>>515の続き (かなり久しぶりですね)
ブラッドは私を睨み、力が抜けたようにヨロヨロと立ち上がる。
眠らないのはすごいよね……。
それはそうとして……
「私の質問に答えてくれない?」
私は沈黙を破った。
レッドは悪事を許さない。
だからこそ、質問に答えてくれれば捕まえない、とは言ってあげられない。
これからどんな方向になっていくかは、私も知らない。
ブラッドは黙ったまま。
「あなたはなんで犯罪者なんかにわざわざなってるの?それは本当にあなたの意思なの?」
私は勝手に話を進めた。
『私の仕事だもの』ってさっき言ってた。
でも、これは仕事であって、本当はやりたいんじゃ無いのかもしれない。
ずっと気になっていた。
あの辛そうな目は何を思っていたのか。
それが、今はどうしても知りたい。
「……ここじゃ話せないわ。場所を変えないと……」
ブラッドはそう言って、あとは何も答えない。
『ならアスカ、今から俺が指示する。俺の居るビルまで来られるか?』
「分かった」
小声で返事を返し、ブラッドに向き直る。
「ならついてきて。走れる?」
ブラッドはコクリと頷き、廊下を走り出す。
でも、まだ睡眠薬の効果が切れていないのか、足取りが重く、少しおぼついている。
私達はエレベーターで1階まで降り、出口に向かって走った。
警備員達には皆眠ってもらった。