1「メイク少女」
「ねぇ、メイク少女って知ってる?」
「あー!知ってる知ってる!都市伝説でしょ?」
「確か、メイクがすっごく上手で……っと……?」
「あれ?知らないの?メイクが上手で、どんな顔でも、まるで整形したみたいに変えてくれるんだよ」
「あっ、そうそう!それ!」
「そういえばさ、K大学付属学園の初等部にすっごくかわいい子がいるらしいよね」
「あぁ、あのお金持ちの超レベル高い学園でしょ?確かね、その子は運動神経抜群で、成績優秀。おまけに作画とピアノコンクールでは毎回金賞だし合唱コンクールではソロパートに選ばれるくらい歌がうまいらしいよ」
「マジ!?うわー……、完璧超人じゃん」
「うらやましいよね。しかも演技もうまいらしいよ」
「へー……。でも、何でそんなに優秀なのに芸能界デビューしてないんだろ?」
「さぁ?その子こそ、メイク少女にメイクしてもらってたりして」
私の名前は、小林姫愛蘭。
周りからは、よく読めない名前って言われちゃう。
ねぇ、皆はなんて読むか分かる?
……正解はね、ティアラっていうの。
名前的に、キラキラしてそうな子でしょ?
キラキラネームだけに……。
なんちゃって!
でもね、私実は、すっごい名前負けしてるんだ。
腫れぼったい一重まぶたに、無いと等しいくらいの短いまつ毛。
どす黒くて荒れている肌にぼさぼさの髪。
肥満体系ゆえに、丸太のような脚。
そう、私にはいい所なんて一つもない。
たまたま家が裕福だったから超難関私立K大学付属学園に裏口入学させてもらったけど、成績は悪いし運動もできないから、クズの代名詞みたいになっちゃってる。