約束してた、あの場所で。
私はあなたに別れを告げる。
これは、お互いを信じ切った男女の、奇跡の、恋物語。
第一章「転校生」
「はーい、席に着けー」
パンパンと手をたたきながら、3年B組の担任は教室に入ってきた。
生徒たちは急いで席に着く。
先生は、全員席に着いたのを確認して、教卓の前に立った。
「えー、今日は、転校生を紹介する。雨宮!入ってきなさい」
数秒後、ガラガラという音とともに、ドアが開いた。
教室に入ってきたのは、この、紅葉ヶ丘中学校の制服を着た、美少年だった。
女子たちから歓声が上がる。
そんな中で、大して驚きもせず静かに席に座っている女子生徒が一人。
桜咲桃。さらさらの長い髪の毛を左右二つに結んでいる。
可愛らしげな女の子だ。
桃は、隣にいる友達の清利に声をかけられた。
「ちょ、桃!あの人、超イケメンじゃない!?」
イケメン好きの清利は早速キャーキャーと騒いでいる。
しかし桃は、冷静に答えた。
「うん、そうだね」
「ぶっ!桃、あんたリアクション薄すぎ!」
ハハッと笑いながら清利は桃を見つめる。
そう、桃はクラスでリアクションが薄い女子生徒ランキング第一位なのだ。
一か月前に男子が勝手に決めてやったランキングでそうなった。
「はい、静かに!雨宮、自己紹介をしなさい」
「……雨宮翔太です。うるさい女子は嫌いです。よろしくお願いします」
その言葉と共にぺこりと頭を下げる翔太。
行儀はいいが、「うるさい女子は嫌い」と言ったことで、クラス中が静まり返った。
その言葉には、さすがの桃もぽかんとしてしまう。
桃だけじゃなくて、清利も、みんなそうだった。
特に女子は。
「え、えーっと、雨宮の席は……桜咲の隣が開いてるな」
「はい」
黙って席に向かう翔太を見てから、クラスメイト達は桃を見た。
かわいそうにというような目で桃を見ている。
きっと、これがただのイケメンだったらクラスの女子誰もが羨ましがっただろう。
しかし、彼は毒舌イケメンなのだ。
誰も羨ましがらない。
そんなクラス中の視線を浴びながら、桃は大きく頭を下げた。
(私、これからどうなっちゃうんだろう)
桃の不安は募るばかりであった。
続きが気になります!!!
4:しーな:2015/06/04(木) 19:05 ありがとう。
ちなみに、名前はなんて読むの?
私はそのままwww本名とは、似てるような、似てないような……。