匿名民のCPを勝手に作るスレpart13

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442:匿名の腐女子:2016/08/16(火) 18:27


「あっちい」
ふうと息をついて額の汗を拭い、赤髪の少年は自転車の取っ手にもたれ掛かった。気だるそうに半開く両目の視線はずっと傍の八百屋に注がれている。いや、正確に、八百屋の中で今しがた店主からおつりを受け取る少年に注がれていた。
「まいどありー!」
店主の声に手だけ降って返し、金髪の少年は買い物袋片手にようやく店から出てきた。
そして日差しの下で溶けたように項垂れている赤髪の彼を見て、少し苦笑いしてみせる。
「お待たせして申し訳ない、悪魔殿」
「っんとーにな…聖書っち遅すぎ…」
「おかげで300円分値引いてもらえましたので何かアイスを買いましょうか」
「お!買う!」
一転して目を輝かせながら悪魔はがばっと体を起こした。聖書から受け取った荷物を乱雑に籠に放り込むと、ペダルに足をかけて走り出す準備をした。後ろには慣れた様子で聖書が座り、悪魔の肩に両手をかけて安定した姿勢をとった。
「行くぞ」
ギィときしむ音を響かせながらペダルを踏めば、停止していた自転車は徐々に進み始め、やがて軌道に乗ったかのように風を感じるほどのスピードへと達する。

炎天下。
夏休み。
路傍の蝉の大合唱に包まれながら、二人の少年は目的地を目指す。

ピンポン。
簡素なチャイム音の後、扉の向こうから人の気配が近づくのが分かり、聖書は慌てて乱れてもいない髪を習慣的に撫でた。初めて対面するわけでもないのに、いつもこうして緊張してしまうのである。そうしてガチャリとカギが外されて扉が開かれれば、見慣れた仮面が真っ先に目に飛び込んできたのだった。
「いらっしゃい聖書さん。あれ、悪魔は一緒じゃないのですか?」
「はい!……ええと、悪魔殿は自転車を留めに、」
言いかけたところで背後から悪魔の声がした。
「しゅしゅたんおっす!邪魔するぞ」
「ああ、どうぞ上がって」
「お、お邪魔します」
奥に戻っていくしゅしゅに続いて、聖書、悪魔の順で家に入っていく。
バタンとドアが閉まれば、世界は一瞬で外の喧騒と暑さから隔絶されるのであった。決して広くはない独り暮らし用の1LDKは綺麗に整理整頓され、家主の几帳面さを見て取れるものである。心地よいクーラーの冷風に当てられながら部屋をキョロキョロ見回して、聖書はとりあえずしゅしゅにすすめられるがままに床に腰を下ろした。目の前のローテーブルにはきっちり三人分のグラスがすでに用意されてあり、水滴だらけのよく冷えた三ツ矢サイダーもおかれてあった。さらにテーブルの向こうにはオープンキッチンがあり、悪魔としゅしゅが先ほど買ったものを冷蔵庫に収納しているのが見える。
肩掛けのバッグをここでようやく下した聖書は、自分も何かしようとサイダーを三人のコップに注ぎ込むことにした。
「あ、聖書さんはどうぞ座っていてください!客人なんですから」
なんてしゅしゅが慌てて言った頃には、すでに三つのグラスにはなみなみとサイダーが注がれてあった。細かい気泡が軽快な音を立てながらどんどんグラス底から上っていくさまは美しい。「いえ、お構いなく」と聖書は小さく笑って見せた。一人だけなにもせずに待つのはむしろ辛いものだ。
キッチンから悪魔もやってきたところで、ようやく三人でローテーブルをとり囲んで座った。
開口一番に、しゅしゅは本題へと直行する。
「夏休みの宿題は終わりました?」
「「うっ」」
二人が同時に呻いて気まずそうな顔をする。これだけわかりやすい反応で察せないしゅしゅではない。彼は仮面の下で困った笑顔を一瞬つくるも、すぐにペンとノートを取り出して言った。
「お昼まではまだ1時間ありますし、先に少し宿題を進めておきましょうか」
「おう…」
「ええ…」
今日聖書と悪魔がしゅしゅの家に集まったのはなんでもない、夏休みの宿題の完成を助けてもらうためのいわゆる『お勉強会』であった。
ペンを構えてのんびりした姿勢で待つ家庭教師はもはややる気満々で、悪魔は出しかけたトランプをもう一度カバンの底に突っ込みなおし、苦虫を噛んだような顔で問題集とペンケースを引っ張り出した。


匿名の腐女子:2016/08/16(火) 18:29 [返信]

>>442-443
愛してます><


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