☆登場人物☆
佐皆川陽菜乃(さみながわひなの)
小学4年生の双子の姉妹の妹。
成績は極めて優秀で、私立の名門校に通っているが、人気者の姉にコンプレックスを抱いている。
2つ上の兄と、1つ下の弟がいる。
佐皆川陽菜子(さみながわひなこ)
小学4年生の双子の姉妹の姉。
成績は底辺で、陽菜乃が通っている名門校には落ちたが、運動神経は良く、クラスの人気者。
妹と喧嘩はいつどもしたことがないが、兄や弟、クラスの男子などとはよく喧嘩をする。
佐皆川浩太(さみながわこうた)
陽菜乃達の兄。
陽菜子は活発なので何でも言えるが、おとなしい陽菜乃には何も言えない。
成績は底辺。
佐皆川圭太(さみながわけいた)
陽菜乃達の弟。
陽菜子と陽菜乃の性格が真逆のため、本当に双子なのかと疑うこともある。
成績は底辺。
HINANO side
「陽菜乃、あんたはあの子たちみたいになっちゃだめよ」
それが、いつもママが私にかけてきた言葉だった。
あの子たちというのは言われなくてもわかる。
お兄ちゃんたちの事だ。
私には兄弟が3人いる。兄と姉と弟だ。
3人とも成績がとても悪く、私が通っている小学校に落ちた。
しかし、私だけは名門校に受かった。
だから、ママとパパは私だけをかわいがる。
でも、私はそれがとてもとても嫌だった。
「やっば、遅刻!!」
朝、朝食のトーストを食べていた私に聞こえたのは、慌てているような姉の声。
私は声のする方を向き、その女の子に声をかけた。
「おはよう、陽菜子」
「おはよっ……」
陽菜子と軽いおしゃべりをしているうちに、今度は活発そうな男子の声が2つ聞こえてきた。
「おはよー。お兄ちゃん、圭太」
「おう」
「はえーな、のー姉」
圭太は私の事をのー姉という。
私と陽菜子は見た目も名前もそっくりなため、そういった方が分かりやすいのだとか。
「のー姉、こー姉とは大違いだな」
そう言ってケラケラ笑う圭太の頭を、陽菜子はバシッと思い切りたたく。
「バカッ!あんたはそんなこと言ってないで、早く学校に行きなさい!」
「飯食ってからな」
朝から元気いっぱいの私達を見て、洗濯物を洗っていたママが洗面所から姿を現した。
「陽菜乃、早く学校に行きなさい」
「はーい」
ママの言葉に、私はカバンをつかんで家を出た。