LALA STORY  

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17:憂愛:2012/06/22(金) 16:49 ID:I..

え?

少女を、ここから出す?

少女はうつむいて悲しそうな顔をした。

「私・・・・ね。亡霊にここに閉じ込められているの。

こんなところ、早く出たい。お願い。私をここから出して。」

たしかに、少女は体中あざだらけで、傷もあって、

どうも好きでここにいるわけではなかった。

「でも・・・・どうやって・・・。」

サザラも、どうやって帰ろうかと迷っていた。

下まで降りていけば、亡霊に見つかってしまうだろう。

かといって、秘密の抜け道なんかもありそうになかった。

どうしたらいいのか・・・と、部屋をぐるぐると回って考えていた。

すると、あるものが目に付いた。

それは、『窓』だった。

この部屋には、大きな窓がひとつだけあった。

窓枠にサザラがたっても、もう1人分くらいのスペースがある。

「なぁ・・・君。」

「君って言うの、やめて欲しい。」

少女がきっぱり言った。

「う゛・・・じゃぁ・・・・。」

「じゃぁ?」

サザラは耳まで顔を真っ赤にして、ぼそっっと言った。

「ララッっていうのは・・・」

「え、何?聞こえない。」

くっそぉ・・・・とおもって、サザラは少女の顔を見た。

あっ・・・、こいつ・・・。


「おまぇ・・・っ、、笑ってるだろっ!!!!!」

ムキーーッ!こいつ、俺のこと面白がってるだろっ!


サザラはジタンダを踏んだ。

少女は、くっくっくっくっと、肩を震わせて笑っていた。

「で?私の名前、決めてくれた?」

少女はまだ笑っている。

サザラはふぃっと横を向いて、真っ赤になっていった。

「ララッてのはどうだ・・・・・?『歌姫』っていう意味だけど・・・・」

「なんで、歌姫?」

少女はさらに聞いた。

「さっき・・・お前が歌ってた歌が・・・綺麗で・・・歌姫みたいだったから・・・・」

18:憂愛:2012/06/24(日) 11:13 ID:I..

「ふぅ〜ん・・・・・・」

少女は、うつむいて考え込むと、にっこり笑っていった。

「いい名前・・・。」

サザラの顔がぱっと明るくなった。

「じゃぁ、ララって呼んでいいんだなっ?」

「うん。」

サザラは飛び上がるほどうれしかった。

「で、話を戻すけど、」

「うん。」

「ララは、高いところへいきか?」

「もちろん。だって、ここに住んでるんですもの。」

「あ、そっか・・・・。」

「あの・・・・さ、」

サザラは言おうかどうか迷ってから、もごもごといった。

「夜の海に飛び込む、勇気はあるか?」

「え?」

ララの顔に、『?』が浮かんだ。

どうやら、理解できなかったらしい。

「えと・・・、つまり、ここから出るために、夜の海に飛び込むってこと?」

「まぁな。」

サザラは苦笑した。

「いいよ。」

「え?」

答えは意外にあっさり出た。

「だって、私ここから出たいから。」

「そっか・・・・・。」

サザラは窓を前回にすると、窓枠の上に立った。

見下ろすと、ブラックホールのような海が広がっている。

入れば、たちどころに飲み込まれそうだ。

ゴクリと、息を飲む。

サザラは、ララに手を差し出した。

ララは、その手をぎゅっと握った。

(冷たい・・・・・・)

ララの手はひんやりしていて、冷たかった。

ララは足にぐっと力をいれ、窓枠の上にストンとのった。

「じゃぁ、行くぞ。」

ララが隣で、こくりとうなずいた。

サザラはララの体をぎゅっと抱きしめ、体制を低くして、思いっきり窓枠をけって、

夜の海に飛び込んだ。

19:憂愛:2012/06/29(金) 19:27 ID:I..

耳元で、風がうなり声を上げている。

体はぐんぐんと落ちて、もうすぐ海に到達しそうだった。

―――落ちる!


サザラはぎゅっと目をつぶると、覚悟を決めた。


バシャァァァぁーーーン!!!!

サザラと、ララの体が、水しぶきをあげて夜の海に落下した。

20:憂愛:2012/07/04(水) 21:12 ID:I..

ごぼごぼ・・・・・・

水の音が聞こえる。

サザラはララの体を抱いたまま、水面へと上昇していった。

チャプッ

「ぷはっっ」

顔が、水面に出た。

夜空は真っ暗で、無数の星キラキラと光り輝いていた。

ぴゅぅっっと、冷たい夜風が頬をなでた。

サザラはすぅっと息を吸うと砂浜へと泳いでいった。

21:憂愛:2012/07/13(金) 21:18 ID:I..

――――パルセナ海岸にて


シャリ。

砂浜を踏みしめる音がした。

「どうやら、俺ら無事にいきてるみたいだ。」

サザラが言った。

「うん・・・・。」

ララが、疲れた声で言った。

「どうした?」

サザラがララの顔を心配そうに覗き込んだ。

「ちょっと・・・疲れちゃって・・・・。」

ララは、弱弱しい笑顔で微笑んだ。

もうちょっとだから、がんばろう。


サザラはララにそう声をかけると、パルセナ城へと足を急がせた。

「ちょっとまって、いまさら城に、何しに行くの?」

ララが、サザラを引き止めた。

サザラはくるっと振り返ると、忘れ物、とだけいって城へと向かった。

22:憂愛:2012/07/14(土) 12:05 ID:I..

ララは、もう城には行きたくないから、といって、砂浜で待っていた。

サザラは、足を急がせた。

「あっった・・・・・。」

忘れ物とは、サザラが城に入るときに、おいていってしまった星くずだった。

星くずは、かごの中でキラキラと輝いていた。




サザラはララのところに戻ると、家へと向かった。

「この先に、俺の家があるんだ。ばぁちゃんがいる。話は、そこでしよう。」

ララは黙ってうなずくと、サザラの後に続いた。



かみの毛から水滴が、ぽたぽたと零れ落ちる。

口の周りをなめると、しょっぱい塩の味がした。

家には明かりがともっていた。

家を出てから、かなり時間がたっている。

ばあちゃん・・・・・心配しているだろうな。

怒られるのを覚悟で、サザラは家のドアを空けた。

「ただいま・・・・。」

「サザラッ・・・」

祖母は、机の上に本を広げて、何かを作っていた。

サザラを見るなり、真剣な表情が緩んで、クシャッと崩れた。

「心配したんだよこのばかっ・・・・・こんなびしょぬれで・・・いったい何やってたんだい。」

「ごめん・・・・」

サザラは苦笑いを浮かべた。

祖母の目が、サザラの後ろに隠れているララに移った。

「サザラ・・・そのこは?」

「あぁ。」

サザラはララの前からどいた。

ララの目はおびえていた。

「話はまた後で。とりあえず、綺麗にしてやらないと。」

「お嬢さん・・・名前は?」

「・・・・・・・ララ。」

ララが、消えそうなほどの小さな声で言った。

「ララ。では、こちらにきなさい。」

祖母がにこっと笑った。

「サザラ・・・」

ララは、サザラに助けを求めた。

「大丈夫。ララ。ばあちゃんは悪いやつじゃないから。」

サザラはにこっと笑った。

あ、やっぱり、この人たち家族だ。

ララは思った。

笑顔が・・・・似ている。


「サザラ、そのこタオルで体を拭いておきなさい。」

祖母が、むこうの部屋から怒鳴った。

「へーい」

サザラは気のない返事をすると、ララの体を押した。

「ほら、ばあちゃんまってるから言ってきな。後で、なんか食べよう。」

ララはうなずくと、祖母のいる部屋へと入っていった。

23:憂愛:2012/07/22(日) 17:02 ID:I..





「これで体を拭きなさい。湯はそこにためてあるから、つかって、体を温め。

 これを着て出てきなさい。分かったね、ララ。」

「はい・・・・。」

ララは、持っていたタオルで、思わず顔を覆った。

初めてだった。

こんなに優しくされたのは。

「うっ・・・うう・・・・っ」

出たのは、泣き声。

こらえようとしても、後から後から出てきて、止まらなかった。

サザラの祖母が、心配そうにこちらを見ているのが分かった。

ララはすんっと鼻をすすると、

「ごめんなさい・・・。」

と小さくつぶやいた。

サザラの祖母はにこりと笑うと、背中をさすってくれた。

「大丈夫。何があったかは知らないけど、辛いときは泣いていいんだよ。」

呪文のように、祖母が言った。

その声が暖かくて、

背中をさすっている手が暖かくて

ララの体の中から、なにか熱いものが込み上げてきた。

ララは、今度は我慢せずに、

大声で泣き出した。

サザラの祖母が、ずっと背中をさすってくれていた。

ララはわっと祖母に抱きつくと、

落ち着くまでずっとなき続けた。

祖母は、優しくララを受け止め、

「大丈夫。大丈夫」

と、繰り返していた――――。

24:憂愛:2012/07/28(土) 10:45 ID:I..

「おばあちゃん、あのね・・・・」


ララは落ち着くと、浮かない表情で祖母に言った。

「どうしたんだい?」

祖母も、不思議な顔でたずねた。

「・・・・あのね」

ララは言おうかいわまいか迷っていた。

でも、どうせはばれてしまうことなんだから、言った方がいいのかもしれない・・・・

ララは覚悟を決めた。

「これを見てください。」

25:憂愛:2012/08/22(水) 11:50 ID:I..

ララは、服の紐をそっとほどくと、
背中を祖母に見せた。

その背中にあったものを見て、祖母は息を呑んだ。

「これはっ・・・」

26:憂愛:2012/08/26(日) 13:21 ID:I..

そこにあったのは、羽の跡。
方のしたあたりから、黒く紫色の羽の跡が残っている。

ララはそっと服を着ると、祖母に向き直った。

「わたし・・・、天使なんです。」


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