【正味】自由に書きますわ【新しくスレ作るんもうエエ】

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1:ぜんざい◆A.:2016/10/07(金) 22:41 ID:74A



 どうもこんばんはぜんざいです。

 私、思ったのです。書きたい作品が多すぎて、その分だけスレを作ると数がとんでもないことになるからどうしようと、完全に無駄だぜ? と。そして答えがこうなりました。


 もういっそ全部引っくるめて自由に書いてしまえと(

 終着点がここなのです。

 なので、とにかくひたすらジャンルバラバラの夢小説書きます。
 コメント及び感想待ちます! 小説投稿はやめてほしいんだぜ?(⊂=ω'; )

 まあ簡単に言うと、私の落書きのようなものなので、他の人は感想だけということになりますね。うわあ上から目線だぁ! 恐らくコメントには感涙します、めっちゃなつきます。ビビります。

 ジャンルは大まかに言えば、wt、tnpr、妖はじ、turb、krk、FT、中の人、FA、mhaです。
 これからも増えるだろうと思われる模様。
 2ch的なものも出てくると予想されます。

 これまでの上記で『2chやだ!』「作品がやだ!」「ぜんざいがやだ!」言うからは目がつぶれないうちにご帰宅or gohome(΅΄ω΄→ ハヤク!

 2ch系では顔文字や「wwww」表現が出るかと思われます。嫌な方はブラウザバック!


 それでは、そしてーかーがやーくウルトラソheeeeeeeey((

 文的にうるさくてすいません。



.

237:アポロ改めぜんざい◆A.:2017/05/31(水) 22:51 ID:FdI

突発的シリーズその一。知識有転生トリップ傍観前世アイドル男主。enst→はじあく。前世では夢ノ咲学院出身の人気アイドル。羽風や瀬名等の三年生と同い年だった。当時はアイドル一の色気を誇っていた色男アイドル。声がエロボ、仕草が色っぽい。但し本人にそんな気はない。眼鏡。常識人。隠れオタク。はじあくも本誌とコミックスを読んでいたサンデー派。しかしマガジンも読む。ジャンプはあまり読まなかった。あくまで傍観、ジローたちとはただの友人。高校生にしてアイドルしてるので学校は休みがち。超人気。オカン気質。名前は『最原伊織』、ニックネームは「イオ」や「いおり」。


**

 俺は生まれたときから少々他人とは違っていた。前世の記憶があるのだ。まあ待て、ふざけてるわけじゃない。俺は至って正常だ。
 俺の前世はまあ、大変輝かしいもので、その世界でもアイドルをしていた。この世界とは違い、アイドルを出せば出すほど売れる世の中だった。もちろん人気が出ず終わるところもあったが。
 俺は前者で飛ぶように売れたアイドルだった。周囲に『UNDEAD』や『流星隊』『紅月』その他もろもろなどの数人が集まったユニットの中で俺はソロでよくやった方だと思う。夢ノ咲の暗黒時代のせいで他の人が変わっていった中で俺はよくやった方だと思う。転校生のプロデューサーのあんずが来て暗黒時代も脱したが。トリスタ万歳。
 俺はそんな数々の人気アイドルを輩出してきた名門夢ノ咲学院のアイドル科出身で、まあ順風満帆に仕事を行ってきたと思う。
 本題はここからだ。俺、死んだ。死因なんてそんな大したことじゃなくもなかった。大変なものだった。妄想に取り付かれ、俺の彼女だと言い張った女の子のファンに否定を入れたら逆上して刺されて死んだ。このポジション……薫とかじゃないのか普通。
 まあ悔やんでいても仕方がなく第二の人生を歩んでいたら大変なことに気がついた。お隣さんが『渡』さんなのだ。まあ渡なんて名前はよくいる。そう思っていたが、どうにもそう思いきれない。俺が通う高校は『三葉ヶ岡高校』、お隣の渡さんは同級生で同じクラスの『渡恭子』。その友人は通称ユキの『東雲雪路』、アキの『中津川秋穂』そして先日このクラスに編入してきたのが自分を悪の組織の科学者で次期首領だと名乗るマントを羽織った男『阿久野ジロー』。これはもしや、というかもしやどころではない。サンデー屈指のギャグラブコメディの『はじめてのあく』ではなかろうか!? そう、あの壮絶なバトルとギャグとラブコメと貧乳の悩みが対立せず均等に存在するあの!
 超関わりたくないが、まあ大丈夫だろう。だって俺はお隣と言うだけで渡ちゃんとも仲良くないし、中津川ちゃんや東雲ちゃんとも話したことはない。小学校からずっと一緒だがここまで関わりがないのはすごい。ぐっじょぶあの頃の俺。しかも俺自体が口下手でコミュ障。お陰でテレビでも普段でもクールで通ってます畜生。俺も普通の青春したい。でもアイドル楽しい。そんな俺にも友人がいますよええ。
 俺はスマホ片手にとある人物に電話を掛けた。



『緑谷ェェエイ……!!!』
「ど、どうしたの最原くん、いきなり……」
『なんなんだアイツェェェエ!!!』
「ああ、阿久野くんだよね」
『そうソイツ。何あれ怖い。渡ちゃんファンクラブに潰されろ』
「あ、でも前に中津川さんの家でみんなで勉強会したんだけど、良い奴だったよ。ファンクラブの人たちも認めてる」
『緑谷ェェエイ!!! 羨ましいんだよこんにゃろーめが! 失せろ! お前らだけ青春しやがって! お前は俺を置いてかないと思ってたのに!』
「ごめん」
『俺こそごめん、取り乱した』



 じゃあまたな、と電話を切る。とりあえず緑谷は今後東雲ちゃんを好きになるので全力で応援してやろうと決めた。



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238:アポロ改めぜんざい◆A.:2017/05/31(水) 23:13 ID:FdI



 まあ、あれから月日が流れるのは長いもんで、もう三年生だ。彼らは彼らで順調に物語を進んでいるし、俺は仕事でちょくちょく抜けたり。彼らはキルゼム部とやらを作って仲良しだ。元ファンクラブの会長の赤城さんとはちょくちょく連絡を取り合う仲である。ただしいまだにメイン勢と絡んだことはない。俺の人見知りなめんな。
 だがしかし、今回は違う。俺は高校に入って初めて、部活動とやらに入ることになった。そう、かのキルゼム部である。阿久野に「入ってくれええええ」と土下座されたので流石に可哀想になり、受けたのだが。なぜ俺が三年にもなって彼らの話題に上がっているのだ。現在教室の外の壁に張り付いてます。



「あの寡黙な最原くんがアンタのたのみごと聞いてくれるなんて奇跡じゃん」
「ああ、俺も受けてくれるとは思わなかった」
「よく受け入れてくれたよねー、最原くん」
「ほんとにな。アイドルやってて近寄りがたかったんだけど、いいやつかもな」
「えっ、お前らアイツと話したことねえの!?」



 女子三人組と阿久野の会話を聞いていた黄村がすっとんきょうな声をあげて驚いた。やめて驚かないで。緑谷も苦笑いしないで。



「あいつって……アンタまさか最原くんと話したことあんの!?」
「ファンクラブに殺されねーか!?」
「あの女子に人気の眼鏡エロイケメンくんと、黄村くんが!?」
「東雲辛辣じゃね?」



 黄村に同意。それ俺も思った。



「アイツ超話しやすいぞ、話題吹っ掛けるとベラベラ喋ってくれる。めっちゃ笑うし」
「うそお!? 話しかけても「ああ」か「おう」か頷くしかしないのに!?」



 俺のハートにぐさりと何かが刺さったぞどうしてくれる渡ちゃん。



「あー、アイツ超のつくほど人見知りだからな。最近彼女欲しい青春したいって言ってたぜ。そこら辺は多分緑谷の方が詳しい」
「!? そうなのか緑谷!?」
「うわっ、ジローくん唾飛ばさないでよ! まあ確かに、僕多分彼と一番仲がいいと思うよ。友達欲しいって言ってたのを高1の時からずっと聞いてたし」



 もうやめて、俺のライフはもうゼロよ。って感じなんだが。死ぬ。恥ずか死する。



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239:アポロ改めぜんざい◆A.:2017/06/06(火) 01:04 ID:.N.

短編。黒バス洛山。※この男主は超短気である。
**

 バスケ等の運動部の古くからの強豪校、洛山高校。この伝統ある高校には、とある噂が……というか出来事がある。ある男子生徒が異常に女子生徒にモテているというものだ。屋上の扉がギィと開いてやって来たのは黛千尋。洛山高校のバスケ部所属の三年生である。今日も今日とてラノベを読破しようとやって来た訳だが、男女の話声が聞こえてくるのでどうやら先客が居たようだ。まったく、と背を向けるも、くぐもった唸りの様な男の声は聞き覚えのあるものだった。
 黛は真顔で思う、またかよ。大きく溜め息をはき、給水タンクの裏に回ればそこには一人の眼鏡の男を囲む五、六人の女子。男の方は腕を後ろ手に縛られており、口には布で猿轡とさんざんな格好だ、めちゃくちゃ怒鳴り散らそうとして猿轡のせいで唸るしかない。そして黛にとってそれはもう見慣れたものである。

「はぁ、最原くんカッコいいよ最原くんぅへ……、ふへっ」
「いやもうホントエロイケメンいおりくんhshsprprしたいカッコいいエロいもう好き! 抱いて!」
「そうよもう抱いて!? 今日は教室に帰さないよぉっ! 散々私達のことイかしてぇっ!」
「うへ、ふへへへへ、いおりくんのぉ、いおりくんと……」
「はいじゃあ脱ごうね! 上半身のボタンは既に外してあるからね!」
『ん゙ん゙ん゙!? ん゙ん゙ー!』

めちゃくちゃキレてる最原の前全開のワイシャツに躊躇なく手を伸ばしそのワイシャツは彼女らの一人にガッチリホールドされている。どたばたと足を暴れさせて抵抗する最原だが上に女子生徒が一人馬乗りになりそれも出来なくなる。
 見ていた黛も流石に駄目だと判断して止めに入った。

「おい、お前その辺にしとけ」
『ん¨!(狂喜乱舞してる)』
「うわ、黛くん来ちゃった!」
「え、もーおわり? おっと、最原くん次は頼むよ!」
「つまんない、あ、いおりくん今度会おうね!」
「いおりくんまたね!」
「いおりくん好き! また今度!」
『ん¨ぅ¨!? ん¨ん¨ぅ!』

走り去る女子に汚い罵声を浴びせていく最原だが、それすらも恐らく彼女らにとっては至福の一言だ。乙女の脳内補正怖い。黛が拘束を解いたとたん意味不明単語を怒鳴り散らしながら周囲の壁や地面に八つ当たりを開始する最原。これだって((ry

『最近の女子どないなっとるねんクソボケカスどもが!』
「いや、お前のこととなるとこの学校の女子はほとんどが肉食系女子になるから、その中でも突出した奴らだ」
『何冷静に分析しとるんや黛! っちゅーか女子こわ! なんやそれ怖! 俺軽く貞操の危機やったやん女子積極的すぎてホンマこわ!?』
「でもお前童貞卒業してんだろ」
『それ小学四年生の時に姉貴の友達の高校生のおねえさんに襲われてやからな!? 逆レ(ピー)やからな!?』
「はえーよ」
『好きでやったんちゃうわ!』

そう、最原いおりという男は、異性から異常に好意を抱かれるのだ。普段はこんな風にかなり短気ですぐ怒鳴り散らす短細胞の塊のような男だが、顔よし頭よし運動神経よし面倒見よし、そして短気だが紳士と来た。以前、階段につまずいて降ってきた隣のクラスのミスコン優勝者を咄嗟に片手で抱き止めその場で彼女に告白されたのは記憶に新しい。その前は体育の授業で倒れた女子をお姫様抱っこで運び保健室で襲われ、曲がり角でぶつかった後輩に手をさしのべればストリップを始めようとされ、なんかもういろいろとヤバイのである。体育の時に制服が無くなり、困っていれば数分後扉の前に「いおりきゅんの制服良い匂いだったよ! ネクタイはちょっと部長がいただきますしたから後日返すね!」と言うメモと共にネクタイを除いたブレザー一式が綺麗に折り畳まれていたり、シャープペンシルや消しゴム筆箱挙げ句鞄すらなくなったこともあった(基本ちゃんと返ってくる)。今回のように襲われているところも、少なくはない。そんな女子を見て男子の間では俺たちの友人の最原は死守しなければならないと言う謎の義務感を背負っているのである。親しい友人の黛もその一人だ。

「今回は派手だな」
『後ろからスタンガン浴びせられてやー、気ぃついたらワイシャツのボタンは全部外れとるしなんやらでびっくりやで』
「びっくりで済ませられるお前にびっくりだっつの」

今日も今日とて黛は思う、コイツホントにラノベの主人公より可哀想だなと。

240:アポロ改めぜんざい◆A.:2017/06/10(土) 18:34 ID:EAo

あんスタ夢。逆ハー狙い撃退のお話。あんずちゃんと夢主は同一人物ではありません。メインストーリー終了後。所謂革命後。
夢主の名前は『最原 いおり』。設定↓
学年・クラス:二年B組
身長:157cm
誕生日:4/12
星座:牡羊座
血液型:A型
 あんずと同じ時期に夢ノ咲学院アイドル科にやって来たデザイン科テスト生。普通科とは学科が違うので気まずいだろと言うことで同時期にやって来た女子一人のあんずの為にもとアイドル科に設置された。傍観しない傍観主。
 オタク。容姿は平凡。巨乳。絵が上手い。キャラから背景や風景画までそつなくこなすイラストに関してはハイスペック夢主。衣装のデザインやポスターレイアウトまで請け負う。逆ハー狙いに目の敵にされている。UNDEADと一番仲良し。
 肘に大きな古傷のあと。あと背中にも。黒タイツ。
 脳内はあんずちゃんマジホンマかわええマジリスペクト。会話するなどおこがましい。というか女神。かわいい(あんずは仲良くしたい)関西弁。
 性格はネガティブでとうらぶの山姥切国広の性格をちょっと軽くした感じ。自尊心は人並み。「どうせこっちなんて劣等生……」。言いたいことはズバッと言う派。逆ハー狙い主を見て逆ハー狙いとかリアルにおったんやすげえ。そしてうざいキモい。的な。逆ハー狙い怖い。声は低い。基本自分を下婢して自分自身を嘲笑している。何かあれば頼るのは大神。人間不信ぎみ。
 黒髪黒目。ショートカットで前髪はセンラさんみたいな。肩上の毛先は少々外に跳ねている。ブレザーは腕捲り。前はキツくて閉められない。

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241:ぜんざい改めマメツキ◆A.:2017/06/10(土) 19:31 ID:EAo


 夢ノ咲に転校してきて、S1だのB1だの見てこれは酷いと思って、思ったものの何もせずクラスの人たちとは程々に打ち解けUNDEADとかなり仲良くなりあんずちゃんの可愛さに撃沈し衣装のデザインがほしいと頼まれたのでササッと書いて手渡しエンジェルスマイルの残されトリスタがドリフェスで帰ってきた皇帝を負かし、ほぼ八百長だったB1などに革命を起こして平和になった夢ノ咲。相変わらずあんずちゃんは人気者でもうこっちには雲の上の人。コミュ障のこっちには些か声をかけるにはレベルが高い。だからせわしなく駆け回るあんずにお疲れ様も言えず仕舞い。ホンマこっちは死んだらエエ。



『そう思うやろ大神……』
「話見えねぇよ」
『ホンマにこっちクズやなって』
「……コイツめんどくせえ」
『めんどくてホンマすまん、ホンマこっち存在意義が分からへん死にたい』
「だあああああああ! うぜええええええ!」



 席から立ち上がって苦悩の声をあらげた大神はこっちに本気のチョップを一発浴びせて叫びながら教室を出ていった。なんだあいつ。ホームルーム始まるんやけど。やけに騒がしい教室の中で話し相手も居なくなったから音楽プレーヤーで曲を選らんでイヤホンを填めた。

 案の定担任に引きずられてあやつは帰宅。おかえりわんこ。そういったらわりと真面目に殴られた。
 ホームルームが開始されて、早速聞かされたのは教室がざわめいていた理由と言うか根元と言うか。
 どうやらA組に転校生が来ているらしい。遅れてきたプロデューサー科のテスト生のようだ。



『……ガミくんどう思う、プロデューサー科にテスト生がもう一人やで』
「……知らね〜よ。あんず居んのになんでもう一人とは思うけどな、ど〜せほとんどあんずに依頼殺到だろ」
『あんずちゃん女神ヴィーナスマジ天使』
「真顔きめぇ」
『ホンマすまんキモくてすまん生きる価値なくてすまん……』
「うぜ〜」



 翌日、鳴上ちゃんから聞いた話ではその新たな転校生はミーハーだと言うことが判明した。やな予感する。



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242:ぜんざい改めマメツキ◆A.:2017/06/11(日) 16:39 ID:EAo

※今後捏造が多かったり。

 翌日、教室でヘッドホンをつけながらアイポットで曲を聞きつつタブレットでブッ快感がテーマの爽快パネル破壊スマホゲームをしていたら、あんずちゃんがB組に駆け込んで来た。あ、涙が見えとる。かわゆす……とか言っとる場合ちゃう。何があった。
 伊更や鳴上が必死に宥めている光景を見ていれば、大神が軽音部から帰室していたらしく後ろの席にどさりと腰を下ろす。めっちゃイライラしとんやけど、目付きが凶悪なんやけど。こわ。



『……どないしたん、オオカミ』
「クソ気持ちワリ〜女に絡まれた、ってオオカミじゃなくて大神だっつの。役に立たねぇあんずに変わってプロデュースしてやるだとよ、何様だアイツ。腕に絡まってきやがったキモい」
『……その子は死んだらエエ』
「お前マジいい性格してわ、同感だけど。その女、例の新しいプロデューサーだぜ」
『クソもへったくれもないなクソ女死んだらエエ。上よく通したな』
「死んだら良いって二回言ってんぞ」



 二人でぐちぐちとこっちは未だ顔を拝見したことのないその二人目のプロデューサー、『姫野 愛(ひめの めぐむ)』について罵り合う。顔はずいぶんと可愛らしく美少女らしい。見るとこカスですねごめんなさい。
 二人で駄弁っているとあんずちゃんと鳴上が側に寄ってきていて、あんずちゃんが泣いていた理由は姫野が大神に言っていたことを偶然聞いていたからのようだ。説明ありがとう鳴上ちゃん。タイミング悪いな、そして姫野許すマジ。



「私そんな風に見えてたのかなぁ……」



 泣きながらそう呟いたあんずちゃんにこっちはぴしりと固まり、周りは真剣にそんなことはないと理由を述べる。
 あんずちゃんは作曲を月永先輩に頼みに行き作詞をしレッスン場を借りステージを用意しドリフェス企画をいくつも立ち上げとる敏腕プロデューサー。正直ちょっと前まで素人だったとは思えんぐらいにはすごい。
 そのあんずちゃんを役立たず言うんやから姫野は多分目ェ悪い。いや、こっちも眼鏡やから目ェ悪いんやけど。それか自分がそれ以上にデキル子なのか。多分ありえへん思うけどな。
 そうつらつら自分の考えを喋ればあんずちゃんが号泣した。びっくりしてあんずちゃんの脇に居た伊更に目をやればめっちゃ目をキラキラさせてて再び驚く。鳴上ちゃんみたら涙ぐんでた。なんでや。三人の反応が怖すぎて大神に視線で助けを求めれば渋々うんうん頷いてた。コイツはぶん殴りてぇ。



『な、んで泣いとるかは知らんけど、まぁ、気にせん方がエエと思う……んやけどガミくんこれ正解? なぁコレ正解なん?』
「知らね〜よ俺様に聞くんじゃねえ」
「イオちゃんありがとぉ……」
『……こっちなんかに礼言う前に鳴上ちゃんと伊更に言うたってや……』



 とりあえずあんずちゃんを二人に任せて大神連れてA組行こう。どんな子か見たいし、弟の方の朔間さん探しにいこう。
 一刻も早くここから逃げたかったこっちは大神の腕を引っ張って教室を出た。



「っ、どこいくんだよ」
『A組』
「帰る!!!」
『A組行くだけやって』
「ぜって〜帰る!!!」



 掴んだ方の腕を大神がぶん回すので抱え込んで再び引っ張っていざA組へ。途中最後の抵抗と思わしき大神の拳骨はわりと痛かった。一部始終何やら怒鳴っていたけど聞く気にはならん。うるさい。



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243:ぜんざい改めマメツキ◆A.:2017/06/13(火) 18:32 ID:EAo


 到着した隣のクラスを後ろの扉から覗き見れば、そこには氷鷹の腕に絡みついて遊木、明星と楽しげに談笑する姫野愛がそこにはいた。トリスタの三人は揃って隠してはいるが嫌悪感に濡れた顔をしている様子。
 こっちの上から覗いてきた大神は「マジきめ〜あの女」と苦々しくぽそりと呟いた。こう見えて人のいいわんこがここまで他人を嫌うとは……なにやつ姫野愛。



「おいいおり。気づかれる前に帰るぞ」
『せやな、帰ろか。すまんトリスタ三人しばらく犠牲になってくれ』



 そそくさと二人でその場を去り、教室に帰ってくるとみんながどうだったと聞きにやって来た。



「ど、どうだったイオちゃん!?」
「様子を見る限りは……」
「あ、やっぱりー?」
『ホンマに姫野気持ち悪かったわ』
「「「ん?」」」
『A組行ってきてんけど、姫野が氷鷹の腕に絡み付いて猫撫で声あげとってびびったわ。大神とさっさと退散してきた』
「えー……」
「……マジなのね」
「大神、お前ってやつは……」
「こっち見んなてめ〜ら!」



 大神が暴れとったのをスルーしてこっちは席につき毅然と再びゲームを開始した。今日からジューンブラインドフェスやねん!



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244:ぜんざい改めマメツキ◆A.:2017/06/13(火) 23:14 ID:EAo

アドニスくんの喋り方がよくわからん……ごめんねアドニス……。


 今日はUNDEADに衣装案を考えてほしいと言われ彼らの元にやって来た。学院でこっちが一番安心する顔ぶれである。学院一背徳的なユニットと名高い彼らは存外優しいのだ。好き。
 今回も五人で顔を付き合わせてこっちの持ってきた幾つかの案にあーだこーだとわーぎゃーと意見を出していた。



「この案6の衣装ならここにシルバーのアクセントを入れた方がいいんじゃない? いや、衣装案全体にシルバーアクセント入れる? シルバーかゴールドのコサージュとか。俺達のイメージぴったりじゃん」
『そうっすね……でも案6やと全体的に灰色っぽいんで目立たんのとちゃいます? いっそ黒にしますか? 今回はどれもスーツに似せたんで』
「そうじゃな……黒は今までと被るから灰色のままで、アクセントにブルーシルバーやヴァイオレットシルバーを入れるのはどうじゃ? あと我輩は帽子も欲しいように思う」
「それならジャケットは裾を伸ばして黒色も良くないだろうか。……いや、それだと大神には似合わないな」
「そこは個人の意見でいいじゃね〜か。俺は腰巻きにする」
『ああ、それなら大神のイメージっぽいな、ちょうどエエし。どうします? これでいきはりますか?』
「ふむ、そうじゃなあ。元々の原案に不満は無かったし、これで行こうか」
「お、マジで! やったね!」



 衣装決めが終了し、隣の羽風さんがはあああああと長い息を漏らしながら椅子の背もたれへと倒れ込む。こっちは決まった案を避けて原案を纏めてファイルに突っ込み一息吐く。
 その間もあああと言い続けてる羽風さんはわりと異常だ、なにかあったのだろうか。みんなして不思議そうに羽風さんを見つめるものだから視線に気づいた彼は「ああ、いや……」と体を起こし煮えきらない態度だ。いつもの憎たらしいほどスパッと爽やかにサボるねーだのカフェ行こーだの饒舌に回る口にしては珍しい。彼は疲れた顔をしてこう言った。



「あのさー、聞いてよー。新しい転校生ちゃん来たじゃん?」
『察しましたわぁ……』
「おー……」
「……言いたくはないが、まぁ、俺にもわかった」
「あぁあの噂の」
「そーそー。っていうか朔間さんまだあの子と会ってないんだ……」
「探しておるようじゃがな」
「まあ、その姫野ちゃんさー。そのときみんなの言ってた噂知んなくて、偶然見かけてお茶でもどー? って誘ったんだよ」
『女好きが仇になった』



 違うよーもーとか言いながら頬をその長い指でつんつんつついてきたので頭を叩き、続きを促す。



「誘ったは誘ったで良いけど、その態度が自分は誘われて当然、みたいな? そんな風でちょーっと感じ悪くてねー。しかもうるさいし」
「薫くんはうるさい子が苦手だったかのう」
「そうそう。だから誘ったは良いけどこの子ダメだってなってね。ちょうどそのときレッスンある日だったからさ。忘れてたふりして理由つけて戻ろうとしたんだよ」
「てめ〜最低だな」
「あんずが羽風先輩が来ないとその日嘆いていた」
『あんずちゃんに嘆かせるやなんて……羽風さん』
「ひどい! まあ、その転校生ちゃん、転校初日に誘ったんだけど、その子がいきなり「薫はレッスンよくサボるからそんなわけないの!」とか言い出して困っちゃったよ」
「……どういうことじゃそれは……」
『不気味っすね』
「……ああ」



 姫野愛って何者だよ。



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245:ぜんざい改めマメツキ◆A.:2017/06/17(土) 00:54 ID:5/U

あんずちゃんに対してマメツキはそんなこと思ってません。きっといい子。姫野の頭が破綻してるだけ。

姫野side

 私の名前は姫野愛(めぐむ)、愛称はめご。唐突にいっちゃうと私には前世の記憶があって、神様に御願いしてこのあんさんぶるスターズの世界にトリップさせてもらったの!
 死因は通り魔に刺された出血死。本来死ぬ予定のなかった私が死んじゃったから残りの寿命をこの世界で過ごすことになったの。もちろん三つの特典だってあるわ、だって私は愛されているもの!
 美少女補正に頭脳、そして運動能力! 逆ハー補正も欲しかったけど、この世界で一番彼らを理解している私はきっと自然に愛されるから心配要らない。
 でもあんずが同じクラスにいるしで鬱陶しいのよね。私的にはB組が良かったと思うのに。それに何よ! もうメインストーリー終わっちゃってるじゃない! これじゃ記憶の意味ない! とか思うけどこれからのイベントを楽しめばいいわ。この前だって一番推しのUNDEADの薫にお茶に誘われたし、晃牙ともお喋りしたし、アドニスは優しい! 零さんにも早く会いたいな!

 そして一つ、気掛かりがあるの。



「んー、次のドリフェスの衣装案、これでもいいけどさー、やっぱりダントツこれだよねウッキー!」
「そうだね! いいよね二人とも!」
「あ、デザインなら私がするよ! 任せて!」



 スバルと真が一枚の案を握り締めながら真緒と北斗に聞くものだから、私がデザインすると申し出てあげた。だってそれはきゅうごしらえなんでしょ?
 キラキラした視線で問えば四人とも首を振った。



「いおりはUNDEAD以外のデザインを滅多に作らないからな。今回、乙狩に頼んでそのツテで書いてもらったのだ」
「そういうわけで、アイツの書いたデザインは貴重なんだ。出来るだけ使いたいって訳だ!」
「レアだよレア〜! UNDEADのメンバーが同じクラスにいてくれてホントよかった〜」
「そうだよね! 絵に関しての才能有りまくりと言うか、とにかく鬼才なんだよなあ!」
「ウッキーの言う通り〜」



 そう、いおりとか言う訳のわからない女。一体何者なのよ。フルネームは知らないけれど、あんずと同じ時期に転校してきたデザイン科テスト生らしい。現在は晃牙と一番仲が良くて、アンデPらしい。あんたプロデューサーじゃないじゃない! と思ったところ、UNDEADの強い希望らしくUNDEADでのみプロデュース可能、それ以外はレアと言われる少数の衣装のデザイン、ポスター等を担当しているらしい。噂で聞くと巨乳眼鏡のようだ。何狙ってんのよ! どうせトリッパーでしょ! 絶対その女を学院から追い出してアンデPの座についてやるんだから!



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246:ぜんざい改めマメツキ◆A.:2017/06/21(水) 22:45 ID:5/U

いおりside

 ぞくりと背筋に悪寒が走る。ふるりと肩を震わせれば零さんが「どうしたいおり」と声を掛けてくれた。



『……や、ちょっと悪寒が』
「風邪か? それなら肉を食べて寝るといい」
『乙狩……心配してくれるのは嬉しいけどな……』



 乙狩の反応に若干引きつつ感謝を述べる。隣の席で横から「あのとき声かけなきゃよかったー、いおりちゃーん慰めてー」と後悔しまくりの羽風さんが引っ付いてきてよしよしと宥める。あ、零さんが叩いた。

**

 レッスン終わりの帰り道。校門を出るまでUNDEADの面々と共に歩いていたのだが、何者かが後ろから突き飛ばして来て、ぐらりとバランスを崩す。とりあえず建て直して、転けると言う事態にならなかったのは助かったが。なんで今押されたんこっち。
 後ろを振り返ってみれば、さっきまでこっちが居た場所で、大神と羽風さんの腕に絡まるあの逆ハー狙い。とりあえず四人とも何が起こったかわからないと言う顔をしている。こっちも流石に唖然。ここまでするか普通。逆ハー狙い魂やべー。



『……ガミくん、今こっちなんで突き飛ばされたん』
「知らね〜よ! つーか離せマメ女! 気持ち悪ぃ!」
「ひっどぉい大神くーん! めごがせぇ〜っかく! 来てあげたのにー!」
「誰も頼んでね〜っつーの! はーなーせー!」



 必死に腕を振り回す大神と引っ付く姫野の激しい攻防の隅で、がっちり腕をホールドされている羽風さんが震えていた。ちらちらこちらに助けを求めるんやめてもらってエエですかね。
 零さんと乙狩? 二人は姫野のド迫力についていけず既に此方の側で待機してます。おじいちゃんは「な、なんじゃこの子は」と訳のわからない生態にわりとビビってる。とりあえず肩を握りしめるのやめてもらって良いですかね、結構痛い。



「どーして私はダメなのにデザイン科の……えーと、最原? さんだけ良いの!? そんなの不公平!」
「不公平以前の問題じゃよ、転校生や。我輩たちはお主とあまり仲がよくないじゃろう」



 おじいちゃんの精一杯のどっか行けアピールは「これから仲良くなればいいもん!」と言う発言で論破された。カワイソス。



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247:マメツキ◆A.:2017/07/24(月) 22:50 ID:F9w

上記連載は一旦停止。ここで連載しているほとんどをネタだと思って読んでください。
次は唐突に書きたくなった地縛少年花子くん連載。八尋寧々ちゃんポジションの記憶なし夢主。オチは恐らく花子くん。いずれ絵もあげますが今まで通りのショートカット眼鏡に関西弁巨乳。気だるげ。名前は小原一織(コハラ イオリ)。
次の更新からスタート。

248:マメツキ◆A.:2017/07/24(月) 23:16 ID:F9w


 __ねえ知ってる? この学園にある七不思議の話。全部の正しい話を集めると、何かが起こるんだって。知らないの? じゃあひとつだけ教えてあげる。一番有名なお話ね。

“七不思議の七番目 トイレの花子さん”
 旧校舎三階女子トイレ、奥から三番目。
そこには花子さんがいて、呼び出した人の願いを叶えてくれる、でも引き替えに何か大切なものを取られてしまうんだって。

**

 七不思議の噂を聞いた一織は恐る恐ると言ったように旧校舎の三階の女子トイレの扉を開いた。わりときれいなトイレの中で一織はきょろきょろと気だるげな表情で鋭い目の奥の瞳を慌しなく動かす。こくりと小さく息を飲んだ彼女は奥から三番目のトイレのドアをノックした。



「……花子さん花子さァん、居らはりますかァ?」



 独特のイントネーションをそのままに、彼女の敬語が響く。そのまま視線をトイレへと集中砲火させていると、ドアがひとりでにギィと開き、そこから手が出てきた。



「はーあーいー」



 先程の問い掛けの答えのようで、間延びした声が返ってくる。これには流石の彼女もびくりと肩を震わせ、ばしんと彼女はためらいなく少し青くなった顔でドアを開けた。だが、そこには何もない。



『……なんや、気のせいか』



 ほっと息を着いた瞬間、後ろから肩にポンと手を置かれ、「こっちだよ」と囁かれる。思わず『ひっ、』と言う声が溢れた一織を恐怖に歪んだ顔で素早く振り向きその威力を殺さぬまま、遠心力の回し蹴りを叩き込んだ。スカートの中が見えるとかそんなのに構ってなどいられない。だが。ふっとすり抜けたそれに、とうとう悲鳴をあげてしまった。



『うおおおおおっ!?』
「くっ」



 色気のない悲鳴をあげると同時に、先程の場所からくすくすくふふと堪えた様なかわいらしい笑い声が聞こえてくる。明らかに少年の声。不思議に思った一織が振り向くと、すぐそばにはくりっとした大きな瞳、左頬に『封』とかかれた紙を引っ付けている一昔前の学ランに学帽の格好をした少年がいた。状況を把握した彼女はキョトンとしたまま眉を寄せ、どうして男子が女子トイレに居るんだと思いながら、彼をよく見てハッとする。



『透ける体、人魂、昔の制服……お前は……』



 若干震えた声の一織に少年はにこりと笑い、「俺は怪異さ」と軽く告げ、ひらりと三番目の個室のトイレの貯水タンクに腰を下ろす。



「七不思議が七番目、「トイレの花子さん」。はじめまして」



 そう言って彼、『トイレの花子さん』はへらりと笑って帽子のツバをクイ、と下げた。

249:マメツキ◆A.:2017/08/13(日) 00:19 ID:xhA

上はもうネタと認識してくださって構いません。
 通り魔に刺されて死んで転生して弱ペダのにょた化した荒北さんに成り代わった女がその世界で健やかな一生を終えてから復活に転生するややこしい話。
とりあえず復活での容姿はにょた北さん。ロングヘアの巨乳にょた北さん。名前は『荒北 いおり』。中学生。行き帰りはもちろんロード、愛車のビアンキちゃん。ソロで大会にも出ており『運び屋』『野獣』などと通り名がついている。一人称『あたし』の喋り方荒北さん。逆ハー主を傍観する感じ。かつ原作終了後の中学三年生のお話。にょた北さんに成り代わる前がオタクだったため知識は健在。てか弱ペダにもあったし。っていうにょた北得設定。クールな美人。京子ちゃん花ちゃんとはお友達かつツナたちとは関わりのないただのクラスメート。前世の影響を受けロードはずっと大好き。

**

 あたしが通り魔に刺されて殺され目を覚ませば夢小説でありがちな転生してて、転生した世界が大好きな弱ペダで傍観しよーっと、とそう考えていたらあたしは大好きな荒北さんになってて、かつにょたでみんな女の子で戦って年とってようやく安らぎを得られると思ったら再びの転生。絶望したわ。超超絶望的に絶望的で絶望的だったことにとても絶望した。循子チャンは天使。安らかに寝かせろよマジで。
 そんなこんなで悟りを一瞬開いた今回は成り代わることもなく再び荒北いおりとして生きていたあたし。しかし中学校が『並盛』で御近所さんに沢田さんいりゃ凍り付いたわ。復活じゃねーかって。とりあえずツナとは関わりなかったし、京子チャン花チャンと仲良くしてりゃいいやと過ごしてロードに勤しむ傍ら、見れるとこだけ原作傍観して特に巻き込まれることなく原作終了。泣いて喜んだらアキチャンに吠えられた。悲しみ。
 なんだかんだ有りつつ自分には一切何もなく身構えさせんじゃねーよって内心怒鳴りながらもやっと安寧を得た荒北さんですどうも。いやぁどうもどうも、歓声をどうもありがとう。は? 歓声? 脳内補正だ馬ァ鹿チャンが。



「え、どうしたのいおり?」
『あァ? なァに京子チャン』
「あんた凄むのやめなさい」
『凄んでねーヨ……。で、なァに』
「ううん、いおり、すごく満足そうな顔してたから!」
『マジかヨ』



 二人といるときは脳内補正だやいのと騒ぐのやめよ。ばれるわ。こえーマジこえー。
 朝の教室の一角(京子チャンの席)に集まってそんな会話を繰り広げていたら、花チャンがそうそう、と思い出したように言った。



「私、聞いたんだけど。今日このクラスに転校生来るみたいよ」
「古里くんの時みたいな人かな?」
『さァ? どーだろうネ。あたしあんま転校生とか興味ナァイ』
「はー。流石『野獣』。やっぱり狼は狼でも一匹狼ね」
「他にも『運び屋』って呼ばれるんでしょ?」
『いやそれチャリの話だからァ』



.

250:マメツキ◆A.:2017/08/13(日) 01:00 ID:xhA


 転校生云々の話をし始めたら後ろの方の席のボンゴレトリオがバッとこちらを向いた。ちなみにクローム髑髏チャンは一緒に行動する友人である。現在四人で談笑中だ。クロームチャンもむもむパン食べてて可愛い。てか教室のみんなは黒いスーツの赤ん坊いることに疑問抱かんのね。まったくもってわけわからん。見えてないのか。
 そんな今年も仲良く何かしらの陰謀すら感じるメインキャラの代わり映えしないクラスでトリオを無視しつつ原作終了しているがゆえのアクシデントに巻き込まれないように花チャンから話を聞く。



「なんでも、女の子のイタリアからの帰国子女らしくて」
「へー! 仲良くなれると良いなぁ」
『そーだネー』



 口では京子チャンに同意しつつ、脳内でこれ逆ハー狙い主のトリップじゃね? と目星をつける。目の前で呑気に微笑むメインヒロインとそのお兄さんと交際している黒髪美女を絶対出来る範囲で守り抜こうと傍観に徹することにした。原作終了して先が読めないから巻き込まれたくない。やっぱり可愛いのは自分の身だ。どうだ驚いたか。情けない。前世の荒北さんどこいった。当事者だからか、納得。
 そしてやってきた朝のホームルーム。先生の合図と共に入ってきた転校生はツインテの髪と瞳があたしたちの目に痛いドピンクなショッキングピンクの女だった。これ絶対決定じゃナァイ、逆ハー狙い主ジャン。顔付きは普通、体型ちょっと肥満気味のドピンクチャンはめっちゃぶりっこして猫撫で声で告げる。「私ぃ、両親が日本人なんだけどぉ、生まれも育ちもイタリアの帰国子女なのぉ。日本語もちゃんと喋れるから安心して! よろしくねぇ!」まず名前を言え名前を。一番後ろの席の窓際に着席しているあたしが内心即座に突っ込んだのはご愛嬌だ。
 固まる教室で引き気味な笑みの担任が「名前名前!」と言うと彼女はこう言った。



「やだぁ、私ったらうっかりぃ〜。私、姫野麗子! 麗子って呼んでねえ!」



 きゃぴっとした動作の彼女に一言もの申そう。めっちゃ痛い子だよ。気付こうよ。そしておっちょこちょい狙ってんのか狙えてねーよばーか。
 とりあえず、掴みが最悪な彼女は京子チャンをキッと睨んだあと、密集するボンゴレトリオに蕩けるような視線を送る。とりあえずコイツ逆ハー狙い確定だな。


**

 案の定というかなんというか。代理戦争で吹っ切れたのか、最近ボンゴレ十代目の自覚をし始めた沢田やその部下の獄寺、山本に早速絡んでいた彼女はあの子馬鹿かと横目に流しながら花チャンとクロームチャン下校するため下駄箱に居た。京子チャンは少しツナたちと話をするらしく、校門で待っていてほしいと頼まれた。今日はロードもないし、久々に歩いて帰る。
 沢田綱吉。一年や二年の時の様に彼を『ダメツナ』と呼ぶものはもうこの学校には居ない。身長も割りと伸び、元々可愛らしく整っていた顔は成長に連れ逞しく、プリーモの面影を移すまでのイケメンになっていた。それに獄寺や山本の言う『ボス』や『十代目』の呼び名。雲雀さんもわりと話し掛け会話する。
 こんなこともあり、沢田に話し掛ける人はあまり居ない。なのでいつものメンツと何ら変わりなく過ごしているのだ。本人はまだダメツナだと思っているようだが。京子との恋路を影で見守っている。頑張れ。
 それ故に転校生は奇行種だ。だからと言って関わる気はないが。
 あ、京子来た。



「待たせてごめんね!」
『いーよ別にィ。花チャンは知らねェけどあたし急いでねーしィ』
「私もよ」
「よかった〜……あ、ハルちゃんとも待ち合わせしてるの! いおり今日は自転車持ってこないって聞いてたから! 久々に五人でナミモリーヌ行こっか!」
「……!」
「そーね」
『あたし最近行ってねェし、行こっかァ』
「よかったー!」



.

251:マメツキ◆A.:2017/08/13(日) 01:39 ID:xhA



 ハルチャンを交えて五人でナミモリーヌに入ると、みんなが一様にショーケースを見つめるので、あたしは『先選んで来いヨ』と彼女ら四人をその場に、あたしは席取をした。
 ガラス張りの奥の商店街の景色を眺めていると、ちょっと不安そうな四人が帰ってきた。どした。



『え、みんな不安そうな顔してどーしたヨ。あたしわりと困惑してんだケドォ』
「え、いや、いおりがノリ気じゃなかったらって思っちゃって……」



 全員が頷くもんだから笑ってしまった。そんなことナイからァとヒィヒィ笑うあたしに安堵したのか、選んで来なよと背中を押された。とりあえずご厚意に甘えてとミックスベリータルト、ラズベリームースケーキの二つを選んできた。視線を釘付けにして離さなかったのである。くっ。
 席に戻ると始まる女子トーク。みんな可愛いなァと眺めていると、不意にハルチャンがあたしを話題に出した。



「それはそうとですね! ハルはいおりちゃんはとてもすごい女の子だと思います!」
「あ、分かるよその気持ち!」
「私も」
「……私も」
『は、いきなりナァニ』
「だっていおりちゃんは気遣いも出来て勉強も出来て運動も出来ますよね! 美人ですし! そして自転車の大会でも必ずトップ! 運び屋や野獣なんて通り名までついてて格好いいです!」
「なんでアンタうちのチャリ部入んなかったのよ? 入部頼まれてたでしょ?」
『……ロードってさァ。一見個人競技に見えて、団体競技なんだヨ』
「えっ、そうなの?」
「そうなんですか?」
『うん、そーなのォ。言っちゃなんだけど、ロードは努力した分報われる訳じゃなくて、生まれ持つ才能的ななんかが必要なわけェ。ペダル回した方が強ェ。でも、仲間との信頼関係とか、時には敵と協力しつつ切磋琢磨して、でも絶対自分が優勝するって想いながら望むんだヨ。でもなんか今は、女子特有の部内の蹴落とし合いみたいのあんじゃナァイ? 部品壊したり盗んだり。あたしそれが嫌なんだよネェ』
「あー」



 そう同意する彼女らにわかって貰えたと言う感動的な? なにかが胸を占めるがケーキ食って誤魔化す。『まぁ実力は個人なんだけどネ』と告げるとまぁそうだよねと苦笑いされた。解せぬ。
 とりあえず話の途中で店に来ていたボンゴレトリオはもう無視だ。話したことねーし。



『とりあえずあたしの愛車のビアンキチャンは色も形も軽さもオールラウンダー向きでさァ! あたしはビアンキチャンに乗ると、こう! なんつーのォ!? 匂うんだヨぞくぞくすんだヨ! ゴール手前になると、テレビの車も前の自転車もコース取りも邪魔でさァ! どけ邪魔だ道塞ぐんじゃねェって叫びながら足が千切れるぐらいペダル回してスピード落とさず相手に体当たりしてガードレールとか車のミラーに体引っ掻けて威嚇して攻撃して、そんで最後周りに誰も居ないめっちゃ気持ちいいゴール! これ味わうともう嫌でもやめらんねェな! 何回も何回もって体がそのときの興奮を欲するんだヨ!』
「アンタの生傷が絶えないのはそのせいか!」
『っだ!?』



 ゴール時がいかに気持ちいいか説明すると花チャンに頭を叩かれた。他三人がキラキラした笑顔であたしを見てるのに、花チャンの目が絶対零度だ。怖い。



「まあ、アンタが『野獣・荒北』って呼ばれるのはよくわかったわよ。アンタは優勝求めて大会出てるし」
『かれこれもうずっと優勝してるヨ』
「すごいですー……。あ、じゃあいおりチャンが運び屋って呼ばれるようになったのはなんでですか?」
『……さァ? 時々あたし、気に入った奴見つけると引っ張ってゴール前まで連れてってあげるんだよネ。引っ張る時も全力で相手のこと考えてなくてついて来れる奴だけついてこいって感じだケドォ。結局優勝はあたしが取るけどそれじゃナァイ?』
「……すごい」
『クロームチャンうちに来ない?』
「やめなさい。まあ、そんなとこじゃないの?」
「いおりすごい!」
『実感はないケドネ』



.

252:マメツキ◆A.:2017/08/13(日) 11:25 ID:xhA



 翌日、四人で昼休みに談笑していると、ボンゴレトリオと姫野に京子チャンとクロームチャンが呼ばれ、京子チャンに引きずられるようにしてその場にご参加させていただいた。



『……そー言やァ、三年間クラス一緒なのに今まで沢田チャンたちと話したことなかったよなァ』
「あっ、えっ、うんっ! そうだね!」



 あたしがそう言うと沢田が思いきりキョドって目を逸らした。なんだ? と首をかしげると花にこら、と怒られた。



「いおり、睨むのやめなさい」
『マジかヨ。あー、沢田チャンごめんネ。目付きわりーの生まれつきなんだわ、別に睨んでる訳じゃないからァ』
「あっ、そうなんだ」



 パッと笑った沢田チャン可愛い。獄寺睨んでくるけど。山本笑ってるけど。姫野射殺さんばかりの視線送ってきてるけど。リボーンが視界の端で笑ってんだけど。
 とりあえず、スマホ鳴ってるから見てくるわ、と一旦その場を離れる。突き飛ばそうとしていた態勢の姫野はポカンとしたあとまた睨んできた。別に怖くナァイ。
 鞄からスマホ取り出してディスプレイ見てみると、見知らぬ番号。いや、見覚えは有るが、この世界には無いものだ。唖然とディスプレイをつったって眺めていると、一旦切れる。そしてまた鳴り出す。しばらくそれを眺めて、苛立ってきたので通話ボタンを押した。もしもし、よりも早くに。



『さっきから誰か知んねェケド音ぴーぴーうるせェんだヨ! 何回も掛けんな! 痛電してェなら他所でやれっつっーのうっぜえ! マジうぜェ!』



 そうしてぶつりと通話を切る、んでから綺麗なフォームで地面に叩きつけた。予想通りなら、相手は前世のうざいアイツだろう。あいつなら、絶対もう一度かけ直してくる筈だ。
 周囲が唖然としてるのを横目に、再び鳴り出すスマホを冷静に手にとった。



『もしもォし』
「うざくはないな!」
『やっぱりお前かヨ鬱陶しい』
「鬱陶しくもないぞ! わっはっはっはっは!」
『お前もう超めんどくせェ、クソやかましいんだケドォ。このナルシスト女が』
「ふッ、嫉妬しているのか荒北! 私が美形なのは事実だ!」
『うっぜ』
「登れるうえにトークも切れる! そしてこの美形! 天は私に三物を与えた! 山神、東堂八子とは私のことだ! はーっはっは!」
『自己紹介頼んでねーし耳元で叫ぶんじゃネーよ、このでこっぱち。切るヨ』
「あっ!?」



 ぶちっ、と容赦なく電話を切ったあと、思い直して電話を再び掛ける。とりあえず騒がしくなってしまったので屋上に行こう。京子チャンたちに教室を出るとレクチャーすると唖然としたまま手を振られた。
 全部東堂のせいだ。



.

253:マメツキ◆A.:2017/08/28(月) 01:50 ID:OSI

また新しいのを書きます。
 以前に、多分ここかトリップの方でゲムポケの男主人公たちのにょた化ハーレムのネタを乗せた気がします。それに女の子主人公を混ぜ、舞台を復活の並中にしてーって言うのを唐突に書きたくなりました。ネタです、嫌だと言う人はUターン!
 レッド、グリーンはシブレ、シブグリで以下の六人はポケスペでブルー、ゴールド、シルバー、クリスタル、ルビー、サファイアまでが登場。みんな適当に漢字にしてます。レッドなら『頂 赤色(いただき あかいろ)』、グリーンなら『大木戸 翠(おおきど みどり)』など。
 ブルーは『色盗 蒼衣(しきとう あおい)』、色っぽいし盗みは得意な女の子なので。ゴールドはゲムのヒビキから取って『黄金 響(こがね ひびき)』。
シルバーは『榊 銀(さかき しろがね)』。親がサカキなので。しろがねはしろがねでも白銀と銀に迷った。
クリスタルは『栗水 晶(くりみず しょう)』、クリスとクリスタル(水晶)から。
ルビーが、ルビー……コイツむずい……。『紅玉 悠季(こうぎょく ゆうき)』でどうでしょう、ユウキはゲムポケから借りました。女の子にユウキは有り。有りったら有り。多分ユウキだったはず……コウキだったかな……? それはシンオウの子か……? 紅玉はそんままのルビーです。
 サファイアが『織田巻 藍(おだまき あい)』。これしかないと思いました。
 みんなニックネームがレッドやグリーンなどの元のものです。
 そして男主。黒髪黒目。眼鏡は無いですが名前は『最原いおり』。名前またおんなじかよと思われた方もおられるでしょうが、暇なときに見てやって下さい。
 並盛中学校三年生の柔道部の部員。わりといけめん。気付かないハーレム体質。レッド、グリーンとは同い年の幼馴染み。一個下の後輩にゴールド、シルバー、クリス(三人とも沢田と同じクラス)がいて、その下の学年にルビー、サファイアがいる。みんな美少女なのでそんな友達がいる俺勝ち組とか思ってるクソ鈍感。実は雲雀とおともだち。雲雀はおともだちなどとは決して認めないが、応接室でレッド、グリーンも交えてお茶する中。
 見た目怯えてしまうほどの近寄りがたいぐらいクールなのに、喋るとわりとフレンドリー。
 笑顔で柔道の投げ技する人。
 時間軸は原作終了後。

**

 朝、そう朝。小鳥のさえずり、小川のせせらぎ、そんなものがあれば俺は不気味で飛び起きるだろう。なんたって俺は白と黒でシックに纏めた普通の部屋で睡眠を取っているのだから、万が一にもそんなもんない。あってたまるかこのやろう。
 そんなわけで俺はいつも通り、腹に重みを感じながら目を覚ます。そして目の前にはちょっと焦ったような、咄嗟に作った感じの美少女の笑顔。ギャルゲーならここで慌てたりするもんなんだろうが、悲しきかな、もう慣れたわ。



『……おはよう、グリーン』
「えっ、反応うすっ!」



 極限まで顔を近付けていたらしいグリーンは俺の顔の横についていた手をのけ、俺に跨がった態勢のまま「つまんなーい、もうちょっと楽しい反応見せてくれると思ってたのにー」と俺の腹に手をついてゆさゆさと揺れる。おお、胸が揺れる揺れる。絶景かな絶景かな。あいた、頭を叩かれた。なんて理不尽な。
 そしてなんで俺の部屋に居るんだとか色々言いたいがどうせ母さんが入れたに決まってる。とりあえず短いそのミニスカートで跨がると見えるぞと注意すると「短パン穿いてるし!」とスカートを捲った。思わず残念な視線を送ったのは仕方ない。なんで下穿く、なんで下穿いた。



『もうちょっと学校のさ、お前のこと気になってる男子にサービスしてやれよ、俺じゃなくて。プロポーション抜群の美少女なんだから』
「見せてあげる義理なんてないもーん」



 コイツ幼馴染みだからって俺のこと絶対男として見てないわ。
 グリーンをそのままにむくりと起き上がるとグリーンが転がってベッドの下に落ちる。なにすんのとかほざいてるが知らん。そのまま制服へと着替えを済ませるとグリーンが「女子の、女子の目の前で着替えなんて……!」と目を両手で押さえながら指の隙間からこちらを見ていた。見てんじゃねーかよ。まぁ毎度のことである。ほっとこう。
 そんなことを考え、荷物を持って部屋の扉を開けた。



.

254:マメツキ◆A.:2017/08/28(月) 02:26 ID:OSI



 開けた瞬間、ゴッと扉の奥で何かにぶつかる音がした。見ると額を押さえて震えるレッド。え、レッドごめん。
 数秒その場で震えた彼女はおもむろに俺へと抱きつく。相当痛かったらしい、ううと唸りながらぐりぐりと黒髪ロングを揺らして頭を押し付けているのでとりあえず撫でる。キューティクルサラサラ過ぎかよレッド。後ろでグリーンが「レッドどしたの!? 大丈夫!?」と俺の背中をどついている、いてててて。本気のグーで殴るな本気のグーで。どけってことかおいこら。相変わらずグリーンの中のヒエラルキーは俺よりレッドの方が上らしい。いや、同じか……?
 パッと顔をあげたレッドはグリーンに「……大丈夫」と告げた。あ、どつくのがおさまった。



『さっきすげえ音したしな……でこ赤くなってるな、レッド』
「……大丈夫」



 ふるふると顔を横に振って大丈夫を表現するレッドにそうかと苦笑いしてから、どうして扉の前になんて居たのかを聞くと、俺が着替えを始めたかららしい。なんだこのいい子。律儀か。
 レッドが俺の着替え途中の上半身裸の写真を隠し撮りしていたことに気付かずに頭を無言で撫でる。レッドがグリーンと親指をたてあいサムズアップしていたことには気付かなかった。
 レッドが抱き付いて離れないのでそのまま歩き出し、階段に差し掛かると後ろからグリーンが突撃してきて危うく落ちるところだった。咄嗟に手すり掴んで良かった、ほんとよかった。
 幼い頃から可愛いな綺麗だなと思っていた幼馴染み二人だが、中学に入ってからその頭角をぐんぐん見せ始めた。レッドは大和撫子的なおしとやかなしかし目付きの悪さと無口さからか近寄りがたいミステリアスな雰囲気を放ち、なんかもう俺たち幼馴染みとよく知る友人にしか近付かない人見知り。
 グリーンは化粧をバッチリ決めてくせっけの地毛である茶髪をポニーテールにしている。すっぴんでも可愛いが。こちらはめちゃくちゃ明るくやればできてしまう天才型なので常に周囲に人がいる。
 対照的な二人だが、お互いがお互いのことをめちゃくちゃ大切に思っているので基本二人で一組と言うか、どこにいくにも一緒だ。そこになぜか俺も含まれているのだが。ううむ。

 家を出て二人に挟まれながら歩く。家は学校に五分で到着する距離、急ぐ必要は皆無。そして周囲の生徒からの羨望の視線なんてもう慣れたもんだ。どうだ羨ましかろう。

 校門に差し掛かると、風紀委員の草壁が見張っていた。それに三人各々おはようと言うとおはようございますと仰々しく頭を下げられた。レッドがビビって跳ねるように腕に飛び付いてきたので早足でそこを抜ける。グリーンお前もか。
 教室に入ると流石に席が近いわけでもないので離れる。レッドとグリーンはお互い隣の席で、通路側の一番前の席。俺は窓側の一番後ろの席。先生あれですか、美少女二人に囲まれてる俺を妬んだんですか。すいません言ってみたかっただけです。くじ引きは運でした。
 がたりと席に着くと前の席のデンジが振り向いた。



「……うざい」
『は、俺が?』
「マツバ……」
『マツバちょっとこっち来い、デンジがなんかほざいてるから』
「ほざいてねーよ」



 レッド、グリーンの後ろの席の春夏秋冬マフラー巻いてる金髪にバンダナのイケメンを呼ぶ。最初は首をかしげていたが、デンジのことだと分かると笑顔でパタパタとこちらにやって来た。



『マツバお前、今度はどんな話をデンジに聞かせたんだ』
「うん、えっとね。僕の家に置いてある髪の毛の伸びる日本人形の僕の家に渡ってきた経緯をね」
『……お前なんでそんなもんしってんだよ』
「あはは」



 へらりと笑ったマツバにぞわりと鳥肌が立つ。一体誰に教えてもらったんだよぉマツバよぉ。全部聞かなくて良かったと思うと同時にデンジに少し同情した。お前いっつもこんなんきいてんのかよ……。



.

255:マメツキ◆A.:2017/08/29(火) 00:31 ID:OSI



noside

 翌日にレッドとグリーンは2年のとある教室を訪れていた。もちろんゴールド、シルバー、クリスにとある写真を渡すためだ。
 とある写真とは。以前にグリーンがイオリの気を引き、レッドが隠し撮りをしたことがあっただろう。それだ。



「おーいゴールド、シルバー、クリスー」
「……写真、出来た」



 元気に笑顔で彼女ら三人を呼ぶグリーンと、そのグリーンの服を摘まんで後ろに隠れるように姿を表したレッド。何度でも言おう、二人は美少女である。そして今から来る三人も群を抜いて美少女だ。
 身長も三人の中では一番高く、今後出てくる女の子の中でも一番胸の大きな爆発している前髪でショートカットのゴールド。
 髪を二つ括りにしつつもその毛先は真上をみている、委員長が似合う真面目なタイプのクリスタル。
 二人の幼馴染みであり、一人称が拙い「おれ」でありレッドと同じ程度の貧乳のセミロングの赤い髪が特徴のシルバー。
 三人のうち一人は嬉しそうに、うち二人は複雑そうに二人のもとへ行くのだから教室は静かになる。沢田綱吉らボンゴレトリオ、シモンの炎真もそこに釘付けだ。
 五人は静かになっていることなど気にせずにきゃいきゃいと会話をしだす。



「……前に言ってた、写真」
「えっ、マジスか!? もしや!?」
「そうそう! 成功したんだよね!」



 嬉しそうな表情の二人と少し緩んだレッドにみんなが耳を傾けるのは当たり前と言える。
 そんな三人にクリスタルとシルバーが物申した。



「……でも、イオリさんに悪いんじゃあ……」
「いくら男と言えど、バレたらヤバいだろ」
「……要らないの?」
「「いりますけど……」」



 物申した時の顔のまま平然と言ってのける二人にやっぱりな、とゴールドが腕を組んでうんうん頷く。やっぱり好きな人の写真は欲しいのである。
 そうして三枚の写真を手渡したグリーンたち二人は、一年の教室へと向かっていった。
 三人はというと達成感溢れる顔で京子たちの元へと戻っていった。



「ねえねえゴールドちゃんたち、さっきの三年の頂先輩と大木戸先輩だよね?」
「おう! そうだぜ!」
「一体……先輩になんの写真貰ったのよ」



 花の言葉に三人は顔を見合わせ、「イオリ先輩」と口を揃える。驚いた顔の二人は「なんで?」と問う。



「あー? 何でって言われてもなぁ? なぁクリス、シル公」
「そうねぇ……そんなの決まってるわね」
「ああ。おれ達五人、イオリ先輩が好きなんだ、仕方ない」



 腕を組んで平然と言ってのけるシルバー達に、目を見開いた二人は五人って、と思いつつ「最原さんって、ガード固いんじゃなかったっけ?」と疑問をぶつけた。



「……そんなことはない」
「おうよ。イオリ先輩自体、ガードガバガバだぜ? すげー無防備だな。前に先輩のお母さんに挨拶して家に入ったときもイオリさん「え、ゴールドいらっしゃい」で終わったしな」
「まぁそんなイオリさんだから、主にレッドさんとグリーンさんが片っ端からガードしてるのよ」
「ああー……」



.

256:マメツキ◆A.:2017/08/30(水) 00:50 ID:OSI



 俺は今、右頬に湿布を貼りながら2年の教室に訪れている。こんな俺でも一応保健委員の委員長として活動しており、同じく保健委員のクリスにプリントを届けに来たのだ。
 俺が来たことで多少二年生の教室がざわめいたが見慣れない三年生が来たからだろう、慣れたわ。
 中を覗くとクリスがちょうど側に居たので助かった。その奥でゴールドがそわそわしてたが後でかまってやるからじっとしてな。あ、男子三人が側にいる。茶髪の重力に逆らった髪型のかわいい顔の子と銀髪の不良イケメンと有名な山本だ。このクラスだったのか。



『クリス』
「んきゃ!? えっ、イオリさん!? あ、だからそわそわしてたのねゴールド!」
「えー」
『クリス、ゴールドは一旦ほっといて俺を見ろ』
「えっ、えっ」
「ちょ、先輩酷くないっすか!?」



 ぱたぱたと寄ってきて俺の腕に飛び付いて「ねー先輩そこんとこどーなんすかー」とやかましいゴールドをとりあえずそのまま放置し、クリスと向かい合いながらプリントを取り出してそちらに視線を向ける。



『これ今日配って明日回収な』
「……え、あ、はい! でも早くないですか? 今日配って明日提出なんて……」
『俺が忘れてた』
「えっ」
『俺がもらってそのまま一ヶ月忘れててな。昨日回収だったみたいでいつ出すんだってヒバリに殴られた』
「ああ、それで頬を」
『その話に触れてくれるなよ……。まぁ明日までにしてもらったから、早めにな。頼むわ』



 一時もプリントから視線を逸らさず言い切り顔をあげるとクリスがこくこくと勢いよくうなずいた。クリスえらい。超えらい。



『そんじゃ、俺次で最後だから行くわ』
「えっ、あたしに関しては本当にスルー!? 酷くないすか!? えっ、マジで!?」
「最後……? 誰ですか?」
「あれっ、クリス!? あ、あたしも気になるんすけど!」
『最後はブルーだ』
「「えっ」」



 クリスとゴールドが「そう言えばあの人保健委員の副委員長だった」と思い出したらしい。まぁぴったりだよな、ブルーは。アイツホント中学生かよ、ってな色気っつーかフェロモン出すから生殺しだわ。逝ってくる。
 あれ、そう言えば。



『……シルバーは?』
「男子からの呼び出しー。シル公ってばモテるんだから! さすが、血は繋がってないけどブルー先輩の妹、モテる、モテるわー。いつか彼氏作ってきそー」
「二人揃って美人ですもんね」
『はー、あそこの義理姉妹ヤバいな』
「その点あたしは? シルバーと違って? うん……あ、や、その、えーと、うん、あーっと、い、いお、イオリ先輩ひとす「イオリさん時間大丈夫ですか?」クリスてめえこのやろ」
『あ、ホントだヤバいな』



 目の前でゴールドとクリスが「人がせっかく……!」「抜け駆けさせるわけないでしょ?」と会話しているが二人ともシルバー大好きなんだな。
 それはそうと時間もヤバいな……。早く行かねば。と思った瞬間ケータイ鳴るとかどうなってんの? 絶対ブルーだ。出ないと言う手もあるがそれはあとが怖いからやめとこう。渋々出る。



『もしも』
<イオリーーー!? 今どこーーー!?>
『うるっさっ!』


 あまりの声量に咄嗟に耳から限界までケータイを離す。


<全くー、早く来なさいよね! レッドとグリーンカンカンよ!? イオリイオリってうるさいんだから!>
『待てなぜそこに必死で撒いたそいつらが』
<……てへっ☆>
『ブルーてめこのやろ』
<早く来ないとアンタの寝顔写真ばらまくわよ>
『おいいつ撮ったてめえ。いつ俺の部屋に侵入した、この詐欺師』
「……うふっ、二分ね♪」



 ぶちっと連絡を切る。アイツあれだ、やる気だ。



『……二分で保健室来いって言われたから逝ってくる』
「死なないでくださいね」
「イオリ先輩とブルー先輩が保健室!? ダメだダメだ! あたしも行く!」
『目的は?』
「寝顔写真っす! あ、やべ」



 元気よく挙手して答えたゴールドの返答に、瞬間俺は真顔でその場を飛び出した。

257:マメツキ◆A.:2017/09/01(金) 00:08 ID:9WY


 現在、俺とグリーン、ブルーはヒバリを抱えて猛スピードで逃げるレッドを追い掛けていた。



『おいこらレッド!! 待てって!』
「……や」



 気を失っているヒバリを小脇に抱えて全力疾走して尚息切れすらせず涼しい顔の小柄なレッドはその黒く長い髪をなびかせながら首をふるふると横に振った。
 『とりあえず廊下は走っちゃいけません!』と二年の教室に向かう階段を駆け降りながら言うと、レッドは神速のごとき速さで姿を消した。
 追い付けるわけない。実はレッド、運動神経等はもう人間の域を越えていると言って良いほど素晴らしい。もうオリンピック出ろお前。足も速く、俺が追い付けるわけもないのだ。
 隣で激しく息を切らすグリーンは「ここ、廊下じゃな、階段!」と絶え絶えに言い切る。ブルーは隣でへたりこみながら天井を仰ぎ、「グリー、ン、問題は、そこじゃない、わよ」と突っ込む。
 俺も中腰になり膝に手をついてぜえぜえ言ってると、背中にどんっと衝撃が襲った。しかも柔らかいものもおまけと言うように二つ。
 しかし反応できるほど俺今元気じゃない。そのままどべしゃと倒れるとグリーンとブルーが「「イオリーーー!?」」と叫び声をあげた。
 ちなみに俺の背中に突撃してきた本人はというと。



「あ、ちょっとちょっとせんぱーい? こんくらいでへたってちゃダメじゃねぇすかー、ほらイオリ先輩頑張って!」
『……ゴールド』



 倒れた俺の首に腕を絡めて顔をぐいと近付けたゴールドに本当なら何か言うべきなのだろうが、もう俺疲れてるんだ。
 そのとき、「し、知らない先輩がゴールドちゃんに襲われてるー!?」と少年の声が響く。俺がそちらに顔を向けると、俺を指差し驚愕している少年三人と何考えてるか全く分からん赤ん坊とわなわなと震えるブルー、シルバー、クリス。そして無表情で腕を組んで俺を見下ろすグリーン。威圧感ぱないんだが。とりあえずゴールドをどうにかしてくれ。



『……誰か、ゴールド退けてくれ……重い……』
「おもっ、あたしそんなに重くねぇんすけど!!!」
『どうせあれだ、栄養が脳みそに行かなくてただひたすらむn』
「い、イオリ先輩の変態! 鈍感! 黒アスパラ!」



 バシンと頭を叩かれ、駆け出したゴールドを見る間もなく、バンと叩かれた反動で地面に叩き付けられた俺の顔。
 最早顔を上げる気にもなれずそのままでいると、何か俺を中心に赤い液体が広がっていく。それを見たクリスとシルバーが慌てて助けに来てくれた。



「きゃあ! イオリさん鼻血で顔が血濡れに!!」
「あら、保健室かしら?」
「ねえさん、やめてくれ。この人委員長だ」
「そうだったわね!」
『俺もう立ち直れない』



 なんだコイツら、とクリスに貸してもらったタオルで顔を拭っているとグリーンがぱんぱんと場の雰囲気を戻すように柏手を打った。



「そんなことより!」
『……あれ、俺そんなことよりで終わる存在だったか?』
「レッド優先なの分かってイオリ、ヒバリさらわれてんのよ」
『うっす』

258:マメツキ◆A.:2017/09/19(火) 00:54 ID:LAM

マギにFTのジュビアがトリップする話。シンドリア中心。原作前。煌帝国の原作前の白雄さんたちが生きてた頃の話もいずれやるはず。
 なぜシンドリアかと言うとあれです。ヤムライハ居るじゃないですか。あの子水魔法得意なのでジュビアはわりと気が合うんじゃないかなって。安直か。
 ジュビアはフェアリーテイルは完結後。つまりグレイと良い感じ。フェアリーテイル無事にハッピーエンドで終わって良かった……ありがとうフェアリーテイル。ありがとうヒロ先生。最終話の大団円は笑った。感動をありがとうヒロ先生。グレジュビのもどかしい恋愛模様をありがとう。神かよヒロ先生。

259:マメツキ◆A.:2017/09/19(火) 01:28 ID:LAM

ジュビアの一人称は「ジュビア」ですが、ジュビア視点の時は「わたし」となります。ジュビアの服のイメージはタルタロス編から一年後のアヴァタール教団の時のもの。


 それは突然だった。相変わらずヤムライハが研究に没頭し、実践し、煙をあげた時。



「けほっ、けほっ」



 ヤムライハはこの時生物を召喚する魔法の試運転を行っていた。水蒸気のような煙が部屋を包み、蒸せ返る彼女に、轟音を聞いて光の速さで訪れたジャーファルと興味本意で着いてきたシンドバッドはまたかと片や眉をつり上げ、片や快活に笑う。



「まったく……! ヤムライハ! あなた、今回は何をしでかしたんですか!」
「まあまあ、落ち着けジャーファル」



 ぐちぐちと言い出すジャーファルを笑顔で宥めたシンドバッドにヤムライハは「すみません」と一言謝罪した。



「生物を召喚する魔法陣で……今回もやはり失敗してしまいました……」



 はあ、と意気消沈とばかりに肩を落とすヤムライハに「また挑戦すればいいさ!」と爽やかに笑ったシンドバッドはふと、煙の晴れたその魔法陣を見て動きを止めた。
 続けてジャーファル、ヤムライハと続けて視線をそちらにやると、そこには実践前にはいなかった水色の髪に帽子をかぶった女が横たわっていた。



**

 温かな光に当てられ、不意に意識を浮上させた。ぱちりと伏せていた目で瞬きすれば、そこは消毒液の匂いがする医務室で、慌てて体を起こす。
 どうやらここは窓際のベッドらしく、柔らかな日射しが差し込み、少し目を細めた。
 ふとどうしてここに居るのかと考えだし、意識を失う前の記憶がまったく無いことに気が付いた。一気に不安になるも、まぁとにかく今のところ害はないし大丈夫だろうと安堵する。フェアリーテイルの人間ならではの思考である。
 わたしが起きたことに気が付いたのか看護師さんが血相を変えて「ここで待っていてくださいね!」と部屋を飛び出していった。せめてここがどこなのか聞きたかったのだが、まあいい。
 しばらくしてから姿を見せたのは、身に纏う七つの金属の部類を日に反射させる紫色の髪の男とクーフィーヤをかぶったそばかすのある男、そしてわたしより明るい水色の髪の女性だった。



「いきなりすまないね。体は大丈夫かな?」
『……え、あっ、はいっ。大丈夫です』



 紫色の髪の男性に優しく微笑まれながらとう問われ、こくこくと顔色も変えずに頷く。
 とりあえず、これは一体どういった状況なのでしょう。そう問い掛けると、そばかすの男性が少し目を逸らし、紫色の髪の男性が少し真面目な顔つきで話を切り出した。



「その前に、自己紹介をしておこう。と、なると……まずはお前からだな!」
「……ジャーファルと言います。ご紹介に預かりまして、私はここ、シンドリア王国の財務官をしております」
「私はヤムライハよ、よろしくね」
「そしてこの俺が、『シンドバッド』だ」
『……ジャーファルさん、ヤムライハさん、シンドバッドさんですね。わたしはジュビア・ロクサーともうします』



 浅く上体を倒してお辞儀をすると、彼ら三人は目を見開き、「やはりシンの仮定はあっていたのですね」とジャーファルさんがヤムライハさんと耳打ちをする。
 少し首をかしげて疑問を口に出す前に、シンドバッドさんが言葉を発した。



「唐突ですまないが、どうやら君は異世界からやって来たようだね」
『……えっ』
「実はね、ヤムライハが生物召喚魔法の試運転を行った際、君が現れたんだ」
『はあ……』
「それもあるが、第一に俺の名前を聞いて反応しないのがまず可笑しいんだ」



 ますます訳がわからなくなってクエスチョンマークを飛ばす。いや、何となくは分かっている。ヤムライハさんの魔法に巻き込まれてここにいると言うことだろう。しかしなぜこのようなことが言い切れるのか。



「俺はここ、シンドリア王国の国王にしてかの有名なシンドバッドの冒険書の本人、『七海の覇王』と呼ばれている」
『っ!? お、王様だったのですか!?』



 慌てて失礼しました、と頭を下げると焦ったように頭をあげてくれと返ってきた。
 確かにそうだ。そこまで有名な人なら、知らなければ異世界から来たと認識するはずだ。フィオーレのことを聞いても知らないようだし、決定的だろう。

260:マメツキ◆A.:2017/09/30(土) 00:39 ID:aVQ

いつもの飽き性発動……。
次はネギま!→マギです。
ネギま!(マギのパラレルワールド的な存在と思ってくれていい)のシンドバッド♀が煌帝国にトリップ。
ネギま!は三年卒業原作終了のすぐあと。高校生に上がったよ。っていう
設定↓
七海 シン(Shitikai Shin)
麻帆良学園高等部一年。元3年A組18番でネギ先生の教え子。クラス一の巨乳で男前。ネギのようにおおっぴろげではなく水面下の戦いがクラス内で繰り広げられる程度には人気。
生まれた瞬間いきなり天変地異が起こった。二歳から魔法と触れ合う。五歳で父を亡くし、翌年母を病気で亡くした。その年に近衛学園長に引き取られ麻帆良学園都市にやって来た。11の時に完全独自呪文(オリジナル・スペル)((所謂『魔装』))を完成させ、友人のエヴァのよしみで別荘を使わせてもらい、12で完全習得した。マギア・エレベアをエヴァから会得。基本マギア・エレベアしか使わず、水、雷、炎をメインウェポンとして使っている。ネギに使い方を教えたのはこの人。メインウェポンに水があるからか名字と掛けてか『七海の覇王(ななかいのはおう)』と言う呼び名がある。
ヘマしてネギに惚れたが、手を出すつもりは一切なく、想いを伝える気すらない。クラスで村上に続き唯一ネギとキス、又はパクティオーしていない。
敵からは『第一級特異点』として見られている。

髪の色は紫。原作のシンドバッドの髪型に近いが肩に着くか着かないか程度の長さ。目は金色。身長はわりと高く、いんちょよりちょっと高いくらい。クラスNo.1の胸の大きさ。ちょっとむちっとしてる。顔はきりりと凛々しく艶めかしく整った美人。眉毛は太め。喋り方はシンドバッド。


.

261:マメツキ:2017/09/30(土) 22:38 ID:aVQ

シンドバッド♀主。イメージ画。服装は制服ではなく私服設定。

http://ha10.net/up/data/img/21452.jpg

262:マメツキ◆A.:2017/10/01(日) 11:32 ID:xPo


 私、七海シンは現在見たこともない町中に居た。
 先程まで私は、世界を救った英雄として飛び回るネギくんと共に護衛と言う名目で……ああ、思い出した。ネギくんと共に魔法界のいろんな政治的場所をネギくん、あやかちゃん、アスナちゃんたちと顔を出していたら不意に私めがけて魔法が放たれて、後ろにネギくんたちもいたから避けるわけにもいかず、そのまま……。なるほど、わけのわからない魔法でどこかに飛ばされたと。そういうことか。整理してみると潔く納得出来た。
 とりあえず異空間から認識阻害ローブを取り出し、バサリと頭まで羽織る。よく見るとみんな中華風の服を来ていたので全然違う服装は目立つだろうと言う理由だ。なんだか中3の最後の夏休みの出来事のようで懐かしい。
 一体ここはどこなのか、皆目検討もつかない。今までネギくんたちと現実世界、魔法世界と様々な場所を巡ったがこんなところは初めてだ。



「おっ、お嬢ちゃん! 見たとこ異国から来たね? 桃まん一個サービスだ!」
『ああ、ありがとう』



 なぜか言葉も通じるし。桃まんを受け取り、受け取り様『改めて聞きますが、ここの国名はやっぱり……』とあたかも確認のように聞いてみる。
 店員はニコニコ笑って「そうさ、ここは世界に轟く軍事国家、煌帝国だよ!」と快く教えてくれた。なん……だと……?



『やっぱりか! 教えてくれて感謝しよう店主!(……聞いたことがないぞ)』
「ああ! 楽しんでってくれよ!」
『ああ! 言われずともさ!』



 店主と別れ、桃まんをかじりながら先程聞いたことを考える。煌帝国……世界に轟く程の軍事国家なら麻帆良にもその名が聞こえているはずだが、私は全く聞き覚えがない。となると、ここは現実世界でも魔法世界でもない、異世界ということになる。なんだ、帰るのが難しそうだな……。
 ぱくぱくと予想以上に美味しかった桃まんを食べきり、さてこれからどうしようかと言うとき、何かにつけられている気配がした。
 はあと溜め息を吐いてから、近くの森を目指す。



「あらお嬢ちゃん、観光かしら?」
『はい、ここは良いところですね』
「そうでしょー?」



 すれ違い様に声をかけてきてくれる人が大勢で頬が緩む。さて、そんなことはさておき、近くの森へ出た。パッと後ろを振り向いて声を掛ける。



『コソコソしていないで、早く出てきたらどうだ? それ相応の場所に連れて来てやったんだからな』



 ローブで顔を隠しながらそう言うと、パッと出てきたのは、全体的に黒い男。黒く長い髪はたっぷりとした三編みにされ、黒いアラビアンな服装に身を包んでいる。そして、周りに飛ぶ鳥のような蝶のような黒いそれ。
 男は愉悦の笑みと真剣な表情をないまぜにした顔をして気付いてたのかよと頭を掻き、私に「なあ」と口を開いた。



「……お前、なにもんだ?」
『どういう意味だ』
「お前の気配、俺の知ってる奴とそっくりなんだよ」



 それに顔をかしげてどういう意味だと本格的に分からなくなってきた。
 首をかしげたため揺れるローブの中で腕を組む。さて、どうしたものか。



『私の気配とそっくりな人物が居るのか?』
「……ああ。『七海の覇王』と呼ばれる男、シンドリア王国のシンドバッド王にな」
『……へえ』



 口の中でなるほどな、と言う言葉を転がす。ここは異世界で、この異世界にも『私』と言う別人がいると言うわけか。分かりやすく例えるなら、ハルナちゃんに読まされたフェアリーテイルのジェラールとミストガン的な。



「もう一度聞くぜ、女。お前、なにもんだ?」
『……私は』



 ぱさりとローブを下ろし、それにより驚愕に染まる彼の顔を影なく見る。



『七海 シン。君の知る男とは別人だ』



.

263:マメツキ:2017/10/01(日) 14:20 ID:xPo

JPG 768x768 165.0kb

とりあえず載るかテスト。

264:マメツキ:2017/10/01(日) 14:21 ID:xPo

載らなかったので普通に
http://ha10.net/up/data/img/21457.jpg

265:マメツキ◆A.:2017/10/01(日) 17:10 ID:xPo



 黒い彼はジュダルと言うらしい。彼は言った、顔もわりと似ていると。髪の色とか、太い眉とか凛々しさとか。
 本当に苦笑いしか浮かばない。二つ名の『七海の覇王』まで同じとは、まったく訳がわからずに理解ができてしまう自分が恐ろしい。あれ? おかしくね?



「そんだけそっくりだと、間違えられて命狙われてもしゃーねぇぞ」
『マジでか!?』



 背を向けていたジュダルに思いきり振り向いてもしかしてローブ正解!? と問い掛けるとにやにや笑われ頷かれた。気付かぬうちの最善策……!
 教えてくれてありがとう、と伝えて去ろうとしたら「バトルやろうぜ!」と好戦的な顔をされた。



『は?』
「行くぜ!」
『うわっ、来るな!』



 空に浮かびながら氷の柱をいきなり降らせてきた彼になぜ私が戦えると言う根拠があるのか。疑問に思ったがシンドバッドとやらと似た戦闘力だと理解したのだろう。うわ、こいつ鋭いぃ……。
 降ってきた氷柱をバク宙やバク転でかわし、舌打ちしてからその氷柱を蹴ってジュダルの所まで飛び上がる。そのまま腕を引いて拳をぎゅっと握る。



『悪く思うなよ、ジュダルくん』
「っ、」



 私は長いと自覚している自分の足を振り上げ、ジュダルの顎を蹴りあげた。拳はフェイクだ、関係は皆無。ひゅるると風を切りながら落ちていくジュダルくんの体を抱え、そのまま着地する。とりあえず近くの木の幹のところに寝かせておこう。



『さて』



 シンドバッドに興味を持った。シンドリアに向かおうか。うんそうしよう。もとの世界に戻る術を探しながらのんびり旅をしようか。
 結局、ジュダルくんが何者か分からず仕舞いだったがいずれどういう立場かを理解できるときが来るだろう。
 よし、となれば出発だ。もとの世界に戻る前に一目でいい、こちらの世界の私を、シンドバッド王を謁見してやる。



.

266:マメツキ◆A.:2017/10/01(日) 18:36 ID:xPo

先に言っておこう……これは『シンドバッド夢』である……!


 そうして旅を始めた私は、ローブを被り、顔を紙で隠した。顔を隠す種族とでも言えば大抵は詮索せずにしてくれる。
 時にキャラバンにのり、馬車に合いのりさせてもらい、マギア・エレベアを使って空を旅し、現在シンドリア行きの船に乗っている。
 シンドリアとはいわゆる島国らしい、年中暖かい気候で貿易国。現れる南海生物をシンドバッド王かその部下、八人将が倒し、『謝肉祭(マハラガーン)』と称して海の恵みに感謝し国をあげての祭りを行うらしい。よく考えれば国民に南海生物への恐怖をなくさせるためだと言うことがわかる。良い王だ。そして、私と性格まで似ているのなら、私の場合はクラスの友人たちやその他の仲間を守るためなら、彼ならきっと国を守るためなら汚い手だって使うのだろう。そう、守るためなら、他国だって殺人だってなんだってする筈。彼はきっと善悪の分かる人間だ。私は、もう守るために人間を棄てたからなあ……。ネギくんよりもエヴァ嬢に近い存在だろうな。先祖が魔法世界のとある巫女国の王で良かった。アマテルじゃないけど。



「シン! シンドリアが見えたぞ!」
『!』



 名前が呼ばれてパッと海の方を見ると、うん、確かに見えたな、シンドリア。王とはそうそう出会えるものでもないようだが、シンドバッド王は国民と近しく楽しげに酒を飲みに来ることが多いようだ。運が良ければ一ヶ月と滞在することもないだろう。ただの観光客が似た顔だった、とも言えるが似た顔がいれば成り代わろうとする輩とも理解はできる。シンドバッドの冒険書に書いてあったジャーファルと言う男は確実に後者と考える筈。出る杭は打つに限るからね。



『おお……!』



 鮮やかな青い海、白い砂浜、ここからでも賑やかだと伺える海辺の商店街。とても移民国家だと思えないもど、様々な種族が笑顔で生活をしている。アリアドネーも多種多様な種族がいたが、女子のみで一歩そこを出たら奴隷として狙われることも多かったらしい。ここはなんて天国だ。『夢の国シンドリア』とはよくいったもんだ、ぴったりじゃないか。南国の楽園だろう。

 その瞬間、視界が揺らぐ。がったんと大きな音を立てて船が揺れたらしい。船の端にちらつくタコのような触手になるほどこれが南海生物か、と宙に放り出されながらふむふむと感心する。
 ごうごうと風を切って落下する先は運良く海だ。この高さなら常人は死ぬだろうが私はきっと死なない。いざとなればマギア・エレベアを使うがこれは本当に最終手段になるだろう。きっと怪しまれてここに居れなくなる。
 落ちていると言うのに冷静な思考回路は本当に、昔からの父との別れとエヴァ嬢の特訓とあの夏の出来事でこういうことに慣れてしまった。嫌な慣れだ。
 片手でばさばさとはためくローブのフードを押さえて衝撃を待っていればバッと気持ちの悪い浮遊感が無くなった。そう、これは、誰かに横抱きにされた時のそれだ。
 その瞬間、ドクリと心臓が大きく跳ね、不自然な衝動を体が襲う。
 ハッとして見上げれば、そこには私と同じ菫色の髪が私と違い長くはためき、私より太い眉は凛々しく、黄金に輝く瞳は全くの同じもの。
 見つけた、コイツがシンドバッドだ。本能が激しくそうだと主張して少し苦しい。
 彼も、訳のわからない衝動に襲われたらしく、大きく目を見開いて驚いたように私を見つめた。
 ゆっくりと収まるそれに息を吐いて、彼に安全な地に下ろしてもらう。



『すみません、ありがとうございました』
「……君は」
「シン様!」



 彼は私に何かを言おうと口を開くも、緑のクーフィーヤを被った青年に呼ばれて行ってしまった。



.

267:マメツキ◆A.:2017/10/01(日) 21:08 ID:xPo

※原作五年前。


 『謝肉祭(マハラガーン)』と言う宴が始まった。今回現れた南海生物はアバレオオダコと言うらしい。倒したのはヤムライハと言う艶やかな水色の髪と惜しげもなく出された眩しい肌色と綺麗な美しいに一瞬「ほう」と目を煌めかせたものだ。可愛い女性と綺麗な女性と美しい女性は正義。
 良質なタンパク質を含むらしい南海生物を渡され、それを隅で頬張りながら明るい周囲を見渡し、再び料理に目を向けた。
 隣に誰かが座ったがもう誰だって構わない。人も多いし、隣だからって気にしないだろう。騒がしくなった気はするが誰かが芸をしたとかそんなものだろうと推測する。



『……(目的のシンドバッド王をもう謁見してまったし、あと一週間でもしたらここを出ようか)』



 渡された酒を避けてパパゴレッヤジュースを飲み、『お、美味い』と言葉を漏らす。料理も五月の腕前には劣るものの普通に比べれば絶品だし、なんだここ天国か。



『……良い国だなあ』
「お、そうだろうそうだろう!」



 思わず飲んでいたジュースをぶっと吹き出した。隣を見れば私を見てにこにこしている美形の男。頬がほんのり赤くなっているシンドバッド王がいた。
 驚きに蒸せ返り、げほげほと席をして口元を拭いながら目を見開いて『な、なぜこんなところに王が……』とぽろりと言葉が口から溢れる。
 ローブも暑苦しいが被って髪の色も見えないし、顔も額から頬にかけてを特徴的な眉と瞳の色を見せないために紙で隠しているしバレない筈だ。よし、冷静に冷静に。
 彼は酒を片手に「いやなに、君を安全な場所に下ろしてから無事か心配になってね!」と笑顔で言い切ってくれた。彼の目は笑っていて一見何も考えず本当に心配してくれているように思えるが、あの時の衝動がなんだったのか知りたいと教えてくれている。
 内心、目は本当に口ほどにものを言う、と微笑ましくなりながら口元に、バレない様に笑みを浮かべる。



『シンドバッド様、あのときは本当にありがとうございました! お陰で助かりました。突然のことで唖然として助けていただいた時のことはあまり覚えていませんけど』
「……そうか! ふむ、怪我がなくてよかったよ、謝肉祭で怪我人なんか出せないからね」
『あの高さから海に落ちていれば確実に私は死んでいました、あなたは命の恩人です』



 本当にありがとうございました、と伝えるとそうかい、と笑みを作ったシンドバッドに片眉を上げる。コイツ、私が覚えてないと言った瞬間に興味を無くしたな、ダメじゃないか、そんなにあからさまに見せてしまうと。いつか、バレるぞ。



『まぁ、男性に横抱きにされたことなんて今までありませんでしたので、少々衝撃で記憶に深く残っていますが。少し恥ずかしかったです』



 真っ赤な嘘である。魔法世界でネギくんと小太郎くんに何度かあるのだ。ここは王を立てておこう。なぜ別世界の己にこんなに優しくしてるんだ私。



「おや、そうなのかい? 君ぐらいの年ならそれくらいあると思っていたが」
『シンドバッド様、私を幾つと仮定しておられて?』
「そうだな、不躾なことを言うが、20から25辺りか?」
『っふふ、あははは!』
「おや、違ったかい?」
『ぶっふふ、はい、くくっ、』
「……笑いすぎだろう」
『っはは、すみません。外れです、私、まだ16ですよ』
「16!?」



 ガタッと体をこちらに向けて驚いたシンドバッドにこれは不味い、と笑みの裏で舌打ちした。しまった、興味を持たれた。しかし失礼な男だな、私はそんなに老けて見えているのかおいこら。アンタは今25か24くらいだったか。同年代くらいに思われてたのか。
 にこにこしてシンドバッドにさぁどうぞ綺麗な女性が貴方の後ろで待っていますよ、と促すと彼は笑顔をそちらに向けて手を振ってから再びこちらに顔を寄せてきた。いや、行けよ。行けよ、綺麗な女性に優雅に手を振るなよ行けよこの酔っ払い。



「なぜ顔を隠しているんだい? 何か怪我でも?」
『いえ、顔を隠すのはそういう風習の一族なのです』
「俺の前でも外すのはダメかい?」
『はい、王の前でも外すのはダメです』



 むしろアンタの前が一番駄目だな。


.

268:マメツキ◆A.:2017/10/01(日) 21:32 ID:xPo


 未だにどこかに行ってくれない王に辟易しながら、掛けられる質問に顔の上半分は見えずとも笑顔で返答していく。まったく、何に興味を示したんだ王様。いつの間にか彼の瞳の奥に甘い熱があることなど知らないふり、気付かないふりをして。



「君は今日この国に来たのかい?」
『はい、観光目的でここへ。国に来た初日で謝肉祭が体験出来るなんて思いもしていませんでした』
「そうだな、運が良かった。宿は決まっているかい?」
『近くのホテルです。ほら、あそこの』
「なるほど。あそこは設備が良いから安心していい。それにしても、しばらく経つと君はここを発ってしまうのか」



 憂いに満ちた顔で目を伏せて、酒が回ったのか熱くなった手の平でそっと私の右手を取ったシンドバッドはちらりとこちらに視線をやった。その時だ、私の悪い癖が出たのは。



『大した用事もないので、ここに本腰を置いても良いかと考えておりますが』



 やってしまった。相手にたいして妥協を許してしまうことが有るのだ。交渉事や戦いでは絶対に無いのだが、こういう緩んだ会話では稀に出てしまう私の癖。ネギくん相手によくやってしまったなあ……。
 あーやってしまった。シンドバッドの顔が輝いた。



「! 本当か!?」
『手続きが面倒そうなので、一応は断念しましたよ』



 直ぐ様否定すると、シンドバッドは「目の前を男を誰だと思っているんだ?」とドヤ顔をかました。くそ、なんかムカつくぞ。様になってて。イケメンのドヤ顔ムカつくぞ。頬がひきつりそうなのを堪え、『この国の国王様です』と返答する。

 こうしてシンドバッドにより、私はシンドリアに腰を据えることになってしまったのだ。



.

269:マメツキ◆A.:2017/10/01(日) 23:38 ID:xPo



 翌日、比較的装飾の少ない部屋にて私は目を覚ました。ここはホテルではなく、王宮だ。なぜここにいるのかと言うと昨日の謝肉祭へ遡る。



『それでは、料理も食べ終えたので私はそろそろホテルに戻らせていただきます』
「待て待て、話を聞いていなかったのか?」



 ええ聞いていましたとも。シンドバッドは私をここに住まわせる手続きをする間、王宮で生活してほしいと。そして手続きを終えたあと、王宮で食客として私を招く。
 それでいいだろう! と胸を張るこの世界の私に頭を抱えたくなった。



『お言葉ですがシンドバッド様。私はただ観光しにここへ来た身、食客として招かれてもなんの利益もシンドバッド様に献上できません』
「かまわんよ、俺が許そう」
『シンドバッド様が許そうと、貴方の部下が許さない。違いますか?』



 ぐ、と言葉に詰まったシンドバッドは「納得するさ! ジャーファル!」と誰かを呼びつける。そんなすぐに八人将たちが来るわけないだろう。なんて鷹をくくっていた私が馬鹿だった。私の目の前に座っていた男ががたりと立ち上がりシンドバッドの側による。緑色のクーフィーヤを被ったそばかすのある銀髪の男が。



「お呼びですか、シン様」
「ああ。ちょうど良いところに居たもんだな、ジャーファル。それがだな」
「話は目の前で聞いていましたよ、シン」
『嘘だろ……信じられん……』



 シンドバッドの愛称がシンだとかにそう言葉を呟いたのも有るが、第一に彼の部下が私の目の前に座って宴を楽しんでいたとは。思わず敬語が吹き飛んだ。
 今度こそひきつった笑みが浮かび、冷や汗がたらりと垂れる。あろうことか目の前のジャーファルはシンドバッドと私の会話を聞いていて、そして害は無いと判断したのか食客として招くことを許可したのだ。嘘だろマジかよ……。
 とりあえず私の横で「それが素か! よし、今後敬語はやめろ!」とカラカラと笑うシンドバッドを全力で殴りたい。ジャーファル、同情するなら逃がしてくれ。


 と言う訳だ。とりあえず、シンドバッドに名前すら名乗っていなかった私はそのあとすぐに自身の名を名乗ると彼らは目を見開き、「俺の愛称と同じだな」「ですね」と言っていた。止せ、照れる以前に疲れる。
 窓際に寄って、空を見上げた。昨日はあのあともシンドバッドに顔を見せろとせがまれたが全力で拒否した。だって絶対敵対視されるだろう。いやだろ、今後この世界でお世話になる人に嫌われるのは。

 視界の端で、ジュダルとは違う、白い鳥のようなそれがピイピイ鳴いて羽ばたいていく。それをぼんやり見つめながら、ノックされた扉にゆっくりと振り向いた。



.

270:マメツキ◆A.:2017/10/02(月) 00:06 ID:xPo


 私が扉を開けると、そこにはシンドバッドとその後ろに控えるジャーファルが居た。



「おはよう! シン! いい朝だな!」
『おはようございます! シンドバッド様、今日はいいお天気ですね! お互いシンとややこしいので私の事は『七海(しちかい)』とお呼びください』



 正直まだ眠い。眠気から倒れないように目を細めるも、どうせシンドバッドたちに見えちゃいない。うん、笑顔が素敵だなシンドバッド。
 口と頬だけの笑みを作り、シンドバッドにそう対応してからジャーファルにも『ジャーファル様もおはようございます』と挨拶をする。ジャーファルさんは柔和に微笑み「はい、おはようございます」と返してくれた。なんだこの人は! 天使か!
 片やシンドバッドは不服そうに口を尖らせ、腕を組んだ。



「別に『シン』で良いじゃないか。被ることはそうそう無いぞ?」
『……ソウデスネ』



 ジャーファル頼むから苦笑いしないで。

**

 どうやらシンドバッドは八人将に私を紹介したかったらしい。前置きが長い! とハルナちゃんならズビシと指を差して叫ぶだろう。



「昨日、俺が食客として招いた『七海シン』だ。俺の短称と同じ名前だが、ちゃんとシンと呼んでやってくれ」
『よろしくお願いします』



 シンドバッドの隣でそうぺこりと頭を下げ、視界の端でローブが揺れるのが見えた。本当に、本格的にバレではいけないことになってきた。やべーよどうしよう。
 直ぐ様解散と言う形で私はシンドバッドとジャーファルに着いていこうとしたのだが、くいとローブの裾が引っ張られ、そちらに目を向けると金髪の可愛らしい幼女が居た。うわ幼女可愛いっょぃ……。こんな彼女でも八人将だからすごいもんだ。そして側にヤムライハまで寄ってきた。胸の肌色が眩しい……!



「私ピスティ! よろしくね! シン!」
「私はヤムライハよ。仲良くしてね」
『あ、よろしくお願いしま』
「敬語禁止! 王様から聞いたけどまだ16なんでしょ!? 私より三つも上なんだから!」
「私も、理由は違うけど敬語、はずしてほしいわ」



 天使の笑みと美人の笑みに勝てるやつっている? 居ないよな。快く即刻快諾しました。ええ、しましたよ。しかしシンドバッドの「じゃあ俺にも敬語は無しで」と言う申し出には速攻で断りを入れたが。



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271:マメツキ◆A.:2017/10/03(火) 00:44 ID:xPo

シンドリアの食客になって数日。ピスティとヤムライハの二人とはいい関係を築けていると思っている。
そんな仲良くなってくれた二人と共に、武官の訓練を見に行こうと言う話になったので演習場へと三人で足を運んできた。目の前にはカンキンと剣で打ち合う武官たち。それを横目に、先程から開始されたヤムライハとシャルルカンの魔法VS剣術の口論を眺める。

「剣術なんかより魔法の方がよっぽど役に立つわ!」
「なに言ってんだ!?剣術の方が偉大だろうが!」

白熱してるね、そうだななんて会話をピスティとしていたら、武官たちの方が何やら騒がしくなった。そちらに目を向けると、武官の手を離れた剣が回転しながらヤムライハに一直線に飛んできている。シャルルカンが素早く己の剣に手を掛けるも多分間に合わない。ヤムライハも驚きで硬直しているし……。
私は剣が私の目の前を通りすぎる直前。タイミングを見計らって腕を引き、足を振りあげた。ヒュオッと風を切りながら私の足の裏は剣の面と衝突し、当の剣はくるくると回って宙へと持ち上げられる。落ちてくるソレをなんなくキャッチして、唖然とする武官へと手渡した。

『ヤムライハ、怪我はないか?』

目を見開くヤムライハに声を掛けると、ハッとした様子の彼女は「シンってもしかして、強い?」とぽつりと呟く。それに答えあぐねていると、ピスティがすごかった! と感想をくれた。うーん。
とりあえず、怪我もない様子だし、大丈夫だろうと見切りをつけて見学に戻ろうとしたとき、シャルルカンの腕が私の肩を掴んだ。彼はにや、と笑って手合わせしようぜと私を強引にそちらまで連れていく。なんてこった。

「俺は剣だ! お前は何にする? 何でも良いぜ!」
『じゃあ、素手でいかせていただきます』
「なるほど素手か……。って敬語要らねえって! 同い年だろうが!」

え、ゴメン。と呟き、拳を構える。直ぐ様シャルルカンが飛び出した。隙のない構えにほう、と素直に感嘆。それから、突き刺すように一撃を放ったシャルルカンの剣を左手のひらでパン、と外側に避けてからスッと右の肘を振り抜く。しかし流石八人将、後ろに下がってうまく技をかわした。だが私はその隙を逃さず直ぐ様後ろ回し蹴りを浴びせ、戻ってきた剣を横目で確認してから彼の懐に潜り込んで右の手のひらでシャルルカンの腕をパシンと押し退ける。力は込めた。だからか、その衝撃でからんからんと彼方へ飛んでいく剣をぼんやり眺めてから『私の勝ちだな!』と不敵な笑みを浮かべた。

「……おいおい。マジかよ」
『マジだ! 紛れもないだろう?』

カラカラと笑うと、周囲から途端にわあ、と歓声が沸き上がった。どうやら注目を集めていたようだ。
シャルルカンにどかりと肩を組まれて「また今度一緒に飲みに行こうぜー!」と元気よく誘われた。何やら気に入られたらしい。直ぐ様ヤムライハが「剣術バカが移るわよ、シン」と言われ、シャルルカンがキレ出したのは言うまでもない。

シンドバッドside

シンとシャルルカンの手合わせがなぜか起こったので彼女の実力を見るために俺もそれを観戦した。彼女、七海シンを最初はアバレオオダコが投げた船から飛んできたただの女性だと思っていた。しかし彼女を助けて触れた瞬間、心臓がどくりと大きく跳ね、訳のわからない衝動に負われた。彼女を助けて別れたあと、謝肉祭で偶然にも見つけ、声をかけたのだ。
感じられる堂々とした雰囲気が普通のものではなかった。そして今。雰囲気と変わらず彼女は強かった。八人将のシャルルカンを軽く圧倒して見せたのだ。しかし、彼女の強さはこれではない気がしてならない。俺はどうやら当たりを引いたようだ。

「彼女、本気ではありませんでしたね」
「ああ!やはりシンを迎え入れて正解だった!」

ジャーファルの瞳は純粋に感心を示している。良いことだ。しかし、俺は違っただろう。妙に熱っぽい視線を向けている筈だ。
顔を見せないミステリアスさ、ローブの上からでも分かるその豊満な胸、話しやすい雰囲気に、先程の蹴りの時にローブがはだけて見えた、白く輝く艶めかしい太股や脚。そして色香を誘うような声。何もかもが俺を釘付けにして離してはくれない。

272:マメツキ◆A.:2017/10/04(水) 00:12 ID:xPo



 以前の手合わせのせいでよくシャルルカンやファナリスと言う戦闘種族のマスルールに誘われて武官たちとの試合に誘われることが多くなった。
 試合なんて相手がいなくて久しぶりだったから楽しくて仕方がない。あまり放っておくと倦怠や技の鈍りが出て戦闘に支障が出てきてしまうからだ。
 ドラコーンとスパルトスは落ち着いた性格、と言うのが印象深い。ドラコーンに最初、私が怖くないのかと聞かれたときは流石にハテナを浮かべたものだ。「以前、身近にドラコーンさんみたいな人が居ましたから」と伝えると大層驚かれた。どうやら向こうの世界で普通に存在していた亜人も竜人もこの世界には居ないらしい。そりゃそうか……。スパルトスは一緒にいて沈黙が苦にならない男だった。
 ジャーファルは特殊な暗殺術を使うらしい。腕に巻かれた赤い糸の先に刃のついた暗具が武器のようだ。なるほど、うちには銃使いの真名や狗神使いの小太郎ぐらいしか暗殺術を持つやつが居なかったから少し新鮮だ。糸の、と言うのも珍しい。辛うじて似たやつはまき絵のリボンぐらいだけだしなあ。



「ここでの暮らしには慣れたかい?」



 とある昼下がり、廊下を歩いているとこの世界の私であるシンドバッドに出会い、しばらく雑談をしてからそんな質問をいただいた。
 目がとても微笑ましいものになってるぞシンドバッド。



『はい、大分。皆さん良くしてくださいます』
「そうかそうか! それは良かった!」



 腕を組みながら豪快に笑うシンドバッドに笑みが浮かぶ。こちらの私は過去はどうだか知らないが現在は楽しく生きているらしい。ホッと安心するのも束の間、ニヤ。と笑ったシンドバッドは顔を寄せてきた。



「慣れた次いでだ、その顔の面符を外して素顔を見せてくれないか?」
『駄目です』
「……頑固だなあ」



 色々憶測が飛び交っているんだぞー? とぶすくれるシンドバッドから聞かされるその憶測たち。
 私の顔は醜い、だとか顔に傷がある、とか。素顔を見れたら幸福、または最厄に見舞われる、とか。どっから出てきたんだよ……。
 しかしまあ、わかる。わりと日数を過ごしてそれでも顔を見せないのは少し不安になるだろう。最近ヤムライハとピスティがよく素顔を見せて、とせがんでくるのにも納得だ。しかしなあ……顔だけは、駄目なんだよなあ。
 なんせ、目の前のシンドバッド王を女らしくしたような顔だ。かなり似てると言っていい。困ったな……。



『……王相手に失礼かもしれませんが、これで妥協してください』



 決死の覚悟でローブのフードをぱさりと外す。久々に人前でこの菫色の髪を見せたかも知れない。何せ、前傾姿勢なアホ毛までそっくりときた。
 肩より上ぐらいの短い髪は左右に少しばかり跳ねていて、その跳ね方すら似てると来たもんだ。悟らないでほしい。
 目を見開いたシンドバッドは不意に言葉を口にした。



「……驚いたな、パルテビア人か?」
『(……え、パルナ? いや違うパルテ……ん? なんて言ったコイツ?)……いや、私は極東の小さな島国出身ですけど。色々な髪色や目の色は一部では珍しくないところでした』



 金髪青目、桃髪緑目、深紫黒目等々。うちのクラスが代表的だ。銀髪も居たしな。
 なんだ、違うのかと言ったシンドバッドには苦笑いが溢れた。



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273:マメツキ◆A.:2017/10/04(水) 23:53 ID:xPo

 ふと、夢を見た。

_うわっ、マスター! たっ、助けてくださいシンさん!
_はっはっは! ネギくん! 男ならそれくらいの波は読んで乗りきって見せろ! エヴァ嬢もそう思うだろう?
_まったくだ! 我が弟子ながら情けない!
_えええええ!? 助けてくれないんですか!? いてっ、マスター待っ、うわわわ!

 ネギくんとエヴァのマギア・エレベア同士の激しき攻防と言う名の修行を、高台から胡座を掻いて見守るのが私。
 幸福な時間だ。アスナやこのか、刹那にのどか、夕映、ハルナ、その他諸々も楽しげに笑顔を浮かべて私の周りにやって来る。あやかなんかは私に飛び付いてハァハァ言っていたが。君、ストライクゾーンはネギ位の年齢じゃなかったか? てかネギくんじゃなかったか?
 そんな一面も砂嵐にさらわれて、次に見えたのは私の居た国が滅ぶところだった。原因は内戦。私の祖父の国だった。オスティアの近くの、南国の『夢の国』とまで言われた島国。
 つまり私は、その王国の第二王子の娘だった訳だ。日頃から武力や魔法の訓練しかしていなかったから、変わり者扱いされていたが。
 場面は父が私の目の前で、高い実力を誇った父は敵に切り捨てられた。奴等は手練を雇っていたらしい、父を切り捨てた男は私と病気の母を見て上玉だ、といやらしく笑う。幼くして苛立ちから舌打ちが出た。
 そして助けに来たのは、かの英雄『ナギ・スプリングフィールド』一行。救われた私は父が切り捨てられた目の前で何も出来なかったことを悔い、力がほしいとナギにすがったのだ。今考えるとなんとも馬鹿らしい。しかし、ナギは笑顔で容認した。彼は馬鹿のように鳥頭で何も考えちゃいなかった。しばらくの修行ののち、母が亡くなってしまう。永くないのはわかっていた。

_後悔するなよ? ファーストキスが俺って、後で喚いても知らねーぞ、シンドバッド。
_力が手に入るなら私はなんだって構わない。復讐なんかじゃない、次こそ大切なものを守れるように。今の私にはアーティファクトが必要なんだ。
_幼い王女とは思えない覚悟ですねえ、ナギ。
_アルうるせえ。……六歳のクセに。
_歳は関係無いさ。ファーストキスが英雄なんてめでたいことだろ。それと、もう『シンドバッド』の名前は捨てたよ。アンタは私に『七海 シン』って名前をくれたじゃないか。とっとと終わらせよう。

 ナギとパクティオーをして、アーティファクトを手に入れた。そのあとはなぜか現在のエヴァの持っていた別荘の真逆の性質『中で一日過ごせば、外では一週間が経過している』魔法球でナギ、アルビレオ、詠春と修行して、強くなって。三人は私を置いて行ってしまったけれど。魔法球は学園長に借りたらしい。なんと。
 タカミチがアスナを連れてきて、私が七歳になって外に出るとあれからもう13年が経っていて、そのまま麻帆良に。それからは以前の通り、エヴァと友人になり、ナギのことを話しながら別荘でマギア・エレベアを教わってそのあと魔装を完成させた。



『……懐かしいな』



 もう一ヶ月経った。

274:マメツキ◆A.:2017/10/05(木) 00:32 ID:xPo


 やたらと懐かしい夢を見て、目を覚ます。まだ深夜だった。南国のシンドリアは昼間より涼しくなっている。もう覚えていない私の国もそうだった気がした。それにしても、シンドバッドの名前まで同じとは恐れ入るなあ。
 今更二度寝をする気にもなれず、私は顔に面符をつけて、彼と私が一時でも同じ時間を過ごしたと言う証のカードを持って、部屋を出た。
 ローブは以前のフードを外した一件からもう着用していない。ここに飛んだとき、着ていたのが半袖で心底良かったと思う。
 庭に出て、とすりと草の上に腰を下ろした。胡座を掻いて体を左右に揺らす。



『……ナギ』



 アーティファクトカードを片手に見つめながら溜め息を吐く。
 私のアーティファクト、『覇王の軌跡』は、私が一度見て聞いて喰らったことのあるアーティファクトを使用できると言うわりとチートな激レアカードのものだ。使用時には左の前髪が後ろに引っ張られ、服装も変化する。恐らくこれも、シンドバッドはしていたことのある姿なのだろう。カードにはそんな風貌の女が口の端を吊り上げて不敵に笑み、細身の太刀を手にしていた。太刀は亡国の国宝だ。契約の精霊はイラストが得意なのだろうか。
 ああ、無性にネギくん筆頭に彼女たちに会いたくなってきた。



『……くそっ、駄目だ駄目だ! 私らしくもない。エヴァ嬢が今の私をみたら何を仕掛けてくるか……うん、考えないようにしようか。確実になにかしら首が胴体と離れる。それか書類整理……もうやめよう』



 笑顔で精神的にも肉体的にもぼこぼこにされる気しかしない。ばふ、と背中から柔らかな草の香りがするそこに倒れて、吐き出した。とばかりに息を吐いた。途端に微睡み出してくる。先程までは眠くなんて無かったのに。
 そこにとある男の陰が掛かった。誰かも暗くてわからない。しかし、私はその男と……ネギくんをどうしてか重ね合わせて憧憬を覚える。そんな誰かもわからない彼に、ぽつりと『この世界の私は、言葉にできないほどすごかったよ……』とか細く呟く。



『力を酷く貪欲に求めすぎた私と違ってなあ……。……なぁネギくん。どうしたもんだろうな、……見知った、長い間一緒にいた友人が居ないだけで、こんなにも不安になるらしい。や、恐らく……彼女たちの個性が強すぎたことも、有るんだろうが……この私がだ。……はは、こんな弱音を吐いた姿を、晒すのは久しぶりだ…。仕事はサボる、何を考えているかわからない、利用するだけ利用する、そんないつもの、仲間を守るためならどんな冷酷な手段だって構わず使う、ずるい、私らしくないと……君はきっと、言うんだろうな……』



 思えば、君を一度たりとも『ネギ先生』と呼んだ事がなかったな、と言う言葉を最後に、意識が飛ぶ。その直前に私の唇は何かに塞がれた気がした。


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275:マメツキ◆A.:2017/10/05(木) 01:04 ID:xPo

カードの絵は更新されていく捏造設定。

シンドバッドside

 夜、目が覚めて適当に徘徊していたらシンの後ろ姿が見えた。それに着いていくと、庭に出る。彼女はふらりふらりと手に何かを持ってとすりと微かな音を立てて胡座を掻き、左右にゆっくりと揺れた。
 まったく、女性なのだから流石に胡座はいけないだろうに。彼女の足は普段、太ももまでの長い靴下に包まれていて、それでもスカートと靴下の間の肌は魅力的だ。しかし今は靴下すらも履いていないから、真っ白で柔らかそうな脚が惜しげもなく晒されている。まったくこんな夜更けに。少し注意の意味を兼ねて声をかけようとしたのだが。



『……ナギ』



 その言葉に近付いて声を掛けるのをやめた。彼女は先程持っていた何かを見つめ、溜め息を吐く。
 何かを思案していたらしい、しばらくしてから『あー、駄目だ駄目だ!』と声をあげた。



『私らしくもない。エヴァ嬢が今の私をみたら何を仕掛けてくるか……うん、考えないようにしようか。確実に何かしら私の首と胴体が離れる。それか書類整理……もうやめよう』



 一人言を呟いて少しげんなりした彼女に少し既視感が湧く。とす、と後ろに倒れた彼女に近付きながら俺は首をかしげた。
 上を見た彼女を見下げるように側に腰を下ろす。微睡んでいるらしい。不意に彼女が苦笑した。



『この世界の私は、言葉に出来ないほどすごかったよ……』



 誰かと勘違いしたようだ。俺はシンドバッドだ、と言うように口を開くと彼女は遮るように言葉を続けた。



『力を酷く貪欲に求めすぎた私と違ってな……。……なぁネギくん。どうしたもんだろうな、……見知った、長い間一緒にいた友人が居ないだけで、こんなにも不安になるらしい。や、恐らく……彼女たちの個性が強すぎたことも、あるんだろうが……この私がだ。……はは、こんな弱音を吐いた姿を、晒すのは久しぶりだ…。仕事はサボる、何を考えているかわからない、利用するだけ利用する、そんないつもの……仲間を守るためならどんな冷酷な手段だって構わず使う、ずるい私らしくないと……君はきっと、言うんだろうな……』



 思えば、君を一度たりとも『ネギ先生』と呼んだことがなかったな。と呟く彼女の微笑みに思わず自分の唇で、シンの唇を塞いだ。
 ハッとして顔を彼女から離す。これでは寝込みを襲うようなものだ。一体俺は何を。
 そんな思考が巡り始めたとき、彼女の手のカードに目が行った。多分彼女が持っていたものだろう。悪いと思いながら見させてもらった。そこには。



『……昔の、シンドリア商会の時の俺、なのか……?』



 いや、微妙に違う。俺にこんな豊かな胸の膨らみはない。
 不敵で色っぽい笑みを浮かべるカードの絵の俺に似た女は控えめだが高価だとわかる装飾のされた太刀を手に、俺の16の時ほどの服に似たものを身に付け、白い足を短いズボンで晒し……。そこでぱっとシンを見た。なんで彼女が、こんなものを持っているのか。カードの字は読めやしない。



「……すまない」



 彼女の薄っぺらい面符をゆっくり捲った。
 仮説だが。このカードの絵の女がシンならば、シンの言った「この世界の私」とは……。



「……そう来たか」



 俺のことか。



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276:マメツキ:2017/10/05(木) 23:46 ID:zdo

http://ha10.net/up/data/img/21505.jpg

アーティファクトカードイラストイメージです。カードに描かれてるのはこんな感じなんだなくらいに留めておいてください。

277:マメツキ◆A.:2017/10/06(金) 01:46 ID:zdo

目が覚めると、私はあてがわれていた自室のベッドに横たわっていた。誰かが運んでくれたのだろう、衣服の乱れは無いし大丈夫な筈だ。ふと、やけに眩しい朝日に目を細める。はて、面符をしているのにこんなに眩しかったか。と目元に手をやるも、紙質はない。

『……嘘だろ』

鏡を見た。自分の姿が映っている。最悪だ。多分私を運んだ人だ、なんたる不覚。
何か代わりになるものは無いかと探していると、不意に扉がノックされ、カチャリとドアノブが回り出し『は、おい!? ちょ、待っ』と焦る私だが無慈悲にも扉は勝手に開けられる。そこには怖いくらいに笑顔のシンドバッドがいて、ひらりと面符を手にしていた。

「少し話そうか。聞きたいことがある」

参ったな、私を運んだのはこの男(私)か。さっと血の気が引いた気がした。自室にシンドバッドを招き入れ、人払いをしてから扉を閉めてシンドバッドに呆れたように視線をやる。この男、私のパクティオーカードを興味津々に眺めている。やめろ、わりと古いんだぞそれ。ドカリと備え付けの椅子に座ってシンドバッドと向き合うように腕を組む。シンドバッドはカードを私に返却してからにこやかに笑って言った。

「昨日の深夜、君の姿を見つけてね。声を掛けようと思ったんだが、独り言を言い出した。見に覚えがあるだろう?」
『…なるほどな、あの男の影は……』
「ああ、俺だ」

あっけらかんと名乗り出たシンドバッドにさらに深い溜め息がこぼれる。きっと『この世界の私』と言う言葉も聞いた筈だ。その独り言を聞いて私の顔を見たに決まっている。はあああ〜、と今までに吐いたことのないぐらい長い溜め息を吐き出して頭を掻いた。

『私と同じく理解の速いお前のことだ、もう気付いてるんだろうシンドバッド』
「ああ。……シン、お前は別の世界の俺なんだろう?」
『ドンピシャ正解、流石私だ』

ビシ、と真面目な顔でシンドバッドを指差したあと机に額を擦り付けるように倒れ込む。あーだのうーだの唸っていると、シンドバッドが急にカラカラと笑い出した。ビビるからやめれ。

「なるほどな、素は俺そっくりだ!」
『ほんとにな。ここまで一緒とは、とか思わなかったからな私は……仕事はサボる女好きで手癖は悪い、要らんとこまで全く同じだ』
「女性は美しいから仕方ないだろ」
『ほら見ろ同じだ』

ははは、とげらげら笑いあった。するとシンドバッドは急に真面目な顔を取り繕い目的を聞いてきた。なぜこの国に来たのかどうやってこの世界に来たのか。

『入国したのは本当に偶然だな、気が付けば煌帝国に居てシンドバッド王にそっくりだと言われて見に来たのさ。無論、拝謁したらすぐに帰ろうとは思っていたがまさか食客にするとは思わないだろ普通』
「それは俺が悪かったよ」
『本当にな。まあ、それで、どうやってこの世界に来たのか。って質問だが、私自身よくわかっていないんだ、悪いな。敵から攻撃を受けて、気が付けば煌帝国に居たんだ。帰る手掛かりを探しているんだが、どうせ出口は向こうからやって来てくれる。ま、気長に待つさ』

どうやらシンドバッド自身、私を手放す気は無いようだ。それもそうか、置いておけば別世界の自分なのだから戦力になるのは理解している。そこからは私の世界の文明の話をした。
私の世界では魔法ではなく科学が発達した高度な文明の栄えるところだと。魔法は一般人には認知されないよう隠されていて、万が一知られたら知った方の記憶消去、又は知られた方がオコジョになる重い罰。あとは歴史諸々。わりとシンドバッド頭いいから教えるのがとても楽……。

「そちらの世界の魔法はどうなんだ?」
『……まあ、まずルフはないな。己の体にある魔力を使うところは同じだが、命令式はないよ。詠昌があるけど。種類も様々だ。この世界で言う、六つの属性はあまり意味を持たない、使えるものは使えるし種類も抱負だからな』
「例えば?」
『魔法の射手(サギタ・マギカ)、最も基本的な攻撃魔法だよ、一本でもまあ小さな威力はある。こんなのでも199本あると極大魔法と大差無いが』
「他は?」
『……あまり好きじゃないが、「花風・武装解除(フランス・エクサルマティオー)」。相手の武器や武装を弾き飛ばす魔法だ』
「なんだ、便利じゃないか! なんで好きじゃないんだ?」
『脱げるんだよ。武装どころか服まで弾き飛ばすんだ』
「なん……だと……?」
『教えないからな』

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278:マメツキ:2017/10/06(金) 23:31 ID:zdo

以前ストップしたネギま!男主の続き。
男主私服。http://ha10.net/up/data/img/21510.jpg
設定
緋影伊織
 赤い瞳のつり目が特徴的な寡黙かつクールな少年。一応魔法使いだが、魔法剣士の部類に入る。魔法拳士でもある。「アホか」が口癖。得意な魔法の属性は炎。実力はエヴァと同等かそれ以上。
 そのせいというかなんというか学園長に「男子校満員になっちゃったから女子中等部通ってね」とわざとらしくただ一人女子の中に放り込まれた苦労人。表向きは共学テスト生。鋼の理性を持ち合わせており、学園では硬派なのも相まってかなり有名。イケメンである。空手四段。ネギに同情の念を抱いており、何かと世話を焼く。何が起こっても動じない。
 長瀬より少し高いぐらいの身長。声低い。クラスのネギ至上主義に呆れているのだが、同時に自分にもそれが向いているとは思っていない。ネギのようにおおっぴろなアピールはないが、同級生な為みんな恥ずかしがってアピールは控えめ。
 イメージ画の刀は相棒の『アヴァタール』。熱くなれと意思を込めれば刃がめっちゃ高温になって高層ビルぐらいなら溶けてすぱーん。普通の状態でも切れ味は抜群。
 明日菜のように固有能力を持って生まれているただの人間。向こうの世界出身ではない。能力は『身体炎化』、攻撃には使えないものの、移動速度は瞬間移動に近く、相手の攻撃はすり抜ける。ネギの雷化の劣化ver。人間に危害は加えない比較的優しい能力。
 のどかが気になっているものの行動に移す気は無い紳士。但し無表情。温厚派。両親は既に他界。
**



 11時となり、乙女達(大半がネギ狙い)が血気盛んに盛り上がっていく頃、一方のいおりは外へと涼みに来ていた。和服があまりにも似合わないと思って自嘲した彼は持参のワイシャツにカーゴパンツ姿。酷く涼しげである。
 途端、ふるりと背を這うような悪寒と、何かしらの執念を感じとり、小麦色の肌に鳥肌を立たせて旅館を振り返った。



『……なんだ?』



 訳もわからずに眉を潜めるいおりは地面に光るものにやっと気が付いた。足元に電球でも埋められているのかと思っていたが、どうやらソレは仮契約用の魔法陣。魔法陣はぐるりと旅館を囲っており、ようやくいおりはカモミールか、と人相悪く舌打ちをかました。
 成功すれば仮契約は一人につき五万円を協会が支払うことになっているのだが。大方、金に目が眩んだか、か弱いネギ先生が多くの女子にモテるところをにやにや見ていたいのか。どちらとも取れるその行動にいおりは再び舌打ちをひとつ。
 妙にカモミールと仲が良かった朝倉の事だ、アイツも参加していると考えていい。そしてこの異様な執念。恐らく朝倉に焚き付けられて何か仮契約、言わばキスに関するゲームでもやっているのだろう。まったく、ロクなことをしてくれないバカたちだ。しばらく外にいる方が安全だと思い、ベンチに座って月夜を見上げる。綺麗だと思うと同時に、あの夜を思い出した。



……や、やめっ、やめてくれ、俺を……

[……嫌だぁっ、死にたくないっ、死にたくない死にたくないっ! 嫌だあああああ! あああああ!]
[ぎゃああああっ! いやっ、熱いっ! 熱いよおおおおお! 何で、何であんただけっ!]
[助けてっ、助けていおりくんんんんん! 熱いのっ、痛い、溶けそうなの! ずるいずるいずるい! アンタずるいんだよ! ひぎっ、熱いいっ、あつ、ああああああ!]

……また、死んだ。一人二人、三人四人、大勢が俺に助けを求めて死んでいく。積み重なる屍に俺は涙を流すのみだった。鉄格子から覗いているのは漆黒の闇とそのときの俺を嘲笑う化のように爛々と輝く綺麗な月。残っているのは、俺と__。

 ハッとして目をぱちりと見開く。周囲はあまり変わっていないが、時計を見ればもう11時半。寝てしまっていたようだ。俺の体は汗がぐっしょりで、はあ、と息が上がっていることに気が付く。ずいぶんと昔の夢を見た。気分の悪い夢だ。気持ち悪い。

279:マメツキ◆A.:2017/10/07(土) 00:33 ID:zdo


 再び周辺を歩き、汗を引かせた俺はようやく昼の宮崎の件を思い出す。告白されたのなんて人生ではじめての出来事でちょっとパニックに陥って神楽坂たちには無様な俺を見せてしまった。
 返事返事と考えるも、よくよく思うと俺はあまり宮崎を知らないことに気がついた。あまり知らない子を振るのも受けるのも俺的には失礼だと確定しており、宮崎に言うべきことがきちんと決まる。
 宿に戻ると奥からぱたぱたと宮崎と綾瀬が走ってきた。一体どうしたんだ。ゲームにしては騒がしい気がしたしなにがあったのだろう。
 とりあえず、「宮崎」とだけ呟いてぴたりと面白いぐらい硬直した俺は少し動いてくれ。



「あ、緋影くん……」
『……あー、昼のこと、なんだが』



 俺がそう切り出すと「いえー、あの事は良いんです、聞いてもらいたかっただけでー!」とあわあわと慌て出す宮崎に『良いから聞いてくれ』と落ち着くように促す。
 そうは言ったものの、どうしようか。どこに行ったいつもの俺。



『……悪い宮崎、こう言っておいてなんだ、その、肝心の結論がまだ出てない。こう言い訳がましくなるのは俺の本意じゃないんだが、何せ、こうして好意を伝えられることが初めてで……困ったな……、こういうときに何を言えばいいんだ……。
……まあ、とにかくだ。考えてて思ったんだが、俺はクラスが二年とちょっと同じだったクセにお前のことをあまり知らない。これからは出来るだけ意識をするようにする』



 頭を掻いて視線を逸らしながらそう言い切る。くそ恥ずかしい。初めてこんなに情けない姿を人前に晒した。明石と長谷川がそこにいると言うのに。正座で。お前らなにしたの……?
 流石に今度はきちんと宮崎の目を見て告げた。



『……だから返事は……“二学期”になるまで待っててくれ。それまでに『宮崎のどか』が俺の中でどんな存在か、考えるて、返事をする』



 そう言い切ると宮崎はしばらくきょとりとしてから、「はいっ」と微笑んで返事をする。ばきゅんと何かが俺を貫いた気がするのは気のせいか。気のせいか!? 大丈夫か俺!?
 ふー、と緊張からかゆっくりと息を吐いて、『戻るか』と努めていつも通りを装う。



『新田に見つかるとまずいんだろ』
「あっ、そうだったっ」
「……」



 ぱたぱたと先行する宮崎_のどかの後を追って足を踏み出すとガッと何かに足が引っ掛かった。宙に浮く体の先には宮崎が居て、恐らく虚空瞬動を使えば衝突は免れる筈だ。いやしかし、宮崎、綾瀬、そこで正座してる長谷川と明石は一般人。見られるとわりと不味い。
 何かに気付いたのどかがぱっと振り向いた。綾瀬、足を引っ掻けたのお前か。お前なんだな。



『あ¨』



 時すでに遅し。最早陰謀のような力すら感じるほど上手いこと重なるお互いの唇。しかし、それも束の間。185cmの身長の俺の体重に耐えきれなかったのどかはぐらりと後ろに傾き、そのまま勢いよく二人して倒れてしまった。
 さすがに後頭部を打たせる訳にもいかないので咄嗟にそこに手のひらを滑り込ませていてよかったと心底思う。ナイス反射神経だ俺。
 そしてハッと気付けば、宮崎の顔が至近距離かつ下に存在し、真っ赤に染まっている。一連の流れを見てみると、ああ、もう。わざとじゃないとは言え押し倒していることは明確。瞬間顔に集まる熱に珍しく表情筋が動いたのが分かる。



『っ、!』



 バッと上体を起こして両手をあげる。横目で綾瀬を見ると、サムズアップ。長谷川を見ると唖然、明石を見ると口をあんぐりと開き、いつの間にか居た神楽坂と桜咲も似たような感じだった。あ、ダメだ。



『っ、せ、責任は取る! 悪かった宮ざ、っ、のどか……!』



 頭はもうオーバーヒート仕掛けで、咄嗟にその場から離脱する。全速力で駆け出した。



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280:マメツキ◆A.:2017/10/07(土) 23:01 ID:zdo


 三日目八時半。気まずい気持ちを抱えて食堂にいくとみんながわいわいと騒がしい。聞くところによるとあのあと新田に見つかって朝まで正座させられていたようだ。だから早く戻れって言ったのに。
 どうやら昨日のキスで仮契約が完全に成立してしまったらしい。これは由々しき事態だ。魔法を知らない彼女はこれで無理矢理その血みどろの世界に引きずり込まれたようなもの。アルベール・カモミールめ、この事態の重さを、きちんと理解しているのか。

 ロビーにて、それをカモミールに問い詰めると、ビクビクしたようにコクコクと頷く。本当かよ、と言うようにキッと睨んでから腕を組んで居ると、隣の神楽坂が「まったくもー」とスカカード五枚とのどかのカードを持って怒鳴る。



「ちょっとどーするのよネギ! こーんなにいっぱいカード作っちゃって一体どう責任とるつもりなのよ!」
「えうっ!? 僕ですか〜!?」



 ガミガミ叱る神楽坂から少し視線を逸らしてから『それは俺にも責任がある』とネギ先生を援護した。仮にも、先生が身代わり人形を使ったのであって先生に非は別にない。見回り言ってたようだし。



『ネギ先生ですら身代わり人形でスカだけだったのに、俺は、俺は……。のどかにああ言った後で、彼女に失礼過ぎる。死にたい』
「ちょ、言い方が悪かったわよ! ごめんって! 落ち込まないでよー!」



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281:マメツキ◆A.:2017/10/08(日) 18:50 ID:zdo


 そのあと、今日は私服の自由活動日だったので部屋にいって着替える。ワインレッドのワイシャツを腕捲りにし、濃い色のカーゴパンツ。それに肩掛けを背負えば準備は完了だった。
 手の中にあるのどかのパクティオーカードのオリジナルを見て唸る。これは先程カモに押し付けるように渡されたのだが、やはり常備していた方が良さそうだ。
 ロビーにて。オリジナルパクティオーカードを肩掛けに入れてさぁ行くか、と言うところでネギに呼び止められた。



「緋影さぁーん」
『ネギ先生。どうしたんですか、そんなに慌てて』



 ぴたりと出入り口の自動ドアのところで振り返り、先生と視線を合わせる。先生は肩に忌々しいオコジョのカモを乗せて『お願い』をしに来たらしい。
 申し訳無さそうに女子から見ると愛くるしいであろう顔を歪めた。



「……その、実は僕、学園長から関西呪術協会の長さんに親書を渡すよう頼まれているんです。あの、それで、僕一人じゃ不安なのでパートナーのアスナさんと一緒に行くんですけど……」
『馴染みのある同性の俺にも着いてきて欲しいってことですか』



 こくりと頷いたネギを前に、ふむと少し考える。確かに、あのクソ親父の仲間だった英雄、ナギ・スプリングフィールドの子供とは言え、異性ばかりじゃ不安なのだろう。よく考えなくてもコイツは10歳で親元を離れて心細いのもあるだろう。俺自身先生には良くしたいと思っているし。
 何より、その判断は正解だ。少なくとも、俺がいれば戦闘で負けることは有り得ないことが確立される。



『そういうことなら、全く構いませんよ』
「ほ、ほんとですか!? やったー!」



 両腕を突き上げて手放しに喜ぶ先生は本当に弟のようだ。『姉』と『弟』と言う存在に酷く執着しているあやかの気持ちも分からないではないが、一人っ子の俺はそこまで執着したいとは思わない。……いや、本当は俺にも兄や姉、弟妹と言った存在が居たのかも知れないがいたとしても俺の所為で亡くなっているケースだろうなと今まで見てきた赤の他人を思い浮かべた。背中の大火傷は死ななかった代償というより、今までの犠牲者の怨念というのに近いかもしれない。
 そんな後ろ暗い過去を思い出しながら裏口から外に出て、神楽坂と待ち合わせをしていると言う石橋までやって来たのだが。



「わぁー! 皆さん可愛いお洋服ですね!」



 絶句した。まあ表情は相も変わらず無表情だろうが。なぜ神楽坂以外の五班のメンバーも勢揃いしちゃってんだおかしいだろなにこれドッキリかよふざけんなマジで。
 神楽坂は早乙女にうっかりバレてしまったらしい。そういうとこホント成長してねえな。呆れの視線を神楽坂に送ると、バツが悪そうに顔を背けられた。おいこっち見ろコラ。
 絶句した理由はもうひとつ。ネギ先生なんでそんなことサラッと言ってのけるんだ馬鹿かこのガキ。お兄さんネギ先生の将来が心配だよ。
 のどかの持っている本も気になるがもう知らん、なるようになれ。
 とりあえず親書渡しは途中で抜け出して届けにいくらしい。わりと呪術協会から嫌がらせを受けてるみたいだから慎重にやれよ。



「わー、宿の近くもすごくいい所なんですねー!」
「はい。嵐山、嵯峨野は紅葉の名所も多いので秋に来るのもいいですよ」
『……よく知ってるな、綾瀬』
「事前に調べてきましたから」



 妙に手際の良い綾瀬も修学旅行を楽しみしていたということで良いだろうか。桜咲はお嬢に押しきられて連れてこられた様子が見られるから、事情は把握しているのだろう。
 早乙女に目的地はどこかと聞かれたときのネギ先生の言い分はあっちの方だったかな、と下手くそだがまあ子供だから仕方ないさ。



「……ねぇアスナ、ちょっと聞いて良い?」
「ん? 何?」
「……あんた、ネギ先生と付き合ってないよねぇ?」



 早乙女の質問に神楽坂がいきなり近くの信楽焼に頭をぶつけるもんだから驚いた。確かに、二人でこそこそしているのを見られるとそう思われるのも無理はない。神楽坂は10歳相手にそれはないと必死に弁明していたが、どうだかな。とりあえず、俺は先生と生徒とのそういう関係にある程度釘を刺す気で居るからそこのとこよろしく。



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282:マメツキ◆A.:2017/10/08(日) 19:25 ID:zdo



 そのあと、早乙女が目敏くゲーセンを見つけて、プリクラを撮ろうと言い出した。それにみんなが同意してぞろぞろ動き出すから流れで俺も最後尾を着いていく。



「ぷ、プリクラー……?」
「そうそう! 伊織くんも一緒にね!」
「あ、え……」



 なんだって。聞き捨てならないことが聞こえたが気のせいか。
 ゲーセン内に入ってうろちょろしようと思ったががっちりと早乙女に腕を掴まれてのどかと放り入れられた。女子に手を挙げるつもりはないが、いっぺん叱るぞ早乙女。
 プリクラ機内では隣でのどかが申し訳なさそうに俺を見ていた。



「ご、ごめんね……ハルナが……」
『……いや、いい。あいつらなりに気を遣ってるんだろ。それに俺には丁度いい機会だ、昨日の責任もある。こういうのは初めてだから楽しい』



 そう言うとぱしゃりとプリクラ機が光る。撮れたのだろう、と外に出ると特定人数がなぜかにやにやと俺を見ていた。ろくなことはまず考えてなんてないだろうなと呆れた視線をお返ししてやった。
 その他にも、先生が綾瀬と早乙女のやっているデータカードダスのプレイを見てやってみたり、地元のニット帽を被った学ランの少年と対戦して負けたりとか。



「ほなな、ネギ・スプリングフィールドくん」
「あー君、勝ち逃げはずるいよー!」
「えっ!? ど、どうして僕の名前を!?」



 いや先生、ゲーム始めるときに自分で入力してたろうが。とそんなことを離れた場所から思う。そうこうしているうちに関西弁の少年は「ほな」とタッと駆け出した。
 おっと。見た目はただの小学生だが、明らかに裏の仕事に着いているようだった。雰囲気もそこらの能天気な子供じゃないし、何より足音がない。
 しかし、少年は俺より前に先生たちに近いところにいたのどかとぶつかってしまった。その時その少年から少し脱げた帽子から覗く黒い髪に紛れて、何かを見た気がする。



「あたた……」
「ナハハ、ごめんなお姉ちゃん」



 しかし。去り際少年は「パンツ見えとるでー」と言い残し去っていった。
 びしりと体が固まるのがわかる。どうしてかは知らないが、確実に驚いた。これが最近の子供、怖いもの知らずか。
 そのあと、そのデータカードダスの関西限定カードを集めると言い出した早乙女、綾瀬、お嬢。
 その隙に神楽坂は桜咲にお嬢を任せたと頼み、俺とネギ先生、神楽坂はその場から駆け出した。



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283:マメツキ◆p.:2017/11/12(日) 01:35 ID:KXc

ネギま世界のシンドバッド♀のあの話を完結させたいなって……思って……その……。うん、上は一旦停止。先こっちだ。

**

 そのあと、朝議にて改めて私の紹介を行う、とシンドバッドにニコニコされて告げられ、思わず立ち上がる。



『嘘だろやめろ私のばかっ!』
「知らせないといけないだろう? こんな重要案件は!」
『おま、だんだんと楽しんでるだろ!』



 はっはっは、と私と似たような笑みを浮かべるシンドバッドに、私は左手で机に手を付き、胸ぐらをもう片手で掴みあげ、ガクガクと揺さぶる。
 別に報告してくれても構わないが、一応こちらの記憶を見せるつもりでいる。それよりも目の前でハハハと爽やかに笑う私にムカつきすぎてヤバイ。私いつもこんなんだったのか……ごめんエヴァ嬢。



「あ、そうだそうだ」
『あ?』



 ぐい、と胸ぐらを掴んでいた方の手を引かれ、態勢は机を挟んで崩れていく。気がつけば目の前には笑みを浮かべたシンドバッドで、狙いすましたように金色の瞳と友に目が細められた。零距離で広がる彼の整った顔といまだ感じる温もりに目をぱちくりと瞬かせるも、私の状況判断能力はとても優秀だ。生娘のように反応は遅くない。
 力の抜けた左腕を建て直し、ぱっと上体を逸らした。
 がたりと席につけば勢い余って椅子が前後にぎっこんと音をたてて揺れるもそんなことたぁ問題じゃない。大切なのは、今、私とシンドバッドがどうなったかと言うことだけだ。



『……私?』
「俺はお前を『俺』として、『自分』としてじゃなく女として、見ているよ」
『……は』
「それだけ言いたかったのさ」
『んん!?』



 突然の奇行にまぶたを必要以上に瞬かせ、目の前で以前変わらずにこにこ笑みを浮かべる彼を見る。要するにそれは、そう言うことで。



『……くそっ、……そういうことか』
「そういうことだ」



 ぐわっ、と上昇したと分かる己の額に手を当てて項垂れる。
 言ってしまうが、私に男性へのこういう経験は皆無に等しい。そもそも、私の通う麻帆良は男女別だから仕方ないと言えば仕方ないし、麻帆良では専ら私が男性側だ。魔法世界のクルト総督に呼ばれた舞踏会だってエヴァが私のために作った性別転換薬を飲みまんま目の前のシンドバッドになってスーツを着て挙げ句女性と踊ったのだ。
 目の前の私は私の反応に意外だったようで、ちょっと驚いたように私を見つめていた。



「免疫がありそうなのにな」
『お前男性に言い寄られたことがあるのか』
「俺はないな……あぁ、なるほど」
『お前がそうなら私もそうに決まってるだろうが』



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284:マメツキ◆p.:2017/12/12(火) 00:06 ID:woA

また新しいの。
 magi。全国一位の関西人剣道女子が転生したら練家の紅明双子姉になってた原作知識持ちのお話。ちょっと近親相姦。

 練 紅影(こうえい)
 煌帝国第一皇女。紅明の双子の姉。原作知識持ち。前世が関西人なので関西弁だが、禁城では最早紅影の喋り方になっている。上の白兄弟が生きていた頃は隣は白蓮、逆隣は紅明に貼り付かれていた。二人が死亡したあとは紅明が余計べったりになる。練家可愛いよ好き好きなブラシスコン。おとん(紅徳帝)は嫌い。白蓮に恋心を抱くも押さえつけ、彼が死ぬと同時に完全に断ち切った。紅炎は純粋に兄として上司として慕う。弟あいらいく。
 原作を変えるつもりはなく、兄弟の流刑までついていくつもり。嫁にいく気も全く無し。
 見た目は紅明に吹き出物がなくなって泣きボクロが追加。女らしい顔つきだが紅明そっくり。髪に関して、襟足は紅明と似たような感じだが髪は紅炎程の短さ。髪色は紅明と同じ。
 腰もとに太刀程の大きさの日本刀所持。のち金属器になる。

 幼少期から。



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285:マメツキ◆p.:2017/12/12(火) 00:19 ID:woA

このお話の紅明さんは「姉さん!」な独占欲強し。姉さんはあはあ姉さんな人。姉さんはうはうなう。

**

 どうもこんにちは君の分身ですなんてふざけてる場合でも何でもないぞ、どうした私。
 気が付いたら双子として生まれていた私は今世では紅影と言う名らしい。いやいや全く意味がわからん。
 前世じゃ交通事故に合って呆気なくお陀仏になった全国一位な私、実はオタク。夢小説とかそういうのも読んだから知ってる、これ転生したやつや。



「おはよう、紅明、紅影」
「おはようございます……兄上……」



 マギに転生しとる。よりにもよって煌帝国の紅明の双子の姉に転生しとる。あかん、うちの兄さんと弟が可愛くてあかん。あかん、現実逃避に走っとるヤバい。
 部屋から出てきた私に駆け寄ってきた紅炎兄さん。なんと実兄である。マジかよやだー超かっこいい一生ついていきます炎兄。まだ幼くて可愛い、兄さんマジ可愛い。
 そして私の腕に引っ付いてへにゃっとした笑顔で兄さんに挨拶したのがマイエンジェル紅明。寝起きだからか余計可愛いこの子可愛い。本当はね、部屋は別々に用意してあったんですよ、寝室。しかし、紅明が私と離れたくないと駄々を捏ねたのである。MH5(マジで鼻血噴出五秒前)だった。耐えたけども。鍛練や勉強以外じゃ私にべったりで離れてくれんのですよ死んでしまう可愛い。



『おはよお、兄さん』



 当時四歳、練紅影。長い長いお話の始まりである。



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286:マメツキ◆p.:2017/12/14(木) 01:12 ID:YkM


 先に言っておくと、私と紅明は世にも珍しい一卵性異性双生児で、顔もそっくりなのだ。私の方には左目の下に泣きボクロが、紅明はちょっと肌が荒れてきてる。部屋に籠ってばっかやからやこの子はもー。
 あれから六年、十歳になった私たち。わりと色々あった気がするなあ。
 終始にやにやした笑顔で鍛練を名残惜しく終えたあとは、何やらそこら辺で毛玉になっている愛しの弟の元へと向かう。



『紅明ー』



 もさあ、とどこに顔があるのかすらわからなかった紅明の髪を分けてやると、「……眩しいです」と顔をしかめられた。顔をしかめるでないぞ弟よ。
 腕に巻いていた紐をしゅるりとほどき、見た目ほど多くはない紅明の髪を右に集めてサイドテールにする。視界が広くなりました、と呟く弟に『そらそうだろうよ』と苦笑いした。
 そのまま二人でとてとてと廊下を歩くと言うより散歩していると、前方から白雄皇子、白蓮皇子が紅炎兄さんを伴って歩いてきた。



「おや、紅影、紅明」
「二人とも散歩かー!」
「『はい、散歩です』」



 さっと二人して頭を下げると言葉すら重なって殿下二人と兄さんたちは微笑んだ。
 楽にしなさいと白雄様に言われてようやく頭をあげる。すぐにぴたりと物理的に側にくっついてきた紅明はさておき、そのまま紅炎兄さんに声を掛けた。



『紅明が天使過ぎてどないしょう紅炎兄さん』
「気持ちはわかるが知らん」



 二つ上の兄の言葉がとても冷たい。が、しかし、原作のギラギラした視線と表情は面影がなく、普通に笑っているので内情は暖かい人だ。わしゃわしゃと私たちの頭をかき混ぜるようにして撫でたこの人も大概ブラシスコンである。紅炎兄さん好き。隣で撫でられて嬉しそうな紅明は天使、好き。
 途端、脇に手がさしこまれ、一気に目線が高くなった。私を持ち上げて満足そうにしているのは白雄様である。歩きながら持ち上げているからか、景色が流れて新鮮だ。白蓮様は紅明を持ち上げていた。ちょっと羨ましいぞ紅明。



「改めてみると大きくなったな、この双子も」
「紅影は将来きっとと言うか絶対美人になりますよ、兄上」
「大きくなって美人になると、他国からも引く手あまただろうな……」



 白雄様がそういった瞬間ガンっと紅炎兄さんが足を滑らせて柱に額をぶつけた。あまりにいきなりなことなので歩みを止めて四人共ちょっと驚いて目を見開きながら紅炎兄さんを見る。額をぶつけても尚表情を変えない炎兄は流石の一言だ。額押さえて痛みに耐えてるのはとてもイイ。



「……そうか、紅影もいつかここを出るのか」
「なるほど、妹がどこかにいくのを思い出してか、わからなくもないぞ、その気持ちは」
「いや……まあ、そうなるのですかね」
「まあ、兄上も俺も、白瑛が嫁に行くってなると引き留めるだろうしな!」
「大きな声で言えたもんじゃないぞ白蓮」



 地面に下ろされた私は何年先の話しとるんやと苦笑いしながらそれ光景を眺めていた。すると、ぽすりと紅明が私のそばで「姉上は、どこにも行きませんよね?」とやけに曇った瞳で見つめてくる。それにちょっとした恐怖を覚えながら、『行かへん行かへん』と笑い飛ばした。



「……本当に?」
『ほんまほんま』
「……本当ですか?」
『……疑り深いなぁ』



 ならこうしよう! と声高々に腰の短刀を抜き、ざくりと左頬に深い傷をつけた。兄さんたちは目を向いているが、気にすることではない。じくじくと痛む頬とぽたりぽたりと滴る鮮血に口の端が釣り上がった。



『これでもう傷物やからどこにもいかれへんよ』



 このあと兄たちに物凄い形相で叱られたのは仕方ないと言えば仕方ない。



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