『君の瞳は知っている』#1
【彩side】
私は、立花彩です。
探偵チームKZに入っているんだよ。
私、若武、上杉君、小塚君、黒木君、それから翼、忍の7人でね。
ある日、数学の参考書を買おうと思って、書店に行ったの。
「真樹子、大丈夫?真樹子。」
私が並んでいたレジの前で、急に泣きだす人がいた。
高校生くらいかな?
その人は、女の人で、隣にいる友達ふたりに背中をさすってもらっている。
「美春。もういいよ。グスッ!」
真樹子さんと呼ばれた人は、美春さんの手を振り払った。
そして、持っていた本を投げ飛ばし、書店を出ていった。
「あの。迷惑かけてすみません。私たちで片付けます。すみません。」
美春さんが言って、書店は元通りザワザワし始めた。
「ってことなの。」
これを若武に報告する。
みんな真剣に悩んでいるけど、小塚君が否定するように言う。
「でも、ただ泣いて、投げ飛ばして、出ていっただけだろ?事件とはちょっと違うんじゃないかな?」
確かに。
泣いて出ていっただけだから。
事件としては扱えないかな。
「アーヤ。その子たちの名前、言ってくれる?」
名前?
確か、4人いたけど。
真樹子と美春しか聞いてないな。
「真樹子って人と、美春って人。」
黒木君がどこかに電話する。
何か、分かったのかな?
ちょっとして、黒木君は帰ってきた。
「みんな。これは事件だ。」
え?