あなたが信じようと、信じまいと―
この奇妙な物語は、現実に起こった出来事なんです。たぶん。
信じようと、信じまいと―
和歌山県の淡嶋神社は「人形供養の神社」として も有名である。 故人の遺品など、全国から様々な曰く因縁を持っ た人形が送られ祀られているのだ。 神社側によれば「お人形が人に祟ることはありま せん。そんなのは作り話」だとか。 だが送られてくる荷物の中にはたまに人形箱だけ で中身が空のものがあり、その時ばかりは彼らも 背筋がゾッとするという。
信じようと、信じまいと―
A氏はやや後ろを歩く友人と談笑しながら歩いていた。 いつになく相槌上手な友人に、A氏は饒舌になっていったが、 とたんにその舌が凍りついた。 遥か前方に饒舌に話す自分と、何かが歩いていたからである。
信じようと、信じまいと―
「夜目遠目傘の内」ということわざがある。 女性が美しく見える条件を言ったものであるが、 この三条件がそろっていた場合、むやみに近づいてはならない。 これは人ならざるものの存在に警鐘を鳴らしたことわざでもあるからだ。
信じようと、信じまいと─
カラスやトビはハトを滅多に襲わない。 他の食料が豊富だから襲わないわけではない。 極々まれに公園の片隅で圧死したカラスの死体が見つかることがある。 そう、ハトは大勢であるがゆえに・・・・・・。
信じようと、信じまいと─
東京の地下には大規模なシェルターがあるという都市伝説がある。 これは過去に遡って言えば事実である。 現在、シェルターはそこをうろつく何者かのために放棄され、 出入り口もコンクリートで完全に封鎖されている。
信じようと、信じまいと―
1993年、災害救急情報センターに男から通報があった。 ゴロゴロと妙な音が鳴る中の、途切れ途切れの通 信であったため、極めて聞き取りづらかったものの、何とか「嘔吐がとまらない、助けてくれ。墨田区の電話ボックスの中にいる」という内容であると確認した。 しかし救急車が到着した時、人の姿はなく、ボックスはびっちりと白い石で埋められていたという。
信じようと、信じまいと─
明治末から大正時代にかけて、資産家の間に死を招く「呪われた石」が行き交っていた。 その石の鑑定依頼を受けた東京帝国大学教授西田篤は、 石が放射線を発していることを示唆し、 鉛で封印することで「呪いを封じた」と宣言した。 しかし、西田は大正12年、関東大震災に よって命を落とし、石の行方も何処と知れない。