六つ道を巡る或者たちよ。
化物道 打ち破らんと欲しここに集え。
俺は人外王末裔で、その責務のために全人外の存在を肯定する一学徒だ。ゆえにこそ、なぜ 人間 が特別扱いの地位に存するのか、甚だ疑問である。
彼らもまた、本来『人』という一化物の括りに過ぎないのに。ともあれ、そうした事情から俺は人と人外について研究している。よろしく。
『 人 と 化物 常形 と 異形 普通 と 異常 』
泣由多センパイ〜〜。これら社会に染み付いた言葉のカズカズはー、人外が人に負けた証 なんスよ。
それにね、人外は人に劣る物で、区別するもしないも、初めから区別された物なんスよ。
だってホラ、考えてもみてくださいよ。
化物って、人ではない何かなわけで、まだまだ未解明スけど、元々人間の 感情や言葉 に由来しているわけじゃないですか ァ …。
およそ今では 亜人 と呼ばれるあの謎の獣耳集団も、人間の言葉の中に 猫 や 犬 という言葉があったから、彼らが生まれてきたわけで。 人間の言葉を拠り所にすることでしか、存在の確立はできないんスよ。
だから元々、区別されていたわけだし、ボク達が人よりも二の次なのは明らかっス。
それに ！ かつて、ボク達が 人 になろうとしても幾度となく失敗していますし、戦争でも負けていますよね ェ ？
先輩が言おうとしているのは 『 言葉狩 』の類にしか聞こえなくて、なんか不穏っス。ほんと、やめた方がいいっスよ。こっちも迷惑ですし。
こっちとしては、蔓延できればそれで満足なんスよ。あーーそうだ、どうスか？ バケモノ先輩。
評論家ぶって社会に蔓延する言葉なんかを扱うのではなく、気分鮮やかに社会に蔓延する スイッチ を扱ってみるのは。 先輩の分も勿論あるわけですし。そのスイッチを押すのは、すごくすごく気持ちいいが良い事っスよ ？
…むう。久々に来て見たら消失してるし。ところで最近は 秩序民 の台頭具合が凄いっスね〜。特にあの『 図図々 ぬね丸 (ｽﾞｽﾞｽﾞ ﾇﾈﾏﾙ) 』、彼は秩序民の中でも抜きん出て有力者っスよ。何でも、あらゆる事象を打消す、奇特な力を持つとか何とか。
ただ、相変わらず 混沌民 は増加の一途を辿ってるっスけどね。…額にペンチ、御手手に包丁、頭がラジオ……そんな異形なヤツら、混沌民は物凄い勢いで増えてるっス〜！！ ボクはそういうヤカラの生態を見るのが好きなんスよね。 なんで、つい最近っスけどそゆ混沌の人達と、学校でトモダチになったんスよよよよ！
1人目はカタナくん！まず彼、見た目がカッコいいっス。刀が頭上と頸から出てんの！ 必要に応じて、其処から抜くんらしいスヨ。で、この子、裏切り者を探してて早く斬りたいそうっス。
2人目はコタツくん。女の子みたいな丸い顔した褐色肌の子っスね。ただ、薄い布っキレ 一枚を体に一周させた感じだし、いっつもグーグーお腹空かせて、ヨダレはジュルジュルさせてて、貧しそうな感じっスね。でも、その子の血はすごく価値があるらしいっスけどよく分かんないっス。ちなみにコタツくん、法的には犯罪者らしいっス……。
3人目はアクタちゃん！ 遂に女の子っス。コタツくんも女の子みたいなもんスけど、本人が区別を望んでいるので。で、この子なんスけど、体中に灰色のソバカスが規則正しく浮かんでる不思議な見た目っス。で、あと何がスゴイって、アクタちゃん、万引きするんスよね。窃盗するんスよね。あと、泥棒したり、法螺吹きも……ボクがなんとかしなくちゃいけない気がするっス…
今日は秩序民の1人である 無々目 ( ﾑﾑﾒ )ちゃんを肉眼で見てきたっス。彼女は、相手が生き物じゃなかったら、その事象を推し量り、相手がアナタならまた別の結末をもたらして、相手が彼女自信であればそのまた別の結末を用意するらしいっスねー。
あと、彼女が用意する秩序は、名前ある存在に対して遠回りに干渉すること、また人が頭の中に持つ 『庭』に住んでいるらしいっス。
え？ ボクが何を言ってるか分かんない…？ 大丈夫っスよ ！ 自分も８割ぐらい理解してないんで ！
でも、ここ数年で、どうせ１０割 理解することになりそうっスけど
よっス。今日は沢山、ボクの麻薬が流れたっス。
麻薬が流行るってことは、社会がそれだけ病に侵されてるってことなんスよね〜。みんな、現実逃避したいんでしょう。でも、ボク的には有難いんスよー。
だって、ボクは麻薬の化物っスからね。ボクの存在価値は、どれだけの量を、どれだけのヒトに利用されるかで決まるので ！
皆さん、辛いことがあったら、ボクの所に。
オススメの 良薬というか漢方薬というか心の痛み止め薬 があるんで。それ飲むと、日常のイライラも解消できるっス。オマケに肌はキレイになるんスよね。
それなのにっスよ？ 煙草と違って、体への普段の負担は何もない。みんな やってるし、お金に関して初回はいいっス。だから、どうっスか。 ボクのこのオクスリでアッヘアッヘになりやーせんか？
なんでボク、売れないの……
どうして、ボクを欲してくれないの……
どうしてどうして！ ボクの価値を認めてくれないの！
ボクは時代遅れの産物っスか ……？ ……该死 っス！みんな、ボクたちを 贱货 未満の異常者に仕立てて、取り締まってさ、ヒドイっスよ〜ー。
あ、そっかそっか、これ完全な謀略っスよね？
だってボクが市場に出たら滅茶苦茶需要出ますもんねー………だから、これは何者かの陰謀で謀略で計略。ソイツきっと、ボクたちを根絶やしにしようとしてるんだぁぁぁ！…わぁあぁあぁあぁあぁ！！
你好！ 皆さんの調子はどうっスか〜？ ボクの調子はもう、最悪中の最悪っス。
商品ってのは需要があるから買われるんスよね。
だから、需要がある罰くんや癌邪くんは、多くの人が手を伸ばして求める……… ボクは前時代の遺物でしかないっス。なので、需要がないんスよね。
呜呜……それはちゃんと分かってるんスよ… ちゃんと理解してるっス………でも、でもっスよ？ 文字の上では分かってても、いくら脳内で理解していても、すっっごい、ツラいしやる気無くすんスよね〜〜
ボクは生まれた時から阿片でした。現実逃避のために利用されるだけ利用され、それでおしまいの存在。それ以上、求められることはない。 ボクは阿片でしかないんで。でもっスね、愚かで未熟なボクは、小さい頃から夢を見ていたんスよね……いつかきっとクソみたいなこんなボクでも、受け入れてくれる人、ボクにとってのメシアが現れてくれるだろう と、
ま、過去のことはいいっスね。それより、どうすれば人々は、ボクを知って、ボクを需要して、ボクを欲してくれるんでしょうか ？ ボクはずっーーと考えてるんスよね。 何も、みんなの脳ミソを独占しようとしている訳じゃないんスよ ？ ほんの少しでもいいので、みんなの思考の一端に入りたい。みんなの選択肢の一つになりたい。 ボクは、ほんの些細でもいいから、みんなの一部になりたい。