わたしは約1年半、とあるオンラインゲームにハマっていた。ゲーム名は伏せるが、本当に本当に大好きな作品でプレイすることが楽しかった。
リリースされたて、初心者のころは今ではありえないような立ち回りをしまくっていた。でも仲の良い人達でパーティーを組んでひたすら遊ぶのはとても楽しかった。長い間低ランにいたが、ある日、もっと上を目指したいと思った。チームさえ組めば誰でも上にあがれるような環境でわたしはあっという間に上のランクに上り詰めることができた。上のランクといっても最上位とはほど遠かったのだが、とあることがきっかけでわたしはランカーさんと一緒にプレイする日々が続いた。わたしは毎日チームを組むたび緊張していた。上のランクの世界に足を踏み入れたばかりの小鹿がまさか1桁の順位の方とチームを組み、プレイをしていたのだから。おまけにマッチングはランカーさんの順位にあわせられ、最上位マッチだった。けれど上手だよ、ナイスなどの言葉をたくさん貰うことができ、自信がつくと同時にとても照れくさかった。だが腕前自体は最上位マッチに毎試合ついていけるわけではなかった。チームを組むきっかけとなったゲーム側の問題が解決し、少しずつお誘いはなくなった。組んだ試合全ては誘われて組んでいたもので、下のランクのわたしから誘うのは申し訳ないと思っており自分からランカーさんにチーム結成のお誘いをかけることはなかった。チーム結成が大事なゲームだったので誰とこれから組もうと悩んでいたそのとき、わたしがオンラインゲームの世界にいて1番大好きになるひとに声をかけられた。そのひとも最上位ではないとはいえ、かなりの高ランクプレイヤーだった。わたしはそのひとからお誘いを受け、一緒にゲームをプレイした。チームを組むのは2回目なのに連携は抜群で相性最高だった。大幅な勝ち越しをしてふたりでとても喜びあった。そしてめちゃくちゃうまいと褒めてもらえた。嬉しかった。そのひとはとても話しやすい人で友達もとてもたくさんいる人気者の男性だった。すぐに打ち解けた。そこからはそのひとと固定でチームを組んでいた。いつしかわたしがランカーになることができたら会おうと言われた。わたしは会おう、と了承した。
そのころには固定の方も含めた仲良しグループがあり、日付が変わったころから朝方までずっと雑談したりゲームする日々が続いた。この頃が1番楽しかったといまとても思う。楽しすぎて夜になるのが毎日楽しみだった。だがこんな生活を続けていたわたしは親にとても怒られた。VCを繋いでる最中でも怒鳴られ、やめないわたしから無理矢理スマホを奪い取られたり、殴られたりしていたので虐待を受けていると思われた。そのときのわたしもこれは虐待だと思っていたので相談をしたりしていた。暖かい言葉をもらえて、嬉しかったが弱い部分は絶対に見せなかった。だから苦しんでいるのを我慢している子だと思われた。本当に辛かったら助けてあげるとまでいわれていた。いま思えばただの悲劇のヒロインぶりなだけでありわがままな行動だったと思う。さすがに助けを求めることはなかったが。だがある日、親の堪忍袋の緒が切れ、VCを繋ぐことが困難になってしまった。なので固定の方にごめんしばらくチーム組めないと連絡をした。無理するなよ、と返信がきたがその方は数日後、別の女性と固定を組んでいた。悲しかったがゲームを中断させる理由もないので我慢した。彼女でもなんでもないわたしにできることなどなかった。少し距離はできたけど遊ぶ時は普通に楽しんで遊んでいた。だがある日、固定の方はネット世界から消えた。流れたきた情報は固定の方が複数の女性をたぶらかし、偽物の顔写真を送ったり、会ってもない女性と会ったといろんなひとに言っていたりしたそうだ。悪事がバレたそのひとはネット世界から簡単に消え去ってしまったのだ。怒りや軽蔑の言葉が溢れかえる中わたしは頭が真っ白になり泣いていた。たぶん、好きだったのだろう、無自覚だったけど。わたしは被害を受けていなかったのでそのひとのことを悪く言う発言は周りがどれだけ言おうと流されて言うことはなかった。謝罪して帰ってきてくれないかなと思ったけど帰ってくることは二度となかった。わたしはそのあと別の方と固定を組み、ランカーになった。もしあの人と一緒にランカーになったら本当に会っていたのかな、会ったら何をしていたんだろうと考えた。悪いことは考えず、良いことばかり考えていた。だがランカーになれた喜びはすごく、達成感がすごかった。ランカーになってからはどっぷりゲームにハマり、ゲームのために朝早く起きたりした。有名なランカーさんとマッチすることも増えた。ある日以前固定を組ませてもらっていたランカーさんとマッチした。名前も変えていたため気づかれなかったが同じ土俵に自分の力であがることができたのはとてもうれしかった。ランカーになってからはいろいろあった。クランに所属したり、負けて萎えたときは引退を宣言して1ヶ月で戻ってきたり。でもわたしの腕前を評価してくれるひとは増えた。だが親に言われた一言でわたしは固まった。お前ネットの人と通話してるだろ、こう言われた。わたしはネット上で関係を作ることを親にきつく禁止されていた。してないと誤魔化すことはできたが、しばらくVCを繋ぐことはできなかった。その間にみんな別の固定ができてしまいなんだか置いていかれたような気持ちになった。当時ファンであり、憧れていた方がいたのだが彼女がいると知って嫉妬心が生まれ、余計落ち込んだ。他にも周りでネット恋愛がはじまっていたりして、わたしといえばこの人!という感じの人もいたが別に相方を無理矢理つくり、ベタ惚れだったりとにかく孤独感に襲われるようなことがたくさん起きた。引退したいという気持ちに襲われたが昔から持ってるデータを手放さない限り、やめられないとわかっていた。そしてわたしは勢いでアカウントを売った。誰にも相談せずに売った。売ってしまえば戻りたくても戻れないからだ。売ったことだけ報告し、寂しいよと声をかけてくれたひとたちと最後に軽い会話をして、オンラインゲームから離れた。本当に虚無感に襲われた。涙はでなかった。
3: :2020/02/18(火) 03:02後日、外にでた。わたしがゲームをしている間に店の構造が変わっており、知らない間にこんなに時間が進んでいたことを実感した。だが後悔はしていない。楽しい日々があったことは嘘じゃないから。少しハマりすぎたけど、思い出として心に置いておきながら、リアルを大切に、生活を歩もうと思う。いままで仲良くしてくれたひとたちありがとう、またね。