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48:あい◆9g:2016/11/09(水) 20:13 ID:TXc



おそ松さん 〜六つ子とハリネズミ〜


1話 名前

3.
「んじゃ、はり松を反対にして松はり……あ、まちばりはどうだ……」
「おまえなあ……生物につける名? 違うよね?」
 チョロ松の目は怒りに満ちていた。
「あー、もうおそ松兄さん黙ってて!」
 トド松も腕を組んでいる。
 あちゃー、2人とも怒っちゃって。
「俺は、紅葉松がいいと思う。ハリー・ネッズーよりマシだと思う。」
「秋松もまだハリー・ネッズーよりマシだよね。」
 あー寂しい。
「うーん……言いやすいし紅葉松の方がいいね。」
「じゃあチョロ松兄さんの採用ってことで。」
「母さんに伝えに行こう。」
 ……え?
「いやちょっと待ってよ。」
「何さ、おそ松兄さん……」
 襖を開けようとした手を止めて振り返りながらトド松が言った。
「まだ、ハリネズミちゃんのこと、母さんに話してないんだよね……」
 この言葉を聞いたチョロ松の口はだらーんと開き、トド松は未確認生物でも見つめるかのようにジッとおれを見た。おれは頭をかく。
「はぁ!? 母さんに飼うって話す前に何で名前決めようとか言うの!? 普通言わないよね!? 何で言っちゃう!?」
「意味分かんない! 頭いかれてる!?」
 チョロ松がおれの胸倉を掴む。……はあ、これだから素人は。上手くいけば、こっちが相手の鼻先にピンポイントで頭突き入れて鼻血ぶぅ〜、もできるんだけど。
 まあ、そんなことするほどおれは怒ってないし。
「ニートたち、ちょっといらっしゃい〜。」
 その時、母さんが1階のほうから呼ぶ声がした。
「はーい」
 おれたちは1階へ下りた。
 居間への襖を開けると、卓袱台に置いてある紙に目が留まった。
「……何だこりゃ」
 折りたたまれた紙を取って開くと、中にはこう書いてあった。
「なになに?」
 チョロ松とトド松も覗き込む。
《ハリネズミの名前、うに松はどうかしら? 飼うのは大歓迎よ  松代》
「……」
 よかった、あっさりOK。
 でも、でも……あの言い争いは意味がなくなっちまったよぉ〜!
《1話 完》


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