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8:まつり@結珠◆klVAly. トリップ被ったから変更 @低浮上気味?:2018/07/23(月) 11:46

『余り物でごめんね』


席替えをした。

班のメンバーは変えずに、席順、場所だけの移動。
一番前の真ん中の席が、私のお気に入り。
私たちの班は、誰かが一番前の真ん中の席になれる。

――私、そこがいい。

なんて…言えるはずもなく。

みんな、真ん中の前は嫌って言ってる。
私は?私の希望は?

私なんて、いらないもんね。
邪魔だよね。

班の中で、独りだけ輪の外にいる。
そのくらいは、気づいてた。

……でも、そんなの…気付かないフリしてたって同じだもん。
邪魔だなんて、勝手に思っていればいい。

こんなの、被害妄想だ。イタい奴。


五人班だから、誰かが他の班の人の隣になる。

友達の由美ちゃんが、『純玲(すみれ)ちゃんと伶々愛(れれあ)ちゃんが、ゆずちゃんを一人にするって話してたよ』って教えてくれた。

なによ、一人って。 
他の班の人でも、隣になる人がちゃんといる。
……だから、一人じゃないよ。

一人でいいの?大丈夫?って、由美ちゃんは言ってくれた。
……別に良いよ、って返した。

だって、五人班だもん。誰かが余ってしまうのは仕方がない。


……でもさ。

「一番前の真ん中、誰にするかじゃんけんね!」

四人が席を決めているなか、私は、独り突っ立っていた。
……前に、迷惑かけちゃったから。
私の希望なんて、言わない方がいい。

間違ってる。そんなの間違ってる。
知ってるけど、知ってるけど…!
知らないフリしてた方が、都合が良いの。

長谷部くんの、

「かわいそ」

って声が聞こえた。

私に対してじゃ、ないよね…?
学級委員に、かわいそうな人認定されるなんて。

「ゆずなちゃん、そこ。後ろ、理雄(りお)くんの隣」

伶々愛ちゃんの、決めつけるような声。
いや……完全なる決めつけ。
良いよ。良いんだよ。

――本当は、前が良かったけど…。


視界がぐにゃっと歪んだ。
下唇を嫌と言うほど噛み締めて、下を向き続けた。

「……ごめんね」

聞こえたかは分からない。
別に、聞こえてなくてもいい。

「余り物が隣で、ごめんね」


者ですらない。 

私はクラスの、


余 り 物 


まつり@結珠◆klVAly. トリップ被ったから変更 @低浮上気味?:2018/07/23(月) 11:46 [返信]

>>8の小説の元です
http://otameshipost.gonna.jp/novels_original/novels_original.cgi?mode=view&no=12&id=6361215


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