第一章 「はじめまして、こんにちは!」
ピ……パンッ!
朝、私は目覚ましが鳴り始めると同時にアラームを止めた。
いつもは朝が苦手で起きるのに一苦労する私でも、今日は一味違う。
何故かというと、今日は待ちに待った、花園高等学校の入学式だから!
この学校に入学するために、私は中二から塾に通い始めたんだ。
私のテストの点数は最悪で、合計で250点が限界だった。
でも、花園高校は都内でも一二を争う進学校で、480点以上、偏差値70以上じゃなきゃ合格できないっていうまさに絶望そのものだったけど、私は2年間超頑張って学年トップまで上り詰めたんだよね。
お母さん、塾の先生ありがとう!
この恩は一生忘れないよ……!
「粋?何してるの、早く降りてきなさい」
「あっ……」
振り返って見てみると、ドアから顔だけ覗かせてこっちを不思議そうに見ているお母さんの姿があった。
そりゃそうだよね、いつもならまだ寝ているはずの私が、カーテンを全開にして一人浸っているのだから。
「お母さん!今日入学式だよ!?」
「え、ええ……。そうね……」
パジャマ姿のまま踊りまくる私を見てお母さんはさらに驚いた様子だった。
「タラリラ〜♪クルリラ〜♪今日は楽しい入学式〜♪」
作詞 私。作曲 私。の変な歌を歌いながら私は顔を洗い始めた。
こんな感じの生活習慣は変わっていない。
だけど、変わっているものが二つ……。
自分の部屋に戻り、クローゼットを開けると、そこには紺色の新しい制服が。
花園高校の制服は、ジャンパースカートで、とってもおしゃれなんだ。
ちなみにこれが、私が花園を受験した理由。
一度でもいいから白いシャツを着てみたかったから、私はこの学校を選んだんだよね。
他の学校は、中学の時みたいなセーラー服か、地味なブレザーだから。
さっそく私はパジャマを脱ぎ、制服に着替えてみた。
鏡で見てみると、我ながら結構かわいい。
セミロングの黒髪をそっと触って、にっこり笑ってみる。
髪型は中学のまま。
だけど、眼鏡からコンタクトに変えてみたら、何だか自分が自分じゃないような感じがする。
「すーい!早くしなさーい!」
「はーい!」
鏡の前で笑っている私の意識は呼び戻された。
いつもはウザいと感じるお母さんの声も、今日は何だかすべてが新鮮&心地いいって感じ。