短編集みたいなヤツ。
書きたい時に書く感じです。
時は5000年。
地球人の人口は、ついに700億人を超えた。
そして、そのうちの約400億人が双子というこの時代。
そんな中で、日本は双子学園というものをいくつか作り、双子をそこに入れようとする動きを働いた。
しかし、自分たちのそんな動きが、まさかあんな事態を起こすだなんて、思ってもみなかったのだ……。
「真夏ー、真冬ー!早く起きなさい」
自分たちの部屋のドアが開き、母親が部屋に入ってきた。
そして、カーテンを全開にする。
「ほらほら、起きないと遅刻するわよー」
二段ベッドに横になっている双子たちを起こそうとする母親。
しかし、起きたのは姉の真夏だけで、妹の真冬は起きる気配もない。
「おはよー……ママ……」
「おはよう、真夏」
真夏は目をこすりながら上のベッドから飛び降りた。
「真冬!真夏はもう起きたわよ!」
大声を出すと、ようやく真冬は体を起こした。
寝ぼけたような目でボーっとしばらく母親を見つめてから、真冬はベッドから降りた。
「おはよー……ママ……」
「おはよっ!真冬」
大あくびをしながら真冬は一階に降りていく。
ガチャリとリビングを開けると、テーブルに真夏が突っ伏していた。
「真夏、おはよ……」
「真冬、おはよ……」
パンをもさもさと食べながら、それなりの会話をして。
支度を済ませた二人は家を飛び出した。
「行ってきまーす」
「行ってきまーす」
登場人物紹介
○岡本美依子
一卵性の双子の姉。
妹とは仲が良くて、見た目も一緒。
小学一年生。
○岡本美依菜
一卵性の双子の妹。
姉とは仲が良くて、見た目も一緒。
小学一年生。
「あっ、双子ちゃんだ!」
自分たちを指摘する、周囲の声に二子そらは顔をしかめた。
そらは隣を歩いている、双子の妹のひなを見る。
ひなは、そんな周囲の声は聞いていなさそうだった。
「ねぇ、ひな……」
「ん?どうしたの、そら」
ひなが聞き返すと、そらは深いため息をつく。
「ひなはさ、こうやって周りから見られて恥ずかしくないの?」
そらが低い声で質問すると、ひなはあきれたような表情を見せた。
「んもー。そらは周りを気にし過ぎ!別に悪口を言われてるわけじゃないんだからさ」
妹にズバリと言われ、そらは少し落ち込む。
「ひなは良いよね。成績もいいし、友達だって多いんだからさ」
朝からぐちぐちしている姉を見て、ひなは痺れを切らしてそらの腕を引っ張った。
ひなはぐんぐん前に進む。
そらは痛いと思いながらも、その手を振り払うことはしなかった。
そらは、ひなが大好きだから。
いつも自信に満ちた顔も、優しくて小さい手も。
幼稚園の時から何も変わっていない。
小学校に着いたのか、ひなはそらの腕をはなした。
そうかと思うと、突然振り返りにかっと笑う。
「そらはさ、可愛いんだから、もっと自信持っていいんだって。私は良かったと思うよ。そらと双子に生まれて」
そう言うと、ひなは鼻歌を歌いながら内履きに履き替える。
「そら、早くいくよ?」
ひなはまだ昇降口に突っ立っているそらを見て、早くとせかした。
「う、うん」
そらは顔を赤くしながら慌てて靴を履きかえる。
秋の朝。
同じ顔の双子が一緒に学校への道のりを歩いていた。
「ねぇ、ナナ」
「何?ノノ?」
さすが双子。
まるで一人で会話をしているように、全く同じ声が聞こえてくる。
「今日の放課後さ、一緒に買い物に行かない?」
「……二人で?」
「うん」
「……じゃあ、行く」
凛とした声の持ち主が妹のノノ。
返事がゆっくり目なのが姉のナナ。
二人とも同じ姿に同じ声なのに、中身は全く違う。
ノノは明るくて成績は上。
ナナは人見知りで成績は中の下。
皆ナナよりもノノが好き。
「……794年には、平安京が―……」
いつもと同じ時間が流れていく……。
私は、北白川たまこ。
普通の女子高校生です。
私には、一つの悩みがあります。
それは―
「ただいま」
呟くようにして家に入った私は、お弁当箱を置きに、キッチンへ。
ドアを開けると、テレビを見ながら談笑しているお母さんと、双子の姉のももこ。
私は学校でもそうだけど、家でもその存在を忘れられている。
そう、これが、私の悩み。
ちっぽけな悩みかもしれないけど、私は結構真剣に悩んでいる。
どうすればいいのか分からずに、私は進学校を受験した。
別に、勉強ができないわけでもないし……。
それに、お父さんが
「たまこ。お前はももことは違って、頭もいいんだ。だから、進学校に行きなさい」
て、真顔で言ってたから。
でも、高校受験の時くらい、お父さんに逆らってみればよかったかなぁ……?
そんなことを考えながら、私はリビングを通り過ぎて、家の中で唯一くつろげる場所、自分の部屋へ。
☆登場人物☆
○椎名 小桃
双子の妹。
さらさらした、綺麗なセミロングの黒髪。
基本無表情で、感情を内にため込むタイプ。
中3で、春には受験を控えている。
成績は優秀。
○椎名 小梅
双子の姉。
ピンク色の、ロングヘアで、パーマがかかっている。
夜にいつも出歩いていて、本人は誰も気づいていないと思っているが、実は小桃にはバレバレである。
受験はせずに、不良校への進学を希望している。