雨ノチ曇り後晴れ模様

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3:みぁ:2014/04/02(水) 22:41 ID:OnM

・第一章・




朝。

チュンチュンと小鳥のさえずりが聞こえてくると共に、半開きの窓から暖かい光が差し込んでくる。

その光が、わざとらしく私の目元に当たって、朝から私のイラつきを巻き起こさせる。


「………朝め。」


なんて意味不明の発言をしながら、私はベッドを後にする。

寝巻きを脱ぎ捨て、壁にかけてある真っ新な制服を着る。

肌に、まだ馴染まない布の感触がピタリと張り付く。


「………ふう」


一通りやり終え、用意した空っぽの鞄を持って、私は下の階へと急ぐ。

………別に、まだ時間はたっぷりあるし、急ぐ必要なんてさらさらないんだけど。


「………お母さん、今日も朝早くから出勤か」


リビングの扉を開けて、一番に目に入ってきた光景に特に言うこともなく書き置きらしき物を見る。

そこには、見慣れた母の綺麗な字が並んでいた。

………しかし。


「(…だからなにっていう話だよね)」


別に、朝から誰とも会話せずに過ごすなんてことは慣れている。

逆に、朝からわいわい騒ぎたくないというものだ。


私は、ただそのまま無言で机の上に置かれたパンを口に入れる。

ほのかに広がる、苺の味がなんとなくうざい。

私は、そしてそのまま家を出る。


そういえば、小学校の家庭科で習った、家族の基本みたいな奴。

あれは、実にムカついた。

家族だから、なんでも話そうだとか、家族だから、一緒にご飯を食べるだとか。

いつ、どこの誰が決めた迷信だっつの。

ていうか、一人一人がそれを間に受けて家族とそう接しあっているのなら、世の中で起きている家族問題は、起こらないんじゃないだろうか。


「………ばっからしぃ」


家の鍵穴に鍵を差し込み、くるっと回す。

同時に響いたがちゃりとの音を横目にしっかりと確認し、私は歩き始めた。

4:みぁ:2014/04/02(水) 23:01 ID:OnM

「おはよー」

「うん、おはよー」


前、後ろ、右、左と360度何処からでも見渡せる、そんな朝限定の光景。

別に、「おはよう」の挨拶は悪くない。いいことだ。

しかし、その後に巻き起こるキャッキャキャッキャのその光景には、呆れるほどうんざりとするものばかりであった。

………いや、ね?別に友達と戯れてることが悪いことだとは言わないよ?でもね?


「わー!そのペンポマージン可愛ぃ!」だとか、

「宿題やった?まじ?見して!」だとか、

「ねー、放課後このグループでカラオケいかなーい?」だとか、

別に、朝の新鮮な空気の中でやらなくてもいいと思うのね、うん。

………っていうかさ、普段影でこそこそ悪口言ってるくせして、こういう時だけ仲良いよねーアピールする奴らって、何なの?

嫌いなの?好きなの?どっちなの?

私だったら、嫌いなのに仲良くしてる方が嫌なんだけどな。

嫌いなら、嫌いって言って、私の何処が嫌いなのか見直すのに。治すのに。


「(………人は、いつもそうだ)」


影でいうなら、正面でいえばいいのに。

いう勇気がないから、影でいう。

そして、その自分の行為が知られそうになったら、誰かを憎む。八つ当たりする。

………実に、子供らしいって思うんだよね。馬鹿らしい馬鹿らしい。

なんて、ひ弱な生き物なんだろう____。


「こんなことなら、よっぽど犬の方が賢いわ」


なんてことを、私は靴を履き替えながら思ったりした。

5:みぁ:2014/04/03(木) 01:15 ID:OnM

「…着いた………。」


目の前で私の行く手を阻む、にくったらしいこの扉。

自動ドアに変えてくれないかと、何度夢にまで見て思ったことか。

………しかし、そんなものはただの空想話に過ぎない。

現実はこうだ。こうこう。虚しくなるほど、変わりないのだ。


「………はぁ。」


憂鬱な気分のまま、私は取っ手に手を掛ける。

ドアノブの、ひやっとした冷たさが、私の体を駆け巡る。


がらっ…


「おはよー…」

「「「「おはよー(!)」」」」


私の挨拶に返事するかのように、みんなが一斉にこちらを向く。

多数の人に同時に見られるのは慣れていないため、やはり少しだけ背筋が凍り付く。

しかし、みんなは言葉を言い終えると、何もなかったかのように自分達の世界へと戻って行った。

…それが、私にとってなんてありがたいことだったか…!…なんてことは、誰にも絶対口が裂けても言えないことである。


「………はぁーあ」


自分の席に鞄を置き、私は椅子にドスンと座る。


「………ん?どーした。何かえらい大きいため息やのぉ」


すると突然、後ろから何度も聞いたあの声が聞こえてくる。

「何故おっさん関西弁w」

「………おっさんとはひどいのぉ、これでも私は………。こほん!12歳の、ぴちぴち新人中学生よー☆」

「そっか、雲あんた12歳だっけ。3月の後半だっけ。………ちなみに私は4月の___」

「あー!うるさいい!私ちなみにそれ結構気にしてんだからねっ!?」

「あっそう。あ、ちなみに今のはあんたの方が声大きかったと思うからね☆」

「お互い様でしょー!?」


『雲』こと、桜見 未雲だ。


ここで、少し彼女について説明しよう。

ここから起こることは、全て雲の雑談話なので、カットさせてもらう。((ひどっ!by、未雲

では、GO↓

・桜見 未雲

薄ピンク色の髪。長くてもこもこした二つくくり。

可愛くて、明るくて、性格もいいため友達も多く、男子の中にはファンもいるだとか。

ちなみに、クラスメイトの三森 莱が好きである。

勉強、運動、とてもじゃないけど逆に凄い。鉄棒前周りできないらしい←



とまぁ、彼女の説明はこれくらいである。


「でねー!その時來樹が____!って、雨?聞いてる?おーい」

「うん、聞いてる。前半全部耳から出てったけど」

「おいっ!?」

「冗談だよw」


ちなみに私は、こうして雲と雑談話をするのが好きだ。

なんてこと、恥ずかしくて絶対今後も口に出せないんだけど。

6:匿名さん:2014/04/03(木) 11:06 ID:OnM

「………ねー、そういえば、琴は?」


雲との雑談話を一時中断して、私は少し疑問に思ったことを問い詰める。


「え?琴?」

「うん、琴。」


ちなみに、私達が今普通に呼び合っている『琴』という人物は、

私の、もう一人の大親友=夏風 琴海である。


「ああ、琴ねー。吹奏楽部の朝練だよ。なんだか、5月に大きい大会があるだとかで、新人で一番上手い琴がソロやるようになっただとか………。

だから、今一人で朝練やってるんじゃないかな?」

7:みぁ:2014/04/03(木) 11:19 ID:OnM

((((すみません!上のは途中のやつで、私です!!今から、下に続きを書きます↓↓))))


「一人でぇ!?」


ガタんっという音と共に椅子を立ち上がる。

私の言葉が教室中に響き渡り、クラスの誰もが私の方に目を向ける。

中には、「………え、どうしたの桜見ちゃん………」「………雨…?ど、どうしたの?」などと言ってくる人もいた。

私は、今できる精一杯の笑顔で、「何でもない!何でもない!!」と手を加え呟く。

そうした瞬間、みんなはまた自分達の世界に戻って行ったが、雲だけは私の後ろでくくく…と笑を噛み殺していた。


「………はぁ。」

「雨、おつかれぶふぉwwwwww」

「おいそこ、笑うな」

「いやだって…。あの、焦り感ぷんぷんの顔が、精一杯の笑顔だなんて…」

「うぐっ………」


雲の言葉が、私の心にそっくりそのまま突き刺さる。

同時に、雲への恥とイラつき感を、私の脳内がしっかりとメモをしたようだった。


「………それより、話戻すけど、なんで琴一人____」

「………あ、チャイムなった!…ごめん、その話はまた後でね!」

「え、あ、うん…?」


特に呼び止める訳も無く、私はただ雲が自分の席へと戻って行くことを見届けた。

そして、私は近くの琴の席を見つめる。

そこには、琴と言うなのシルエットは浮かび上がったが、琴と言うなの『人物』そのものは、浮かび上がらなかった。

8:みぁ:2014/04/04(金) 11:05 ID:OnM

「起立。礼。解散。」


号令係のそんな一言が終わると、みんな一斉に散らばる。

別クラスへ行く子、友達と遊び始める子、外に行く子、勉強する子。

みんな、色々バラバラだ。

そして、そんな中私が一人進むのは………。


「(………琴、一時限目こなかったな。)」


夏風 琴海こと、琴の席である。


「………ねぇ、雲。琴、一時限目来なかったけど………、なんで?」

「………えっ」

「朝練なら、授業が始まる前に終わるはずでしょ?でも、一時限目には琴はいなかった。」

「………そっ、それは………」

「………ねぇ、雲。あんた、私に何か隠してない?」


私が、その言葉を言った瞬間。

横にいた雲が、突然びくっと体を震わせる。


「(………やっぱり………)」


最近、あまり琴と一緒にいないのは、このためか。

なんて、一人で勝手に推理して行く私。

そんなこと、雲の口から聞かないと、わからない事なのに。


「………。雨、ちょっと来て。」

「え?う、うん…?」


突然私の手を引っ張り、何処に行くのかズカズカと廊下を歩いている。

最初は、廊下の端にあるトイレかと思ったが、どうも違うらしかった。

ただ、何も言わず手だけを引っ張り歩く雲に、ついていく私。

すれ違った同じクラスの子も、別にこちらのことなんてどうでもいいようだった。


「………ここ。着いたよ。」

「………え?………でも、ここって___」

「うん、そう。立ち入り禁止の、屋上。」


目の前の、古臭い木の扉に思わず目を見開く。

「どうして___」と言う間もなく、その目の前の扉は、実に簡単に開かれたのだった。

9:みぁ:2014/04/04(金) 18:22 ID:OnM

目の前の、古臭い扉がギギギ………と音をたてる。

と同時に、開いた少しの隙間から、眩しい白い光が私を襲うように、視界に滑り込んできた。


「………うわっ、眩し………」


反射的に、目を隠すような体型をとる。

しかし、目を瞑っていてもなお、眩しいくらいだった。


「………、誰___?」

「(………え?声…?…これは、雲の声じゃない。だけど、何だか何度も聞いたことのあるような____。って、まさか!)」


ゆっくりと、重たい瞼を開けていく。

最初は、まだ目の前が真っ白だったが、時間がたつにつれだんだん目が慣れてきた。

白い光の先にいる、若草のような髪をした少女______。


「………琴?」


そう、私が朝から気になっていたその少女。

夏風琴海が、心底驚いたような顔でこっちを見ていたのである_______。

























「(………どうして……そんな、顔するの__________?)」

10:みぁ:2014/04/05(土) 11:59 ID:OnM

「………雨…ちゃん………。どうして、ここに______」

「それは、私の台詞でもあるよね…………?」


琴が、もたれかかっていた手すりがカシャンと音を鳴らす。

と同時に、私の後ろの古臭い扉がギギギと音を鳴らしながら、自然に閉ざされて行った。


「………どうして、ここの立ち入り禁止地帯に、琴がいるの…?それに、どうしてそれを雲が知ってんの…?」

「………ごめん、雨。隠すつもりは無かったし言わなきゃって思ってたんだけど………。

何より、琴の状態が第一だな…って思って………」

「………琴の、状態…?」


ナニ、ソレ?

琴は、何か病気でもかかったの?

それとも、ただ私に言いたくなかっただけじゃないの____?


「………話せば、長くなるんだけど______」


そこから先の雲の言葉は、とてもじゃないほど頭に入ってこなかった。

ただ、“仲間外れ?”という言葉だけが、私の頭を埋め尽くした。

11:みぁ:2014/04/06(日) 21:17 ID:OnM

「………____それから、ね。琴ね……。人間不信に、なっちゃったんだよ………」

「………人間不信…。」



雲が俯き、唇を噛みしめる。

後ろにいる琴も俯き、顔が暗かった。

だけど、琴の足元には小さな雫が点々と零れ落ちていた。


「………ごめんね、雨ちゃん………。実は、雨ちゃんも少し怖くて………。」

「ううん、私はいいんだけどね…。」


表示が固い琴が、えへへ、と笑う。

普段よく笑う琴の笑顔と、この笑顔では、『全く』と言っていいほど全然違っていた。

そして、琴がどうしてそうなってしまったか、と雲のわかりずらい説明によると((おい、by,未雲


『その日の夜ね、琴…塾に行っててね、その帰りなの。

駅で突然、酔っ払った変なおじさん達に囲まれて、腕を掴まれたらしいの………。

夜の駅だから、あんまり人もいなくて………。それに、そこ無人駅で……。

で、痴漢されたみたいなの………。

…偶然、そこの駅に私がいて、そのおっさん達ぶん殴って助かったんだけどね。

………それから、ね。琴………。私以外の人(親でも)が怖いらしいの………。』


………らしい。

信じられないと思った。

許せないと、思った。





とてもじゃないほど、腹が立った______。








「………徐々に、私にも慣れてくれたらいいからさ!」


そう言って、微笑む私。

なんて言っているけども、本心は少し違ってたりして。

12:みぁ:2014/04/09(水) 16:22 ID:OnM

「………それで、さ。これから、どうするの?」

「「………へ?」」

「いや、へ?…じゃなくて………。」


こんな間抜けな形で始まってしまってすみません。2人に変わって謝罪します。

何て、若干呆れ混じりの言葉が私の中を駆け巡る。

同時に、不安も、私の中を駆け巡っていた。


「………今は一時的にここにいるだけでしょ?これから一生、ここにいる訳じゃないでしょ?」

「………そ、それは……」


琴が、俯いて唇を噛みしめる。

それを見て私は、罪悪感に押しつぶされそうになったのだった。


「だから、どうするか。っていうのを話し合うの。分かった?」

「…りょ、かい…。」

「うん、おけ…」


二人とも、なんというか消え入りそうな声で呟く。

本当によくは聞こえなかったが、大抵のことは読み取れた。


「(………そういえば琴、やっぱり私のことまだ怖いかな………)」


『さっき』からあまり時間は経ってはいないが、私に対しての琴の態度は、先程よりも随分と変わっていた。

しかし、それはよく分からない。

怖いのか、怖くないのか。

琴の口から出るまで、私は多分その言葉の中でさまよい続けることだろう。

こんなこと、ただの推測にしかならないのだから。


「……____だから、とりあえず來樹と莱を最初____、っておーい!雨!」

「!!うっへひゃあっ!?え、え!何!」

「え、いや、………。ていうか話聞いてた?」

「………。10ぶんの1くらい………」

「おい」


いかんいかん。

ちゃんと、会議に参加しなければ。

悪魔でこれは、琴を『助ける』救助支援なのだから____。


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