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1:マジュ◆slE:2017/03/26(日) 22:23 ID:6Y2

スレの通りです

荒らし、悪口禁止です。
これを守れる人はどうぞ。

172:コマネチ:2018/04/15(日) 21:27 ID:s2M

やっと全部見終われた!
とっても面白いです!頑張って下さい!

173:通りすがり:2018/04/17(火) 11:23 ID:E8Y

題:果ての無い旅の最果てで










 出逢って間も無く紅白のボールをぶつけられた時に真に必要なことは、何も訊かず何も言わず何も交わさず思いっ切りバトルすることだと思うの。

 自分が珍しい種族だということは自覚しているし、それに相応しい生き方をしてきたとも自負している。
 それでもここに誰か来るなんて思っていなかったせいで、初動が遅れてしまった。
 そもそもこれだけ珍しいポケモンを前にして普通のモンスターボールをぶん投げるとかこの子は馬鹿なんじゃないだろうか。こうして悪態を吐いたところでテレパシーを使わない限り目の前の人間に届くことは無いのだろうけど、届かないのなら気付かれないのなら何を思おうが勝手だ。
 真横を掠めた「大文字」。バトルしてみて分かったけど、目の前の人間は中々に育て上手だ。ポケモンの個性を理解しているし、基礎ポイントの振り方も悪くない。分析してみたけど、命中率も一般的なそれではない。どれだけ特訓したんだろう。

 攻撃を外したのに、あのリザードンは叱られなかった。「シンクロ」を応用してあの子の心を探ってみたけど、舌打ち一つしないなんて育ちが良い。

 いい加減避け続けるのも飽きたし攻撃力も大体分かったので、攻撃に転じる。
 取り敢えず手始めに、タイプ一致で相性は関係無しの「サイコキネシス」をぶっ放した。
 手応えは充分にあった。充分にあったのに、あったはずなのに、リザードンはその目から戦意を失わないしむしろ更に攻撃性を増した。
 ってうわ「切り裂く」はやめて「切り裂く」はやめて。

 トレーナーが安否を問う声を発した。けれどその表情に不安は無く、リザードンならまだまだやれる、みたいな身勝手さが滲み出ていた。ああ嫌だ嫌だ。ポケモンのこと無条件で信用して、どうせ期待に応えなかったら醜い心を曝け出してぶつけて罵るんだから。

 もう一度「大文字」を放ったリザードンと目が合った。
 その目はこれまで見てきたどのポケモンよりもきらきらと宝石みたいに輝いていて、トレーナーに対する絶対の信頼が宿っている。どうして? あんな身勝手なこと思って、君に理不尽な信用を寄せているのに。理解が出来ない。目の前の彼は本当にリザードンなのだろうか。自分とは全く無関係の、ポケモンではない何かではないだろうか。

 そんなことを考えて回避が鈍った瞬間を、よく育てられた彼は見逃さない。鋼鉄の様に硬くした尾――「アイアンテール」を容赦なく叩き落してきた。ああ、もう。しかも追加効果まで出しちゃったよこの子。
 ごめんね、君は確かにリザードンだ。あのトレーナーの信頼を一身に浴びて、ここまで成長した炎の龍だ。地上千四百メートルまで飛べる翼も、岩石だって焼ける灼熱の炎も、君はあのトレーナーのために臨んだんだね。

 ――……ああ、そうか。
 自分が望んでいたのはこれだったのか。
 ポケモンとトレーナーの間に、お互いがお互いを理解して分かり合った上で結ばれる、絆と呼ばれる繋がり。ずっと求めていて、ずっと見付からなくて、産んだ子供も理解出来なかったその結び目を、彼らはここに持ってきて、見せてくれているんだ。
 感謝しなきゃなあ、お礼しなきゃ。
 何が出来るだろう。
 何でも出来る。その気になれば、何だって出来る。

174:通りすがり 続き:2018/04/17(火) 11:24 ID:E8Y


 時を渡って、今よりももっと平和な時代に連れて行ってあげようか?
 願い事を三つだけ、何でも叶えてあげようか?
 どんなポケモンとも心を通い合わせる力の恩恵をあげようか?
 嫌な人間を皆悪夢に誘い込んであげようか?
 良い夢ばかり見られるようにしてあげようか?
 行く先々にある荒れた大地を、一瞬で綺麗な花畑にしてあげようか?
 どんな勝負にも打ち勝つ力をあげようか?
 海や川を渡って、美しい水辺に連れて行ってあげようか?
 感情を自在に操る旋律を、望むままに奏でてあげようか?
 沢山のダイヤモンドを一瞬で作り出してあげようか?
 リングを通してあらゆるものをどこかに飛ばしてあげようか?
 山一つ吹き飛ばす水蒸気を、好きなだけ撃ってあげようか?
 それとも、もう一度宇宙からこの世界を創り直してあげようか?
 望めば何だってやってあげられる。それだけの力を持っているんだ。

 ああでも、君達にはどれも要らないね。
 どれも君達は望まない。自分達でやって、自分達で出逢って、自分達で体験して、自分達で受け止めていくだろうから。
 だったら、もう出来ることは一つだけだ。

 両手を空に掲げ、体の中の波動を集中させ、思いっ切りぶん投げる。自分の波動を使っているから、百発百中の必中技。
 本当は使う予定なんて無かったし、三割程度の力でお相手する予定だったけど、気が変わった。
 三割なんて生温いこと言ってらんない。
 この時代は技が少ないから、ちょっと未来から拝借しよう。
 あはは、見たこと無い技にびっくりしてるね。でも君もトレーナーも、面白そうに笑ってる。
 ちょっと反則かもしれないけど、そんなの知ったことじゃない。楽しめればそれでいい。
 これから先様々な場所で君が出逢うであろうポケモン達の中にある遺伝子は、全て君達の目の前にいるポケモンの一部だったんだよ。
 だから、全部使ってあげる。予行演習だと思えばいいでしょ?
 技も、タイプも、特性も。ここではない別の世界で生きる子達のも含めて、全部。
 全部使って相手してあげる。
 出し惜しみなんて絶対にしない。
 全力で相手してあげる。
 だってボクは、全ての祖先たるミュウなんだから!




 ――果ての無い旅の最果てで、その結び目は煌めいた。


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