引きこもりのニート観察日記

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1:れいか:2015/02/20(金) 21:42

一話ずつ書いていくので、更新ペースは遅いですが、
温かい目で見守って下さい。
コメントもよろしくお願いします。

2:れいか:2015/02/20(金) 21:52

ここで書いて、うまくいけば、小説の方に長編スレ立てしたいと思います。
……が、これはダメなのでしょうか?意見をよろしくお願いします。

望月真結(もちづきまゆ)は中一の引きこもり。
家にはニートで24歳の兄、淳一がいる。
この二人は家族の心配のタネだった。
ある日、真結は「自分の何がいけないの?」と
親に聞いてみる。すると、
「学生は勉強が仕事でしょ」とこっぴどく叱られる。
不服に思った真結は、ニートの兄を観察して日記を書き、
いけないことなどないと説明するのを試みるのだった。

3:れいか:2015/02/20(金) 22:09


電話の声が聞こえる。
「そうなのよぉ、ねぇ、あんなに真面目な子だったのに……」
(真面目、かぁ)
真結は「あの日」を思い出していた。夏休みの前日のことを。

キーンコーンカーンコーン。
「これから、生徒朝会を始めます。気をつけ、礼」
全校生徒がぴったりと動きを合わせるのが真結は嫌いだった。
「生徒会長のお話です」
お願いします、と促されて真結は壇上に上がる。
今日は、ついにあのことを話すと決めたのだ。

「みなさん、おはようございます。今日で学校が終わりですね。夏休みは
 ガンガン遊んで勉強して楽しい思い出を創って下さい。では、私から、
 もう一つ話があります。私は、今日で学生をやめます」

ずっと迷っていた。でも、節目の日の今日がふさわしいと思ってのことだ。
ざわざわと体育館が騒がしくなる。でも、もう関係ないことだ。

「今までお世話になりました。さようなら」

真結は体育館を出て行った。

みな、あれは冗談だと思っていた。
夏休みが明ければ来ると。
しかし、真結は来なかった。
親が呼んでも、部屋に鍵をかけ、誰も寄せ付けなかった。
それ以来、真結は食事時すら家族と顔を合わせなくなった。

4:☆☆花楓☆☆:2015/02/20(金) 23:20

こんばんは★☆

花楓です(*´∀`)
短編板来ちゃいました♪♪

小説すっごい面白いです!
人とはちがう変わった題材で
これからの展開が楽しみです*

頑張ってね(ο>ω<)

5:れいか:2015/02/22(日) 00:19


はじめの一ヶ月くらいは、先生から電話が来ていた。
しかし、今は、もうこなくなっている。

彼女は、勉強を怠っているわけではなかった。
その証拠に、教科書にはたくさんのマーカーラインと
印が付いている。ノートも書かれている。
決して、勉強が嫌で引きこもっているわけではない。

「えぇ、わかったわ。明日の一時半ね。はい、はーい。
 じゃ、また明日」
電話が終わったようだ。彼女は時計を見た。PM10:04。
まだ、隣の部屋の主は起きているだろう。
真結は、そうっと部屋を出た。
コンコン。
「お兄ちゃん」
呼びかけると、
「真結?入っていいよ」
返事が返ってきた。
「今何してる?」
「ブログの更新」
兄はこちらを見ないけれど、声は優しい。
「ふーん。私もやってみたいなぁ」
「ブログはまだ無理だと思うけど。
 まずは、スレ立てからじゃないかな」
「まぁいいよ。私、今、忙しい時期だし。
 またゆっくり教えてよ」
「ああ、いいよ。気が向いたらまた来れば」
「そ、ありがと。じゃあね」
真結はこっそり自分の部屋に戻った。

兄は生活リズムもマイペースだが、真結の方は
朝六時半に起きるというのは欠かしていなかった。
寝る時間は、日によってバラバラだったが。
父親が会社に向かう時間さえ避ければ、彼女が
家族と会わないのは簡単だった。母は、常に
外出しているような人で、昼間、つまり
午前九時から午後六時の間家にいるのは
とても珍しいことなのだ。もっとも、
その方が兄妹には都合が良かったが。

6:れいか:2015/02/22(日) 00:26


翌日。母はそうそうに家を出て行った。
真結はドアの開閉音を聞くと、キッチンに
向かった。朝ごはんを作るためだ。
トーストを焼き、目玉焼きとサラダを
作れば終わりだ。二人前を手早く作ると、
真結は兄と自分の部屋に持っていった。

後片付けも終わり、暇になったので出かけることにした。
兄にそれを伝えると、彼女は意気揚々と着替え始めた。
麦わら帽子をかぶり、半袖のティーシャツにデニムの
ショーパン。この格好なら、中学生だとバレることは
ほとんどない。

7:れいか:2015/02/22(日) 15:20


その日は、運が悪かった。
出かけた先は、渋谷のアニ○イト。
ずっと欲しかったマンガの最新刊を手に店をでようと
した時だった。
ピーピーピーピーピーピーピー
警告音が響いた。
「お客様、かばんの中拝見させていただきます」
店員が近づいてくる。
しかし、彼女はもちろん万引きなどしていないので、
かばんには何もなかった。
にもかかわらず。
「キミ、中学生?」
店員は聞いてきた。ここでウソをついても、
後が面倒なだけだ。彼女は口を開いた。
「はい、そうですけど」
「なんでいるの?」
「今日はお休みなんです。振替で」
「あ、そう。一応ご家族の人に連絡するから。番号は?」
「00‐0000‐0000です」
「まったく、迷惑なんだよ」
真結は不満だった。自分が何か悪いことをしたと
いうのか?

家に帰ると、母がいきなり頬を叩いてきた。
「万引きしたんですって」
「してない。ブザーの誤作動」
「疑われるのが問題なんじゃない!そもそも、
 平日の昼間に出かけるからよ!これだから
 引きこもりなんて嫌なのよ!母親である私の
 評判が落ちるじゃない」
真結は、母の罵倒が収まったころ合いを見て、
部屋に引っ込んだ。

8:れいか:2015/02/22(日) 15:41


母は、昔から自分の事しか考えていなかった。
兄だって決して出来の悪い人ではないのに、
普通だから、自慢できないからといって、
兄を嫌い続けていたのだ。今もそうだ。
「ニート」という馬鹿に出来る口実を手に入れた
ことで、より一層、その矛先が向いている。
そのくせ、そこそこ出来の良かった娘には過大な
期待をかけていた。
同じ70点をとっても、兄には
「この点数は何!?○○君は90点だったんですってね!」
と叱るくせに、真結には
「今回は調子が悪かっただけよ、次は出来るわよね」
と半分誉め、半分プレッシャーをかけるのだ。
(おかーさんはズルい人なんだ)
真結は、五年生のころには、完全に母を信じなく
なっていた。
中学生に上がり、生徒会に入ると、ますます母の
期待は高まった。
「うちの真結が、うちの真結が」
これが母の口癖になっていた。
兄が自分で買わされたスマホとノートPCを、
母はあっさり買ってくれた。真結が欲しいと
言ったものは、マンガでも3DSでも、なんでも
買ってくれた。
母が必要としているのは自分ではない。
「出来のいい子」だと完全に気づいた時、
彼女は決めた。母の言いなりになんてならない。
自分の責任で、自分の望む生活を送ろうと。

彼女は、マンガを読むことにした。
「電○教師」という本だ。
これは、真結にとって「ドラ○もん」にも
勝る人生のバイブルだった。

9:れいか:2015/02/22(日) 22:28

ポロロン♪
スマホが着信音をたてる。
「?なんだろ……」

「件名:元気?
 本文:やっほー!美緒だヨ。元気?(^3^)
    最近学校来てないけどどーしたの?
    ま、無理してこないでもいいけどね。
    またメールするから、遊ぼーね!」
(めんどくさ)
でも、返信しないとますます面倒くさくなる。
真結はテキトーに返信しておくことにした。
「件名:Re:元気?
    元気だから。
    時間あったらね。また連絡するし」
真結は人づきあいが好きではなかった。

10:れいか:2015/02/23(月) 23:09


「万引き疑惑事件」があってから、真結は
平日の外出が禁止されてしまった。
今日は土曜日。久々に外出できるのが嬉しい。
今日はどこに行こうかな?
ワクワクしながら家を出た時。
「あー!まーゆーちゃ−ん」
「……みきっち……」
現れたのはクラスの女王様気どり、美紀だった。
「何の用」
「いやぁ、最近真結ガッコ来ないからさぁー。どっか、
 遊びにいこーよ」
「悪いけど、急いでるから」
「うっわ、アイソわるーい。そんなだから
 亜実の二の舞になっちゃったんだよ!?
 せっかく誘ってあげたのに。もう誘わないから。
 じゃーねー。キャハハハハハハ」
(亜実……)
亜実は、もう生きているかさえ分からない、
元クラスメートだ。
美紀のグループにいじめられて、学校に来なくなった。
今では連絡も取れない状態だ。
どうしているんだろうか……。
出かける気が失せて、真結は家の中に戻った。

11:(花楓´・ω・`*)◆fA:2015/02/24(火) 20:10

やばいどんどん
気になる展開に(´ο・ω・`)
真結を取り巻く人間関係に
スポットを当てたことで
より真結の人間性、そして
もともと学校にいた頃は
どういう感じだったのかが
分かりやすくなってきましたね!!

更新頑張って(*´∀`)

12:れいか:2015/02/24(火) 22:50

自分の部屋に戻ると、孤独感が襲ってきた。
(片付けでもしようかな……)
とはいえ、彼女の部屋はそんなに散らかっていない。
と、その時。
ばさばさばさっ。
本棚で雪崩が起こった。
(あ。やだ、もう)
仕方ないので、一冊ずつ丁寧に本棚に戻していく。すると、
その一番下に少し大きめの何かがあった。
「平成○○年度××区立○○小学校 卒業アルバム」の文字。
(こんなところにあったんだ……)
最初の方は、文集のページのようだ。
自分の作文を読んでみようと、何気なくぱらぱらめくっていくと―。
クラス順なので、真結のいた六年三組は最後だ。
一組が終わって二組の途中まで来た時。
その題名に真結は惹かれた。そして、名前を見て愕然とした。
「友達
         六年二組竹原亜実
 私には、いつも助けてくれた人がいます。
 その子は、いじめられていた私を励ましてくれました。
 教科書を破られたら貸してくれました。
 上履きが隠されたら一緒に探してくれました。
 私は勝手にその子を友達だと思い込んでいました。
 でも、その子は別に友達だとは思っていてくれなかった
 かもしれません。でも、嬉しかったです。
 ありがとう、真結ちゃん。」
真結ははっとした。
小学生の時、確かに亜実はいたのだ。
クラスこそ違ったが、いたのだ。
そして、真結は亜実を助けていたのだ。
「竹原さん」そう呼んでいたから気づかなかった。

「竹原さんは悪くないよ!」
「望月さん……そんなこといってると望月さんも」
「平気だよ!私たち、友達でしょ?」
そんなやり取りをした気がする。
四年生の時ぐらいだ。同じクラスだった頃。

なのに―真結は裏切ってしまった。
見捨ててしまったのだ。亜実を。
亜実は今、どうしているのだろうか……。

ピロリロリン♪
メールの着信音だ。
「題名:    
 本文:久しぶり。亜実です。覚えててくれてるかな……?
    最近、真結ちゃんが学校に来てないって、いろんな人が
    言ってます。私がいなくなったせいで、真結ちゃんが
    いじめられてるの?ごめんなさい……
    よければ、私のメルアドと番号に連絡ください。
    いきなりメールしてごめんね。」

(亜実……)
亜実は悪くない。そう言いたかった。でも、どう言っても
気持は伝えられない気がした。

13:れいか:2015/02/26(木) 12:45


事件は、突然起きた。
トゥルルルルルル。トゥルルルルルル。
この音は家電だ。
「はい、望月です」
「真結ちゃん……」
「あっ、あ、亜実……?」
「今までありがと。じゃあね」
「え?待ってよ、亜実!?」
ツー、ツー、ツー……
嫌な予感がして、真結はあわてて竹原家まで走った。

ピーポーピーポーピーポー
家の前には、救急車が駆けつけていた。
担架に乗っているのは、青白い顔をした亜実だった。
亜実の両親も救急車に乗り込み、病院に向かっていった。

次の日。
家電が鳴った。
「望月です」
「……竹原亜実の母です。望月真結さんはいますか」
「わたしですが」
「K総合病院に来て下さい。一時半ごろに。では」
「は、はい……」
真結は時計を見た。一時。
(K総合病院?今からじゃぎりぎりだけど、行かなきゃ)
真結は書置きを残して家を出た。
「K総合病院に行ってきます
            真結」

真結はK総合病院の近くまで行くバスに乗った。

14:れいか:2015/03/01(日) 20:01

10
病院からの帰り道。
真結はとぼとぼ歩いていた。
亜実の母に言われた一言が、真結の
心をグサリと突き刺した。
「もう亜実にかかわらないでください。亜実は、
 あなたたちのせいで自殺しかけたのよ!」
「……はい。すみません」

亜実がそんなにも傷ついていたことに、真結は
呆然としていた。


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