王女と召使

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45:不良品:2011/12/09(金) 21:50

家に帰った時の私は、それはそれはひどい顔をしていたんだろう。ミクが「ハクさんおかえりなさいお腹空きました!」と出迎えてくれたけど、私の顔を見るなり、唖然として黙り込んでしまった。

「ただいま、ミクさん。すぐになにか作りますね」

自分で笑ってしまいそうなくらい、からからに渇いた声が出てきた。
なにか言いたそうなミクの顔。でも私は目も合わせられずに、キッチンに立って夕飯の支度をする。

あのミクって子もそうよ!
なんであんたなんかと一緒に住んでんの?
頭おかしいんじゃない!?
あの女性の声が、ずっと頭の中でこだましている。
彼女だけなのか。いや、そんなはずはない。きっとみんな、表面上はあんなに親しげにしておきながら、ずっとミクのことを色眼鏡かけて見ていたのだ。
私と、一緒にいるから。
私が、一緒にいるから。
だから、メルとロベリアも、あんなふうに、頬を叩かれてまで叱責を受けるはめになった。
私がいるから。


食事の間、ミクはなにも訊いてこなかった。空恐ろしいほどの沈黙の中、咀嚼の音だけがやけに大きく響く。

「ハクさん、食べないんですか?」

ミクがいきなりそう言うので、私はびくりとして皿に視線を落とす。そこでようやく、私は自分が一口も食べていないことに気がついた。
でも、どうしても食べる気になれなかった。

「ごめんなさい。私、先にお風呂に入って寝ますね。ちょっと疲れちゃった。あ、かわりに食べてもいいですよ。お腹、空いてるでしょう?」

がちがちに固まった泥のような笑みを顔に張りつけて、私は席を立った。


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