アイドル系魔法少女目指して☆

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1:千歳 建て直しです、ごめんなさい(> <):2018/06/21(木) 23:24 ID:FP6


プリチャンのマイキャラの小説です☆


 紹介 >>2

2:千歳:2018/06/21(木) 23:30 ID:FP6



バンビ☆

顔のタイプ☆ぱっちり
アイカラー☆ピュアストロベリー
ヘアスタイル☆ロング
ヘアカラー☆ミッドナイトブラック
声のタイプ☆ピュア

アイドル系魔法少女を目指す、14歳の人間の女の子。
魔法少女になる夢を叶えるために、日々ガンバっている。
色んな魔法少女と出会いたいがためにプリチャンを始める。
まじょりーな先輩(>>3)の魔法で1時間だけ魔法少女になれる。その時は瞳がハートになる。
負けず嫌いな性格。すきな食べ物は甘いものと苺。

3:千歳:2018/06/21(木) 23:35 ID:FP6



まじょりーな

顔のタイプ☆クール
アイカラー☆レイニーしずく
ヘアスタイル☆アイドルポニー
ヘアカラー☆シャーベットパープル

魔法の国から来た魔法少女の女の子。実年齢は不明だけど、見た目はバンビと同じくらい。
魔法少女になりたくてガンバっているバンビを、たまに魔法少女にしてあげる優しいお師匠様。
かっこよくて頼れるので、バンビからは「まじょりーな先輩」と呼ばれている。すきな食べ物はビールと裂きイカ。

4:千歳:2018/06/21(木) 23:39 ID:FP6



みらきーな♪

顔のタイプ☆おっとり
アイカラー☆ゆめかわアイ
ヘアスタイル☆ツインおだんご
ヘアカラー☆ブルーグリーン(パステルブルー)

魔法の国から来た魔法少女の女の子。まじょりーな先輩と同じく実年齢は不明だけど、見た目はバンビと同じくらい。
バンビにとっては優しげなお姉さんだけど、まじょりーな先輩にとってはちょっとうるさい幼馴染。
おっとりしてるけど意外と毒舌。バンビからは「みらきーなお姉さん」と呼ばれている。
すきな食べ物はうどんと氷砂糖。

5:こもも◆/s:2018/06/22(金) 11:24 ID:FP6



肌の色はいずれもライトベージュ。

6:千歳:2018/06/22(金) 22:06 ID:FP6



「あーっ、空から妖精さんが降ってこないかな〜!」
私は窓枠に頬杖をつきながら、お天道様に向かって叫んだ。本当に降ってこないかな、妖精でもぬいぐるみでも魔法使いでも、何でもいいから。
「またそんな事言ってるの?そんなの有り得るわけないでしょ」
「そりゃそうだけど……」
やっぱり降ってきてほしいものは降ってきてほしいのだ。この気持ちはどうにもならない。
「はー……。あんたの言う通り、本当に魔法があったら、便利な世の中になってたんでしょうね。」
嫌味ったらしく呟く友達に、私はうんうんと頷いた。それを確認した友達は、机の上に置いてあった鞄を掴んで、教室から出ていく。
「さ、もう帰ろっか。」
「うん」
私もそれを追い掛けるように、教室から出ていいった。

私の名前は、バンビ。ごく普通の中学3年生。
……いや、「ごく普通」なんて自称したら、友達に叱られるかもしれない。私はある意味、普通じゃない中学3年生だ。
さっきの会話を見てくれれば分かるかな。私は、俗に言う「魔法」を信じている。そして、自分は「魔法少女だ」と信じて疑わない。
もうこの年になってくると、魔法使いやら妖精やらのファンタジーな生き物を信じてる人はほとんど居なくなっちゃうけど、私は何歳になっても信じ続けられる自信がある。
私は魔法少女なのだ。誰が何と言おうと、私は絶対に。

「あーあ、空から妖精さんが降ってこないかなぁ!」
「まだ言ってんの?ほら、置いてくよ!」
先に歩いていく友達を追い掛けながら、私は青空を見上げた。

7:こもも◆/s:2018/06/24(日) 17:24 ID:FP6


「ただいまぁ」
重たい鞄を床に放り投げながら、私はローファーも脱ぎ捨てた。黒い革ってなーんか重苦しいんだよねぇ。スニーカー通学とリュック通学、OKにならないかなぁ。

今日も今日とて、何も変わらない日常。何の変哲もなくて、結構つまんない毎日。
何も無くても、悪い事があるよりかは全然いいじゃないかって思われるかもしれない。でも、やっぱりこんな生活が続いてちゃ、退屈だ。不思議な事が起こってほしいって、やっぱり思ってしまう。
「はぁ……」
こんな事考えたって、魔法少女や妖精なんて存在しないって分かってる。分かってるつもりだけど……やっぱり、本心は存在しないなんて思いたくない。
絶対どこかに居る。どこかに違う星があって、もしくはまだ誰にも発見されていない国があって、そこに魔法少女が住んでいるって。私は絶対、諦めない。
そして、いつか……叶うなら、私自身も、魔法少女になりたい。

8:こもも◆/s:2018/06/26(火) 21:07 ID:FP6


宿題に行き詰まった私は、気晴らしに散歩することにした。
夕方の風って、冷たくて気持ちいいんだよね。
「うーん…………ん?」
視界の隅に、何かが映った。黒い影が空から落ちてきたような……。
思わず何かが落ちてきた方向を見ると、人が地面に寝そべっていた。
「え……。」
近くには、大きなイチョウの木。視界の隅を落ちていった黒い影……木の下に寝そべってるって事は……まさか!
「あの、大丈夫ですか!?」
「うー、ん……」
慌てて駆け寄ると、その人はゆっくりと上半身を起こした。頭を抑えながら、苦しげに唸っている。
そりゃそうだよね、あんな高い木の上から落ちたんだもん。それにしても、どうして木なんかに登ったのかな?危ないって分からなかったのかな。
この人、見た目的には私と同い年くらいだ。綺麗な黒髪を、ポニーテールに結んでいる。きりりとつり上がった瞳は、綺麗な水色の飴玉みたいだ。
もしかして外国の人?何か困ってたのかな。ここら辺は夕方になると人通りも少なくなるし、誰にも話し掛けられなくて困ってたのかも……。
「あ、Are you OK?」
この人が英語圏の国の人なのか分からないけど、英語くらいしかわからないから、とりあえず言ってみた。
「うーん、何とか大丈夫よ……。あなた、さっきはニホンゴだったじゃない。無理にエイゴを使わなくてもいいわ。私はどこの言葉でも分かるから、あなたが普段使っている言葉を使いなさい……あいたた」
「は、はあ……」
すごい、色んな国を旅してるのかな。
「とりあえず、人が通ってくれて良かったわ。ちょっと手伝ってくれない?」
「あ、はい、いいですよ」
急だなぁ。でもまあ、いっか。困ってるみたいだし、放っておけないよね。
「それで、私は何をすればいいんですか?」
私が尋ねると、その人は腕についていた砂を払いながら言った。
「紫色の石を、探してほしいの。」
「紫色の石……?」
「そ。ハートの形をしているの。手のひらに収まるサイズだけど、特別小さい訳じゃないからすぐ見つかると思うんだけど……。」
「分かりました、探しましょ。どこらへんで落としたか分かりませんか?」
「多分ここら辺だと思うの。飛べなくなって落ちたのがここだし……」
「ん?飛べなくなった?」
「んんっ、何でもないわ。きっとここらへんだと思うわ」
その人は咳払いをしてから言い直した。
「分かりました。暗くなる前に見付けた方がいいと思うし、探しましょう」
「ありがとう……」
私達は、紫色の石を探すために、地面に這いつくばった――って言うのは冗談で。この道付近を探し回った。

9:こもも◆/s:2018/06/28(木) 19:21 ID:FP6


もう日が沈み始めていた。見上げた空はピンクと紺色とオレンジが混ざり合った、どこか切ない色に染まっていた。
「わあ、いつの間に……」
腕時計を見ると、紫色の石を探し始めてから30分以上経っていた。
「見付からないわね……困ったわぁ」
地面に座り込んで天を仰ぎながら、ポニーテールの女の子は嘆く。
「このままじゃ帰れないし……。行く宛ももちろんあるわけないし、どうしようかしら」
「え、そうなんですか?」
「え?ううん、何でもないわ」
小さな声だったからちゃんとは聞き取れなかったけど、「行く宛もない」「帰れない」って言ってたよね。それってすごく困るんじゃないかな。もうすぐ真っ暗になるし、五月とはいえ夜はまだ寒いし……。
「あの、もし良かったら、なんですけど……」
私は恐る恐る、提案してみた。
「今日、うちに泊まりませんか?」

10:千歳:2018/07/01(日) 01:39 ID:RCE


「あの……本当にいいの?急で困らない?」
隣を歩いていた女の子が、心配そうに尋ねてきた。
「大丈夫、困ってる人ほっとけないし!」
「そう……」
申し訳なさそうに俯くポニーテールの女の子。もう、本当に気にしなくてもいいのに!
「それよりも、何ていう名前なんですか?」
「え、名前?」
「そうです!」
こんなに綺麗な青い瞳なんだから、きっと外国の人だよね。髪の毛は真っ黒だけど、染めたのかな。それとも髪は地毛で、目がカラーコンタクトとか?名前が分かったら、どこの人なのかも分かるよね。どんな名前なんだろう、わくわく。
「私は……まじょりーな。まじょりーなよ」
「へ?」
私は思わず、素っ頓狂な声を上げてしまった。
だって。こんなの予想してなかったんだもん。
だってだって、「まじょりーな」だよ?そんな名前聞いたことないし、どこの国の人かも全然分からない。でも、日本人ではないって事は分かった。
「まじょりーなさん、不思議な名前ですね……」
何だろう。何だか惹き込まれるような名前だよね。理由はよく分からないけど、何か……素敵な名前。
「あなたは?何て名前なの?」
「私ですか?私はバンビです!」
「なに、あなたも不思議な名前じゃない」
くすくすとおかしそうに笑うまじょりーなさん。その笑顔にも、私はぐいぐい惹き込まれていった。
あ、何だか好き、この人。そう思った。
「あ、あそこがうちです!」
見えてきた私の家を指差しながら、私たちは誰も居ない道を歩いた。

11:千歳:2018/07/01(日) 22:10 ID:RCE


家の鍵を開けて、私はまじょりーなさんを招き入れた。
「おじゃまします……。」
恐る恐る家の中に入っていくまじょりーなさん。その後ろ姿を見て、私は違和感を覚えた。
あれ、そう言えば……。
「あの、まじょりーなさん。まじょりーなさんはどこかの国から日本に遊びに来たんですよね?」
「え?」
急な質問に、まじょりーなさんは素っ頓狂な声を上げた。
「え、ええ……そうよ」
「あの、旅行の荷物とかって、どこかに預けてるんですか?」
見たところ、肩にかけてある小さなショルダーバッグ以外、荷物はない。そんな小さなショルダーバッグに、何日分もの洋服が入るわけない。旅行なら洋服以外にも荷物はたくさんあるだろうし、どうしたらこんなに身軽で海外に来られるんだろう?
「え、ええと……そう、ホテルに預けてるの!」
「ほてる?」
「そうよ。」
「ホテルに予約してるなら、私の家なんかよりそっちに泊まった方が良くないですか?」
「え……」
まじょりーなさんは、そのまま黙りこくってしまった。あれ、私何か困らせるような事言ったかな?
だって、そうじゃない?ホテルを予約してるなら、私みたいなちっぽけな家よりも、快適なホテルで寝泊まりした方がいいじゃない。それともさっき探していた紫色の石って、ホテルの鍵の事?石と鍵なんて間違えるもんじゃないけど……。それに、何か引っかかるんだよね。もう喉元までそれが上がってきてるんだけど、それが何なのかは分からない。
「あの……迷惑かしら、やっぱり」
「え!?」
俯きながら、まじょりーなさんは悲しそうな声で言った。
「細かい事は言えないんだけど、本当はホテルなんてとってなくて……。今日中に帰るつもりだったの。でも、あの紫色の石がないと帰れなくて……。迷惑なら言ってちょうだい、すぐに出てくわ」
「え、え、え……!?」
ちょ、そんなつもりじゃなかったんだけど!
「ええとええと、全然迷惑なんかじゃないよ!?」
私は慌てて、両手をぶんぶんと振った。
「いいわ。もう帰ります。こんなに親切な人間が居るなんて思わなかったわ。ありがとう。それじゃ……」
そう言って、まじょりーなさんはドアの取っ手に手を掛ける。
「ま、待って!」
ドアを開けようとしたまじょりーなさんの、もう片方の手を握る。
「私、まじょりーなさんともっと一緒に居たいです!」
「え……?」
「だってだって、まじょりーなさんは――魔法少女だから!」
私の口から飛び出した言葉は、自分でも全然予想してない言葉だった。
でも、それは私がずっと思っていた事だったんだ。

12:千歳:2018/07/03(火) 18:58 ID:RCE



「え……?」
私のいきなりの謎発言に驚いたのか、ドアノブに手を掛けたまま、まじょりーなさんは固まってしまった。機械的に口を動かしながら、ゆっくりと話し出す。
「ええと、それは……どうして?」
「えっ?」
今度は私が驚く番。何となく思ってたことに対して「どうしてそう思ったの?」って訊かれても、何と答えればいいものか……。
「ええと、それは、まじょりーなさんって何か魔法少女っぽいなって思って……」
やっと絞り出した言い訳がこれか。何を言ってるんだ、私は。変人だと思われてしまうじゃないか!
「だから、どうして?」
「え、ええ?」
そんなに問い詰められるなんて〜。でもまあ、いきなりあなたは魔法少女だ!なんて言われたら、無理もないかぁ。
「何となく、紫色のハートの石とか、魔法少女っぽいし……瞳の色もすごく綺麗だし、何となくだけど……。ごめんなさい、私魔法少女が大好きなんです。気にしないでください」
「本当よ」
「え?」
まじょりーなさんは1回目をつぶってから、体を真っ直ぐに私の方へ向けた。
「だから、本当よ。私は魔法少女。よくわかったわね」
まじょりーなさんは、そう言った。うん、確かにそう言ったんだ。
「え……」
え?え??え???
「え……」
まじょりーなさん、本当に魔法少女だったの……!?

13:千歳:2018/07/09(月) 19:42 ID:RCE


今度は私が固まってしまった。だってだって、まじょりーなさんが魔法少女だなんて……。
「あの、私に無理に合わせてませんか?無理しなくていいんですよ」
「ええ?あなたが魔法少女だって言ってきたんじゃない」
まじょりーなさんは、的確なツッコミを入れてくる。
「うう……そうだけど」
やっぱり信じられない。目の前に、本物の魔法少女が居るなんて……。
でも、私はこの瞬間を、何度望んできただろう。寝る前も、お風呂に入ってる時も、学校で授業を受けてる時も、何なら夢の中でも。私はいつも、魔法少女と出会える事を望んでいた。だから素直に喜ぶべきなんだろうけど……やっぱり信じられないよ。
「……とりあえず、私の部屋に行きましょう」
私は人差し指を唇に重ねて、まじょりーなさんの手を引いた。
「?どうして静かにしなきゃいけないの?それ、喋るなっていう合図なんでしょう?」
まじょりーなさんが、小首を傾げる。
「ええと、それは後で説明します……とりあえず足音も極力立てないようにお願いします……!」
こそこそとまるで悪巧みをしているように話す私。
「それなら」
まじょりーなさんは、腰に付けたポーチを開いた。ぱかっと大きく開いたその中から、その中に収まりきるとはとても思えないほど大きな庭ぼうきが出てきた。
「それって……!」
「ふふっ、魔法のほうきよ。」
まじょりーなさんは、いたずらっぽく目を細めて笑った。

14:千歳:2018/07/14(土) 12:56 ID:RCE


庭ぼうきを見るのは初めてじゃないけど、それが魔法のほうきだってだけで、私は初めて目にしたように胸を高鳴らせた。
すごい、これで空を飛べるんだ……!
「私は窓からあなたの部屋に行くわ。」
「わあああああ……」
大きな水色のリボンがついたほうきに跨るまじょりーなさん。すごい。目の前に魔法少女が居て、しかも飛ぼうとしてる……!
「あの、ピンクのカーテンが掛かってる部屋なので!」
「分かったわ」
まじょりーなさんは、座るように膝を折り曲げた。すると、ふわふわとまじょりーなさんの体が宙に浮かび上がる。
「わあ……」
私はどんどん上昇していくまじょりーなさんを見上げながら、感嘆の声を漏らした。
飛んでる。本当に飛んでるよ!!
「見てないで早く鍵を開けてちょうだい!」
まじょりーなさんが、私を見下ろしながらそう言った。
「あ、ごめんなさい!」
私は慌てて家の中に入って、階段をだだだっと駆け上がった。
部屋のドアを蹴破って、私は勢いのまま窓の鍵をあけた。
ほうきに跨ったまま部屋に入ってくるまじょりーなさん。
「ふう……」
まじょりーなさんはゆっくりと着地して、庭ぼうきをポーチの中にしまった。

15:千歳:2018/07/20(金) 21:27 ID:RCE


「ふう……。で」
カーペットの上に座ったまじょりーなさんが、こほんと咳払いをした。
「急にお邪魔してごめんなさい。あなたの家族にも挨拶をしたいんだけど」
「だだだだだめですっ!」
私は思わず、食い気味に叫んでしまった。目を真ん丸にして怪訝そうに私を見上げるまじょりーなさんに、慌てて両手を振る。
「あの、違うんです!私、前に友達を家に泊めた時、騒ぎ過ぎた余り近所の人に怒られて、それから誰かを泊めるのは禁止になっちゃってて……。なので、ここに泊まる事、家族にバレないようにしてくれませんか?」
「え?そうだったの?」
まじょりーなさんは、目をぱちくりさせた。
「はい……。」
項垂れながら、私もまじょりーなさんの前に座った。
「それは別に構わないけど……。でもごめんなさい、そんな事とは知らずにお邪魔しちゃって」
「あ、それは全然いいんです!だって憧れの魔法少女に会えたんですもん……」
うっとりと呟く私を、まじょりーなさんは珍しそうに笑った。
「ふふっ、人間の世界で魔法を使う生き物は伝説だって聞いてたから、こんなにすぐに信じられるなんて思わなかったわ。あなたって不思議な人ね。」
くすくすと楽しそうに笑うまじょりーなさん。笑顔もとってもステキ……。
「でも、私ばっかり良くしてもらうのも良くないわ。ねえ」
ポーチをぱかっと開けて、まじょりーなさんはいたずらっぽく微笑んだ。
「あなたの願い、何でもひとつ叶えてあげるわ」
心臓が、大きく、大きく動いた。

16:千歳:2018/07/20(金) 21:56 ID:RCE


今、まじょりーなさん、何でもって言ったよね。何でもって、何でもいいんだよね。それって、あんな事とか、こんな事とか……。
叶えてほしいお願いの候補はたくさん出てきたけど、私はすぐに1つに決められた。
これは、私が生まれた時から、叶うなら1番叶えたい夢だったから。
「あの、まじょりーなさん……!」
私はどきどきと高鳴る心臓を両手で抑えて、ゆっくりと息を吸った。

「私を、魔法少女の弟子にしてください……!」

17:千歳:2018/07/22(日) 20:32 ID:RCE



まじょりーなさんは、何も言わないまま目をつぶった。頭に直接響いてくる自分の心臓の音に、私の手はじんわりと汗ばんできた。
うう。やっぱりだめかなぁ。だめだよね、そうだよね。だって私はただの人間だし、魔法少女になるために頑張ったってなれないのは分かってるよ。そうだよね、私ただの人だもん。魔法なんて使えっこないし――
「いいわよ。」
「やっぱりダメですよね……」
「何言ってるの、いいわよって言ったじゃない」
「え?いいんですか?」
思いがけない返答に、私は思わず聞き返してしまった。
「ええ。私も大した魔法は使えないけど、それでもいいならいいわ」
「ほ、ほんとですか……!」
私は部屋中を転げ回りたい気持ちを必死に抑えてガッツポーズをした。
「でも本当に期待しないで。私まだ300年も生きてないから、本当に大した魔法は使えないのよ。せいぜい飛んだりものを出したりするくらい。もっと生きてる魔法少女は、人の気持ちを動かせたり死人を生き返らせたり出来るんだけど……」
「は、はい?300年?」
まじょりーなさん、300年も生きてないって言ったよね?
そりゃそうだよ、普通300年なんてありえないもん。
「ええ。確か人間はせいぜい100歳まで生きられたらいい方らしいわね。魔法少女の世界では、1000年生きるのは当たり前よ。」
「え、ええ……」
それ、魔法「少女」って言わないような……ごほごほ。
「ま、私みたいなヒヨッコ魔法少女でいいなら、いくらでも指導するわ」
「あの……もしまじょりーなさんの元で修行をしたら、私も魔法少女になれるんですか?」
私の質問に、まじょりーなさんの表情は曇る。
「いいえ、それは残念だけど不可能だわ。生まれた時から人は人、魔法少女は魔法少女。どちらももう一方にはなれない。どう頑張ってもね。魔法少女も人間になりたくても、魔法を使っても人間にはなれないの。
でも、まあ……一時的にあなたを魔法少女にすることなら、私にも出来るわ」
「ほんとですか……!?」
一時的にでも、魔法が使えるようになるなら嬉しい!
「それじゃ、これからよろしくね、バンビ」
「はい、まじょりーな先輩……!」
「先輩?」
まじょりーなさんは不思議そうに首を傾げる。
「はい、魔法少女のお師匠様だから、まじょりーな先輩です!」
「先輩……何だかいい響きね」
まじょりーなさんは、くすりと笑った。

こうして、まじょりーなさん――まじょりーな先輩の元での 私の魔法少女ライフは、始まったのである……。

18:千歳:2018/07/25(水) 17:59 ID:RCE



「さて……。魔法少女だって事がしられちゃった以上は、本当の帰れない訳を教えなくちゃいけないわね」
私がお風呂から上がって部屋に戻ってくると、まじょりーなさんはかしこまってそう言った。
「あ、さっきのは誤魔化しだったんですね」
「ええ。でも、紫色の宝石がないと帰れないのは確かだわ。実は……」
「それが魔法の世界に入るための鍵とか!?」
私は思わず身を乗り出して叫んだ。一階にはお母さんが居るのに、本物の魔法少女が発した「宝石」に、思わず興奮してしまったのだ。
「話をちゃんと聞いて。一応私はお師匠なのよ」
まじょりーなさんの瞳がぎらりと光る。
「う、ごめんなさい……」
そうでした。私は弟子の身分でした。
「冗談よ。私だって泊めてもらう身だもの。
それで、その紫色の宝石は、本当はなくても帰れるの。」
「え?それじゃあ今すぐにでも帰……」
私は言いかけて、慌てて口を塞いだ。まじょりーなさんが魔法の世界に帰っちゃったら、修行出来ないじゃん。
「実は、その宝石……私の幼馴染みの宝物なのよ」
「幼馴染みの……?」
魔法少女にも、幼馴染みとかってあるんだ。
「ええ。だからもし失くしたって知ったら激怒するの思うの。普段はぽわーってしてておっとりしてる子だけど、怒ると誰よりも怖いのよね……。」
「そ、それは大変ですね……。」
「そうなのよ。だからお願い、一緒に石を探して!毎日一時間だけ魔法少女にしてあげるからっ!」
まじょりーなさんは両手を合わせて私を拝んだ。
「もちろんOKですよ!」
石を探すだけで一日一時間魔法少女になれるんだもん♪
「あ、ありがとう……!」
そう言って顔を上げたまじょりーなさんは、少しだけ泣いていた。ど、どれだけ怖いんだろう、その幼馴染み……。
「でも、今日はとりあえず寝ましょう。私、明日も学校なので」
「学校?人間の世界には学校があるのね」
「学校って、魔法の世界にはないんですか?」
「ええ。物語の中にしかないわ。」
へえ、初耳。魔法学校みたいなものがあるのかと思ってた。
「あら、あなた、本当に眠そうよ。早く寝なさい」
私を見て、まじょりーなさんは優しくそう言ってくれた。
「はい。じゃあ、おやすみなさい〜……」
本当に眠かったので、お言葉に甘えて寝させてもらうことにした。
「おやすみ、……バンビ」
まじょりーなさんは、初めて私の名前を呼んでくれた。

19:千歳:2018/07/27(金) 21:15 ID:RCE



「うーん……」
嫌〜な寝苦しさで目が覚めた。いつもの癖で窓の方を見ると、朝日でカーテンが透き通って見えた。もう朝だ。
「うーん……あれ」
何か硬い。硬くて背中が痛い。何でだろう。
……ああ、そっか。まじょりーな先輩が泊まってるから、私は床で寝てたんだ。そうだったよ、夢の魔法少女と会えたんだよね、私。
「って、重っ!」
起き上がろうと思ったら、脚の上に何かが乗っかっていて、上手く起き上がらなかった。足元を見ると、そこにはまじょりーな先輩の頭が転がっていた。
「まじょりーな先輩!ちょっと、勘弁して〜っ」
ベッドで寝てたはずのまじょりーな先輩が、何故私の上に寝てるの。寝相悪過ぎだよ!
「うーん、もう朝……?」
まじょりーな先輩は目を擦りながらゆっくりと起き上がった。
「ふふっ、まじょりーな先輩、髪の毛寝癖だらけですよ……」
思わず笑ってしまった。だって本当に芸術的なんだもん…………ん?
「ああ!み、見ないでください!」
私は慌てて、自分の頭を両腕で抱えた。
「え?何で?」
ぼーっとした目でまじょりーな先輩が私を見る。寝ぼけてる今ならまだ間に合う、早くあれを……!
「……バンビ、あなたの方か寝癖酷いわよ」
まじょりーな先輩は、私が1番触れられたくないところに触れてきた。
「あう……」
私は頭を抱えていた両腕を下ろして、がっくりと項垂れた。
「そうなんです……。私すごいくせ毛なんです……」
「昨日は綺麗なストレートだったじゃない?」
「アイロンで伸ばしてたんです……。」
うう。すっかり忘れてた。アイロンかけてから起こすべきだった。
「今のあなたも素敵よ。わざわざ伸ばす必要ないんじゃないかしら」
「だめですっ!」
私は思わず、大きな声を出してしまった。もう家族はみんな起きてる時間だから、あんまり大声出しちゃいけないのに。
「どうして?」
まじょりーな先輩は不思議そうな顔をした。
「だって……笑われるんだもん」
泣きそうになるのを必死に抑えて、私は呟いた。
「笑うなんて失礼な人達ね。私は今のバンビの方が好きだわ」
「え?」
「だって素敵よ。そうだわ、こうすればもっと良くなるんじゃないかしら」
まじょりーな先輩は机の上に置いてあった鏡を持ってきた。その前に私を座らせて、私の髪を両サイドで括る。
「ほら。」
鏡に映ったのは、くしゅふわなツインテールの私だった。
「わ、わぁ……」
くしゅふわの髪が生きていて、とても可愛い。自分で言っちゃうけど、結構イケてるかも……。
「ね。あなたはあなたでいいのよ」
「まじょりーな先輩……」
何ていい人なの。私、一生着いていきます……!

「それじゃ、行ってきます」
ドアの鍵を閉めて誰も見ていないのを確認して、私は2階の自分の部屋を見上げた。窓からまじょりーな先輩が手を振ってくれている。
「頑張れ、バンビ!」
私はツインテールを触りながらはにかんだ。
まじょりーな先輩が褒めてくれた髪型だもん。誰にも笑わせないよ。

20:ちもも:2018/09/16(日) 15:59 ID:uvg



「えーっと……ただいまぁ」
学校から家に帰ってくると、何やら上の階から、騒がしい話し声が聞こえてきた。しかも外まで聞こえてるし。一体何が起こってるのかな?
「まじょりーな先輩?どうかしたんですか?」
家に家族が居ないことを確認してから、私は叫んだ。
「まじょりーな先輩……?」
恐る恐る、部屋のドアを開ける。
「まじょりーなせんぱ……わあ!?」
私は思わず、ドアを閉めてしまった。
そして、もう一度開ける。
「まじょりーな先輩!だだだどどうしたんですか!!」
「バンビ!帰ってきたのね、助けて!」
「まじょりん〜、隠してないで早く返してよ〜、私の宝石いいい」
必死にこっちに手を伸ばすまじょりーな先輩と、その上に乗っかる女の人。……って、
「その人……だれ?」
綺麗な水色のお団子頭が、こっちを向く。
「ひ!」
その目は、まるでこわ〜い猫みたいにつり上がっていた。額には、漫画に出てきそうなあのマークが浮かんでいる。
「あら〜、あなたは誰かしら?もしかしてまじょりんを居候させてくれてる人間の女の子かしら?その様子だと、もうまじょりんが魔法少女って事は知っちゃってるみたいねぇ……」
部屋の隅に立て掛けてあったほうきをチラ見しながら、女の人はそう言った。
「ひいいいい、あの」
「幼馴染の私が代わりにお礼しておくわね。ありがとう、バンビちゃん♡」
そう言いながら、女の人は笑顔で私に近付いてきた。でも何だか怖い笑顔なんだけど!
「まじょりーな先輩、助けて!」
今度は私が助けを求める番だった。
「はぁ……。ねえ、みらきーな。宝石の事はちゃんと話すから、バンビを巻き込まないでちょうだい」
女の人――みらきーなさんから開放されたまじょりーな先輩は、溜息を吐きながら私からみらきーなさんを引き剥がした。
「宝石はなくしちゃったの。これは本当に悪いと思ってるわ。」
「悪いと思ってるなら探してよ〜。あれがないと私、魔法使えないのよ〜?」
「あら、魔法を使う条件にそんなものなかったと思うけど」
「南魔法界の魔法少女は、最初に零したなみだを結晶化させて、それを使わないと魔法が使えないの!西魔法界とは訳が違うのよ」
「そうだったかしら。もしそうなら、それでいいんじゃない?あんたは人間になりたかったんでしょ。魔法が使えないなら人間も同然だわ」
「まじょりん、今私が魔法使えなくて良かったね。私今すっごおく怒ってるから」
ひいいい。何なの、何なのこの人!
「あ〜っ、薄情なまじょりんと違って、バンビちゃんは可愛いねぇ!私もこんな人間の女の子に生まれたかったわぁ」
みらきーなさんが私に抱き着いてきた。
「くっつかないでください!!」
「ははっ、嫌われてやんの」
それを笑うまじょりーな先輩。
「バンビちゃんはそんな子じゃないと思うけどな!あ、まじょりんには分からないのかぁ!」
「残念ね、バンビは私の弟子なのよ。あなたより私の方が、バンビのことならよくわかってると思うわ」
「何それ!ねえバンビちゃん、みらきーなお姉さんの事好きよね?ね??」
「は、はい」
好きなのか聞かれても、さっき会ったばっかりだし、しかもあんな場面見せられたら逆に怖いんですけど!でもまあ、嫌いではないし。
「これからはみらきーなお姉さんって呼んでね☆」
「は、はぁ」
……ん?これからって?
「私、どっちにしろ宝石がないと帰れないから、バンビちゃんちに泊まるわ!」
「え……えええええええ!?」
魔法少女が2人も、私の家に住むなんて……。嬉しいけど嬉しくないような、もうなんなの!

21:ちもも:2018/09/21(金) 11:35 ID:9uw


「あーあ、せっかく人間の女の子の家に泊まれるって言うのに、部屋から出られないのは辛いなぁ!」
みらきーなさんが押しかけてきてはや一週間。みらきーなさんは子供みたいに脚をバタバタさせながら、天井を仰いでいた。
「おい、恥ずかしいから子供みたいなことすんなよ、もう大人だろ」
「みらきーなさんって、何歳なんですか?見た目は結構お姉さんぽいけど……」
「女の子に歳を聞いちゃだめよ、バンビちゃん」
笑顔の圧力。うう、怖い。
「失礼しちゃうわ、私がちょっと老けてるからって……」
ぶちぶちと口を尖らすみらきーなさん。
「あ、いや、そういう意味じゃなくて。スタイルいいなって思って」
慌ててフォローする私。
すると、みらきーなさんの目がきらっと光った。
「よくぞ気付いてくれたわね、バンビちゃん!!
私、魔法界でも結構スタイルいいほうなのよ。ボンッキュッボンの擬人化とも言われたくらいだわ!」
「はん、そんなの誰にも言われてなかったじゃん」
「余計な事言わないで!」
横から突っ込んできたまじょりーな先輩を睨むみらきーなさん。

22:ちもも:2018/09/21(金) 11:36 ID:9uw


「それよりバンビちゃあん、そろそろ私の事もみらきーなお姉さんって呼んでよお」
いきなりみらきーなさんが擦り寄ってきた。
「わっ」
慌てて逃げる私。
「なぁんか、懐いてくれないのよねぇ。私だって、バンビちゃんが憧れてるまじょりんと同じ魔法少女なのに……」
「だって、何か怖いんですもん」
「ひっどーい!バンビちゃん。ねえまじょりん、私のどこが怖い!?」
「全部だな。何か雰囲気がもう怖いんじゃないの?私は生まれた時からずーっとお前にくっつかれてきたからもう慣れてるけど、お前は怒ると怖いから、懐かれても何か裏があるような気がすんだよ。お前って腹黒いし」
「え、ええ……それは知らなかったわ」
「まずはそれを治すんだな。まあ、バンビの師匠は私だか――」
「バンビちゃん、お姉さんがバンビちゃんのお願い、何でも叶えてあげる!」
みらきーなさんはまじょりーな先輩の言葉を無視して、私の手を握った。
「最後まで聞けよ!」
「な、なんでも……!?」
とか言いつつも、私も目の前に提示された夢のような言葉に、ついまじょりーな先輩の言葉を無視してしまった。
「そうよ。な、ん、で、も☆」
「それじゃあ、それじゃあ……」
どうしよう、何にしようかな!
「魔法少女になるのは無理だから……そうだ」
私はウォークインクローゼットの1番手前に閉まってあったアレを取り出した。
「あら……可愛いドレスね」
「はい!昔、ピアノの発表会で着たんです!その時すごく上手く弾けて、デザインもお気に入りで、入らなくなっちゃったけど取ってあるんです。これをまた着たいなって……」
「確かにバンビちゃん、結構背高いものね。サイズを大きくするのは不可能じゃないけど……。せっかくなら、ちょっとだけリフォームしちゃわない?」
「リフォーム?」
「そう!もっと魔法少女っぽく、可愛くしちゃいましょ!」
「魔法少女っぽく……!だ、だったら、私が小さい頃から思い描いてた魔法の世界を、スカートにプリントしたいです!」
「いいわね!それじゃあいくわよ〜」
みらきーなさんが、ポケットから棒状のものを取り出した――あれは、魔法のステッキ!!
「ケーンよ。えいっ!」
みらきーなさんがドレスに向かって杖を一振すると、私のドレスは、キラキラ光り輝いた。
「わあ」
光が消えていくと、そこからは私の頭の中をそのまま印刷したような、魔法の世界のドレスがあったんだ。
「すごい……!すごい、みらきーなお姉さん!」
私はドレスをぎゅっと抱き締めた。
「ふふ……作戦成功ね」
みらきーなお姉さんがなんか言ってた気がするけど、私は聞かないことにした。

「……ねえ、お取り込み中悪いんだけど、いいかしら?」
何やら殺気を放っているまじょりーな先輩か、みらきーなお姉さんの肩を掴んだ。
「魔法……使えないんじゃなかったかしら???ねえ???」
「おほほほ、なんのことでございますかしら」
「とぼけんな!石がないと魔法使えないって!!」
「あー……実はね、昨日、ウサウサちゃんに頼んで街を探してもらったのよ。本当にアレがないと困るから」
「ウサウサ!?なんでお前が!!」
「いいじゃない。まじょりん、いつまで経っても石見つけてくれないんだもの。」
「分かったよ、謝るから、ウサウサを返してくれ」
「ウサウサちゃんならもう魔法界に帰ったわ。そ、れ、よ、り、も」
まじょりーな先輩とみらきーなお姉さんの会話をよそにドレスを眺めているわたしを見て、みらきーなお姉さんはにやりと笑った。
「バンビちゃんを手懐けるの、意外と簡単だったわ♥︎」
「お前なぁ……」
あーもう、また聞かなかったことにしよう!


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