姉が居なければいい、妹が居なければいい。
そんな風に思ったことはありませんか?
しかし、本当に居ない方がいいのでしょうか?
これは、お互いが憎み合っている、とても仲が悪い、双子の姉妹のお話です。
☆笹ちゃんside
双葉なんて大嫌い。
私は一人っ子が良かったのに。
お姉ちゃんなんて、いらない―……。
「起きなさい、笹ー!」
朝、お母さんが私を起こしにやってきた。
朝はもっぱら弱い私。
今日もシャキッと起きられそうにない。
「まったく、双葉はもう起きてるわよ!」
その言葉に私は反応した。
『双葉』という言葉に。
がばっと起きると、私はだんだんと音を立てながら階段を下りる。
バンッと荒々しくドアを開けると、そこには双子の姉の双葉の姿が。
まだパジャマ姿の私を見て、双葉はにやりと笑った。
「もうちょっと静かにできないの?あ、体重五百キロの人に言っても無理かー」
「はぁ!?あんたこそ毎日毎日、私をからかってさ!ウザいんだよ。ハゲ!!」
「なっ……」
私は「ハゲ!!」と言い放つと同時にドアを閉めた。
後ろから「ちょっと、ハゲって何よ!!」という双葉の声が聞こえてきたが、構わずに歩き続ける。
まったく、何であんな人と双子なんだろうね!
しかも一卵性って……。
運なさすぎでしょ。私。
朝からテンション下がるわー……。
はぁ、と重いため息をつきながら身支度を済ませる。
鞄をつかんで、再び一階に降りた私は、白い皿に乗せられた食パンとハムエッグを食べ始めた。
むすっとした表情のままパンをかじっている私を見て、お母さんはため息をつく。
「何であんたたちはそんなに仲が悪いのよ。『世界一仲が悪い双子』って、ギネスもらえるんじゃない?」
「そんなわけないじゃん!だって、双葉が毎朝毎朝私をからかうからっ!!」
さらに声を荒げる私を見て、お母さんは困ったような表情を見せた。
「あんたたちに名前付けるときに、似たような名前付けなくてよかったわー」
じゃなきゃどうなっていたことか、と嘆くお母さん。
別にお母さんを困らせたいわけじゃないんだけどさ、どうしても双葉とは仲良くしたくないんだよね。
何でかな?
そんなことを考えながら、コートを羽織る。
「行ってきまーす」
玄関の外へ出ようとしたところで、自転車の鍵を忘れたことに気付いた私。
私は自転車通学なので、冬でも雪が降らない限りは自転車に乗る。
下駄箱の上に置かれていた自転車の鍵をとりに行って、私は学校に向かった。
私の学校は校則が厳しい。
だから、「自転車通学は可とするが、その自転車は決められた場所以外には止めてはならない」という校則に従うため、私は裏門まで遠回りして、小さな駐輪場に自転車を止める。
鍵を鞄にしまいながら、私は教室のドアを開けた。
「おはよー」
「あっ、笹!おはよう!」