんっす!」



 彼女は声を小さくしたが興奮は収まらないようで悶絶したように震えている。心なしかこちらを見る目がキラキラしているようにも見えた。



「すごいっす! 素直に尊敬っす!」
『……あー、おん』



 予想できたであろう展開。知られればそういう目的で近付いてくるのは当然の事だった。……もうしまいや、いおりさんは死んでくる。
 そして来島の発言は、きれいにこちらの予想を裏切ってくれた。



「あっ、でも色眼鏡で先輩を見るつもりはないっすから、安心してください! 仲良しな先輩後輩の仲になりたいっす」
『君は天使か』



 心優しい後輩兼親友が出来ました。ちなみに内容は他言無用、今は二人だけの秘密だ。



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211:ぜんざい◆A.:2017/03/03(金) 00:25 ID:/VU



 それから。また子とはよく遊ぶ仲になった。クラスの愚痴を聞いてもらったり聞いてあげたりいかに高杉がイケメンか聞かされたり。いおりさん男の子興味ない。

 そして気がつけばやって来ていた体育祭。体操服ブルマとかマジ有り得んってことでこっちは普通にスポーツショップのア○ペンでジャージのハーパンを履いている。

 基本的にいおりさんは体育祭、屋上でサボりである。だってなんだかー、だってだって何だもーん。あかん意味不明や。フェンスにもたれかかりすっかりその中毒性にやられたフリィダムロリィタを口ずさむ。フリィダームロリィーターマセた町でー。
 すると屋上の扉がバァンと豪快に開けられびくりと肩を震わせる。そちらへ視線を向ければ銀八センセがくわえ煙草でこちらを見ていた。



「歌ってたとこわりーなぁ、お前今から100m走だぞ出ろよ」
『高杉か土方か桂か山崎辺りにやらしたらええやんアホやなーこっちが出るわけないやろ。あ、さっちゃんでもエエで。あの子あんたの言うこと聞くやん』
「ひでぇなお前は」
『うっせぇよ黙れよ』
「無駄にイケボで言わないでくんない?」



 そういった銀八の横を通り抜けて『しゃーないな』と階段を降りる。もちろん向かう先は応接室だ。誰が体育祭なんか出るか。
 ざまあ銀八。ざまあ先程名前を挙げた男子生徒。



.

212:ぜんざい◆A.:2017/03/09(木) 23:53 ID:m9E

トリップもの。浦島坂田船→銀魂

 歌い手様なのでご本人様や関係者様はスルーしてください。こう言うのが嫌な方もスルーおねしゃす。批判等は受け付けません。だってこれはぜんざいの自己満足だもの。


**
うらたぬきside

 気が付けばそこにいた。隣には坂田が居て、周囲を見渡し呆然。
 見慣れぬ古風な大通り、着物や袴姿の人々、空に浮く宇宙船、そして化け物のような恐らく天人と呼ばれる生き物。
 明らかにここは銀魂の世界だった。



「えもがっ!?」
「しっ!」



 大通りのど真ん中で叫べば目立つだろうが。と声にはせず坂田の口を片手で塞いでずるずると端へ寄せる。
 ぷはっと息を吐いた坂田は小声で「ここどこ!? やっぱ銀魂か!?」とおろおろと慌てる。お前が慌てるせいで俺慌てらんねぇだろ落ち着け餅つけ。



「さかたんの言う通りここは銀魂だろーな」
「銀さん居るかな」
「ちっげーだろ! ……俺らはここに来る前何してた? 誰といた?」
「え、浦島坂田船の四人でレコーディング……ああっ!」
「そーだよきっと志麻さんとセンラさんも居るんだよここに!」



 他の二人も居ることを願ってから自分達の身なりを見れば、あれだ、千本桜の時にフユカさんにイラストで書いてもらった時の服装だ。確かにぴったりだもんなぁ。と言うか。



「顔もイラストのままじゃん!」
「やっべーすっげー!」
「財布も有るし……あ、通帳もあるから多分金もこっちに来てるな」
「便利だな」



 やまだぬき、スマホ、財布。俺の所持品はこの三つだ。やまだぬきは肩に居た。かんわいいなおい! 俺は人間とたぬきのハーフだー! ふははははー!
 そうなると、残りの二人がどこにいるのか謎だ。二人で顔を見合わせれば坂田がハッとしてから「俺ら今金あるじゃん」とポツリと呟く。おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいまさかまさかまさかええーマジかええーっ。



「まさか、坂田っ、お前……!!」
「ふっ、そう、そのまさかだ!!!!」
「そうか、なるほど分かったぞ! それなら!! レッツゴー」
「万事屋!」



 二人で厨二なノリで茶番を起こしてから、バタバタと動きにくい着物で俺たちは勘を頼りに万事屋へと向かった。



.

213:ぜんざい◆A.:2017/03/10(金) 00:21 ID:m9E

『wwww』表現あり。

 俺達が万事屋に着いたのは出発してから三時間後だった。動き始めたのは良いものの、あれだ、やっぱり勘を頼りにしてはいけなかったらしい。結論から言おうめっちゃ迷った。それもこれも……全部さかたんのせいだ!!!
 美味しいものや珍しいものを見つけてはあっちへふらふらそっちへふらふら。どこいくんだよお前!!! 万事屋行くんじゃねーのかよ!!! とかそういうやり取りをしてようやくたどり着きました『万事屋銀ちゃん』。
 俺たちは今玄関の前で立ち止まってます。なぜかと言うと。



「すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー」
「おいっ! いつまで深呼吸してんだようらさん!」
「いやだって緊張するじゃん!! しちゃうじゃん!!! さかたんしないの!?」
「めっwちゃwwしwてるwwww」
「ほらぁー!! ほらほらー!!」



 めっちゃ緊張するじゃん。なにこれすげー緊張するじゃんしちゃうじゃん。そんなこんなで五分経過。



「いやーやっぱり? 最初の印象で全部決まるじゃん? 何かする?」
「チャイム押したら歌うww?」
「えっwwいwいwwwけど」
「なにする?」
「……バレリーコ?」
「でぃんでぃんだーんさーあおーどりまっしょー! っておいおい駄目じゃんこれは流石に駄目じゃんおいおい真面目に考えろよさかたー」
「んー、虎視眈々?」
「絶対却下って言われるって分かれw魅惑ワンツースリーとか行きなり言い出したら驚くだろ引くだろwwwww」
「歌ってる時点で心配要らなくね?ww……あー、聖槍爆裂ボーイとか?」
「いーねそれでいこう!」
「あっ、虎視眈々駄目なのにそれ行けちゃうんだ!? なんで!? むしろそっちのがダメでしょうらさん!」
「そういう曲ばっか振ってくるお前もお前だろーがww」
「それもそうか」



 意を決してピンポーンとチャイムを押して、さあ扉を蹴破って__



「たのもぉぉぉぉおうぉぉぉぉぉおらぁあぁあ!」
「うらさんうるっさいな!? てか歌は!? てかうらさんどうしたのうるぁぁあ! って! 気でも触れたの!?」
「うるぁぁあ! とは言ってねーよ気が触れたとかそんな扱いすんなよ見ろやまだがこんなにしょぼーんって」
「なってねーじゃん! やまだぬきちゃん無言で大丈夫かって顔でうらたさん見てんじゃん!」
「…なん、だと……?」
「なん、だと……? じゃねーよ!!!」
「たのもおおおおおおおおお! 依頼だあああああ!」
「だからうらたさんうるさい! 勝手に扉開けちゃダメでしょ! って蹴破ってるけどね!」



 そう言いつつも坂田よ、ずけずけと入ってってるぞ、律儀に靴を脱いでいってるぞ偉いぞ坂田。
 そんなこんなで奥に視線をやれば迷惑そうな顔した銀髪天パとチャイナ少女。あっ、すいません。



「……ちょっとそこの二人、やかましいんですけど。扉壊れてんですけど」
「弁償ネ」
「「ごめんなさい」」



.

214:ぜんざい◆A.:2017/03/10(金) 10:37 ID:m9E


 なんやかんやで客間に通してもらい、依頼の内容を説明した。おっと、その前に自己紹介か。



「えーっと、うらたぬきです、はじめまして」
「俺はアホの坂田です、よろしく」
「君たち良いのそんな名前で」



 自己紹介をすれば速攻で返答が返ってきた。良いのって……なぁ。と坂田と顔を見合わせて「動画配信してるので……名前をバラすととんでもないことに」と坂田が話す。そこでまた止まってくれないのが銀さんたちだ。



「おいおい君たちぃ、夢見るのは良いんだけどね? 他人を巻き込むのはどうかと思うよ? たとえイケメンだとしても」
「はっきりと、はい嘘です言うアルヨロシ?」
「いやいやいやいや、嘘じゃないですって」
「よしリーダー、証拠動画をつきつけろ!」
「今すぐやってやんよ!」
「うらたさん流石!」



 隣に座る坂田がきゃんきゃん喚くが俺はスマホを取り出してとりあえず千本桜をかけてみた。恋色花火とかそこら辺でもよかったかも。
 ニコニコにて再生画面にしたそれをやまだぬきへと渡せばとてとてとそれを抱えて銀さんの方へと歩き、画面をそちらに向けて再生した。



「こんなもん見せられても……ん?」
「歌アルか?」



 流れ出す曲と同時に静かになる二人。浦! 島! 坂田! 船! のとこ好きだわやっぱ。

215:ぜんざい◆A.:2017/04/05(水) 00:14 ID:JO2

名前変えました。

唐突に書きたくなったシリーズの奴(の設定)。ポケモン。あれです、学パロです。にょた化注意、嫌な方はおすすめできません。ハーレム? かな? そうなのかな。男主。出てくるのはマメツキの知識にある子達だけ。ポケスペ要素はない、筈。多分。

晋夜(しんや)
黒髪黒眼鏡の隠れオタクな高校三年。身長はだいたい180前半ぐらい。デンジとマツバ、ゲンで行動することが多いが基本女の子に絡まれてる。天然タラシ。行動はわりと男前。鉄の理性を持つ(時々揺らぎそうになる)。幼馴染みが二人。二人とも女子。知能は中の上寄りの中。言わば平均。そう平均。アウトドアに見えてインドア寄り。目はかなり悪い。近視とちょっとだけ乱視。女子から人気があって男子とも仲良しな世にも珍しい隠れオタク。
レッド
幼馴染み1。ピクレに近いかも。黒髪のセミロング。さらっさらでくくったりはあまりしない。赤い瞳。身体能力が規格外。鋭いつり目の無愛想で無口な方なので冷たい印象を持たれがちと言うか現在進行形で持たれてたり。でも寡黙系美少女。晋夜好き。グリーンも好き。でも二人に対する好きがちょっと違う。後輩も好き。でも負けない。貧乳。無いわけではない。基本晋夜にくっついてる。黒タイツ。グリーンよりちょっと小さい高校三年生。意外と大胆。晋夜が初恋。そりゃそうなるか。
グリーン
幼馴染み2。一軍系な女子だが、ただ元気なだけ。ちょっと高飛車。でもそれに似合う頼れる系美少女。茶髪ショート。前髪にアメリカンピンを五つ付けてる。緑の瞳。運動神経が良いのでよく部活の助っ人へ推参する。ミニスカなのによく動き回るので晋夜とレッドをいつもハラハラさせている。晋夜も好きだしレッドも好き。でも二人に対する好きは違うベクトル。晋夜は好き、レッドは大切、的な。後輩可愛いよね。でも負けない、後輩には負けない。ガンガン攻めよう! 気づくまで! 昔から抱き付いていたのが仇になるとは……。な残念子。なんでもやれば出来ちゃう爆豪くん型コミュ力爆発女子。ハイソックス。普乳を気にする恋する乙女。レッドよりマシかと思う辺りちょっとひどい。身長は女子にしては低くレッドよりちょっと高い。意外にもウブ。晋夜が初恋。レッドがそうならそりゃこうなる。
ゴールド
晋夜達の後輩1。高校二年生。無邪気な元気爆発娘。黒髪で前髪爆発。後ろ髪は引っ張って高いところで括ってる。下ろしたら肩ちょっと下。元気系美少女。動くことが大好きで時々体育の時に男子に混ざったりしてシルバーに連行される。シルバーは頼れる大好きな親友ポジ。スカートはミニスカだがその下に黒のスパッツ。晋夜が関わると無邪気に見えて計算してたり。身長はグリーンより数センチ大きい。巨乳。自分の武器を理解している新星バカの子。勉強より運動したい。と言うか勉強なんかくそくらえ。晋夜もシルバーも好き。でもシルバーにも負けたくない。レッドやグリーンも好きだがやっぱり負けたくない。でもシルバーと一緒に晋夜と居たい。意識してもらえるまで抱きついてやる。レッド先輩が可愛いのでまもってあげたいと思ってる。元気っ子。シルバー離れが出来ない。グリーン先輩なんか経験多そう(そんなことはない)
シルバー
晋夜達の後輩2。高校二年生。頼れるお姉さん的ポジのツンデレ俺っ娘。デレの度合いが半端なく低く、もはやただのツンと化している。但し晋夜は除く。鈍い。ので晋夜が好きかも気付いてるか怪しい。実は初恋だったり。お金持ち。クール系美少女。ゴールドがお転婆なので中学の最初からずっと面倒を見ていたからかゴールドが離れてくれない。ちゃんとゴールドも好きだが恥ずかしくて口にはしない。ミニスカにニーソの絶対領域要員。身長はゴールドよりちょっと高い。頼るより頼られていたので甘やかしてくれる晋夜にたじたじで真っ赤になる。髪は原作よりちょっと長い。晋夜と話したいときはゴールドが頼り。持ちつ持たれつ的な。美脚。イエロー並みに極貧だが成長途中らしい。ほんとか。一般常識がぶっ飛んでる節がある。金銭感覚とか。

216:マメツキ:2017/04/05(水) 14:33 ID:JO2

晋夜くんです
http://ha10.net/up/data/img/18934.jpg

217:マメツキ◆A.:2017/04/05(水) 15:08 ID:JO2



 早朝、俺の朝は起こされるところから始まる。母さんが「晋夜ー、起きなさいよー」と言うところから始まり、幼馴染みの腹への直接攻撃で終わる。
 ぐへっ、なんてつぶれた悲鳴をあげながら、布団から身を起こせば俺の上に跨がってにやにやしているグリーン。お前スカートなんだから位置的に考えろよ太股柔らかそうですねハイ。



『……お前なんで居んの、ねえなんで居んの』
「おばさんが入れてくれたの! ほら起きてよ!」
『退け馬鹿野郎! 起きれねーし見えるぞ!』
「短パン履いてるもん」
『モラルを考えろ! 女だろ!』



 まったく、と呆れたように呟きながらバッと掛け布団をはげば、ころりと転がり落ちて「んきゃ!」と声をあげるグリーン。それを横目にボゥとする頭を左右に振って無理矢理覚醒させる。いかんいかん、二度寝しそう。



「こんな美少女に起こしてもらって無反応とか……」
『倫理的に考えなさい、倫理的に』
「アンタは私のお母さんか!」
『誰がお母さん!? お前の母さんは隣の家にいんだろーが!』



 ぎゃんぎゃんと床に座り込んで喚くグリーンを見て今のうちにとさっさと着替えを済ませてから『降りるぞー』とか声を掛けて扉を開けると、どんっと誰かにタックルをかまされた。グラッとよろめくも扉の縁をガッと掴んでバランスを取って確認すれば俺に寄りかかっているレッド。ちっさい。



『なにレッドお前ずっと扉の外にいたの』
「……居た」
『タックルかまされたように思うんだけど』
「……気のせい」



 気のせいなわけあるか、とか思いつつレッドを腰にくっ付けたまま引き摺って階段を降りる。危ない。レッドが落ちないように慎重に階段を降りれば途中でグリーンが背中に飛び付いてきたからもう踏んだり蹴ったりだ。お前ら美少女なんだからもうちょっとおしとやかにしなさい。俺に対する嫌がらせか。



『おはよ、う!?』
「ふふふ」



 二人を引っ付けたままリビングに入れば母さんが気持ちの悪い笑みを浮かべていた。正直鳥肌立った。すまん。

218:マメツキ◆A.:2017/04/05(水) 16:47 ID:JO2



 とある日の昼休み、俺はほとんどグループ化しているデンジ、マツバ、ゲンと教室の一角で昼食を取っていた。



『デンジ今日も菓子パンかよ』
「悪いか」
『悪いに決まってんだろ馬鹿野郎! もー、まったくこの子はー、もー』
「うるせぇオカン」
『馬鹿野郎、誰がオカンだ馬鹿野郎』
「うるせーよ馬鹿野郎馬鹿野郎って」



 どうしようデンジが反抗期なんだが、とかゲンに言えば「構ってくれて嬉しいんだろう」と笑ってた。おいおい笑い事じゃないんだぞ。あ、デンジがゲンの座ってる椅子蹴った。マツバは苦笑いしながら一人で重箱(二段)をもくもくと食しているし何ここカオス? カオスなの?



「ところで」
『ん?』



 ごちそうさま、と柏手を合わせていたマツバが思い付いたように俺を見た。俺はと言うとデンジの菓子パンを奪い取り、俺の弁当のおかずを詰め込むのが終わったところだ。ただいまデンジはエビフライをくわえて俺を睨んでいる何これ怖い。デンジ目が鋭いから怖いんだよなー、とか言いながらコーラを飲めば「晋夜って最近女の子とどうなの?」とマツバの好奇心にブッとコーラを吹いた。げほげほと蒸せて背中を撫でてくれるのはゲンしかいない。



『いきなり何!? なんなの!?』
「いや、最近どうなのかなって」
『どうなのとか言われてもな!? 俺彼女いない歴=年齢だからな!? 公言したくなかったわ馬鹿野郎!』
「「「えっ」」」
『えってなに!? みんなしてなんなの!?』



 みんなぶつぶつと「四股ぐらいかけてると思ってた」とか好き勝手言いやがって。誰だ今シたい放題とか言ったのデンジか! デンジだな! 俺まだ童てげふんげふんチェリーボーイだぞ! 偏見! 失礼!



.

219:マメツキ◆A.:2017/04/21(金) 23:08 ID:iBo


上記の連載の主人公の設定をそのままにヒロアカの連載。レッドとグリーンはそのままですが、ゴールド、シルバー、新たにブルー、クリスタル、ルビー、サファイアが登場し、この六人はポケスペ設定になります。シルバーはあまり変わらない。にょた注意。

予告でした。多分すぐ書く。

 。

220:マメツキ◆A.:2017/04/22(土) 19:32 ID:iBo

やっぱりネギまの男主夢です。上記のものはいずれ。
 実は前々から考えていた連載ネタ。やりたかったけど原作コミックがマメツキの本棚の中に埋もれて見つからなかったのです。やっと発掘できた……なくしたかと思った(冷汗)。では、いってまいります(笑)(`∀´ゞ。

男主。
緋影 伊織(あかかげ いおり)

イメージ画
http://ha10,net/up/data/img/19184,jpg

 赤い瞳のつり目が特徴的な寡黙かつクールな少年。一応魔法使いだが、魔法剣士の部類に入る。魔法拳士でもある。「アホか」が口癖。得意な魔法の属性は炎。実力もちゃんとある。
 そのせいというかなんというか学園長に「男子校満員になっちゃったから女子中等部通ってね」とわざとらしくただ一人女子の中に放り込まれた苦労人。鋼の理性を持ち合わせており、学園では硬派なのも相まってかなり有名。イケメンである。空手四段。ネギに同情の念を抱いており、何かと世話を焼く。何が起こっても動じない。
 長瀬より少し高いぐらいの身長。声低い。クラスのネギ至上主義に呆れているのだが、同時に自分にもそれが向いているとは思っていない。ネギのようにおおっぴろなアピールはないが、同級生な為みんな恥ずかしがってアピールは控えめ。
 イメージ画の刀は相棒の『アヴァタール』。熱くなれと意思を込めれば刃がめっちゃ高温になって高層ビルぐらいなら溶けてすぱーん。普通の状態でも切れ味は抜群。
 明日菜のように固有能力を持って生まれているただの人間。向こうの世界出身ではない。能力は『身体炎化』、攻撃には使えないものの、移動速度は瞬間移動に近く、相手の攻撃はすり抜ける。ネギの雷化の劣化ver。人間に危害は加えない比較的優しい能力。
 のどかが気になっているものの行動に移す気は無い紳士。但し無表情。温厚派。両親は既に他界。



.

221:マメツキ:2017/04/22(土) 19:37 ID:iBo

イラストが出なかったのでもう一回

http://ha10.net/up/data/img/19184.jpg

222:マメツキ◆A.:2017/04/22(土) 20:29 ID:iBo


 今日から三学期が始まる。寮を出て駅に着いて電車乗って降りて駅を出てそこから学校へ運んでくれる路面電車の後ろに着いている取っ手を握り、スケボーでそのまま進む。これは走って体力が減るとかがないのですごく楽だ。
 早いとこさっさと教室に行って教師を待とう。俺のクラス、先生が代わるみてェだから。高畑先生、結構好きな先生だったんだけどな……。巷じゃデス・メガネ高畑とか言われてるけど。
 ヘッドフォンの奥で響くボカロに合わせてふんふんと上機嫌に鼻唄を歌った。

**

 教室に着くと、人はまばらにしか居なかった。それぞれに「おはよう」と返しながら、ちらちらと受ける視線に気づかないふりをして自席に伏せる。いい加減慣れて欲しいものだ、男子が珍しいのは分かるけど、もう二年近く同じクラスなのだから。
 その視線の真意に気付くことなく流れる音楽を聞きながら俺は眠りにつくのだった。


**

ネギside

 魔法の修行として『日本の学校で先生をやること』と課せられた僕、ネギ・スプリングフィールドは学園長に言われてしずなさんと共に2-Aの教室の扉の前に立っていた。流石と言うように女子中学校だからかクラスは女の人ばかりで少し緊張するなぁ。
 そこでふと、一番後ろの席で伏せて寝ている男の人を見つけた。



「あれっ、なんで男の人……?」
「彼はね、男子校に空きがなかったからこちらに入ったの」



 大変だなぁ、と思いつつ先程渡されたクラス名簿を慌てて開けばタカミチ(高畑先生)の書き込みがたくさん。
 えぇっと……出席番号二番、緋影 伊織、空手部。わ、かっこいい人だなぁ。
 顔写真を見つつ、タカミチの書き込みは『頼りになるから安心しなさい』『空手四段』と書いてあった。タカミチが言うなら多分そうなのだろう。
 同性がいたことに安堵しつつ、僕は扉を開くのだった。



.

223:マメツキ◆A.:2017/04/22(土) 22:32 ID:iBo



「キャアアア! か、かわいいー!!」



 何やら突然騒がしくなった教室の女子の騒ぎ声で目が覚めた。なんだなんだとむくりと体を起こせば教卓の方で子供がクラスメイトに囲まれていた。
 その様子を傍観していれば飛んでくる先生と言う声。どうやらあの男の子が俺たちの担任のようだ。すげーとか感心しながら眠たい頭を働かせていると「いい加減になさい!」といいんちょ__雪広あやかが机をバンと叩いて立ち上がった。



「皆さん席に戻って。先生がお困りになっているでしょう? アスナさんもその手を離したらどう? もっとも、あなたみたいな凶暴なおサルさんにはそのポーズがお似合いでしょうけど」



 雪広の言葉に感化され神楽坂を見てみれば確かに、神楽坂はネギ先生とやらの胸ぐらを掴みあげ、教卓の上へと座らせてメンチを切っていた。神楽坂ェ。



「なんですって?」
「ネギ先生、先生はオックスフォードをお出になった天才とお聞きしておりますわ。教えるのに年齢は関係ございません。どうぞHRをお続けになってください」
「は……どうも……」



 妙にキラキラした雰囲気の雪広にそういわれ、ネギ先生は唖然としたように返事を返した。返事したのは偉いぞ先生。俺が彼を眺めていればネギ先生がふと俺を見たので手をひらひらと振っておいたらずいぶんホッとしたように溜め息を吐いていた。同性が好意的で安心したのだろう、聞けばまだ10歳だと言う。それは仕方ない。
 雪広と神楽坂に視線を戻せば既に取っ組み合い手前、まあ、互いの胸ぐらを掴み合い怒鳴り散らし始めていてまたかと呆れた視線を飛ばして席を立った。



「言い掛かりはお止めなさい! あなたなんてオヤジ趣味のくせにぃぃ!」
「なっ!?」
「わたくし知ってるのよ、あなた高畑先生のこと……」
「うぎゃーーー! その先を言うんじゃねーこの女ー!」
『雪広、神楽坂、お前らそこまでにしとけ』



 ばっと殴りかかろうとしていた二人の間に腕を滑らせ引き剥がし、見下ろしながらたしなめる。二人はハッとしたようにそのままの形でかたまり、引き下がる。キッ、と睨み合いをしているからきっとまたやるだろう。



『見ろ、ネギ先生困ってんぞ。時間押してんだし、とっとと席戻れ。喧嘩すんのは悪いことじゃねェが、授業中じゃ迷惑が掛かること……分かってるよな?』
「……すみません」
「……ごめん緋影」
『分かれば良い。次からやめような』
「はいはいみんな、席に着いて〜ありがとねぇ緋影くん。ではネギ先生、お願いします」
「は、はい」



 その後、席について授業を開始したのは良いが、再び神楽坂と雪広が本格的な取っ組み合いの喧嘩をおっぱじめてしまい、英語の授業が消えたのはすぐの事だった。あの二人俺のいってたこと聞いてなかったのか。



.

224:マメツキ◆A.:2017/04/23(日) 14:45 ID:iBo



  やっと一段落ついた頃、やかましい教室を出校舎を出、俺はてくてくと散歩をしていた。
 音楽をシャカシャカヘッドフォンの奥で聞きつつ鼻唄を歌っていれば、前方に本を大量に持つ本屋ちゃん__宮崎のどかを発見した。ぐらぐらとバランスが危うく、進む先には手すりなどもない階段、なんと言うか、足を捻って落ちそうで怖い。



『宮崎』



 後ろから声を掛ければ彼女は立ち止まり、振り向く。不思議そうに「緋影くんー……?」と呟く彼女に落ちそうで怖かった、と伝えて本を宮崎の腕から取り上げた。宮崎はいいのに、とは言っていたが心配だっただけだと告げれば大人しくなった。好意は素直に受けとるに限るぞ。

 そのまま二人で階段を降りていけば視界の端に俺たちをぽけっと見上げているネギ先生がうつりこんだ。別に意識することも無いだろうとそのまま進んでいけば、一冊の本が滑り落ち、そのまま階段を外れて落下していく。そのまま落ちたら一瞬でお陀仏だろう。なんせこの学園の本はやたら古いのが多いし、劣化も激しい。価値は希少なものも多い。やべ、と思ったときには本はもうすぐ地面のそこ。気付いたときにはネギ先生が杖をふりかざし、ふわりと本が浮いた。
 バカ、なに魔法使ってんだよ、と思う暇もなく少年はそこへ飛び込み本を抱えて転がる。とりあえず感謝の意は示しとくか。



「は、はいこれ……落としましたよ!」
『おー、ありがとうネギ先生……ってうわ、っ、!?』



 感謝を述べた瞬間ネギ先生は神楽坂にさらわれていた。俺の手元にはあのとき落とした本だけが残っていて目が点になりそうだ。どんなときでも動かない表情筋はなにかと役に立つ。……見てたな、神楽坂の奴。



『まあ、とりあえず。傷がつかなくて良かった』
「はいー……後でお礼をしないとー……」
『確かこのあとネギ先生の歓迎会やるんだったか。俺は行かねェけど、その時に図書券とか渡せばいい』
「緋影くん来ないの……?」
『俺、新学期でもう疲れててな、先生にもよろしく言っといてくれ』
「あ、うんー……」



**


 翌日、ネギ先生もとっととホームルームを終わらせて一時間目の英語の授業を開始した。すらすらと英文を読み始めた先生は笑顔で「今のところ、誰かに訳して貰おうかなぁ」と微笑む。
 それと同時にさっ、さっ、と目線を背ける。神楽坂が一番目をそらしていたにも関わらず当てられ、ぎゃんぎゃんとわめき出すが読んで、大失敗。仕舞いにネギ先生のくしゃみで服が飛んで下着になる神楽坂を見まいとサッと俺は教科書を立てて視界を遮ったのだった。

 放課後、とっとと返ってきた俺は女子寮の一番隅の部屋、他の部屋よりもずっと広い俺にあてがわれた部屋へと帰宅していた。だがしかし、帰ってきたのも束の間、シャンプー等は向こうにあるよな、と呟き桶とタオル、そして着替えを持って部屋を出た。
 前々から学園長に頼んでいたのだ。月イチで大浴場貸し切り。女子風呂なので気が引けるが、ずっとあの部屋についている風呂ではなんか俺が嫌だ。
 いそいそとやって来た大浴場の札を『緋影入浴中』のものに掛けすたこらと準備をして中へと入った。



『……何回見てもすげェよなァ…ここは』



 どこぞの温泉施設のようだ。俺は一番オーソドックスな湯へと浸かりふへーと間抜けに息を吐き出す。やっぱり風呂はガス抜きだよなー。
 ずるずると滑っていき、肩が浸かる位まで体勢を崩し、枠に腕を引っ掻けてリラックス。そのまま防水加工のしてあるイヤホンをつけて濡れたタオルを目に掛けた。



.

225:マメツキ◆A.:2017/04/23(日) 15:07 ID:iBo



 何やらぎゃいぎゃいとやかましい。タオルを取って辺りを見れば神楽坂がネギ先生の頭を洗っていた。……俺、札掛けといたよな……気付かなかったのか?
 すいすいと泳いで二人に近付き声を掛ける。



『おい』
「わひぃっ!?」
「なっ、な、緋影!? なんでここに……!」
『なんでって……札掛けといたろ。『緋影入浴中』っての。見てねェのか?』
「嘘っ、今日だったの!? ごめん!」



 パッと謝れる神楽坂はいいやつだ。わざとじゃないならいい、洗い終わったらとっとと出な。と告げて俺は背を向け再び枠に腕を掛けた。
 と、そこで。脱衣所の方からきゃっきゃと女の声が聞こえてきた。今日は厄日か。ちら、と二人へ視線を送れば既に身を潜めており、ハァと息を吐く。なんなんだ今日は。
 入ってきたのは雪広、宮崎、早乙女__早乙女ハルナ、お嬢__近衛木乃香、綾瀬__綾瀬夕映。札、見てねぇのかよオイ。
 入ってきた五人はまず悲鳴をあげて俺が居ることに驚いた。



「なっ、なな、なんで緋影さんがここにいらっしゃって!?」
「あっ、もしかして……」
『そのもしかしてだよ。今日は俺の貸し切りの日だ。とりあえずタオル巻け』
「っうわ!」
「きゃあ!」



 そう俺が言えばみんな札見てなかった……と唖然としタオルを体に巻いた。こんなに来てるし、もうそろそろ良いだろう。



「す、すみません……すぐ出ますです」
「すまんなーイオリくん」
『いや、いい。俺が出る。もうそろそろ出るかと思ってたところだった』



 タオルを腰に巻いてざぱりと立ち上がり、彼女らの横を通り抜け俺は風呂から上がったのだった。



.

226:マメツキ◆A.:2017/04/23(日) 19:31 ID:iBo

一方の風呂場side
「それにしても……なんですのさっきのは! 何であの暴力的で無法者のアスナさんの部屋にネギ先生が」
「あー、それはウチのおじいちゃんがそうするよーに言ったんよ」

 雪広あやか、もとい『いいんちょ』の言葉にこのかがすかさずそう返した。学園長先生が? と聞き返すいいんちょたちとは別に綾瀬が宮崎に話し掛ける。

「それにしても、緋影さんには悪いことをしてしまいましたね」
「あうぅ……そうだねユエ」

 綾瀬、もといユエの言葉に同意した宮崎、もといのどかは気まずそうな表情を浮かべる。このかはそれに「ホンマ優しいやんなぁ、イオリくん」と微笑んだ。コクコクと一同が同意するなか、早乙女、もといハルナが「っていうか、私達の裸すら見ようとしてなかったよねぇ、緋影くん」とのびをしながら呟く。

「普通、ガン見するなり鼻血出すなり変なこと考えたりするのにさ」
「なっ、緋影さんはそんなこと致しませんわ! あの方は常識をわきまえておりますのよ! 今日だってアスナさんが突然下着になったときも咄嗟に教科書で見ないように……!」
「チキンかヘタレなだけってことも有り得るよねー」
「……いや、それはないと思いますよハルナ。私達を『女の子』として尊重してのことです。ですよね、のどか」
「う、うんユエー……今日だって私が大量の本、運んでるときに階段から落ちそうだったからーって、代わりに本を持ってくれたしー……」
「あーいうん硬派って言うんやなぁ」
「流石緋影さんですわー!」
「麻帆良の堅物は伊達じゃないってねー!」

 その会話を聞いていたアスナとネギ。湯船の中で葉に隠れたアスナにネギが小声で問い掛けた。

「緋影さんってそんなにすごいんですか?」
「そりゃそうよ。緋影の理性は鋼より固いの。そうじゃないとあんな場面で顔色が一切変わらなかったりなんてしないし、あんたにみたいにデリカシーが無いことなんてしないわ」
「あうー」
「わりと有名なのよ、緋影は。『麻帆良の堅物』って呼ばれてんの。クールでイケメンだから女子人気もかなり高いし。ウチのクラス、そんなに騒いだりしないけど水面下争いしてるわ」

 二人がそんな会話をしているとは露知らず、五人の会話はヒートアップしていく。

「ネギくん来たから人気が二分しそうやなー」
「な! ネギ先生も緋影さんも死守しますわ!」
「頑張るですよ、いいんちょさん」
「話を戻すけど、私達もネギくんか緋影くんと相部屋になれるようこのかのおじーちゃんに頼んでみよっかなー。ネギくんか緋影くんが一緒だと嬉しいよねー」
「なっ!?」
「えっ」
「そうですね」
「あっ、のどかは緋影くんの方が嬉しいかー!」
「はっ、ハルナー……!」

 そこで影から聞いていた二人はなんのはなしだと首をかしげ、いいんちょは声をあらげる。

「勝手に決めないでいただけます!? ネギ先生と同居し立派に育てるにはもっとふさわしい人物がいると思いますわ!」
「緋影くんは?」
「あっ、緋影さんは……ああっ、そんな……二十四時間一緒だなんて!」
「いいんちょ、なに考えたんや……?」
「でも緋影くん断りそうだよねぇ。こう、自分から告白して彼女が出来るまで同居とかしなさそう」
「誠実な方ですからね」
「はうう……」

.

227:マメツキ◆A.:2017/04/23(日) 20:09 ID:iBo


 ネギ先生が来てから5日が経過した。昨日はバカ五人衆(レンジャー)の居残り授業など麻帆良は恐ろしくやかましかったが、まあ退屈はしないので良いだろう。

 昼休み、俺が校内の一階の廊下を歩いていると、ばたばたと佐々木と和泉が駆けてきた。



「あっ、いおりくーん!」
「緋影くんやぁぁっ」
『え、なんだなんだ。どーしたお前ら怪我してるじゃねェか……』



 とりあえず手持ちの絆創膏を和泉の額に貼り、佐々木の手の甲にも貼る。聞くところによると高校生が場所を横取りしようとバレーで暴行を仕掛けてきたらしい。



『……とりあえず、俺が行ってくるからお前らネギ先生呼んでこい』
「ありがとーいおりくーん!」
「絆創膏もありがとなぁ!」



 ぱたぱたと駆けていく二人を見送りさて、行くかと俺も廊下を走り出した。まったく、高等部の人たちも大人気ないな。

**

 俺が校庭に到着すると話とは違い、神楽坂や雪広の二人、あとネギ先生もそこにいた。「誰が譲りますかこのババア!」と雪広が怒鳴ったのが鬨の声となり、中高生が殴り合いになろうする寸前。雪広、お前意外と口悪いな。やれやれ、とあたふたしているネギ先生を一瞥して俺は静かに声を掛けた。



『なにやってんすか、先輩方』



 俺の声に全員がぴたりと動きを止め、俺を見つめる。



『元気なのはいいんすけど、後輩相手にちょっと大人気なくないっすか』
「それは……」
『まぁでも、ウチにも非があったみてェなんで、あいこってことで場はおさめましょうか』



 後ろから神楽坂と雪広の両名に肩を組んでリーダー的存在の先輩を見つめれば「そ、そうね……」と引き下がっていただけた。去り際鼻を鳴らしていたのは頂けないが、まあ良いだろう。二人から腕を退けて先輩の方を見ながらため息を吐いた。



「でも緋影! 悪いのはあいつらよ!?」
『手ェ出しゃ一緒だ神楽坂。そもそも、お前ら美人なんだから取っ組み合いなんかすんな。みっともないぞ』
「うぅー……!」
「あ、緋影さんっ、そもそものところ、続きをなんとおっしゃいましたか……!? 私たちがどうの……」
『? 美人なんだから?』
「はうっ!」



 くら、と立ちくらみを起こした雪広を怪訝に見つめてから俺はそのあとの処理をネギ先生に丸投げしたのだった。



.

228:マメツキ◆A.:2017/04/23(日) 21:51 ID:iBo

女子side
「ねえねえ、やっぱ緋影くんってすごくない?」
「……うん」
「確かに頼りにはなるかにゃー」
「……そのあと来た高畑先生もね」

 上から、和泉亜子、大河内アキラ、明石裕奈がそう会話していた。アキラの言った高畑は、あの騒動のあとの場を収束させてくれたのだ。その会話を聞き、このかがアスナに問い掛ける。

「なにかあったん?」
「高等部と場所の取り合い」
「えー、またですか?」
「みんなやられてるよ」



 アスナの言葉に不安そうに呟いたのは鳴滝双子だ。上から妹の文伽、姉の風香。見た目は小学生だが立派な中学生である。

「ネギくんはちょーっと情けなかったかなー」
「でも十歳だししょーがないじゃーん」



 明石__ゆーなの言葉に返答したのは佐々木まき絵。いいんちょが「なんですの皆さんあんなにネギ先生を可愛がっていらっしゃったのに!」と憤慨を露にする。そのままきゃっきゃと会話をしながらバレーをするため屋上のコートへと足を運んだ。……運んだのだが。



「あ!」
「あら、また会ったわねあんたたち。偶然ね♪」
「むっ」
「高等部2ーD!!」



 なんと、自習の先程の高校生たちがコートを占拠していた。そしてそこで捕まっているネギ先生。体育の先生が来れなくなったので代わりに、と言うことらしい。それで呆気なく捕まったわけだ。


**

 俺が体操服の長ズボンを吐き、ジャージを腰に巻いて屋上へやって来た頃にはなぜかあのときの高校生とうちのクラスはドッチボールをしていた。
 制服姿で明らかにやる気がないエヴァンジェリンに手招きされ、俺は彼女の隣に腰を下ろした。
 エヴァンジェリン・A(アタナシア)・K(キティ)・マクダウェル。小学生の見た目だが、金髪に白い肌、西洋人形(ビスク・ドール)のような美少女だ。だがしかし、その実態は齢三百年を生きる吸血鬼の真祖だ。『闇の福音』『ダークエヴァンジェル』『魔王』等と呼ばれる三百億の賞金が掛けられた悪の大魔法使い。実質最強に位置するのだ。
 どうやら俺は彼女に気に入られているようで、俺が胡座を掻けば彼女はその上にトスンと座る。側にはうちのクラスの天才二人__葉加瀬 聡美(はかせ さとみ)と超 鈴音(チャオ・リンシェン)が産み出したアンドロイドの絡操 茶々丸(からくり ちゃちゃまる)もいた。高身長だがこう見えて二歳らしい。頭いいけど。



「やっと来たか、いおりよ」
『おう。で、なにこれ』
「高等部がわざわざこちらに来て勝負をしにね。自分たちが勝ったらあの坊主を教生に寄越せと我が儘を通しに来たのさ。ついでにお前もな」
『普通に考えて無理だろ。学園長が素直に頷くとは思えねェ。そもそもそんな勝手な人事異動他が認めねェ筈だ。』
「ああ。それをあのクラスのバカ共が本気にしたのさ」
『みんなネギ先生大好きだな』
「(それだけじゃないと思うが)」



 エヴァ嬢の呆れた視線を受けつつ俺はそれをボケッと観察する。どうやら彼方さんは大会でも優勝したことのあるチームらしく「トライアングルアタックよ!」とあのリーダー格の人が叫んでいた。トライアングルアタックて。そこで立ち上がったのは雪広だ。



「ネギ先生気をつけて! 私が受けてたちますわ!」
『頑張れよ雪広ー』
「はうっ、緋影さんっ! ……ふっふっふ! さあ来なさいオバサマ方! 2-Aクラス委員長雪広あやかがネギ先生と緋影さんをお守りいたしますわ!」
『(気合い入ってんな雪広)』
「(こいつ……)」



 エヴァ嬢の冷やかな視線をなぜか一心に受けつつゲームの行く末を見守る。雪広? トライアングルアタックにやられてた。きゃ、とか、あん、とかビビりながら。やはりそこは雪広財閥の次女だというところか。よく頑張ったよ雪広。
 そして太陽を背にした先輩に神楽坂がやられ、一気に諦めモードに入ったがネギ先生の先生らしい言葉にみんなが気を持ち直し、無事勝利を納めた。ネギ先生、服が破ける程の威力のボールは投げないでください。



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229:マメツキ◆A.:2017/04/23(日) 22:35 ID:iBo



 ネギ先生達他が魔法書を取りに行った期末テストも初めての学年クラス最下位を脱出しあまつさえトップを取れた。これでネギ先生も正式な先生として授業ができるはずだ。と言っても、もう終了式は終わっていて、ネギ先生は正式な先生としてこの学園で生活している。労働基準法はこの学園都市じゃ通用しないぜ。

 ……あぁ、今日は雪広のあの日だった。春休みで実家に帰省すると言っていたから、出向こうか。
 俺と雪広、神楽坂は小学校からずっと同じクラスで所謂『幼馴染み』に当たる。まあ、小1からの付き合いだ。神楽坂と雪広は出会って一時間目が終わったあとから喧嘩をし出し、それを俺が止めに入る。それが七年も続いたものだから、あの二人が喧嘩をし出すと俺が止めに入るのがデフォルトになってしまっていた。小さい頃は雪広、神楽坂両共に「いおり」くんや呼び捨てだったのだが、いつの間にか名字になっていた。神楽坂が高畑先生に好意を抱いてからだろうか。雪広も神楽坂につられるように呼ばなくなった。それが少しさみしいとも思うが、俺は最初から名字呼びしかしてなかったので当然と言える。関係は悪くないから気にしていない。
 そうしてやって来た雪広邸。相変わらず豪邸で広い。チャイムを押せば「どなたでしょうか」と執事さんの声が聞こえてきて『緋影です』と返答すれば、快く門を開いてくれた。
 だだっ広い前庭を相変わらず綺麗だなぁと感心しながら邸内へ足を踏み入れればメイドさん達が「ようこそいらっしゃいました、緋影様」と歓迎してくれる。それが幼い頃と変わらず少しくすぐったくなった。



『今どこに居ます? 雪ひ……あやかちゃんは』
「只今、ネギ先生とアスナ様、近衛様達とプールの方に居られますのでご案内いたましす」
『あざます』



 俺を見て懐かしそうに微笑むこの人たちの優しさに触れて、相変わらず雪広は恵まれていると素直に羨望できる。ここはとても暖かい。忘れずに今日、ネギ先生を連れてきた神楽坂も大概雪広想いだ。
 水着に着替えるかと聞かれたが、そこまでしてもらうわけにもいかないので断った。入るつもりはないが、プールサイドにでも居よう。



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230:マメツキ◆A.:2017/04/23(日) 23:06 ID:iBo



 プールサイドの椅子に座っている雪広とネギ先生に『邪魔してるぞ』と声を掛ければ二人は驚いたように俺を見た。



「緋影くん!?」
「緋影さん……!? ど、どうして……!」
『遊びに来た。久しぶりに、執事さんたちにも挨拶したかったからな』
「まぁ……!」



 笑顔の雪広に大丈夫そうだな、と安堵してから、雪広が「私の手作りクッキーですの」とサッとクッキーの入った篭を取り出した。綺麗に焼けたそれはさすがと言うかなんと言うか、焼き具合が絶妙で酷く美味しかった。
 そこからまた水着姿の神楽坂が飛び込んで来て二人は大喧嘩。神楽坂のショタコン女と言う言葉がトリガーとなり、雪広が「もー怒りましたわ! 帰って! この家の敷地から即刻出てってくださいまし!」と叫び、売り言葉に買い言葉、「ハイハイわかったわよ出ていきます!」と神楽坂が背を向けた。お互いことを大事に想っているくせに、本当に不器用な幼馴染み達だ。俺が引き留めようとした瞬間、神楽坂が告げた。



「さっきのショタコン女は取り消しとく。今日だけは。ゴメン」



 なんだ、言えるじゃないか。俺はほっと息を吐き、落ち込んだ様子の雪広とそばにいるネギ先生を見つめた。



「ごめんなさいネギ先生、みっともないところを。アスナさんと私、本当に本当に仲が悪くて、いつもケンカばかり……」
「それは違いますよ。アスナさんは今日、いいんちょさんを元気付けようとして、僕にここに来るよう頼んだんですよ」
「え?」
「いいんちょさん、弟がいたんですよね。僕と同じくらいの」
「あ……!」



 そう、雪広には長男となる弟が居たのだ。結局、雪広はその弟に会えなかったが。今日は雪広の弟の誕生日であり命日だ。幼い頃、もうすぐ弟が生まれるんですのと嬉しそうに話していた。いつ生まれても良いようにと部屋まで作っていた。それらが全て実現が不可能となったときの雪広の落ち込み具合は半端が無かったのだ。毎日ショックが抜けきらず、綺麗な目は赤く少しばかり腫れていたのを覚えている。それを一番に元気付けたのは神楽坂。その頃、一等無口だった神楽坂は「元気出せ」の短い言葉と蹴りを一発。なにするんですの! とおいかけっこをして少しばかり元気を取り戻した雪広にホッとしたのも覚えてる。そのあといつものように俺が止めに入ったのだっていい思い出だ。



「そっか……今日は弟の誕生日でしたわね……」



 そこまで呟いてパッと俺を見た雪広は俺を嬉しそうに見つめる。俺は照れ臭くなって視線を逸らした。



「ありがとうございます、いおりくん」
『……! ……別に、大したことじゃない』



 そうして背を向けた雪広は「本当に、幼い頃からあの女は……」と震えた声で言葉を紡ぐ。



「暴力的で無法もので……とんでもないクラスメイトですわ……」



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231:マメツキ◆A.:2017/04/23(日) 23:44 ID:iBo



 それから。ネギ先生のパクティオーがパートナーだあーだこーだだの、前々から知らされていた学園都市一斉電力調査で停電だの、その間に桜通りに出るだの言われていたエヴァ嬢がネギ先生と対決して負けただの、なんかもういろいろ濃い。何この一学期超濃い。あ、あと神楽坂の誕生日である4/21にはちゃんとプレゼントを渡してきた。新しいスニーカーである。神楽坂には両親が居らず、学費などは学園長が負担して返済など要らないと言っているのに律儀に毎朝新聞配達をしている。だからか、革靴ではないプライベート用のものはボロボロだった。喜んでくれたことには酷く安堵した覚えがある。
 そしてとうとうやって来た修学旅行。京都に行くらしい。京都といえば、お嬢の実家があるところか。今回俺は学園長からお嬢の護衛は頼まれていないので、ほとんど桜咲に任せるつもりだ。
 桜咲 刹那。京都神鳴流派の女剣士。半デコ少女だ。小柄なのだが『夕凪』と言う鐔のない太刀を使用するこのかの幼馴染みで専属護衛。このかとは距離を取っているようだ。幼い頃は仲がとてもよかったと聞いている。

 荷物を持って駅にやって来れば、ほぼ全員が集まっており「遅いよー」と口々に文句を垂れられた。なんてこった、一番はしゃいでいるのはネギ先生じゃねーか。

**

 新幹線に足を踏み入れてすぐ、俺と桜咲、ザジ__ザジ・レイニーディはネギ先生の元へと歩む。
 エヴァ嬢はネギ先生の父親、『世界を救った英雄』『赤毛の悪魔』『千の魔法を持つ男(サウザンド・マスター)』と呼ばれる20年前に世界を救った大英雄、ナギ・スプリングフィールドに登校地獄と言う中学生を延々やりつづける呪いを掛けられ、学園から外に出られないのだ。ちなみにもう15年中学生やってる。それの訳はどうやらエヴァ嬢がナギにしつこくアプローチしていたかららしい。女の子だったわエヴァ嬢。と言うわけで、エヴァ嬢は学園を離れられないから来ていない。茶々丸は主人と共に居ることを望んで不在。そのおかげで俺達六班は三人だ。流石に駄目だろうと先生に声を掛けた。
 俺達は他の班に入れてもらうことになり、一番親しい神楽坂のいる班になった。桜咲も。ザジは雪広のところだった。
 俺は席に着くなり班員__早乙女、宮崎、綾瀬、お嬢、神楽坂に挨拶をしてからイヤホンを装着し、アイマスクをしてから眠りについた。五時起きだぞコノヤロー集合はええよ。

**

 俺が早乙女に揺さぶられ、起こされたのは降りる直前だった。どうやら車内で蛙が大量発生する事態があったらしい。俺、どんだけ寝てたんだ……?

 京都に着くなり、清水寺で集合写真を撮った。鳴滝双子が「これが噂の飛び降りるアレ!」「誰かっ! 飛び降りれ!」と騒いでいた。
 その他、恋占いの石に雪広と佐々木が挑戦して、なぜか蛙がいる落とし穴にはまったり地味に宮崎が挑戦して無事辿り着いていたり。音羽の滝の恋愛側に酒が盛られていてクラスメイトの大半が酔い潰れたり。
 まあ、生徒指導の新田先生にばれなくてよかったよかった。やっぱり女子って恋のためならなんでもするんだな……。
 そしてやって来た旅館、嵐山。和風と言うか、風流で空気が澄んでてもう俺ここに住みたい。

232:マメツキ◆A.:2017/04/24(月) 00:12 ID:iBo


 修学旅行二日目。俺はネギ先生と同じ部屋にあてがわれていたのだが、ネギ先生が10歳と言うだけあって幼く、ずいぶんと仲良くなった。
 俺は男なので、一応班には組み込ませてもらったものの自由行動は基本一人で許可されている。特例だ。女ばかりに囲まれてちゃ息苦しいだろうって。新田先生、正直感謝です。
 二人して服を着替えて共に階段を降りていく。一階の大広間で朝食だ。



「それにしても、昨日は疲れました……」
『あー、酒飲んで大変だったみたいっすね。蛙が出てどうだのこうだの』
「それもありますが昨日の夜……いえ、なんでもないです!」
『(まだ俺も魔法使いだってこと分かってないのか。桜咲は無事判明したようだが)』
「朝御飯楽しみですねー! なんだろう!」
『っすね』
「緋影くん身長高いですもんね」
『成長期なんすよ』
「何センチぐらいですか?」
『あー……185越えたっけな……。まあ、心配しなくても先生もすぐ来ますよ、成長期』
「僕、どれくらい身長伸びるんだろう」



 そんな他愛ない会話をしている間、ネギ先生のそばにいるオコジョは俺を見つめていた。カモミール・アルベール。下着泥棒で有名だったあのオコジョ妖精だ。どうしてネギ先生の使い魔としているのか謎だが、ネギ先生のそばにいれば捕まる心配もないからか。打算的だな、コイツ。噂じゃパンツ神だとか。男として有り得ないだろコレは。

**

 朝食を食べ終え、ネギ先生と神楽坂と共にロビーを歩いていたときだった。宮崎がやって来たかと思うと佐々木が飛び込んで叫ぶ。


「あのー……」
「ネギくーん! いおりくーん! 今日一緒に見学しよー!」
「ちょ、まき絵さん! ネギ先生といおりくんはうちの3班と見学を!」
「えー! いいんちょずるーい! 先にうちが誘ったのにー!」
「あのー……」
「だったらぼくらの班もー!」



 ごちゃごちゃと争奪戦になっているネギ先生の頭をぽんぽんと撫でて視線で頑張れよ、と送るもののネギ先生は泣きそうな顔して訴えかけてきた。いや、そんな顔されても。その時だった。


「あ、あのー! ネギせんせー! 緋影くん! よ、よろしければ今日の自由行動……私達の班と一緒に回りませんかー……!?」



 宮崎にしては大きな声が出て、辺りは騒然とする。ネギ先生は少し考えたあと、あっさりと許可してしまった。あれか、お嬢が関西呪術協会の陰陽師一部に狙われてるからだろうか。



『俺はー……』
「緋影くん……!」



 やめろ、先生、俺をそんな目で見るな。同性で仲良くなったからだろうか。こっちに来てほしいオーラが半端ない。仕方ない。俺もいくとしよう。



『わかった、わかった先生。俺も一班に行くからそんな顔して俺を見るな』
「やったー!」
『(手放しのネギ先生の笑顔プライスレスェ……)宮崎も誘ってくれてありがとう』
「あー……いえー……」



 周囲が本屋が勝っただのなんだの言っているがなんのことかさっぱりな俺は首をかしげるしかなかった。



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233:マメツキ◆A.:2017/04/24(月) 00:31 ID:iBo

女子side


 やって来た東大寺に、ネギ、いおりを引き連れた一班はやって来ていた。初めての鹿を見て大興奮のネギを神楽坂がたしなめる。いおりを含む周囲もそれを微笑ましそうに眺めるなか、のどかはその後ろで幸せそうに微笑む。いつもと違って髪を揺ったのどかは前髪を少し切ったこともあり可愛い女の子だ。



「えへへー……緋影くんー……♪」



 そこへ弾丸のごとくのどかに蹴りを入れたのはハルナとユエだった。



「キャー!?」
「見直したよアンタにそんな勇気があったなんて!」
「感動したです」
「えへへ……うん、ありがとー……。緋影くんと奈良を回れるなんて幸せー……今年はもう思い残すことはないかもー」



 そこへのどかに「ばかぁ!」と頬をひっぱたく真似をしたのがハルナだ。



「この程度で満足してどーすんのよ!? ここから先が押しどころでしょ!
告るのよのどか。今日ここで緋影くんに想いを告白するのよ!」
「えーーー!? そ、そんなの無理だよぅ!」
「無理じゃないわよ! いい!? アンタはもう二年も片想いしてるのよ! そして修学旅行は男子も女子も浮きたつもの! 麻帆良恋愛研究会では修学旅行期間中の告白成功率は87%を越えるのよ!」
「ははははちじゅうなな……」



 ハルナの熱気をユエは表情を崩すことなく「ファイト」とでも言うような顔をして立っている。のどかはと言うと目をぐるぐると回しておりそこまで気が回らないようだ。



「しかもここで恋人になれば明日の判別完全自由行動日は二人っきりのラブラブ私服デートも……?」



 ハルナのその言葉にのどかは顔を赤く染めてくるくる目を回しつつ考える。(ラブラブデート……緋影くんと……)ここら辺やはり乙女である。



「そっそそそ、そんなこと急に言われてもー……」
「大丈夫! アンタなら行ける!」
「ファイトですのどか」



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234:マメツキ◆A.:2017/04/24(月) 17:32 ID:iBo



「アスナー! ネギセンセー! 一緒に大仏見よーよ!」
「へぶぇっ!?」
「ぶふぅっ」
「せっちゃんお団子買ってきたえ一緒に食べへんー!?」
「えっ」



 そうして連れ去られた俺と宮崎の他のメンバー。なんだよ置いてくなよ。
 唖然とする宮崎にとりあえず二人で回ってしまおうかと誘えばおずおずと頷いてくれて、拒絶されなくてよかった。と表情には出さずにホッとする。



「あっあのっ、緋影くん! 私、大、大、す、好き……大仏が大好きで!」
『へェ。渋い趣味だな、良いよな。大仏。俺たちも綾瀬の仲間だな』

「あのっ、そのっ、私、緋影くんは大、大吉で!」
『ああ、みくじでも引くか』
「いえっ、じゃなくてー……大吉が大好き、いえっ、大仏……!」
『(……うわ、大凶ェ)』



 今日の宮崎はどうしたんだ。何かを伝えたいみたいだが、どうもうまく言えていない。東大寺へとやって来て周囲を見回し、良いものを発見する。



『宮崎、ホラ。大仏の鼻と同じ大きさの穴があるぞ。くぐり抜けられたら頭が良くなったり願いが叶ったりするみてェだ』
「えっ、願いが!? やります! くぐりますー!」
『(……小動物みてェで可愛いな)』



 とまぁごそごそと入っていったは良いものの、どうやらポシェットがつっかえたらしい。それを俺が引っ張り出せば、宮崎は申し訳なさからか泣きっ面で走り去ってしまった。



『……俺、なんかしたっけ』



 その後ふらふらと徘徊しながら宮崎を探しつつ見学する。どうしようもう足がパンパンだ。膝いたい。そこで再び宮崎が姿を現した。



「緋影くん! あのっ、実は私……大、根おろしも好きで……」
『落ち着け宮崎、深呼吸だ。大根おろしも旨いよな。急かしてねェから落ち着いて話せ』
「あ、ありがとー……!

あ、あの、緋影くん……! 私、緋影のこと、二年前からずっと好きでした! 私、私……緋影くんのことが大好きです!」



 背後で桜咲、神楽坂、オコジョが俺を見ていることに気が付きながらも、俺はピシリとその態勢と表情のまま俺は硬直した。たらりと冷や汗が俺の頬を伝う。実を言うと、人生初の告白を受けたのだ。



「あ、いえー……わ、分かってます。突然こんなことを言っても迷惑なのは……ごめんなさい。でも私の気持ちを知ってもらいたかったので……失礼するね緋影くんー!」
『……!? ……! ……っ!!!?』



 走り去る宮崎を引き留めることも出来ず、一人棒立ちのまま唖然とする。どさりと尻餅をつけば神楽坂とネギ先生が慌てて此方へ駆けてきた。
 ガシッと神楽坂の腕を掴んで顔を上げる。



『か、かかかっ、神楽坂っ、俺はどうしたらいい!? 断ればいいのか!? 受け入れりゃいいのか!? なんなんだ!? 俺が言えばいいのか!? どうすりゃいい!?』
「はぁっ!? あんたこれまでも告白されたことあるでしょっ!?」
『馬鹿言えっ、人生初だ! 告白なんてされたことっ、』
「嘘でしょ!?」
「無いんですか緋影くん!?」
「(いつも無表情の緋影さんがこんなに取り乱している……)」
『桜咲ェ……!』
「(心を読まれたっ!?)」



**


 夕暮れになり、旅館へと帰還した俺はロビーのソファに座って膝に肘を置き、前屈みになって深刻な顔をしていた。



『……(宮崎に、告白された。告白までされたなら、それなりに責任を……!? でも俺宮崎のこと何も知らねェ……確かに宮崎は可愛い。以前まで前髪が長くて気付かなかったが、相当……)いやいやいや、いや、でも……ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙っ。あ゙ー、駄目だ駄目だ。どうすりゃいいんだ俺は……』



 うんうんと唸るなか、雪広と佐々木が「いおりくん、どうされたんですの?」「昼の奈良公園で何かあったの? いおりくん」と俺に聞いてくる。



『いや、……告白されたらどう返したら良いのか……』
「えええ!? こ、告白!?」
「えーそれホント!? いおりくん告白されたの!?」



 何!? と騒ぎ出すコイツらにやべ。と頬を掻く。騒ぎ出したコイツらにバレるとヤバイので俺はその場をすたこらと逃げ去ったのだった。



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235:マメツキ◆A.:2017/04/25(火) 00:13 ID:iBo

「五番、和泉亜子。三月卒業する三年に告白するもフラれ彼氏なし。気が弱くお人好しだが運動能力は高い。六番、大河内アキラ。彼氏なし。運動能力高し。水泳部エース、高等部からも期待の声。寡黙。十八番、龍宮真名。彼氏不明学園内の神社で巫女のバイトをしている模様。十九番、超 鈴音。天才その一。勉強スポーツお料理なんでもござれの無敵超人。二十四番、葉加瀬聡美。天才その二。研究以外に興味なし。あだ名はもちろんハカセ」

そこまでオコジョ妖精のカモに説明したのは麻帆良のパパラッチ娘、報道部の朝倉和美だった。つい先程までいおりに誰が告ったのか調べ、宮崎と言うことが判明し宮崎の健気さに証拠を撤去したのち、ネギが魔法使いだと知ったのである。最初こそ朝倉は魔法使いを世に広めようとしたがカモの説得兼熱意に当てられ一旦その考えをよした。キスからなる仮契約に二人してネギとやらせようと言う思考を会わせ持っている二人は何やら怪しげな作戦を今夜決行しようとしていた。

一方、ロビーではネギがアスナと刹那に早速朝倉に魔法がバレたと報告していた。それを聞いたアスナは「はあ!?朝倉に魔法がバレた!?」と怒鳴り声をあげる。なんでどうしてと問い詰めてくるアスナに酷く落ち込んだ様子のネギ。

「もーだめだ、アンタ世界中に正体バレてオコジョにされて強制送還だわ」
「そんなぁー!一緒に弁護してくださいよアスナさん桜咲さんー!」
『なにしてんだ?』

そこへ偶然立ち会わせたのは緋影伊織だった。やって来た彼にアスナとネギが慌て出す。何も聞いてないわよね、なにか聞いてませんよねと詰め寄る二人に圧倒されたいおりは困惑した顔で刹那に視線で助けを求めた。

「実は、朝倉さんにネギ先生の魔法がバレてしまって」
「なっ!?」
「何言ってるんですか桜咲さん!」
『待て。朝倉にバレた?なにしてんすかネギ先生ェ』
「えっ」
「緋影アンタ、もしかして!?」
『そうだ、俺も魔法使いだ』

緋影の突然のカミングアウトにえっと叫びを挙げたネギとアスナ。刹那は知っているようで、気付いてなかったのかと嘆息していた。

「彼は全盛期のエヴァンジェリンさんをも凌ぐ程の実力者、あのナギの実力に最も近いと言われています」
『俺そんな実力ねェよ桜咲』
「え!父さんに最も近い!?」
『だから…』

若干ふて腐れたような顔のいおりの後ろから現れたのは朝倉。彼女が言うにカモの熱意にほだされネギの秘密を守るエージェントとして協力してくれるらしい。
夜、騒ぎ過ぎたA組は新田先生に自分の班部屋から出たものはロビーで正座を命じられ、それにA組の大半が落胆したのも束の間。朝倉が彼女らにゲームを持ち掛けた。

「名付けて『くちびる争奪!修学旅行でネギ先生、緋影くんとラブラブキッス大作戦』!ネギくんのマネージャーの許可も取ってあるよ」
「え!?」
「ネギくんかいおりくんとキス!?」

叫び声をあげる彼女等に朝倉は「こらこら大声出すなって!新田がまた来るぞ」と小声でたしなめた。

「ルールは簡単、各班から二人ずつを選手に選び、新田先生方の監視を潜り、ネギ先生かいおりくんの唇をゲット!妨害可能!但し武器は両手の枕投げのみ!上位入賞者には豪華景品プレゼント!なお、新田先生に見つかった者は他言無用朝まで正座!死して屍拾う者無し!」
「きびし! 見つかった人は助けないアルか!?」
「豪華景品ってなんだよ!?」
「ひみつ♪ でも期待して良いよ」
「いいね面白そう!」
「ゴールがどちらか二人とキスってのもいいかも」
「でも見つかったら正座だよ?」
「そのくらいの方が緊張感があって良いよ!」
「おー!」

そこで朝倉の名前を呼んだのはいいんちょだった。やっぱりダメか、と朝倉が冷や汗を流したとき、「やりましょう。クラス委員長として公認しますわ」と許可が出た。

「よーし各班10:30までに私に選手二名を報告! 11:00からゲーム開始だー!」
<オオー!>

 乙女たちは知らない。朝倉とカモの真の目的がパクティオーカードだと言うことを。

236:マメツキ◆A.:2017/04/28(金) 20:28 ID:8.o



 11時となり、乙女達(大半がネギ狙い)が血気盛んに盛り上がっていく頃、一方のいおりは外へと涼みに来ていた。和服があまりにも似合わないと思って自嘲した彼は持参のワイシャツにカーゴパンツ姿。酷く涼しげである。
 途端、ふるりと背を這うような悪寒と、何かしらの執念を感じとり、小麦色の肌に鳥肌を立たせて旅館を振り返った。



『……なんだ?』



 訳もわからずに眉を潜めるいおりは地面に光るものにやっと気が付いた。足元に電球でも埋められているのかと思っていたが、どうやらソレは仮契約用の魔法陣。魔法陣はぐるりと旅館を囲っており、ようやくいおりはカモミールか、と人相悪く舌打ちをかました。
 成功すれば仮契約は一人につき五万円を協会が支払うことになっているのだが。大方、金に目が眩んだか、か弱いネギ先生が多くの女子にモテるところをにやにや見ていたいのか。どちらとも取れるその行動にいおりは再び舌打ちをひとつ。
 妙にカモミールと仲が良かった朝倉の事だ、アイツも参加していると考えていい。そしてこの異様な執念。恐らく朝倉に焚き付けられて何か仮契約、言わばキスに関するゲームでもやっているのだろう。まったく、ロクなことをしてくれないバカたちだ。しばらく外にいる方が安全だと思い、ベンチに座って月夜を見上げる。綺麗だと思うと同時に、あの夜を思い出した。



……や、やめっ、やめてくれ、俺を……

[……嫌だぁっ、死にたくないっ、死にたくない死にたくないっ! 嫌だあああああ! あああああ!]
[ぎゃああああっ! いやっ、熱いっ! 熱いよおおおおお! 何で、何であんただけっ!]
[助けてっ、助けていおりくんんんんん! 熱いのっ、痛い、溶けそうなの! ずるいずるいずるい! アンタずるいんだよ! ひぎっ、熱いいっ、あつ、ああああああ!]

……また、死んだ。一人二人、三人四人、大勢が俺に助けを求めて死んでいく。積み重なる屍に俺は涙を流すのみだった。鉄格子から覗いているのは漆黒の闇とそのときの俺を嘲笑う化のように爛々と輝く綺麗な月。残っているのは、俺と__。

 ハッとして目をぱちりと見開く。周囲はあまり変わっていないが、時計を見ればもう11時半。寝てしまっていたようだ。俺の体は汗がぐっしょりで、はあ、と息が上がっていることに気が付く。ずいぶんと昔の夢を見た。気分の悪い夢だ。気持ち悪い。



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237:アポロ改めぜんざい◆A.:2017/05/31(水) 22:51 ID:FdI

突発的シリーズその一。知識有転生トリップ傍観前世アイドル男主。enst→はじあく。前世では夢ノ咲学院出身の人気アイドル。羽風や瀬名等の三年生と同い年だった。当時はアイドル一の色気を誇っていた色男アイドル。声がエロボ、仕草が色っぽい。但し本人にそんな気はない。眼鏡。常識人。隠れオタク。はじあくも本誌とコミックスを読んでいたサンデー派。しかしマガジンも読む。ジャンプはあまり読まなかった。あくまで傍観、ジローたちとはただの友人。高校生にしてアイドルしてるので学校は休みがち。超人気。オカン気質。名前は『最原伊織』、ニックネームは「イオ」や「いおり」。


**

 俺は生まれたときから少々他人とは違っていた。前世の記憶があるのだ。まあ待て、ふざけてるわけじゃない。俺は至って正常だ。
 俺の前世はまあ、大変輝かしいもので、その世界でもアイドルをしていた。この世界とは違い、アイドルを出せば出すほど売れる世の中だった。もちろん人気が出ず終わるところもあったが。
 俺は前者で飛ぶように売れたアイドルだった。周囲に『UNDEAD』や『流星隊』『紅月』その他もろもろなどの数人が集まったユニットの中で俺はソロでよくやった方だと思う。夢ノ咲の暗黒時代のせいで他の人が変わっていった中で俺はよくやった方だと思う。転校生のプロデューサーのあんずが来て暗黒時代も脱したが。トリスタ万歳。
 俺はそんな数々の人気アイドルを輩出してきた名門夢ノ咲学院のアイドル科出身で、まあ順風満帆に仕事を行ってきたと思う。
 本題はここからだ。俺、死んだ。死因なんてそんな大したことじゃなくもなかった。大変なものだった。妄想に取り付かれ、俺の彼女だと言い張った女の子のファンに否定を入れたら逆上して刺されて死んだ。このポジション……薫とかじゃないのか普通。
 まあ悔やんでいても仕方がなく第二の人生を歩んでいたら大変なことに気がついた。お隣さんが『渡』さんなのだ。まあ渡なんて名前はよくいる。そう思っていたが、どうにもそう思いきれない。俺が通う高校は『三葉ヶ岡高校』、お隣の渡さんは同級生で同じクラスの『渡恭子』。その友人は通称ユキの『東雲雪路』、アキの『中津川秋穂』そして先日このクラスに編入してきたのが自分を悪の組織の科学者で次期首領だと名乗るマントを羽織った男『阿久野ジロー』。これはもしや、というかもしやどころではない。サンデー屈指のギャグラブコメディの『はじめてのあく』ではなかろうか!? そう、あの壮絶なバトルとギャグとラブコメと貧乳の悩みが対立せず均等に存在するあの!
 超関わりたくないが、まあ大丈夫だろう。だって俺はお隣と言うだけで渡ちゃんとも仲良くないし、中津川ちゃんや東雲ちゃんとも話したことはない。小学校からずっと一緒だがここまで関わりがないのはすごい。ぐっじょぶあの頃の俺。しかも俺自体が口下手でコミュ障。お陰でテレビでも普段でもクールで通ってます畜生。俺も普通の青春したい。でもアイドル楽しい。そんな俺にも友人がいますよええ。
 俺はスマホ片手にとある人物に電話を掛けた。



『緑谷ェェエイ……!!!』
「ど、どうしたの最原くん、いきなり……」
『なんなんだアイツェェェエ!!!』
「ああ、阿久野くんだよね」
『そうソイツ。何あれ怖い。渡ちゃんファンクラブに潰されろ』
「あ、でも前に中津川さんの家でみんなで勉強会したんだけど、良い奴だったよ。ファンクラブの人たちも認めてる」
『緑谷ェェエイ!!! 羨ましいんだよこんにゃろーめが! 失せろ! お前らだけ青春しやがって! お前は俺を置いてかないと思ってたのに!』
「ごめん」
『俺こそごめん、取り乱した』



 じゃあまたな、と電話を切る。とりあえず緑谷は今後東雲ちゃんを好きになるので全力で応援してやろうと決めた。



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238:アポロ改めぜんざい◆A.:2017/05/31(水) 23:13 ID:FdI



 まあ、あれから月日が流れるのは長いもんで、もう三年生だ。彼らは彼らで順調に物語を進んでいるし、俺は仕事でちょくちょく抜けたり。彼らはキルゼム部とやらを作って仲良しだ。元ファンクラブの会長の赤城さんとはちょくちょく連絡を取り合う仲である。ただしいまだにメイン勢と絡んだことはない。俺の人見知りなめんな。
 だがしかし、今回は違う。俺は高校に入って初めて、部活動とやらに入ることになった。そう、かのキルゼム部である。阿久野に「入ってくれええええ」と土下座されたので流石に可哀想になり、受けたのだが。なぜ俺が三年にもなって彼らの話題に上がっているのだ。現在教室の外の壁に張り付いてます。



「あの寡黙な最原くんがアンタのたのみごと聞いてくれるなんて奇跡じゃん」
「ああ、俺も受けてくれるとは思わなかった」
「よく受け入れてくれたよねー、最原くん」
「ほんとにな。アイドルやってて近寄りがたかったんだけど、いいやつかもな」
「えっ、お前らアイツと話したことねえの!?」



 女子三人組と阿久野の会話を聞いていた黄村がすっとんきょうな声をあげて驚いた。やめて驚かないで。緑谷も苦笑いしないで。



「あいつって……アンタまさか最原くんと話したことあんの!?」
「ファンクラブに殺されねーか!?」
「あの女子に人気の眼鏡エロイケメンくんと、黄村くんが!?」
「東雲辛辣じゃね?」



 黄村に同意。それ俺も思った。



「アイツ超話しやすいぞ、話題吹っ掛けるとベラベラ喋ってくれる。めっちゃ笑うし」
「うそお!? 話しかけても「ああ」か「おう」か頷くしかしないのに!?」



 俺のハートにぐさりと何かが刺さったぞどうしてくれる渡ちゃん。



「あー、アイツ超のつくほど人見知りだからな。最近彼女欲しい青春したいって言ってたぜ。そこら辺は多分緑谷の方が詳しい」
「!? そうなのか緑谷!?」
「うわっ、ジローくん唾飛ばさないでよ! まあ確かに、僕多分彼と一番仲がいいと思うよ。友達欲しいって言ってたのを高1の時からずっと聞いてたし」



 もうやめて、俺のライフはもうゼロよ。って感じなんだが。死ぬ。恥ずか死する。



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239:アポロ改めぜんざい◆A.:2017/06/06(火) 01:04 ID:.N.

短編。黒バス洛山。※この男主は超短気である。
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 バスケ等の運動部の古くからの強豪校、洛山高校。この伝統ある高校には、とある噂が……というか出来事がある。ある男子生徒が異常に女子生徒にモテているというものだ。屋上の扉がギィと開いてやって来たのは黛千尋。洛山高校のバスケ部所属の三年生である。今日も今日とてラノベを読破しようとやって来た訳だが、男女の話声が聞こえてくるのでどうやら先客が居たようだ。まったく、と背を向けるも、くぐもった唸りの様な男の声は聞き覚えのあるものだった。
 黛は真顔で思う、またかよ。大きく溜め息をはき、給水タンクの裏に回ればそこには一人の眼鏡の男を囲む五、六人の女子。男の方は腕を後ろ手に縛られており、口には布で猿轡とさんざんな格好だ、めちゃくちゃ怒鳴り散らそうとして猿轡のせいで唸るしかない。そして黛にとってそれはもう見慣れたものである。

「はぁ、最原くんカッコいいよ最原くんぅへ……、ふへっ」
「いやもうホントエロイケメンいおりくんhshsprprしたいカッコいいエロいもう好き! 抱いて!」
「そうよもう抱いて!? 今日は教室に帰さないよぉっ! 散々私達のことイかしてぇっ!」
「うへ、ふへへへへ、いおりくんのぉ、いおりくんと……」
「はいじゃあ脱ごうね! 上半身のボタンは既に外してあるからね!」
『ん゙ん゙ん゙!? ん゙ん゙ー!』

めちゃくちゃキレてる最原の前全開のワイシャツに躊躇なく手を伸ばしそのワイシャツは彼女らの一人にガッチリホールドされている。どたばたと足を暴れさせて抵抗する最原だが上に女子生徒が一人馬乗りになりそれも出来なくなる。
 見ていた黛も流石に駄目だと判断して止めに入った。

「おい、お前その辺にしとけ」
『ん¨!(狂喜乱舞してる)』
「うわ、黛くん来ちゃった!」
「え、もーおわり? おっと、最原くん次は頼むよ!」
「つまんない、あ、いおりくん今度会おうね!」
「いおりくんまたね!」
「いおりくん好き! また今度!」
『ん¨ぅ¨!? ん¨ん¨ぅ!』

走り去る女子に汚い罵声を浴びせていく最原だが、それすらも恐らく彼女らにとっては至福の一言だ。乙女の脳内補正怖い。黛が拘束を解いたとたん意味不明単語を怒鳴り散らしながら周囲の壁や地面に八つ当たりを開始する最原。これだって((ry

『最近の女子どないなっとるねんクソボケカスどもが!』
「いや、お前のこととなるとこの学校の女子はほとんどが肉食系女子になるから、その中でも突出した奴らだ」
『何冷静に分析しとるんや黛! っちゅーか女子こわ! なんやそれ怖! 俺軽く貞操の危機やったやん女子積極的すぎてホンマこわ!?』
「でもお前童貞卒業してんだろ」
『それ小学四年生の時に姉貴の友達の高校生のおねえさんに襲われてやからな!? 逆レ(ピー)やからな!?』
「はえーよ」
『好きでやったんちゃうわ!』

そう、最原いおりという男は、異性から異常に好意を抱かれるのだ。普段はこんな風にかなり短気ですぐ怒鳴り散らす短細胞の塊のような男だが、顔よし頭よし運動神経よし面倒見よし、そして短気だが紳士と来た。以前、階段につまずいて降ってきた隣のクラスのミスコン優勝者を咄嗟に片手で抱き止めその場で彼女に告白されたのは記憶に新しい。その前は体育の授業で倒れた女子をお姫様抱っこで運び保健室で襲われ、曲がり角でぶつかった後輩に手をさしのべればストリップを始めようとされ、なんかもういろいろとヤバイのである。体育の時に制服が無くなり、困っていれば数分後扉の前に「いおりきゅんの制服良い匂いだったよ! ネクタイはちょっと部長がいただきますしたから後日返すね!」と言うメモと共にネクタイを除いたブレザー一式が綺麗に折り畳まれていたり、シャープペンシルや消しゴム筆箱挙げ句鞄すらなくなったこともあった(基本ちゃんと返ってくる)。今回のように襲われているところも、少なくはない。そんな女子を見て男子の間では俺たちの友人の最原は死守しなければならないと言う謎の義務感を背負っているのである。親しい友人の黛もその一人だ。

「今回は派手だな」
『後ろからスタンガン浴びせられてやー、気ぃついたらワイシャツのボタンは全部外れとるしなんやらでびっくりやで』
「びっくりで済ませられるお前にびっくりだっつの」

今日も今日とて黛は思う、コイツホントにラノベの主人公より可哀想だなと。

240:アポロ改めぜんざい◆A.:2017/06/10(土) 18:34 ID:EAo

あんスタ夢。逆ハー狙い撃退のお話。あんずちゃんと夢主は同一人物ではありません。メインストーリー終了後。所謂革命後。
夢主の名前は『最原 いおり』。設定↓
学年・クラス:二年B組
身長:157cm
誕生日:4/12
星座:牡羊座
血液型:A型
 あんずと同じ時期に夢ノ咲学院アイドル科にやって来たデザイン科テスト生。普通科とは学科が違うので気まずいだろと言うことで同時期にやって来た女子一人のあんずの為にもとアイドル科に設置された。傍観しない傍観主。
 オタク。容姿は平凡。巨乳。絵が上手い。キャラから背景や風景画までそつなくこなすイラストに関してはハイスペック夢主。衣装のデザインやポスターレイアウトまで請け負う。逆ハー狙いに目の敵にされている。UNDEADと一番仲良し。
 肘に大きな古傷のあと。あと背中にも。黒タイツ。
 脳内はあんずちゃんマジホンマかわええマジリスペクト。会話するなどおこがましい。というか女神。かわいい(あんずは仲良くしたい)関西弁。
 性格はネガティブでとうらぶの山姥切国広の性格をちょっと軽くした感じ。自尊心は人並み。「どうせこっちなんて劣等生……」。言いたいことはズバッと言う派。逆ハー狙い主を見て逆ハー狙いとかリアルにおったんやすげえ。そしてうざいキモい。的な。逆ハー狙い怖い。声は低い。基本自分を下婢して自分自身を嘲笑している。何かあれば頼るのは大神。人間不信ぎみ。
 黒髪黒目。ショートカットで前髪はセンラさんみたいな。肩上の毛先は少々外に跳ねている。ブレザーは腕捲り。前はキツくて閉められない。

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241:ぜんざい改めマメツキ◆A.:2017/06/10(土) 19:31 ID:EAo


 夢ノ咲に転校してきて、S1だのB1だの見てこれは酷いと思って、思ったものの何もせずクラスの人たちとは程々に打ち解けUNDEADとかなり仲良くなりあんずちゃんの可愛さに撃沈し衣装のデザインがほしいと頼まれたのでササッと書いて手渡しエンジェルスマイルの残されトリスタがドリフェスで帰ってきた皇帝を負かし、ほぼ八百長だったB1などに革命を起こして平和になった夢ノ咲。相変わらずあんずちゃんは人気者でもうこっちには雲の上の人。コミュ障のこっちには些か声をかけるにはレベルが高い。だからせわしなく駆け回るあんずにお疲れ様も言えず仕舞い。ホンマこっちは死んだらエエ。



『そう思うやろ大神……』
「話見えねぇよ」
『ホンマにこっちクズやなって』
「……コイツめんどくせえ」
『めんどくてホンマすまん、ホンマこっち存在意義が分からへん死にたい』
「だあああああああ! うぜええええええ!」



 席から立ち上がって苦悩の声をあらげた大神はこっちに本気のチョップを一発浴びせて叫びながら教室を出ていった。なんだあいつ。ホームルーム始まるんやけど。やけに騒がしい教室の中で話し相手も居なくなったから音楽プレーヤーで曲を選らんでイヤホンを填めた。

 案の定担任に引きずられてあやつは帰宅。おかえりわんこ。そういったらわりと真面目に殴られた。
 ホームルームが開始されて、早速聞かされたのは教室がざわめいていた理由と言うか根元と言うか。
 どうやらA組に転校生が来ているらしい。遅れてきたプロデューサー科のテスト生のようだ。



『……ガミくんどう思う、プロデューサー科にテスト生がもう一人やで』
「……知らね〜よ。あんず居んのになんでもう一人とは思うけどな、ど〜せほとんどあんずに依頼殺到だろ」
『あんずちゃん女神ヴィーナスマジ天使』
「真顔きめぇ」
『ホンマすまんキモくてすまん生きる価値なくてすまん……』
「うぜ〜」



 翌日、鳴上ちゃんから聞いた話ではその新たな転校生はミーハーだと言うことが判明した。やな予感する。



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242:ぜんざい改めマメツキ◆A.:2017/06/11(日) 16:39 ID:EAo

※今後捏造が多かったり。

 翌日、教室でヘッドホンをつけながらアイポットで曲を聞きつつタブレットでブッ快感がテーマの爽快パネル破壊スマホゲームをしていたら、あんずちゃんがB組に駆け込んで来た。あ、涙が見えとる。かわゆす……とか言っとる場合ちゃう。何があった。
 伊更や鳴上が必死に宥めている光景を見ていれば、大神が軽音部から帰室していたらしく後ろの席にどさりと腰を下ろす。めっちゃイライラしとんやけど、目付きが凶悪なんやけど。こわ。



『……どないしたん、オオカミ』
「クソ気持ちワリ〜女に絡まれた、ってオオカミじゃなくて大神だっつの。役に立たねぇあんずに変わってプロデュースしてやるだとよ、何様だアイツ。腕に絡まってきやがったキモい」
『……その子は死んだらエエ』
「お前マジいい性格してわ、同感だけど。その女、例の新しいプロデューサーだぜ」
『クソもへったくれもないなクソ女死んだらエエ。上よく通したな』
「死んだら良いって二回言ってんぞ」



 二人でぐちぐちとこっちは未だ顔を拝見したことのないその二人目のプロデューサー、『姫野 愛(ひめの めぐむ)』について罵り合う。顔はずいぶんと可愛らしく美少女らしい。見るとこカスですねごめんなさい。
 二人で駄弁っているとあんずちゃんと鳴上が側に寄ってきていて、あんずちゃんが泣いていた理由は姫野が大神に言っていたことを偶然聞いていたからのようだ。説明ありがとう鳴上ちゃん。タイミング悪いな、そして姫野許すマジ。



「私そんな風に見えてたのかなぁ……」



 泣きながらそう呟いたあんずちゃんにこっちはぴしりと固まり、周りは真剣にそんなことはないと理由を述べる。
 あんずちゃんは作曲を月永先輩に頼みに行き作詞をしレッスン場を借りステージを用意しドリフェス企画をいくつも立ち上げとる敏腕プロデューサー。正直ちょっと前まで素人だったとは思えんぐらいにはすごい。
 そのあんずちゃんを役立たず言うんやから姫野は多分目ェ悪い。いや、こっちも眼鏡やから目ェ悪いんやけど。それか自分がそれ以上にデキル子なのか。多分ありえへん思うけどな。
 そうつらつら自分の考えを喋ればあんずちゃんが号泣した。びっくりしてあんずちゃんの脇に居た伊更に目をやればめっちゃ目をキラキラさせてて再び驚く。鳴上ちゃんみたら涙ぐんでた。なんでや。三人の反応が怖すぎて大神に視線で助けを求めれば渋々うんうん頷いてた。コイツはぶん殴りてぇ。



『な、んで泣いとるかは知らんけど、まぁ、気にせん方がエエと思う……んやけどガミくんこれ正解? なぁコレ正解なん?』
「知らね〜よ俺様に聞くんじゃねえ」
「イオちゃんありがとぉ……」
『……こっちなんかに礼言う前に鳴上ちゃんと伊更に言うたってや……』



 とりあえずあんずちゃんを二人に任せて大神連れてA組行こう。どんな子か見たいし、弟の方の朔間さん探しにいこう。
 一刻も早くここから逃げたかったこっちは大神の腕を引っ張って教室を出た。



「っ、どこいくんだよ」
『A組』
「帰る!!!」
『A組行くだけやって』
「ぜって〜帰る!!!」



 掴んだ方の腕を大神がぶん回すので抱え込んで再び引っ張っていざA組へ。途中最後の抵抗と思わしき大神の拳骨はわりと痛かった。一部始終何やら怒鳴っていたけど聞く気にはならん。うるさい。



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243:ぜんざい改めマメツキ◆A.:2017/06/13(火) 18:32 ID:EAo


 到着した隣のクラスを後ろの扉から覗き見れば、そこには氷鷹の腕に絡みついて遊木、明星と楽しげに談笑する姫野愛がそこにはいた。トリスタの三人は揃って隠してはいるが嫌悪感に濡れた顔をしている様子。
 こっちの上から覗いてきた大神は「マジきめ〜あの女」と苦々しくぽそりと呟いた。こう見えて人のいいわんこがここまで他人を嫌うとは……なにやつ姫野愛。



「おいいおり。気づかれる前に帰るぞ」
『せやな、帰ろか。すまんトリスタ三人しばらく犠牲になってくれ』



 そそくさと二人でその場を去り、教室に帰ってくるとみんながどうだったと聞きにやって来た。



「ど、どうだったイオちゃん!?」
「様子を見る限りは……」
「あ、やっぱりー?」
『ホンマに姫野気持ち悪かったわ』
「「「ん?」」」
『A組行ってきてんけど、姫野が氷鷹の腕に絡み付いて猫撫で声あげとってびびったわ。大神とさっさと退散してきた』
「えー……」
「……マジなのね」
「大神、お前ってやつは……」
「こっち見んなてめ〜ら!」



 大神が暴れとったのをスルーしてこっちは席につき毅然と再びゲームを開始した。今日からジューンブラインドフェスやねん!



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244:ぜんざい改めマメツキ◆A.:2017/06/13(火) 23:14 ID:EAo

アドニスくんの喋り方がよくわからん……ごめんねアドニス……。


 今日はUNDEADに衣装案を考えてほしいと言われ彼らの元にやって来た。学院でこっちが一番安心する顔ぶれである。学院一背徳的なユニットと名高い彼らは存外優しいのだ。好き。
 今回も五人で顔を付き合わせてこっちの持ってきた幾つかの案にあーだこーだとわーぎゃーと意見を出していた。



「この案6の衣装ならここにシルバーのアクセントを入れた方がいいんじゃない? いや、衣装案全体にシルバーアクセント入れる? シルバーかゴールドのコサージュとか。俺達のイメージぴったりじゃん」
『そうっすね……でも案6やと全体的に灰色っぽいんで目立たんのとちゃいます? いっそ黒にしますか? 今回はどれもスーツに似せたんで』
「そうじゃな……黒は今までと被るから灰色のままで、アクセントにブルーシルバーやヴァイオレットシルバーを入れるのはどうじゃ? あと我輩は帽子も欲しいように思う」
「それならジャケットは裾を伸ばして黒色も良くないだろうか。……いや、それだと大神には似合わないな」
「そこは個人の意見でいいじゃね〜か。俺は腰巻きにする」
『ああ、それなら大神のイメージっぽいな、ちょうどエエし。どうします? これでいきはりますか?』
「ふむ、そうじゃなあ。元々の原案に不満は無かったし、これで行こうか」
「お、マジで! やったね!」



 衣装決めが終了し、隣の羽風さんがはあああああと長い息を漏らしながら椅子の背もたれへと倒れ込む。こっちは決まった案を避けて原案を纏めてファイルに突っ込み一息吐く。
 その間もあああと言い続けてる羽風さんはわりと異常だ、なにかあったのだろうか。みんなして不思議そうに羽風さんを見つめるものだから視線に気づいた彼は「ああ、いや……」と体を起こし煮えきらない態度だ。いつもの憎たらしいほどスパッと爽やかにサボるねーだのカフェ行こーだの饒舌に回る口にしては珍しい。彼は疲れた顔をしてこう言った。



「あのさー、聞いてよー。新しい転校生ちゃん来たじゃん?」
『察しましたわぁ……』
「おー……」
「……言いたくはないが、まぁ、俺にもわかった」
「あぁあの噂の」
「そーそー。っていうか朔間さんまだあの子と会ってないんだ……」
「探しておるようじゃがな」
「まあ、その姫野ちゃんさー。そのときみんなの言ってた噂知んなくて、偶然見かけてお茶でもどー? って誘ったんだよ」
『女好きが仇になった』



 違うよーもーとか言いながら頬をその長い指でつんつんつついてきたので頭を叩き、続きを促す。



「誘ったは誘ったで良いけど、その態度が自分は誘われて当然、みたいな? そんな風でちょーっと感じ悪くてねー。しかもうるさいし」
「薫くんはうるさい子が苦手だったかのう」
「そうそう。だから誘ったは良いけどこの子ダメだってなってね。ちょうどそのときレッスンある日だったからさ。忘れてたふりして理由つけて戻ろうとしたんだよ」
「てめ〜最低だな」
「あんずが羽風先輩が来ないとその日嘆いていた」
『あんずちゃんに嘆かせるやなんて……羽風さん』
「ひどい! まあ、その転校生ちゃん、転校初日に誘ったんだけど、その子がいきなり「薫はレッスンよくサボるからそんなわけないの!」とか言い出して困っちゃったよ」
「……どういうことじゃそれは……」
『不気味っすね』
「……ああ」



 姫野愛って何者だよ。



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245:ぜんざい改めマメツキ◆A.:2017/06/17(土) 00:54 ID:5/U

あんずちゃんに対してマメツキはそんなこと思ってません。きっといい子。姫野の頭が破綻してるだけ。

姫野side

 私の名前は姫野愛(めぐむ)、愛称はめご。唐突にいっちゃうと私には前世の記憶があって、神様に御願いしてこのあんさんぶるスターズの世界にトリップさせてもらったの!
 死因は通り魔に刺された出血死。本来死ぬ予定のなかった私が死んじゃったから残りの寿命をこの世界で過ごすことになったの。もちろん三つの特典だってあるわ、だって私は愛されているもの!
 美少女補正に頭脳、そして運動能力! 逆ハー補正も欲しかったけど、この世界で一番彼らを理解している私はきっと自然に愛されるから心配要らない。
 でもあんずが同じクラスにいるしで鬱陶しいのよね。私的にはB組が良かったと思うのに。それに何よ! もうメインストーリー終わっちゃってるじゃない! これじゃ記憶の意味ない! とか思うけどこれからのイベントを楽しめばいいわ。この前だって一番推しのUNDEADの薫にお茶に誘われたし、晃牙ともお喋りしたし、アドニスは優しい! 零さんにも早く会いたいな!

 そして一つ、気掛かりがあるの。



「んー、次のドリフェスの衣装案、これでもいいけどさー、やっぱりダントツこれだよねウッキー!」
「そうだね! いいよね二人とも!」
「あ、デザインなら私がするよ! 任せて!」



 スバルと真が一枚の案を握り締めながら真緒と北斗に聞くものだから、私がデザインすると申し出てあげた。だってそれはきゅうごしらえなんでしょ?
 キラキラした視線で問えば四人とも首を振った。



「いおりはUNDEAD以外のデザインを滅多に作らないからな。今回、乙狩に頼んでそのツテで書いてもらったのだ」
「そういうわけで、アイツの書いたデザインは貴重なんだ。出来るだけ使いたいって訳だ!」
「レアだよレア〜! UNDEADのメンバーが同じクラスにいてくれてホントよかった〜」
「そうだよね! 絵に関しての才能有りまくりと言うか、とにかく鬼才なんだよなあ!」
「ウッキーの言う通り〜」



 そう、いおりとか言う訳のわからない女。一体何者なのよ。フルネームは知らないけれど、あんずと同じ時期に転校してきたデザイン科テスト生らしい。現在は晃牙と一番仲が良くて、アンデPらしい。あんたプロデューサーじゃないじゃない! と思ったところ、UNDEADの強い希望らしくUNDEADでのみプロデュース可能、それ以外はレアと言われる少数の衣装のデザイン、ポスター等を担当しているらしい。噂で聞くと巨乳眼鏡のようだ。何狙ってんのよ! どうせトリッパーでしょ! 絶対その女を学院から追い出してアンデPの座についてやるんだから!



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246:ぜんざい改めマメツキ◆A.:2017/06/21(水) 22:45 ID:5/U

いおりside

 ぞくりと背筋に悪寒が走る。ふるりと肩を震わせれば零さんが「どうしたいおり」と声を掛けてくれた。



『……や、ちょっと悪寒が』
「風邪か? それなら肉を食べて寝るといい」
『乙狩……心配してくれるのは嬉しいけどな……』



 乙狩の反応に若干引きつつ感謝を述べる。隣の席で横から「あのとき声かけなきゃよかったー、いおりちゃーん慰めてー」と後悔しまくりの羽風さんが引っ付いてきてよしよしと宥める。あ、零さんが叩いた。

**

 レッスン終わりの帰り道。校門を出るまでUNDEADの面々と共に歩いていたのだが、何者かが後ろから突き飛ばして来て、ぐらりとバランスを崩す。とりあえず建て直して、転けると言う事態にならなかったのは助かったが。なんで今押されたんこっち。
 後ろを振り返ってみれば、さっきまでこっちが居た場所で、大神と羽風さんの腕に絡まるあの逆ハー狙い。とりあえず四人とも何が起こったかわからないと言う顔をしている。こっちも流石に唖然。ここまでするか普通。逆ハー狙い魂やべー。



『……ガミくん、今こっちなんで突き飛ばされたん』
「知らね〜よ! つーか離せマメ女! 気持ち悪ぃ!」
「ひっどぉい大神くーん! めごがせぇ〜っかく! 来てあげたのにー!」
「誰も頼んでね〜っつーの! はーなーせー!」



 必死に腕を振り回す大神と引っ付く姫野の激しい攻防の隅で、がっちり腕をホールドされている羽風さんが震えていた。ちらちらこちらに助けを求めるんやめてもらってエエですかね。
 零さんと乙狩? 二人は姫野のド迫力についていけず既に此方の側で待機してます。おじいちゃんは「な、なんじゃこの子は」と訳のわからない生態にわりとビビってる。とりあえず肩を握りしめるのやめてもらって良いですかね、結構痛い。



「どーして私はダメなのにデザイン科の……えーと、最原? さんだけ良いの!? そんなの不公平!」
「不公平以前の問題じゃよ、転校生や。我輩たちはお主とあまり仲がよくないじゃろう」



 おじいちゃんの精一杯のどっか行けアピールは「これから仲良くなればいいもん!」と言う発言で論破された。カワイソス。



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247:マメツキ◆A.:2017/07/24(月) 22:50 ID:F9w

上記連載は一旦停止。ここで連載しているほとんどをネタだと思って読んでください。
次は唐突に書きたくなった地縛少年花子くん連載。八尋寧々ちゃんポジションの記憶なし夢主。オチは恐らく花子くん。いずれ絵もあげますが今まで通りのショートカット眼鏡に関西弁巨乳。気だるげ。名前は小原一織(コハラ イオリ)。
次の更新からスタート。

248:マメツキ◆A.:2017/07/24(月) 23:16 ID:F9w


 __ねえ知ってる? この学園にある七不思議の話。全部の正しい話を集めると、何かが起こるんだって。知らないの? じゃあひとつだけ教えてあげる。一番有名なお話ね。

“七不思議の七番目 トイレの花子さん”
 旧校舎三階女子トイレ、奥から三番目。
そこには花子さんがいて、呼び出した人の願いを叶えてくれる、でも引き替えに何か大切なものを取られてしまうんだって。

**

 七不思議の噂を聞いた一織は恐る恐ると言ったように旧校舎の三階の女子トイレの扉を開いた。わりときれいなトイレの中で一織はきょろきょろと気だるげな表情で鋭い目の奥の瞳を慌しなく動かす。こくりと小さく息を飲んだ彼女は奥から三番目のトイレのドアをノックした。



「……花子さん花子さァん、居らはりますかァ?」



 独特のイントネーションをそのままに、彼女の敬語が響く。そのまま視線をトイレへと集中砲火させていると、ドアがひとりでにギィと開き、そこから手が出てきた。



「はーあーいー」



 先程の問い掛けの答えのようで、間延びした声が返ってくる。これには流石の彼女もびくりと肩を震わせ、ばしんと彼女はためらいなく少し青くなった顔でドアを開けた。だが、そこには何もない。



『……なんや、気のせいか』



 ほっと息を着いた瞬間、後ろから肩にポンと手を置かれ、「こっちだよ」と囁かれる。思わず『ひっ、』と言う声が溢れた一織を恐怖に歪んだ顔で素早く振り向きその威力を殺さぬまま、遠心力の回し蹴りを叩き込んだ。スカートの中が見えるとかそんなのに構ってなどいられない。だが。ふっとすり抜けたそれに、とうとう悲鳴をあげてしまった。



『うおおおおおっ!?』
「くっ」



 色気のない悲鳴をあげると同時に、先程の場所からくすくすくふふと堪えた様なかわいらしい笑い声が聞こえてくる。明らかに少年の声。不思議に思った一織が振り向くと、すぐそばにはくりっとした大きな瞳、左頬に『封』とかかれた紙を引っ付けている一昔前の学ランに学帽の格好をした少年がいた。状況を把握した彼女はキョトンとしたまま眉を寄せ、どうして男子が女子トイレに居るんだと思いながら、彼をよく見てハッとする。



『透ける体、人魂、昔の制服……お前は……』



 若干震えた声の一織に少年はにこりと笑い、「俺は怪異さ」と軽く告げ、ひらりと三番目の個室のトイレの貯水タンクに腰を下ろす。



「七不思議が七番目、「トイレの花子さん」。はじめまして」



 そう言って彼、『トイレの花子さん』はへらりと笑って帽子のツバをクイ、と下げた。

249:マメツキ◆A.:2017/08/13(日) 00:19 ID:xhA

上はもうネタと認識してくださって構いません。
 通り魔に刺されて死んで転生して弱ペダのにょた化した荒北さんに成り代わった女がその世界で健やかな一生を終えてから復活に転生するややこしい話。
とりあえず復活での容姿はにょた北さん。ロングヘアの巨乳にょた北さん。名前は『荒北 いおり』。中学生。行き帰りはもちろんロード、愛車のビアンキちゃん。ソロで大会にも出ており『運び屋』『野獣』などと通り名がついている。一人称『あたし』の喋り方荒北さん。逆ハー主を傍観する感じ。かつ原作終了後の中学三年生のお話。にょた北さんに成り代わる前がオタクだったため知識は健在。てか弱ペダにもあったし。っていうにょた北得設定。クールな美人。京子ちゃん花ちゃんとはお友達かつツナたちとは関わりのないただのクラスメート。前世の影響を受けロードはずっと大好き。

**

 あたしが通り魔に刺されて殺され目を覚ませば夢小説でありがちな転生してて、転生した世界が大好きな弱ペダで傍観しよーっと、とそう考えていたらあたしは大好きな荒北さんになってて、かつにょたでみんな女の子で戦って年とってようやく安らぎを得られると思ったら再びの転生。絶望したわ。超超絶望的に絶望的で絶望的だったことにとても絶望した。循子チャンは天使。安らかに寝かせろよマジで。
 そんなこんなで悟りを一瞬開いた今回は成り代わることもなく再び荒北いおりとして生きていたあたし。しかし中学校が『並盛』で御近所さんに沢田さんいりゃ凍り付いたわ。復活じゃねーかって。とりあえずツナとは関わりなかったし、京子チャン花チャンと仲良くしてりゃいいやと過ごしてロードに勤しむ傍ら、見れるとこだけ原作傍観して特に巻き込まれることなく原作終了。泣いて喜んだらアキチャンに吠えられた。悲しみ。
 なんだかんだ有りつつ自分には一切何もなく身構えさせんじゃねーよって内心怒鳴りながらもやっと安寧を得た荒北さんですどうも。いやぁどうもどうも、歓声をどうもありがとう。は? 歓声? 脳内補正だ馬ァ鹿チャンが。



「え、どうしたのいおり?」
『あァ? なァに京子チャン』
「あんた凄むのやめなさい」
『凄んでねーヨ……。で、なァに』
「ううん、いおり、すごく満足そうな顔してたから!」
『マジかヨ』



 二人といるときは脳内補正だやいのと騒ぐのやめよ。ばれるわ。こえーマジこえー。
 朝の教室の一角(京子チャンの席)に集まってそんな会話を繰り広げていたら、花チャンがそうそう、と思い出したように言った。



「私、聞いたんだけど。今日このクラスに転校生来るみたいよ」
「古里くんの時みたいな人かな?」
『さァ? どーだろうネ。あたしあんま転校生とか興味ナァイ』
「はー。流石『野獣』。やっぱり狼は狼でも一匹狼ね」
「他にも『運び屋』って呼ばれるんでしょ?」
『いやそれチャリの話だからァ』



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250:マメツキ◆A.:2017/08/13(日) 01:00 ID:xhA


 転校生云々の話をし始めたら後ろの方の席のボンゴレトリオがバッとこちらを向いた。ちなみにクローム髑髏チャンは一緒に行動する友人である。現在四人で談笑中だ。クロームチャンもむもむパン食べてて可愛い。てか教室のみんなは黒いスーツの赤ん坊いることに疑問抱かんのね。まったくもってわけわからん。見えてないのか。
 そんな今年も仲良く何かしらの陰謀すら感じるメインキャラの代わり映えしないクラスでトリオを無視しつつ原作終了しているがゆえのアクシデントに巻き込まれないように花チャンから話を聞く。



「なんでも、女の子のイタリアからの帰国子女らしくて」
「へー! 仲良くなれると良いなぁ」
『そーだネー』



 口では京子チャンに同意しつつ、脳内でこれ逆ハー狙い主のトリップじゃね? と目星をつける。目の前で呑気に微笑むメインヒロインとそのお兄さんと交際している黒髪美女を絶対出来る範囲で守り抜こうと傍観に徹することにした。原作終了して先が読めないから巻き込まれたくない。やっぱり可愛いのは自分の身だ。どうだ驚いたか。情けない。前世の荒北さんどこいった。当事者だからか、納得。
 そしてやってきた朝のホームルーム。先生の合図と共に入ってきた転校生はツインテの髪と瞳があたしたちの目に痛いドピンクなショッキングピンクの女だった。これ絶対決定じゃナァイ、逆ハー狙い主ジャン。顔付きは普通、体型ちょっと肥満気味のドピンクチャンはめっちゃぶりっこして猫撫で声で告げる。「私ぃ、両親が日本人なんだけどぉ、生まれも育ちもイタリアの帰国子女なのぉ。日本語もちゃんと喋れるから安心して! よろしくねぇ!」まず名前を言え名前を。一番後ろの席の窓際に着席しているあたしが内心即座に突っ込んだのはご愛嬌だ。
 固まる教室で引き気味な笑みの担任が「名前名前!」と言うと彼女はこう言った。



「やだぁ、私ったらうっかりぃ〜。私、姫野麗子! 麗子って呼んでねえ!」



 きゃぴっとした動作の彼女に一言もの申そう。めっちゃ痛い子だよ。気付こうよ。そしておっちょこちょい狙ってんのか狙えてねーよばーか。
 とりあえず、掴みが最悪な彼女は京子チャンをキッと睨んだあと、密集するボンゴレトリオに蕩けるような視線を送る。とりあえずコイツ逆ハー狙い確定だな。


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 案の定というかなんというか。代理戦争で吹っ切れたのか、最近ボンゴレ十代目の自覚をし始めた沢田やその部下の獄寺、山本に早速絡んでいた彼女はあの子馬鹿かと横目に流しながら花チャンとクロームチャン下校するため下駄箱に居た。京子チャンは少しツナたちと話をするらしく、校門で待っていてほしいと頼まれた。今日はロードもないし、久々に歩いて帰る。
 沢田綱吉。一年や二年の時の様に彼を『ダメツナ』と呼ぶものはもうこの学校には居ない。身長も割りと伸び、元々可愛らしく整っていた顔は成長に連れ逞しく、プリーモの面影を移すまでのイケメンになっていた。それに獄寺や山本の言う『ボス』や『十代目』の呼び名。雲雀さんもわりと話し掛け会話する。
 こんなこともあり、沢田に話し掛ける人はあまり居ない。なのでいつものメンツと何ら変わりなく過ごしているのだ。本人はまだダメツナだと思っているようだが。京子との恋路を影で見守っている。頑張れ。
 それ故に転校生は奇行種だ。だからと言って関わる気はないが。
 あ、京子来た。



「待たせてごめんね!」
『いーよ別にィ。花チャンは知らねェけどあたし急いでねーしィ』
「私もよ」
「よかった〜……あ、ハルちゃんとも待ち合わせしてるの! いおり今日は自転車持ってこないって聞いてたから! 久々に五人でナミモリーヌ行こっか!」
「……!」
「そーね」
『あたし最近行ってねェし、行こっかァ』
「よかったー!」



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251:マメツキ◆A.:2017/08/13(日) 01:39 ID:xhA



 ハルチャンを交えて五人でナミモリーヌに入ると、みんなが一様にショーケースを見つめるので、あたしは『先選んで来いヨ』と彼女ら四人をその場に、あたしは席取をした。
 ガラス張りの奥の商店街の景色を眺めていると、ちょっと不安そうな四人が帰ってきた。どした。



『え、みんな不安そうな顔してどーしたヨ。あたしわりと困惑してんだケドォ』
「え、いや、いおりがノリ気じゃなかったらって思っちゃって……」



 全員が頷くもんだから笑ってしまった。そんなことナイからァとヒィヒィ笑うあたしに安堵したのか、選んで来なよと背中を押された。とりあえずご厚意に甘えてとミックスベリータルト、ラズベリームースケーキの二つを選んできた。視線を釘付けにして離さなかったのである。くっ。
 席に戻ると始まる女子トーク。みんな可愛いなァと眺めていると、不意にハルチャンがあたしを話題に出した。



「それはそうとですね! ハルはいおりちゃんはとてもすごい女の子だと思います!」
「あ、分かるよその気持ち!」
「私も」
「……私も」
『は、いきなりナァニ』
「だっていおりちゃんは気遣いも出来て勉強も出来て運動も出来ますよね! 美人ですし! そして自転車の大会でも必ずトップ! 運び屋や野獣なんて通り名までついてて格好いいです!」
「なんでアンタうちのチャリ部入んなかったのよ? 入部頼まれてたでしょ?」
『……ロードってさァ。一見個人競技に見えて、団体競技なんだヨ』
「えっ、そうなの?」
「そうなんですか?」
『うん、そーなのォ。言っちゃなんだけど、ロードは努力した分報われる訳じゃなくて、生まれ持つ才能的ななんかが必要なわけェ。ペダル回した方が強ェ。でも、仲間との信頼関係とか、時には敵と協力しつつ切磋琢磨して、でも絶対自分が優勝するって想いながら望むんだヨ。でもなんか今は、女子特有の部内の蹴落とし合いみたいのあんじゃナァイ? 部品壊したり盗んだり。あたしそれが嫌なんだよネェ』
「あー」



 そう同意する彼女らにわかって貰えたと言う感動的な? なにかが胸を占めるがケーキ食って誤魔化す。『まぁ実力は個人なんだけどネ』と告げるとまぁそうだよねと苦笑いされた。解せぬ。
 とりあえず話の途中で店に来ていたボンゴレトリオはもう無視だ。話したことねーし。



『とりあえずあたしの愛車のビアンキチャンは色も形も軽さもオールラウンダー向きでさァ! あたしはビアンキチャンに乗ると、こう! なんつーのォ!? 匂うんだヨぞくぞくすんだヨ! ゴール手前になると、テレビの車も前の自転車もコース取りも邪魔でさァ! どけ邪魔だ道塞ぐんじゃねェって叫びながら足が千切れるぐらいペダル回してスピード落とさず相手に体当たりしてガードレールとか車のミラーに体引っ掻けて威嚇して攻撃して、そんで最後周りに誰も居ないめっちゃ気持ちいいゴール! これ味わうともう嫌でもやめらんねェな! 何回も何回もって体がそのときの興奮を欲するんだヨ!』
「アンタの生傷が絶えないのはそのせいか!」
『っだ!?』



 ゴール時がいかに気持ちいいか説明すると花チャンに頭を叩かれた。他三人がキラキラした笑顔であたしを見てるのに、花チャンの目が絶対零度だ。怖い。



「まあ、アンタが『野獣・荒北』って呼ばれるのはよくわかったわよ。アンタは優勝求めて大会出てるし」
『かれこれもうずっと優勝してるヨ』
「すごいですー……。あ、じゃあいおりチャンが運び屋って呼ばれるようになったのはなんでですか?」
『……さァ? 時々あたし、気に入った奴見つけると引っ張ってゴール前まで連れてってあげるんだよネ。引っ張る時も全力で相手のこと考えてなくてついて来れる奴だけついてこいって感じだケドォ。結局優勝はあたしが取るけどそれじゃナァイ?』
「……すごい」
『クロームチャンうちに来ない?』
「やめなさい。まあ、そんなとこじゃないの?」
「いおりすごい!」
『実感はないケドネ』



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252:マメツキ◆A.:2017/08/13(日) 11:25 ID:xhA



 翌日、四人で昼休みに談笑していると、ボンゴレトリオと姫野に京子チャンとクロームチャンが呼ばれ、京子チャンに引きずられるようにしてその場にご参加させていただいた。



『……そー言やァ、三年間クラス一緒なのに今まで沢田チャンたちと話したことなかったよなァ』
「あっ、えっ、うんっ! そうだね!」



 あたしがそう言うと沢田が思いきりキョドって目を逸らした。なんだ? と首をかしげると花にこら、と怒られた。



「いおり、睨むのやめなさい」
『マジかヨ。あー、沢田チャンごめんネ。目付きわりーの生まれつきなんだわ、別に睨んでる訳じゃないからァ』
「あっ、そうなんだ」



 パッと笑った沢田チャン可愛い。獄寺睨んでくるけど。山本笑ってるけど。姫野射殺さんばかりの視線送ってきてるけど。リボーンが視界の端で笑ってんだけど。
 とりあえず、スマホ鳴ってるから見てくるわ、と一旦その場を離れる。突き飛ばそうとしていた態勢の姫野はポカンとしたあとまた睨んできた。別に怖くナァイ。
 鞄からスマホ取り出してディスプレイ見てみると、見知らぬ番号。いや、見覚えは有るが、この世界には無いものだ。唖然とディスプレイをつったって眺めていると、一旦切れる。そしてまた鳴り出す。しばらくそれを眺めて、苛立ってきたので通話ボタンを押した。もしもし、よりも早くに。



『さっきから誰か知んねェケド音ぴーぴーうるせェんだヨ! 何回も掛けんな! 痛電してェなら他所でやれっつっーのうっぜえ! マジうぜェ!』



 そうしてぶつりと通話を切る、んでから綺麗なフォームで地面に叩きつけた。予想通りなら、相手は前世のうざいアイツだろう。あいつなら、絶対もう一度かけ直してくる筈だ。
 周囲が唖然としてるのを横目に、再び鳴り出すスマホを冷静に手にとった。



『もしもォし』
「うざくはないな!」
『やっぱりお前かヨ鬱陶しい』
「鬱陶しくもないぞ! わっはっはっはっは!」
『お前もう超めんどくせェ、クソやかましいんだケドォ。このナルシスト女が』
「ふッ、嫉妬しているのか荒北! 私が美形なのは事実だ!」
『うっぜ』
「登れるうえにトークも切れる! そしてこの美形! 天は私に三物を与えた! 山神、東堂八子とは私のことだ! はーっはっは!」
『自己紹介頼んでねーし耳元で叫ぶんじゃネーよ、このでこっぱち。切るヨ』
「あっ!?」



 ぶちっ、と容赦なく電話を切ったあと、思い直して電話を再び掛ける。とりあえず騒がしくなってしまったので屋上に行こう。京子チャンたちに教室を出るとレクチャーすると唖然としたまま手を振られた。
 全部東堂のせいだ。



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