帰宅部の日記

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1:文◆NY:2018/07/08(日) 21:14

一週間に3回くらいのペースで書いていきます。

荒らし、なりすましはやめてください。

2:文◆NY:2018/07/08(日) 22:41

7/8(日)

今日は一年ぶりにお寿司を食べに同い年の従姉妹(いとこ)に会った。

小学生の頃はお互いの家に泊まったりしてそこそこ仲が良かったけど、一年も顔を合わせていないので何を話したらいいのかわからなかった。

今日は色々な公立高校の学校祭が開催されていて、この事を話題にしようと話を振ってみた。

彼女は朝の10時から夕方4時まで、友達と自転車でいろんな高校を訪れていたという。聞けば工業専門の高校に入って建築家の職業に就く事が夢らしい。

「建築家」という五歳の頃から変わらない夢に祖父母、自分の両親は感心していた。もちろん自分も凄いとは思った。

だけど自立している彼女に対して、何も目標を持っていない自分に劣等感を覚えた。友達も結構いて、夢も持っていて頭が悪いのが取り柄の可愛い従姉妹。

じゃあ自分はどうなんだろうか。友達もいない、目標もない、顔も普通、おまけに帰宅部。どこでどんな遺伝子が覚醒したらあんな陽キャみたいな人になれるのか不思議で不思議でたまらなかった。

羨ましさと嫉妬の感情が交互に行ったり来たりしている中、寿司を食べに行く前に曽祖父が入院している病院に行くことになった。

病院に着き病室を覗くと痩せた顔が見えた。痙攣している右手を挙げて「よく来たなぁ」と笑顔で言う。今年で曽祖父は94、5、6になる筈だ。

自分はしわくちゃの中指と薬指が無い手に触れた。体温が低いのか死んだように冷たかった。

この人の余命はあと一ヶ月だ。

従姉妹は恥ずかしいのか握手をしようとしない。それを茶化そうとした時曽祖父が口を開いた。

従姉妹の名前を呼んだ。

自分の名前は言ってくれないのか。その後寒かったのか辛そうな顔をして再び目を閉じた。

それから10分くらい病室で曽祖父の寝ている姿を見ていた。そろそろ寿司屋が混む頃だと祖父が口にした。

すると祖母はきつい顔で何やら言いたそうな感じだった。曽祖父の好物は寿司だ。だけど一人で歩く事、自分の手を布団に入れる事すらままならない状態の人は当然寿司屋に入る事、寿司を食べる事は難しい。

「いいなぁ」

元気が完全に無くなったその声を聞いた時、皆んな複雑な表情を浮かべていた。従姉妹は相変わらずの無表情だ。

病室を出て行く時曽祖父に手を振った。出て行こうとした時「じゃあな、〇〇」と自分の名前が聞こえたような気がした。後ろを振り返ると布団の隙間からひらひらさせているしわくちゃの手が見えた。

何故か少しだけ泣きそうな気持ちになった。


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