【正味】自由に書きますわ【新しくスレ作るんもうエエ】

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1:ぜんざい◆A.:2016/10/07(金) 22:41 ID:74A



 どうもこんばんはぜんざいです。

 私、思ったのです。書きたい作品が多すぎて、その分だけスレを作ると数がとんでもないことになるからどうしようと、完全に無駄だぜ? と。そして答えがこうなりました。


 もういっそ全部引っくるめて自由に書いてしまえと(

 終着点がここなのです。

 なので、とにかくひたすらジャンルバラバラの夢小説書きます。
 コメント及び感想待ちます! 小説投稿はやめてほしいんだぜ?(⊂=ω'; )

 まあ簡単に言うと、私の落書きのようなものなので、他の人は感想だけということになりますね。うわあ上から目線だぁ! 恐らくコメントには感涙します、めっちゃなつきます。ビビります。

 ジャンルは大まかに言えば、wt、tnpr、妖はじ、turb、krk、FT、中の人、FA、mhaです。
 これからも増えるだろうと思われる模様。
 2ch的なものも出てくると予想されます。

 これまでの上記で『2chやだ!』「作品がやだ!」「ぜんざいがやだ!」言うからは目がつぶれないうちにご帰宅or gohome(΅΄ω΄→ ハヤク!

 2ch系では顔文字や「wwww」表現が出るかと思われます。嫌な方はブラウザバック!


 それでは、そしてーかーがやーくウルトラソheeeeeeeey((

 文的にうるさくてすいません。



.

158:ぜんざい◆A.:2017/01/14(土) 23:15 ID:Ldk

Noside



「んじゃ、代理戦争一日目の報告会を始めるぞ。みんながどんな戦いをしたのか、ワクワクだな♪」



 並盛町にあるファーストフード店「NAMIMORIDINER」の一席にて。重苦しい雰囲気のリボーンチームのメンバーにとても面白そうだと言う感情を隠しもしないリボーンの声が響いた。
 ワクワクじゃないよ! といつもならツッコミを入れるはずの沢田綱吉_ツナも見るからにテンションが低い。
 そんな中口を開いたのは笹川だった。



「では俺から報告しよう。開始してまもなく、俺と獄寺と山本は落ち合い、沢田の下へ向かったのだ……。だがそこにアルコバレーノ風の代理となった雲雀と伊達が現れ、俺は応戦したのだが、敗けてしまった!!」
「え!? ヒバリさんと伊達さんが風の代理なの!?」



 笹川の報告に驚いて声をあげたツナに「ん……あ……」とバツの悪そうな顔をして言葉を濁すディーノ。ディーノは二人の勧誘を任されていたのだが、あえなく撃沈してしまったと言うわけだ。
 獄寺の「ちっ」と言う舌打ちに、困惑した顔のツナに、笹川が「極限にすまん!」と机に頭を打ち付けた。その反動で机が揺れて、笹川のコップが倒れて水が溢れる。



「ヒバリとダテの二人が相手じゃこっちの被害がそれだけで済むはずじゃねーな」
「あ、あぁ……」



 リボーンの呟きに山本が苦笑いしながら続きを話す。伊達は風を抱えて眺めているだけで全て雲雀が自分達の相手をしていたこと。少し雲雀と戦闘になったが獄寺のVGのダイナマイト_ゼロ着火で煙幕を張り、山本の雨燕の鎮静の雨を降らせ、雲雀の動きを鈍らせて戦略的撤退に成功したこと。



「ってな訳で、逃げ切って俺達のバトラーウォッチは無事だったが、ツナを探しているうちに時間切れ、タイムオーバーだ」



 しまり悪く告げてその短い黒髪をがしがしと掻く山本。獄寺は続けて「つかどーなってんだ跳ね馬ぁ! ヒバリとダテはお前がうちのチームに連れてくるんじゃなかったのかよ!」と机を思いきり叩いてディーノに怒鳴った。
 ディーノは顔の前で両手をパンとあわせて「わりい!」と苦難の顔で告げる。



「恭弥が今日うちの代理になるか答えを出すっつーから期待してたんだが!」



 そのままきれいな金髪を無造作に掻くディーノは「まさかその前に風チームに入って襲ってくるとは……いくらアイツでもそこまではしねーと……。想像を越えてたぜ。恭弥の説得中に入ってきたいおりに関しては即座に却下されちまった……」と失敗したなと顔を歪める。直ぐ様飛んでくる「甘ぇんだよ!」と言う獄寺の罵声を素直に飲み込んだ。



「こればっかりはヒバリ本人が決めたことだからしゃーねーな。恐らく勧誘されたのはダテが入ってきたあとだろ。ヒバリはダテにベタ惚れだからな。アイツが入るチームに着いていくに決まってる、ディーノが行った時点ではダテがどこに入るかはっきりしてなかったから答えを出すなんて言ったんだろ」
「えっ、ヒバリのやつ伊達先輩が好きなのか!?」
「伊達もヒバリが好きだしな。伊達に関しては最初から望み薄だったからな……期待はしてなかった」
「え、伊達さんに期待はしてなかったって……」
「やっぱ伊達の奴、弱ぇんスよ10代目」



 苦笑いでツナに声を掛けた獄寺にリボーンは素早く「そういう意味じゃねえ」と否定した。ディーノもそこは「違うぜ獄寺」とリボーンに同意する。



「ツナもだ。俺はそういう意味で言ったんじゃねえ」
「え…?」
「でも、シモン戦の時はアイツが一番傷だらけでしたよ?」
「あれは相手が女の子だったからだろうな。ダテは行き過ぎたフェミニストだ、女に本気を出すわけがねえ。言っちまえば、ダテは恐らくボンゴレじゃヒバリと同等、いやそれ以上の実力を隠してる」
「ひっ、ヒバリさん以上!?」



 リボーンの言葉にツナが飛び上がる。同じボンゴレファミリーと言えど、ツナたちに取ってあまり接点のない伊達。未来での戦いでだって最終局面でしか現在の彼女は出てこなかった。10年後の彼女でもあまり言葉を交わすことはなかった。まあ驚くほどのナイスバディだったが、声が低すぎて最初はみんな気付かなかった程。
 頭からボロ布を被って姿をあまり晒さない彼女に実力を図りかねている。



「それに」



 リボーンは神妙な面持ちで続けた。



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159:ぜんざい◆A.:2017/01/14(土) 23:43 ID:Ldk




「俺が望み薄だと言ったのは、90%の確率でダテが風のチームに入ることが予想されたからだ」
「え!?」
「きゅ、90%の確率!?」
「それはほとんど伊達が風のとこに入るってことじゃないスか!」
「ああ」



 ボルサリーノの縁を指で弾いたリボーンは「なんでだか分かるか?」とディーノ含めツナに聞く。ツナは「わっ、わかるわけ無いだろ!? 俺伊達さんと会話したのシモンの島に行って伊達さんに「見とけや」って言われたぐらいだし!」と声をあげる。これに限ってはディーノも頭をもたげた。



「アイツほんっと自分のこと喋んねぇからな。ネットと違って現在じゃすげえ無口だし」
「……ネット?」
「んあ? リボーン、知らなかったのか? リボーン、ニヤニヤ動画って動画投稿サイト知らね?」
「……ああ、ツナが前に青鬼ってゲームの実況見てたな」
「いおり、あそこの一位を争う人気の大御所でさ、ハンドルネームなんだったかな……確か『白玉』だっけか?」
「え!?」
「マジスかディーノさん!」



 ディーノの呟きにツナと山本が反応する。獄寺は元々そういうサイトは見ないようだし、笹川は到底知っているとは思えない。



「お、俺が見てた青鬼の実況……白玉さんのだけど……」
「俺は歌ってみた聞いてたのな!」
「お前らファンだったのかー! アイツ生放送じゃ、すげー喋るよな!」
「声すごく格好いいから男の人かと思ってたよ……」



 ディーノ、ツナ、山本で盛り上がるその三人にリボーンは一人ずつ蹴りを入れて内容の軌道修正をした。



「話を戻すぞ。風がダテと知り合ったのは、俺がツナの家に来た日だ」
「っ、えぇ!?」
「つまり、ダテと風の二人は俺とツナみてえな関係ってことだな。そんなんじゃ、どっちの代理になるか、分かるだろ?」
「あ……そりゃ、風の代理になる、よね」
「しかもリング争奪戦の時、俺はダテに家庭教師をつけてなかった。だが、裏で風がダテ組手をして鍛えてたんだ、ある種のかてきょーとしてな。これらは全部風から聞いた話だが、実力は奴と拮抗し、無敵の拳法家の風を唸らせられてもまだそこが見えないらしい、それからXANXUSよりも威圧感が半端ないと来れば、もうアイツを弱いなんて言ってられねぇぞ。ダテは男相手の戦闘じゃ酷く冷酷で手加減しねえ、男の急所容赦なく狙ってくるからとりあえず気ぃつけろよ」
「ひいい!」
「ちなみにディーノは10分間俺と一緒にいて戦闘に間に合わなかったんだ」



 そしてそのままツナに報告を促す。ツナは一言「父さんに負けた」と告げた。ツナの父、沢田家光はチェデフと言うボンゴレの独立諜報機関のボスだ、バジルもそこに所属している。彼らチェデフはコロネロチームについたのである。それでもツナのボスウォッチが壊されなかったのは、リボーンがコロネロチームと同盟を組んだから。
 ツナは腕を枕がわりに顔を埋めて「うう……」と唸る。その様子に心配する獄寺、なんとなく分かってしまった山本、自分の気持ちに名前がいまいちつけられないツナ。



(なんなんだよ……なんなんだよこの気持ち!)



 歯を噛み締めるツナに、リボーンは口もとを緩めた。



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160:ぜんざい◆A.:2017/01/15(日) 00:19 ID:Ldk



 夜、恭弥はこっちの家に居た。しばらくは共にいた方が良いとこっちが告げたのだ。家に入るとき、背後で少し空気の温度が下がったんを感じたこっちが振り返ってみれば、恭弥ににこにこと笑みを向ける風くんと今にもトンファーを持ち出しそうなほど不機嫌になった恭弥の姿が。
 とりあえずボロ布を玄関先のクローゼットに放り込み、『お前らはよ入れや』と風くんを抱えて恭弥の背を押す。



「……」



 むすっとした顔の恭弥は何も言わずソファに座ってテレビを見る。そんな恭弥に苦笑いしながらキッチンに向かって今日は何を作るかと悩んでいたら風くんが「無難に炒飯でも作りましょう」とやって来た。恭弥にもそれで良いのかと聞こうとしたら、彼は一階に設置していた本棚から抜き出してきたのかHUNTER×HUNTERをソファに仰向けに寝転がって読み始めていた。お前は猫か。うーわ! くっそ! んんん! かわええなぁもう! 死ぬ!
 しばらくして炒飯とスープが出来上がったので料理をダイニングテーブルに運び、恭弥に声を掛けるとすんなりやって来てくれた。



「……美味しい」
「ふふ、私が作ったんですよ」
「へえ、料理上手いんだね」



 お前ら親子か。顔そっくりやし。
 とりあえずそんなくだらないことを内心ぼやきながら食べるスピードの変わらない恭弥に微かに微笑む。風くんも満更では無さそうだ。とりあえず三人で完食してからリビングでのんびり過ごす。



「いおり、親は?」
『世界一周旅行中や。兄貴がマフィアやったし、自分で言うんもあれやけど、家かなりデカい名家やからそれもホンマか分からんけど』
「へえ」



 恭弥はそのままうつ伏せにソファに寝転がってHUNTER×HUNTERの続きを読破しだす。『気に入ったんか』とを漫画から逸らさず告げる。まあ面白いのだろう。だってHUNTER×HUNTERのアニメも映画も見たけど面白いやん。ずずず、とソファの上で烏龍茶をすする風くんも既に二周ほど読み返す程だ。
 しばらく穏やかな時間が流れたが、一巻読み終わったのか恭弥がこちらに向かって言葉を投げた。



「今日僕泊まるんでしょ?」
『おん』
「場所どうするの? 僕ソファとか嫌なんだけど」
『……せやなぁ。恭弥今夜こっちの部屋で寝たらええわ。こっちソファで寝る……多分こっち今夜寝ぇへんから、ベッドは恭弥が使ってエエよ』
「……は?」
「え?」



 恭弥と風くん、二人がぽかんと目を開く。やって今日は夜通しレコーディングして歌ってみたをやって、実況の編集して、その部屋の椅子で寝ると思うし。



「……いや、レコーディングとかそういうのあとで聞くけど、僕男なんだけど」
『大丈夫や、こっちの部屋着替えとかないし。あるのは機械だけや』
「確かに、女性らしさはないですよね……」
「……いおり」
『二人してそんな可哀想な目で見るんやめてくれや頼むから』



 とりあえず恭弥にこっちの部屋を案内したら「……気は進まないけど」と妥協してくれた。
 こっちの部屋にはベッドにデスク、その上に三つのパネルのパソコン、タブレット、音響機器にDVDレコーダー。地面にはコンポにコピックが敷き詰められた大きなペン立てが20個程。天井に届きそうな壁を隠すような大きな本棚には全て漫画がぎっしり敷き詰められ、全体的に白と黒のシックな感じにまとめあげている。地面に散らばるヘッドフォンは手に持っておく。



「……ホントに、機械多いね」
『……まあな。隣が風くんが過ごしとる部屋や』
「へえ」



 そんじゃ。と恭弥を部屋に押し込んで、風くんの部屋とは反対隣の防音室の扉を開けた。


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161:ぜんざい◆A.:2017/01/15(日) 00:50 ID:Ldk

まふまふさんの立ち入り禁止と逃走本能の歌詞を使わせていただきました。歌詞が間違っていたらすみません。



 部屋に入って後ろ手に扉を閉めようとしたらガッと扉が開けられて驚いて振り向くと、いつもの無表情でこの室内をきょろきょろ視線を巡らせる恭弥と、恭弥の頭の上に乗って微笑む風くんがいた。



『……な、んや? え、どないしたん?』



 驚いて最初に声が裏返ってしまった。風くんは「久々に歌を聞こうかと」と悪びれる様子もなく微笑みながら呟き、恭弥は「何してるのか見に来た」とだけ。……要するに、この部屋に入りたいと。……うーん。



『……しゃーないな。頼むから静かにな』
「ん」
「はい!」



 微かに満足げに笑った恭弥と満面の笑みの風くんに全てを許した。いや、甘々過ぎやこっち……。
 とりあえず、以前リクエストを頂いていた逃走本能と尊敬するべきまふさんの立ち入り禁止を歌わせて頂こう。
 既に椅子に座った恭弥と、恭弥の膝の上にいる風くんに内心サムズアップしながらも、逃走本能を歌い出す。



『過去を<青春>と呼んで美化したって、消せやしねえな劣等感反吐が出るぜ』



 今日は少し調子が良いみたいで、下がよく回る。気分がいい。



『自己投影したモニターの中の
僕は唐突なサービス終了告知で
廃棄処分 死刑執行 殺されちゃってさ 生憎と面会謝絶だ
なけなしの感情は捨てちまえよ
半端に居座るなよ 吐き気がする

反逆の狼煙だ 今こそ覚醒前夜 抗え抗え 逃走本能
神様なんていない って神に誓ったりして 叫べrockyou』



 そこからはもう叫ぶようにストレス発散するように歌った。楽しくて仕方がない。棍棒振り回しているときも楽しくないと言えば嘘になるが、歌っているときも生放送するときも楽しいのだ。



『簡単に終わらせはしないぜ』



 と一通り歌いきり、逃走本能はこれでよし、と一発撮りして次の曲を流す。こっちがかなり好きな曲だ。というかまふさんの病み系の曲好きやわ。



「立ち入り禁止どこまでも 出来損ないのこの僕にただひとつ 一言だけ下さい 生きていいよってさ
教えて何一つ 捨て去ってしまったこの僕に 生を受け 虐げられ 尚も命を止めたくないのだ?
 痛い痛い痛い ココロが 未だ心臓なんて役割を果たすの 故に立ち入り禁止する」



 歌い終えて即パソコンをイジって編集、元々の動画に合わせて二つとも投稿完了。今回は早かったなとか思ってたら椅子に座っていた恭弥が「すごかった」とだけぽつりと先程までこっちが歌っていた場所を見つめながら呟く。



『ん』
「上手かった、人気とか言われるの分かった気がする」
『ん、どーも』
「……なんかむかつく」



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162:ぜんざい◆A.:2017/01/15(日) 11:39 ID:Ldk

翌日、代理戦争は二日目を迎えた。朝、学校に止まってると見たことのあるフェラーリが止まっていて、嫌な予感を感じた。慌てるように廊下を走って応接室に行けば、とある書類片手に顔をしかめた恭弥が革張りの椅子で寛いでいた。

『朝、駐車場ん所に、兄貴のフェラーリあってんけど』
「その予想、間違ってないよ。跳ね馬ディーノは今日から臨時の英語教師だ」
『…まちがいなく、代理戦争やろな』

二人して面倒だと気分を落としていれば、窓からひょいと入ってきていた風くんが「まあまあ」と微笑む。確かに、恭弥にとって兄貴は初めて自分に対して師匠面してきた兄貴肌。恭弥的には鬱陶しいのだろう。こっちは貰えるもんはもらっとく主義やし、ちっさいころから仲は良かったからなぁ……。あ、一時間目が始まった。

**
Noside

キーンコーンカーンコーン、無機質な鐘の音が教室と言わず学校中に谺する。もー授業かー、とツナは席に座った。炎真に聞けばシモンファミリーがスカルの代理になってくれたと言う。良かったなぁなんて思う反面ツナはまた強敵が増えたー! と焦っていた。空席に休みだとわかるクロームに少し心配の視線を残して、がしゃーんと言う耳障りな音と共に聞こえてきた「いでっ! 滑るなーこの学校の廊下は……」と昨日聞いたばかりの声が聞こえてきた。がらりと扉が開かれ、「おーいて…初日から決まらねーぜ」と呟きながら教室に入ってくる様子に、ツナ、獄寺、山本、笹川京子は目を見開く。

「チャオ! じゃねーな、英語はハローか」

入ってきたのは伊達眼鏡を掛け、左腕の刺青をバレないようにする包帯を巻いたディーノだった。

「(ディーノさん!?)」
「新任英語教師のディーノだ! ヨロシクな!」
「ははっ! すっげ!」
「ゲッうぜー!」

守護者はそんな反応を見せるもクラスの女子は「ちょっ、何!? 超かっこいい!」「金髪……キラキラ!」と色めき立つ。男子は今朝の様子を見たのか「フェラーリ乗ってた人だ!」と声を出した。
放課後にて。ディーノに屋上に連れてこられたツナ、獄寺、山本の三人はフェンスにもたれかかるディーノに開口一番「いいアイデアだろ」と聞かされた。

「教員なら学校で代理戦争が始まってもすぐに参加できるぜ」

そのとき、屋上の影から様子をうかがう女子生徒が「獄寺くんたちは良いけどなぜダメツナごときがディーノ先生と話せるのよ!!」「不釣り合いすぎる!」「どういうコネかしら」とツナに嫉妬の視線を送っていた。それに気づいた獄寺が「テメーは目立ち過ぎんだよ! ギャラリーがいたら戦えねーだろ!」と怒鳴り付ける。それを「そりゃそーだな」と笑い飛ばしたディーノ。だが、そのとたん屋上の扉が乱暴に蹴破かれ、怒気を滲ませた雰囲気を纏いながら歩いてくる白くてボロい人影、言わずもがないおりであった。

「いっ、いおり!」

 その姿に途端に焦ったような声をあげるディーノに、突然現れた色気たっぷりの女子の憧れの的の姿に女子生徒はどういう関係なのかと息を飲む。そのままディーノの前にたち、彼の頭を怒鳴りと共に拳骨で殴った。

『なんっでこんなとこにおるんやクソ兄貴!』
「いでえっ! 待ていおり話を聞け! 俺は代理戦争の」
『分かっとるわへなちょこが!』
「キャメルクラッチいたい!」

ぎしぎしとディーノの骨を軋ませる彼女に会話は分からないが怒鳴りだけ聞こえた女子生徒は「兄貴?」「って言うか伊達先輩関西弁であんなに声かっこいいんだね!」「それこそダメツナの分際でなんであそこに!」と言う声が上がる。

「仮にも俺遠縁で血つながってんの! 痛いだろ!」
『黙れや、朝から気分が最下層や』
「えぇ」

落ち込むディーノを一瞥して去ろうとしたとき、山本に不意に呼び止められた。

「先輩って白玉さんスか? ディーノさんが言ってたんすけど」
『…せやで、白玉や』
「お、俺たちファンです! 応援してます!」
「握手してください!」

すっと山本と握手して目を爛々と輝かせるツナの頭をわしわしと撫で回し、いおりは本当にディーノを殴り付ける為だけに来たらしく、屋上から去っていった。女子生徒から「ダメツナが伊達先輩に頭を!?」「知り合いだったの!?」「山本くんとも握手してたよね!」と騒いでいた。

163:ぜんざい◆A.:2017/01/15(日) 11:59 ID:Ldk


 下校時刻、恭弥はディーノと接触して戦うことを取り付けたようだ。ホテルに泊まってるからそこにこいと言われたと恭弥に教えられ、風くんを腕に抱えて夜、そのホテルへと赴く。



「ずいぶん豪華なところへ来ましたね」
『兄貴の部下が間違えて取ったんやと』
「跳ね馬は夜、ここに来ると言っていたからね」



 そんな会話をしていて気付く。恭弥がなぜかディーノに執着していることに。何でだろうと疑問に思っていれば風くんはこっちの腕を抜け出して恭弥の頭の上に移り、「なぜです? ディーノにそこまでこだわるのは」とこっちの疑問を恭弥に聞いてくれた。



「あの人は初めて僕の師になったつもりの人だ、でもそんな存在、僕は要らない」



 そう冷たく言い放った恭弥に布の奥で苦笑いしてチンとちょうどよくやって来たエレベーターに乗り込んだ。
 最上階まで目指すエレベーター内はあまり会話がなくて、それでも少し落ち着く。だが、その階の手前でいきなり<ティリリ>と時計から音が鳴り、バトル開始一分前を告げた。……なんや、オチが読めてきた言うか……嫌な予感がする。



「始まりますね」
『ん』
「代理戦争で優勝したらって約束覚えてるかい?」
「もちろんです」



 そうして最上階に到着。ぷしゅっと扉が開かれたそこを見れば、自分たちよりも体のでかい黒ずくめの男たちと一人の女が立っていた。……ヴァリアーである。



「ゔぉ゙ぉい、これから出向こうって時に……」
「ししっ! ボロ布連れたカモがネギ背負って来やがった」
「伊達を連れたヒバリが風背負ってだろ」
「まんまじゃない…」
「久しぶりね、イケボ女」
『おまえ誰やねん美人ちゃん』
「ムムッ、風」
「やあマーモン」
「これはこれで嬉しいな、ここはまるでサバンナだ」



 見覚えのある子だが、適当に誰やねんと返しておいた。いや名前はちゃんと覚えてます。
 とりあえず向こう側のアルコバレーノのマーモンに親近感を抱き、とても可愛らしいフォルムを抱き締めたい。もうこの際変態と呼ばれてもかまわん。



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164:ぜんざい◆A.:2017/01/15(日) 12:16 ID:Ldk



「あれ? ボス猿がいないね」
『奥で寝とんやろ』
「ゔお゙ぉい伊達にヒバリぃ」
「笑わせるじゃん」
パシャッ
「俺達じゃ相手にならないって言うのかぁ?」
パシャシャッ
「君たちだって役には立つさ。僕の牙の手入れ程度にはね」
バシャバシャバシャバシャ
「……いおり」
『うぇっす』



 とりあえず向こうの方にも変な目で見られたのでデジカメを片付ける。壊されたらたまらんし。
 とたん、風くんが恭弥の頭から飛び降りて「プレゼントプリーズ」と呟く。姿が戻った瞬間彼はヴァリアー側のでっかいおっさんを壁に蹴り飛ばし、オカマはふらふらとしてついには倒れる。前髪の長いティアラの少年のナイフをそのまま足で蹴り返した風くんはその少年の時計を破壊してふぅと息をはいた。



「っひょー、とことん規格外っ!」
「無事だろうなぁ、ベルフェゴール、リアス」
「ったりめーじゃん! アホのレヴィやカマのルッスとは出来と育ちが違うし。だって俺王子だもん」
「私も簡単にやられるたまじゃないわよスク」



 だが、ベルフェゴールと呼ばれた少年は「時計は壊されちったけど」と悪びれる様子もなくスクアーロと呼ばれる銀髪ロングの声のでかいイケメンに笑った。



「終わってんじゃねーか! リアスを見習えカス王子が! だからいつまでもぺーぺーなんだ!!」
「そー言うけど相手はあの化け物だししょーがなくね?」
『リアスちゃん言うんやかわええ』パシャッ
「……ボロ布女は黙ってろぉ゙!!!」
『うぃっす』



 その隣で恭弥が自分そっくりの顔を持つ青年を睨む。



「ねえ、ちょっと君。なに余計なことしてんの?」
「あなた方二人では危なっかしくて、見てられません」
『おい風くん』



 呪解した風くんは恭弥そっくりのとてもイケメンさんでした。これが本来の姿なのかと思うと次から抱き上げるのに抵抗があるがもうこの際気にしない。恭弥と風くんからの色気に当てられそうないおりさんがいます。



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165:ぜんざい◆A.:2017/01/15(日) 15:05 ID:Ldk

Noside

「どいてくれる? 一人で出来るよ」
「おい待てヒバリぃ!」

 押し退けようとする雲雀にスクアーロが声をあげた。

「ヒバリを先に倒しちまったら激レア必至のアルコバレーノとの対戦ができなくなっちまうだろうが!」
「誰が倒されるって?」
「ふくれないで。レア度の問題ですよ」
「二人で掛かってくる分にはかまわないぜぇ! 三枚ずつ六枚におろしてやる! そこのボロ布女はリアスになぶられてろ!」

 スクアーロがリアスの方を見たときだった。泣きそうな彼女は拘束台に縄で腕を吊るされ、ボロ布の塊だった伊達が頭のフード部分をぱさりと落として芯のある短い鞭片手にリアスを眺めていた。

「んなっ」
「……いおりの目が輝いてたのはこういうことか」
「サディストモードのスイッチが入りましたね」

 いおりが彼女にスクアーロを指差しながら『こっちのことなぶれってさ。なぶってみ、できるんやったら』といやらしい笑みを浮かべて彼女の顔を覗き込んでいた。
 そこで「黙れカスザメ」と言う声と共に小さくて白い塊がスクアーロめがけて飛んでいき、オリジナルらしいナイフがリアスの腕を吊るしていた縄を切る。やっと来たな、XANXUS。とかその隣にいるマーモンを見つめながら思ういおり。そこでマーモンが風と会話をしていたのか「とにかくお前なんか大っ嫌いだ! 代理戦争に勝って呪いを解いてもとの姿に戻るのは僕さ!」と叫ぶ。

『さて。リアスの腕時計、壊しにいくか』

 いおりは瞳の奥に鋭利を宿らせながら睨んでくるリアスを睨み返した。

「それは本当なのか? 白蘭がコロネロの弾にやられツナが単独で家光さんを倒しに飛んでいった? ソイツはマズイぞ……今のツナじゃ家光さんに勝てない!」

 ヴァリアーVS風チームの戦いを物陰から伺う男が電話越しに呟く。相手にそっちの状況を教えてくれと伝えられ、彼は口を開いた。

「今来たところだが、すでに風チームとマーモンチームが……。! 始まった!
 XANXUS・スクアーロ・リアス対風・雲雀恭弥・伊達いおりの超高速バトル!」

**

 リアスに棍棒をブン回し、彼女のレイピアの攻撃を宙返りで避ける。そこで視界の端にXANXUSが銃を放ったことに気付き回避体制を取った。途端にドォン! とこの階のガラス窓が破壊され、みんながばっと距離をとる。
 マーモンが「なんてハイレベルな戦いなんだ、まだ様子見だろうに目が追い付かない」と呟いていたのを聞いて冷めた目で折れた左腕を右手で押さえるリアスを見つめた。折った。彼女はリング戦から強くなっているものの、到底及ばない。弱いままだった。ちらりと見回せばこちらのチームは風くんが少しダメージを受けていて恭弥に「君口ほどじゃないね、大丈夫なの?」と皮肉を告げた。

「はい。今の攻防で、この体のサイズの勘を取り戻しました」
「?」
「?」
「んだぁ? 負け惜しみかぁ?」
『アルコバレーノがそない弱いわけないやろアホ、まだこっちも勝ったことないのに』
「なっ」
「次はミクロン単位で動けそうです」

 服の裾に手を掛けながら放った風くんの言葉にスクアーロが「み、ミクロンだとぉ!?」と動揺する。リアスは歯を食い縛っていたので少し嘲笑った。バッと上着を脱ぎ去った風くんの肉体美に鼻血を出しそうになるも耐えてばっとVGを発動させて斧を構える。

「ヤロォ」
「カスが」
「面白くなってきたね」
『……』

 ボロ布を再び頭から被って、風くんの行きましょうの言葉を合図にこっちはリアスの背後に移動して裏拳を繰り出す。ぱきゃ、と言う軽快な音が響いて彼女の背を蹴り飛ばし、風くんが放つであろう技から回避させる。次の瞬間には風くんの奥義である爆龍炎舞が火を吹き、スクアーロの腕時計を破壊した。
 上空からXANXUSに止めをさそうとしていた風くんは急にぴたりと動きを止めて、それと同時に頭からコキンと音が聞こえた気がする。天井で退避した風くんはなぜかいきなり全身からぶしゃっと血を吹き出した。それから身を守るように布をグイと下げて目に入らないように防御する。ダンッと地面に着地した風くんは「危ないところでした」と呟いた。いきなりどうしたのか、訳がわからん。

「これで分かったろ? 武術より幻術の方が優れてる」

 凛とした涼やかな声が、フロアに響きわたった。

.

166:ぜんざい◆A.:2017/01/15(日) 15:38 ID:Ldk



「今放った奥義は、脳に特定の縛り(ルール)を作り、その縛りが破られたら肉体にダメージとなって返ってくる……バイパー・ミラージュ・R」
「ああそうさ。特別に今回は脳への縛りを教えてやるよ……。
 “勝利を疑ったものは、自爆する”」



 風くんの視線の先に居たのは、地面に藍色のおしゃぶりを転がさせて、自身をローブで隠した少女とも少年ともとれる子だった。XANXUSが「マーモン」と呟いたのであの赤ん坊なのだろう。顔はした半分しか見えていないが相当なクールビューティちゃんだろう。ショートカットの薄紫色の髪がフードから見えていた。



『……幻術?』
「そうだよ。バイパー・ミラージュ・Rを掛けられた者は、勝利を疑った瞬間に肉体にダメージを受けるようになるのさ。風のようにね」
『……へえ』



 こちらが布の奥から尊敬の眼差しを向けてマーモンを見つめれば、マーモンはふいと照れ臭そうに顔を背けて但しと続ける。
 どうやらバイパー・ミラージュ・Rは強力なぶん、対象者を絞れないようだ。だからこのフロアにいる人間全員に掛かっただろうし、味方それに自分にだって掛かってしまっていると言う。



「勝利を疑うと言う縛りは成功だったと思うよ。ボスの勝利への自信が揺らぐはず無いからね。ね、ボス」



 マーモンがXANXUSの横でそう言い放てば、風くんが「勝利への自信なら雲雀恭弥といおりさんも負けていませんよ」と言い返した。まあ、負けるとか有り得んとか思っとるけど。



「(ヒバリがどこまでボスに食らいついていけるかのかが見所だな。だが、この戦い勝敗の鍵を握るのは間違いなく__アルコバレーノ同士の戦いと、伊達の働きか)」
「マーモン、たしかあなたは先程幻術の方が武術より上だと言いましたね」
「ム。不服なのかい? 風」
「いえ、面白い比べ方をすると思い感心しました。そして興味が湧きました。
『私の武術があなたの幻術より上なのか下なのか』」
「その前向きなところが嫌いさ」
「そう言わずに」



 アルコバレーノの二人がざあっと砂のように消えたことに恭弥が目を見開く。スクアーロは二人が邪魔されないようにマーモンの幻術で姿を消し、一対一の勝負をする気だと言う。
 とりあえず腰のベルトポーチからスケッチブックを取り出し、バイパー・ミラージュ・R対策を作った。



『恭弥』
「なに」
『飲んどけ』



 出てきた丸薬を恭弥に渡してこっちも口に放り込む。これが、対策。幻術が効かないようにする薬だ。本当にこのスケッチブックは便利に思えて仕方がない。ノーリスクで思い通りの物が作れる。こくりと飲み込んだ恭弥は不思議そうにこちらを見た。



「なにこれ」
『幻術が、効かなくなる薬』
「はぁっ!?」
「幻術が効かなくなるだとぉ゙!?」



 スクアーロが「お前今日初めてマーモンが幻術を使うって知ったんじゃねーのか!」と叫ぶのに対し『おん、初耳やった』と呟いてXANXUSを睨む。



『んじゃ』
「僕らもやろう、ボス猿」
「散れ、ドカス」



 XANXUSと恭弥が駆け出すのと同時にこちらは距離を取って椅子に座り、スケッチブックにペンを滑らす。ストック付箋はいくらでもある。今は戦力を溜めようか。



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167:ぜんざい◆A.:2017/01/15(日) 16:05 ID:Ldk



 こちらに三つの不思議そうな視線が突き刺さる。ちょ、なになにやめて。集中できひん。するとベルフェゴール、スクアーロ、リアナが興味深そうにとうとうやって来てしまった。



「ししっ、戦いほっぽりだしてなにお絵描きしてんだよボロ布サディスト女」
『……ひっどい言い草や、お絵描きちゃうし』
「どっからどう見ても遊んでんじゃねーか」
『VGのひとつやボケ』



 試しに札束の山の絵を書いて実体化させてみれば三人から「はあ!?」と言う声が上がった。天井にまで届きそうな札束の山。これはもう必要無いなと思わず破り捨ててしまえば、それは現実の物体として実在する。ドヤッ、と顔を三人に見せればムカつくと声を揃えて告げられた。解せぬ。



『とりあえずこの金は君たちにプレゼント(気まぐれ)』
「うわ。そのスケブありゃ何でもできんじゃん!」
『但し画力に限る』



 そう言い放ってフロアにボロボロの風くんと現在進行形で血を吐き出しているマーモンが再び姿を表した。


「考えることをやめなさいマーモン! 考えるほど多く血を流します!」
「あ゙っ!」



 マーモンめがけて駆け出した風くんは彼女に飛び蹴りを食らわそうとしながら「今気を失わせて楽にしてあげます!」ととびかかる。それと同時に風くんの首もとにひゅんっと赤いおしゃぶりが飛んできた。それにつられるように風の体は少年のものに変化し、ひゅんひゅんともとの姿に戻っていった。
 ……タイムオーバー、時間切れ。風くんは解呪の時間を使いきってしまった。コロコロ、と地面を転がった風くんは膝をついたマーモンの足にぶつかり動きが止まる。



「しまった! 私としたことが!」



<風の呪解、タイムオーバー>そんな無機質な音声が、聞こえた。



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168:ぜんざい◆A.:2017/01/15(日) 16:23 ID:Ldk



「や…やった……。
ざまみろ風!! 勝負に負けても代理戦争で勝つのは僕だ!!」



 足元に転がる風に叫ぶマーモン。そのまま彼女は「風は戦闘資格を失った! あとはお前だけだ雲雀恭弥!」と恭弥に怒鳴った。恭弥はその様子をXANXUSの攻撃を受けながら見ている。



「ボスウォッチはもらった! えい!」
『効かへんで』



 マーモンが恭弥に幻術を発動させても何も起こらないことを見る前にこっちが彼女の前にたちはだって斧を構える。どうやらマーモンはこっちのことを忘れていたようだ。びくりと肩を揺らしてこちらを睨んだ。



「っ! さあボス! ボスウォッチを壊して!」
「あぁ飽きた。しねカス」



 マーモンがこちらを目の前にXANXUSに叫ぶ。芯の強い人だ、マーモンと言うこの子は。
 XANXUSの二挺拳銃の口径が大きく広がり、恭弥めがけてとてつもない威力のそれが放たれた。咄嗟に先程描き溜めていた絶対に貫かれない盾を恭弥の前に飛ばし、その攻撃を防がせる。XANXUSの攻撃はそのまま何も破壊することなく跳ね返り、XANXUSの頭上の天井を貫いた。



「お前! なにしたんだ!」



 マーモンがこちらに怒鳴り声をあげる。それにこちらはスケッチブックのページを素早く開き、マーモンを檻に閉じ込めた。



「いらいらするなもう! さっきからなんであんなチート級の物が飛び出てくるんだよ!」
『……それがこっちのVGやからや。こっちのVGは創造力と画力がものを言うねん。それを使いこなしてやれば__』



 一枚の紙をスケッチブックから千切り取ってビッと床に投げる。途端その場に現れたのは軍でも扱われる、戦車。



『__こんなことだって出来る』



 カチッと戦車のとあるボタンを押して『耳塞げ!』と怒鳴ってからXANXUSめがけて大砲を撃った。これで仕留められているとは到底思えない。とりあえずスケッチブックからこっちの身の丈二倍程の大剣を取り出し炎で軽化してから、槍投げの様にぶんと投げつける。50万倍、手が離れた瞬間そう叫べば轟音と共に床が盛大に崩れた。そこで、なぜか困り顔のディーノが頬を掻きつつ登場した。



「……いおりぃ、こりゃあやり過ぎだぜ」
『XANXUSがあれぐらいでやられるとはおもってへん』



 ディーノの登場にみんなが驚愕した。とりあえずこっちはさっきまで座っていた椅子に腰を掛けて疲れたので休ませていただくことにした。



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169:ぜんざい◆A.:2017/01/15(日) 16:56 ID:Ldk



 少し寝てしまっていたらしい。大爆発でぱちりと目が覚めた。
 ここより上のフロアは消し飛び、ぼろぼろなXANXUSと恭弥の二人。その時戦闘終了の合図が鳴り響く。とりあえず、引き分けやな。だが恭弥は納得できておらず、決着をつけたいとトンファーを構えた。だが、すぐに時計から代理同士の戦闘許可時間外での戦いは固く禁じられていると聞き、恭弥はひゅっと回転させたトンファーで、ボスウォッチをばきっと壊した。
 みんなで一斉に口を開けて目を見開きながら恭弥を見つめる。恭弥は何でもないように壊れたボスウォッチを見せつけ、「いちぬけた」と呟いた。



「ぼ、ボスウォッチを……!! お前何したのかわかってるのか?」
「あり…え…ない…! 今までの戦いは一体なんだったんだ…」



 ディーノとマーモンがそう口を動かす。風くんが鼻をすすってから控えめに「優勝したら私と戦うと言う約束はよかったのですか?」と疑問を投げたら。



「僕は戦いたいときに戦う」
『……唯我独尊やな』
「……何か言ったかい?」
『なんも言うてへん』



 さっと目を逸らせばXANXUSが「だはっ! 同感!」と笑い出してこんなもの!と叫びながら憤怒の炎を時計に集める。それを見た瞬間マーモンは飛び上がり、他の幹部はXANXUSにのしかかった。



「ボォス! それはダメ!!!」
「はなせカス共!」
「嫌よXANXUS! 流石に全財産使い果たしたマーモンが可哀想!」
「時計は壊さないで! マーモンの一生のお願いなのよ!!!」
「ゔぉ゙ぉい跳ね馬ぁ! 早くヒバリをつまみ出せぇ!」



 ドタバタ喜劇を巻き起こしているヴァリアーを横目に檻の方へ赴き檻を消した。プレゼントストップさせて赤ん坊の姿に戻ったマーモンの前にしゃがみこんで頭を撫でる。なんってかわええんやこの子。甘んじて受け入れてあげてますってところがまた。



「……なにさ」
『いや、全財産使い果たしたってほんま? いくらほど?』
「そうだよ、兆はあった。僕は元の姿に戻るために金を集めていたんだ……ヴァリアーリングに使ったよ」
『ん。いおりさんの気まぐれな』



 スケブにさらさらと先程描いた札束の山を五、六個ほど書いて出現させ、現実のものとするために破り捨てる。ぱっと現れた金の山にマーモンは唖然とした。



「……これ、本物?」
『ん、本物。京の額の金や。やる』
「……くれるの」
『嘘は言わん』



 ふよふよと浮遊して金の山を見上げるマーモンはこちらを向いて「感謝の言葉なんて言わないよ」と幻術でそれを消して少し嬉しげだった。こっちは最後にマーモンの頭を撫でてからディーノと戦うと言って聞かない恭弥の元へ行く。



『恭弥、こっち疲れてもた。風くんも、帰ろや』
「うん」
「はぁ!!!?」



 ディーノが背後で大口開いて驚いているのを一瞥し、蔑笑して背負えと無言の圧力を掛けてくる恭弥をおぶった。恭弥の頭の上に風くんが飛び乗った気配がする。



『……そんじゃ、お先失礼するで』



 そのまま床からタンッと飛び降りる。スケブから浮遊機を呼び出し取り付けてそのまま家へと直行した。



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170:ぜんざい◆A.:2017/01/15(日) 22:26 ID:Ldk


 空中散歩をして、しばらくしてから風くんは報告が入った第八のアルコバレーノについてアルコバレーノ全員で話し合うために今夜は一晩空けると途中で別れた。いってらっしゃいと一言送り出してもう遅いからとっとと家に帰って寝ようということになった。面倒なので今日も恭弥は家に泊まる。途中コンビニに寄りたいと言い出したので恭弥をコンビニで下ろして天体観測。栄養ドリンク等を購入して出てきた恭弥を再び連れて帰宅する。
 もう今日はいろいろあって疲れたわ。とソファに座り込んだ。電気をつける気力も無い。
 新任英語教師として現れたディーノ、ヴァリアーとの代理戦争の引き分け、恭弥の自爆。本当に、いろいろとありすぎた。ヴァリアーのみんなが規格外過ぎる。マーモンかわいかったよ。



『もう、はよ寝よ』
「……」



 はあと溜め息をついて立ち上がれば隣に座ってテレビを見ていた恭弥がすかさずグッとこっちの服の袖を親指と人差し指で摘まんで引っ張った。なんやこのいじらしくも可愛ええ小動物は。
 とか考えてる場合じゃない。素早く脳内整理を終えて、それでも唖然として恭弥を見つめる。とりあえず中腰のこの状態も腰にクるのでもう一度座らせてもらった。



「……」
『……』



 隣でむすっとこちらを見てくる恭弥の鋭い目を見つめ返して数十秒、恭弥はおもむろに全体重を乗せてぐいっと唇を寄せてくる。その表紙に自然と押し倒される形になって、珍しく今日はこちらが下だ。軽やかなリップ音を立てて離れる恭弥は目を見開いた。



『……ん?』
「ん、じゃないよ。もうちょっと警戒心を持ったらどうだい? 無防備過ぎる」
『……はぁ、風紀委員がこんなことしてええんか』
「僕も男なんだよ。……もう、僕がコンビニに寄った理由も分かってるんじゃないかい?」



 がさりと栄養ドリンクの中から取り出した、恭弥の手に収まって彼が揺らす度からからと中から音を出す箱を唖然と見つめる。
 僕は男、こっちは無防備過ぎる。つまり、そう言うことで。コンビニに寄ったんも、ソレ買うためで。今こっちに覆い被さっている恭弥は薄ら笑いを浮かべた。



『……あー』



 言葉にならない呻き声をあげながら右腕で目を覆えばすかさずそれは外されて頭の上で固定された。こっちの上にいながらもやっぱりどこか可愛らしい顔をする恭弥の唇に吸い付いて舌を差し入れて歯列をなぞり、上顎を擽って流れてくる唾液を飲み込む。



「……っは、ぁ」
『……あー、こっち初めてやけど』
「安心しなよ、僕もだから」



 再びもう一度唸って、まあエエか。もうどうにでもなれと不敵な笑みを浮かべてから恭弥の腰を片腕で引き寄せた。



**



 情事後、体力の限界の所為か、ソファの上でぐっすりと眠る恭弥に服を着せてから換気扇を回す。ついでに窓を開けて網戸にした。声は最小限押さえたので大丈夫な筈……って信じたいわぁ。とりあえず恭弥からは「僕の下に居るクセに言葉で攻めてこないでくれないか」と後々言われそうだ。やって、やられっぱなしはしょうに合わへんし。



『……途中で戦闘許可時間になったな』



 一応盗聴される危険性もあるので時計は外していた。もう既に終わっているであろうそれに沢田たちはどうなったやろうかと黒のTシャツと短パンを着ながら考える。スカルと言うアルコバレーノがやられてバミューダと言うヴィンディチェ引き連れた透明のおしゃぶりの赤ん坊。謎やな、とか思いながらなんの会議をしとるんやろうと今ここにいない赤色のアルコバレーノの姿を浮かべた。
 黒猫のような恭弥に毛布を掛けてとりあえずこっちはタブレットからユーチューブで活動しているポッキーさんの実況動画を見ることにした。



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171:ぜんざい◆A.:2017/01/17(火) 23:34 ID:Few

それからしばらくして、目覚めた恭弥と朝食を取る。風くんはまだ帰ってきていない。朝食を腹に納めてから昨日一睡もしてないのに気が付き、自覚した途端激しい眠気が襲ってきた。

『すまん恭弥。眠いから寝るわ』
「…僕もまだ眠い」

クッションを枕代わりにしてソファに寝転ぶと、恭弥がもうひとつのソファに腰を掛けて目を閉じた。腰は痛いし体はダルいしと調子は悪いものの、気分は悪くない。なんやろ、なんちゅーかすっきりしとる言うか。そんなことを考えながら、瞼は自然に降りてきて、抗わずに睡眠を欲した。
しばらくしてからがちゃりと玄関の鍵が開けられた気がして、目を覚ます。リビングを見渡せば既に恭弥は起きていて、FAIRYTAILを手に読書をしていた。ぼうっとしたまま空を見つめていたらリビングの扉が開けられて、気の抜けた声が響く。それを聞いた途端恭弥が漫画から顔をあげて嫌そうに顔をしかめた。ディーノである。

『…兄貴か、おはよう』
「おうおはよう! もう昼前だけどな…ってうお!? なんで恭弥がここに居るんだ!?」
「貴方には関係ない」
『昨日遅かったし、こっち体力限界やったから送る暇無くてな。泊まらせた』

少し微妙な顔をしたディーノだが、彼はこっちが本当に、体力が無いことを知っている。

「ほら、家でゴロゴロしてっと不健康だぜ。飯食い行こう!」
『嫌や』
「嫌だ」
「二人揃って即答かよ!」

ショックを受けたような振る舞いをするディーノをとりあえずソファに座らせて、テレビを付ける。キッチンの昇降機からポテトチップスのLサイズの袋を持ってコーヒーテーブルの上で広げた。コの時型のソファの一角をうつ伏せに寝転がって漫画を静かに読んでいる恭弥に占拠されているが、まあ許してやろう。
庭に繋がる大窓の方からゴオと言う音が聞こえ、首をかしげる。恭弥はめんどくさそうに身を起こした。そしてディーノが「ツナか!」と笑みを浮かべて名を呼んだ。上から降りてきたのは沢田。降りてきた沢田に合わせて窓の鍵をがちゃりと開けて中に入れる。

『よお分かったな、ここが家て』
「ツナは初代ボンゴレの直列の血筋だからな。ボンゴレの血(ブラッド・オブ・ボンゴレ)のおかげで超直感ってのがあるんだ」
『そら便利やな』

わしゃと沢田の頭を撫でてから家に改めて招いた。

「で。どうしたんだ? ツナ」
「あの、実は、三人に話があって来たんです!」
「話? 急ぐのか?」
「はい! とても!」

沢田に説明を受ければ、復讐者とはアルコバレーノの成れの果てらしい。この代理戦争は次期アルコバレーノを探すための戦争で、現アルコバレーノたちに掛けられた呪いは解けるどころか、勝敗がどうであれクビになり殺されてしまう、これは名が残らぬよう二世代間に分けられ、選ばれし七人がアルコバレーノになってしまう“運命の日”もまた然りらしい。仮にアルコバレーノは生き残っても廃人になるか、ヴィン復讐者になるかのどちらか。そして復讐者かつ透明のおしゃぶりを持つバミューダはこのアルコバレーノ交替システムを無くすため代理戦争に参戦し、唯一接触の可能な優勝のタイミングで、鉄の帽子の男、チェッカーフェイスを倒そうとしている。だが、チェッカーフェイスとシステムを葬り去ると現アルコバレーノの存在も消えてしまう。アルコバレーノに残されたのは生きるか死ぬかではなく、何をして死ぬかに限られている。だが沢田は現アルコバレーノを見殺しにせず7зを維持する方法を見つけた。それはおしゃぶりの死ぬ気の炎がなくなる前に、新しい炎を注入すると言うこと。その七つの炎が今後消えぬよう第8の炎『夜の炎』の持つワープの特性を使い延々と炎をともしていられる。イコール現アルコバレーノは死なないし、今後アルコバレーノと言う被害も合わないと言う事だ。

「バミューダチームそこまで強いのか!」
『それ、エエ案やけど、先にそのバミューダ倒さんとソレは無理ちゃうか』
「その事で話があります。俺の家に行きましょう」
「おう」
『ん』
「…」

そうしてこっちらは沢田家へ移動したのだった。

172:ぜんざい◆A.:2017/01/18(水) 22:32 ID:Few


 沢田家に来ると、既にヴァリアーや古里達、ミルフィオーレやキャバッローネの人々が彼の家の中や収まりきらなかった人は家の外にいた。とりあえず恭弥が中に入って群れるのを嫌がったのでお隣の屋根の上で待機。まもなくして恭弥くんは寝転がって寝ましたがなにか?
 こう見ると、ボンゴレの守護者のくせしてやはりボスである沢田と関わり合いがあまりなかったからか見知らぬ顔は多い。あのシモンの所に居るメガネとかリーゼンとか誰やねん。いやそれより。
 沢田家の庭の塀にほと近いところにてフワフワと背中の羽で宙に浮くあのぼさぼさヘアーの方は誰かな? もしかして白蘭サンなん?



『……とりあえず、書こう』



 全体的に白い風貌にまっさらな汚れを知らなさそうな白銀ともとれる綺麗な翼。これを絵に書かないで誰が美術部やっちゅーねん。持参の百均とかで売ってるスケブ片手に凄まじい速度でシャーペンを滑らせる。バリバリと音がうるさかったからか恭弥が眉を潜めながら起き上がってきた。



「……何書いてるの」
『あっこの白い人。後で許可とる。あかんかったら捨てる』
「いおりは僕だけを描けば良い」
『え、いや、そういう訳にもいかん』
「……書き上がったら見せてよね」
『ん』



 再び上体を倒して睡眠を取り始める恭弥を微かに一瞥してもう一度白蘭らしき人物を観察しようとすると、彼はこっちの目の前でにこにことこちらを見ていた。



『……ビビった……』
「ホントに? そのわりに普通の顔だけど?」
『いや、驚きましたて』
「関西弁だし、やっぱり伊達サンだね。君にとっては“はじめまして”かな、知っての通り僕は白蘭だよ」
『……ども』



 やはり白蘭だったのかと嘆息し、被写体として絵を描いても良いかと聞けば「もっちろん! 全然おーけーだよっ!」と後で見せてねと許可をいただいた。彼は満足したのか先程の場所に戻り、やはりにこにこしながら空中浮遊。
 沢田にお守りを渡しに来たらしい笹川京子(今後は京子と呼ぼうそうしよう)やハルがクロームを連れて沢田家に訪れた。彼女たちはヴァリアーを見「はひっ、何か恐い人たちがいます!」家の中を見「バジルくんや古里くんが居る!」白蘭を見「あの人飛んでます!」こっちらを見「お隣の屋根でヒバリさんが寝てて伊達先輩が絵を書いてる!」と声をあげた。静かに見守るクロームはとても麗しゅうございます。



「だから。お願いです。一緒に戦ってください」



 彼の家のリビングから、沢田綱吉の力強い言葉が聞こえた気がした。



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173:ぜんざい◆A.:2017/01/21(土) 11:12 ID:Few



 前回、復讐者(ヴィンディチェ)に闇討ちを掛けられたらしい沢田はリボーンくん達アルコバレーノ達を救うための道具をあの彫金師、タルボさんに頼んでいると言う。



「ここにみんなに来てもらってることも、リボーンが知ったらきっと反対すると思う。もちろん無理にとは言いません、この戦いは危険すぎるんだ……」



 そうこっちらに告げた沢田の顔は勝ち目が無いなんて思っている顔じゃなかった。自然と布に隠れた顔が微かに緩むのを感じる。隣の恭弥も少しむず痒い顔をしていた。他のみんなも口に笑みを浮かべたり、曖昧な顔をする。



「フフッ。でもツナ君は勝ち目が無いなんて顔してないよ」



 そう笑みながら呟いたのは古里炎真だった。この言葉を皮切りに骸は「そのようですね、負けるつもりなど毛頭ない、そういう顔だ」と呆れた笑みを見せて一言放つ。「こーゆーときの綱吉くんて怖いんだ♪」「何を企んでやがる、ドカス」と白蘭、XANXUSも続けた。



「まだ細かく詰めてはいないけど、ひとつだけ決めてます……。
今度はこちらから仕掛けるんだ!!!!!!」



**

虹の代理戦争四日目。午後3時。「ティリリ」と『リ』ゲシュタルト崩壊を巻き起こしそうなけたたましい音で戦闘開始時間は始まった。今回の制限時間は90分。ずいぶんと長いものだなと嘆息すれば隣の恭弥がちらりとこちらを見てから視線を前に戻す。
 ディーノは立ちはだかる復讐者のイェーガーと透明のおしゃぶりを持つバミューダを前に彼らのなぜ沢田がいないのかと言う質問に答えてやった。
 沢田を中心に復讐者を倒す作戦を考えたのだが、やはり個性豊かすぎるメンバー故か、白蘭とXANXUS、六道骸が復讐者で一番強いイェーガーと戦いたいと物申した。沢田がそれだとバランスが悪くなるんじゃ、と横槍を入れると「断るのならやめだ、てめえとは組まん」「交渉決裂ですね」「多分僕も作戦作っても破ってイェーガークンのとこ行っちゃうな」と協調性皆無だ。沢田がディーノに助けを求めれば「お前がイェーガーと戦ったりそれ以外の復讐者に人員を均等に割く必要はない」と教えられる。
 イェーガー以外の復讐者を分断出来れば勝機はあるのだ。白蘭、XANXUS、六道骸がイェーガーにつっかかってる間、年が近くて機動力もあり実力も兼ね備えた沢田、古里、バジルの遊撃隊で各個撃破でも良い。こうして作戦は決まり、相手が自分達になったのだと教える。
 戦闘になった途端白蘭はイェーガーに白龍を繰り出して襲わせるも、イェーガー達復讐者が持つ第8の炎、夜の炎の特性『ワープ』でその白龍は首を斬られて倒された。
 そのままワープしたイェーガーは白蘭のところにいくと思われたが、XANXUSの背後に移動する。気付いたXANXUSが舌打ちを咬まして右腕の銃を振り上げたと同時にイェーガーの腕がXANXUSの右腕を吹き飛ばした。宙を舞うXANXUSの右腕を見てスクアーロは顔を驚愕に歪ませて左手の拳銃でイェーガーが居たところを撃つも避けられる。そのまま斬り掛かったスクアーロは左腕に装着された剣を振るうもワープで避けられ背後を取られた。そのまま剣でイェーガーの拳を受け止めるも剣がやられてしまい、スクアーロは心臓を貫かれてしまう。
 倒れたスクアーロに「起きろカスザメ」と短く言葉を吐いたXANXUSは飛ばされた右腕の断面を自身の怒りの炎で焼き止めて「ボス! 隊長!」駆け寄ってくるマーモンを「るせえ! 俺の事はほっとけ!」と怒鳴って一喝した。彼の皮膚には本気でキレると浮かび上がると言う9代目につけられた傷が見えており、怒り狂っている。怖きかな。



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174:ぜんざい◆A.:2017/01/21(土) 11:43 ID:Few



 骸が「問題は死角となる背後へのショートワープ」と告げて、ヴェルデの幻術を本物にする機械で背後に鋼鉄のカバーを作った。白蘭の背後からぶつけられたイェーガーの攻撃はその鋼鉄のカバーに阻まれる。だが、次の瞬間イェーガーは腕だけワープさせ、白蘭の体を貫いた。ワープは全体だけではなかったらしい。盛大に血を吹き出す白蘭は「ほらXANXUSクン、今だよ」とXANXUSに指示した。



「でかしたドカス!」



 そう叫んだXANXUSは左の拳銃で経口がひどくでかいそれをぶっぱした。しかし、ぶっぱするもイェーガーはそれをワープで避けてXANXUSの両足の腱を切った。倒れ込むXANXUSと白蘭に、ヴェルデが呪解してスパナたちとの合作であるG(グリーン)・モスカで応戦するも効果なし。速攻でやられてしまった。
 そのまま六道の背後に飛んだイェーガーは彼の槍を折って腹へと腕を突き刺す。「浅いか」と引き抜いてもう一度刺そうとするその腕はディーノの鞭に巻かれて阻止された。なんてハイレベルな攻防だろうか。
 だがしかし、腕を残してワープしたイェーガーがディーノを肩から腰に掛けて大きく切り裂く。もう一撃食らわそうとするイェーガーの腕はディーノが骸にたいして攻撃を防いだように、鎖に腕を浚われ再び阻止された。そのチェーンの先に居たのは、トンファーを握る恭弥だった。



「借りは返したよ」



 ディーノに何か借りがあったらしい。未来でのことかと納得する。そのまま恭弥はイェーガーに鎖を投げ付けて仕掛ければ、イェーガーはワープするでもなくて受け止めてダメージをいなす。彼は今避けなかった。ということは、VGでの攻撃はワープで避けられないと言うこと。チャンスやな、とこちらはスケブで描いた転送機器を使い音もなくイェーガーの背後に現れ、斧で背を切り裂いた。



「ぐあっ!」
「なんだって!?」
「!!! ナイスだぞダテ!」



 痛みに声をあげるイェーガーに構いもせずスケブから槍を放つ。結局は避けられたが逃がすわけにもいかない。



「! ……彼女は」
「風の代理だった、ボンゴレの二人目の最強だぞ、バミューダ」
「……雲雀恭弥はまあ対処できる……彼女のあの瞬間移動はなんだったんだ」
「あいつのボンゴレギアだ。あのボンゴレギアは想像力と画力がものを言う。絵描きのダテにはぴったりだ」



 そんな会話をしているとは知らず、距離をとろうとするイェーガーに噛み付くように斧をぐるぐる目まぐるしく振り回した。刃物並みに鋭い腕をついてきたので宙返りして避けて、距離を取ったイェーガーにスケブから刀を取り出す。



『100万倍の10tや!!』



 宙返りのまま刀をぶおんと投げ飛ばしながらそう叫ぶ。勢いよくかつ素早く飛んでいく刀はイェーガーめがけて飛んでいき、次の瞬間にはドオオォンと地を大きく揺らして大きく砂煙を発生させた。
 ぶわ、と巻き起こる風はこちらの体を吹き飛ばしてくれる。ばさばさと激しくはためくボロ布を視界に入れながら地面まであとどれくらいだ。と呑気に考えながら宙を飛んでいればがっと体を支えられる。顔を見れば六道骸だった。



『お前か、六道』
「凄まじい攻撃でしたね、伊達いおり。こんな実力者がボンゴレにまだ居たとは」
『とりあえず離して』



 支えられていた骸の腕を退けてイェーガーの方を見る。砂煙が晴れればそこには地面を大きく陥没させて刺さっている刀と、その横で膝をついているイェーガー。……攻撃の刃は届いた筈。



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175:ぜんざい◆A.:2017/01/21(土) 15:35 ID:Few


 ふわっとイェーガーの肩に乗り上げたバミューダ。



「次から次へと雑魚共か」
「いいさ、今のでディーノ君は戦えなくなった」

 グッと血を吹き出しながら膝をつくディーノはとても体調が悪そうだ。慌ててディーノに駆け寄り背中に背負ってXANXUSの元へ運ぶ。「あと三人だな」と呟いたイェーガーはちらりとこちらを見て、ふいと目をそらした。
 スケブから某魔法先生漫画で読んだ近衛ちゃんの治癒扇を取り出して回復に当たる。漫画同様完全回復治癒は一日一回、怪我をしてから3分間。右腕と足の腱が斬られてしまったXANXUSにそれを使用する。もとに戻る右腕と足を見てマーモンが「な、治った!?」と声をあげる。彼女の頭を撫でながら「治っても体力がない、見といたって」と頼んでからディーノの方に取り掛かる。ある程度回復させてふぅと額の脂汗を拭った。
 背中から聞こえるのは骸と恭弥の不一致な協力でイェーガーを追い詰めている音、途中から沢田が到着した。なぜこっちと恭弥のVGの攻撃をワープで避けなかったのか、今はなぜ避けていられているのか、疑問に思うもディーノに専念せねば。背後をちらりと一瞥して完全にディーノを治す。「ありがとな」と返ってくるディーノの言葉にどっと疲れが襲ってきた。



「驚いたぞ、お前のVGはこんなこともできるのか」
『これはこっちの知識から引っ張り出してきたやつや。テキストと絵を一緒に描けば、実現化する』
「有能だな」



 話し掛けてきたリボーンくんにそうやって答えを返す。
 その直後、近くからずぶりと言う肉が裂ける音が響いた。何事かと背後を見れば、何も居なくて疑問に思うも直ぐにこれは他人のものではないと感じた。一同がこちらを見て目を見開いていたのを見て自覚する。



『あ゙ぁっ!?』



 そのとたんじくじくどころではなく焼けるような痛みが襲ってきて思わずガクリと膝を付いた。ボロ布さえ貫いてこっちの肩を怪我させたのはあの部分ワープで、出てきた腕を無理矢理ひっこぬく。



『っで、』
「ダテ!!! お前なに無理矢理ひっこぬいてんだ!」
「っ、いおり!」



 リボーンが駆け寄ってきて、同じように左肩に刺し傷のような傷で血を垂れ流して倒れている恭弥が叫ぶ。
 どうやら復讐者はバミューダに与えられた炎エネルギーを蓄えて戦っていたらしい、バミューダが肩に頻繁に乗っかるのは補給するため。気付かなかったこちらも悪いが、よく気づいてくれた沢田。そうしてイェーガーを倒したようなのだが、イェーガーは最後の力を振り絞り、無傷のこっちに傷を負わせてくれたようだ。
 貫通した痛みは尋常ではなく、空いた風穴を押さえてうずくまる。



『ふぐっゔぅ』
「ダテ!」
「伊達さん!」



 はあはあと荒く息を乱すこっちにリボーンは(ここまで伊達が表情を露にするのは珍しいな、それだけやべえってことか)と顔をしかめる。
 恭弥も恭弥で自分だって痛いくせしてこっち見よってからに。最後の力を振り絞ってスケブに手を伸ばす。ひゅん、と出てきたのは先程と同じ治癒扇。これ、本当は一日一回やねんけど、明日の分を前借りして使うこともできる。
 光出すそれに身を任せればばきばきぼきぼきと肩から聞きたくない音が聞こえてきて口を固く引き結ぶ。布をめくればそこに傷はもうなく、いつも通りの肩だ。
 ダルい、体の中でなにかがぐるぐる回っているような気がしてならない。これは大きすぎる治癒扇子の力が体の中で渦巻いていると言うことか。後でどうにかせねばと落ちてくる瞼に好きにさせて、意識の糸はプツンと切れた。



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176:ぜんざい◆A.:2017/01/21(土) 16:11 ID:Few


 目が覚めたらそこは病院で、一番に視界に飛び込んできたのは真っ白な天井だった。
 むくりと起き上がって部屋を見渡せばいつも通りに優しく微笑む風くんを見て、『終わったん?』と聞けば「はい」と返された。彼の胸元におしゃぶりはないので大方成功したのだろう。
 こっちはなぜか普通の病服ではなく、黒いパジャマだ。……恭弥のものと同じだが、下は短パンだった。
 ……ともかくここは病室の、個室だ。とりあえずボロ布は無かったのでシーツで代用すれば「相変わらずですね」と曖昧に笑われた。
 そのまま風くんを抱き上げて腕に抱えながらぽけーっとしてると隣の病室が騒がしくなって、次の瞬間にはどごおーん、と派手な音を立てながら炎がこの部屋の壁を貫き、そのまま反対側の壁すらをも破壊した。
 目の前をきょとんと眺めていると炎が飛んできた反対側からビュッと鎖が飛ぶ。飛んでいった方向から「なっ、今の武器は!」と言う聞き覚えのある声が聞こえてきた。あの鎖は確か、恭弥のVG。隣は恭弥の部屋やったんか……。
 ぎゅ、と風くんを抱いてシーツの奥からぼう、とそちらを風くんと一緒になって見ていればヒバードの群れを連れた黒いパジャマ姿の恭弥が「僕の眠りを妨げるものは、何人たりとも咬み殺す」と告げる。
 恭弥とは反対側の部屋はヴァリアーが使っていたらしくて、沢田が「ヒバリさんもこの病院に!?」と叫びをあげる。ここは多分並盛病院やろな。っていうか恭弥、奥の壁壊してもーとるやん。



「ん、あれ、いおり」
『お、おはよう恭弥』
「ヴァリアーの隣の病室伊達さんだった! 伊達さんもこの病院にいたんだ……」
『ん。お疲れ沢田』



 布の奥からひらひらと手を振れば「白玉さんから手をふってもらった!」とハイテンションになる沢田。
 こちらにちょこんとやって来た数匹のヒバードの頭を撫でながら彼らのやり取りを傍観する。あ、ミルフィオーレも居る。
 恭弥が貫いた反対側の壁はどうやら六道たち黒曜一味がいたようで、ヴァリアー、恭弥、ミルフィオーレ、黒曜一味でドンパチ始めよった。やめろや。
 早々に傍観をやめて自身の個室にVGで作った絶対空域を張り付けて再びベッドに背を下ろす。



『……おしゃぶり無いと違和感あるなぁ風くん』
「そうですか? 私にはよく分かりませんね」
『風くんこれからどないするん?』
「……そうですね、呪いも解けましたし。私たちはこのまま年を重ねて成長するようなので、また旅に出ようかと」
『寂しなるなぁ……。よかったらでエエからこっちの家拠点にしたら?』
「良いのですか」
『かまんかまん、今更や』



 わしゃわしゃと髪をなでくり回す。多分中学を卒業したらボンゴレ本部があるイタリアに飛ぶ予感もするし、穏やかな残りの日々を楽しもうではないか。
 よきかなよきかな、と雲ひとつない晴天の空を窓から見上げた。



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177:ぜんざい◆A.:2017/01/21(土) 16:42 ID:Few


 あれから一週間、こっちは以前とは少し違った生活を送っていた。……親が、帰ってきたのだ。



「いおりー、ボンゴレの守護者になったんですって? 名誉なことよねー」
「俺らが世界一周旅行と言う名のキャバッローネの任務に当たっとるときにそないでかいところの幹部になっとるとはな……!」
『……うっざ』



 どうやら両親はキャバッローネファミリー所属だったらしい。なんだってんだよ! とか某ポケモンダイパのキャラクターみたいに言ってみてももう遅いし、はぁと溜め息を吐いた。
 親は火傷とか傷とか初日はめちゃくちゃうるさかったので思いきりスルーして学校にやって来た。
 そう言えば、変わったところと言えば、みっつ。ひとつは恭弥がオープンに近付いてくるようになった。



「おはよういおり」
『おはよう恭弥、お疲れ』



 校門を通って下駄箱付近で恭弥と出会った。まだ関係性は明かしてはいないものの勘が超直感並みに鋭ければ気づいているやつも居るだろう。男子生徒の無躾な視線を受けながら溜め息を吐く。
 二つ目はもう学校中にこっちが白玉だと言うことがバレてファンだと言う子がサインをねだりに来るようになった。そう言うのは苦手なので最近は全力で逃げている。
 三つ目、それは沢田たちが見掛けたら挨拶しに来てくれることだ。



「おはようダテ」
「お、おはようございます伊達さん!」
「おはようなのな、伊達先輩!」
「っち」
『おんおはよう。っちゅーか最後の舌打ち気に入らんねんけど。なぁ、めっちゃ気に入らんねんけど。気に入らんねんけどおい獄寺』
「うるっせーよ! うぜーな!」



 う、うざないわ!
 内心動揺しながらもスルーして『じゃ』と先行く恭弥のあとを追う。



『……恭弥、今日見回りか?』
「そうだね、午後から」



 隣を歩く恭弥に聞けば午後からだと聞く。そのまま応接室に入れば恭弥はばふ、とソファに腰を下ろした。こっちもつられて反対側のソファに座る。
 そのまま無言で見つめ合うと少し笑えてきて、布の奥で口が緩んだ。



「いおり」
『なん』
「好きだよ」
『こっちも好きやで恭弥』



 満足したようにふわりと微笑む恭弥に鼻血が出そうだ。慌てて鼻を手で覆ってからティッシュで押さえた。



「……なにしてるの」
『……鼻血出そう。ちょお、さっきの顔に興奮した』
「変態」



 結局鼻血が出なかったのが一番の救いで、いじらしくも子供らしく可愛らしいキスをかましてきた恭弥に無理矢理攻守させて舌を滑り込ませてから口内を犯す。ぷは、と口を離せばそこから伸びる唾液はぷつりと切れた。



「……いおり、」
『ホンマかわええなぁ、恭弥』
「放せ馬鹿!」



 恭弥くんは相変わらず可愛らしいです。



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178:ぜんざい◆A.:2017/01/21(土) 17:34 ID:Few


 一応上記のもので完結です。ここから番外編やifが増えます。きっと。

番外編【知られる】

 一人のボロ布を頭から被った少女が学校の廊下を歩けば、周りの生徒たちは割れるように道を開ける。
 少女_伊達は普通より男らしい顔をしている平凡な少女だ。特段美少女と言うわけでも無いし、勉強は彼女の取ったテストの点数は平均点として扱われるし、運動も飛び抜けて言い訳でもない。彼女としては女子持久走の1000mを走りきれるような体力すら持ち合わせていなかった。所謂体力無しだ。それでも生徒は彼女を目で追う。
 ただ、人柄は女子から憧れの的になるような気品と優しさを持ち合わせて心がかなり広い。以前一人の女子生徒が文化祭の時に伊達にペンキをぶちまけてしまっても「気にしなや」と怒りすらしなかった。行動が男らしいからなのだろうか。彼女に恋愛的な好意を抱く少女は多い。
 顔は平凡と言えどパーツは一つ一つが綺麗なもので、布から覗くショートカットで毛先が外に跳ねた艶やかかつ綺麗な黒髪、眼鏡の奥からでも色褪せない黒に赤が混じったような切れ長な目、化粧などしていない頬は薄い小麦色で、横一線に固く結ばれた唇はリップなど塗っていないだろうに綺麗な薄い桃色。彼女は可愛いものはあまり好きではなく、制服はリボンではなくネクタイだった。可愛いものも似合うだろうにと思った生徒は数知れず。
 身長は170cm程と高く、腕はすらりと長い。ミニスカートから伸びる太ももはちょうどいい具合に柔らかそうで、布からちらりと見えるふくらはぎは流石空手部だと思える程引き締まっている。腰は贅肉など知らぬようにアーデルハイト程ではないにしろ細く、
 ただ、男子が目で追うのは制服のベストに収まるネクタイと揺れる伊達の制服をはち切れんばかりに圧迫しているその豊満な胸だった。
 人よりかなり大きなサイズの胸は歩くたびに制服ごとたゆん、と魅惑的に揺れて視線が釘付けになってしまう。全体的にバランスの取れた肉体に恐らく形のいい美乳だろうと思われるそれは、思春期の男子生徒には目の毒だった。それがボロ布で隠され余計に妖艶に思えて、見てはいけないものを見てしまっているような感覚に陥る。幾人もの男子生徒が彼女を脳内で犯しただろうか。既に彼女が並盛最強の風紀委員長に全てを晒して繋がったことなど知るよしもない。
 そんな彼女に告白などと言う無謀なことをするようなバカはいない。彼女は校内のクールイケメンかつ高嶺の花は誰も手が出せないのだ。
 今、彼女に最も近いと言われている男が一人いる。だが、雲雀との関係などまだ知られていないので、それは違う。
 彼女に好意を抱くことを顕著に表す少年がいるのだ。



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179:ぜんざい◆A.:2017/01/21(土) 22:52 ID:Few

ただ、その少年はいおりのことが好きでも、いおり自身名前なんて覚えていないので話すのは決まって少年から。おはよう等の会話なのだが、マフィア関連人物以外で自分から話し掛けに行かないいおりはもちろん自分からその少年に声をかけることなどない。ただ、少年が話し掛けると短い挨拶程度はするので「伊達さんが喋ってる!」と噂になっていた。

「おっ、おはよう伊達!」
『おはよう』

 その日も少年はいおりに声を掛けた。友人からは彼氏確定じゃね等とつい先程言われたからか少し嬉しそうだ。それもそのはず、彼はサッカー部のエースのイケメン、例に漏れず女の子にモテていた部類だった。対するいおりは元々自身に声を掛けてくれる人が少ないので少し感激しつつ表には出さない。
 そのまま少し立ち話をして、二人は別れる。もちろんその少年が彼氏確定かもしれないと言う噂はいおりの耳には一切入っていないのだ。だが、雲雀は違う。自分が居ないときに特定も出来ない男子がそんなことを噂されていることに若干の腹を立てつつも応接室以外では風紀委員長の威厳を失うわけにもいかないのでやきもきしていた。

「淵樫(フチカシ)。伊達さんもお前に気があるんじゃね?」
「やめろって! まあ、昼休みに伊達さんに告白しようとは思ってるけど」

 まあ、呼び出すんじゃなくて俺が自分から伊達さんのとこ行くんだ。と照れ臭そうに告げた少年_淵樫の思考回路はこうだった。自分から伊達のクラスへ赴き、そこで告白する。そしてオーケーを貰えばそこで彼女を自分のものとして知らしめることが出来ると言う訳で。そして淵樫は、いおりの口から出る言葉がもうオーケー以外出ることはないと思っていた。
 昼休み、淵樫がいおりのクラスに行くといおりは居なかった。クラスメイトに聞くと、大抵昼休みは授業が終わるとすぐに教室を出ていると言う。今回も例に漏れず。そう聞いた途端淵樫は駆け出した。早くいおりのところで告白せねば、と言う謎の使命感に駈られながら。いおりの背中を見付けたのは応接室の近くだった。ここには誰も寄り付かないのに。危ないだろう、と淵樫が「伊達!」と声を掛ける前にいおりは五回ほどノックしたあと、がらりと扉を開いて何でもないように中に入っていった。ここで少年は目を見開く。伊達が慣れた手付きで風紀委員長の居る応接室に入っていったのだ。何をしにいったのかとても気になる為、聞き耳を立てた。奥から聞こえてきた言葉に淵樫はさらに目を見開くこととなる。

『ありがと恭弥、…このぜんざいどこで買ってきたん?』
「いおりが初めて僕の絵を描いたあそこだよ、僕が買いに行った訳じゃないけど」
『ああ、やっぱりか。あそこのぜんざいうまいやんな』
「そうだね」

なんと、あの雲雀と伊達が仲良さげに下の名前を呼びながら会話をしていたのだ。しかもいおりから声を掛けている。安らいだアルトトーンの声は耳にはご褒美だが、この展開は自分にとって良いものではない。伊達は俺が好きなんじゃなかったのか!? と言う疑問を抱えてはじめて気付く。いつも伊達に声を掛けていたのは自分だったこと、伊達は自分を横切っても何も言わないこと、そして名字すら呼んでいないことに。自分など最初から眼中に無かったのだと言う決定的な答えに辿り着いた。彼女の眼中にあるのは_

「そう言えばいおり、校内でとある男子生徒が君の彼氏確定だとかふざけた噂があるんだけど」
『…そんなんあったん? 知らんかったわ……』
「どうするつもりだったの?」
『嘲笑して断るわ。「こっちは恭弥一筋や」って』
「ワオ」

_雲雀恭弥のみ。しかももう彼女の純白は雲雀に捧げたようだ。そんな深い仲の関係に、勝てるわけもない。朝自分が考えていた作戦なんてあったもんじゃない。逆にこちらがとんでもない恥を掻くところだった。淵樫は呆然自失、ふらふらした足取りで自身の教室へと戻っていった。そして数日後、伊達いおりは雲雀恭弥のものであると言う事実が並盛で騒ぎになった。

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180:ぜんざい◆A.:2017/01/22(日) 08:38 ID:Few


 また新しいものを書きます。三日月宗近転生沢田綱吉成り代わり。雲雀さんは女の子で幼馴染みの並盛最強の最凶。

沢田 宗近
 三条大橋にて、時間遡行軍と交戦中、一緒に出陣していた薬研を庇って折れる。そして目が覚めたら赤ん坊として生まれていて、沢田宗近と名付けられる。顔は三日月宗近と変わらない。
 前世の記憶はあるものの戦闘技術しか使わない。幼い頃から聡明であまり親に手をかけなかった。その代わりめちゃくちゃ甘える。
 五歳の時に父の家光が連れてきた9代目に速攻懐き、夜、自分がマフィアの10代目候補だと知る。「それならば仕方がないなぁ、俺が立派なボンゴレ10代目になろう」とおじいちゃん気満載で9代目と約束して代わりにと三日月宗近と言う日本刀の写しをねだる。許可された。
 雲雀恭弥(♀)と幼馴染みで、超仲良し。ヒバリの年は一つ上。
 自分は美しいと自覚がある。運動は出来る。国語と歴史だけ教師も舌を巻くレベル。その他の教科がずたぼろ。
 リボーンを「坊や」と呼ぶおじいちゃん。部活無所属。死ぬ気弾に当たっても意識はあるしパンイチにならない。性格は穏やかかつのほほんかつおっとりしていてどこか抜けている。
 湯飲みで茶をすする姿が校内でもたびたび目撃されていて相性は「おじいちゃん」や「チカ」など。その綺麗な顔からか女子や女教諭からの支持率も高い。人当たりがよく原作のようなツナくんじゃない。朝はびっくりするほど早起き。縁側でのんびり茶をすすりすぎて遅刻することもしばしばなのでお隣さんの雲雀のバイクに乗せてもらったり。刀の勘は落ちていない。「グローブ」と「刀」を使用。グローブはめて刀を持つとか。雲雀大好き。
 紺色の髪に内番の時のようなバンダナを巻く。私服はあるものの家に居るときはほとんどじんべえ着てる。身長は165cm程度。多分伸びる。

雲雀恭夜(女版雲雀恭弥)
 並中最強最凶の風紀委員長に君臨する不良の頂点。宗近のお隣に住むひとつ上の幼馴染み。性格は原作通りだが、宗近には優しい。宗近が好きすぎて最近少しおかしい少女。
 笹川京子を敵視している面がある。
 宗近に「ボンゴレ10代目候補になった」と報告を受け、「じゃあ僕も入る。宗近の右腕になる」と渋ることなくファミリーに。
 容姿は原作とあまり変わりないが身長が156cmになった巨乳。服装はシャツに学ランを羽織るもののしたは膝より少し上気味のスカート。
 時々仕事を草壁に任せて宗近の部屋に入り浸ることもある。宗近の右腕にくっついていることが多い。宗近が好きすぎてちょっと怖い。
 一人称僕。獄寺や山本には左腕すらもったいないと思ってるちょいヤンデレ。


 上記を読んでこういうものが嫌い、苦手だと言う方はUターンです。

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181:ぜんざい◆A.:2017/01/22(日) 09:00 ID:Few


 俺、三日月宗近は薬研藤四郎を庇って折れた。意識が朦朧とする暗闇の中でその出来事を思い返す。いやはや、薬研はまだまだだなあ、折れてしまった俺も情けない。
 そうして無意識に目を見開けばそこには明るい世界があった。
 待て待て、俺は折れた筈だ、なのになぜ目が開いてあーだのうーだの声が出て小さな手足が動く? ああ、あれか、主の言っていた「転生」と言うものなのか。主が「転生して漫画の世界に行きたい」と常日頃耳が痛くなるほど叫んでいたことを思い出す。すまんなぁ主、俺が転生とやらをしてしまった。
 俺を生んだ両親は沢田奈々と沢田家光。俺は前世とやらでは刀の付喪神だったから親と言うものを感じたことがなかった。そうか、この温もりが親なのかと納得しながらこの人生を謳歌してやろうと微笑み、「あなたの名前は宗近よ、沢田宗近」と聞こえてきた声になんと言う偶然なのだろうなと眠気故に降りてくる瞼をそっと閉じた。

 あれから五年。五歳になった俺、沢田宗近はこの始まったばかりの人生を謳歌していた。お隣さんの雲雀恭夜と言う女の子は所謂幼馴染みと言うもので、家族ぐるみで仲が良かった。それは俺たちも例外ではない。



「宗近、なにする?」
『そうだなぁ、なにをしよう?』
「僕はなんでもいいよ」



 ひょいと唐突にやって来た恭夜に笑みを浮かべて一緒に縁側に座って何をするか考える。
 甚平の裾が引っ張られたかと思ったらこのままのんびりしようと恭夜が笑う。可愛らしい恭夜にそうだなぁと頷いて縁側でのんびりしていればいつもにこにこと笑顔を絶やさない母がお菓子を持ってきてくれた。
 甘くて美味しい饅頭を頬張ったあとにぽけぽけしながら二人して外を見ていれば、父がおじいさんを連れてきた。



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182:ぜんざい◆A.:2017/01/22(日) 09:14 ID:Few


「こんにちは宗近くん。私の名はティモッテオ、よろしくね」
『よろしくなぁ』



 微笑むおじいさん_ティモッテオに笑むとバンダナを巻いた頭を優しく撫でられた。

**

 その夜のことだった。喉の渇きで目が覚めて階段を音も無く降りていればこんな深夜にリビングに明かりがついていた。
 少し聞き耳を立てれば「やはりボンゴレの10代目は宗近くんには向いていないかもしれんな」「そうですか……」とティモッテオさんと父の会話が聞こえてきた。
 そのままドアを開けて『ボンゴレ10代目とはなにかな?』と言いながら姿を表せば「宗近!? 今は夜の一時だぞ!?」と父に怒られはしたものの『喉が乾いた』と言えばすぐなくなった。



『それで、ボンゴレ10代目とはなにかな?』
「……ボンゴレとは、イタリア最大のマフィアのことだ。このティモッテオはその9代目で、今、チカにボンゴレ10代目は出来るかどうか、話し合いをしていただけだ、つってもお前には難しいか」
「君にはまだ早い話だと思うし、難しいだろう、宗近くん」
『そうか……あいわかった。俺が立派な10代目になろう!』



 そう言いながら笑えば彼らは目を見開き「正気かね!?」と口を揃える。



『ああ、正気だぞ。本気の本気、大真面目だ。ボンゴレの歴史に興味が沸いた』
「この年で歴史に興味を持つとは……」
「やっぱりお前は俺の子だ!!!」
『はっはっは、俺はものじゃないぞ父さん』



 ははは、と笑いながら俺が晴れて10代目候補となった夜だった。不意には、と気が付き、『その代わりに』と笑って告げる。



『写しでも贋作でも何でも良い、太刀【三日月 宗近】がほしいなぁ、きっと手に馴染む』
「お前何でそんなもん知ってんだ!?」
「ああ、構わんよ」
「9代目!?」



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183:ぜんざい◆A.:2017/01/22(日) 09:46 ID:Few



「チカ! パス行ったぞ!」
『あいわかった』



 あれから数年の月日が経ち、俺は中学一年生になった。長い時を重ねようとも恭夜との仲は変わらず良くて、よく俺が帰ってきたら部屋にいることもしばしば。ただひとつ変わったと言えばトンファーと言う武器を持って不良を倒して不良の頂点となり、並盛の最強の風紀委員長として君臨していることだ。可愛らしいのは相変わらずだが。
 そんな俺は現在、体育の時間にバレーボールをしていた。回されたトスを飛び上がってスパイクでうち落とせばぱぁんとボールは向こうのコートに当たって大きな音を立てながら跳ね返り、得点として加算される。



「きゃああああっ!」
「チカくーん!」
「かっこいー!」



 騒ぐ外野にも微笑んでチームメイトとハイタッチする。



「やっぱお前が居ると勝てるな!」
「勝利の雄神だ!」
『はっはっは! 褒めろ褒めろ、褒められると俺は喜ぶ』
「じじいかお前は!」
「沢田らしーぜ」



 そんなこんなで試合は終了、体操着のままのんびりコートの外にいくとみんなからおつかれーと声を掛けられる。



「おつかれさんチカ。お前運動できるんだから野球部来いよ!」
『嬉しいことを言ってくれるなぁ山本』
「ちぇ、またかわされた」
『はっはっは!』



**

 そこから放課後、俺がのんびりと帰路を辿ろうと下駄箱に居たとき、後ろから「えっ、チカくん!?」と鈴を転がしたような可愛い声が聞こえてきた。
 不思議に思って振り向けば、そこには剣道部主将で三年の持田と一緒にいる笹川京子の姿が。



『おや笹川。持田さんも一緒か』
「おう沢田」
「ち、違うのチカくん、これは持田先輩に一緒に帰らないかって誘われて……」
『おぉ! そーかそーか。よきかなよきかな。仲が良いのは良いことだ』
「(き、気付いて無いのかな……? よかった……)」



 にこにこと笑みを浮かべながら『またな』と手を振って玄関から出れば「おー、また明日なー」「ま、またね!」と元気よく返ってくる。それに気分を良くして家に帰れば、母さんが「今日からね! 家庭教師の方が来るのよ!」と教えていただいた。



『家庭教師か、俺は国語と歴史以外からっきしだからなぁ』
「成績が上がるまで住み込みなのよ!」
『父さんが仕事に出ているからなぁ、晩飯の時は一人増えるのか』



 そんな会話をリビングでしていた時だった。突如「ちゃおっす」と幼い声が足元から聞こえてきて視線を下ろせばそこには黒いスーツとボルサリーノを被った赤ん坊がいた。
 「3時間早く来ちまったが特別に見てやるぞ」と呟く赤ん坊に母が「ボク、どこの子」と聞けば。



「ん? 俺は家庭教師のリボーン」



 そう答えが帰ってきた。母が「まあ!」と少し大きな声を出す。俺はしゃがみこんで『よろしくなぁ坊や』と数学のテキストを見せながら笑いかければ「わかってんじゃねーか」とリボーンはにやりと笑った。



『母さん、俺は今から勉強するぞ。後で縁側に行くからな』
「分かったわ宗近!」



 元気よく階段を降りていく母さんを見送り、椅子に座って『さて』とリボーンに微笑む。



『本題はどうだ? ティモッテオさんから聞いているのではないかな?』
「その通りだぞ、宗近。俺はお前を立派なボンゴレ10代目にするためにやって来たんだ」
『おお! それでは本格的に頑張ろうか』
「お前は物分かりが良いな」
『そうだろうそうだろう』



 腕を組んで制服のままにこにこと頷けば「じじくさいな」と言われた。いきなりのその言葉はなかなか心に来るな。



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184:ぜんざい◆A.:2017/01/22(日) 10:00 ID:Few


「そうと決まればファミリーを探さねーとな」



 リボーンのその言葉を聞いて直ぐ様恭夜のことが頭に浮かんだ。



『一人ぴったりな人物が居るぞ、坊や』
「お、本当か」
『ああ』



 リボーンを肩に乗せて玄関まで行き、母さんに少し出ると伝えて外に出た。そのまま隣の家のチャイムを鳴らすと、「なに」と短く返ってきた。



『俺だ、宗近だ』
<!? ちょ、ちょっと待ってて!>



 そうして待つ暇もなく玄関が開き、そこから驚いたような顔をしている恭夜が出てきた。



『やあ恭夜』
「珍しいね宗近、滅多に自分からこの家には来ないのに」
『あぁ』
「コイツかチカ」
「……なにその赤ん坊」
『俺の家庭教師だ』



 そうして再び恭夜を連れて自室へと戻ってきた。


「で、なんだい宗近、わざわざ呼びに来て」
『はっはっは、いやぁ。俺がイタリアンマフィアのボンゴレファミリー10代目候補だと伝えておこうとな』
「えっ」



 ぽかんとしてこちらを見つめる恭夜に笑って、『このリボーンと言う坊やは俺を立派な10代目に育て上げてくれるそうだ』と教えれば「なにそれ僕も入る」と、即答される。
 リボーンも「即決だな」と恭夜に聞けば「宗近のいるところに居たいからね。だから宗近の右腕になる」と俺の右腕に引っ付いてきた。柔らかくてういやつめ。



「ファミリー一人目ゲットだな」
『ああ、恭夜が入ってくれて助かった』
「ありがとう宗近」



 ぎゅむっとその大きな胸に抱き込むように恭夜に腕に巻き付かれてもはっはっはと笑う俺を見てリボーンが「鋼の理性だな」とにやりと笑ったのが見えた。



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185:ぜんざい◆A.:2017/01/27(金) 20:00 ID:gtA

眼鏡ボロ布の夢主(完結済み)+10年の復活のif(×ケロロ)

 代理戦争が終わって慌ただしい中学生活を送ってそれから10年。
 沢田綱吉は立派なボンゴレ10代目になって、こっちらはマフィア界でも沢田の守護者として名を轟かしていた。現在はイタリアを拠点として活動している。
 そんなとき、風紀財団の一人からにわかには信じられない情報が舞い込んだと恭弥が渋々ながらに沢田に報告し、ボスを交えた守護者会議となった。
 相変わらずこっちはボロ布を頭から被っとるで。黒のスーツも着とるけど、下は短パンである。



「えっと……ヒバリさんが財団の方からとある情報が入ったとのことで、集まってもらったんですけど……」
『……内容は? 恭弥』
「……日本の武蔵市と言うところで蛙のような見た目をした二足歩行の謎の生物を財団の極一部……数人が確認したみたいなんだよ、一応と思って報告したんだ。……武蔵市っていったら黒曜の反対に位置する並盛の隣だからね」
「っ、ユーマか!? 宇宙人か!?」
「今回ばっかはそーかもしんねーのな!!」



 未知の生物か、とテンション高く椅子からガタリと立ち上がった獄寺の隣で椅子の背もたれに持たれながら頭の後ろで手を組んでいる山本がヘラッと笑った。……非現実的やわぁ、非現実許せるキャパオーバーやって。宇宙人とかユーマとか信じひん。
 六道は別件で動いているためこの場におらず、騒ぐ獄寺と山本に沢田は苦笑いしてからすっと真剣な面持ちに変化した。この10年で彼は根本はそのままなのだろうが、少しだけ変わった。こう、やるときはきっちりやると言うか、ボスって感じの貫禄がある。恭弥は下につくなんて嫌なのだろうけど、それほど対立はなくなっている。



「で。今回のこの件、やっぱり財団の人が見つけたらしいから、ヒバリさんに行ってもらおうと思ってます……大丈夫ですか、ヒバリさん」
「僕は別に構わないよ。その代わり、いおりは連れていく」
『ん?』
「えっ、伊達さんって明日から休暇じゃなかったかな……」



 困ったように髪を掻く沢田はばさばさとそこら辺に散らばる書類を漁り出した。そんな彼を横目に恭弥を見つめて肯定する。



『……おん』
「なら休暇中に確認するだけでも良いんじゃない?」
『……しゃーないな、構わんで。っちゅーわけやから、沢田』
「分かりました……」



 若干遠い目をしながら頷く沢田は苦労人だ。獄寺と山本はからからと苦笑いだ。



「……リボーンにお兄さん貸して貰わないと……」
「えっ、あの芝生頭まだ修行してんすか10代目!?」
「……そうなんだよね」
「ホント物好きなのな!」
「お前は気楽そうで羨ましいよ山本ぉ!」



 ファイト、ボス。

 そんなこんなで、こっちと恭弥は日本に戻ってきた。



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186:ぜんざい◆A.:2017/01/27(金) 20:50 ID:gtA



 並盛から恭弥のバイクに股がってしばらく。情報が確かならここ、『日向』と書かれた一軒家に居るはずなので、わざわざやって来た。



「……ここだね」
『ん』



 恭弥がインターホンに手を掛けたときだった。中から「い・い・い・痛(いっ)てエエエエエエーー!」とその家から叫び声が聞こえてきた。恭弥と顔を見合わせて、一度インターホンを素早く押してから悪いと思いながらも玄関を蹴り破って「軍曹!!」「ど、どうしたの一体!」と声のするリビングに突入した。



「お水いる!? うわっ、すっごい変な汗かいて……ぎゃあああああ! どちら様ーーーー!?」



 黒髪の少年がこちらを見てコップを放り投げながら悲鳴をあげる。彼の足元に居るのは緑色の二足歩行の謎の生物。……情報は確かだったのか。
 緑色の蛙のような生物はぐわんぐわんと頭を回し、ぎゅりっぎゅりっと地面に顔を擦り付け、そしていきなりガバァッ! と顔をあげて何かに耐えるように声にならない悲鳴をあげた。傍らの赤髪の女の子が「やだ! 怖い〜!」と声をあげてから「どちら様!?」と叫ぶ。



「と、とうとうブラックメンが来ちゃったよおぉ〜〜!」
「えっ、嘘ぉ!」
「……そのブラックメンが何を指すのか知らないけど、そこの謎の小動物、ヤバいんじゃないの」
「そっ、そうだ! 軍曹〜!」



 なんとも慌ただしいものだ。そのあとすぐに後ろから「通した通した!」と赤いの黄色いの黒いのがやって来た……なんなんここ。



「ここから先は我々の管轄、余計な手出しは無用だ! ……ん? んなあぁ!?」
「ハイハイ危ないですから下がって〜……ですぅ!? 地求(ポコペン)人がなぜ!?」



 こっちらのことはいったんほっといてと告げれば本当に興味をなくしやがった。クソガエルども……。
 聞くと、緑色の蛙のような生物は『虫歯』らしい。彼らはやはり宇宙人で、彼らの星では虫歯を『C・W(カリエス・ウォー)』と呼ぶらしい。……世界は、広いな。要するに、ミクロ単位の宇宙人も居るらしく、それが歯に巣くっているらしい。それを退治するために自身もミクロになるようだ。へえ。



「そ、そそ……そちらのスーツのお二方は、ど、どういったご用件で……?」



 こっちらはソファに座らされ、その向かいに座ってがくがくぶるぶる震えながらこちらを見てくる一同。布の奥から恭弥を見れば、彼は肘おきに肘をついてはぁとため息を吐いた。



「……君たちは何か勘違いしているようだけど、僕らは別に宇宙人が居たからと言ってどうこうしようという為に来た訳じゃないよ」
「え……?」
「確認さ。僕の財団の一部がそこの緑色の蛙を見たと報告が入ってね。武蔵市の隣は並盛だから、凶悪な奴だったら跡形もなく咬み殺してるけど。見たところそこまで危険そうな奴じゃないから」
「じゃ、じゃあ」
「何もしないよ。まあ、隣は僕の町だから、風紀を乱せば咬み殺す。肝にでも命じておけば?」
「命じておくであります!」



 聞くところによると、彼らは地球を侵略しにケロン星から来た宇宙人らしい。獄寺が見たらテンション上げてそう。
 ケロロと言うらしい緑色の彼はケロロ小隊の隊長のようだ。階級は軍曹らしい。



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187:ぜんざい◆A.:2017/01/28(土) 12:38 ID:JRA


 ちょこちょこ話を変えてスミマセン。ですがしかし。書きたいものを見つけましたのでやっていこうと思います。楓ちゃんが中学の卒業式終了すぐあとにトリップ。年齢は若返って中学一年生。見た目は身長が170cmぐらいまで小さくなったかなぐらい。
【長瀬楓 ネギま!→復活】


 卒業式を終えて、寮に帰宅して、拙者は床についたはずでござる。なのになぜ一軒家の寝室で一人寝ているのだろうか。
 外を見れば麻帆良の都市の面影すらなくて、いろいろと身を持って体験してきたからかここが自分のいた世界ではないと言うことはわかった。まあ確かに自分のいた世界じゃなくて寂しい気持ちも有るが、それを嘆いても仕方がない。そう考えてから拙者はもとの世界に戻れるまでこの世界を満喫しようと決めたのだった。
 驚くことに拙者は中学一年生のようだ。ほうほう、これはまた面白そうな。アーティファクトも有るし、拙者が使っていた忍装束もある。恐らく瞬動も出来るだろう。前と変わらないなと思いながら始業式を控えて今日から始まるらしい学校生活を送るべく並盛中学の制服を身に纏った。



**

 あれから二ヶ月ほど経って、友人が出来た。笹川京子と黒川花だ。最初は拙者の喋り方を不思議に思っていたらしいクラスも馴染んできている。
 そこで少々不穏な噂を耳にした。クラスメイトに聞けば京子が沢田綱吉にパンツ一丁で告白されたらしい。それで朝から元気がなかったのかと納得するも、その噂がどうも沢田をからかうようにできていてキナ臭い。事実は事実なのだろうが、少しやり過ぎな気もする。
 沢田綱吉とは、同じクラスのある意味有名な生徒である。入学以来テストは赤点、体育で沢田のいるチームはいつも負け。何をしてもダメダメで友達もいない。そんな冴えない沢田を周囲はダメツナともてはやしている。いやいや、拙者も入学以来テストは全部赤点でござるよ。



「やっぱダメツナねー、しかも変態だったなんて」
『んー……? そうでござるかな? 拙者、その心意気は良しと思うでござる』
「えー、長瀬さんったら冗談キツいわよー」
『あいあい』



 周りの女の子にからからと笑われてしまう。教室に入ってきた沢田を一斉にもてはやす……と言うかからかっている男子たち。女子もそんな沢田を見て笑っている。
 なんと言うか、こう、釈然としないでござるなぁ。京子の顔も少し影ってきているし、花なんて呆れてしまっていた。
 慌てて出ていこうとする沢田は後ろを向くが、そこには剣道部の部員が待ち構えていた。……それはやりすぎではないかな。
 そう思いながらも友人たちが引き留めにかかってきて動けない。そのまま沢田は剣道部に体育館へと連れていかれた。



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188:ぜんざい◆A.:2017/01/31(火) 20:38 ID:JRA


 剣道大会の結果は沢田が持田の髪の毛を全て抜いて完全勝利。やはり彼にはネギ坊主に似て非なるものを感じるでござる。いやはや、持田先輩、禿げて可哀想に。



「ツナくんってスゴいね! ただ者じゃないって感じ!」



 京子が沢田にそう告げたのを聞き届けて『では拙者は日直だから、そろそろおいとまするでござるよ』と告げてその場を離脱した。黒いスーツの赤ん坊の視線に気付いたからである。鼻唄を歌いながら教室に戻った。
 沢田綱吉、これまた面白そうな子でござる。少し、傍観でもしてみるでござるか。


**

 しばらく観察して、一年が過ぎ、拙者は二年生になった。クラスは京子と同じ、まあ沢田たちとも同じだ。挨拶して少し雑談を交わすぐらいの仲でござる。
 どうやら沢田は裏の世界のボスと言っていいイタリアンマフィア、ボンゴレファミリーの10代目ボス候補らしい。帰国子女の獄寺隼人、野球部のエースの山本武を仲間に加えてワイワイ楽しげだ。並盛最強の不良兼風紀委員長の雲雀恭弥や京子の兄の笹川了平とも接触し、つい先刻ほど前に黒曜での六道骸一味との戦いが終わった所である。
 黒曜の体育館の外。沢田が筋肉痛で気を失った。やれやれ、本当に……こういうところはネギ坊主とは違うでござるな。ふっと呆れた息を吐いた時だった。パン、と銃撃の音が一発鳴り、それをすかさずクナイで弾き飛ばす。……気付かれたな。次からは札を使うでござるか。



「そこに居るのは誰だ」



 その問いには答えずに、拙者は天狗ノ隠簑でその場から姿を消した。今、正体がバレる訳にはいかないでござる。それにしても、あの赤ん坊……拙者の気配に気付くとはただ者ではないでござるな。


**

リボーンside

 不意に感じた気配に素早く銃を撃てば何かで弾かれた。なんつー反応速度だ、ただもんじゃねーな。誰だ、と質問すればそれは答えられることなく、その相手は存在が消えたように気配を消す。手練だな、それも普通じゃねぇ。俺に気配を気付かせないとはなかなかやる。
 敵意は感じなかったからツナの命を狙って居るとかではないだろう。出来れば味方に引きずり込みてーな。



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189:ぜんざい◆A.:2017/01/31(火) 20:53 ID:JRA



 先日、商店街の方で大規模な爆発が起こったとニュースに出ていた。実際はボンゴレ所属の最強の暗殺部隊の「ヴァリアー」の幹部の一人、スペルビ・スクアーロがバジルと言う少年を追って事故を起こしたからなのだが。その際ボンゴレリングがどうのこうの。ああ、全て尾行で得た知識でござるよ。途中からキャバッローネファミリーのボス、跳ね馬ディーノが乱入してきて一時撤退となった。
 現在、山中外科医院と言う病院で怪我だらけのバジルを寝かせて、ディーノの話に耳を傾ける。どうやらスペルビ・スクアーロに取られたと思われたハーフボンゴレリングは偽物で、本物はディーノが持っていたと言う。



「ある人物からお前に渡すように頼まれてな」
「えー!? また俺に!? なんで俺なのー!?」
「そりゃーお前がボンゴレの……」
「す……すとっぷ! 家にかえって補習の勉強しなきゃ! ガンバロ!」



 そういって家に逃げ帰った沢田に溜め息をつき、拙者も音もなくそのあとを追った。



短い

190:ぜんざい◆A.:2017/02/04(土) 13:52 ID:EdQ



 流石に家の中まで尾行するとぷらいばしーとやらの侵害なので、そそくさと帰宅した。何やらお父上が帰ってきたらしい。二年ぶりだとか。いや別に叫んでいたのが聞こえただけでござるよ。



**

 翌日、家のポストに半分に割れた指輪が入っていた。はて、こんなものを送られることでも拙者はしたろうか?
 疑問もそこそこに沢田は再び昨日の医院へと寄っていった。
 そこには山本と獄寺がいて、沢田が半分の指輪を首から下げているように、デザインは違うものの半分のきれいな装飾のついた指輪を持っていた。リボーンとディーノに聞くところによると、沢田以外の六つの指輪は、次期ボンゴレボス沢田綱吉を守護するに相応しい六名に配られたようだ。



「俺以外にも指輪配られたのー!?」
「そうだぞ、ボンゴレの伝統だからな。
ボンゴレリングは初代ボンゴレファミリーの中核だった七人がボンゴレファミリーである証として後世に残したものなんだ。そしてファミリーは代々必ず七人の中心メンバーが七つのリングを受け継ぐ掟なんだ」
「それで後継者の証とかってー!?」
「10代目! ありがたき幸せっす! 身の引き締まる思いっす!」
「(めっさ喜んでるよ!)」



 まあ、そういう訳らしい。とても面白そうでござる。獄寺が「嵐のリング」、山本が「雨のリング」らしい。



「なんだ……? 雨とか嵐とか……天気予報?」
「初代ボンゴレメンバーは個性豊かなメンバーでな、その特徴がリングにも刻まれているんだ。
初代ボスは全てに染まりつつ全てを飲み込み包容する大空のようだったと言われている。故にリングは大空のリングだ。そして守護者となる部下たちは、大空を染め上げる天候になぞらえられたんだ。荒々しく吹き荒れる疾風、『嵐のリング』、全てを洗い流す恵みの村雨、『雨のリング』、明るく大空を照らす日輪、『晴のリング』、何者にもとらわれず我が道を行く浮雲、『雲のリング』、激しい一撃を秘めた雷電、『雷のリング』、実体の掴めぬ幻影、『霧のリング』……そして最後に、闇に包まれし隠密、『影のリング』」
「……あれ? 八つ? ……数がおかしくないか? リボーン」
「ああ。つい先日、ボンゴレ地下室から偶然発見されたもんだ。今年から守護者に入る。つってもお前たちの持ってるリングじゃまだ……」
「ちょ! すとーっぷ! とにかく俺は要らないから!」



 次の会話が始まる前に、拙者は天井裏から姿を消した。
 あのスペルビ・スクアーロが狙ったのはリング、なら近々争奪戦が始まってもおかしくはない。
 ……瞬動、虚空瞬動、その他もろもろ、さらに鍛練しなければ。
 学校に行かず家に直帰して裏の森に入る。
 忍装束に着替えた拙者はぐっと背伸びをしたあとバサッと天狗ノ隠簑を羽織った。
 そのままトントンとジャンプして、虚空瞬動。ビュッと朝の心地いい風がほほを撫でてはすり抜けて、隠簑の布がバサバサとはためく。
 そのまま木の枝に着地してフヒュッと瞬動、再び前方の木に足を掛けては瞬動を繰り返した。



『鈍ってはいないでござるな』



 おもむろに背後へ振り返りその勢いで手裏剣を投げれば、ザクッと大きく太い木の幹の丁度中心に突き刺さる。
 それを満足げに見て頷き、懐から心眼と書かれた目隠し用の布を目に巻き付けた。幸いここには自然のアスレチックがある。以前にも魔法世界で似たようなことをした。



『樹龍が居ないのが残念でござるが、あのときほど辛い戦いでもなかろう。気楽にやるでござるよ。半日耐久森林マラソン。瞬動、虚空瞬動は禁止。いやあ、懐かしいでござるなぁ』



 そんなことをぼやきながら、ちらりと背後に視線を飛ばして「気配を消すのが下手でござるな」と呟き駆け出した。



**

家光side



「流石だな、甲賀中忍、長瀬 楓。気配を消した俺に気付くとは……。あれほどの実力でなんで中忍に収まってるんだ……? それにしても、下手と来たか……」



 本当にさすがとしか言いようがない。僅か中学二年にしてきっちり完成させられている。技術しかり、それぞれしかり。現在の地点でボンゴレ最強かもしれない影のリングを持つ女。
 ……心眼とか、やべーな。ただ者じゃねえ、どこでそんな戦闘術を覚えたのか。胸に煌めく白い翼のバッチも謎だ。



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191:ぜんざい◆A.:2017/02/05(日) 17:40 ID:EdQ


 数日後、夕暮れ時。修業もそこそこに、空腹感に襲われて帰宅するつもりなのだ。夢中になって鍛えていたからか数日何も口にしていなかってのでござるよ。
 電柱の上を瞬動で掛けていれば、以前拙者の修業を覗きに来ていた男。その傍らで走る少年。
 いいタイミングだ、とばっと彼らの前に飛び降りた。隠簑がバサバサとはためく。



『数日ぶりでござるな』
「!!……お前」
「何奴ですか親方様!」



 彼の前に飛び出た少年に苦笑いしながら『拙者、影の守護者でござる』と告げれは「おっ、お主が!」とパアッと顔を明るくさせた。



『長瀬 楓でござる』
「バジルです!」
『で。お主と親方様とやらは、今どこに向かおうとしているのでござるか?』



 親方様と呼ばれた人物は沢田の父らしく、現在ヴァリアーが雷の守護者を襲撃に来ているとの情報を得たらしい。飛び出していった沢田や雷の守護者ランボを探しているようだ。



『では、拙者も同行させてもらうでござる』
「すまん、助かる」



**


 拙者達が到着した時にはすでに沢田側のファミリー数人とヴァリアーが対立していた。
 その中でXANXUSと呼ばれる男が沢田を睨んで手に力を集め始めている。それを見て周囲が焦った。拙者は家光殿と視線を合わせてから糸付きの巨大な手裏剣をぶんっと投げる。
 ザクッと大きな音を立てながら地面に突き刺さるそれを糸で引き戻してやれば、XANXUSの気は削げた。よし。



「待てXANXUS、そこまでだ」



 家光殿が声を掛ければ一斉に視線がこちらへ向いた。



「ここからはオレが取り仕切らせてもらう」
「と、父さん!!?」
「なっ、10代目のお父様!?」
「家光……!」
「て、てめー、何しに」



 そんな会話が続くなか、家光殿はひとつ、死炎印とやらが刻まれた勅命がどうのこうの。まあ言いたいのは、同じ種類のリングを持つもの同士の一対一のガチンコバトルをやろうと言うことだ。会場は並中、審判はチェルベッロ機関らしい。ヴァリアーも去り、みんなも去ろうとした。
 ……その前に。



『拙者はいつまで無視を食らっていればよいでござるか?』
「わあっ! な、長瀬さん!?」
「長瀬!?」
『……夕暮れだからでござるかな? 拙者の影が薄く見えるでござるよ』



 ふっと自嘲気味た笑みを浮かべて羽織っている隠簑に顎を埋める。あまりにもでこざるよ……。



「ご、ごごご、ごめん! で、でもなんで長瀬さんが……!? まさか!」
「そのまさかだぞ」
『予想は当たっているでござる』
「な、長瀬さんも守護者ーー!? 長瀬さん普通の一般人でしょ!? なんでそんな服着てるのー!?」
『ござござ』



 詳しい話は翌日でござる。


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192:ぜんざい◆A.:2017/02/08(水) 00:00 ID:EdQ



 結局あのあとは何も話さず「詳しいことは明日、拙者に家に来るでござるよ」とだけ告げて『にん!』とその場を離脱した。もちろん瞬動で。
 風呂上がり、拙者の世界を全て話すか、自身だけを話すか迷っていたのだが、いきなり天狗ノ隠簑が実体化し、淡く光出す。これは、以前の“最後の鍵”(グレートグランドマスターキー)の能力だった『アーティファクト強制発動』にそっくりだった。……誰かが、来るでござるか。



『……?』



 若干、旧知の友人に会えるとなると、わくわくする。そしてどさりと落ちてきたのは、三人の人影。全員、クラスメイトの……



「……楓?」
「楓さん!?」
「長瀬じゃん!」
『真名、のどか殿、朝倉殿……!』



 現れたのは同じ3-Aの龍宮真名(タツミヤ マナ)、宮崎のどか(ミヤザキ ノドカ)朝倉和美(アサクラ カズミ)だった。予想はやはり当たっていたか。



「楓、お前……今までどこに行っていたんだ……? フェイトがカンカンだったぞ」
『……そっちはまだ数ヵ月も経っていないでござるか、真名』
「ああ、フェイトが来てまだ二週間だ。お前は一週間前に行方不明になっている、ネギ先生にも連絡が行っていたからな、あの子も心配しているだろう」
『そうでござるか……実は拙者がこの世界に来てから既に一年半が経過しているのでござるよ』
「い、一年半ですかー……!?」
「え、じゃあこっちの世界と私たちの世界じゃ時間の流れが違うっていうの? 長瀬」
『そうみたいでこざるな』
「一応聞くがここはどこだ?」



 真名の問いに答えてやり、自分が今どんな境遇に居るかも話せば三人とも興味津々で頷いた。



「……守護者か。まあ、お前程の実力なら大丈夫だろうよ」
『やれやれ、真名。油断は禁物でござるよ』
「うるさい、わかっている」



 結果としては真名たちもこの家に住むことになり、明日の話は拙者達のいた世界のことも話すことに決定したでござる。にんにん。



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193:ぜんざい◆A.:2017/02/08(水) 21:37 ID:EdQ


 今日も学校に行かず、修行をするでもなく、友人たちとのんびり過ごす。
 今日、沢田たちは学校に行っているらしく、来るのは夕方になるだろう。



『暇でござるなぁ』
「じゃあ魔法世界行ったときの最終決戦の映像見る? あのあと編集して映画風に仕立てたんだよねー、全9時間! 舞踏会から夏休み最終日のイベントと決着まで! 見る? 暇潰しには持ってこいだって! 私のアーティファクトが全てを記録してたのよ!」
「……ほう」
「い、いいいいいや、で、でも……それには、私が調子に乗ってデュナミスさんに偉そうな口を聞いたところも……?」
「当たり前よ! それに、もう一回ネギくんの勇姿見れるんだけど、宮崎どうする?」
「! み、見ますー……!」
『決定でござるな』



 備え付きだったDVDプレーヤーに朝倉自作のDVDをセットして上映でござる。


**

 ツナside

 学校も終わって、山本や獄寺くん、リボーンと長瀬さん家にやって来た。でも、いくらチャイムを鳴らしても返事がない。どうしたんだろ……。



「長瀬のやつ、居ねーのな?」
「ったく、せっかく10代目が来たっつーのに」
「いや、長瀬はいるはずだ、見ろ、開いてるぞ」



 リボーンが玄関に手をかければ易々と開くドア。悪いとは思いながらも『オ邪魔シマース』と呟きながら入れば、靴が三足多いことに気が付く。誰か来てるのかななんて思いながら足を進めていった。



「なんて言うか……普通の家だね」
「そっすね……」



 獄寺くんに同意を貰いながら進めば、奥から「ほう、私がザジの姉と戦っていたときは丁度お前が風のアーウェルンクスと戦う時か」『そうでござるな』「宮崎は雷で気絶しちゃってたもんね、あんたフェイトに石化の針十本以上で狙われてたでしょ、何したの」「わ、私じゃなくて、多分いどのえにっきの方だと……」「それを引き出したのも、ある種の才能さ」「へぅ」と会話が聞こえてきて、その部屋の扉を開ければ、大きなテレビに外国人の顔立ちをした少年と長瀬さんが向き合う映像。それを見てるのは長瀬さんと肌の黒い美人と骸と似たようなパイナッポーヘアの女の子、ショートカットの気弱そうな女の子だった。



『おや、来たでござるか』
「わりーな、チャイム鳴らしても出てこねぇから入っちまった」
『全然かまわんでござる』



 そうして事情を話してもらった。あの三人は昨日突然やって来たらしい。



『拙者は長瀬楓、甲賀中忍でござる。実は拙者は一年半ほど前にいきなりこの見知らぬ大地に立っていてでござるな……つまり、拙者はこの世界の人間ではないのでござる』
「……多分ホントだな、疑うなよお前ら」
「分かってるよ、リボーン」
『助かるでござる。拙者、自分の世界では中学三年なのでござるが、若返ってしまったようでなぁ。
 拙者の世界は魔法が存在するのでござる』



 そこから一気に話してもらった。珍しく獄寺くんも大人しく、真剣に聞き入っている。そして全てを聞き終えて、自己紹介をすることになった。と言っても長瀬さんが他の人たちに俺たちのことを教えたみたいだけど。



「話は楓から聞いている、龍宮真名だ。楓とは死合いをした友人だ。向こうではスナイパーをしていた。もし頼みたいと言うならば、金さえ払ってくれれば何でもしてやることも出来るぞ? 半魔族だ、よろしくな」
「私は朝倉和美。麻帆良じゃ有名な実況者で新聞記者だよ。私たちの詳しい出来事が知りたいなら言ってね、私編集のDVD貸したげる、ちなみに新聞部ね」
「み、宮崎のどかですー……。えっと……と、図書館探検部所属です……あと、トレジャーハンターもしてます……よろしくお願いします……」



 肌の黒い美人が龍宮真名、パイナッポーヘアが朝倉和美、ショートカットの気弱そうな女の子が宮崎のどか。……女の子ばっかりだ。



「あ、ねーねー聞いて聞いてー! 長瀬ってばさー、魔法世界行ったとき、私達守るためにラスボス級の敵に一人で勝負しにいったんだよ、かっこよくない!?」
「え!? あ、朝倉さん!?」
「丁度今からなんだよねー! まあ見てなって!」



 朝倉さん強引だなぁ……。



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194:ぜんざい◆A.:2017/02/09(木) 23:25 ID:EdQ

三日月宗近転生沢田綱吉成り代わり番外編。※パラレルワールド注意※時間軸は虹の代理戦争終了直後。

**

 自宅にて。いつも通り甚平を着て、縁側で恭夜と茶をすする。思い返せばいろいろあったなぁと俺が呟けば、隣に引っ付いて離れない恭夜が「じじくさいよ」と俺の右腕に抱きつく力をギュッと強めた。
 その直後、どこかからランボの泣き声が聞こえてきて、ひゅるると風を切る間抜けな音が聞こえて、俺が刀を抜く前にそれは俺たち二人に着弾する。最後に聞こえたのは、獄寺の「10代目!」と叫ぶ声だった。

 その刹那、ボフンと音が響き、目の前を白い煙が覆う。大方10年バズーカだろうな。
 きょろきょろと見回せば、そこは俺の部屋で、でも太刀掛けが無い。はて……と首をかしげながら恭夜を見れば「……宗近の部屋なのかい……?」と怪訝そうに首をかしげている。

 煙が晴れて一番に見えた人影は、俺もよく知っている……この物語の主人公、沢田綱吉。恐らく恭夜と二人、人数のせいでなにかしらの不都合が起きて白蘭の言うパラレルワールドにでも来てしまったのだろう。目を見開き、口をはくはくさせてから、「りっ、りぼおぉぉぉぉおおん!」と隣のリボーンへと叫びをあげた。うるさいと一蹴してイタタと呟く彼を横目に、リボーンは「お前は誰だ」と呟く。部屋に居たらしい獄寺や山本もこちらを一瞥した。



『ん……? 俺か? 俺はなぁ、……はて? 恭夜、俺はなんでここにいるんだ?』
「はぁ!? ふざけてんのかてめえ!」
「まあまあ、落ち着けって獄寺」
「……あの子牛の10年バズーカとやらに当たったの、わかる? 大丈夫かい? 本当に脳までおじいちゃんになったの? 僕結構困るんだけど」
『はっはっは! それもそうだなぁ、俺も困る』
「おい」
『おっと。すまん、自己紹介だったなぁ。俺は沢田 宗近、好きに爺でも何でも呼べ呼べ。そして、恐らくパラレルワールドの『沢田綱吉』だ』
「ぱっ、パラレルワールドの俺!? お前が!?」
「パラレルワールドの10代目!?」
「すげーのな!」
『あなや、そこまで驚かれるとは』



 綱吉は「こんなイケメンがパラレルワールドの俺!? 明らかに何でも出来そうじゃん!」とうわあああ! と頭を抱える。だが、恭夜は綱吉に「そうでもないよ」と言い放った。



「へ?」
「宗近、朝は4時頃に自然と目が覚めて勝手に家から出て散歩みたいにほっつき歩いてるんだ。最悪三日も戻らないことも多いんだよ」
「は!? 三日!?」
「それに朝に縁側で呑気にお茶すすってるから遅刻はするわ、一日そこに居て夕方頃になって「あぁっ! 学校だ!」とか呟いてるし。なにもないところで転ぶわ授業中お茶を湯飲みで飲んでるわ僕が言わなきゃ学校まで甚平のままで行こうとするわ、国語と社会と体育以外ホントダメダメだし笑顔で刀を振り回すわ……前なんて宿題のプリントが嫌だからって庭先で細切れにしてたんだよ。無駄に顔も良いから変な女が寄ってくるし性格おじいちゃんだし言動おじいちゃんだし授業はサボって校内徘徊してるし昼時には中庭のベンチで野良猫たちと戯れながら寝てるしホントダメダメなんだよ」
『あなや、ずいぶんとボロクソに言われてしまった』



 へらりと笑えば恭夜に腹をどつかれた。



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195:ぜんざい◆A.:2017/02/10(金) 00:00 ID:EdQ



「さっきから、パラレルの10代目のことぼろくそに行ってるけど、てめぇは誰だよ」



 獄寺が不機嫌そうに恭夜を睨む。恭夜はああ、と呟いてから口を開いた。



「僕は雲雀恭夜。宗近の幼馴染みでその世界の並盛の風紀委員長をしてるよ」
「ヒッ、ヒバリさんーーー!? そっちの俺の世界じゃ女の子なの!?」
『おや、じゃあこの世界では恭夜は男か』
「なんかやだ」
『見てみたい気もするがなぁあいたたたた、いだっだだだっ! や、やめろやめろっ、痛いっ』
「なんかいらっとした」



 右横腹をトンファーでぐりぐりと圧迫されて痛みに悶えていれば、獄寺が俺に問い掛けてきた。



「パラレル10代目! そっちの世界の俺はちゃんと右腕として機能してますか!?」
『ん? ……ああ、お前はよくやってくれている。山本と日々俺の左腕の座を取りあっているぞ』
「ひっ、左腕ぇ!? 右腕じゃないんですか!?」
「バカ言わないでチンピラ。宗近の右腕は僕だよ。譲らない、絶対に、チンピラにも、山本にも、絶対、誰にも、僕だけ、僕だけの、あげない、僕だけが、宗近の、ダメだよ、宗近は、僕のもがっ」
『恭夜が俺の一番最初のファミリーで右腕だ』



 若干仄暗い雰囲気を出し始めて俺を見上げて腕をギリギリと抱き締めながら呟き出した恭夜の口を左手で塞いで彼らに微笑みかける。彼らは恭夜を見て若干顔を青くしていたが、分からんでもない。



「そっちのヒバリはお前に相当執心してんだな……」
『はっはっは! リボーンや、言うてくれるな。まあ俺は美しいからなぁ』
「うわあ! 言い切ったぞ俺!?」
「宗近は誰が見ても美しいからね、女性教員でさえ惚れるんだから」
「ヒバリさんがそんなこと言うなんて!?」



 騒ぐ綱吉に苦笑していれば、彼ははっとして俺を見た。



「そ、そっちじゃ、京子ちゃんどうなってる宗近!」
『ん〜……よくわからんなぁ』
「笹川京子、まあ、宗近にベタ惚れだよ」
『あなや、そうなのか』
「えっ、マジかよやべーな」
「嘘ぉ!」
「この世界の彼らならともかく、なんで宗近気付かないの……。いっつも宗近挟んで僕と言い争いしてるでしょ」
『あなや』
「ほんとムカつくね。なんなの、あれ。笹川京子の奴、僕の見てる前で宗近にべたべたべたべたべたべたべたべたと鬱陶しい、いずれ宗近の見てないとこで咬み殺す」



 目が完全に暗くなった恭夜を放置して『そうだ、三浦だ、そっちじゃどうなんだ?』と逆に問いかけてみた。



「ハル!? ハルは……えーっと、その……」
「ツナにベタ惚れだぞ」
『ほほう、仲良きことは美しきかな、羨ましい』
「そっちのハルは?」
『くうると言うものだな。毒舌家とでも言うか。子供が嫌い。動物が苦手。同性愛者。……俺に嫌悪感を抱いているようでな……いつもごみを見ているような目で見てくるんだ。「消えればいいのに」と言う言葉は口癖だな……流石に金的蹴りは効いた』
「そっちのハルなんか怖い! 無邪気なハルでよかった!」
「羨ましいぞ綱吉」



 っと、もうそろそろ五分か……。



『そうだ、記念に写真でも撮ろうか。今後きっとないぞこんなこと』
「そうするか」
「ええ……、僕別に宗近以外どうでもいいんだけど」
「ヒバリさん!?」



 最終的には記念写真を二つのカメラで撮って片方ずつ持った。



『じゃあな、頑張れよデーチモ』
「宗近もデーチモでしょ」
「宗近は宗近だよ」
『少し黙ろうな恭夜』
「宗近が言うなら、うん、わかったよ」
「(ヒバリさんめっちゃ素直ー!)じゃ、また会えたら良いな、宗近」
『ああ、またな、綱吉』



.

196:ぜんざい◆A.:2017/02/11(土) 00:22 ID:EdQ


 自分の世界に戻ってから数日、俺と恭夜とリボーンが今後ボンゴレをどう引っ張るか思案していたときだった。
 ボゥンと音が鳴り響き、煙が部屋に蔓延する。奥からげほげほと咳き込む声がする。隣の恭夜は俺の腕をギュッと抱いた。
 煙が晴れて見えた姿は、先日見たあの沢田綱吉。リボーンにも一度事情を話しているので「ああ、アイツが」と目をしばたかせる。
 そして驚くことに綱吉の隣に居たのは、そちらの世界の雲雀恭弥。



「げほっ、げほっ、うぅ…あれっ!? 宗近!?」
『ああ、俺だ。数日ぶりだなぁ、綱吉や』
「……ちょっと。草食動物、ここどこ、なにこれ」



 雲雀恭弥が不機嫌そうに綱吉を見下ろした。ヒィッ! と情けない声をあげて怯える綱吉を指差して「アレがパラレルワールドのお前なんだな」と聞いてきた。コクリと頷けば「全く似てねぇな」と呟く。
 何やら綱吉が刺激したのか、雲雀恭弥がトンファーを取り出して今にも殴りかかりそうになってきた。



『これこれ、ここで暴れるのはやめろ、刀が折れる』
「その前に部屋が壊れるよ!? そっちの心配しろよ!!!」
「そっちのチカはツッコミ気質か」
「なに冷静に思案してんだよリボーン!」
「うるさい」



 雲雀恭弥のトンファーが風をきる。素早くて、避ける暇もない。ああこれは直撃だなとにこにこ微笑んでいれば、いきなり黒い何かが飛び込んできて雲雀恭弥のトンファーをガィンと派手な音を立てながら弾き飛ばした。ガン、と壁にぶつかりカランカランと地面を転がるトンファー。
 目の前に居たのは戦場でもあまり見れないガチギレの恭夜。彼女からは濃密な殺気が惜しげもなく晒されていて、常人なら気を失っているだろう。まあここにいる人間は全員常人じゃないが。
 恭夜はストンと俺の右横に腰を降ろして、パラレルの自分を見据える。彼も「ワオ」と呟いてから軽やかに地面に腰を降ろした。胡座。



「草食動物から聞いてたけど、パラレルワールドの僕って本当に女なんだね。まさかトンファー弾き飛ばすなんて」
「宗近に手を出したら、右腕の僕が許さない。地の果てまで追って無惨な死体に仕立てて宗近の前に転がすからね」
「へぇ、僕がそんなこと言うなんてね、群れてるのかい?」
「僕だって群れるのは好きじゃない、嫌いだよ、宗近以外にはこんなことしない。まあ他校生に並中生がやられたら、まあ多分怒るんじゃないの?」
「ずいぶんそこの沢田宗近を贔屓してるね、風紀の存在も曖昧だ」
「さっきも言わなかったかい? 僕は宗近の右腕だよ。僕の全ては宗近の為にあるといっていいし、宗近がいない世界なんて生きてる価値すらないんだ。宗近は僕の中で揺るぎない絶対、そう、僕は宗近のもので宗近は僕のものだ、宗近は僕の呼吸に等しい存在だ、僕の全てだ。宗近以外どうでもいい、誰にも僕の宗近には触らせない、宗近が、誰にも、絶対に、僕は、僕の、宗近だけ、あげない、渡さない、ダメだ、そうだ、なら僕が監きnむぐっ」
『とまあこんな風に頑張ってるみたいなんだ』



 完全に目からハイライトが消えたので慌てているのを動きには出さず悟られないよう恭夜の口を左手で塞いで雲雀恭弥に告げれば「……犯罪ワードが聞こえた気がしたんだけど」と表情変えずに俺に告げた。隣の綱吉は雲雀恭弥の影で完全に怯えている。
 いまだギリギリと力強く恭夜のその大きなめ胸に沈むように抱き締めるられている右腕はみ指先から感覚が無くなってきた。待て待て、血が止まっている。
 恭夜をガッ、と拳で少しだけ手加減して小突(?)けばハッとしたように力を緩めた。腕は離さないらしい。



「……宗近、今そっちのヒバリさん、結構力入れて殴ったの……?」
『ああ。前にもこんなことが数百回あるんだ、やさしめに小突いても戻ってこなくてなぁ』



 はっはっは! 困ったものだろう? と同意を求めれば目の前の雲雀が笑い事じゃないでしょと言う顔をして綱吉が「笑い事じゃないだろ!?」と気持ちよくツッコミをしてくれた。



「……とにかく、宗近に危害を加えたら咬み殺す」
「わかったよ」



 呆れたように自分を見つめる雲雀に苦笑いが浮かんだ。



.

197:ぜんざい◆A.:2017/02/12(日) 02:24 ID:PaI

ぼろ布主+4が銀魂にトリップして絵描き屋として食い繋いで頑張ってもとの世界に戻ろうとする話。雲雀さんと婚約。


 それは唐突。自宅で相も変わらずぼろ布を被って椅子で綱吉に渡されたボンゴレの資料を片していた時だった。

 つい先日に成人した。今度ディーノと飲むかとか考えて頭を横に振る。恭弥がキレるからやめておこう。
 中学の時と変わらず左腕に巻き付く包帯の上から蛍光灯に反射してキラリと光るシンプルで控えめな指輪を一撫でした。あと、ちょっと。あと二週間ほど経てば、名字が伊達から雲雀になる。……まあ、そういうことになるわけだ。
 ふぅと書類をバサッと乱雑に机に投げ捨てて椅子の背もたれに体重を預ける。ちなみに白玉の本名が伊達 いおりと言うことはとっくの昔に知れ渡っていた。多分あれだ、文化祭でこっちが白玉だと知っていた綱吉と山本の本願に負けておこなってしまった体育館での白玉初ライブ。あれで顔と名前が拡散したんだ。うわ改めると泣きたい。以前恭弥にプロポーズ的なものをされてしばらく経ったあと、ネットで報告したら「あぁ、ヒバヒバか、よく頑張ったね(柔笑)」「やっとか、よく頑張ったなヒバヒバ(フッ☆キラッ」「おっそ!! とりあえず私からは心からおめ! ヒバヒバよく頑張った!」「ヒバヒバめ、俺らを焦らしたな、よく頑張った!」「俺たちシララーはヒバヒバと白玉をくっつくの応援し隊だからな、素直に嬉しい。ヒバヒバよく頑張った」「今思う、ヒバヒバの顔よく知らん。ヒバヒバよく頑張った」「どうせイケメン。ヒバヒバよく頑張った」「白玉さん裏山。ヒバヒバよく頑張った」「ヒバヒバのプロポーズの現場誰か撮ってないの? というかよく頑張ったねヒバヒバ」と暖かいコメントが返ってきた。なんかヒバヒバよく頑張ったの意味のコメントがよく語尾についていた気がする。恭弥は数度こっちの雑談生放送やホラゲ枠の生放送に乱入してくることがあり本人からの希望で「ヒバリ」と言う名でやっているのだが、リスナーさんからの愛称はヒバヒバだ。なんと可愛らしいことか。
 改めて指輪を眺める。どうやら恭弥特注らしくて、リングの裏にはこっちと恭弥の名前が刻まれていた。



『……ホンマ、』



 あんま実感沸かない。一緒になるのが嫌なわけではない。中学時代から(それはもう、学校で露見されたときからべったりぴったり)片時も離れずに一緒に居るので、あまりもとの生活でも変わらないような気がするのだ。もちろん嬉しいことですが。
 その時、パサリと自分の羽織っていたぼろ布が風もないのに揺れた。

198:ぜんざい◆A.:2017/02/12(日) 09:14 ID:PaI

『アンクル』にVGを変更。右足首。


 次の瞬間にはもうこっちは自室には居なかった。周りを見渡せば和風な人が行き交う大通り。あれ、なにこれタイムスリップ? とか考えるも普通にバイク走ってるしホンマなんなんここ。


**

 あれから数日。この世界の歴史の雑誌を図書館で借りて読んだ。ここは江戸のかぶき町、この世界には天人と言う宇宙人が存在し、天人に甘く侍に厳しく、と言う政治が回っている。官僚には天人も。以前天人を地球から追い出そうと、侍が攘夷戦争を起こしたらしい。まあ負けたが。政治が寝返ったのだ。以来攘夷志士は悪者として言われるようだ。その中でもテロとか起こすバカもいるらしいけど。……あれ、おかしいな。一回漫画で読んだこと有るような……。いや違うここはそこに似た別の何かだ。

 こっちはと言うと金をスケブで作り出し、家を購入した。大通りにある一軒家だ。とりあえずなにもしないわけにはいかないので、一階で絵描きでもしようか。と言うことになり、いろいろVGを駆使して一階を改造し、まああまり人は来ないものの頑張っている。
 それと、恭弥が居ない。恭弥が居ないだけでこんなに寂しいとは思わなかった。頭から被るぼろ布がこっちの震えを伝えて揺れる。
 ああ、もう時間だ。と店の席を立ち、今日は終わるとするかと立ち上がった時だった。



「ここ、まだやってっか」



 鼓膜を震わすなんちゅーか、恭弥とはちょっと違うとんでもないイケヴォ。恭弥もイケヴォですけど、コイツはなんかエロい。
 振り向いて『まだやっとります』と告げてから相手の姿を見て微かに一時停止するも、『なんか描きましょか?』と通常通りに告げた。
 そこには夕焼けをbackに背負ってキセルを手にこちらを見つめる紫が強い色の女物の着物を男結びでかなり着崩した色男がいました。いや問題はそこじゃない。そこじゃないんだ。



「あァ、この写真描いてくれ。A4で頼むぜ」
『わかりました。期限は何時ぐらいがエエですか』
「そうだなァ、三日後くれぇにまた来るぜ」
『了解っす』



 写真を受け取り奥へと引っ込もうとすればグイッと布を引っ張られて「おい、名前聞き忘れてんじゃねェか」と呆れた声で言われた。確かに忘れていた。いや問題はそこじゃない。



『すんません、忘れとりました。名前伺いますけど大丈夫ですか』
「構わねえ。俺ァ、“高杉 晋助”だ」
『(たっ!?)高杉 晋助さんですね、依頼承りました』
「おう」



 た か す ぎ  し ん す け
 そう、問題はここだった。ここだったのだ。いやそうですよね、上記の風貌に左目包帯眼帯とか高杉さんしかありえへんですよね。
 ちょっと、新撰組(おまわり)さーん。ここに過激派攘夷志士が居まーす。鬼兵隊の総督がここに居まーす。すごく関わりたくないでーす。俺は全てを壊したい病に掛かったいい年した厨二がここに居まーす。
 布を目深に被り直して背を向けてシャッターを閉めようとした時だった。



「客が来たのに顔も見せねぇとは、お前どんな頭してんだ」
『……こっちコミュ障なんで、目ェ見ると話せへんのですわ、勘弁したってください』
「へェ……まぁそう言うことにしといてやるよ。……ずいぶんとゴツいアンクルしてんな」
『友人から渡されたもんなんで。これらのために多くの人が血の海に沈んだとか沈まなかったとか』
「そんなに高価なもんか」
『まあ、とある、人間の命を大事にするマフィアに代々伝わる幹部の継承の証なんで、そこそこには高価やと。今代で10代目です』
「お前マフィアか」
『今はちゃいます。ただの戦闘は弱い一般人です』



 いぶかしげな視線を投げられたものの納得して高杉さんは帰っていった。なんか緊張した。とりあえず銀魂の世界とかなんなんこれ、なんなんこれなんなんこれなんなんこれ!?
 恭弥と風くんがとても懐かしいです帰りたい。



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199:ぜんざい◆A.:2017/02/12(日) 16:31 ID:PaI



 三日後、高杉さんは律儀に店にやって来た。やって来た高杉さんに絵を渡せば固まって「これ本当に絵か? 写真プリントアウトしたんじゃねぇのか」と疑われた。失敬な。



『うちにプリンターないです』
「実力かよ」
『うぃす』



 高杉さんはけらけらと笑ってから「また来るぜ」と行ってしまった。……うっ、嬉しい申し出ですけどぉ、もう来ないでくださぁいっ、怖いですぅっ。ダンロンの蜜柑ちゃんのように言ってみたがキモくて吐きそうだ。蜜柑ちゃんだから出来るのだあれは。しまった、長い間黙ってしまった。



『……また』



 慌ててそう告げれば高杉さんは振り返らずに片手をあげて手を振ってから行ってしまった。なんやあのエロイケメン。
 それを見送ってからぱたんと戸を閉める。どかりと椅子に座ってからあああああと大きく息を吐いた。



『……恭弥』



 ここにいない恭弥の名前を呼んだ。普通の紙に鉛筆を滑らせて恭弥のいつも通りのムスッとした顔を描いた。いつの間にか出てきていた夕焼小鳥がぽすりと頭の上に乗ったのが分かる。この小鳥もヒバードに似ているから不思議だ。



『せや、買い出し』



 慌てて立ち上がり、扉をガラリと開けて鍵を閉めて、ついでとばかりに周囲にばれないように三重に鍵を掛けてピッキング対策を施した。
 匣兵器からバイクを出していたのでそれに股がりヘルメットを被って出発した。バサバサとはためくぼろ布に隠れて、背後をつけてくる影には気づかなかった。


 必要だったものを購入し終えて帰宅。異変に気付いたのはその時だった。



『なんっや、これ』



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200:ぜんざい◆A.:2017/02/12(日) 23:16 ID:PaI

厳重に掛けておいた鍵はぶっ壊され、入られた形跡があった。嘘やろ。あるものないもの見てみれば金品は全て残っていたものの、下着が一枚無かった。嘘やろ。あれか、今ちまたで騒がれている下着ドロか。若い女の下着を盗んでは夜な夜なモテない男に振り撒いているあの鼠小僧の変態バージョンか。まあ捕まるやろ。そう思いVGで扉を修復して五重掛けの鍵を設置して家に入った。
そして数日後、高杉さんが再び店へと姿を見せた。隣にピンクのへそ出しセクシーな服を着た金髪美人をつれて。あれ来島また子よな。うーわめっちゃ美人や、実物めっちゃ美人や。高杉さんは頭に被っていた笠を小脇に抱えて煙管を加えながら「よう」とこちらに声をかけた。

『どうも高杉さん。隣の美人、高杉さんの彼女すか』
「なっ、なななっ、びっ、美人!?」
『はい、久々こんな美人見ましたわ』
「あ、ありがとうっす!」
「女店主、依頼だ」
『はい』

高杉さんの雰囲気がちょっと怖いものになったのでちゃんと話を聞くことにした。

「今ここで絵ぇ書くのは可能か?」
『全然』
「コイツ描いてやってくれ、前の絵をプリントアウトだっつって聞かねぇ」
「だってあんなの絶対プリントアウトっすよ! 金取り泥棒っすよ!」
『(ひどい言い草や)鉛筆でエエですか』
「頼むわ」

のんびりと一枚の白紙とバインダー、鉛筆を取りに奥へ引っ込みまた出てくれば二人してこちらを見つめてくるお二人の姿が。

『どないしました』
「てめェ左腕の包帯どうした。昔絡みで喧嘩か」
『いやこれこっちが16の時につけてもた大火傷です。見せれる様なもんやないんで包帯巻いとりますけど』
「そんでその包帯すら隠す為にボロ布頭から株ってんのか」
『こっちコミュ障なんで』
「嘘だな。いくら目を見ねえっつってもコミュ障がここまで喋れる筈ァねえ」
『あー、恥ずかしながら、コレないと不安になる言いますか、調子出んのですわ』
「ヘェ」

くすくすと鋭く目を細めて笑う高杉さんを不思議に思いながら来島さんに椅子に座ってもらい、こちらも正面に腰を掛ける。

『高杉さん、名前なんちゅーんですか』
「来島また子だ」
『来島さんすね、すんませんけどしばらく動かんといてください』
「了解っす」

また子のその合図を聞き、こちらはバリバリと鉛筆を滑らせ始めた。途中で力を込めすぎて鉛筆が折れたので『役立たんな』と一瞥もせずに勢いよく後ろに放り投げ、手元に呼びとして置いていた鉛筆を手に取りずしゃしゃとここ数年VGで鍛えた筆速でまた子を描き進めていった。

「(はえェな、手元が見えねぇ)」
「(なんかずしゃしゃとか聞こえてくるんすけど!?)」

二人が脳内でそんなことを考えているなんていざ知らず、ものの五分も経たずにまた子ちゃんを描き終えてしまう。

『とりあえず待たせるんアレなんで速攻仕上げました。雑になりましたけどそこら辺は堪忍してください。て、顔色悪いですけど、気分でも悪いんですか』
「い、いや、大丈夫っす。これ、今描いたんすよね!?」
『あっはい』
「晋助様! 見てくださいこのとんでもクオリティ! 五分っすよ五分!?」
「…女店主よォ、あんたあの絵もこんなスピードで終わらしたのか?」
『まあ』

そう頭を掻けば、唐突にヒタリと高杉さんから首もとに刀を置かれた。咄嗟に両手を上げて『高杉さん』と声を掛ける。

「おい、女店主よ。やっぱアンタ唯者じゃねーな」
『……タダの善良な一般市民です言うて』
「いや違ェな。本当にタダの善良な一般市民なら首に刀置かれて震えて泣き出すだろーよ、それに」
『それに?』
「さっきから俺は一般市民なら気絶するくれェの殺気を出してたんだ。そこの来島でさえ顔を青ざめる様な、な」
『!』

なるほど高杉さんたちは元々目的がコレだったのか。口実として絵の事を出したと。悲しいような賢い様な。いろいろと脱帽ものだ。

『ホンマ、脱帽もんやで高杉さん』
「あの殺気の中で平然と絵ぇ描いてたアンタにも脱帽だぜ俺ァ」
『いや、まぁ慣れとるんで、殺気とかには。集中し過ぎると分からんだけっちゅーか』
「慣れてるだと?」
『婚約者がそんくらいの殺気を常日頃から出しとるんですわ。多分本人無意識ですけど自然と言うか、アイツの雰囲気が殺気っちゅーか』
「んだそりゃぁ」

さて、高杉さんたちはこっちを一体どうするつもりなんやろか。

201:ぜんざい◆A.:2017/02/13(月) 23:36 ID:PaI




「てめェ、実力者だろ」
『自分で言うのもなんやけど、多分そうやないですか』
「鬼兵隊に入る気はねェか」
『無いな』



 即答すれば理由を聞かれた。そんなの単純に新撰組に追っかけられるのは困るからだ。そう返せば「ちげぇねぇ」と高杉さんはカラカラと笑って刀を納めた。



「ダメもとでまた何回か勧誘に来てやるよ。贔屓にしてやるから、まァ考えててくれや」
「っす。そういうことなんで」
「また来るぜ、女店主」
『来島さんまた来てな』
「てめえ」



 若干ムッとした高杉さんにフッと笑みを溢して『また』と返せば彼は返すことなく歩いていこうとする。が、ピタリと足を止めてこっちの姿を目に止めた。



「女店主……お前、名前なんだ」
『……伊達 いおりや』
「伊達か」



 今度こそ彼ら二人は網笠を頭に被って行ってしまった。なんか、悪人には見えんかったけどなぁ。
 そして翌日、差出人が高杉晋助の宅配便が届いて、すごく美味しそうかつ高級そうな水羊羹が送られてきたことには流石に驚いた。贔屓にってこういうことか。これは、無下には出来ひんぞ……どないしてくれるんや高杉さん。



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202:ぜんざい◆A.:2017/02/13(月) 23:50 ID:PaI


 ワイシャツを着てそれをそのまま腕捲り。腰にジャージを結んで下はワークパンツ。まぁダボッとしたディーノが穿いてる様なズボンだ。
 その上からボロ布を羽織って準備オーケー。そのままVGのスケブから恭弥の乗っていたバイク(スズキ・カタナ)を呼び出し、バイクを描いた紙を破って実体化。よし、甘味屋行ってきます。

 唐突に今日はぜんざいが食べたくなった。元々この世界に来て好物であるぜんざいを食べていないのだ。江戸やねん、食わな損々。でも主人公とのエンカウント率が上がりそうやわ。既に高杉さんに会うてるし。

 そんなことを考えながらバイクを走らせて甘味屋到着。店員さん(女性、顔も制服も可愛い)にぜんざいをひとつ頼んで大通りに面した外の長椅子に腰掛けた。
 運ばれてきたぜんざいを満足げに食す。ここの美味い。恭弥に食わしたい。
 さて帰るかと勘定をしていたときだった。
 遠くからパトカーのサイレンが響いてきて、そのままパトカーから茶髪の黒制服の青年がこっちのバイクに目を付けて「借りるぜぇ!!」とさしっぱなしだった鍵を回してエンジン掛けて行ってしまった。
 余程急いでたのか……新撰組大変やなぁ。……茶髪の彼が沖田だとは思いたくないな。

 遠くで「見つけやしたぜェ土方しねコノヤロー!!」と聞こえてきたのは知らんぷりだ。こっちは関係無いもん。



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203:ぜんざい◆A.:2017/02/15(水) 00:35 ID:PaI


 結局返ってきたバイクはボロボロで目が死ぬ。恐らく死んだ魚の様な目をしているであろうこっちに、沖田総悟らしい人物が(見た目だけ)申し訳なさそうにやって来た。



「すいやせーん、借りたつもりだったんですけどー、土方のヤローが避けやがったからぶっ壊れましたァ」
『(まぁまた出したらエエか……)ん、まあ新撰組やし、しゃーない』
「!? あァ、まぁ、はい」



 驚いたように目を見開いて見上げてくる沖田くんにあっ、これヤバイかも。と危機を察知してグイッと頭に被った布を引っ張り、苦し紛れに沖田くんの頭を一度ぽんと叩いてから足早にその場を去った。
 エンカウントして目ェつけられたら結構困るんですよね、いおりさんは傍観しとりたいんや、許せや、つか許してください頼みますマジで。

 帰宅して中に入ると何やら高級そうな包みが。……どないして入ったんや高杉サァン。開けてみれば高そうな和菓子詰め合わせ。甘味屋に行く前に届けてほしかった。正味行く前に届けてほしかった。二回目やんこれ言うん。


**


 そして翌日、ポストにとある茶封筒が入っていた。中身を見ればこっちの隠し撮りの写真の数々それと手紙。なに、これはあれか? 高杉さんの新手の嫌がらせですか?
 いやいやー、とか内心思いながら導入(笑)されていた手紙をぺらりと開く。そしてそこには!



「貴女をいつも見ている。そう、いつもいつも見ているんだ。左腕の包帯の下が見たいな、貴女の全てが知りたいよ、口調はどんな感じだい? 土佐弁? 関西弁? 標準語? 右足首のバンクルが高級そうで、足枷みたいに見えてとても綺麗だね。ところで左手の薬指の綺麗な指輪は誰から? でも俺はまだあげてないよ? ああ、安心して。大丈夫だから。分かってるよ? 無理矢理押し付けられたんでしょ? そして僕に嫉妬して欲しいんでしょ? だって君は他人を寄せ付けたくないみたいだからね。俺以外とは触れ合いたくないって事でしょ?」



 ……うぇぇえええぇぇえええぇぇい!
 なんだこの勘違い男! なんだこの勘違い男! 大事な事だから二回言うたよ! なんだこの勘違い男! 大事な事だから三回言うたよ! こっちは恭弥一筋やっちゅーねんボケ! 誰がお前なんかに嫉妬してもらいたいねん! キッモ! キッモ!!!



『勘違い馬鹿乙(笑)ダッセキッモ』



 手紙を書いた人物に嘲笑して、歩き出す。手紙をライターで燃やして炭になったからそのまま捨てた。とりあえず写真持って新撰組に行こうそうしよう超怖い。



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204:ぜんざい◆A.:2017/02/16(木) 23:46 ID:PaI




 新たなバイクに飛び乗りブォンブォンドルルルルと音を立てながら爆走して到着した新撰組屯所前。とりあえず、『すんまっせーん』とか軽ーく言う勇気もないので『ごめんください』と控え目に扉を開けた。こっち多分めっちゃ怪しい人やと思うねん。やってボロ布頭から被っとるんやで。
 は、と自嘲気味た笑みを微かに浮かべて一歩足を踏み入れれば、こっちに向かってスッ飛んでくる黒い影。人影のようにも見えるので避けるわけにもいかず、一緒になって吹き飛ばされないようにガシッとその人を片腕で支えた。左肩ゴキって言うた! ゴキ言うた!!
 どうやら目を回しているようで、顔を見てみればジミーと有名な山崎退だった。え。
 彼が飛んできた方向を見ればそこには今にも山崎さんぶん投げましたと言ったポーズの土方十四郎さん。



「……な、にか用か」
『今、投げはりました……?』
「いーぇぇえ!? 投げてませんけどぉ!?」
『あっはい』



 土方さんは声をあげながらこちらを脅すように見てきた。とりあえずそれをスルーして『被害届出しに来ましてん』と布の奥から彼を見据える。とりあえず山崎さんは地面に捨てた。



「被害届だと?」
『……まぁ。……ストーカーにおうてまして』
「近藤さんんんんんんん!? 志村の次はボロ布さんか!! 節操ねーな!?」
『多分その人ちゃいます』
「え」



 その後、土方さんの薦めで少し事情聴取されるらしく、取り調べ室へと連れていかれた。途中で沖田くんも合流しました。一度もこちらを見てくれませんなぜでしょう嫌われとるん? こっち。



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205:ぜんざい◆A.:2017/02/27(月) 23:56 ID:gAY

新連載的な。(銀魂沼にどっぷりハマったなんて言えへn((⊂三´ω`セイヤッ)
 #3年Z組銀八先生 #普通に #ギャグを目指す #始まるのは2Zから

 夢主設定。

 小原 いおり(こはら いおり):女
 見た目はこれまでの連載の女夢主と一緒。違いと言えば少し髪が伸びて肩につくかつかないぐらいのショートカット(毛先外ハネ)ぐらい。コミュ障。身長が172cm。極度のめんどくさがり。アニメは少年漫画系とラノベ系(両共グロ含むものもいける)、映画はグロテスクなものを好む(バイオハザードとか)、他はアニメのみ。よくスケブに鉛筆走らせてる。ゲーマー。二次元に嫁が居て三次元で歌い手さん追っかけしてるなんでもこいこい系全方位オタク。ドラマは見ない。両生類で、普段の声が男寄り。意識すればエロボ出る。オツムの出来はあまり良いとは言えないし悪いとも言えないとても平均的な人間。バイク通学。とある仕事で学校を休みすぎて二年からZ組に落とされた(実は学校側の配慮だったりする)。セーラーの上から赤と黒のナイキジャージ(上着)を着用。前のチャックは閉めない。顔も普通。ゲームと漫画の読みすぎで視力低下した眼鏡女子(生まれつき目が弱かったので進行が早い)。関西弁。あんま自分から話し掛けないし喋らない。多分ツッコミ要員になると思われる。桂や高杉とか女子に絡まれているのをクラスメイトはよく見かける、本人は受け答え。癒しは神楽と妙。一人称こっち。少しだけ太め、あんま誰も気付かない程度に太め。

**

 一年の時は、まぁ仕事が忙しくてあんまり学校来れなくて、それでも理事長の配慮で進級出来た。……けどなぁ。



「その代わり、Z組だよ」
『……マジすか』



 Z組とかホンマ無いわ。
 この春休みを終えればこっちは2-Z組になる。噂ではZ組はとんでもない問題児どもの集まりやとか。不良とか不良とか不良とか。もうこっちなんか取って食われるてまうわボケェ。クラス替えもこの銀魂高校は無いし、最近運動してへんし、護身術になりそうなのは3歳から中学に入るまでやってた少林寺拳法ぐらい。それでもやめてしまってブランクは4年程、出た大会でぽんぽん優勝取れたあの黄金期にはもう戻れない。初段取ってもやめんかったらよかったんやろか……。
 死んだ魚のような気力の無い目でボヤッと遠くを見る。ああ、学校行きたくない。成績も下がったから仕事一旦やめさせられたし、散々や……中学からやっとったもんやのに。エエもん、別のとこで同じ仕事するもん、こっちを手放したこと後悔しろ。
 そんなイライラをぶちまけるようにバイオハザードシリーズを一気見。いやあ、もうほんとなんてスプラッター。爽快感がパないわ。とガラスのコップに注いでいたコーラを飲み干す。



『……あー、めんどくさっ』



 さて、今日は浦島坂田船のCDの発売日やから、バイク飛ばすか。



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206:ぜんざい◆A.:2017/02/28(火) 00:25 ID:gAY

歌い手さんの名前が出てきます。関係者様だったり嫌や! 言う人はNGです!


 昼間、バイクを飛ばしてCD買って、そのままマックででも腹を満たそうかと言うとき、ビルにある大きな液晶から「今や国民的有名漫画、週刊少年マガ○ンで連載していた『セイクリッド・ソードワールド』が突然の打ちきり! 終了を祝うかのようにアニメ映画化が決定しました! 打ちきりと引き換えのファン待望の映画化! 才能に満ち溢れた高校生作家「三日月 恭夜」のアニメ映画! アニメは視聴率が朝ドラ並みと言う異例の快挙だったソレが、映画化です! あっ、二回も言っちゃった」と大きく宣伝されていた。へえ、あれアニメ映画化するんや。DVD出たら見よかなぁ。
 それぐらいの気持ちで手から下がる袋を握り直してマックへと入店した。
 このあとアニメイトでも行くか。そう、とうらぶ! 待っとってや、みっちゃあああん! 伊達組ばんざあああああい!



**



 そして始業式。出るのかめんどいとか思っていれば理事長に「アンタはこっちね」と引きずられ、始業式ほったらかしでZ組の教室前まで連れてこられた。「そこで待ってりゃ呼ばれるから」とだけ理事長は告げて行ってしまった。……Z組始業式出んでエエとかなにこれ夢のようやねんけどすっげー。

 そしてしばらく。いつまでたっても名前が呼ばれない。中からは何かを殴る音とオマケのようについてくる野太い悲鳴、そして笑い声と怒鳴り声。なんやこれカオス。このまま帰ってエエかなエエやんな。なんて考えながら暇だったので先程からイヤホンで先日買った浦島坂田船聞いてます。埋ーまってーいくー、泣きーむーしーなノォートがー! 流石志麻さん、そのエロボに一生着いていきますまーしぃかっこエエよまーしぃ。いや、他のメンバーも好きやで? でも志麻さんが一番好き。声がダイレクトアタックしてくれました。
 するといつの間にやら静かになっていて少し首をかしげると勢いよく目の前の引き戸が開いた。鬼の形相の銀髪の先生が居たので教室やっぱ間違えたかな、と無言で引き戸を閉める。だが直ぐ様再び戸が開けられイヤホン剥ぎとられた。あれ、若干涙目やんこの先生……あれ、よぉ見たら銀八先生やったわ。すんません。



「あのねぇ、さっきから数十回呼んでんの、反応してよ! 入ってこいよ!」
『……聞こえませんでしたわ』
「そりゃイヤホンつけてりゃね!? おとなしく待ってろよ!」
『……かれこれ30分待ってから着けたんやけどな……』
「すいませんでしたあああああ!」



 困ったようにそう言えばスライディング土下座して来たのでそれを少しだけ鼻で笑ってからふと気付き『スカートの中覗いても短パンやで』と告げれば「ごめんなさい」と立ち上がって90度に腰を折られた。覗く気やったんやな。
 ようやく教室に案内されて教卓の隣に立つ。このクラスの方々から様々な視線が突き刺さって痛いです。誰だ今こっちの顔見て鼻で笑ったやつ。あそこのアイマスク君ですね分かります。誰だこっちの胸に視線を寄越してる変態は隣の銀八先生ですね分かります。ふっつーの大きさの胸見てもおもんないやろ。
 あっ、あそこの泣きボクロの眼鏡の紫髪の女の子めっちゃ美人。髪の毛可愛くポニテにしたあの子も綺麗や、前列の渦巻き眼鏡掛けたチャイナ娘も眼鏡を外せばきっと可愛い。何ここ宝庫?



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207:ぜんざい◆A.:2017/02/28(火) 00:40 ID:gAY


「ほら、自己紹介しろ」
『小原いおりです、よろしく』
「もうちょっとなんかないの!? 好きなことは何々ですだとかなんでこのクラスに移籍してきたのかとか」
『……このセンセめっちゃめんどい、鬱陶(うっと)い』
「お前さっきから酷くね!?」



 あーうんはいはい的な感じて『じゃあ質問ある人手ぇあげて聞いてくださいー』とか適当に言ったらいっせいに手が上がった。ノリエエな。なんやこのクラス。



「小原さんは彼氏いますか!?」
『二次元嫁なら居ります、彼氏は居ません』
「あら、小原さん、あなた好きな食べ物は?」
『甘いものとインスタント』
「得意教科はなんなの?」
『国語と美術』
「なんでこのクラスに来たんだ? 問題でも起こしたのか?」
『出席日数足りんかった』
「小原さんゴリラはケツ毛ごと愛せますか!?」
『すまんなに言うとるか分からへん。あえて言うなら絶対無理』
「おい小原ァ、SMプレイか放置プレイどっちが好きでさぁ」
『やる方なら何でもエエ……ってなに言わすねんドアホ』
「マヨネーズは好きか」
『何でそのチョイスやねん、普通やわ』
「喧嘩は好きか?」
『好きか嫌いか以前にそもそもせぇへんわ喧嘩』
「第二の眼鏡アルか?」
『強いて言うなら紳士やな、チャイナの可愛子ちゃん。っていうか第二の眼鏡てなんやねん』
「小原お前スリーサイズいくつ?」
『なんでそれやねん!』



 銀八先生の頭を肩に掛けていたスクバでぶん殴り『とりあえずよろしく』と死んだ目で手を振れば「ひゃふー!」「祝えー!」「ケーキアルか!」とか騒ぎ出す始末。何やこのクラス。



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