【アイドルマスターシンデレラガールズ】初めての目標

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1:七瀬:2018/03/08(木) 22:14 ID:2io

占ツクに書いてるのをこっちにも。
オリジナル主人公出ますがそれでも大丈夫な方はよろしくお願いします。
オリジナル主人公の名前は大瀬(おおせ)ジュリです。
年齢の設定は13歳の中学校一年生になっています。
荒らし以外なら書き込みは大丈夫です。アドバイスなどよろしくお願いします。

13:七瀬◆PM 結局帰ってきた莉嘉担当:2018/04/03(火) 23:41 ID:bkA

ー7ー

振り付けも歌もバッチリ、あとは明日の本番だけ……なんだけど。
橘ちゃんは覚悟をすることがあるらしくて。
「あの……大瀬さん。やっぱりステージに立ったら名前で呼ばれるんでしょうか」
「そうだね。ファンは橘ちゃんの事分かってないし、ファンなら「橘ー!」とか呼ばないでしょ」
弱々しい問いかけにぶっきらぼうに答えると、橘ちゃんは「やっぱり」といった顔で俯いた。
ここは、歳上として支えてあげないといけないのかな。
……キャラじゃないけれど、やってみよう。
「橘ちゃんは自分の名前のどこが嫌い?」
「……全部、です。子供っぽいところとか、日本人離れしてるところとか」
なるほどね。
「でも、子供っぽいかはともかく、あたしの名前も日本人離れしてるけど?」
「確かにそうです。でも、私は」
「馬鹿にされるのが怖い?」
出来るだけ、キャラを保って。
「確かに橘ちゃんは名前で馬鹿にされたのかもしれない。でも、橘ちゃんを「ありす」って客席で呼んでくれる人は橘ちゃんの事が好きなんだよ。ファンなんだよ」
「……大瀬さん」
「決して橘ちゃんを「ありす」って呼ぶ事に悪意は無いってこと。寧ろ、好きになろうとしてくれてるんだから。「ありす」として。だから、「ありす」として答えなきゃ……その名前を好きにならなきゃいけないんだよ」
「好きになる……名前を」
……言い切った。
飛鳥ちゃんに影響されたのかな。あたしの台詞が少し痛く見える。
でも、それで橘ちゃんが変わってくれるのなら。
「この名前は、お母さ……母が付けてくれました。「ありす」って名前は嫌いだけど、嫌いになれませんでした」
顔を上げてそう言う橘ちゃんの顔は何かを決意したように見えて、
「でも、変わらなくちゃ、いけないんですよね」
とても力強かった。
「大瀬さん……ジュリさん。ありがとうございます。私の事はこれから「ありす」とお呼びください」
……そう。そう来なくっちゃ。
「うん。これからもよろしくね、ありす」
誰かを慰めるなんて初めてで、あたしらしくないけど、今日くらいは良いのかなって思った。
「明日のライブ、楽しみになってきました」
「あたしもだよ」
明日のライブ、成功するといいな。

14:七瀬◆PM 美味しいから大丈夫だよ:2018/04/15(日) 12:11 ID:bkA

ー8ー

いよいよライブ当日。
あたしは控え室でメイクさんに髪を整えてもらいながらありすを横目で見る。
……顔、強ばってる。緊張してるのかな。
「あ、あの。ジュリさん」
「何?」
その時、ありすが話しかけてきた。
あたしは鏡を見たまま返事をする。
「私、クローネでライブに出たことはあるんですけど、誰かと二人だけのユニットで出るのは初めてなんです」
ああ、トライアドとか奏ちゃんとかいたもんね、あの時は。
「ファンの皆さんは、私達だけを求めてるって事ですよね?」
「だね。それがどうしたの?」
視線をあちこち動かしながら吃るありすに尋ねる。
「主役、初めてで。ジュリさんと一緒ですが。少し、緊張しちゃって……」
ああ、そういうこと。
でも、ここで緊張してもらうとあたしまで緊張しちゃう。
ていうか、もう緊張しちゃってる。
……仕方ないなあ。
「ありす、あたしも緊張してる」
ありすはそれを聞いてびっくりしたように目を見開かせる。
あたしはそれを見なかったことにして、話を続ける。
「でも、楽しくない? だってさ、初めてなんだよね? 主役のステージ。主役ってさ、例えユニットでも自分達だけのステージに出来るんだよ」
「主役の……ステージ?」
あたしの例えがピンと来なかったのか、ありすは首を傾げる。
どう説明すればいいのかな……あっ。
「えーっと、志希ちゃん。志希ちゃんの初めてのソロステージ、見た?」
「はい、見ました」
それなら話が早い。
「あの時の志希ちゃん、ステージを自分だけのものにしてる感なかった?」
あたしがそう聞くと、ありすは納得したように頷く。
「ていうか、志希ちゃん本人が言ってた。「あたしのステージはあたしだけのもの」って。あたし達のステージもそうだよ」
「自分達だけの、ステージ。そういうことですよね」
察しが早くて助かるなぁ
「そういうこと。ファンの皆もあたし達だけを求めて来てるんだから、どんなパフォーマンス……失敗、だって受け入れてくれるかもよ?」
あたしが冗談っぽくそう言うと、ありすは少し表情を緩ませた。
「じゃあ、本番まであと少し。行こ?」
「……はいっ!」
大丈夫、これならきっと成功する。

15:七瀬◆PM 美味しいから大丈夫だよ:2018/04/15(日) 12:17 ID:bkA

なんか訳分からんくなってるから訂正
上から31行目 下から26行目
「主役の……ステージ?」✕
「自分達の……ステージ?」〇

16:七瀬◆PM 美味しいから大丈夫だよ :2018/04/22(日) 19:40 ID:bkA

ー9ー

「大瀬さん、橘さん。準備はいいですか」
「はい!」

今日合同ライブの“サンフラワー”の「きみにいっぱい☆」が終わってから、次はいよいよあたし達の出番。
“Jewel”としてステージに立つのは、初めてで緊張する。
だけど、このステージはあたし達二人だけのものにしてみせるから。

「大瀬さん、橘さん」

あたしなりに意気込んでると、後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。……この声は

「……太田プロデューサー。久しぶり」

最近、新人アイドルのプロデュースで忙しくて会えてなかった太田プロデューサーがいた。

「あの、プロデューサー。このステージは、私達だけのものにしてみますから」

隣で黙っていたありすが太田プロデューサーと向き合い、自信に満ち溢れている瞳でそう言った。
太田プロデューサーははじめは驚いていたが、嬉しそうな表情をし、「橘さん、変わったね。その意気だよ。頑張って」と言った。そして、あたしを見て、「大瀬さんも」と。

「大瀬さん、橘さん、準備お願いします」

後からスタッフさんの声が聞こえてきた。出番だ。

「じゃ、行ってくるね……不安?」

太田プロデューサーの元を離れようとした時、太田プロデューサーは不安そうな顔をしていた。
こういう時は……

あたしはプロデューサーにウィンクをして、こう言った。

「大丈夫、あなたが育てたアイドルだから」

……加蓮ちゃんのセリフ、奪っちゃった。

「本番10秒前、9、8、」

「行くよ、ありす」

「……はい!」

あたしはありすの手を握って、ステージまでの階段を駆け上がって行った。

「……0!」

ステージに上がった。歓声が聞こえてきた。
……よし、ここからが本番だ。

「こんにちは。Jewelの大瀬ジュリだよ〜!」

「同じくJewelの橘ありすです!」

あちこちからあたしの名前を呼ぶ声とともに、「ありすちゃーん!」という声も聞こえてくる。
ありすを横目で見ると、今までよりずーっと力強い表情をしていた。
……もう、大丈夫だね。

「新曲の“CRYSTAL”(クリスタル)、聞いてください!」

「大人しい曲だから、聞き逃さないようにね〜」

あたしの言葉でMCを締めると、新曲のイントロが流れてきた。

よし、後は流れに任せて______________

17:七瀬◆PM 美味しいから大丈夫だよ :2018/04/22(日) 19:55 ID:bkA

ー10ー

……よし、歌い切った!
会場中の歓声を身体にモロに浴びた気分になり、それが心地よい。なんていうか……エモい。

「聞いてくれてありがとね!」

「これからも、私達Jewelをよろしくお願いします!」

これで、ライブは終わり。
始めはありすとの間に溝があって、どうしようかと思ったけれど……

「やったね、ありす」

「……はいっ!」

今は分かり合えてるから、きっと大丈夫。

「大瀬さん、橘さん!」

「プロデューサー」

控え室で気持ちが高ぶるのを堪えていると、太田プロデューサーがあたし達以上に興奮した表情で室内に入ってきた。

「ライブ、すごく良かったよ! それにしても二人、いつの間にか仲良くなって……良かった……!」

「いいってそーいうの」

最後らへんに涙声になってるのに気付いちゃって、照れくさくて。

「は、はいぃ……ありがとうございます……」

って、ありす!?
ここでありすに泣かれたら、あたし……

「んんっ……プロデューサー? なにそんな顔で見てるの? 泣かないってば。バカみたい」

……嘘。本当は泣きそうになってた。
あたしはそれをニヤニヤしてこっちを見る太田プロデューサーに辛辣な言葉をぶつけることで耐え、無かったことにした。

泣きそうになったけど、そんなのあたしの柄じゃない。

「ジュリさん」

「ん?」

ありすがあたしの目をステージの上の時と同じ力強い瞳で見てきた。

「これで終わりじゃないですよ。これから、です。……よろしくお願いします!」

「……うん」

……まさか、ありすの言葉に心揺さぶられるなんて。

そう、このライブは終わりじゃない。“Jewel”の始まりなんだ。


___END

18:七瀬◆PM 美味しいから大丈夫だよ :2018/04/22(日) 19:56 ID:bkA

このままだと締め方が分からなくなりそうなのでここで終わらせました。
たまーに番外編的な何かを書くと思うのでその時は見てもらえると嬉しいです。


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