☆登場人物☆
○花瑠
双子の妹で、学力もデザイナー性も高い。
体力もあるので、牧場生活に向いている。
非常に優れた能力の持ち主だが、牧場の外へはめったに出ない。
趣味は、自分でデザインした服を作ること。
○奈津
双子の姉で、全能力面において、非常に低い。
体力はそこそこあるが、面倒くさがり屋な性格のため、牧場の仕事などは全て花瑠に任せている。
都会のごみ捨て場に住んでいて、花瑠とは別居中。
仕事はしていない。
。。。花瑠side。。。
朝、6時。
私は小鳥の鳴き声が、良い目覚ましとなって、すっきりと目を覚ました。
布団から出ると、私は洗面台の前で歯磨き。
それが済むと、今度は朝ごはんを食べるために、昨夜の残りのシチューを温めた。
その間に、トーストとサラダを作っておく。
そうしている間に、お鍋から湯気が立ち上ってきたので、私は白いお皿にシチューをよそった。
1人で朝ご飯を食べて、ご馳走さま。
お皿を片づけていると、時計は6時半を指していた。
おっとと!少し急がなくちゃ!
私は大急ぎでお皿を洗い終え、ワンピースに着替えてエプロンをつけた。
このワンピースは、自分で作ったんだよ?
レースとリボンがかわいいでしょ?
家のドアを開けると、サーッと温かい風と共に、ほんのり香る、春のにおい。
もしかしたら、お花をたくさん栽培しているせいかもしれないね。
そんなことを思いながら、私は動物小屋に向かった。
我が、「実りの牧場」は、合計で4つの動物小屋があります。
牛、鶏、アルパカとヒツジは一緒の小屋で、茶色い馬。
それに作物もたくさん栽培しているから、なかなか町に行く余裕がないんだ。
私は牛小屋に入り、牧草をえさ場においた。
そしたら次は、乳搾りとブラシ掛け。
全部で3頭もいるから、牧草がすぐになくなっちゃう。
それに、全動物に言えることですが、毎日ブラシ掛けをやってあげないと、病気になりやすいんだよねー。
だから、動物日記にすべての動物の体調を書き込んでいます。
そして、小屋の掃除を済ませたら、鶏小屋のエサ場に細かい餌を山盛りに。
じゃないと、20匹すべてに餌がいかないんだ。
アルパカとヒツジは、ブラッシングというよりも、毛を刈ってあげます。
5匹ずついるから、毛に埋まっちゃう。
でもこれで、お金に換えれるからいいよねー。
馬のお世話は1番楽です。
何せ2頭しかいないし、餌やりとブラッシングしかやることがないんだから。
でも、これだけで5時間はかかります。
大変だけど、動物と触れ合うってとっても楽しいんだ!
私は動物小屋を出て、じょうろに水を一杯に入れた。
次は、野菜のお世話。
かぶとじゃがいも、お花を敷地内いっぱいに植えているんだよ!
それに、ここ以外にも敷地を3つ持っているから、とっても疲れる。
そこでは、桃や桜の木、夏に向けて育てている玉ねぎや、トマトときゅうり。
もちろんかぶとじゃがいもも育てています。
私は牧場から出て、他の敷地へ向かった。
。。。奈津side。。。
私は、太陽が真上に来るころ、ようやく目を覚ました。
鼻に着くような、生ごみのにおいがする。
目をゆっくりとあけると、バネの飛び出たソファーと、沢山の生ごみや加熱ゴミが山盛りになっているのが見えた。
ここは私の寝床。
大丈夫、私以外にもいくらか人が住んでるから。
でも、子供でここにいるのは私だけかな。
その時、お腹がグーッとなった。
そういえば、1週間くらい何も食べてなかったっけ?
まぁ、いいや。
それももう、慣れた。
私はごみの山から抜け出すと、ボロボロの染みだらけの服を引きずりながら、町へ向かった。
この服は、花瑠が作ってくれた。
花瑠のワンピースはピンクだけど、私は水色。
花瑠、元気かなぁ……
私も、牧場から出なければよかったんだよね。
そうすれば、野宿なんてしなくていいのに……
私はそんなことを考えながら、下町の居酒屋に入った。
ここは、私の休憩所。
いつか花瑠のところに帰るために、楽な金儲けの仕方を学んだりしている。
。。。花瑠side。。。
私は根菜エリアに来て、水をやっていた。
ここには、かぶとじゃがいも、玉ねぎが植えられています。
「奈津……かぶのバター炒めが大好きだっけ……」
私はかぶに水をやりながら、1人、そうつぶやいていた。
やっぱり、双子は双子。
姉がいないと寂しいのだ。
「早く帰ってきてくれないかな?そうしたら、奈津の大好物作れるのにな……」
ふふっと寂しく笑いながら、私は樹木エリアに行く。
ここは、別にわざわざ水をやる必要なんてない。
その代り、冬になると幹に巻きつけるロープの準備とかが大変になるから。
力仕事が多い。
それでも何とか仕事が終盤になった時、突然背後から声をかけられた。
「花瑠ちゃん?」
振り返ると、近所の牧場を経営している、チャコさんが笑顔で立っていた。
「あ、チャコさん。どうしたんですか?」
私がそう尋ねると、チャコさんは申し訳ないような顔になり……
「申し訳ないね……ギルドからね、花瑠ちゃんに水田エリアと、小麦エリアも管理してほしいって……」
あ、何だお願い事か。
「はい。分かりました」
「どうも、ありがとう」
チャコさんは小走りで樹木エリアを出て行った。
「はぁ……何で私にいつも仕事を押し付けるんだろ?他にもたくさん人居るじゃん……」
実は、この畑も、ギルドからの命令で管理しているだけ。
仕事が少ない方がいいから、みんなやらないらしい。
私はさっさとロープをぐるぐる巻きにして、木箱の横にゴトンッと置いた。
次は、背が高い野菜を育てている、背高エリアに行く。
ここにはトマトときゅうりだけ植えてある。
水やりと収穫しかやることがないし、大変なのは、最初の木の棒をつるに巻き付けさせるだけ。
さぁーっと水をやり終えると、いよいよ最後の水田エリアと小麦エリア。
米と小麦を育てるのは初めてだから、注意してやらなくちゃ!
私は水田エリアの広々とした田んぼに、苗を植える。
この苗は、近くの倉庫に置いてあった。
苗を半分くらい植え終えると、水車がごとごと回っているのが見えた。
何だか水が光っているように見える。