美術室の窓から見えるこの景色。私が大好きな景色。
海、海、海、そして、青空。自然豊かで賑やかで。どこか寂しげで―。誰かが行っていた。空は大きなキャンパスだって。
全部が真っ青で、綺麗な世界。けどこれではまだ足りない。
視線を下へ落とす。もっともっと私の大好きな世界が見えてくる。
蹴球で遊ぶ人々。その中から1人を見つける。筆を持つ私の手が止まる。
はぁ。
大きなため息をついて、手を動かす。
彼処に交ざりたい。交ざりたくない。混ざりたい。混ざりたくない。
今日は、今日こそは、話しかけてみようかな。女子もいるし、一緒にやってみようかな。
そんなことを考えている間に、チャイムが鳴った。キャンパスと筆を片付けて、下駄箱へ向かう。
今日も話すことは出来なかった。
あの青空の水色は、私の色。いつか、貴方の虹色で染めてくれる日を待っているー
我ながら厨二病っぽいな。フフっと笑い、昇降口を出る。
ばいばい。
誰かに肩を叩かれたのを感じ、後ろを振り返る。
私の水色の心が、何かに変わった。