ジガ-ZIGA-を二話目で打ち切ってみたシリーズ

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1:ブタオさん:2018/04/12(木) 17:53 ID:Ugc

この日、都市を破壊する悪魔のような巨大生命体の姿が初めて世界に認識された。周囲対比により算出されたその体長は84.54m。体重依然測定不能。これから長きに渡って人類とおれの運命を支配する最悪の怪物との戦いの





幕は開かない

2:ブタオさん:2018/04/12(木) 20:28 ID:Ugc

Part1:絶望→回天

上陸した巨大生命体は、人体のみを蒸発せしめる後に"生体元素破砕光"と命名される怪光線によって、半径20kmの民間人並びに災害派遣を下命された自衛隊の対戦ヘリ部隊に多大な被害をもたらした。加えてその巨体は単なる歩行ですら災害と呼べる損害を生み出している。この現場を目撃した誰もが、人類の終末を覚悟した……。




そして、終末を打ち破る者があった。




→続【Part2-1】

3:ブタオさん オイオイオイ二話目って言ったけど一話目だわコイツ:2018/04/12(木) 20:56 ID:Ugc

Part2-1:回天→玄武

"それ"は空を駆けていた。航空機ではない。あらゆる点において、常識的な航空機の特徴を逸脱した存在であった。直径は70m強、一見円形に思われた"それ"は凄まじい速度で回転しており、その回転を産み出しているのは"それ"の四端より放出されるジェット噴射様の熱気流である。これだけ非効率な推進にも関わらずその飛行速度はマッハ3に達し、スクランブル発進した航空自衛隊のF-35戦闘機を軽々尻目に日本領空を侵犯、巨大生命体の元へと一直線に飛行していった。円盤のごとき"それ"は一切の減速なく巨大生命体に直撃、不意を打たれた巨大生命体は、そのまま地面に叩き付けられ、無人となった町を震わせる。起き上がる巨大生命体……その体は、肩口から胸部までに達する生々しい断面を露にし、肩から腕部にかけてが重力に負けて徐々に捲れ、鶏肉を裂くように断面を広げていく。"円盤"がその端部を用い、回転と合わせてバズソーの如く力任せに切り裂いたのだ。しかし巨大生命体は力強い咆哮を一つあげれば、苦もなく、という風に背後へ抜けた"円盤"へと振り向く。"円盤"はジェット噴射を地面へ指向し、回転を止めてホバリングしていた。停止したそれは、古代の爬虫類アーケロンのごとき甲羅の形状を持っていた。甲羅はそのセグメントの一片一片に間接を持つように蠢き、刺々しい形状が次第に纏まった形となっていく。に甲羅の正中にあたる端部から、やはりアーケロンの如く顔が覗く。……小さな緑の双眸が巨大生命体を睨み、長い犬歯天へが聳える口元は何かを憎むように固く食い縛られている。そしてジェット噴射口から大樹のごとき四肢が伸び、推力を停止した"それ"は両足から着地した。着地の衝撃が粉塵を巻き上げ、近隣のビルから窓ガラスを砕け散らせ、着陸した"それ"を覆い隠す……程無くして、前傾姿勢だった"それ"が粉塵の中から半身を浮上させ、天を仰ぎ咆哮した。

ガメラ。後の研究で明らかとなる、守護神の名である。

→続【Part2-2】

4:ブタオさん オイオイオイ二話目って言ったけど一話目だわコイツ:2018/04/12(木) 21:13 ID:Ugc

Part2-2:玄武→守護神

対峙する二つの巨体。ガメラは正面の巨大生命体を見据えつつ、その重い足取りを進めていく。一方の巨大生命体……こちらも後にジガと名付けられた……は、初撃によって負わされた傷を再生させながらガメラに迫った。両者は正面から激突、真っ向からの取っ組み合いへと雪崩れ込み、互いの力を受け流しながら破壊のワルツを踊る。……先刻の負傷もあってか、この勝負はガメラが征した。柔道で言うところの"大外刈"に似た形でジガは負傷した右側へと転倒、ガメラは間髪入れずここに踏みつけを繰り出す。しかしジガもまた、無事な左腕を翳しガメラへ生体元素破砕光を放った。生物を蒸発させる光線、勝負は決まった……筈であった。ガメラは後方へと二、三歩たたらを踏みながらも、直ぐ様体勢を立て直してジガの腹部を蹴り上げる。ジガはくぐもった呻きを上げながらも、蹴りの衝撃に助けられる形で立ち上がり後退する。……ガメラは健在。その頬は痛々しく爛れ裂け、濃緑の血液を道路に滴らせる。それでもなお、他の生物と異なり生体元素破砕光は有効足り得ない。ガメラの肉体は通常の生物のそれとは異なるのだ。

続→Part2-3

【あとがき】
あんまりピンチは書きたくないけどガメラといったら傷付きながらも戦う姿が魅力ゆえ……

5:ブタオさん オイオイオイ二話目って言ったけど一話目だわコイツ:2018/04/12(木) 21:36 ID:Ugc

Part2-3:守護神→炎獄

これも後の研究で明らかとなることだが、ガメラの出自は伝説とされたアトランティス大陸、その超文明にあった。地球そのものの生命エネルギー"マナ"を集められ生み出された"守護神"なのである。"マナ"より生まれたその肉体組成は似こそすれやはり通常の生物とは明らかに異なっており、現代の水準からすれば半ばオカルトの領域にある存在であった。ゆえに、生体元素破砕光の原理が及ばぬ、いわば"神の領域"にこそその生命力の核は存在したようであった。ともかくガメラは健在であり、頭(かぶり)を振って血を払えばジガへと突進する。一方のジガもまた最初の負傷をほぼ全快させ、蹴りのダメージも致命傷とはならず勝負は振り出しに戻る。両者の再度の交錯は、共に右腕が放たれた。ジガの殴打がガメラの頭を揺らし、ガメラの突きはジガの腹部を貫く。ガメラは衝撃から逃れるように前のめりとなり、一方のジガは苦痛を紛らわすように仰け反った。お互いに一度距離を取るも、直後にはまた激突。再びの取っ組み合いが始まる。今度はジガのハンデもなく、しばし両者は膠着状態に入る。……そして不意に、ガメラは両腕部を着地時とは逆に収納、子供の押し合い遊びの要領で、勢い余ったジガはガメラに抱き付く形となる。……その気を逃すまいとばかりに、ガメラの両腕部の付け根からジェット噴射が浴びせられる。ジガは腕を付け根から蒸発、切断され、悲鳴と共に後退。しかしガメラも逃がすものかとばかりにジェット噴射を浴びせ続ける。ジガが射程外に逃れた頃には、その上半身正面側はほぼ完全に炭化し、ジガが歩む度にボロボロと崩れ落ち、その下からまた新たな体組織が再生していく。

続→Part2-4

6:ブタオさん オイオイオイ二話目って言ったけど一話目だわコイツ:2018/04/12(木) 21:51 ID:Ugc

Part2-4:炎獄→烈火

ガメラはその隙を見計らい、上半身を前のめりに傾け……そのまま大きく口を開き、深呼吸した。当然ながらこの巨体、ただの深呼吸で終わる筈もなく、その正面は台風をも上回る暴風が吹き荒れている。自動車が紙くずの様に転がり、電柱や街灯は雑草の様に薙ぎ倒されていく。そして、ガメラが口を閉じ、呼吸を止めた刹那……!地上に突然太陽が現れたかのような、閃光と衝撃。開け放たれたガメラの口内から凄まじい火球が飛び出しジガへ一直線に伸びて弾着。爆炎はジガの姿を隠すに飽きたらず、建物という建物を焼き、道路という道路を駆け抜けた。爆風がビルを薙ぎ倒し、車を巻き上げ……炎に包まれた全てが灰塵に帰した。巨大なキノコ雲が天へ高く高く昇っていく。……炎の中に、ジガの下半身だったものが燻りを生じながら佇んでいる。その周囲は巨大なクレータとなり、あらゆる物が失せていた。……炭化したジガの残骸は、それでもなお再生を始め、再びガメラの前に立ち塞がった。

続→Part2-5

7:ブタオさん オイオイオイ二話目って言ったけど一話目だわコイツ:2018/04/12(木) 22:12 ID:Ugc

Part2-5:烈火→地球

それから5時間に渡り戦いは続いた。戦いは、序盤に主導権を握ったガメラの優勢、それもワンパターン化した一方的な展開ではあった……だが、ジガもその強靭な再生力によって食い下がり、ガメラに少なからぬダメージを積み上げていく。このままではいずれ、ガメラの消耗もあり得る。それは恐らく、ジガも想定していたことだろう。……ガメラは威力減衰が目立ってきた何度めかの火球によってジガの片膝を撃ち抜き擱座させれば、自らも動きを止めた。……空に、巨大な波紋が生じた。地球全土で確認された黄金のオーロラの如きそれは、ガメラへと収束していく。黄金の光に包まれるガメラ、その腹側の甲羅が、ばくり、と大きく開放される……ガメラを生み出した超エネルギー"マナ"。無限に再生し続けるジガを滅ぼすべく、地球の生命力その物を糧として……閃光が、疾った。夜の街が朝陽のなかへ引きずり出されたかのような閃光。必殺の"ウルティメイト・プラズマ"が、無人の街を、そしてジガを呑み込み……光の中に、全てが融けていった。地球生命その物のエネルギーを前にして、ジガの再生力ももはや抗えなかった。人類の天敵となるかと思われた巨獣は、守護神の前に塵となって滅した。

そして、街に本当の朝陽が訪れた。全ての終わりを確かめたガメラは、雲を引いて天へと昇っていく。地獄を生き残った僅かな人々が、廃墟の中でその姿をいつまでも見つめていた。

ジガ-ZIGA-を一話目で打ち切ってみたシリーズ【玄武篇:完】


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