日が暮れたら踊ろうか:>>2
◎いろいろつめこみでぱーと!
▽▽ F1 ( ? ::) 進行。デパ地下じゃないのでhogeはのーせんきゅ、楽しいお話はご自由に↓
感想とかほしかったり、はわわ!というかお一つでもいくらでもぷりぃず ◎
ちなみに不良品でぱーとなのは悪しからず。まあ変なもの見たさにいらっしゃいよ → ♡
▽▽▽
雨が降り続いていた。やけに薄気味悪い雨だ。
ニュースで、どこかの球団の若者の活躍が言われている。でも、関係のない話だった。
リモコンを操作する。慣れた手つきでチャンネルを回せば、マリアはふぅと息をついた。
薄く灰被った黒い箱の中で流れる事例は、この世のものとは思えないほど他人事に感じられた。
きっとこの雨が止んだら人々は当たり前のように傘を閉じ、邪魔だと顔を歪め歩くのだろう。
水溜りはその量を増すこともなく、やがて乾いて消え、そこには何もなかったようなアスファルトの道が人々を受け止めるのだろう。
そして何も変わることもなく、やがて雨が降る。
その雨は大地に恵みを齎し、人々の生きる要となる。
その片隅で、この屋敷も少しずつ劣化していくのだ。
そしてその中で塵のように、マリアは呼吸を続ける。
おや、雨は土砂降りになったようだ。テレビもそう告げていた。
古びたチャイムが鳴った。聞きなれた音だ。
「 はい 」
こんな時間に誰が訪問するのだろう。新たな出会いにわくわくとしながらドアを開けた。
「 ごめんなさい、傘を貸してくれませんか 」
丸い眼鏡をかけた、気弱で真面目そうな青年だ。体は華奢で細く弱々しい。なにか蹴りの一つでも入れれば呆気なく折れてしまいそうだ。
眼鏡の奥に優しげな光が見えた。青年は穏やかに微笑む。この分厚い雲の中で、小さく強く光っていた。
とても綺麗で、美しい笑みだった。
「 どうぞ、返さなくていいですよ 」
どこにでもあるようなビニル傘を渡せば、青年は満足げに微笑んで、またお礼を言いぺこぺこと頭を下げて帰って行った。
またいつか、会えるだろうか。
ひとつ、優しくなれた気がした。
しゃぼんだま、飛んだ。弾けて、飛んだ。
きいきいと2つブランコが音を立てながら前後に揺れているが、人が乗っているのはそのうちの1つであった。
少年は細い足を地面にぺたりとつけ、前後に動くブランコとともにゆらゆらと揺らした。
誰かと遊ばないかと聞かれれば、ぎゅっと胸が閉まって、心が痛くなる。
少年は、ひとりぼっちだった。
ふと少年の足元で何かが消えた。余韻が静かに脈を鳴らした。
足には何かで濡らされた感覚がべたりと張り付いていて、気味が悪い。
それが飛んだ方向を見上げれば、夕日に照る虹色のしゃぼんだまが、ゆらゆらと揺れていた。
丸く面白みのない形だが、一個一個大きさも違えば、二つ三つくっつくしゃぼんだまもいる。
詩人でも気取っていたのかは忘れてしまったが、まるでそのしゃぼんだまの一つ一つが命のように輝いていて瞳に綺麗に映った。
しゃぼんだまを飛ばしていたのは誰だろう。
その影はもう消えてしまったようで、残ったのは蝉の鳴き声と最後の一つの大きなしゃぼんだまだった。
大きなしゃぼんだまは木に当たって弾けた。弾けて、残りが飛んだ。
あっけない最後だった。もっと飛びたそうにしていたしゃぼんだまだった。
次の日も、また同じ光景を目にした。
次の日も、また次の日も、そのまた次の日も…。
飛ばした者は姿を見せないまま、もっと飛びたかったはずの大きなしゃぼんだまは毎日ひとつひとつと消えていった。
夏休み最後の日、少年はまたいつもと同じ公園へ向かった。
きいきいと古びたブランコは迎えた、いつもの夕方だった。
最後の大きなしゃぼんだまが砂に当たって消えた。ブランコの目の前の砂場だ。
_____最後を目にした少年は、そこに刻まれた文字に気づく。
“ ありがとう、さようなら ”
……あぁ、
いてもたっても居られなくなった。そこにいる一瞬でさえもどかしかった。
しゃぼんだまのやって来た方向に足を動かした。きっと、その主は自分に気づいていたのだ。
でも、そこにあったのはあと半分残ったしゃぼんだまの液体と、それを膨らます吹き口だけだ。
たまらなくなってそれを持ち帰って、遊び場に置いた。夏休みの情景が詰まったしゃぼんだまだった。
……
そんなこともあったっけなぁと思いながらしゃぼんだまを飛ばした。
向こうにいるひとりぼっちの少年は、目を輝かせ虹色の儚い球体を目で追っていた。
ラムちゃん?hello!
読んだよっ!
やっぱ文才あるね!これからも応援してる‼
>>5 ありがとうございます〜。応援よろしくお願いします
目的地に赤いランプが光った。導かれるように近づけば、あちらも応答するようにサイレンを鳴らす。
真っ白な車体が闇に溶けてしまいそうな、そう、救急車だった。
何かあったのだろうかと気になって仕方がないが、周りの人々は一切気にすることなく傘をさして歩いていて、まるで自分だけ隔離されたような気分に陥った。
きっと、自分だけ傘を持っていないのもあったのだろう。
そう言おうにも、土砂降りの雨の中迎えを待つ間は退屈で仕方なかった。救急車から三人の隊員は降りて行った。野次馬はいない。その姿を目で追いながらちょっと変なことを考える。もしかしたら、傘を差さずに帰れるのではないか。
思い切って3秒ほど雨に当たったところで諦めがついた。周りから見たら馬鹿らしかったのだろう。
でも救急車すら気にしない彼らの目に、単なる子供の奇行が目に止まるはずもなかった。
人並みに逆らい続けるのは窮屈で仕方ない。自分から波に立ち向かう必要なんてないだろう。
道から外れ、近くの花屋へ寄った。だがどれもあまり変わりもしないように見え、むずむずとしてきた鼻に耐え切れずすぐに店を出た。
カフェの前で立ち止まり、近くの壁に背中を預けた。目の前の駅に電車が停まったようだった。そんな中、三人の隊員は忙しなく動き着々と仕事をこなす。ちょうど目に止まる位置での出来事だった。電車が発車すると身体に震えが走った。振動で小刻みに壁が揺れていたのだった。アトラクションにでも乗った気分でいると、すぐにそれは過ぎていった。
不安になり覗き込む。迎えはまた来ていないようだった。また同じことを繰り返すうち、隊員達は仕事を終わりに近づけていた。見慣れた顔が覗き込んだ。迎えが来たのだった。
持ってきてもらった傘を差しながら歩く。雨のせいで差す前の傘でさえ濡れていた。傘を差し土砂降りの雨の中を歩くと、ぽたぽたと傘の端から水滴が落ちてきた。
まるで、水の膜にでも包まれているかのように心地よかった。こんな中を傘を差さずに帰ろうなんて馬鹿馬鹿しい、と笑えてきた。
救急車は発車していた。また新しい電車が出た。ほんの短い時間の中で目を凝らすだけで、世界は着々と動いているのであった。
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