ねえ、覚めない夢のように〔 兎碧のつぶやきパート19 〕

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508:兎碧◆cul9sZ0zs 〔 明日は、晴れますか? 〕:2019/09/24(火) 01:18

>>498

今日明日でめっちゃ進めます。テストがあるから。

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時計の針が進むのがものすごく遅い。
時計が進むのが早い時は楽しいときで
時計の針が進むのが遅い時はつまらない時らしい。
私いままでいきてきて、楽しいって思ったことがあまりない。
物心ついた時には、運動に縛られていたから。
暇すぎて眠すぎる古文の授業。
大学には1時間目から6時間目までずっと運動する学校があるらしい。体育の先生志望のひとが多く通う学校、体育系の学校。
高校にもそう言うのがあったらいいのに。いや、あるのかな? もしかしたらあるのかもしれない。
私の父はもともとそこに行くつもりだったらしい、先生にも推薦してもらえることが決まっていて、オリンピックの出場も硬い、などとテレビで報道もされるようになって……将来の絵図が決まった矢先の怪我だったそうだ。
父はその事実を受け入れることが出来ず、運動バカだったためドクターストップも聞かずに部活に出た。怪我も治らないうちに。
小さな頃から本気で運動に取り組んできて、力を抜くことはなかった父は、もちろん本気で走った。直後に倒れ込んで担架で運ばれて保健室へ。少し前にも同じ光景をみたなあ、なんて陸部のメンバーに言われたそうだ。
そして医者に怒られる、でも懲りずに部活に出る、そして担架で運ばれて……何回も何回も繰り返したそうだ。
それも全て、『夢を叶えるために』
なんで自分がこんなことにあったのかと、恨んだそうだ。
何度も何度も死のうとしたけれど、十種競技で体を鍛えすぎた父は2階から落ちたぐらいでは三途の川を渡れなかった。
医者に説教をなんどもされても話を聞かずに、また医者の所にきて手当てをうてる父の姿は、まるで幽霊のようだったと、母がママ友に話しているのを盗み聞いたことがある。
母親は父親とは対照的で、私の好きなように生きなさい、と言っている。
6歳くらいの頃、学校から帰ってきて、あなたの好きなことをしなさい、と言われた。
小さな頃から運動ばかりだった私は好きなことが思いつかず、父が練習をすると言った時に、咄嗟に運動が好きだ、と言った。
その時の母の悲しそうな顔は、今でも忘れられない。
あの時、違う答えを返していたら未来は変わっていたのかもしれない。
でも……どうせ、私には運動しかないんだ。
ああ、大学にもし入るとしたら運動系の大学に行こう。もう父との練習はこりごりだ。自主練も好きじゃない。
相変わらず動きの遅い時計を眺めたあと、教室の風景に目を向ける。
授業はまだ始まって20分くらいだ。だが、もう既にいつものメンバーが顔にあとをつけ、髪に癖をつけていた。
古文、生物、歴史。それぞれメンバーは違くなるけれど、いつも誰かはこうして夢に落ちる。
私もひとつ欠伸をして、グラウンドを眺める振りをしながら眠りについた。
6月の本州は梅雨真っ最中。
毎日降って降って止まらない雨の奏でる音を聞きながら、私も仲間たちの元へと向かう。
この調子じゃ、今日のサッカーも体育館でやるんだろうな、と考えている間に、意識はなくなっていった。


兎碧◆cul9sZ0zs 〔 明日は、晴れますか? 〕:2019/09/24(火) 01:47 [返信]


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退屈すぎる授業を居眠りで終わらせ、
給食を食べ、五時限目の体育の授業、サッカーへと時刻は進んでいく。
「5時間目が体育だと給食あんま食べたらダメになるじゃん?」
「わかる、走れなくなるよね」
「でも、6時間目とか部活とかでお腹すいて困るよね」
「分かる!! 小学生の時はなんにも気にしなかったのにいつの間にか走るの辛くなったよね」

五時限目が体育だと毎回誰かが同じようなことを言うのは、どこの学校でも統一なんだろうか?
うちの学校はいつもそう。よく懲りずに同じ話できるよねっていつも思う。
とりあえず筋肉が足りないんだと思うんだよね、まあスマホばっかやってるから運動なんてしないんだろうけど。
太ももに以上についた筋肉を見下ろす。
半ズボンで走るから、太ももの一定の位置より上が、私の本来の肌の色。
日に焼けた肌の色がどれだけ黒いかがよく分かる。
たまにこの色の境目を見ながら湯船で泣く。なぜここまでも自分が運動に縛られなくてはいけないのかと思いながら。
虚しさ、とは違う、なにか難しい感情。
寂しいような、悲しいような、無力さを感じるような。
最近は笑うことも少なくなってきた。
もうかれこれ1年くらい笑っていないと、母がよく言う。

五時限目が終わったら、次は生物だ。
生物の先生は河童。どこがって、それはもう察してもらうしかない。流石生物の先生だ! とよくいじられる。美術も得意で生物の絵が無駄に上手くて、女子には人気がない。解剖の見本の絵なんて書いた日には散々言われている。グロテスクだの、よくあそこまで書こうと思っただの、生徒に見せること自体がおかしいだの。

あの先生は寝ていても特になにも言わないから生徒の3分の2以上が寝ている。そのため授業を早く進め、テスト範囲の勉強の時間を多くとる。それでもテストの点数の平均があまりにも低い人がいるから校長先生によく叱られるそうだ。自虐ネタでよく授業中に話す。同じ河童なのに、と。

河童先生の授業は寝るのが確定だから、私はお腹が空くとかあまり考えなくていいんだけど、夜まで練習があるからとりあえずおなかいっぱい食べる。

五時限目が始まるのは一時十五分、それまでは自由時間。
今は十二時五十五分、自由時間が始まってすぐだ。
昼休みは晴れている時はボールを高く、遠くに投げて、それをキャッチするために走る、を繰り返す。
5回連続でクリアできたらやめていい、というルール付き。でもズルは一切しない。やる意味が無いからだ。
それにアイツが少しでも飛距離がいつもより下がっていたら指摘する。疲れているなら上がれば? と。それでムキになって飛ばしすぎる、取れない、クリア出来ない、昼休みが終わって時間切れ。という負のループ。だからズルはしない。
でも今日はあいにくの雨。だから雨バージョン。体育館でとにかく走る。走りまくる。
これにはルールはないけど、アイツが少しでもスピードが落ちるのが早いと指摘してくるから、とにかく全速力で走る。無理をしないとレベルアップにはならないと分かっているから、頑張り続ける。

と言うわけで体育館に向かう。アイツもついてくる。
前は鬱陶しいと思っていたけれど、もう諦めた。こいつはこいつなりになにか考えがあるんだろうと思って。学年一勉強ができるんだから、あの女子集団とは違うだろうと思って。

アイツ……維月の考えている事はいつも分からない、表情がよめない。
クラスの子達はかっこいいだとかミステリアスだとか言ってるけど、私には不気味にしか見えない。というかほぼストーカーだと思っているから不可避だと思うけど、怖い。

でも怖いことも2年繰り返していたら慣れてしまうんだから人間って怖い。高校って怖い。

もうはんば諦めた維月と共にするトレーニングに、ため息をつきながら体育館へと足を向けた。


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