キセキの世代×ナミ【黒バス×ONE PIECE】

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1:ピン子◆/Q:2019/02/03(日) 00:03 ID:yMo

私の大好きなナミさんを取り巻く、キセキの世代や他のみんなの話。

朱崎ナミ
帝光中学
2年前の姿(Fカップ)
帰宅部だが、キセキの世代と仲良し
変なあだ名で呼ぶ(ネーミングセンスはない)

41:ピン子◆/Q:2019/02/10(日) 01:11 ID:CHI

部活見学のため、体育館の中で練習の様子を見る。体育館の中に女の子の悲鳴が響く。
ほとんど涼太くんに向けてだろうけど 。

「はぁー…黄瀬くんカッコ良かった〜」

「ホントホント」

「黄瀬くんと話したぁい」

「そういえば黄瀬くんと同じクラスのナミっていう子、黄瀬くんと仲良いらしいよ」

「は?まじ!?何それずりー」

「黄瀬くんに色目使ってんじゃない!?」

「どんぐらいのブスか今度見てみよーよ」

「いいねそれ」

『ギャハハハハ』

あたしがトイレに行ってる間に練習が終わったのか、体育館の中にいた女の子達がゾロゾロ帰って行った。

あー、隠れてて良かった。あたしの悪口すごく言われてるし。確かにあの女たちより、可愛いし男子から人気もあるし胸もあるし性格もいいけど♡

別に気にしてなんかないわ。中学からだし。

「ナミっちー!!」

「涼太くん」

お待たせと言って手をブンブン振りながら、走ってきた。そんなに走らなくても逃げないわよ

「こ、この子が黄瀬の彼女?」

「超かわいい…」

「そうでしょ!俺の彼女まじ可愛いんスよ!」

「誰があんたの彼女よっ!!くだらない冗談言ってんじゃないわよ!!」

「ブフッ」

涼太くんをぶん殴る。すると、1人の先輩が私の肩を抱いてきた。

「これからは君のためにバスケで勝利するよ。 美しいお嬢さん。」

「あら、ありがとうございます」

「森山由孝だよ。よろしく」

「あたしはナミです。森山…さん?」

「由孝でいいよ。敬語もなし」

バスケ部の人は変人が多いと再認識したわ。そして、涼太くんの紹介でレギュラーの人と仲良くなった。これまた、全員一癖も二癖もある。

ーー

「ナミっち、どうかしたんスか?」

なんか元気ないッスよ、とあたしの顔を覗き込んでくる

「な、何でもないわ!」

悪口言われたこと気にしてるわけじゃないけど…なんだか胸に引っかかる。

「嘘」

「へ?」

「ナミっち嘘ついてるっス」

なんでこいつはこういうときだけ勘がいいのよ

「何があったか言わなくてもいいっスから、溜め込まないでよ」

ほら、と言って左手を差し出す涼太くん。これは手を繋げと…?でも、あたしはその手を握らなかった。そして、笑顔を浮かべる。

「大丈夫よ。あたしってそんなに弱くないから。」

「……」

涼太くんは不満そうな顔をしていたけど、これは本当だから。

あたしの悪口が言ったやつは、全員あたしが何らかの制裁を喰らわすわ。

「涼太くん」

「何スか?」

「あたし、海常に来て良かったかもしれない。バスケ部の人たちはみんな優しいし、面白いし」

「じゃ、じゃあ、マネージャーやってくれるんスね!!?」

「うん。あたし、マネージャーする。力になれることは少ないかもしれないけど。」

アンタのバスケをサポートしたいと思った。ここでアンタがするバスケを、1番近くで見ていたい。

「それに、カヤやビビと会ってみたいしね。あーくんと真太郎のおかげで、ケータイの番号は交換できたの」

「やっぱすごいッスね、ナミっちの行動力…」

「2人ともテツみたいに、ナミさんって呼ぶタイプだったわ」

「黒子っちねぇ…」

ーーーーー

「笠松先輩!!」

「うおっ!ナミ!いちいち抱き付くな!シバくぞ!!」

「とか言いつつ、顔真っ赤じゃない。先輩」

「うるっせぇ!!」

42:ピン子◆/Q:2019/02/10(日) 01:17 ID:CHI

「えっと…体育館どこだろ」

「ちょっと涼太くん」

「こっちっスかね」

「ちょっと!聞いてんの?」

「なんスか?ナミっち?」

あたしと涼太くんは今、誠凛高校にきている。誠凛高校に用事があるのはあたしじゃなく、この駄犬。あたしは無理矢理連れて来られた

「なんスか?じゃないわよ!なんであたしを連れて来たのよ!…ちょっと、呑気にファンに手振ってないであたしの質問に答えなさいよ!」

繋がれている手を振り払おうとしたが、意外に強い力で握られていて解けない。 ムカついたので足でふくらはぎを思いっきり蹴ってやる。

「ちょ、スポーツ選手の足!」

「なによ?だったら顔面にグーパンチプレゼントするわよ」

「モデルの顏!そんなこと言わないでナミっち〜!…じゃなくて、誠凛高校って聞き覚えないっスか?」

……そうだ、テツと鉄平さんの高校!!

そうと分かれば鉄平さんは無理だけど、テツに早く会いたい。涼太くん早く、と言って手を引っ張る。

「あ、ちょ、たぶんそっち体育館じゃないっスよ」

そう言うと涼ちゃんは私の手を引いて歩き出す。

ーーーー

「ねぇ涼太さん涼太さん」

「ちょ、涼太さんとか、なんか照れるっスね」

「うっさい駄犬。そうじゃなくて…」

体育館に入ったはいいものの、涼太くんのファンに囲まれてサイン会が始まってしまった。

涼太くんの隣りにいたあたしも囲まれてしまって身動きが取れない。すぐそこにテツがいるのに近寄れない。

「何!?なんでこんなにギャラリーができてんのよ」

バスケ部のマネージャーさんだと思われる人物が声を上げた。うちの駄犬が迷惑掛けてめんぼくない…

「あーもー…こんなつもりじゃなかったんだけど…」

隣りに座りながらサインを書いている涼太くんがボソッと呟いた

「あいつは…黄瀬涼太!」

誰かが発した声に涼太くんと二人でそちらを見た

「…お久しぶりです」

テツと目が合って挨拶された

「ひさしぶ「テツ!!久しぶり!」

「ちょ、俺の声遮らないでよナミっち!」

文句を言っている涼太くんを華麗に無視して、テツに手を振る

「すいません。マジであの…え〜と…てゆーか5分待ってもらっていいスか?」

「早くしなさいよ」

あんたが早くしないとあたしも動けないでしょーが

サインを書き終えて、よっと体育館のステージから涼太くんが降りる。そしてあたしに手を差し伸べてきたので素直に握り、あたしもステージから降りた

「いやー、次の試合の相手誠凛って聞いて、黒子っちに挨拶に来たんスよ…ね、ナミっち」

「無理矢理連れて来られたのよ!テツ!」

そう言って抱き着くと頭をよしよし撫でられた。そして、ナミさんは黄瀬くんと同じ高校に行ったんですね、と言われた

「オレたち中学の時、一番仲良かったしね!」

テツから離れて2人の会話を聞く

「フツーでしたけど」

「ヒドッ!」

ナミっち〜、と泣き付かれたけど無視を決め込む

「というか、そこのナミちゃんっていう子は海常のマネージャーさん?」

「マネージャーであり、俺の彼女ッス!」

「朱崎ナミです。テツがお世話になってます」

「僕の中学時代の同級生です」

あたしもテツも、ふざけたことを言っている涼太くんを無視したら、また泣き付かれた。

「ふーん…」

女の人は私に近付くと、ガシッとあたしの胸を掴んだ

「ぁ、」

咄嗟に変な声が出てしまった

「くそ、デカイ…IかHってところか…」

な、なんなの?あの人…!っていうか、顔真っ赤にするな男共!

するといきなりシュッと音がしてバスケットボールがあたしと涼太くんの方に飛んできた

「っと!?」

涼太くんはあたしを抱き締めてボールを片手で防いだ。バチィと音がする。

「った〜。ちょ…何?ナミっちに当たったらどうするんスか?」

「せっかくの再開中ワリーな。けど、ちょっと相手してくれよイケメン君」

『火神!?』

どうやらさっきのボールは彼が投げたみたいだった

「血気盛んね〜」

涼太くんは文句言いながら、やる気になってブレザーとネクタイを脱いであたしに渡してきた

「これお願いナミっち」

「……」

あたしは無言でそれをテツに渡そうとしたけど押し返されたので、仕方なく持っててやることにした。

43:ピン子◆/Q:2019/02/10(日) 08:26 ID:Ouc

涼太くんと火神くんの勝負はあっさり涼太くんが勝った。

「ん〜…これは…ちょっとな〜。こんなんじゃやっぱ…挨拶だけじゃ帰れないっスわ。
…やっぱ黒子っちください」

何言ってんのコイツ、と思いながら退屈過ぎて欠伸がでた。

「海常おいでよ。また一緒にバスケやろう」

涼太くんの言葉に体育館が静まる。

「とても光栄です。丁重にお断りさせて頂きます」

「文脈おかしくねえ!?」

2人のやり取りに思わずふっと笑みが溢れてしまう。それから2人の会話を聞き流しながら、今日の晩ごはんのことを考える。

「冗談苦手なのは変わってません。本気です」

ハッと我に返ったとき、なんだか険悪なムードになりそうだったので急いで2人のもとに駆け寄る。

「涼太くん!そろそろ帰るわよ。誠凛の皆さんコイツが迷惑掛けてごめんなさい!」

そう言って片手に涼太くんのブレザーとネクタイを持ったまま、もう片方の手で涼太くんの腕を掴んで連行する。

「あ、テツ!また今度会いましょう」

そう言って微笑めばテツがはい、と言って微笑み返してくれた。

ーーーー

「ねぇねぇナミっちー」

「なによ」

涼太くんがブレザーを着てネクタイを結びながら声を掛けてきた。

「さっきの黒子っちの言葉聞いたっスか?」

「え、いや全く」

「えー…。オレたちキセキの世代を倒すらしいっス。無謀なこと言うねー、黒子っち」

「そんな余裕かましてたら負けるわよ。寧ろアンタたちのその余裕な態度がムカつくから倒して欲しいわ」

そう言うとまた涼太くんが泣き付いてきたのでうんざりした。

「なんならアンタ、帰り道にケガして試合出れなくなってあの試合した子に笑われたらいいのよ!」

「ちょっ、ナミっち海常のマネージャーッスよね!?」

「そうよ?でもアンタはムカつくからムリ」

「ムリってなんスか!?」

たわいない会話をしながら、駅のホームへ入る。すると、誰かが前から走ってきて肩がぶつかった。

「待って高尾さん!…わっ」

「った、」

「ご、ごめんなさい!ケガはないかしら?」

「大丈夫よ。アンタも大丈夫?」

「ええ、大丈夫」

長くて、大ちゃんより色素の薄い青色の髪の毛を揺らす彼女は、どこかで見覚えがあった。

「ナミっちー!行くッスよー」

「あ、うん!待ってー!」

「……ナミさん?」

「…アンタはビビ?」

そう、真太郎のとこのマネージャーのビビだ。メールや電話でしか話してなかったので、分からなかった。

「ナミさんなのね!緑間さんから話は聞いてたし、メールや電話も何度かしてるから会いたかったわ!」

「あたしもよ。会えて嬉しいわ、ビビ!」

このままどこか話せるとこに行きたいところだが、お互い今は時間がない。

「また会いましょう。今度はカヤも」

「ええ!じゃあまた」

そう言ってあたしたちはお互い、逆の方向へ進んだ。

44:ピン子◆/Q:2019/02/10(日) 13:29 ID:7bg

練習試合当日。あたしと涼太くんで、誠凛さんたちを迎えに行く。

「火神くん。僕の友達で、海常のマネージャーであるナミさんです」

「おう。よろしくな、ナミ!俺は火神大我だ」

「よろしく!火神ちゃん」

「ちゃん!?」

誠凛さんは体育館に入って驚いた。当たり前か。練習試合にコートを半面しか使わないのだから。これは本当にウチを倒して欲しい。監督イラつくし。あと黄瀬涼太も。

そして、試合が始まった。

ーーーー

笠松先輩のボールを一瞬で奪うテツ。さすがね。ここは変わってないわ。そして、テツからのパスを受けて火神ちゃんがゴールを決めた…ってか!

『ゴールぶっ壊しやがったぁ!!?』

軽くゴールを壊した火神ちゃん。…へえ、面白いじゃない。しかもなんか大ちゃんに似てるし

呆然としてる監督をよそにコート全面を使うことになった。

そして、我らがキセキの世代の黄瀬涼太が試合に参加する。どうなるのかしら…
あら、誠凛のカントクさんは気付いたようね。黄瀬涼太のすごさを

女の子に手を振る涼太くんを、笠松先輩がシバく。もっとやってもいい。

次は涼太くんがゴールを決める。
さっきの火神ちゃんを模倣(コピー)して。

始まってまだ3分なのに、ハイペース。これはノーガードで戦ってるようなものだ。

でも、

火神ちゃんがムキになって挑めば挑む程、涼太くんはそれ以上の力で返してくる。今のままじゃ、火神ちゃんは追いすがるのが精一杯…!!

カントクさんも同じことを思ったのか、誠凛がT.Oを取った。

ウチの監督があまり点差が付いてないことに怒鳴る。あたしは選手たちに飲み物とタオルを渡す。

すると、涼太くんが不敵に微笑んだ。

「彼には弱点がある。」

海常高校に入ってから、涼太くんは成長した。でも、それはテツも同じ。

どっちの方が成長したのか、それともまだ実力が分かってない彼の方が強いのか。

さて、どうなるのかしら。

45:ピン子◆/Q:2019/02/10(日) 16:27 ID:7bg

「黄瀬についてんのって…すげーパスしてたやつだろ?」

「え、うそ。見てねー」

「ってゆーか…」

『相手に…なるわけねえーーーッ!!!』

初めて見た…!テツと涼太くんがこんな風に向き合ってるところなんて!

涼太くんはドリブルでテツを抜く。すると前に火神ちゃんが現れた。そして、テツが背後からボールを取る。

「止めるんじゃない…!“獲る”んだ…!!」

そして、一気にゴールを決める。笠松先輩たちも厄介そうな顔をしている。次は3Pを打とうとした涼太くんを、火神ちゃんが抑え込む。

なるほど。つまり平面はテツが、高さでは火神ちゃんがカバーするってことね…!

すると、涼太くんが誤ってテツを殴ってしまった。テツの頭からは、血が流れる。

「テツ!!」

急いでテツの元に駆け寄る。監督が怒鳴っているが、友達がケガしたのだ。そんなことに構っていられない。

「カントクさん!早く手当てを!!」

「ナミさん、大丈夫です。まだまだ試合はこれから…でしょう…」

「黒子ォーーー!!!」

「倒れながら何言ってんのよ!!」

パタリ、と弱々しい音を立てながらテツが倒れてしまった。

「…どうする」

「黒子くんはもう出せないわ。残りのメンバーでやれることやるしかないでしょ!」

あたしは誠凛さんの作戦会議を黙って聞いとく。だってテツが心配だもの。
あたしはマネージャーだけど、彼女とは違って別に彼らに口出しできるほど特殊な能力は持っていない。

「早いけど“勝負所”よ、日向くん!」

3P決めてた人って、日向さんって名前なのね。っていうか、“勝負所”ってなんなの?

「黄瀬くんに返されるから、火神くんOF禁止!DFに専念して。全神経注いで黄瀬くんの得点を少しでも抑えて!!」

「そんな…それで大丈夫なんで…すか?」

確かに。テツがいないのに火神ちゃんをDFにまわしていいの?

「大丈夫だって。ちっとは信じろ!」

「でも…」

「大丈夫だっつってんだろダァホ。たまには先輩の言うこと聞けや殺◯すぞ!」

笑顔でそう言うメガネの人に、赤髪のあのお方を思い出させられる。っていうかなに?怖いんだけど…

「ったく、今時の1年はどいつもこいつも…もっと敬え!センパイを!そしてひれ伏せ!!」

「スイッチ入って本音漏れてるよ、主将」

え、あの人主将なの!?うそ、こわっ!
日向くんの変わりように、火神ちゃんがすごく驚いていると彼にイケメンな人が近付く。

「あー、気にすんな。クラッチタイムはあーなんの」

「……?」

それでも分かってないみたいな火神ちゃん。うん、あたしもよ。

「とりあえず、本音漏れてる間はシュートそう落とさないから。OFは任せて、お前はDF死にものぐるいでいけ」

か、かっこいい…!やばい、不意にもキュンとした!誰だろう、あの人…

「…カントクさん、あの人たちって?」

「あいつらは…って何で膝枕してんの!?」

「いい機会だったんで、頼んだらしてもらえました」

「はあ…
あいにくウチは一人残らず…諦め悪いのよ」

そう言うカントクさんの顔は、すごくかっこよかった。何?誠凛ってかっこいい人多くない?

「優しい時は並の人!スイッチ入るとすごい!でも怖い!!二重人格クラッチシューター日向順平!!」

に、二重人格…?ああ、赤髪のお方が脳裏に…

「沈着冷静慌てません!クールな司令塔!かと思いきやまさかのダジャレ好き!伊月俊!!」

し、司令塔…?赤髪のお方がはっきりと脳裏に…!っていうかこの人、伊月さんって名前なのね。俊くんって呼ぼう…

「仕事キッチリ縁の下の力持ち!でも声誰も聞いたことない!!水戸部凛之助!!」

誰も声を聞いたことがないって…相当な無口じゃない!!会話とかどーしてんの?!

「なんでもできるけど、なんにもできない!Mr.器用貧乏!小金井慎二!!」

最後の人、扱いひどくない?まー、かわいいからコガって呼ぼう。

これが誠凛ね。鉄平さんの言う通り、おもしろい!

46:ピン子◆/Q:2019/02/10(日) 16:37 ID:7bg

「…ナミさん、約束します。」

「え?」

「僕はキセキの世代に勝ちます。そしたらまた、バスケしましょう。
みんなと、一緒に。」

テツはあたしの手を握りながら言った。

「テツ…」

そして、コートに立った。

あたしは敵であるベンチに戻った。

ここがあたしの、今のあたしのいるべき場所だ。

ーーーー

笠松先輩が慣れたのにもう戻ってやがる、という顔をしている。。テツは20分試合に出てないのだ。見えなくなっていて当たり前だろう。

そしてついに、同点まで並んだ。

涼太くんのフインキも変わる。そして、一気にシュートを決めた。ここからは、ランガン勝負だ。

(残り15秒で同点…!どうすんのよ!)

残り7秒のになったとき、笠松先輩のシュートを火神ちゃんが抑えてボールを取る。
そして、テツにパスをまわす。

テツはシュートなんてできないはずだ。

「っ、パスミス…?」

違った。
テツは火神ちゃんにボールを回し、火神ちゃんがボールを取った。シュートだ。
でも、涼太くんが防ごうと飛ぶ。

だけど、飛んでる時間は火神ちゃんの方が長かった。

「これで終わりだからな!!!」

試合終了と同時に火神ちゃんが決めた。

点数は100対98…ってことは

『うおおおお!誠凛が!?勝ったぁぁ!!!』

テツが、火神ちゃんが、誠凛が勝ったんだ!!

監督がチッと大きく舌打ちをした。あたしは静かに持っていたボードに、100対98で誠凛の勝利、と書いた。

涼太くんの方を見ると、初めて感じる敗北に彼は涙を流していた。

「え、黄瀬泣いてね?」

「いや、悔しいのは分かっけど…」

「たかが練習試合だろ」

あたしは敢えて涼太くんを励まさない。だって、今励ますのはあたしの役目じゃないから。

つーかうっさいのよ。アンタたち試合出てないじゃない。涼太くんの気持ちも分からない癖に。
まあでも、あの人たちは分かるわよね 。

「っのボケ!メソメソしてんじゃねーよ!!」

「いでっ!」

「つーか今まで負けたことねーって方がナメてんだよ!!シバくぞ!!!」

笠松先輩が涼太くんの背中を蹴る。

「そのスッカスカの辞書に、ちゃんと“リベンジ”って単語追加しとけ!!」

「整列!!
100対98で誠凛高校の勝ち!!」

『ありがとうございました!!!』

ーーーー

「次はIHね!がんばりなさいよ!」

「アンタ、ウチのこと応援してもいいのか?」

「さっき黒子のこと膝枕して、海常の監督に怒鳴られてたしな」

「いいのよ。海常のマネージャーでも、友達の方が大事だから。ね、日向さん、俊くん」

「「俊くん!?」

何でお前だけ下の名前呼び!?と日向さんが俊くんに突っかかる。あたしはカントクさんに頭を下げた。

「お疲れ様でした、カントクさん」

「待ってナミちゃん!私は相田リコ。よろしくね!」

「っ、ハイ!」

あたしに新しい友達がたくさん増えた。

「テツ、火神ちゃん。
涼太くんに勝ってくれてありがとう。」

それだけ言ってあたしは、涼太くんを探しに行った。

47:ピン子◆/Q:2019/02/10(日) 17:00 ID:7bg

涼太くんを探しに中庭に行くと、水道のところで黄色頭がしゃがみ込んでいるのを見つけた。

あたしはその黄色頭に駆け寄る。

「涼太くん」

声を掛けると俯いてた涼太くんが顔を上げる。

「ナミっち…」

目が赤くなってて、さっきまで泣いてたことが分かる。

でもアンタは、弱ってるところを人に触れられたくない男だから、触れないであげるわ。

しゃがみ込んでいる涼太くんの頭を少しかがんで、優しく撫でる。
すると涼太くんがガバッと立ち上がり、あたしもつられて背筋を伸ばす。

そして、あたしの胸に顔を埋めた。

普段は女の子の目を気にしてぶん殴るけど、今日は何も言わず、されるがままにしておく。

「もうちょっと、このままでいさせて…」

「うん」

涼太くんがあたしの胸の中で弱々しく呟いた。

ーーー

「オレ、かっこ悪ィっスよね…余裕こいて、本気出して負けたんスもん…」

「あたしは、本気を出して負けたことはかっこ悪いとは思わないけど。」

弱々しく喋る涼太くんの背中をぽんぽんと叩く。

「大丈夫。本気のアンタ、かっこ良かったわ。次はIHでしょ?誠凛さんにも言ったけど、がんばりなさい」

「ナミっち…」

「それに…あたしは今の涼太くん、好きよ。」

本気で、勝つために、お遊びなしで頑張るあんたは、すごくかっこ良かった。

「だから、いつまでも下を向かない!あたしの知ってる黄瀬涼太は…「ナミっち〜〜!!」

「…は?」

涼太くんがあたしを抱き締める。
っていうかさっきのシリアスは!?

「今のは愛の告白ッスね!?」

「アホかァ!!あたしが言ってんのは試合中の涼太くんが好きってこと!!一言も通常時の涼太くんが好きとか言ってないでしょ!!!」

涼太くんを引っぺがして、殴る。再起不能にしてやろうか。

「だいたいねぇ、あんたと付き合うくらいなら、どこぞの御曹司とでも結婚してるわよ!」

「ひどいっ!オレだって結構稼いでるっスよ?モデルで」

「うっさい!!」

もう2発げんこつをお見舞いする。でも、いつもの調子が戻って良かったわ。

「…そろそろイチャつくのもやめるのだよ」

「え…」

嘘でしょ、この声と喋り方は…

「しん、たろー…?」

「久しぶりなのだよ、ナミ。それより黄瀬、何ださっきの試合は「真太郎!!うそ、本物!?何で神奈川にいるの!!?」

真太郎に抱き付いて、頬をペチペチ叩く。ナミっちーと泣いてる駄犬は無視だ。

48:ピン子◆/Q:2019/02/10(日) 20:37 ID:7bg

「触るな!…黄瀬、さっきの試合は何だ?まあ…どちらが勝っても不快な試合だったが」

メガネをカチャッと上げる仕草は相変わらず癖のようだ。あたしの手を払って涼太くんの方を見る真太郎。

「サルでもできるダンクの応酬。運命に選ばれるはずもない」

「帝光以来っスね。つか別にダンクでも何でもいーじゃないスか。入れば」

ぶーっと頬を膨らます涼太くんの頬をぶすっと潰す。ついでにいつもの仕返しとして、指をグリグリする。

「だからお前はダメなのだよ。近くからは入れて当然。シュートはより遠くから決めてこそ、価値があるのだ」

真太郎の手には、相変わらずのテーピング。

「俺は人事を尽くしている。そして、おは朝占いのラッキーアイテムは必ず身につけている。だから俺のシュートは落ちん!!!」

「毎回思うんスけど…最後の意味が分かんないッス」

これがキセキの世代No. 1シューターであり、キセキの世代No.1変わり者である。

「真太郎、ビビは?」

「アイツなら、もう少しで来るのだよ」

「あ、真ちゃんいたいたー」

「緑間さん!」

真太郎を迎えに来たのか、1人の男子とビビが駆け寄って来た。秀徳のジャージを制服の上から着ているビビはとても可愛い。

「え、アンタ真ちゃんって呼ばれてんの?ぷぷっ、かわいいじゃない」

「うるさいのだよ。」

「しかも友達できたの?これは大ちゃんに報告ね!」

「うるさいのだよ!アイツらは下僕だ」

「照れなさんな」

「うるさいのだよ!!」

ーーーー

「じゃあビビちゃん、俺は先行ってるから真ちゃん連れて来てね」

「分かったわ、高尾さん」

先輩に呼ばれた高尾という男の子を見送る。ここにはあたしと涼太くん、そしてビビと真太郎が残った。

「ビビ、黄瀬涼太よ。涼太くん、この子は砂国ビビ」

「よろしく、ビビっち!」

「ええ。よろしく、黄瀬さん」

ビビと涼太くんが挨拶をする。

「ビビっちは彼氏とかいるんスか?」

「うん。剣道部なんだけどね、幼馴染が恋人よ」

「涼太くん、ビビを狙おうったってそうはいかないわよ!

「そんなこと思ってねーっスよ!」

49:ピン子◆/Q:2019/02/11(月) 00:56 ID:7bg

真太郎とビビと別れて、涼太くんと2人で並んで帰っているとステーキボンバーという店からテツが出てきた。

「テツ!」

「あ、ナミさん。…と黄瀬くん」

「…黒子っち。ちょっと…話さねぇスか」

「……?」

テツに会えたことに嬉かったけど、今のあたしはそれよりも違うことに興味がいった。

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これ、たべれる人いんの?すっごく気になる…それにお腹も空いたし

「ここじゃあれなんで場所移動しよ。行くッスよ、ナミっち。…あれ?」

「ナミさんならワクワクしながら、そこの店に入って行きましたけど」

「はぁ…ナミっち〜…」

ーーーー

ステーキボンバーに入ると誠凛さんが勢揃いだった。
邪魔にならないように端のほうに座って取り敢えず普通サイズのステーキを注文する。

店の人は誠凛さんの方を見て涙を流していた。あたしも見てみると、火神ちゃんがぱくぱくとボリュームステーキを完食していた。

(り、リスみたいに食うとる…)

財布を見ると、お金が少し足りなかった。…仕方ない。お店の人を読んで、潤んだ目で少しシャツのボタンを開けて話す。

「お金が少し足りないんですけど…」

「お、おまけします!おまけ!!」

「やだ!ありがとうございます!!」

ガバッとお店の人に抱き付く。チョロいもんよ、男なんて

店の人にヒラヒラと手を振って外にでると誠凛さん達が慌てていた。

「どうしたの?リコさん」

「あら、ナミちゃん!黒子くん見てない?」

「あー、なんかさっき黄瀬涼太と話をするって…」

最後まで言い終わるうちに、何だってー!?と叫んで誠凛の人達はテツを捜しにいった。

あたしは呑気に涼太くんどこに行ったんだろ、と思いながらスマホを開くと、ストバスが出来る公園に黒子っちといるから、というメールがきていた。

そちらに向かおうとしたら火神ちゃんを見つけた。

「火神ちゃん、テツの居場所分かったわよ」

「案内してくれ」

ストバスの公園につくと涼太くんとテツが深刻そうな話をしていた。だから火神ちゃんと2人でこっそり話を聞いていた。

といっても、あたしには何のことだかさっぱり分からなかったので、早々飽きていた

ボーっとしているといつの間にか隣りに居たはずの火神ちゃんがいなかった。
あれ?と思い涼太くんたちほうを見ると、涼太くんと火神ちゃんが居た。

「テツもいない…」

キョロキョロと辺りを見るとストバスのコートでテツが不良相手に喧嘩売っていた。あたしは思わず駆け出す。

「はあ?いきなりなんだてめぇ」

不良がテツの胸倉を掴んだとこでようやく辿り着いた。

「ちょっと!そいつを離しなさいよ!」

「ナミさん?」

「あ?んだこの女…お、可愛い顔してんじゃねぇか」

そう言って不良どもの手が顔に触れたのでパシッと振り払う。

「触んないで」

「気の強ぇ女も嫌いじゃねえぜ」

不良どもが近づいてきたと思ったら、あたしと不良どもの間にテツが割って入った。

「ナミさんに近づかないでください」

「あ?なんだこら…そうだ、バスケで勝負してやる。負けたらこの女は貰うぞ」

は?何言ってんのよ。見るからに貧乏そうな癖に、と言ってやろうと思ったらなんだかテツがやる気になっていて言い出せなかった。

「あのー…俺らも混ざっていいっスか?」

背後から声がしたので振り返ると涼太くん火神ちゃんがいた。

「ったく、何やってんだテメーら。まぁいい、5対3でいーぜ。かかってこいよ」

火神ちゃんが啖呵を切ると相手の不良どもは怯えていた。

涼太くんにブレザーとネクタイを渡され、またかと思いながら受け取る。
するとテツと火神ちゃんがこれもお願いとジャージを渡してきたので、涼太くんのブレザーを地面に落として2人のジャージを受け取った。

「ナミっちヒドイ!」

と抗議を受けたので仕方なく拾ってやる。そしてブレザーを羽織った。

50:ピン子◆/Q:2019/02/12(火) 01:08 ID:dS2

勝負は瞬殺だった。

もちろんテツたちの勝ち。

「お前は!何を考えてたんだ!!
あのまま喧嘩とかになってたら勝てるつもりだったのかよ!?」

「いや100パーボコボコにされてました」

テツが力こぶを見せるも、全くない。あたしのと同じぐらいなんじゃないだろうか。

あたしは羽織っていたブレザーを脱いで、ネクタイと一緒に涼太くんに渡しに行った。

「ナミっちも、自分が女の子ってこと自覚して欲しいっス。まじでオレ、心臓止まるかと思ったんスから」

「でも「でもじゃない。いくら強くても男が本気出したらナミっちだって勝てないかもしれないんスから」

涼太くんにそう言われて、むぅ…とむくれる。

「黄瀬くんの言う通りですよ、ナミさん」

テツにまで言われて眉根を下げる。そしたら火神ちゃんに頭をガシガシ撫でられた。

「あんま無茶すんなよ」

「火神ちゃんーーー!!」

「うおっ!!」

抱き付くと、不器用ながらも受け止めてくれた

ーーーー

「じゃ、オレたちはそろそろ行くっスわ…最後に黒子っちと一緒にプレーもできたしね!」

そう言って綺麗な顔で笑った涼太くんに無意識に見惚れてて、柄にもなく心臓がドキドキした

すぐに我に返ってテツと火神ちゃんにジャージを渡した。

「あと火神っちにもリベンジ忘れてねぇっスよ!」

「火神っち!?」

「良かったわね。認められた証拠よ」

「良くねぇよ!」

「じゃあね。テツ、火神ちゃん」

「はい」

「おう、またな」

そして、あたしは待っててくれた涼太くんの隣りに並ぶ。

「そういえばナミっち、なんでシャツのボタン開いてるんスか?」

「げっ!!こ、これは…熱くて…」

「また男誘惑して、おまけしてもらったんスね!?危ないからやめてって言ってたじゃないっスか!!」

「ご、ごめんごめん!…きゃっ」

走り出そうとすると、こけそうになって涼太くんが腕を咄嗟に掴んでくれた。

そのまま涼太くんの手はあたしの手をがっしり繋いだけど、今日はこのままにしておこう。

「涼太くん…元気出しなさいよね」

やっぱ。負けた後だからか、どこと無く元気がなかった涼太くん。なんだかこっちが調子狂う。

「もう、だいぶ元気出たっスよ」

涼太くんの言葉に、自然と笑みが浮かぶ。

「…ありがとう、ナミっち。ナミっちが居てくれたから元気出たっス。…出来れば、これからもずっと側にいて欲しいかなー、なーんて…」

「え、ごめん涼太くん。ぜんっぜん聞いてなかったわ。なに?」

「そんな!!俺結構大事なこと言ったッスよ!?」

「ボーッとしてたわ。ごめん!」

「悪魔か!」


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