―もし、あの時私が外に出ていなければ、こんなことにはならなかったのだろうか。
あの日、私があなたと出会っていなければ、こんな思いをせずに済んだのだろうか。
いや、そもそも私が人間だったなら……。
後悔してもしきれない。
灰色の空から降り続ける雨が血を洗い流していく。
私の、最愛の人の……。
第一章「出会い」修也side
「あっちぃ……」
真昼の太陽が照りつけている炎天下の中、僕こと「櫻井修也」は今にも倒れそうに歩いていた。
蝉の声が辺りに響いている。
ここが住宅街だったのなら日陰を歩くことも容易にできるだろうが、何せここは田舎にある村でも特に人目につかない地区なのだ。
周りを見渡してもあるのは水田、畑、森林のみだ。