仕事が午前中に終わり、珍しく誰もいない大広間。例の戦争までまだ十分時間はある。なんか腹ごしらえでもしようと、大広間を覗くも誰もいない。そういえば今日昼食の係りだなんて頭の端でぼんやり考えながら、秋色に染まりかけている庭を見つめる。
今日は誰がパートナーだったっけ?なんて考えながら、机に視線を移すと、今日は机の上に珍しく花が生けられていた。思わず気になり近付くと花瓶のそばにある小さなメモ用紙には鉛筆で殴り書きのような文字が綴られていた。
「 ……あおい…そら?…… 」
メモから少しふわりと柑橘系の匂いがするが、最近はこういうメモ用紙でも売っているのだろうか?なんて思いつつ、このメモをここに置いとくのもなんだか嫌な気がして、ポケットにそっとしまう。時計を見るとお昼まであまり時間がない。パートナーを待つより、作った方がいいだろう。紅茶派は時間にシビアだ。
「 まァ、戦闘狂しかいねーもんな… 」
冷蔵庫の中身を確認しながらぼそりと呟く声は誰にも届かず消えてった。今日はパンケーキでも作ろうかなんて考えながら材料を並べていると、後ろから仲間のオペラが立っていた。
「 今日、当番、あんただっけ? 」
明らかに時間に遅れているのに悪びれた様子もない彼に少し苛立ちを覚えながら、訪ねると目の前の相手は首をかしげながらこちらを不思議そうに見る。あれ、おれ…なんか間違ったこといったっけ?
「 レイレさんから、ワタシに代わりを頼まれたんだが、もしかしてコッコくんは聞いていないのかい? 」
「 ワタシもついさっきまでレイレさんをコトトさんと一緒に探してたんだよ、でもみつからーーーー 」
べらべら喋る相手をよそに違和感を覚える。ここの住人はそこまで無責任なことはしないだろう。居ないのが柑橘茶の彼女なら、もしかして、あのメモは……。
「 ……屋上?… 」
「 ん、コッコくん、なにかいったかい? 」
なんだか嫌な予感がする。もしかして彼女はーーーーーー。
「 オペラっ、悪い、また今度! 」
呆けている相手はそのままに階段を上り屋上の扉を開く。そこには先程の彼らが探している彼女がいた。
「 …へへっ、思いの外早く見つかっちゃった 」
くるりとおれの方を振り返り、紅茶の彼女はそのまま背を地面に向け落下していく。そんな彼女はに急いで近づきすんでの所でその手を掴む。
「 っ!……お前、ばかなんじゃねーのっ!……あんな走り書き残して 」
「 ふふっ、そうかもねぇ……でも十分興味をひく結果にはなったかなーって感じ 」
興味をひく?、それってどういうことかそう訪ねる前にするりと掴んだ手が滑り落ちていく。目のはしに少し涙をためながら彼女はそのまま言葉を紡いでく。
「 それだけで私は十分だよ 」
「 だってほら、……君が来てくれたっ!…… 」
嬉しそうに微笑みながら、まだ夏の終わりを感じさせる日に包まれながら、秋色に染まりかけた庭の中に彼女は落ちていく。
イチイの実が彼女が居なくなった屋上にことりと一粒風にのって落ちてきた。
イチイ・・・「死」
#小説のようななにか #ここくん #キャラ崩壊してます
ここくんとレイです、あめだま様のリクエストを僕なりに頑張ってみた結果でした()