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あなたはこちらを見ようともせずに部屋の隅で吸い殻を咥えているうんぴょんを手に乗せた。
あなたはこの子のために何が出来ただろうか。
すっかり艶を失った長い羽毛。
無抵抗に手足はぶら下がっている。
「これがこの子のためなんだ」
あなたは親指に力を入れた
「....テクレテ.....アリガトウ......」
「.........マレテ.....テネ.......」
途切れ途切れにうんぴょんは言った。
"来てくれてありがとう。早く生まれて来てね。"
されるがままにあなたの両手に締め上げられているうんぴょんはあの時、あなたが卵に話しかけた事を覚えていた。
うんぴょんはうんぴょんだった。
人間のエゴで生まれさせられ、こうやって殺される。
それでもあなたの事をしっかり見つめて、アリガトウと言った。
タバコ代がかかるだとか、糞尿の世話が大変だとか、そんな理由を全部、「これがうんぴょんのため」という言葉で片付けていないだろうか。
生気を失ったうんぴょんの体からずしっと手に重みが伝わる。この手の中は、まだ暖かい。うんぴょんの生まれてきた意味は何だったのだろう。
彼の亡骸をにぎりしめたまま、あなたはしばらく動けずにそこにいた.....。