【正味】自由に書きますわ【新しくスレ作るんもうエエ】

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1:ぜんざい◆A.:2016/10/07(金) 22:41 ID:74A



 どうもこんばんはぜんざいです。

 私、思ったのです。書きたい作品が多すぎて、その分だけスレを作ると数がとんでもないことになるからどうしようと、完全に無駄だぜ? と。そして答えがこうなりました。


 もういっそ全部引っくるめて自由に書いてしまえと(

 終着点がここなのです。

 なので、とにかくひたすらジャンルバラバラの夢小説書きます。
 コメント及び感想待ちます! 小説投稿はやめてほしいんだぜ?(⊂=ω'; )

 まあ簡単に言うと、私の落書きのようなものなので、他の人は感想だけということになりますね。うわあ上から目線だぁ! 恐らくコメントには感涙します、めっちゃなつきます。ビビります。

 ジャンルは大まかに言えば、wt、tnpr、妖はじ、turb、krk、FT、中の人、FA、mhaです。
 これからも増えるだろうと思われる模様。
 2ch的なものも出てくると予想されます。

 これまでの上記で『2chやだ!』「作品がやだ!」「ぜんざいがやだ!」言うからは目がつぶれないうちにご帰宅or gohome(΅΄ω΄→ ハヤク!

 2ch系では顔文字や「wwww」表現が出るかと思われます。嫌な方はブラウザバック!


 それでは、そしてーかーがやーくウルトラソheeeeeeeey((

 文的にうるさくてすいません。



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186:ぜんざい◆A.:2017/01/27(金) 20:50 ID:gtA



 並盛から恭弥のバイクに股がってしばらく。情報が確かならここ、『日向』と書かれた一軒家に居るはずなので、わざわざやって来た。



「……ここだね」
『ん』



 恭弥がインターホンに手を掛けたときだった。中から「い・い・い・痛(いっ)てエエエエエエーー!」とその家から叫び声が聞こえてきた。恭弥と顔を見合わせて、一度インターホンを素早く押してから悪いと思いながらも玄関を蹴り破って「軍曹!!」「ど、どうしたの一体!」と声のするリビングに突入した。



「お水いる!? うわっ、すっごい変な汗かいて……ぎゃあああああ! どちら様ーーーー!?」



 黒髪の少年がこちらを見てコップを放り投げながら悲鳴をあげる。彼の足元に居るのは緑色の二足歩行の謎の生物。……情報は確かだったのか。
 緑色の蛙のような生物はぐわんぐわんと頭を回し、ぎゅりっぎゅりっと地面に顔を擦り付け、そしていきなりガバァッ! と顔をあげて何かに耐えるように声にならない悲鳴をあげた。傍らの赤髪の女の子が「やだ! 怖い〜!」と声をあげてから「どちら様!?」と叫ぶ。



「と、とうとうブラックメンが来ちゃったよおぉ〜〜!」
「えっ、嘘ぉ!」
「……そのブラックメンが何を指すのか知らないけど、そこの謎の小動物、ヤバいんじゃないの」
「そっ、そうだ! 軍曹〜!」



 なんとも慌ただしいものだ。そのあとすぐに後ろから「通した通した!」と赤いの黄色いの黒いのがやって来た……なんなんここ。



「ここから先は我々の管轄、余計な手出しは無用だ! ……ん? んなあぁ!?」
「ハイハイ危ないですから下がって〜……ですぅ!? 地求(ポコペン)人がなぜ!?」



 こっちらのことはいったんほっといてと告げれば本当に興味をなくしやがった。クソガエルども……。
 聞くと、緑色の蛙のような生物は『虫歯』らしい。彼らはやはり宇宙人で、彼らの星では虫歯を『C・W(カリエス・ウォー)』と呼ぶらしい。……世界は、広いな。要するに、ミクロ単位の宇宙人も居るらしく、それが歯に巣くっているらしい。それを退治するために自身もミクロになるようだ。へえ。



「そ、そそ……そちらのスーツのお二方は、ど、どういったご用件で……?」



 こっちらはソファに座らされ、その向かいに座ってがくがくぶるぶる震えながらこちらを見てくる一同。布の奥から恭弥を見れば、彼は肘おきに肘をついてはぁとため息を吐いた。



「……君たちは何か勘違いしているようだけど、僕らは別に宇宙人が居たからと言ってどうこうしようという為に来た訳じゃないよ」
「え……?」
「確認さ。僕の財団の一部がそこの緑色の蛙を見たと報告が入ってね。武蔵市の隣は並盛だから、凶悪な奴だったら跡形もなく咬み殺してるけど。見たところそこまで危険そうな奴じゃないから」
「じゃ、じゃあ」
「何もしないよ。まあ、隣は僕の町だから、風紀を乱せば咬み殺す。肝にでも命じておけば?」
「命じておくであります!」



 聞くところによると、彼らは地球を侵略しにケロン星から来た宇宙人らしい。獄寺が見たらテンション上げてそう。
 ケロロと言うらしい緑色の彼はケロロ小隊の隊長のようだ。階級は軍曹らしい。



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187:ぜんざい◆A.:2017/01/28(土) 12:38 ID:JRA


 ちょこちょこ話を変えてスミマセン。ですがしかし。書きたいものを見つけましたのでやっていこうと思います。楓ちゃんが中学の卒業式終了すぐあとにトリップ。年齢は若返って中学一年生。見た目は身長が170cmぐらいまで小さくなったかなぐらい。
【長瀬楓 ネギま!→復活】


 卒業式を終えて、寮に帰宅して、拙者は床についたはずでござる。なのになぜ一軒家の寝室で一人寝ているのだろうか。
 外を見れば麻帆良の都市の面影すらなくて、いろいろと身を持って体験してきたからかここが自分のいた世界ではないと言うことはわかった。まあ確かに自分のいた世界じゃなくて寂しい気持ちも有るが、それを嘆いても仕方がない。そう考えてから拙者はもとの世界に戻れるまでこの世界を満喫しようと決めたのだった。
 驚くことに拙者は中学一年生のようだ。ほうほう、これはまた面白そうな。アーティファクトも有るし、拙者が使っていた忍装束もある。恐らく瞬動も出来るだろう。前と変わらないなと思いながら始業式を控えて今日から始まるらしい学校生活を送るべく並盛中学の制服を身に纏った。



**

 あれから二ヶ月ほど経って、友人が出来た。笹川京子と黒川花だ。最初は拙者の喋り方を不思議に思っていたらしいクラスも馴染んできている。
 そこで少々不穏な噂を耳にした。クラスメイトに聞けば京子が沢田綱吉にパンツ一丁で告白されたらしい。それで朝から元気がなかったのかと納得するも、その噂がどうも沢田をからかうようにできていてキナ臭い。事実は事実なのだろうが、少しやり過ぎな気もする。
 沢田綱吉とは、同じクラスのある意味有名な生徒である。入学以来テストは赤点、体育で沢田のいるチームはいつも負け。何をしてもダメダメで友達もいない。そんな冴えない沢田を周囲はダメツナともてはやしている。いやいや、拙者も入学以来テストは全部赤点でござるよ。



「やっぱダメツナねー、しかも変態だったなんて」
『んー……? そうでござるかな? 拙者、その心意気は良しと思うでござる』
「えー、長瀬さんったら冗談キツいわよー」
『あいあい』



 周りの女の子にからからと笑われてしまう。教室に入ってきた沢田を一斉にもてはやす……と言うかからかっている男子たち。女子もそんな沢田を見て笑っている。
 なんと言うか、こう、釈然としないでござるなぁ。京子の顔も少し影ってきているし、花なんて呆れてしまっていた。
 慌てて出ていこうとする沢田は後ろを向くが、そこには剣道部の部員が待ち構えていた。……それはやりすぎではないかな。
 そう思いながらも友人たちが引き留めにかかってきて動けない。そのまま沢田は剣道部に体育館へと連れていかれた。



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188:ぜんざい◆A.:2017/01/31(火) 20:38 ID:JRA


 剣道大会の結果は沢田が持田の髪の毛を全て抜いて完全勝利。やはり彼にはネギ坊主に似て非なるものを感じるでござる。いやはや、持田先輩、禿げて可哀想に。



「ツナくんってスゴいね! ただ者じゃないって感じ!」



 京子が沢田にそう告げたのを聞き届けて『では拙者は日直だから、そろそろおいとまするでござるよ』と告げてその場を離脱した。黒いスーツの赤ん坊の視線に気付いたからである。鼻唄を歌いながら教室に戻った。
 沢田綱吉、これまた面白そうな子でござる。少し、傍観でもしてみるでござるか。


**

 しばらく観察して、一年が過ぎ、拙者は二年生になった。クラスは京子と同じ、まあ沢田たちとも同じだ。挨拶して少し雑談を交わすぐらいの仲でござる。
 どうやら沢田は裏の世界のボスと言っていいイタリアンマフィア、ボンゴレファミリーの10代目ボス候補らしい。帰国子女の獄寺隼人、野球部のエースの山本武を仲間に加えてワイワイ楽しげだ。並盛最強の不良兼風紀委員長の雲雀恭弥や京子の兄の笹川了平とも接触し、つい先刻ほど前に黒曜での六道骸一味との戦いが終わった所である。
 黒曜の体育館の外。沢田が筋肉痛で気を失った。やれやれ、本当に……こういうところはネギ坊主とは違うでござるな。ふっと呆れた息を吐いた時だった。パン、と銃撃の音が一発鳴り、それをすかさずクナイで弾き飛ばす。……気付かれたな。次からは札を使うでござるか。



「そこに居るのは誰だ」



 その問いには答えずに、拙者は天狗ノ隠簑でその場から姿を消した。今、正体がバレる訳にはいかないでござる。それにしても、あの赤ん坊……拙者の気配に気付くとはただ者ではないでござるな。


**

リボーンside

 不意に感じた気配に素早く銃を撃てば何かで弾かれた。なんつー反応速度だ、ただもんじゃねーな。誰だ、と質問すればそれは答えられることなく、その相手は存在が消えたように気配を消す。手練だな、それも普通じゃねぇ。俺に気配を気付かせないとはなかなかやる。
 敵意は感じなかったからツナの命を狙って居るとかではないだろう。出来れば味方に引きずり込みてーな。



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189:ぜんざい◆A.:2017/01/31(火) 20:53 ID:JRA



 先日、商店街の方で大規模な爆発が起こったとニュースに出ていた。実際はボンゴレ所属の最強の暗殺部隊の「ヴァリアー」の幹部の一人、スペルビ・スクアーロがバジルと言う少年を追って事故を起こしたからなのだが。その際ボンゴレリングがどうのこうの。ああ、全て尾行で得た知識でござるよ。途中からキャバッローネファミリーのボス、跳ね馬ディーノが乱入してきて一時撤退となった。
 現在、山中外科医院と言う病院で怪我だらけのバジルを寝かせて、ディーノの話に耳を傾ける。どうやらスペルビ・スクアーロに取られたと思われたハーフボンゴレリングは偽物で、本物はディーノが持っていたと言う。



「ある人物からお前に渡すように頼まれてな」
「えー!? また俺に!? なんで俺なのー!?」
「そりゃーお前がボンゴレの……」
「す……すとっぷ! 家にかえって補習の勉強しなきゃ! ガンバロ!」



 そういって家に逃げ帰った沢田に溜め息をつき、拙者も音もなくそのあとを追った。



短い

190:ぜんざい◆A.:2017/02/04(土) 13:52 ID:EdQ



 流石に家の中まで尾行するとぷらいばしーとやらの侵害なので、そそくさと帰宅した。何やらお父上が帰ってきたらしい。二年ぶりだとか。いや別に叫んでいたのが聞こえただけでござるよ。



**

 翌日、家のポストに半分に割れた指輪が入っていた。はて、こんなものを送られることでも拙者はしたろうか?
 疑問もそこそこに沢田は再び昨日の医院へと寄っていった。
 そこには山本と獄寺がいて、沢田が半分の指輪を首から下げているように、デザインは違うものの半分のきれいな装飾のついた指輪を持っていた。リボーンとディーノに聞くところによると、沢田以外の六つの指輪は、次期ボンゴレボス沢田綱吉を守護するに相応しい六名に配られたようだ。



「俺以外にも指輪配られたのー!?」
「そうだぞ、ボンゴレの伝統だからな。
ボンゴレリングは初代ボンゴレファミリーの中核だった七人がボンゴレファミリーである証として後世に残したものなんだ。そしてファミリーは代々必ず七人の中心メンバーが七つのリングを受け継ぐ掟なんだ」
「それで後継者の証とかってー!?」
「10代目! ありがたき幸せっす! 身の引き締まる思いっす!」
「(めっさ喜んでるよ!)」



 まあ、そういう訳らしい。とても面白そうでござる。獄寺が「嵐のリング」、山本が「雨のリング」らしい。



「なんだ……? 雨とか嵐とか……天気予報?」
「初代ボンゴレメンバーは個性豊かなメンバーでな、その特徴がリングにも刻まれているんだ。
初代ボスは全てに染まりつつ全てを飲み込み包容する大空のようだったと言われている。故にリングは大空のリングだ。そして守護者となる部下たちは、大空を染め上げる天候になぞらえられたんだ。荒々しく吹き荒れる疾風、『嵐のリング』、全てを洗い流す恵みの村雨、『雨のリング』、明るく大空を照らす日輪、『晴のリング』、何者にもとらわれず我が道を行く浮雲、『雲のリング』、激しい一撃を秘めた雷電、『雷のリング』、実体の掴めぬ幻影、『霧のリング』……そして最後に、闇に包まれし隠密、『影のリング』」
「……あれ? 八つ? ……数がおかしくないか? リボーン」
「ああ。つい先日、ボンゴレ地下室から偶然発見されたもんだ。今年から守護者に入る。つってもお前たちの持ってるリングじゃまだ……」
「ちょ! すとーっぷ! とにかく俺は要らないから!」



 次の会話が始まる前に、拙者は天井裏から姿を消した。
 あのスペルビ・スクアーロが狙ったのはリング、なら近々争奪戦が始まってもおかしくはない。
 ……瞬動、虚空瞬動、その他もろもろ、さらに鍛練しなければ。
 学校に行かず家に直帰して裏の森に入る。
 忍装束に着替えた拙者はぐっと背伸びをしたあとバサッと天狗ノ隠簑を羽織った。
 そのままトントンとジャンプして、虚空瞬動。ビュッと朝の心地いい風がほほを撫でてはすり抜けて、隠簑の布がバサバサとはためく。
 そのまま木の枝に着地してフヒュッと瞬動、再び前方の木に足を掛けては瞬動を繰り返した。



『鈍ってはいないでござるな』



 おもむろに背後へ振り返りその勢いで手裏剣を投げれば、ザクッと大きく太い木の幹の丁度中心に突き刺さる。
 それを満足げに見て頷き、懐から心眼と書かれた目隠し用の布を目に巻き付けた。幸いここには自然のアスレチックがある。以前にも魔法世界で似たようなことをした。



『樹龍が居ないのが残念でござるが、あのときほど辛い戦いでもなかろう。気楽にやるでござるよ。半日耐久森林マラソン。瞬動、虚空瞬動は禁止。いやあ、懐かしいでござるなぁ』



 そんなことをぼやきながら、ちらりと背後に視線を飛ばして「気配を消すのが下手でござるな」と呟き駆け出した。



**

家光side



「流石だな、甲賀中忍、長瀬 楓。気配を消した俺に気付くとは……。あれほどの実力でなんで中忍に収まってるんだ……? それにしても、下手と来たか……」



 本当にさすがとしか言いようがない。僅か中学二年にしてきっちり完成させられている。技術しかり、それぞれしかり。現在の地点でボンゴレ最強かもしれない影のリングを持つ女。
 ……心眼とか、やべーな。ただ者じゃねえ、どこでそんな戦闘術を覚えたのか。胸に煌めく白い翼のバッチも謎だ。



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191:ぜんざい◆A.:2017/02/05(日) 17:40 ID:EdQ


 数日後、夕暮れ時。修業もそこそこに、空腹感に襲われて帰宅するつもりなのだ。夢中になって鍛えていたからか数日何も口にしていなかってのでござるよ。
 電柱の上を瞬動で掛けていれば、以前拙者の修業を覗きに来ていた男。その傍らで走る少年。
 いいタイミングだ、とばっと彼らの前に飛び降りた。隠簑がバサバサとはためく。



『数日ぶりでござるな』
「!!……お前」
「何奴ですか親方様!」



 彼の前に飛び出た少年に苦笑いしながら『拙者、影の守護者でござる』と告げれは「おっ、お主が!」とパアッと顔を明るくさせた。



『長瀬 楓でござる』
「バジルです!」
『で。お主と親方様とやらは、今どこに向かおうとしているのでござるか?』



 親方様と呼ばれた人物は沢田の父らしく、現在ヴァリアーが雷の守護者を襲撃に来ているとの情報を得たらしい。飛び出していった沢田や雷の守護者ランボを探しているようだ。



『では、拙者も同行させてもらうでござる』
「すまん、助かる」



**


 拙者達が到着した時にはすでに沢田側のファミリー数人とヴァリアーが対立していた。
 その中でXANXUSと呼ばれる男が沢田を睨んで手に力を集め始めている。それを見て周囲が焦った。拙者は家光殿と視線を合わせてから糸付きの巨大な手裏剣をぶんっと投げる。
 ザクッと大きな音を立てながら地面に突き刺さるそれを糸で引き戻してやれば、XANXUSの気は削げた。よし。



「待てXANXUS、そこまでだ」



 家光殿が声を掛ければ一斉に視線がこちらへ向いた。



「ここからはオレが取り仕切らせてもらう」
「と、父さん!!?」
「なっ、10代目のお父様!?」
「家光……!」
「て、てめー、何しに」



 そんな会話が続くなか、家光殿はひとつ、死炎印とやらが刻まれた勅命がどうのこうの。まあ言いたいのは、同じ種類のリングを持つもの同士の一対一のガチンコバトルをやろうと言うことだ。会場は並中、審判はチェルベッロ機関らしい。ヴァリアーも去り、みんなも去ろうとした。
 ……その前に。



『拙者はいつまで無視を食らっていればよいでござるか?』
「わあっ! な、長瀬さん!?」
「長瀬!?」
『……夕暮れだからでござるかな? 拙者の影が薄く見えるでござるよ』



 ふっと自嘲気味た笑みを浮かべて羽織っている隠簑に顎を埋める。あまりにもでこざるよ……。



「ご、ごごご、ごめん! で、でもなんで長瀬さんが……!? まさか!」
「そのまさかだぞ」
『予想は当たっているでござる』
「な、長瀬さんも守護者ーー!? 長瀬さん普通の一般人でしょ!? なんでそんな服着てるのー!?」
『ござござ』



 詳しい話は翌日でござる。


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192:ぜんざい◆A.:2017/02/08(水) 00:00 ID:EdQ



 結局あのあとは何も話さず「詳しいことは明日、拙者に家に来るでござるよ」とだけ告げて『にん!』とその場を離脱した。もちろん瞬動で。
 風呂上がり、拙者の世界を全て話すか、自身だけを話すか迷っていたのだが、いきなり天狗ノ隠簑が実体化し、淡く光出す。これは、以前の“最後の鍵”(グレートグランドマスターキー)の能力だった『アーティファクト強制発動』にそっくりだった。……誰かが、来るでござるか。



『……?』



 若干、旧知の友人に会えるとなると、わくわくする。そしてどさりと落ちてきたのは、三人の人影。全員、クラスメイトの……



「……楓?」
「楓さん!?」
「長瀬じゃん!」
『真名、のどか殿、朝倉殿……!』



 現れたのは同じ3-Aの龍宮真名(タツミヤ マナ)、宮崎のどか(ミヤザキ ノドカ)朝倉和美(アサクラ カズミ)だった。予想はやはり当たっていたか。



「楓、お前……今までどこに行っていたんだ……? フェイトがカンカンだったぞ」
『……そっちはまだ数ヵ月も経っていないでござるか、真名』
「ああ、フェイトが来てまだ二週間だ。お前は一週間前に行方不明になっている、ネギ先生にも連絡が行っていたからな、あの子も心配しているだろう」
『そうでござるか……実は拙者がこの世界に来てから既に一年半が経過しているのでござるよ』
「い、一年半ですかー……!?」
「え、じゃあこっちの世界と私たちの世界じゃ時間の流れが違うっていうの? 長瀬」
『そうみたいでこざるな』
「一応聞くがここはどこだ?」



 真名の問いに答えてやり、自分が今どんな境遇に居るかも話せば三人とも興味津々で頷いた。



「……守護者か。まあ、お前程の実力なら大丈夫だろうよ」
『やれやれ、真名。油断は禁物でござるよ』
「うるさい、わかっている」



 結果としては真名たちもこの家に住むことになり、明日の話は拙者達のいた世界のことも話すことに決定したでござる。にんにん。



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193:ぜんざい◆A.:2017/02/08(水) 21:37 ID:EdQ


 今日も学校に行かず、修行をするでもなく、友人たちとのんびり過ごす。
 今日、沢田たちは学校に行っているらしく、来るのは夕方になるだろう。



『暇でござるなぁ』
「じゃあ魔法世界行ったときの最終決戦の映像見る? あのあと編集して映画風に仕立てたんだよねー、全9時間! 舞踏会から夏休み最終日のイベントと決着まで! 見る? 暇潰しには持ってこいだって! 私のアーティファクトが全てを記録してたのよ!」
「……ほう」
「い、いいいいいや、で、でも……それには、私が調子に乗ってデュナミスさんに偉そうな口を聞いたところも……?」
「当たり前よ! それに、もう一回ネギくんの勇姿見れるんだけど、宮崎どうする?」
「! み、見ますー……!」
『決定でござるな』



 備え付きだったDVDプレーヤーに朝倉自作のDVDをセットして上映でござる。


**

 ツナside

 学校も終わって、山本や獄寺くん、リボーンと長瀬さん家にやって来た。でも、いくらチャイムを鳴らしても返事がない。どうしたんだろ……。



「長瀬のやつ、居ねーのな?」
「ったく、せっかく10代目が来たっつーのに」
「いや、長瀬はいるはずだ、見ろ、開いてるぞ」



 リボーンが玄関に手をかければ易々と開くドア。悪いとは思いながらも『オ邪魔シマース』と呟きながら入れば、靴が三足多いことに気が付く。誰か来てるのかななんて思いながら足を進めていった。



「なんて言うか……普通の家だね」
「そっすね……」



 獄寺くんに同意を貰いながら進めば、奥から「ほう、私がザジの姉と戦っていたときは丁度お前が風のアーウェルンクスと戦う時か」『そうでござるな』「宮崎は雷で気絶しちゃってたもんね、あんたフェイトに石化の針十本以上で狙われてたでしょ、何したの」「わ、私じゃなくて、多分いどのえにっきの方だと……」「それを引き出したのも、ある種の才能さ」「へぅ」と会話が聞こえてきて、その部屋の扉を開ければ、大きなテレビに外国人の顔立ちをした少年と長瀬さんが向き合う映像。それを見てるのは長瀬さんと肌の黒い美人と骸と似たようなパイナッポーヘアの女の子、ショートカットの気弱そうな女の子だった。



『おや、来たでござるか』
「わりーな、チャイム鳴らしても出てこねぇから入っちまった」
『全然かまわんでござる』



 そうして事情を話してもらった。あの三人は昨日突然やって来たらしい。



『拙者は長瀬楓、甲賀中忍でござる。実は拙者は一年半ほど前にいきなりこの見知らぬ大地に立っていてでござるな……つまり、拙者はこの世界の人間ではないのでござる』
「……多分ホントだな、疑うなよお前ら」
「分かってるよ、リボーン」
『助かるでござる。拙者、自分の世界では中学三年なのでござるが、若返ってしまったようでなぁ。
 拙者の世界は魔法が存在するのでござる』



 そこから一気に話してもらった。珍しく獄寺くんも大人しく、真剣に聞き入っている。そして全てを聞き終えて、自己紹介をすることになった。と言っても長瀬さんが他の人たちに俺たちのことを教えたみたいだけど。



「話は楓から聞いている、龍宮真名だ。楓とは死合いをした友人だ。向こうではスナイパーをしていた。もし頼みたいと言うならば、金さえ払ってくれれば何でもしてやることも出来るぞ? 半魔族だ、よろしくな」
「私は朝倉和美。麻帆良じゃ有名な実況者で新聞記者だよ。私たちの詳しい出来事が知りたいなら言ってね、私編集のDVD貸したげる、ちなみに新聞部ね」
「み、宮崎のどかですー……。えっと……と、図書館探検部所属です……あと、トレジャーハンターもしてます……よろしくお願いします……」



 肌の黒い美人が龍宮真名、パイナッポーヘアが朝倉和美、ショートカットの気弱そうな女の子が宮崎のどか。……女の子ばっかりだ。



「あ、ねーねー聞いて聞いてー! 長瀬ってばさー、魔法世界行ったとき、私達守るためにラスボス級の敵に一人で勝負しにいったんだよ、かっこよくない!?」
「え!? あ、朝倉さん!?」
「丁度今からなんだよねー! まあ見てなって!」



 朝倉さん強引だなぁ……。



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194:ぜんざい◆A.:2017/02/09(木) 23:25 ID:EdQ

三日月宗近転生沢田綱吉成り代わり番外編。※パラレルワールド注意※時間軸は虹の代理戦争終了直後。

**

 自宅にて。いつも通り甚平を着て、縁側で恭夜と茶をすする。思い返せばいろいろあったなぁと俺が呟けば、隣に引っ付いて離れない恭夜が「じじくさいよ」と俺の右腕に抱きつく力をギュッと強めた。
 その直後、どこかからランボの泣き声が聞こえてきて、ひゅるると風を切る間抜けな音が聞こえて、俺が刀を抜く前にそれは俺たち二人に着弾する。最後に聞こえたのは、獄寺の「10代目!」と叫ぶ声だった。

 その刹那、ボフンと音が響き、目の前を白い煙が覆う。大方10年バズーカだろうな。
 きょろきょろと見回せば、そこは俺の部屋で、でも太刀掛けが無い。はて……と首をかしげながら恭夜を見れば「……宗近の部屋なのかい……?」と怪訝そうに首をかしげている。

 煙が晴れて一番に見えた人影は、俺もよく知っている……この物語の主人公、沢田綱吉。恐らく恭夜と二人、人数のせいでなにかしらの不都合が起きて白蘭の言うパラレルワールドにでも来てしまったのだろう。目を見開き、口をはくはくさせてから、「りっ、りぼおぉぉぉぉおおん!」と隣のリボーンへと叫びをあげた。うるさいと一蹴してイタタと呟く彼を横目に、リボーンは「お前は誰だ」と呟く。部屋に居たらしい獄寺や山本もこちらを一瞥した。



『ん……? 俺か? 俺はなぁ、……はて? 恭夜、俺はなんでここにいるんだ?』
「はぁ!? ふざけてんのかてめえ!」
「まあまあ、落ち着けって獄寺」
「……あの子牛の10年バズーカとやらに当たったの、わかる? 大丈夫かい? 本当に脳までおじいちゃんになったの? 僕結構困るんだけど」
『はっはっは! それもそうだなぁ、俺も困る』
「おい」
『おっと。すまん、自己紹介だったなぁ。俺は沢田 宗近、好きに爺でも何でも呼べ呼べ。そして、恐らくパラレルワールドの『沢田綱吉』だ』
「ぱっ、パラレルワールドの俺!? お前が!?」
「パラレルワールドの10代目!?」
「すげーのな!」
『あなや、そこまで驚かれるとは』



 綱吉は「こんなイケメンがパラレルワールドの俺!? 明らかに何でも出来そうじゃん!」とうわあああ! と頭を抱える。だが、恭夜は綱吉に「そうでもないよ」と言い放った。



「へ?」
「宗近、朝は4時頃に自然と目が覚めて勝手に家から出て散歩みたいにほっつき歩いてるんだ。最悪三日も戻らないことも多いんだよ」
「は!? 三日!?」
「それに朝に縁側で呑気にお茶すすってるから遅刻はするわ、一日そこに居て夕方頃になって「あぁっ! 学校だ!」とか呟いてるし。なにもないところで転ぶわ授業中お茶を湯飲みで飲んでるわ僕が言わなきゃ学校まで甚平のままで行こうとするわ、国語と社会と体育以外ホントダメダメだし笑顔で刀を振り回すわ……前なんて宿題のプリントが嫌だからって庭先で細切れにしてたんだよ。無駄に顔も良いから変な女が寄ってくるし性格おじいちゃんだし言動おじいちゃんだし授業はサボって校内徘徊してるし昼時には中庭のベンチで野良猫たちと戯れながら寝てるしホントダメダメなんだよ」
『あなや、ずいぶんとボロクソに言われてしまった』



 へらりと笑えば恭夜に腹をどつかれた。



.

195:ぜんざい◆A.:2017/02/10(金) 00:00 ID:EdQ



「さっきから、パラレルの10代目のことぼろくそに行ってるけど、てめぇは誰だよ」



 獄寺が不機嫌そうに恭夜を睨む。恭夜はああ、と呟いてから口を開いた。



「僕は雲雀恭夜。宗近の幼馴染みでその世界の並盛の風紀委員長をしてるよ」
「ヒッ、ヒバリさんーーー!? そっちの俺の世界じゃ女の子なの!?」
『おや、じゃあこの世界では恭夜は男か』
「なんかやだ」
『見てみたい気もするがなぁあいたたたた、いだっだだだっ! や、やめろやめろっ、痛いっ』
「なんかいらっとした」



 右横腹をトンファーでぐりぐりと圧迫されて痛みに悶えていれば、獄寺が俺に問い掛けてきた。



「パラレル10代目! そっちの世界の俺はちゃんと右腕として機能してますか!?」
『ん? ……ああ、お前はよくやってくれている。山本と日々俺の左腕の座を取りあっているぞ』
「ひっ、左腕ぇ!? 右腕じゃないんですか!?」
「バカ言わないでチンピラ。宗近の右腕は僕だよ。譲らない、絶対に、チンピラにも、山本にも、絶対、誰にも、僕だけ、僕だけの、あげない、僕だけが、宗近の、ダメだよ、宗近は、僕のもがっ」
『恭夜が俺の一番最初のファミリーで右腕だ』



 若干仄暗い雰囲気を出し始めて俺を見上げて腕をギリギリと抱き締めながら呟き出した恭夜の口を左手で塞いで彼らに微笑みかける。彼らは恭夜を見て若干顔を青くしていたが、分からんでもない。



「そっちのヒバリはお前に相当執心してんだな……」
『はっはっは! リボーンや、言うてくれるな。まあ俺は美しいからなぁ』
「うわあ! 言い切ったぞ俺!?」
「宗近は誰が見ても美しいからね、女性教員でさえ惚れるんだから」
「ヒバリさんがそんなこと言うなんて!?」



 騒ぐ綱吉に苦笑していれば、彼ははっとして俺を見た。



「そ、そっちじゃ、京子ちゃんどうなってる宗近!」
『ん〜……よくわからんなぁ』
「笹川京子、まあ、宗近にベタ惚れだよ」
『あなや、そうなのか』
「えっ、マジかよやべーな」
「嘘ぉ!」
「この世界の彼らならともかく、なんで宗近気付かないの……。いっつも宗近挟んで僕と言い争いしてるでしょ」
『あなや』
「ほんとムカつくね。なんなの、あれ。笹川京子の奴、僕の見てる前で宗近にべたべたべたべたべたべたべたべたと鬱陶しい、いずれ宗近の見てないとこで咬み殺す」



 目が完全に暗くなった恭夜を放置して『そうだ、三浦だ、そっちじゃどうなんだ?』と逆に問いかけてみた。



「ハル!? ハルは……えーっと、その……」
「ツナにベタ惚れだぞ」
『ほほう、仲良きことは美しきかな、羨ましい』
「そっちのハルは?」
『くうると言うものだな。毒舌家とでも言うか。子供が嫌い。動物が苦手。同性愛者。……俺に嫌悪感を抱いているようでな……いつもごみを見ているような目で見てくるんだ。「消えればいいのに」と言う言葉は口癖だな……流石に金的蹴りは効いた』
「そっちのハルなんか怖い! 無邪気なハルでよかった!」
「羨ましいぞ綱吉」



 っと、もうそろそろ五分か……。



『そうだ、記念に写真でも撮ろうか。今後きっとないぞこんなこと』
「そうするか」
「ええ……、僕別に宗近以外どうでもいいんだけど」
「ヒバリさん!?」



 最終的には記念写真を二つのカメラで撮って片方ずつ持った。



『じゃあな、頑張れよデーチモ』
「宗近もデーチモでしょ」
「宗近は宗近だよ」
『少し黙ろうな恭夜』
「宗近が言うなら、うん、わかったよ」
「(ヒバリさんめっちゃ素直ー!)じゃ、また会えたら良いな、宗近」
『ああ、またな、綱吉』



.

196:ぜんざい◆A.:2017/02/11(土) 00:22 ID:EdQ


 自分の世界に戻ってから数日、俺と恭夜とリボーンが今後ボンゴレをどう引っ張るか思案していたときだった。
 ボゥンと音が鳴り響き、煙が部屋に蔓延する。奥からげほげほと咳き込む声がする。隣の恭夜は俺の腕をギュッと抱いた。
 煙が晴れて見えた姿は、先日見たあの沢田綱吉。リボーンにも一度事情を話しているので「ああ、アイツが」と目をしばたかせる。
 そして驚くことに綱吉の隣に居たのは、そちらの世界の雲雀恭弥。



「げほっ、げほっ、うぅ…あれっ!? 宗近!?」
『ああ、俺だ。数日ぶりだなぁ、綱吉や』
「……ちょっと。草食動物、ここどこ、なにこれ」



 雲雀恭弥が不機嫌そうに綱吉を見下ろした。ヒィッ! と情けない声をあげて怯える綱吉を指差して「アレがパラレルワールドのお前なんだな」と聞いてきた。コクリと頷けば「全く似てねぇな」と呟く。
 何やら綱吉が刺激したのか、雲雀恭弥がトンファーを取り出して今にも殴りかかりそうになってきた。



『これこれ、ここで暴れるのはやめろ、刀が折れる』
「その前に部屋が壊れるよ!? そっちの心配しろよ!!!」
「そっちのチカはツッコミ気質か」
「なに冷静に思案してんだよリボーン!」
「うるさい」



 雲雀恭弥のトンファーが風をきる。素早くて、避ける暇もない。ああこれは直撃だなとにこにこ微笑んでいれば、いきなり黒い何かが飛び込んできて雲雀恭弥のトンファーをガィンと派手な音を立てながら弾き飛ばした。ガン、と壁にぶつかりカランカランと地面を転がるトンファー。
 目の前に居たのは戦場でもあまり見れないガチギレの恭夜。彼女からは濃密な殺気が惜しげもなく晒されていて、常人なら気を失っているだろう。まあここにいる人間は全員常人じゃないが。
 恭夜はストンと俺の右横に腰を降ろして、パラレルの自分を見据える。彼も「ワオ」と呟いてから軽やかに地面に腰を降ろした。胡座。



「草食動物から聞いてたけど、パラレルワールドの僕って本当に女なんだね。まさかトンファー弾き飛ばすなんて」
「宗近に手を出したら、右腕の僕が許さない。地の果てまで追って無惨な死体に仕立てて宗近の前に転がすからね」
「へぇ、僕がそんなこと言うなんてね、群れてるのかい?」
「僕だって群れるのは好きじゃない、嫌いだよ、宗近以外にはこんなことしない。まあ他校生に並中生がやられたら、まあ多分怒るんじゃないの?」
「ずいぶんそこの沢田宗近を贔屓してるね、風紀の存在も曖昧だ」
「さっきも言わなかったかい? 僕は宗近の右腕だよ。僕の全ては宗近の為にあるといっていいし、宗近がいない世界なんて生きてる価値すらないんだ。宗近は僕の中で揺るぎない絶対、そう、僕は宗近のもので宗近は僕のものだ、宗近は僕の呼吸に等しい存在だ、僕の全てだ。宗近以外どうでもいい、誰にも僕の宗近には触らせない、宗近が、誰にも、絶対に、僕は、僕の、宗近だけ、あげない、渡さない、ダメだ、そうだ、なら僕が監きnむぐっ」
『とまあこんな風に頑張ってるみたいなんだ』



 完全に目からハイライトが消えたので慌てているのを動きには出さず悟られないよう恭夜の口を左手で塞いで雲雀恭弥に告げれば「……犯罪ワードが聞こえた気がしたんだけど」と表情変えずに俺に告げた。隣の綱吉は雲雀恭弥の影で完全に怯えている。
 いまだギリギリと力強く恭夜のその大きなめ胸に沈むように抱き締めるられている右腕はみ指先から感覚が無くなってきた。待て待て、血が止まっている。
 恭夜をガッ、と拳で少しだけ手加減して小突(?)けばハッとしたように力を緩めた。腕は離さないらしい。



「……宗近、今そっちのヒバリさん、結構力入れて殴ったの……?」
『ああ。前にもこんなことが数百回あるんだ、やさしめに小突いても戻ってこなくてなぁ』



 はっはっは! 困ったものだろう? と同意を求めれば目の前の雲雀が笑い事じゃないでしょと言う顔をして綱吉が「笑い事じゃないだろ!?」と気持ちよくツッコミをしてくれた。



「……とにかく、宗近に危害を加えたら咬み殺す」
「わかったよ」



 呆れたように自分を見つめる雲雀に苦笑いが浮かんだ。



.

197:ぜんざい◆A.:2017/02/12(日) 02:24 ID:PaI

ぼろ布主+4が銀魂にトリップして絵描き屋として食い繋いで頑張ってもとの世界に戻ろうとする話。雲雀さんと婚約。


 それは唐突。自宅で相も変わらずぼろ布を被って椅子で綱吉に渡されたボンゴレの資料を片していた時だった。

 つい先日に成人した。今度ディーノと飲むかとか考えて頭を横に振る。恭弥がキレるからやめておこう。
 中学の時と変わらず左腕に巻き付く包帯の上から蛍光灯に反射してキラリと光るシンプルで控えめな指輪を一撫でした。あと、ちょっと。あと二週間ほど経てば、名字が伊達から雲雀になる。……まあ、そういうことになるわけだ。
 ふぅと書類をバサッと乱雑に机に投げ捨てて椅子の背もたれに体重を預ける。ちなみに白玉の本名が伊達 いおりと言うことはとっくの昔に知れ渡っていた。多分あれだ、文化祭でこっちが白玉だと知っていた綱吉と山本の本願に負けておこなってしまった体育館での白玉初ライブ。あれで顔と名前が拡散したんだ。うわ改めると泣きたい。以前恭弥にプロポーズ的なものをされてしばらく経ったあと、ネットで報告したら「あぁ、ヒバヒバか、よく頑張ったね(柔笑)」「やっとか、よく頑張ったなヒバヒバ(フッ☆キラッ」「おっそ!! とりあえず私からは心からおめ! ヒバヒバよく頑張った!」「ヒバヒバめ、俺らを焦らしたな、よく頑張った!」「俺たちシララーはヒバヒバと白玉をくっつくの応援し隊だからな、素直に嬉しい。ヒバヒバよく頑張った」「今思う、ヒバヒバの顔よく知らん。ヒバヒバよく頑張った」「どうせイケメン。ヒバヒバよく頑張った」「白玉さん裏山。ヒバヒバよく頑張った」「ヒバヒバのプロポーズの現場誰か撮ってないの? というかよく頑張ったねヒバヒバ」と暖かいコメントが返ってきた。なんかヒバヒバよく頑張ったの意味のコメントがよく語尾についていた気がする。恭弥は数度こっちの雑談生放送やホラゲ枠の生放送に乱入してくることがあり本人からの希望で「ヒバリ」と言う名でやっているのだが、リスナーさんからの愛称はヒバヒバだ。なんと可愛らしいことか。
 改めて指輪を眺める。どうやら恭弥特注らしくて、リングの裏にはこっちと恭弥の名前が刻まれていた。



『……ホンマ、』



 あんま実感沸かない。一緒になるのが嫌なわけではない。中学時代から(それはもう、学校で露見されたときからべったりぴったり)片時も離れずに一緒に居るので、あまりもとの生活でも変わらないような気がするのだ。もちろん嬉しいことですが。
 その時、パサリと自分の羽織っていたぼろ布が風もないのに揺れた。

198:ぜんざい◆A.:2017/02/12(日) 09:14 ID:PaI

『アンクル』にVGを変更。右足首。


 次の瞬間にはもうこっちは自室には居なかった。周りを見渡せば和風な人が行き交う大通り。あれ、なにこれタイムスリップ? とか考えるも普通にバイク走ってるしホンマなんなんここ。


**

 あれから数日。この世界の歴史の雑誌を図書館で借りて読んだ。ここは江戸のかぶき町、この世界には天人と言う宇宙人が存在し、天人に甘く侍に厳しく、と言う政治が回っている。官僚には天人も。以前天人を地球から追い出そうと、侍が攘夷戦争を起こしたらしい。まあ負けたが。政治が寝返ったのだ。以来攘夷志士は悪者として言われるようだ。その中でもテロとか起こすバカもいるらしいけど。……あれ、おかしいな。一回漫画で読んだこと有るような……。いや違うここはそこに似た別の何かだ。

 こっちはと言うと金をスケブで作り出し、家を購入した。大通りにある一軒家だ。とりあえずなにもしないわけにはいかないので、一階で絵描きでもしようか。と言うことになり、いろいろVGを駆使して一階を改造し、まああまり人は来ないものの頑張っている。
 それと、恭弥が居ない。恭弥が居ないだけでこんなに寂しいとは思わなかった。頭から被るぼろ布がこっちの震えを伝えて揺れる。
 ああ、もう時間だ。と店の席を立ち、今日は終わるとするかと立ち上がった時だった。



「ここ、まだやってっか」



 鼓膜を震わすなんちゅーか、恭弥とはちょっと違うとんでもないイケヴォ。恭弥もイケヴォですけど、コイツはなんかエロい。
 振り向いて『まだやっとります』と告げてから相手の姿を見て微かに一時停止するも、『なんか描きましょか?』と通常通りに告げた。
 そこには夕焼けをbackに背負ってキセルを手にこちらを見つめる紫が強い色の女物の着物を男結びでかなり着崩した色男がいました。いや問題はそこじゃない。そこじゃないんだ。



「あァ、この写真描いてくれ。A4で頼むぜ」
『わかりました。期限は何時ぐらいがエエですか』
「そうだなァ、三日後くれぇにまた来るぜ」
『了解っす』



 写真を受け取り奥へと引っ込もうとすればグイッと布を引っ張られて「おい、名前聞き忘れてんじゃねェか」と呆れた声で言われた。確かに忘れていた。いや問題はそこじゃない。



『すんません、忘れとりました。名前伺いますけど大丈夫ですか』
「構わねえ。俺ァ、“高杉 晋助”だ」
『(たっ!?)高杉 晋助さんですね、依頼承りました』
「おう」



 た か す ぎ  し ん す け
 そう、問題はここだった。ここだったのだ。いやそうですよね、上記の風貌に左目包帯眼帯とか高杉さんしかありえへんですよね。
 ちょっと、新撰組(おまわり)さーん。ここに過激派攘夷志士が居まーす。鬼兵隊の総督がここに居まーす。すごく関わりたくないでーす。俺は全てを壊したい病に掛かったいい年した厨二がここに居まーす。
 布を目深に被り直して背を向けてシャッターを閉めようとした時だった。



「客が来たのに顔も見せねぇとは、お前どんな頭してんだ」
『……こっちコミュ障なんで、目ェ見ると話せへんのですわ、勘弁したってください』
「へェ……まぁそう言うことにしといてやるよ。……ずいぶんとゴツいアンクルしてんな」
『友人から渡されたもんなんで。これらのために多くの人が血の海に沈んだとか沈まなかったとか』
「そんなに高価なもんか」
『まあ、とある、人間の命を大事にするマフィアに代々伝わる幹部の継承の証なんで、そこそこには高価やと。今代で10代目です』
「お前マフィアか」
『今はちゃいます。ただの戦闘は弱い一般人です』



 いぶかしげな視線を投げられたものの納得して高杉さんは帰っていった。なんか緊張した。とりあえず銀魂の世界とかなんなんこれ、なんなんこれなんなんこれなんなんこれ!?
 恭弥と風くんがとても懐かしいです帰りたい。



.

199:ぜんざい◆A.:2017/02/12(日) 16:31 ID:PaI



 三日後、高杉さんは律儀に店にやって来た。やって来た高杉さんに絵を渡せば固まって「これ本当に絵か? 写真プリントアウトしたんじゃねぇのか」と疑われた。失敬な。



『うちにプリンターないです』
「実力かよ」
『うぃす』



 高杉さんはけらけらと笑ってから「また来るぜ」と行ってしまった。……うっ、嬉しい申し出ですけどぉ、もう来ないでくださぁいっ、怖いですぅっ。ダンロンの蜜柑ちゃんのように言ってみたがキモくて吐きそうだ。蜜柑ちゃんだから出来るのだあれは。しまった、長い間黙ってしまった。



『……また』



 慌ててそう告げれば高杉さんは振り返らずに片手をあげて手を振ってから行ってしまった。なんやあのエロイケメン。
 それを見送ってからぱたんと戸を閉める。どかりと椅子に座ってからあああああと大きく息を吐いた。



『……恭弥』



 ここにいない恭弥の名前を呼んだ。普通の紙に鉛筆を滑らせて恭弥のいつも通りのムスッとした顔を描いた。いつの間にか出てきていた夕焼小鳥がぽすりと頭の上に乗ったのが分かる。この小鳥もヒバードに似ているから不思議だ。



『せや、買い出し』



 慌てて立ち上がり、扉をガラリと開けて鍵を閉めて、ついでとばかりに周囲にばれないように三重に鍵を掛けてピッキング対策を施した。
 匣兵器からバイクを出していたのでそれに股がりヘルメットを被って出発した。バサバサとはためくぼろ布に隠れて、背後をつけてくる影には気づかなかった。


 必要だったものを購入し終えて帰宅。異変に気付いたのはその時だった。



『なんっや、これ』



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200:ぜんざい◆A.:2017/02/12(日) 23:16 ID:PaI

厳重に掛けておいた鍵はぶっ壊され、入られた形跡があった。嘘やろ。あるものないもの見てみれば金品は全て残っていたものの、下着が一枚無かった。嘘やろ。あれか、今ちまたで騒がれている下着ドロか。若い女の下着を盗んでは夜な夜なモテない男に振り撒いているあの鼠小僧の変態バージョンか。まあ捕まるやろ。そう思いVGで扉を修復して五重掛けの鍵を設置して家に入った。
そして数日後、高杉さんが再び店へと姿を見せた。隣にピンクのへそ出しセクシーな服を着た金髪美人をつれて。あれ来島また子よな。うーわめっちゃ美人や、実物めっちゃ美人や。高杉さんは頭に被っていた笠を小脇に抱えて煙管を加えながら「よう」とこちらに声をかけた。

『どうも高杉さん。隣の美人、高杉さんの彼女すか』
「なっ、なななっ、びっ、美人!?」
『はい、久々こんな美人見ましたわ』
「あ、ありがとうっす!」
「女店主、依頼だ」
『はい』

高杉さんの雰囲気がちょっと怖いものになったのでちゃんと話を聞くことにした。

「今ここで絵ぇ書くのは可能か?」
『全然』
「コイツ描いてやってくれ、前の絵をプリントアウトだっつって聞かねぇ」
「だってあんなの絶対プリントアウトっすよ! 金取り泥棒っすよ!」
『(ひどい言い草や)鉛筆でエエですか』
「頼むわ」

のんびりと一枚の白紙とバインダー、鉛筆を取りに奥へ引っ込みまた出てくれば二人してこちらを見つめてくるお二人の姿が。

『どないしました』
「てめェ左腕の包帯どうした。昔絡みで喧嘩か」
『いやこれこっちが16の時につけてもた大火傷です。見せれる様なもんやないんで包帯巻いとりますけど』
「そんでその包帯すら隠す為にボロ布頭から株ってんのか」
『こっちコミュ障なんで』
「嘘だな。いくら目を見ねえっつってもコミュ障がここまで喋れる筈ァねえ」
『あー、恥ずかしながら、コレないと不安になる言いますか、調子出んのですわ』
「ヘェ」

くすくすと鋭く目を細めて笑う高杉さんを不思議に思いながら来島さんに椅子に座ってもらい、こちらも正面に腰を掛ける。

『高杉さん、名前なんちゅーんですか』
「来島また子だ」
『来島さんすね、すんませんけどしばらく動かんといてください』
「了解っす」

また子のその合図を聞き、こちらはバリバリと鉛筆を滑らせ始めた。途中で力を込めすぎて鉛筆が折れたので『役立たんな』と一瞥もせずに勢いよく後ろに放り投げ、手元に呼びとして置いていた鉛筆を手に取りずしゃしゃとここ数年VGで鍛えた筆速でまた子を描き進めていった。

「(はえェな、手元が見えねぇ)」
「(なんかずしゃしゃとか聞こえてくるんすけど!?)」

二人が脳内でそんなことを考えているなんていざ知らず、ものの五分も経たずにまた子ちゃんを描き終えてしまう。

『とりあえず待たせるんアレなんで速攻仕上げました。雑になりましたけどそこら辺は堪忍してください。て、顔色悪いですけど、気分でも悪いんですか』
「い、いや、大丈夫っす。これ、今描いたんすよね!?」
『あっはい』
「晋助様! 見てくださいこのとんでもクオリティ! 五分っすよ五分!?」
「…女店主よォ、あんたあの絵もこんなスピードで終わらしたのか?」
『まあ』

そう頭を掻けば、唐突にヒタリと高杉さんから首もとに刀を置かれた。咄嗟に両手を上げて『高杉さん』と声を掛ける。

「おい、女店主よ。やっぱアンタ唯者じゃねーな」
『……タダの善良な一般市民です言うて』
「いや違ェな。本当にタダの善良な一般市民なら首に刀置かれて震えて泣き出すだろーよ、それに」
『それに?』
「さっきから俺は一般市民なら気絶するくれェの殺気を出してたんだ。そこの来島でさえ顔を青ざめる様な、な」
『!』

なるほど高杉さんたちは元々目的がコレだったのか。口実として絵の事を出したと。悲しいような賢い様な。いろいろと脱帽ものだ。

『ホンマ、脱帽もんやで高杉さん』
「あの殺気の中で平然と絵ぇ描いてたアンタにも脱帽だぜ俺ァ」
『いや、まぁ慣れとるんで、殺気とかには。集中し過ぎると分からんだけっちゅーか』
「慣れてるだと?」
『婚約者がそんくらいの殺気を常日頃から出しとるんですわ。多分本人無意識ですけど自然と言うか、アイツの雰囲気が殺気っちゅーか』
「んだそりゃぁ」

さて、高杉さんたちはこっちを一体どうするつもりなんやろか。

201:ぜんざい◆A.:2017/02/13(月) 23:36 ID:PaI




「てめェ、実力者だろ」
『自分で言うのもなんやけど、多分そうやないですか』
「鬼兵隊に入る気はねェか」
『無いな』



 即答すれば理由を聞かれた。そんなの単純に新撰組に追っかけられるのは困るからだ。そう返せば「ちげぇねぇ」と高杉さんはカラカラと笑って刀を納めた。



「ダメもとでまた何回か勧誘に来てやるよ。贔屓にしてやるから、まァ考えててくれや」
「っす。そういうことなんで」
「また来るぜ、女店主」
『来島さんまた来てな』
「てめえ」



 若干ムッとした高杉さんにフッと笑みを溢して『また』と返せば彼は返すことなく歩いていこうとする。が、ピタリと足を止めてこっちの姿を目に止めた。



「女店主……お前、名前なんだ」
『……伊達 いおりや』
「伊達か」



 今度こそ彼ら二人は網笠を頭に被って行ってしまった。なんか、悪人には見えんかったけどなぁ。
 そして翌日、差出人が高杉晋助の宅配便が届いて、すごく美味しそうかつ高級そうな水羊羹が送られてきたことには流石に驚いた。贔屓にってこういうことか。これは、無下には出来ひんぞ……どないしてくれるんや高杉さん。



.

202:ぜんざい◆A.:2017/02/13(月) 23:50 ID:PaI


 ワイシャツを着てそれをそのまま腕捲り。腰にジャージを結んで下はワークパンツ。まぁダボッとしたディーノが穿いてる様なズボンだ。
 その上からボロ布を羽織って準備オーケー。そのままVGのスケブから恭弥の乗っていたバイク(スズキ・カタナ)を呼び出し、バイクを描いた紙を破って実体化。よし、甘味屋行ってきます。

 唐突に今日はぜんざいが食べたくなった。元々この世界に来て好物であるぜんざいを食べていないのだ。江戸やねん、食わな損々。でも主人公とのエンカウント率が上がりそうやわ。既に高杉さんに会うてるし。

 そんなことを考えながらバイクを走らせて甘味屋到着。店員さん(女性、顔も制服も可愛い)にぜんざいをひとつ頼んで大通りに面した外の長椅子に腰掛けた。
 運ばれてきたぜんざいを満足げに食す。ここの美味い。恭弥に食わしたい。
 さて帰るかと勘定をしていたときだった。
 遠くからパトカーのサイレンが響いてきて、そのままパトカーから茶髪の黒制服の青年がこっちのバイクに目を付けて「借りるぜぇ!!」とさしっぱなしだった鍵を回してエンジン掛けて行ってしまった。
 余程急いでたのか……新撰組大変やなぁ。……茶髪の彼が沖田だとは思いたくないな。

 遠くで「見つけやしたぜェ土方しねコノヤロー!!」と聞こえてきたのは知らんぷりだ。こっちは関係無いもん。



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203:ぜんざい◆A.:2017/02/15(水) 00:35 ID:PaI


 結局返ってきたバイクはボロボロで目が死ぬ。恐らく死んだ魚の様な目をしているであろうこっちに、沖田総悟らしい人物が(見た目だけ)申し訳なさそうにやって来た。



「すいやせーん、借りたつもりだったんですけどー、土方のヤローが避けやがったからぶっ壊れましたァ」
『(まぁまた出したらエエか……)ん、まあ新撰組やし、しゃーない』
「!? あァ、まぁ、はい」



 驚いたように目を見開いて見上げてくる沖田くんにあっ、これヤバイかも。と危機を察知してグイッと頭に被った布を引っ張り、苦し紛れに沖田くんの頭を一度ぽんと叩いてから足早にその場を去った。
 エンカウントして目ェつけられたら結構困るんですよね、いおりさんは傍観しとりたいんや、許せや、つか許してください頼みますマジで。

 帰宅して中に入ると何やら高級そうな包みが。……どないして入ったんや高杉サァン。開けてみれば高そうな和菓子詰め合わせ。甘味屋に行く前に届けてほしかった。正味行く前に届けてほしかった。二回目やんこれ言うん。


**


 そして翌日、ポストにとある茶封筒が入っていた。中身を見ればこっちの隠し撮りの写真の数々それと手紙。なに、これはあれか? 高杉さんの新手の嫌がらせですか?
 いやいやー、とか内心思いながら導入(笑)されていた手紙をぺらりと開く。そしてそこには!



「貴女をいつも見ている。そう、いつもいつも見ているんだ。左腕の包帯の下が見たいな、貴女の全てが知りたいよ、口調はどんな感じだい? 土佐弁? 関西弁? 標準語? 右足首のバンクルが高級そうで、足枷みたいに見えてとても綺麗だね。ところで左手の薬指の綺麗な指輪は誰から? でも俺はまだあげてないよ? ああ、安心して。大丈夫だから。分かってるよ? 無理矢理押し付けられたんでしょ? そして僕に嫉妬して欲しいんでしょ? だって君は他人を寄せ付けたくないみたいだからね。俺以外とは触れ合いたくないって事でしょ?」



 ……うぇぇえええぇぇえええぇぇい!
 なんだこの勘違い男! なんだこの勘違い男! 大事な事だから二回言うたよ! なんだこの勘違い男! 大事な事だから三回言うたよ! こっちは恭弥一筋やっちゅーねんボケ! 誰がお前なんかに嫉妬してもらいたいねん! キッモ! キッモ!!!



『勘違い馬鹿乙(笑)ダッセキッモ』



 手紙を書いた人物に嘲笑して、歩き出す。手紙をライターで燃やして炭になったからそのまま捨てた。とりあえず写真持って新撰組に行こうそうしよう超怖い。



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204:ぜんざい◆A.:2017/02/16(木) 23:46 ID:PaI




 新たなバイクに飛び乗りブォンブォンドルルルルと音を立てながら爆走して到着した新撰組屯所前。とりあえず、『すんまっせーん』とか軽ーく言う勇気もないので『ごめんください』と控え目に扉を開けた。こっち多分めっちゃ怪しい人やと思うねん。やってボロ布頭から被っとるんやで。
 は、と自嘲気味た笑みを微かに浮かべて一歩足を踏み入れれば、こっちに向かってスッ飛んでくる黒い影。人影のようにも見えるので避けるわけにもいかず、一緒になって吹き飛ばされないようにガシッとその人を片腕で支えた。左肩ゴキって言うた! ゴキ言うた!!
 どうやら目を回しているようで、顔を見てみればジミーと有名な山崎退だった。え。
 彼が飛んできた方向を見ればそこには今にも山崎さんぶん投げましたと言ったポーズの土方十四郎さん。



「……な、にか用か」
『今、投げはりました……?』
「いーぇぇえ!? 投げてませんけどぉ!?」
『あっはい』



 土方さんは声をあげながらこちらを脅すように見てきた。とりあえずそれをスルーして『被害届出しに来ましてん』と布の奥から彼を見据える。とりあえず山崎さんは地面に捨てた。



「被害届だと?」
『……まぁ。……ストーカーにおうてまして』
「近藤さんんんんんんん!? 志村の次はボロ布さんか!! 節操ねーな!?」
『多分その人ちゃいます』
「え」



 その後、土方さんの薦めで少し事情聴取されるらしく、取り調べ室へと連れていかれた。途中で沖田くんも合流しました。一度もこちらを見てくれませんなぜでしょう嫌われとるん? こっち。



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205:ぜんざい◆A.:2017/02/27(月) 23:56 ID:gAY

新連載的な。(銀魂沼にどっぷりハマったなんて言えへn((⊂三´ω`セイヤッ)
 #3年Z組銀八先生 #普通に #ギャグを目指す #始まるのは2Zから

 夢主設定。

 小原 いおり(こはら いおり):女
 見た目はこれまでの連載の女夢主と一緒。違いと言えば少し髪が伸びて肩につくかつかないぐらいのショートカット(毛先外ハネ)ぐらい。コミュ障。身長が172cm。極度のめんどくさがり。アニメは少年漫画系とラノベ系(両共グロ含むものもいける)、映画はグロテスクなものを好む(バイオハザードとか)、他はアニメのみ。よくスケブに鉛筆走らせてる。ゲーマー。二次元に嫁が居て三次元で歌い手さん追っかけしてるなんでもこいこい系全方位オタク。ドラマは見ない。両生類で、普段の声が男寄り。意識すればエロボ出る。オツムの出来はあまり良いとは言えないし悪いとも言えないとても平均的な人間。バイク通学。とある仕事で学校を休みすぎて二年からZ組に落とされた(実は学校側の配慮だったりする)。セーラーの上から赤と黒のナイキジャージ(上着)を着用。前のチャックは閉めない。顔も普通。ゲームと漫画の読みすぎで視力低下した眼鏡女子(生まれつき目が弱かったので進行が早い)。関西弁。あんま自分から話し掛けないし喋らない。多分ツッコミ要員になると思われる。桂や高杉とか女子に絡まれているのをクラスメイトはよく見かける、本人は受け答え。癒しは神楽と妙。一人称こっち。少しだけ太め、あんま誰も気付かない程度に太め。

**

 一年の時は、まぁ仕事が忙しくてあんまり学校来れなくて、それでも理事長の配慮で進級出来た。……けどなぁ。



「その代わり、Z組だよ」
『……マジすか』



 Z組とかホンマ無いわ。
 この春休みを終えればこっちは2-Z組になる。噂ではZ組はとんでもない問題児どもの集まりやとか。不良とか不良とか不良とか。もうこっちなんか取って食われるてまうわボケェ。クラス替えもこの銀魂高校は無いし、最近運動してへんし、護身術になりそうなのは3歳から中学に入るまでやってた少林寺拳法ぐらい。それでもやめてしまってブランクは4年程、出た大会でぽんぽん優勝取れたあの黄金期にはもう戻れない。初段取ってもやめんかったらよかったんやろか……。
 死んだ魚のような気力の無い目でボヤッと遠くを見る。ああ、学校行きたくない。成績も下がったから仕事一旦やめさせられたし、散々や……中学からやっとったもんやのに。エエもん、別のとこで同じ仕事するもん、こっちを手放したこと後悔しろ。
 そんなイライラをぶちまけるようにバイオハザードシリーズを一気見。いやあ、もうほんとなんてスプラッター。爽快感がパないわ。とガラスのコップに注いでいたコーラを飲み干す。



『……あー、めんどくさっ』



 さて、今日は浦島坂田船のCDの発売日やから、バイク飛ばすか。



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206:ぜんざい◆A.:2017/02/28(火) 00:25 ID:gAY

歌い手さんの名前が出てきます。関係者様だったり嫌や! 言う人はNGです!


 昼間、バイクを飛ばしてCD買って、そのままマックででも腹を満たそうかと言うとき、ビルにある大きな液晶から「今や国民的有名漫画、週刊少年マガ○ンで連載していた『セイクリッド・ソードワールド』が突然の打ちきり! 終了を祝うかのようにアニメ映画化が決定しました! 打ちきりと引き換えのファン待望の映画化! 才能に満ち溢れた高校生作家「三日月 恭夜」のアニメ映画! アニメは視聴率が朝ドラ並みと言う異例の快挙だったソレが、映画化です! あっ、二回も言っちゃった」と大きく宣伝されていた。へえ、あれアニメ映画化するんや。DVD出たら見よかなぁ。
 それぐらいの気持ちで手から下がる袋を握り直してマックへと入店した。
 このあとアニメイトでも行くか。そう、とうらぶ! 待っとってや、みっちゃあああん! 伊達組ばんざあああああい!



**



 そして始業式。出るのかめんどいとか思っていれば理事長に「アンタはこっちね」と引きずられ、始業式ほったらかしでZ組の教室前まで連れてこられた。「そこで待ってりゃ呼ばれるから」とだけ理事長は告げて行ってしまった。……Z組始業式出んでエエとかなにこれ夢のようやねんけどすっげー。

 そしてしばらく。いつまでたっても名前が呼ばれない。中からは何かを殴る音とオマケのようについてくる野太い悲鳴、そして笑い声と怒鳴り声。なんやこれカオス。このまま帰ってエエかなエエやんな。なんて考えながら暇だったので先程からイヤホンで先日買った浦島坂田船聞いてます。埋ーまってーいくー、泣きーむーしーなノォートがー! 流石志麻さん、そのエロボに一生着いていきますまーしぃかっこエエよまーしぃ。いや、他のメンバーも好きやで? でも志麻さんが一番好き。声がダイレクトアタックしてくれました。
 するといつの間にやら静かになっていて少し首をかしげると勢いよく目の前の引き戸が開いた。鬼の形相の銀髪の先生が居たので教室やっぱ間違えたかな、と無言で引き戸を閉める。だが直ぐ様再び戸が開けられイヤホン剥ぎとられた。あれ、若干涙目やんこの先生……あれ、よぉ見たら銀八先生やったわ。すんません。



「あのねぇ、さっきから数十回呼んでんの、反応してよ! 入ってこいよ!」
『……聞こえませんでしたわ』
「そりゃイヤホンつけてりゃね!? おとなしく待ってろよ!」
『……かれこれ30分待ってから着けたんやけどな……』
「すいませんでしたあああああ!」



 困ったようにそう言えばスライディング土下座して来たのでそれを少しだけ鼻で笑ってからふと気付き『スカートの中覗いても短パンやで』と告げれば「ごめんなさい」と立ち上がって90度に腰を折られた。覗く気やったんやな。
 ようやく教室に案内されて教卓の隣に立つ。このクラスの方々から様々な視線が突き刺さって痛いです。誰だ今こっちの顔見て鼻で笑ったやつ。あそこのアイマスク君ですね分かります。誰だこっちの胸に視線を寄越してる変態は隣の銀八先生ですね分かります。ふっつーの大きさの胸見てもおもんないやろ。
 あっ、あそこの泣きボクロの眼鏡の紫髪の女の子めっちゃ美人。髪の毛可愛くポニテにしたあの子も綺麗や、前列の渦巻き眼鏡掛けたチャイナ娘も眼鏡を外せばきっと可愛い。何ここ宝庫?



.

207:ぜんざい◆A.:2017/02/28(火) 00:40 ID:gAY


「ほら、自己紹介しろ」
『小原いおりです、よろしく』
「もうちょっとなんかないの!? 好きなことは何々ですだとかなんでこのクラスに移籍してきたのかとか」
『……このセンセめっちゃめんどい、鬱陶(うっと)い』
「お前さっきから酷くね!?」



 あーうんはいはい的な感じて『じゃあ質問ある人手ぇあげて聞いてくださいー』とか適当に言ったらいっせいに手が上がった。ノリエエな。なんやこのクラス。



「小原さんは彼氏いますか!?」
『二次元嫁なら居ります、彼氏は居ません』
「あら、小原さん、あなた好きな食べ物は?」
『甘いものとインスタント』
「得意教科はなんなの?」
『国語と美術』
「なんでこのクラスに来たんだ? 問題でも起こしたのか?」
『出席日数足りんかった』
「小原さんゴリラはケツ毛ごと愛せますか!?」
『すまんなに言うとるか分からへん。あえて言うなら絶対無理』
「おい小原ァ、SMプレイか放置プレイどっちが好きでさぁ」
『やる方なら何でもエエ……ってなに言わすねんドアホ』
「マヨネーズは好きか」
『何でそのチョイスやねん、普通やわ』
「喧嘩は好きか?」
『好きか嫌いか以前にそもそもせぇへんわ喧嘩』
「第二の眼鏡アルか?」
『強いて言うなら紳士やな、チャイナの可愛子ちゃん。っていうか第二の眼鏡てなんやねん』
「小原お前スリーサイズいくつ?」
『なんでそれやねん!』



 銀八先生の頭を肩に掛けていたスクバでぶん殴り『とりあえずよろしく』と死んだ目で手を振れば「ひゃふー!」「祝えー!」「ケーキアルか!」とか騒ぎ出す始末。何やこのクラス。



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208:ぜんざい◆A.:2017/02/28(火) 22:08 ID:gAY

※小説沿いじゃないです。……小説沿いではありませんよ!


 席に着けばHRほったらかしで集まってくる2-Zに困惑する。お前ら流石に先生可哀想やで。とか思ってたら先生普通にジャンプ読んどるし。



「私神楽アル、よろしくネいおり」
『よろしく神楽』
「私志村 妙、よろしくお願いねいおりちゃん」
『よろしく妙』
「ぼ、僕は柳生九兵衛、よろしく……」
『よろしく九ちゃん、いおりでエエよ』



 可愛らしい(一人美少年みたいな)子たちと早速名前呼びをして仲良くなった。ここのクラスエエ人ばっかや。

 それから数日。

 授業中、隣の席の沖田に「あそこのV字前髪は土方さんでぃ。カッコつけたがりだから気ぃつけな」とかいろいろ土方に仕掛ける悪戯を二人で考案したりとなかなかに楽しい。案の定沖田と一緒に土方に怒鳴られた。こっち悪ないやん、こっち悪ないやん!

 昼休み、神楽と飯を食べていて神楽の飯の量の多さに驚きながら『よぉ食うんやな』と心の中で感心する。このほっそい体になんでそんな入るんや。

 休み時間騒がしい周りをスルーしてなかなかにインパクトのあるエリザベスにイラストデッサンしてもエエか頼めば[可愛く描けよ]とプラカードで返事が返ってきた。エエな、そういうキャラ。乱入してきた桂もエリザベスの隣に書いてやったわ、はーっはっはっは!

 帰りのSTにて、銀八先生からあーだこーだとまったく自分のためにならない話を手短に話され、解散。



「あ、いおりちゃん、今日一緒に帰らないかしら?」
「駅前のサーティツーに寄り道するアルよ! 冷たくて甘いアイス食うネ!」
『……ん、行く』



 バイクやしどないするかと悩んだものの楽しげだから誘いに乗っておこう。バイクは手で押しながらいけばいい。見ればうしろで近藤が「お妙さんが行くなら俺も!」とか挙手しているがお前付いてきたら轢くぞ、いおりさん本気だぞ。このあと風紀委員の土方と沖田が近藤と共にサーティツーにやって来ました。近藤めェ。そしてなぜか土方と沖田に奢らされました。なんでやねん。

**

 翌日、あまり寝れなかったが、ようやく仕事を無事終えて登校するぞ! ってところで外を見れば夜に雨でも降ったのか所々大きな水溜まりが伺える。

 そんなの気にせずブォンブォンとバイクにエンジンを掛けて住宅街を走る。こっちは風になった! うぇーい。なんて若干テンションハイになりながら住宅街を走る。
 そして、事件は怒ったのである。



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209:ぜんざい◆A.:2017/02/28(火) 22:38 ID:gAY

高杉くん性格が少し丸くなってます。


 ばしゃりと嫌な音が聞こえた。続いて「うおっ」何て言う男たちの声も。



『え……』



 急ブレーキを掛けて振り返れば学ランでたむろしていた不良たちがこちらを見て「学ランがぁぁあ!」「ズボンのケツが!」と怒鳴りこちらへやって来て叫ぶ。



「どーしてくれんだ! 一張羅がずちゃ濡れじゃねーか!」
『……すんませんした』
「すんませんで済むわけねーだろーが!」
「クリーニング代寄越せ!」
『ホンマすんませんした』
「こっち見て言えコルァ!」
「慰謝料払えよ!」
「それが無理なら体で払え!」
『さーせんっしたー』
「雑!」
「目がつめてぇ!」
『黙っとれや』
「んだとコルァ!」
『二回目やん』
「うるせーよ!?」
「女だろーと関係ねぇ! やっちまえ!」



 やっべ、とアクセルを握って走り出す。相手さんもバイクだったのか後ろでブオンブオンと激しいエンジン音が響く。夜よく走っとるやつやんうるさっ。とりあえず曲がり角を存分に使ってドリフト決めて華麗に撒いた。スマホの時計を見る。今何時や九時や遅刻や。ここまで来たらどーでもエエわとゆっくりとバイクを走らせていると。



「高杉ィ! 今日こそテメェをブッ倒してやるぜ!」
「……ハッ、クズが。そこら辺でくたばってろよ」
「鼻で笑ってんじゃねえ!」
「この人数じゃ流石のテメェも負けるだろーよ!」



 塀の上で三十人位に囲まれてジリジリと後退している同じクラスの高杉を発見した。そこ空き地やってんな。
 アイツも遅刻か、いや絡まれて学校行けなかったパターンの奴かこっちと一緒やな。可哀想に。
 どうやら高杉は武器も何も持っておらず、所持しているのは通学鞄のみのようだ。いつも登下校は河上と後輩のパツキン美人ちゃんとしとった気ィするけど……。
 あっ、高杉がとうとう塀ギリギリまでやって来てしまった。しゃーないな、助けてやろう。



『高杉』
「! 小原……!? なんでお前こんな時間に」
『言うとる場合か。こっち来い。飛び降りろ』



 そう告げれば高杉は少し顔をしかめて躊躇ったあと、目の前の三十人を越える大勢を見てから舌打ちしてバッと塀を飛び降りてこっちのそばに来た。ここまで言えばさすがに分かっているようでバイクの後ろに跨がる。



「飛ばせ小原!」
『ん、掴まっときや』



 言われなくても、とアクセルを握りびゅん、と飛ばす。咄嗟に高杉は片腕でこっちの腹を抱える様に抱き、速度に耐えた。後ろでも見てるんちゃう? そして現在時速100km越えたところ。あの不良連中の姿はみるみるうちに遠ざかる。やったね、もう大丈夫。ってところで減速してそのまま進む。このまま学校行こう。
 ふうと溜め息を吐いた高杉に『お前あんなに囲まれて、前に何したんや……』と小さく呟けば「うるせェ」と返ってきた。なんや、聞こえてたんか。



「わりぃ、助かった」
『大丈夫や、こっちも逃げとったところやから』
「……は?」
『ちょうどあそこの集団みたいな不良どもに……ってあれやん。いおりさん追われてたんあの集団やん』
「馬鹿野郎なに呑気に減速してんだ飛ばせ!」
『すまん飛ばす』



 そうして再びアクセルを握って、なんとか撒いて二人してぐったりしながら教室へ入ればちょうど国語だったらしく銀八先生に「お前ら二人大遅刻なってなんでそんなに疲れきってんの」とタルそうな目で告げられた。



「なになに二人で仲良くしっぽりでもしてたの」
『そんなわけ有るかボケェ!』
「黙ってろ銀八テメェ!」



 二人でドカバキと銀八を蹴り踏み抜いた。ちょっとすっきり。あれから高杉とは気が合うようで今や一緒にいる時間はクラスメイトの中では一番多くなった。恐らく銀八への怒りで波長が合わさった。



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210:ぜんざい◆A.:2017/03/01(水) 23:40 ID:/VU



 それは昼休み、課題を提出し終えた職員室の帰りだった。とりあえずついでに被写体探しでもするかとノートを小脇に抱えている。
 するとそれはまぁベタなことに、曲がり角でドォンと女子生徒とぶつかった。なんちゅうベタ、漫画で黒く塗り潰すのもベタ、関係無かった。



『っ、う』
「あいたっ!」



 どさりと尻餅をつく彼女にやらかしてもためっちゃテンプレやんとか考えながら『すまん』手をさしのべる。そうすると彼女は「ありがとうっす」と可愛らしい声でその可愛らしいお顔を見せてくれた。あれ、この子あれちゃう? 高杉とよくつるんどる後輩の子。



「ぶつかって申し訳ないっす! あ、あたし来島また子って言います! 一年っすよ!」
『あ……二年の小原や。ぶつかってすまん』



 ずいぶんと無愛想な返しをしてしまった。が、彼女は「小原先輩ッスね……小原ァ!?」とそのつり目かつ大きな目をひんむいてこちらを凝視した。美人に見つめられると照れる。とりあえずわなわなと震える来島に小さく『……どした』と聞けばビクッと肩が震えた。……え、こっちなんかしたっけな……。
 そして彼女はいきなり顔をあげてこちらに詰め寄る。



「最近晋助先輩と仲が良い女子生徒っすよね!? 一番気が合うとかで!」
『すまん知らんアイツがそれ言うたん? なぁ言うたん?』
「不良に囲まれてたところを颯爽とバイクに乗せて助けたとか!」
『いやそれ偶然居合わせただけやねんけど』
「恋人って噂もあr『すまん高杉とか正直考えられへん』即答っすか!? ぱねえっす!」
『何がぱないねんこっち高杉にかなり失礼なこと言うたぞ。確かに高杉見てくれはエエけどいおりさんはそこまでやな』



 お前はどこぞのベルバブ漫画のパー子かよとか思いながら手元のノートがないことに気づく。あのノートは中学から使っているものだ、中身が知れたら……うぉう黒歴史確定なり。いやなり。ってなんやねんバカヤロー!
 するとふと来島が「あ、ノート落ちてるっすよ」とサッと拾ってくれた。『お。ありが』とまで言えたが、とう、まで続かなかった。彼女が「勉強熱心っすねー」とぱらぱらとページをめくりだしたのだ。いやいやなにしてんのぉぉお!?
 そして不意にピタリと停止する彼女にあちゃーと頭を抱え込む。そして彼女はこっちを見、ノートを見、そしてまたこっちを見、再びノートに目を落として「はあああああ!!?」と絶叫した。ちょ、しーっ! しーっ!



「えっ、こっ、これっ、嘘っ、えぇええぇ!? まさか御本人っすかああああ!!!??」
『ちょ、しっ、しっ。声でかいっ、御本人やからっ。静かにっ。バレるっ』
「す、すいませんっす!」



 彼女は声を小さくしたが興奮は収まらないようで悶絶したように震えている。心なしかこちらを見る目がキラキラしているようにも見えた。



「すごいっす! 素直に尊敬っす!」
『……あー、おん』



 予想できたであろう展開。知られればそういう目的で近付いてくるのは当然の事だった。……もうしまいや、いおりさんは死んでくる。
 そして来島の発言は、きれいにこちらの予想を裏切ってくれた。



「あっ、でも色眼鏡で先輩を見るつもりはないっすから、安心してください! 仲良しな先輩後輩の仲になりたいっす」
『君は天使か』



 心優しい後輩兼親友が出来ました。ちなみに内容は他言無用、今は二人だけの秘密だ。



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211:ぜんざい◆A.:2017/03/03(金) 00:25 ID:/VU



 それから。また子とはよく遊ぶ仲になった。クラスの愚痴を聞いてもらったり聞いてあげたりいかに高杉がイケメンか聞かされたり。いおりさん男の子興味ない。

 そして気がつけばやって来ていた体育祭。体操服ブルマとかマジ有り得んってことでこっちは普通にスポーツショップのア○ペンでジャージのハーパンを履いている。

 基本的にいおりさんは体育祭、屋上でサボりである。だってなんだかー、だってだって何だもーん。あかん意味不明や。フェンスにもたれかかりすっかりその中毒性にやられたフリィダムロリィタを口ずさむ。フリィダームロリィーターマセた町でー。
 すると屋上の扉がバァンと豪快に開けられびくりと肩を震わせる。そちらへ視線を向ければ銀八センセがくわえ煙草でこちらを見ていた。



「歌ってたとこわりーなぁ、お前今から100m走だぞ出ろよ」
『高杉か土方か桂か山崎辺りにやらしたらええやんアホやなーこっちが出るわけないやろ。あ、さっちゃんでもエエで。あの子あんたの言うこと聞くやん』
「ひでぇなお前は」
『うっせぇよ黙れよ』
「無駄にイケボで言わないでくんない?」



 そういった銀八の横を通り抜けて『しゃーないな』と階段を降りる。もちろん向かう先は応接室だ。誰が体育祭なんか出るか。
 ざまあ銀八。ざまあ先程名前を挙げた男子生徒。



.

212:ぜんざい◆A.:2017/03/09(木) 23:53 ID:m9E

トリップもの。浦島坂田船→銀魂

 歌い手様なのでご本人様や関係者様はスルーしてください。こう言うのが嫌な方もスルーおねしゃす。批判等は受け付けません。だってこれはぜんざいの自己満足だもの。


**
うらたぬきside

 気が付けばそこにいた。隣には坂田が居て、周囲を見渡し呆然。
 見慣れぬ古風な大通り、着物や袴姿の人々、空に浮く宇宙船、そして化け物のような恐らく天人と呼ばれる生き物。
 明らかにここは銀魂の世界だった。



「えもがっ!?」
「しっ!」



 大通りのど真ん中で叫べば目立つだろうが。と声にはせず坂田の口を片手で塞いでずるずると端へ寄せる。
 ぷはっと息を吐いた坂田は小声で「ここどこ!? やっぱ銀魂か!?」とおろおろと慌てる。お前が慌てるせいで俺慌てらんねぇだろ落ち着け餅つけ。



「さかたんの言う通りここは銀魂だろーな」
「銀さん居るかな」
「ちっげーだろ! ……俺らはここに来る前何してた? 誰といた?」
「え、浦島坂田船の四人でレコーディング……ああっ!」
「そーだよきっと志麻さんとセンラさんも居るんだよここに!」



 他の二人も居ることを願ってから自分達の身なりを見れば、あれだ、千本桜の時にフユカさんにイラストで書いてもらった時の服装だ。確かにぴったりだもんなぁ。と言うか。



「顔もイラストのままじゃん!」
「やっべーすっげー!」
「財布も有るし……あ、通帳もあるから多分金もこっちに来てるな」
「便利だな」



 やまだぬき、スマホ、財布。俺の所持品はこの三つだ。やまだぬきは肩に居た。かんわいいなおい! 俺は人間とたぬきのハーフだー! ふははははー!
 そうなると、残りの二人がどこにいるのか謎だ。二人で顔を見合わせれば坂田がハッとしてから「俺ら今金あるじゃん」とポツリと呟く。おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいまさかまさかまさかええーマジかええーっ。



「まさか、坂田っ、お前……!!」
「ふっ、そう、そのまさかだ!!!!」
「そうか、なるほど分かったぞ! それなら!! レッツゴー」
「万事屋!」



 二人で厨二なノリで茶番を起こしてから、バタバタと動きにくい着物で俺たちは勘を頼りに万事屋へと向かった。



.

213:ぜんざい◆A.:2017/03/10(金) 00:21 ID:m9E

『wwww』表現あり。

 俺達が万事屋に着いたのは出発してから三時間後だった。動き始めたのは良いものの、あれだ、やっぱり勘を頼りにしてはいけなかったらしい。結論から言おうめっちゃ迷った。それもこれも……全部さかたんのせいだ!!!
 美味しいものや珍しいものを見つけてはあっちへふらふらそっちへふらふら。どこいくんだよお前!!! 万事屋行くんじゃねーのかよ!!! とかそういうやり取りをしてようやくたどり着きました『万事屋銀ちゃん』。
 俺たちは今玄関の前で立ち止まってます。なぜかと言うと。



「すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー、すー、はー」
「おいっ! いつまで深呼吸してんだようらさん!」
「いやだって緊張するじゃん!! しちゃうじゃん!!! さかたんしないの!?」
「めっwちゃwwしwてるwwww」
「ほらぁー!! ほらほらー!!」



 めっちゃ緊張するじゃん。なにこれすげー緊張するじゃんしちゃうじゃん。そんなこんなで五分経過。



「いやーやっぱり? 最初の印象で全部決まるじゃん? 何かする?」
「チャイム押したら歌うww?」
「えっwwいwいwwwけど」
「なにする?」
「……バレリーコ?」
「でぃんでぃんだーんさーあおーどりまっしょー! っておいおい駄目じゃんこれは流石に駄目じゃんおいおい真面目に考えろよさかたー」
「んー、虎視眈々?」
「絶対却下って言われるって分かれw魅惑ワンツースリーとか行きなり言い出したら驚くだろ引くだろwwwww」
「歌ってる時点で心配要らなくね?ww……あー、聖槍爆裂ボーイとか?」
「いーねそれでいこう!」
「あっ、虎視眈々駄目なのにそれ行けちゃうんだ!? なんで!? むしろそっちのがダメでしょうらさん!」
「そういう曲ばっか振ってくるお前もお前だろーがww」
「それもそうか」



 意を決してピンポーンとチャイムを押して、さあ扉を蹴破って__



「たのもぉぉぉぉおうぉぉぉぉぉおらぁあぁあ!」
「うらさんうるっさいな!? てか歌は!? てかうらさんどうしたのうるぁぁあ! って! 気でも触れたの!?」
「うるぁぁあ! とは言ってねーよ気が触れたとかそんな扱いすんなよ見ろやまだがこんなにしょぼーんって」
「なってねーじゃん! やまだぬきちゃん無言で大丈夫かって顔でうらたさん見てんじゃん!」
「…なん、だと……?」
「なん、だと……? じゃねーよ!!!」
「たのもおおおおおおおおお! 依頼だあああああ!」
「だからうらたさんうるさい! 勝手に扉開けちゃダメでしょ! って蹴破ってるけどね!」



 そう言いつつも坂田よ、ずけずけと入ってってるぞ、律儀に靴を脱いでいってるぞ偉いぞ坂田。
 そんなこんなで奥に視線をやれば迷惑そうな顔した銀髪天パとチャイナ少女。あっ、すいません。



「……ちょっとそこの二人、やかましいんですけど。扉壊れてんですけど」
「弁償ネ」
「「ごめんなさい」」



.

214:ぜんざい◆A.:2017/03/10(金) 10:37 ID:m9E


 なんやかんやで客間に通してもらい、依頼の内容を説明した。おっと、その前に自己紹介か。



「えーっと、うらたぬきです、はじめまして」
「俺はアホの坂田です、よろしく」
「君たち良いのそんな名前で」



 自己紹介をすれば速攻で返答が返ってきた。良いのって……なぁ。と坂田と顔を見合わせて「動画配信してるので……名前をバラすととんでもないことに」と坂田が話す。そこでまた止まってくれないのが銀さんたちだ。



「おいおい君たちぃ、夢見るのは良いんだけどね? 他人を巻き込むのはどうかと思うよ? たとえイケメンだとしても」
「はっきりと、はい嘘です言うアルヨロシ?」
「いやいやいやいや、嘘じゃないですって」
「よしリーダー、証拠動画をつきつけろ!」
「今すぐやってやんよ!」
「うらたさん流石!」



 隣に座る坂田がきゃんきゃん喚くが俺はスマホを取り出してとりあえず千本桜をかけてみた。恋色花火とかそこら辺でもよかったかも。
 ニコニコにて再生画面にしたそれをやまだぬきへと渡せばとてとてとそれを抱えて銀さんの方へと歩き、画面をそちらに向けて再生した。



「こんなもん見せられても……ん?」
「歌アルか?」



 流れ出す曲と同時に静かになる二人。浦! 島! 坂田! 船! のとこ好きだわやっぱ。

215:ぜんざい◆A.:2017/04/05(水) 00:14 ID:JO2

名前変えました。

唐突に書きたくなったシリーズの奴(の設定)。ポケモン。あれです、学パロです。にょた化注意、嫌な方はおすすめできません。ハーレム? かな? そうなのかな。男主。出てくるのはマメツキの知識にある子達だけ。ポケスペ要素はない、筈。多分。

晋夜(しんや)
黒髪黒眼鏡の隠れオタクな高校三年。身長はだいたい180前半ぐらい。デンジとマツバ、ゲンで行動することが多いが基本女の子に絡まれてる。天然タラシ。行動はわりと男前。鉄の理性を持つ(時々揺らぎそうになる)。幼馴染みが二人。二人とも女子。知能は中の上寄りの中。言わば平均。そう平均。アウトドアに見えてインドア寄り。目はかなり悪い。近視とちょっとだけ乱視。女子から人気があって男子とも仲良しな世にも珍しい隠れオタク。
レッド
幼馴染み1。ピクレに近いかも。黒髪のセミロング。さらっさらでくくったりはあまりしない。赤い瞳。身体能力が規格外。鋭いつり目の無愛想で無口な方なので冷たい印象を持たれがちと言うか現在進行形で持たれてたり。でも寡黙系美少女。晋夜好き。グリーンも好き。でも二人に対する好きがちょっと違う。後輩も好き。でも負けない。貧乳。無いわけではない。基本晋夜にくっついてる。黒タイツ。グリーンよりちょっと小さい高校三年生。意外と大胆。晋夜が初恋。そりゃそうなるか。
グリーン
幼馴染み2。一軍系な女子だが、ただ元気なだけ。ちょっと高飛車。でもそれに似合う頼れる系美少女。茶髪ショート。前髪にアメリカンピンを五つ付けてる。緑の瞳。運動神経が良いのでよく部活の助っ人へ推参する。ミニスカなのによく動き回るので晋夜とレッドをいつもハラハラさせている。晋夜も好きだしレッドも好き。でも二人に対する好きは違うベクトル。晋夜は好き、レッドは大切、的な。後輩可愛いよね。でも負けない、後輩には負けない。ガンガン攻めよう! 気づくまで! 昔から抱き付いていたのが仇になるとは……。な残念子。なんでもやれば出来ちゃう爆豪くん型コミュ力爆発女子。ハイソックス。普乳を気にする恋する乙女。レッドよりマシかと思う辺りちょっとひどい。身長は女子にしては低くレッドよりちょっと高い。意外にもウブ。晋夜が初恋。レッドがそうならそりゃこうなる。
ゴールド
晋夜達の後輩1。高校二年生。無邪気な元気爆発娘。黒髪で前髪爆発。後ろ髪は引っ張って高いところで括ってる。下ろしたら肩ちょっと下。元気系美少女。動くことが大好きで時々体育の時に男子に混ざったりしてシルバーに連行される。シルバーは頼れる大好きな親友ポジ。スカートはミニスカだがその下に黒のスパッツ。晋夜が関わると無邪気に見えて計算してたり。身長はグリーンより数センチ大きい。巨乳。自分の武器を理解している新星バカの子。勉強より運動したい。と言うか勉強なんかくそくらえ。晋夜もシルバーも好き。でもシルバーにも負けたくない。レッドやグリーンも好きだがやっぱり負けたくない。でもシルバーと一緒に晋夜と居たい。意識してもらえるまで抱きついてやる。レッド先輩が可愛いのでまもってあげたいと思ってる。元気っ子。シルバー離れが出来ない。グリーン先輩なんか経験多そう(そんなことはない)
シルバー
晋夜達の後輩2。高校二年生。頼れるお姉さん的ポジのツンデレ俺っ娘。デレの度合いが半端なく低く、もはやただのツンと化している。但し晋夜は除く。鈍い。ので晋夜が好きかも気付いてるか怪しい。実は初恋だったり。お金持ち。クール系美少女。ゴールドがお転婆なので中学の最初からずっと面倒を見ていたからかゴールドが離れてくれない。ちゃんとゴールドも好きだが恥ずかしくて口にはしない。ミニスカにニーソの絶対領域要員。身長はゴールドよりちょっと高い。頼るより頼られていたので甘やかしてくれる晋夜にたじたじで真っ赤になる。髪は原作よりちょっと長い。晋夜と話したいときはゴールドが頼り。持ちつ持たれつ的な。美脚。イエロー並みに極貧だが成長途中らしい。ほんとか。一般常識がぶっ飛んでる節がある。金銭感覚とか。

216:マメツキ:2017/04/05(水) 14:33 ID:JO2

晋夜くんです
http://ha10.net/up/data/img/18934.jpg

217:マメツキ◆A.:2017/04/05(水) 15:08 ID:JO2



 早朝、俺の朝は起こされるところから始まる。母さんが「晋夜ー、起きなさいよー」と言うところから始まり、幼馴染みの腹への直接攻撃で終わる。
 ぐへっ、なんてつぶれた悲鳴をあげながら、布団から身を起こせば俺の上に跨がってにやにやしているグリーン。お前スカートなんだから位置的に考えろよ太股柔らかそうですねハイ。



『……お前なんで居んの、ねえなんで居んの』
「おばさんが入れてくれたの! ほら起きてよ!」
『退け馬鹿野郎! 起きれねーし見えるぞ!』
「短パン履いてるもん」
『モラルを考えろ! 女だろ!』



 まったく、と呆れたように呟きながらバッと掛け布団をはげば、ころりと転がり落ちて「んきゃ!」と声をあげるグリーン。それを横目にボゥとする頭を左右に振って無理矢理覚醒させる。いかんいかん、二度寝しそう。



「こんな美少女に起こしてもらって無反応とか……」
『倫理的に考えなさい、倫理的に』
「アンタは私のお母さんか!」
『誰がお母さん!? お前の母さんは隣の家にいんだろーが!』



 ぎゃんぎゃんと床に座り込んで喚くグリーンを見て今のうちにとさっさと着替えを済ませてから『降りるぞー』とか声を掛けて扉を開けると、どんっと誰かにタックルをかまされた。グラッとよろめくも扉の縁をガッと掴んでバランスを取って確認すれば俺に寄りかかっているレッド。ちっさい。



『なにレッドお前ずっと扉の外にいたの』
「……居た」
『タックルかまされたように思うんだけど』
「……気のせい」



 気のせいなわけあるか、とか思いつつレッドを腰にくっ付けたまま引き摺って階段を降りる。危ない。レッドが落ちないように慎重に階段を降りれば途中でグリーンが背中に飛び付いてきたからもう踏んだり蹴ったりだ。お前ら美少女なんだからもうちょっとおしとやかにしなさい。俺に対する嫌がらせか。



『おはよ、う!?』
「ふふふ」



 二人を引っ付けたままリビングに入れば母さんが気持ちの悪い笑みを浮かべていた。正直鳥肌立った。すまん。

218:マメツキ◆A.:2017/04/05(水) 16:47 ID:JO2



 とある日の昼休み、俺はほとんどグループ化しているデンジ、マツバ、ゲンと教室の一角で昼食を取っていた。



『デンジ今日も菓子パンかよ』
「悪いか」
『悪いに決まってんだろ馬鹿野郎! もー、まったくこの子はー、もー』
「うるせぇオカン」
『馬鹿野郎、誰がオカンだ馬鹿野郎』
「うるせーよ馬鹿野郎馬鹿野郎って」



 どうしようデンジが反抗期なんだが、とかゲンに言えば「構ってくれて嬉しいんだろう」と笑ってた。おいおい笑い事じゃないんだぞ。あ、デンジがゲンの座ってる椅子蹴った。マツバは苦笑いしながら一人で重箱(二段)をもくもくと食しているし何ここカオス? カオスなの?



「ところで」
『ん?』



 ごちそうさま、と柏手を合わせていたマツバが思い付いたように俺を見た。俺はと言うとデンジの菓子パンを奪い取り、俺の弁当のおかずを詰め込むのが終わったところだ。ただいまデンジはエビフライをくわえて俺を睨んでいる何これ怖い。デンジ目が鋭いから怖いんだよなー、とか言いながらコーラを飲めば「晋夜って最近女の子とどうなの?」とマツバの好奇心にブッとコーラを吹いた。げほげほと蒸せて背中を撫でてくれるのはゲンしかいない。



『いきなり何!? なんなの!?』
「いや、最近どうなのかなって」
『どうなのとか言われてもな!? 俺彼女いない歴=年齢だからな!? 公言したくなかったわ馬鹿野郎!』
「「「えっ」」」
『えってなに!? みんなしてなんなの!?』



 みんなぶつぶつと「四股ぐらいかけてると思ってた」とか好き勝手言いやがって。誰だ今シたい放題とか言ったのデンジか! デンジだな! 俺まだ童てげふんげふんチェリーボーイだぞ! 偏見! 失礼!



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219:マメツキ◆A.:2017/04/21(金) 23:08 ID:iBo


上記の連載の主人公の設定をそのままにヒロアカの連載。レッドとグリーンはそのままですが、ゴールド、シルバー、新たにブルー、クリスタル、ルビー、サファイアが登場し、この六人はポケスペ設定になります。シルバーはあまり変わらない。にょた注意。

予告でした。多分すぐ書く。

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220:マメツキ◆A.:2017/04/22(土) 19:32 ID:iBo

やっぱりネギまの男主夢です。上記のものはいずれ。
 実は前々から考えていた連載ネタ。やりたかったけど原作コミックがマメツキの本棚の中に埋もれて見つからなかったのです。やっと発掘できた……なくしたかと思った(冷汗)。では、いってまいります(笑)(`∀´ゞ。

男主。
緋影 伊織(あかかげ いおり)

イメージ画
http://ha10,net/up/data/img/19184,jpg

 赤い瞳のつり目が特徴的な寡黙かつクールな少年。一応魔法使いだが、魔法剣士の部類に入る。魔法拳士でもある。「アホか」が口癖。得意な魔法の属性は炎。実力もちゃんとある。
 そのせいというかなんというか学園長に「男子校満員になっちゃったから女子中等部通ってね」とわざとらしくただ一人女子の中に放り込まれた苦労人。鋼の理性を持ち合わせており、学園では硬派なのも相まってかなり有名。イケメンである。空手四段。ネギに同情の念を抱いており、何かと世話を焼く。何が起こっても動じない。
 長瀬より少し高いぐらいの身長。声低い。クラスのネギ至上主義に呆れているのだが、同時に自分にもそれが向いているとは思っていない。ネギのようにおおっぴろなアピールはないが、同級生な為みんな恥ずかしがってアピールは控えめ。
 イメージ画の刀は相棒の『アヴァタール』。熱くなれと意思を込めれば刃がめっちゃ高温になって高層ビルぐらいなら溶けてすぱーん。普通の状態でも切れ味は抜群。
 明日菜のように固有能力を持って生まれているただの人間。向こうの世界出身ではない。能力は『身体炎化』、攻撃には使えないものの、移動速度は瞬間移動に近く、相手の攻撃はすり抜ける。ネギの雷化の劣化ver。人間に危害は加えない比較的優しい能力。
 のどかが気になっているものの行動に移す気は無い紳士。但し無表情。温厚派。両親は既に他界。



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221:マメツキ:2017/04/22(土) 19:37 ID:iBo

イラストが出なかったのでもう一回

http://ha10.net/up/data/img/19184.jpg

222:マメツキ◆A.:2017/04/22(土) 20:29 ID:iBo


 今日から三学期が始まる。寮を出て駅に着いて電車乗って降りて駅を出てそこから学校へ運んでくれる路面電車の後ろに着いている取っ手を握り、スケボーでそのまま進む。これは走って体力が減るとかがないのですごく楽だ。
 早いとこさっさと教室に行って教師を待とう。俺のクラス、先生が代わるみてェだから。高畑先生、結構好きな先生だったんだけどな……。巷じゃデス・メガネ高畑とか言われてるけど。
 ヘッドフォンの奥で響くボカロに合わせてふんふんと上機嫌に鼻唄を歌った。

**

 教室に着くと、人はまばらにしか居なかった。それぞれに「おはよう」と返しながら、ちらちらと受ける視線に気づかないふりをして自席に伏せる。いい加減慣れて欲しいものだ、男子が珍しいのは分かるけど、もう二年近く同じクラスなのだから。
 その視線の真意に気付くことなく流れる音楽を聞きながら俺は眠りにつくのだった。


**

ネギside

 魔法の修行として『日本の学校で先生をやること』と課せられた僕、ネギ・スプリングフィールドは学園長に言われてしずなさんと共に2-Aの教室の扉の前に立っていた。流石と言うように女子中学校だからかクラスは女の人ばかりで少し緊張するなぁ。
 そこでふと、一番後ろの席で伏せて寝ている男の人を見つけた。



「あれっ、なんで男の人……?」
「彼はね、男子校に空きがなかったからこちらに入ったの」



 大変だなぁ、と思いつつ先程渡されたクラス名簿を慌てて開けばタカミチ(高畑先生)の書き込みがたくさん。
 えぇっと……出席番号二番、緋影 伊織、空手部。わ、かっこいい人だなぁ。
 顔写真を見つつ、タカミチの書き込みは『頼りになるから安心しなさい』『空手四段』と書いてあった。タカミチが言うなら多分そうなのだろう。
 同性がいたことに安堵しつつ、僕は扉を開くのだった。



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223:マメツキ◆A.:2017/04/22(土) 22:32 ID:iBo



「キャアアア! か、かわいいー!!」



 何やら突然騒がしくなった教室の女子の騒ぎ声で目が覚めた。なんだなんだとむくりと体を起こせば教卓の方で子供がクラスメイトに囲まれていた。
 その様子を傍観していれば飛んでくる先生と言う声。どうやらあの男の子が俺たちの担任のようだ。すげーとか感心しながら眠たい頭を働かせていると「いい加減になさい!」といいんちょ__雪広あやかが机をバンと叩いて立ち上がった。



「皆さん席に戻って。先生がお困りになっているでしょう? アスナさんもその手を離したらどう? もっとも、あなたみたいな凶暴なおサルさんにはそのポーズがお似合いでしょうけど」



 雪広の言葉に感化され神楽坂を見てみれば確かに、神楽坂はネギ先生とやらの胸ぐらを掴みあげ、教卓の上へと座らせてメンチを切っていた。神楽坂ェ。



「なんですって?」
「ネギ先生、先生はオックスフォードをお出になった天才とお聞きしておりますわ。教えるのに年齢は関係ございません。どうぞHRをお続けになってください」
「は……どうも……」



 妙にキラキラした雰囲気の雪広にそういわれ、ネギ先生は唖然としたように返事を返した。返事したのは偉いぞ先生。俺が彼を眺めていればネギ先生がふと俺を見たので手をひらひらと振っておいたらずいぶんホッとしたように溜め息を吐いていた。同性が好意的で安心したのだろう、聞けばまだ10歳だと言う。それは仕方ない。
 雪広と神楽坂に視線を戻せば既に取っ組み合い手前、まあ、互いの胸ぐらを掴み合い怒鳴り散らし始めていてまたかと呆れた視線を飛ばして席を立った。



「言い掛かりはお止めなさい! あなたなんてオヤジ趣味のくせにぃぃ!」
「なっ!?」
「わたくし知ってるのよ、あなた高畑先生のこと……」
「うぎゃーーー! その先を言うんじゃねーこの女ー!」
『雪広、神楽坂、お前らそこまでにしとけ』



 ばっと殴りかかろうとしていた二人の間に腕を滑らせ引き剥がし、見下ろしながらたしなめる。二人はハッとしたようにそのままの形でかたまり、引き下がる。キッ、と睨み合いをしているからきっとまたやるだろう。



『見ろ、ネギ先生困ってんぞ。時間押してんだし、とっとと席戻れ。喧嘩すんのは悪いことじゃねェが、授業中じゃ迷惑が掛かること……分かってるよな?』
「……すみません」
「……ごめん緋影」
『分かれば良い。次からやめような』
「はいはいみんな、席に着いて〜ありがとねぇ緋影くん。ではネギ先生、お願いします」
「は、はい」



 その後、席について授業を開始したのは良いが、再び神楽坂と雪広が本格的な取っ組み合いの喧嘩をおっぱじめてしまい、英語の授業が消えたのはすぐの事だった。あの二人俺のいってたこと聞いてなかったのか。



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224:マメツキ◆A.:2017/04/23(日) 14:45 ID:iBo



  やっと一段落ついた頃、やかましい教室を出校舎を出、俺はてくてくと散歩をしていた。
 音楽をシャカシャカヘッドフォンの奥で聞きつつ鼻唄を歌っていれば、前方に本を大量に持つ本屋ちゃん__宮崎のどかを発見した。ぐらぐらとバランスが危うく、進む先には手すりなどもない階段、なんと言うか、足を捻って落ちそうで怖い。



『宮崎』



 後ろから声を掛ければ彼女は立ち止まり、振り向く。不思議そうに「緋影くんー……?」と呟く彼女に落ちそうで怖かった、と伝えて本を宮崎の腕から取り上げた。宮崎はいいのに、とは言っていたが心配だっただけだと告げれば大人しくなった。好意は素直に受けとるに限るぞ。

 そのまま二人で階段を降りていけば視界の端に俺たちをぽけっと見上げているネギ先生がうつりこんだ。別に意識することも無いだろうとそのまま進んでいけば、一冊の本が滑り落ち、そのまま階段を外れて落下していく。そのまま落ちたら一瞬でお陀仏だろう。なんせこの学園の本はやたら古いのが多いし、劣化も激しい。価値は希少なものも多い。やべ、と思ったときには本はもうすぐ地面のそこ。気付いたときにはネギ先生が杖をふりかざし、ふわりと本が浮いた。
 バカ、なに魔法使ってんだよ、と思う暇もなく少年はそこへ飛び込み本を抱えて転がる。とりあえず感謝の意は示しとくか。



「は、はいこれ……落としましたよ!」
『おー、ありがとうネギ先生……ってうわ、っ、!?』



 感謝を述べた瞬間ネギ先生は神楽坂にさらわれていた。俺の手元にはあのとき落とした本だけが残っていて目が点になりそうだ。どんなときでも動かない表情筋はなにかと役に立つ。……見てたな、神楽坂の奴。



『まあ、とりあえず。傷がつかなくて良かった』
「はいー……後でお礼をしないとー……」
『確かこのあとネギ先生の歓迎会やるんだったか。俺は行かねェけど、その時に図書券とか渡せばいい』
「緋影くん来ないの……?」
『俺、新学期でもう疲れててな、先生にもよろしく言っといてくれ』
「あ、うんー……」



**


 翌日、ネギ先生もとっととホームルームを終わらせて一時間目の英語の授業を開始した。すらすらと英文を読み始めた先生は笑顔で「今のところ、誰かに訳して貰おうかなぁ」と微笑む。
 それと同時にさっ、さっ、と目線を背ける。神楽坂が一番目をそらしていたにも関わらず当てられ、ぎゃんぎゃんとわめき出すが読んで、大失敗。仕舞いにネギ先生のくしゃみで服が飛んで下着になる神楽坂を見まいとサッと俺は教科書を立てて視界を遮ったのだった。

 放課後、とっとと返ってきた俺は女子寮の一番隅の部屋、他の部屋よりもずっと広い俺にあてがわれた部屋へと帰宅していた。だがしかし、帰ってきたのも束の間、シャンプー等は向こうにあるよな、と呟き桶とタオル、そして着替えを持って部屋を出た。
 前々から学園長に頼んでいたのだ。月イチで大浴場貸し切り。女子風呂なので気が引けるが、ずっとあの部屋についている風呂ではなんか俺が嫌だ。
 いそいそとやって来た大浴場の札を『緋影入浴中』のものに掛けすたこらと準備をして中へと入った。



『……何回見てもすげェよなァ…ここは』



 どこぞの温泉施設のようだ。俺は一番オーソドックスな湯へと浸かりふへーと間抜けに息を吐き出す。やっぱり風呂はガス抜きだよなー。
 ずるずると滑っていき、肩が浸かる位まで体勢を崩し、枠に腕を引っ掻けてリラックス。そのまま防水加工のしてあるイヤホンをつけて濡れたタオルを目に掛けた。



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225:マメツキ◆A.:2017/04/23(日) 15:07 ID:iBo



 何やらぎゃいぎゃいとやかましい。タオルを取って辺りを見れば神楽坂がネギ先生の頭を洗っていた。……俺、札掛けといたよな……気付かなかったのか?
 すいすいと泳いで二人に近付き声を掛ける。



『おい』
「わひぃっ!?」
「なっ、な、緋影!? なんでここに……!」
『なんでって……札掛けといたろ。『緋影入浴中』っての。見てねェのか?』
「嘘っ、今日だったの!? ごめん!」



 パッと謝れる神楽坂はいいやつだ。わざとじゃないならいい、洗い終わったらとっとと出な。と告げて俺は背を向け再び枠に腕を掛けた。
 と、そこで。脱衣所の方からきゃっきゃと女の声が聞こえてきた。今日は厄日か。ちら、と二人へ視線を送れば既に身を潜めており、ハァと息を吐く。なんなんだ今日は。
 入ってきたのは雪広、宮崎、早乙女__早乙女ハルナ、お嬢__近衛木乃香、綾瀬__綾瀬夕映。札、見てねぇのかよオイ。
 入ってきた五人はまず悲鳴をあげて俺が居ることに驚いた。



「なっ、なな、なんで緋影さんがここにいらっしゃって!?」
「あっ、もしかして……」
『そのもしかしてだよ。今日は俺の貸し切りの日だ。とりあえずタオル巻け』
「っうわ!」
「きゃあ!」



 そう俺が言えばみんな札見てなかった……と唖然としタオルを体に巻いた。こんなに来てるし、もうそろそろ良いだろう。



「す、すみません……すぐ出ますです」
「すまんなーイオリくん」
『いや、いい。俺が出る。もうそろそろ出るかと思ってたところだった』



 タオルを腰に巻いてざぱりと立ち上がり、彼女らの横を通り抜け俺は風呂から上がったのだった。



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226:マメツキ◆A.:2017/04/23(日) 19:31 ID:iBo

一方の風呂場side
「それにしても……なんですのさっきのは! 何であの暴力的で無法者のアスナさんの部屋にネギ先生が」
「あー、それはウチのおじいちゃんがそうするよーに言ったんよ」

 雪広あやか、もとい『いいんちょ』の言葉にこのかがすかさずそう返した。学園長先生が? と聞き返すいいんちょたちとは別に綾瀬が宮崎に話し掛ける。

「それにしても、緋影さんには悪いことをしてしまいましたね」
「あうぅ……そうだねユエ」

 綾瀬、もといユエの言葉に同意した宮崎、もといのどかは気まずそうな表情を浮かべる。このかはそれに「ホンマ優しいやんなぁ、イオリくん」と微笑んだ。コクコクと一同が同意するなか、早乙女、もといハルナが「っていうか、私達の裸すら見ようとしてなかったよねぇ、緋影くん」とのびをしながら呟く。

「普通、ガン見するなり鼻血出すなり変なこと考えたりするのにさ」
「なっ、緋影さんはそんなこと致しませんわ! あの方は常識をわきまえておりますのよ! 今日だってアスナさんが突然下着になったときも咄嗟に教科書で見ないように……!」
「チキンかヘタレなだけってことも有り得るよねー」
「……いや、それはないと思いますよハルナ。私達を『女の子』として尊重してのことです。ですよね、のどか」
「う、うんユエー……今日だって私が大量の本、運んでるときに階段から落ちそうだったからーって、代わりに本を持ってくれたしー……」
「あーいうん硬派って言うんやなぁ」
「流石緋影さんですわー!」
「麻帆良の堅物は伊達じゃないってねー!」

 その会話を聞いていたアスナとネギ。湯船の中で葉に隠れたアスナにネギが小声で問い掛けた。

「緋影さんってそんなにすごいんですか?」
「そりゃそうよ。緋影の理性は鋼より固いの。そうじゃないとあんな場面で顔色が一切変わらなかったりなんてしないし、あんたにみたいにデリカシーが無いことなんてしないわ」
「あうー」
「わりと有名なのよ、緋影は。『麻帆良の堅物』って呼ばれてんの。クールでイケメンだから女子人気もかなり高いし。ウチのクラス、そんなに騒いだりしないけど水面下争いしてるわ」

 二人がそんな会話をしているとは露知らず、五人の会話はヒートアップしていく。

「ネギくん来たから人気が二分しそうやなー」
「な! ネギ先生も緋影さんも死守しますわ!」
「頑張るですよ、いいんちょさん」
「話を戻すけど、私達もネギくんか緋影くんと相部屋になれるようこのかのおじーちゃんに頼んでみよっかなー。ネギくんか緋影くんが一緒だと嬉しいよねー」
「なっ!?」
「えっ」
「そうですね」
「あっ、のどかは緋影くんの方が嬉しいかー!」
「はっ、ハルナー……!」

 そこで影から聞いていた二人はなんのはなしだと首をかしげ、いいんちょは声をあらげる。

「勝手に決めないでいただけます!? ネギ先生と同居し立派に育てるにはもっとふさわしい人物がいると思いますわ!」
「緋影くんは?」
「あっ、緋影さんは……ああっ、そんな……二十四時間一緒だなんて!」
「いいんちょ、なに考えたんや……?」
「でも緋影くん断りそうだよねぇ。こう、自分から告白して彼女が出来るまで同居とかしなさそう」
「誠実な方ですからね」
「はうう……」

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227:マメツキ◆A.:2017/04/23(日) 20:09 ID:iBo


 ネギ先生が来てから5日が経過した。昨日はバカ五人衆(レンジャー)の居残り授業など麻帆良は恐ろしくやかましかったが、まあ退屈はしないので良いだろう。

 昼休み、俺が校内の一階の廊下を歩いていると、ばたばたと佐々木と和泉が駆けてきた。



「あっ、いおりくーん!」
「緋影くんやぁぁっ」
『え、なんだなんだ。どーしたお前ら怪我してるじゃねェか……』



 とりあえず手持ちの絆創膏を和泉の額に貼り、佐々木の手の甲にも貼る。聞くところによると高校生が場所を横取りしようとバレーで暴行を仕掛けてきたらしい。



『……とりあえず、俺が行ってくるからお前らネギ先生呼んでこい』
「ありがとーいおりくーん!」
「絆創膏もありがとなぁ!」



 ぱたぱたと駆けていく二人を見送りさて、行くかと俺も廊下を走り出した。まったく、高等部の人たちも大人気ないな。

**

 俺が校庭に到着すると話とは違い、神楽坂や雪広の二人、あとネギ先生もそこにいた。「誰が譲りますかこのババア!」と雪広が怒鳴ったのが鬨の声となり、中高生が殴り合いになろうする寸前。雪広、お前意外と口悪いな。やれやれ、とあたふたしているネギ先生を一瞥して俺は静かに声を掛けた。



『なにやってんすか、先輩方』



 俺の声に全員がぴたりと動きを止め、俺を見つめる。



『元気なのはいいんすけど、後輩相手にちょっと大人気なくないっすか』
「それは……」
『まぁでも、ウチにも非があったみてェなんで、あいこってことで場はおさめましょうか』



 後ろから神楽坂と雪広の両名に肩を組んでリーダー的存在の先輩を見つめれば「そ、そうね……」と引き下がっていただけた。去り際鼻を鳴らしていたのは頂けないが、まあ良いだろう。二人から腕を退けて先輩の方を見ながらため息を吐いた。



「でも緋影! 悪いのはあいつらよ!?」
『手ェ出しゃ一緒だ神楽坂。そもそも、お前ら美人なんだから取っ組み合いなんかすんな。みっともないぞ』
「うぅー……!」
「あ、緋影さんっ、そもそものところ、続きをなんとおっしゃいましたか……!? 私たちがどうの……」
『? 美人なんだから?』
「はうっ!」



 くら、と立ちくらみを起こした雪広を怪訝に見つめてから俺はそのあとの処理をネギ先生に丸投げしたのだった。



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228:マメツキ◆A.:2017/04/23(日) 21:51 ID:iBo

女子side
「ねえねえ、やっぱ緋影くんってすごくない?」
「……うん」
「確かに頼りにはなるかにゃー」
「……そのあと来た高畑先生もね」

 上から、和泉亜子、大河内アキラ、明石裕奈がそう会話していた。アキラの言った高畑は、あの騒動のあとの場を収束させてくれたのだ。その会話を聞き、このかがアスナに問い掛ける。

「なにかあったん?」
「高等部と場所の取り合い」
「えー、またですか?」
「みんなやられてるよ」



 アスナの言葉に不安そうに呟いたのは鳴滝双子だ。上から妹の文伽、姉の風香。見た目は小学生だが立派な中学生である。

「ネギくんはちょーっと情けなかったかなー」
「でも十歳だししょーがないじゃーん」



 明石__ゆーなの言葉に返答したのは佐々木まき絵。いいんちょが「なんですの皆さんあんなにネギ先生を可愛がっていらっしゃったのに!」と憤慨を露にする。そのままきゃっきゃと会話をしながらバレーをするため屋上のコートへと足を運んだ。……運んだのだが。



「あ!」
「あら、また会ったわねあんたたち。偶然ね♪」
「むっ」
「高等部2ーD!!」



 なんと、自習の先程の高校生たちがコートを占拠していた。そしてそこで捕まっているネギ先生。体育の先生が来れなくなったので代わりに、と言うことらしい。それで呆気なく捕まったわけだ。


**

 俺が体操服の長ズボンを吐き、ジャージを腰に巻いて屋上へやって来た頃にはなぜかあのときの高校生とうちのクラスはドッチボールをしていた。
 制服姿で明らかにやる気がないエヴァンジェリンに手招きされ、俺は彼女の隣に腰を下ろした。
 エヴァンジェリン・A(アタナシア)・K(キティ)・マクダウェル。小学生の見た目だが、金髪に白い肌、西洋人形(ビスク・ドール)のような美少女だ。だがしかし、その実態は齢三百年を生きる吸血鬼の真祖だ。『闇の福音』『ダークエヴァンジェル』『魔王』等と呼ばれる三百億の賞金が掛けられた悪の大魔法使い。実質最強に位置するのだ。
 どうやら俺は彼女に気に入られているようで、俺が胡座を掻けば彼女はその上にトスンと座る。側にはうちのクラスの天才二人__葉加瀬 聡美(はかせ さとみ)と超 鈴音(チャオ・リンシェン)が産み出したアンドロイドの絡操 茶々丸(からくり ちゃちゃまる)もいた。高身長だがこう見えて二歳らしい。頭いいけど。



「やっと来たか、いおりよ」
『おう。で、なにこれ』
「高等部がわざわざこちらに来て勝負をしにね。自分たちが勝ったらあの坊主を教生に寄越せと我が儘を通しに来たのさ。ついでにお前もな」
『普通に考えて無理だろ。学園長が素直に頷くとは思えねェ。そもそもそんな勝手な人事異動他が認めねェ筈だ。』
「ああ。それをあのクラスのバカ共が本気にしたのさ」
『みんなネギ先生大好きだな』
「(それだけじゃないと思うが)」



 エヴァ嬢の呆れた視線を受けつつ俺はそれをボケッと観察する。どうやら彼方さんは大会でも優勝したことのあるチームらしく「トライアングルアタックよ!」とあのリーダー格の人が叫んでいた。トライアングルアタックて。そこで立ち上がったのは雪広だ。



「ネギ先生気をつけて! 私が受けてたちますわ!」
『頑張れよ雪広ー』
「はうっ、緋影さんっ! ……ふっふっふ! さあ来なさいオバサマ方! 2-Aクラス委員長雪広あやかがネギ先生と緋影さんをお守りいたしますわ!」
『(気合い入ってんな雪広)』
「(こいつ……)」



 エヴァ嬢の冷やかな視線をなぜか一心に受けつつゲームの行く末を見守る。雪広? トライアングルアタックにやられてた。きゃ、とか、あん、とかビビりながら。やはりそこは雪広財閥の次女だというところか。よく頑張ったよ雪広。
 そして太陽を背にした先輩に神楽坂がやられ、一気に諦めモードに入ったがネギ先生の先生らしい言葉にみんなが気を持ち直し、無事勝利を納めた。ネギ先生、服が破ける程の威力のボールは投げないでください。



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229:マメツキ◆A.:2017/04/23(日) 22:35 ID:iBo



 ネギ先生達他が魔法書を取りに行った期末テストも初めての学年クラス最下位を脱出しあまつさえトップを取れた。これでネギ先生も正式な先生として授業ができるはずだ。と言っても、もう終了式は終わっていて、ネギ先生は正式な先生としてこの学園で生活している。労働基準法はこの学園都市じゃ通用しないぜ。

 ……あぁ、今日は雪広のあの日だった。春休みで実家に帰省すると言っていたから、出向こうか。
 俺と雪広、神楽坂は小学校からずっと同じクラスで所謂『幼馴染み』に当たる。まあ、小1からの付き合いだ。神楽坂と雪広は出会って一時間目が終わったあとから喧嘩をし出し、それを俺が止めに入る。それが七年も続いたものだから、あの二人が喧嘩をし出すと俺が止めに入るのがデフォルトになってしまっていた。小さい頃は雪広、神楽坂両共に「いおり」くんや呼び捨てだったのだが、いつの間にか名字になっていた。神楽坂が高畑先生に好意を抱いてからだろうか。雪広も神楽坂につられるように呼ばなくなった。それが少しさみしいとも思うが、俺は最初から名字呼びしかしてなかったので当然と言える。関係は悪くないから気にしていない。
 そうしてやって来た雪広邸。相変わらず豪邸で広い。チャイムを押せば「どなたでしょうか」と執事さんの声が聞こえてきて『緋影です』と返答すれば、快く門を開いてくれた。
 だだっ広い前庭を相変わらず綺麗だなぁと感心しながら邸内へ足を踏み入れればメイドさん達が「ようこそいらっしゃいました、緋影様」と歓迎してくれる。それが幼い頃と変わらず少しくすぐったくなった。



『今どこに居ます? 雪ひ……あやかちゃんは』
「只今、ネギ先生とアスナ様、近衛様達とプールの方に居られますのでご案内いたましす」
『あざます』



 俺を見て懐かしそうに微笑むこの人たちの優しさに触れて、相変わらず雪広は恵まれていると素直に羨望できる。ここはとても暖かい。忘れずに今日、ネギ先生を連れてきた神楽坂も大概雪広想いだ。
 水着に着替えるかと聞かれたが、そこまでしてもらうわけにもいかないので断った。入るつもりはないが、プールサイドにでも居よう。



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230:マメツキ◆A.:2017/04/23(日) 23:06 ID:iBo



 プールサイドの椅子に座っている雪広とネギ先生に『邪魔してるぞ』と声を掛ければ二人は驚いたように俺を見た。



「緋影くん!?」
「緋影さん……!? ど、どうして……!」
『遊びに来た。久しぶりに、執事さんたちにも挨拶したかったからな』
「まぁ……!」



 笑顔の雪広に大丈夫そうだな、と安堵してから、雪広が「私の手作りクッキーですの」とサッとクッキーの入った篭を取り出した。綺麗に焼けたそれはさすがと言うかなんと言うか、焼き具合が絶妙で酷く美味しかった。
 そこからまた水着姿の神楽坂が飛び込んで来て二人は大喧嘩。神楽坂のショタコン女と言う言葉がトリガーとなり、雪広が「もー怒りましたわ! 帰って! この家の敷地から即刻出てってくださいまし!」と叫び、売り言葉に買い言葉、「ハイハイわかったわよ出ていきます!」と神楽坂が背を向けた。お互いことを大事に想っているくせに、本当に不器用な幼馴染み達だ。俺が引き留めようとした瞬間、神楽坂が告げた。



「さっきのショタコン女は取り消しとく。今日だけは。ゴメン」



 なんだ、言えるじゃないか。俺はほっと息を吐き、落ち込んだ様子の雪広とそばにいるネギ先生を見つめた。



「ごめんなさいネギ先生、みっともないところを。アスナさんと私、本当に本当に仲が悪くて、いつもケンカばかり……」
「それは違いますよ。アスナさんは今日、いいんちょさんを元気付けようとして、僕にここに来るよう頼んだんですよ」
「え?」
「いいんちょさん、弟がいたんですよね。僕と同じくらいの」
「あ……!」



 そう、雪広には長男となる弟が居たのだ。結局、雪広はその弟に会えなかったが。今日は雪広の弟の誕生日であり命日だ。幼い頃、もうすぐ弟が生まれるんですのと嬉しそうに話していた。いつ生まれても良いようにと部屋まで作っていた。それらが全て実現が不可能となったときの雪広の落ち込み具合は半端が無かったのだ。毎日ショックが抜けきらず、綺麗な目は赤く少しばかり腫れていたのを覚えている。それを一番に元気付けたのは神楽坂。その頃、一等無口だった神楽坂は「元気出せ」の短い言葉と蹴りを一発。なにするんですの! とおいかけっこをして少しばかり元気を取り戻した雪広にホッとしたのも覚えてる。そのあといつものように俺が止めに入ったのだっていい思い出だ。



「そっか……今日は弟の誕生日でしたわね……」



 そこまで呟いてパッと俺を見た雪広は俺を嬉しそうに見つめる。俺は照れ臭くなって視線を逸らした。



「ありがとうございます、いおりくん」
『……! ……別に、大したことじゃない』



 そうして背を向けた雪広は「本当に、幼い頃からあの女は……」と震えた声で言葉を紡ぐ。



「暴力的で無法もので……とんでもないクラスメイトですわ……」



.

231:マメツキ◆A.:2017/04/23(日) 23:44 ID:iBo



 それから。ネギ先生のパクティオーがパートナーだあーだこーだだの、前々から知らされていた学園都市一斉電力調査で停電だの、その間に桜通りに出るだの言われていたエヴァ嬢がネギ先生と対決して負けただの、なんかもういろいろ濃い。何この一学期超濃い。あ、あと神楽坂の誕生日である4/21にはちゃんとプレゼントを渡してきた。新しいスニーカーである。神楽坂には両親が居らず、学費などは学園長が負担して返済など要らないと言っているのに律儀に毎朝新聞配達をしている。だからか、革靴ではないプライベート用のものはボロボロだった。喜んでくれたことには酷く安堵した覚えがある。
 そしてとうとうやって来た修学旅行。京都に行くらしい。京都といえば、お嬢の実家があるところか。今回俺は学園長からお嬢の護衛は頼まれていないので、ほとんど桜咲に任せるつもりだ。
 桜咲 刹那。京都神鳴流派の女剣士。半デコ少女だ。小柄なのだが『夕凪』と言う鐔のない太刀を使用するこのかの幼馴染みで専属護衛。このかとは距離を取っているようだ。幼い頃は仲がとてもよかったと聞いている。

 荷物を持って駅にやって来れば、ほぼ全員が集まっており「遅いよー」と口々に文句を垂れられた。なんてこった、一番はしゃいでいるのはネギ先生じゃねーか。

**

 新幹線に足を踏み入れてすぐ、俺と桜咲、ザジ__ザジ・レイニーディはネギ先生の元へと歩む。
 エヴァ嬢はネギ先生の父親、『世界を救った英雄』『赤毛の悪魔』『千の魔法を持つ男(サウザンド・マスター)』と呼ばれる20年前に世界を救った大英雄、ナギ・スプリングフィールドに登校地獄と言う中学生を延々やりつづける呪いを掛けられ、学園から外に出られないのだ。ちなみにもう15年中学生やってる。それの訳はどうやらエヴァ嬢がナギにしつこくアプローチしていたかららしい。女の子だったわエヴァ嬢。と言うわけで、エヴァ嬢は学園を離れられないから来ていない。茶々丸は主人と共に居ることを望んで不在。そのおかげで俺達六班は三人だ。流石に駄目だろうと先生に声を掛けた。
 俺達は他の班に入れてもらうことになり、一番親しい神楽坂のいる班になった。桜咲も。ザジは雪広のところだった。
 俺は席に着くなり班員__早乙女、宮崎、綾瀬、お嬢、神楽坂に挨拶をしてからイヤホンを装着し、アイマスクをしてから眠りについた。五時起きだぞコノヤロー集合はええよ。

**

 俺が早乙女に揺さぶられ、起こされたのは降りる直前だった。どうやら車内で蛙が大量発生する事態があったらしい。俺、どんだけ寝てたんだ……?

 京都に着くなり、清水寺で集合写真を撮った。鳴滝双子が「これが噂の飛び降りるアレ!」「誰かっ! 飛び降りれ!」と騒いでいた。
 その他、恋占いの石に雪広と佐々木が挑戦して、なぜか蛙がいる落とし穴にはまったり地味に宮崎が挑戦して無事辿り着いていたり。音羽の滝の恋愛側に酒が盛られていてクラスメイトの大半が酔い潰れたり。
 まあ、生徒指導の新田先生にばれなくてよかったよかった。やっぱり女子って恋のためならなんでもするんだな……。
 そしてやって来た旅館、嵐山。和風と言うか、風流で空気が澄んでてもう俺ここに住みたい。

232:マメツキ◆A.:2017/04/24(月) 00:12 ID:iBo


 修学旅行二日目。俺はネギ先生と同じ部屋にあてがわれていたのだが、ネギ先生が10歳と言うだけあって幼く、ずいぶんと仲良くなった。
 俺は男なので、一応班には組み込ませてもらったものの自由行動は基本一人で許可されている。特例だ。女ばかりに囲まれてちゃ息苦しいだろうって。新田先生、正直感謝です。
 二人して服を着替えて共に階段を降りていく。一階の大広間で朝食だ。



「それにしても、昨日は疲れました……」
『あー、酒飲んで大変だったみたいっすね。蛙が出てどうだのこうだの』
「それもありますが昨日の夜……いえ、なんでもないです!」
『(まだ俺も魔法使いだってこと分かってないのか。桜咲は無事判明したようだが)』
「朝御飯楽しみですねー! なんだろう!」
『っすね』
「緋影くん身長高いですもんね」
『成長期なんすよ』
「何センチぐらいですか?」
『あー……185越えたっけな……。まあ、心配しなくても先生もすぐ来ますよ、成長期』
「僕、どれくらい身長伸びるんだろう」



 そんな他愛ない会話をしている間、ネギ先生のそばにいるオコジョは俺を見つめていた。カモミール・アルベール。下着泥棒で有名だったあのオコジョ妖精だ。どうしてネギ先生の使い魔としているのか謎だが、ネギ先生のそばにいれば捕まる心配もないからか。打算的だな、コイツ。噂じゃパンツ神だとか。男として有り得ないだろコレは。

**

 朝食を食べ終え、ネギ先生と神楽坂と共にロビーを歩いていたときだった。宮崎がやって来たかと思うと佐々木が飛び込んで叫ぶ。


「あのー……」
「ネギくーん! いおりくーん! 今日一緒に見学しよー!」
「ちょ、まき絵さん! ネギ先生といおりくんはうちの3班と見学を!」
「えー! いいんちょずるーい! 先にうちが誘ったのにー!」
「あのー……」
「だったらぼくらの班もー!」



 ごちゃごちゃと争奪戦になっているネギ先生の頭をぽんぽんと撫でて視線で頑張れよ、と送るもののネギ先生は泣きそうな顔して訴えかけてきた。いや、そんな顔されても。その時だった。


「あ、あのー! ネギせんせー! 緋影くん! よ、よろしければ今日の自由行動……私達の班と一緒に回りませんかー……!?」



 宮崎にしては大きな声が出て、辺りは騒然とする。ネギ先生は少し考えたあと、あっさりと許可してしまった。あれか、お嬢が関西呪術協会の陰陽師一部に狙われてるからだろうか。



『俺はー……』
「緋影くん……!」



 やめろ、先生、俺をそんな目で見るな。同性で仲良くなったからだろうか。こっちに来てほしいオーラが半端ない。仕方ない。俺もいくとしよう。



『わかった、わかった先生。俺も一班に行くからそんな顔して俺を見るな』
「やったー!」
『(手放しのネギ先生の笑顔プライスレスェ……)宮崎も誘ってくれてありがとう』
「あー……いえー……」



 周囲が本屋が勝っただのなんだの言っているがなんのことかさっぱりな俺は首をかしげるしかなかった。



.

233:マメツキ◆A.:2017/04/24(月) 00:31 ID:iBo

女子side


 やって来た東大寺に、ネギ、いおりを引き連れた一班はやって来ていた。初めての鹿を見て大興奮のネギを神楽坂がたしなめる。いおりを含む周囲もそれを微笑ましそうに眺めるなか、のどかはその後ろで幸せそうに微笑む。いつもと違って髪を揺ったのどかは前髪を少し切ったこともあり可愛い女の子だ。



「えへへー……緋影くんー……♪」



 そこへ弾丸のごとくのどかに蹴りを入れたのはハルナとユエだった。



「キャー!?」
「見直したよアンタにそんな勇気があったなんて!」
「感動したです」
「えへへ……うん、ありがとー……。緋影くんと奈良を回れるなんて幸せー……今年はもう思い残すことはないかもー」



 そこへのどかに「ばかぁ!」と頬をひっぱたく真似をしたのがハルナだ。



「この程度で満足してどーすんのよ!? ここから先が押しどころでしょ!
告るのよのどか。今日ここで緋影くんに想いを告白するのよ!」
「えーーー!? そ、そんなの無理だよぅ!」
「無理じゃないわよ! いい!? アンタはもう二年も片想いしてるのよ! そして修学旅行は男子も女子も浮きたつもの! 麻帆良恋愛研究会では修学旅行期間中の告白成功率は87%を越えるのよ!」
「ははははちじゅうなな……」



 ハルナの熱気をユエは表情を崩すことなく「ファイト」とでも言うような顔をして立っている。のどかはと言うと目をぐるぐると回しておりそこまで気が回らないようだ。



「しかもここで恋人になれば明日の判別完全自由行動日は二人っきりのラブラブ私服デートも……?」



 ハルナのその言葉にのどかは顔を赤く染めてくるくる目を回しつつ考える。(ラブラブデート……緋影くんと……)ここら辺やはり乙女である。



「そっそそそ、そんなこと急に言われてもー……」
「大丈夫! アンタなら行ける!」
「ファイトですのどか」



.

234:マメツキ◆A.:2017/04/24(月) 17:32 ID:iBo



「アスナー! ネギセンセー! 一緒に大仏見よーよ!」
「へぶぇっ!?」
「ぶふぅっ」
「せっちゃんお団子買ってきたえ一緒に食べへんー!?」
「えっ」



 そうして連れ去られた俺と宮崎の他のメンバー。なんだよ置いてくなよ。
 唖然とする宮崎にとりあえず二人で回ってしまおうかと誘えばおずおずと頷いてくれて、拒絶されなくてよかった。と表情には出さずにホッとする。



「あっあのっ、緋影くん! 私、大、大、す、好き……大仏が大好きで!」
『へェ。渋い趣味だな、良いよな。大仏。俺たちも綾瀬の仲間だな』

「あのっ、そのっ、私、緋影くんは大、大吉で!」
『ああ、みくじでも引くか』
「いえっ、じゃなくてー……大吉が大好き、いえっ、大仏……!」
『(……うわ、大凶ェ)』



 今日の宮崎はどうしたんだ。何かを伝えたいみたいだが、どうもうまく言えていない。東大寺へとやって来て周囲を見回し、良いものを発見する。



『宮崎、ホラ。大仏の鼻と同じ大きさの穴があるぞ。くぐり抜けられたら頭が良くなったり願いが叶ったりするみてェだ』
「えっ、願いが!? やります! くぐりますー!」
『(……小動物みてェで可愛いな)』



 とまぁごそごそと入っていったは良いものの、どうやらポシェットがつっかえたらしい。それを俺が引っ張り出せば、宮崎は申し訳なさからか泣きっ面で走り去ってしまった。



『……俺、なんかしたっけ』



 その後ふらふらと徘徊しながら宮崎を探しつつ見学する。どうしようもう足がパンパンだ。膝いたい。そこで再び宮崎が姿を現した。



「緋影くん! あのっ、実は私……大、根おろしも好きで……」
『落ち着け宮崎、深呼吸だ。大根おろしも旨いよな。急かしてねェから落ち着いて話せ』
「あ、ありがとー……!

あ、あの、緋影くん……! 私、緋影のこと、二年前からずっと好きでした! 私、私……緋影くんのことが大好きです!」



 背後で桜咲、神楽坂、オコジョが俺を見ていることに気が付きながらも、俺はピシリとその態勢と表情のまま俺は硬直した。たらりと冷や汗が俺の頬を伝う。実を言うと、人生初の告白を受けたのだ。



「あ、いえー……わ、分かってます。突然こんなことを言っても迷惑なのは……ごめんなさい。でも私の気持ちを知ってもらいたかったので……失礼するね緋影くんー!」
『……!? ……! ……っ!!!?』



 走り去る宮崎を引き留めることも出来ず、一人棒立ちのまま唖然とする。どさりと尻餅をつけば神楽坂とネギ先生が慌てて此方へ駆けてきた。
 ガシッと神楽坂の腕を掴んで顔を上げる。



『か、かかかっ、神楽坂っ、俺はどうしたらいい!? 断ればいいのか!? 受け入れりゃいいのか!? なんなんだ!? 俺が言えばいいのか!? どうすりゃいい!?』
「はぁっ!? あんたこれまでも告白されたことあるでしょっ!?」
『馬鹿言えっ、人生初だ! 告白なんてされたことっ、』
「嘘でしょ!?」
「無いんですか緋影くん!?」
「(いつも無表情の緋影さんがこんなに取り乱している……)」
『桜咲ェ……!』
「(心を読まれたっ!?)」



**


 夕暮れになり、旅館へと帰還した俺はロビーのソファに座って膝に肘を置き、前屈みになって深刻な顔をしていた。



『……(宮崎に、告白された。告白までされたなら、それなりに責任を……!? でも俺宮崎のこと何も知らねェ……確かに宮崎は可愛い。以前まで前髪が長くて気付かなかったが、相当……)いやいやいや、いや、でも……ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙っ。あ゙ー、駄目だ駄目だ。どうすりゃいいんだ俺は……』



 うんうんと唸るなか、雪広と佐々木が「いおりくん、どうされたんですの?」「昼の奈良公園で何かあったの? いおりくん」と俺に聞いてくる。



『いや、……告白されたらどう返したら良いのか……』
「えええ!? こ、告白!?」
「えーそれホント!? いおりくん告白されたの!?」



 何!? と騒ぎ出すコイツらにやべ。と頬を掻く。騒ぎ出したコイツらにバレるとヤバイので俺はその場をすたこらと逃げ去ったのだった。



.

235:マメツキ◆A.:2017/04/25(火) 00:13 ID:iBo

「五番、和泉亜子。三月卒業する三年に告白するもフラれ彼氏なし。気が弱くお人好しだが運動能力は高い。六番、大河内アキラ。彼氏なし。運動能力高し。水泳部エース、高等部からも期待の声。寡黙。十八番、龍宮真名。彼氏不明学園内の神社で巫女のバイトをしている模様。十九番、超 鈴音。天才その一。勉強スポーツお料理なんでもござれの無敵超人。二十四番、葉加瀬聡美。天才その二。研究以外に興味なし。あだ名はもちろんハカセ」

そこまでオコジョ妖精のカモに説明したのは麻帆良のパパラッチ娘、報道部の朝倉和美だった。つい先程までいおりに誰が告ったのか調べ、宮崎と言うことが判明し宮崎の健気さに証拠を撤去したのち、ネギが魔法使いだと知ったのである。最初こそ朝倉は魔法使いを世に広めようとしたがカモの説得兼熱意に当てられ一旦その考えをよした。キスからなる仮契約に二人してネギとやらせようと言う思考を会わせ持っている二人は何やら怪しげな作戦を今夜決行しようとしていた。

一方、ロビーではネギがアスナと刹那に早速朝倉に魔法がバレたと報告していた。それを聞いたアスナは「はあ!?朝倉に魔法がバレた!?」と怒鳴り声をあげる。なんでどうしてと問い詰めてくるアスナに酷く落ち込んだ様子のネギ。

「もーだめだ、アンタ世界中に正体バレてオコジョにされて強制送還だわ」
「そんなぁー!一緒に弁護してくださいよアスナさん桜咲さんー!」
『なにしてんだ?』

そこへ偶然立ち会わせたのは緋影伊織だった。やって来た彼にアスナとネギが慌て出す。何も聞いてないわよね、なにか聞いてませんよねと詰め寄る二人に圧倒されたいおりは困惑した顔で刹那に視線で助けを求めた。

「実は、朝倉さんにネギ先生の魔法がバレてしまって」
「なっ!?」
「何言ってるんですか桜咲さん!」
『待て。朝倉にバレた?なにしてんすかネギ先生ェ』
「えっ」
「緋影アンタ、もしかして!?」
『そうだ、俺も魔法使いだ』

緋影の突然のカミングアウトにえっと叫びを挙げたネギとアスナ。刹那は知っているようで、気付いてなかったのかと嘆息していた。

「彼は全盛期のエヴァンジェリンさんをも凌ぐ程の実力者、あのナギの実力に最も近いと言われています」
『俺そんな実力ねェよ桜咲』
「え!父さんに最も近い!?」
『だから…』

若干ふて腐れたような顔のいおりの後ろから現れたのは朝倉。彼女が言うにカモの熱意にほだされネギの秘密を守るエージェントとして協力してくれるらしい。
夜、騒ぎ過ぎたA組は新田先生に自分の班部屋から出たものはロビーで正座を命じられ、それにA組の大半が落胆したのも束の間。朝倉が彼女らにゲームを持ち掛けた。

「名付けて『くちびる争奪!修学旅行でネギ先生、緋影くんとラブラブキッス大作戦』!ネギくんのマネージャーの許可も取ってあるよ」
「え!?」
「ネギくんかいおりくんとキス!?」

叫び声をあげる彼女等に朝倉は「こらこら大声出すなって!新田がまた来るぞ」と小声でたしなめた。

「ルールは簡単、各班から二人ずつを選手に選び、新田先生方の監視を潜り、ネギ先生かいおりくんの唇をゲット!妨害可能!但し武器は両手の枕投げのみ!上位入賞者には豪華景品プレゼント!なお、新田先生に見つかった者は他言無用朝まで正座!死して屍拾う者無し!」
「きびし! 見つかった人は助けないアルか!?」
「豪華景品ってなんだよ!?」
「ひみつ♪ でも期待して良いよ」
「いいね面白そう!」
「ゴールがどちらか二人とキスってのもいいかも」
「でも見つかったら正座だよ?」
「そのくらいの方が緊張感があって良いよ!」
「おー!」

そこで朝倉の名前を呼んだのはいいんちょだった。やっぱりダメか、と朝倉が冷や汗を流したとき、「やりましょう。クラス委員長として公認しますわ」と許可が出た。

「よーし各班10:30までに私に選手二名を報告! 11:00からゲーム開始だー!」
<オオー!>

 乙女たちは知らない。朝倉とカモの真の目的がパクティオーカードだと言うことを。


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