もう2、3年くらい前の話だけど。
俺は一人っ子で、小さい時に父親と死別。母親が女手一つで育ててくれたんだけど、当然俺にも反抗期がきて、家に帰ったら即部屋に篭ってゲームか漫画、っていう生活してたんだ。
その日も勿論俺は自室で漫画読みつつダラダラしてたんだ。そしたら、夕方くらいかな。突然部屋のドアがノックされた。
「◯◯ー(俺の名前)」
母親の声だった。面倒くさかったし、素直に出るのもしゃくだったから無視。いつもならそこで用件言われて終わるんだけど、その時はいつまでもコンコンコンコンされて、
「◯◯ー」
「◯◯ー」
って言われた。いやにしつこいな、って疑問に思ったけど、俺はとにかくノック音がうるさくて頭にきたから、
「うるせぇな!用件あんなら言えよ!」
って怒鳴ったんだ。そしたらピタッと音が止んで、声もしなくなった。
また漫画読み進めてたんだけど、そこでふと気づいたんだよね。
母親、その日は夜勤で、昼間から明日の朝までいないんだよ。
でも確かにさっきノックされたし、あの声は確かに母親のものだった。
俺はその日、部屋から一歩も出ずに、ビビりながら過ごしたよ。
あそこで根負けして開けてたらどうなってたんだろうな。
怖ー