・あくまでも自己満足
・目指せ、完結
・乱入ok
【 他人の犠牲 】
⑴彼岸花
道沿いに所狭しと咲く彼岸花を月だけが照らす夜。風もないのに朱に染まったそれが揺らぐのは彼らが走り抜けたからだ。いや、彼が。
「おい、急げ。 夜が明けちまったら何もかもパーなんだ」
ついてきていたはずの小太りは数メートルも後ろに居た。それに気付くノッポは、彼にだけ聞こえるよう言葉を吐き、足踏みをして待つ。
募る苛立ちのお陰で、額の皺はどこぞの地層かのようであった。
「すまない、兄貴」
随分と運動をしてなかったもので、とやっとの事で追いついた小太りが、ぜいぜい息を漏らしながら言い訳する。ノッポは、聞いていられないとばかりに溜息をついた。
その後も走り続け、息を切らしながら駆け抜けた先には、月明かりに照らし出された屋敷が見えた。
丑三つ時も近付いているというのに、彼岸花の群生地という薄気味悪い土地を訳もなく訪れる者など、どこの世の中を捜せばいるというのか。理由はあるのだ。但し、それが真っ当なものなのかどうかは彼らが一番よく解っている。
何を隠そう彼らは盗っ人であり、まさに今、彼岸花達の中央に位置する屋敷に盗みに入ろうとしていた。
「気ィ抜いてんなよ、今夜のは太客やぞ。 一昨日街で引っ掛けた女、ありゃァここの家庭教師をしてたことがあるらしい。 それによるとな、ここには爺、孫娘、それに通いの執事と家庭教師しかいないそうだ」
「兄貴、それは本当ですかい。 こんな馬鹿でかい家に、夜には爺と生娘しか居ないなんぞ、格好の的じゃァないですか」
先刻の息切れはどこへやら、ヤニで黄色くなった歯を隠そうともせずニタニタと笑みを零す。こいつとは何年もやっているが、合いも変わらず気色の悪い奴だとノッポは思った。が、こんなに大きい屋敷に忍び込むのだ、今宵の報酬を思うとつられて笑ってしまうのは盗っ人の性なのである。
「にしても女、そんな情報漏らして良かったんですかいね? 仮にも、此処に勤めてた身でしょうに」
まあ俺らにとっちゃ好都合なんですがね、と小太りが続けた。
「んなこと知らねェよ。 ちょいと呑ませてキスしたら勝手に話し始めたんだ。 帰り際に本気じゃなかったのならキスなんてしないでだの訴えてやるだのうるさくってよ……顔は整ってたが、ちと気味の悪い女だったな」
「へえ、そうなんですか」
「ま、情報くれるんならどうだっていい、それより走れ、もうちょっとで屋敷に入れる」
ひえ〜見辛さの極み、、悔い改める
⑴とかつけちゃったけど、多分続かない><
メモ圧迫がなんとかなればいいや精神でやってるのみ、更新頻度もひくいだろうな〜〜
#は「空」「見返り」「真のトイレ」を使って創作するんだ!ジャンルは「ホラー」だよ!頑張ってね!
#sandaibanashi
https://shindanmaker.com/58531
「急げ、よ、死に、たいの!」
「そんな、こと、分かってる!」
見渡す限り、シロツメクサ。ドテドテと走り抜ける彼らは、またこの地に四葉が増えてしまう。なんて考える余裕はない。夕闇が刻一刻と迫り来るなかで、いかに遠くまで逃げ切るかが勝負であった。
俺、Aさん、Bちゃんの3人は放課後、いつでも一緒だった。あるときは縄跳び。あるときはおままごと。あるときは土手に腰掛け、ただ延々とお喋り。いつも3人。楽しい日常。暗くなると、お別れ、また明日。さよならの時間は淋しいけれど、嫌いじゃない。また明日会えることが分かっているから。
今日は鬼ごっこ。じゃんけんで負けた俺が鬼。ああ。チョキなんて出さなければよかった。
遊び始めた頃にはまだ青かった空が、赤黒く染まっていく。そろそろ終わりにしよう。俺はそう考え、2人に追いつけるよう、速度を上げた。
「B、こっち!早く!」
トイレに逃げ込むなんて、卑怯じゃないか。俺は男だから、女子トイレには入れない。だけど、早く家に帰りたい。その為にも、もう捕獲して、ゲームを終わらせる。
今なら、鬼、代わってくれた子に飴ちゃんあげる。ソーダ味、これ、珍しいんだよ。ここら辺のスーパーには置いてないもん。こないだ会ったお兄ちゃんがくれたの。宝物にしようと思ったけど、今ならあげる。ねぇ、出ておいでよ。
ギギギギギ、ドス、ドスという鈍い音。タカタカタカ、と走り去る音。窓から逃げられた。待って。置いていかないで。すぐに追いかけた。
時すでに遅く、Aさん、Bちゃんはいつのまにか電話をして呼んでいたらしい、誰かの母親らしいものに駆け寄っていた。
「あんた、もういい加減にしなさいよ、この子らがなにも言わないからって、いい歳して小学生に付きまとって。恥ずかしくないの。2人で遊ぶ約束してたら、いつも付いてくる人がいる、勝手に遊びに加わるくらいだし、友達がいないのよ、きっと。だから遊んであげるの、って言ってたのよ、この子は。まさかこんなホームレスのおっさんだとは思わなかったけどね」
こんなおばさんには興味がない。
「ちょっと、聞いてんの?」
だが、俺の楽しい日常を破壊されるのだけは嫌だ。
「あんた、目くらい、合わせられないの?」
先刻まであんなに楽しかったのに、何もかもがパーだ。肩におぞましい手を掛けられたから、ズボンの後ろポケットに隠し持っていたチョキで切り裂いてやった。キーキー喚いてうるさい。はたと視線に気付き、2人をみると、今まで見たこともないような目でそれを見つめていた。ああ、ごめんね。Aさん、Bちゃん。
視認できるほど震える2人の肩にぽんと手を置き、はい、鬼交代。トイレ出てこなかったから、飴ちゃんはあげないよ。また明日、さようなら。そう話しかけた。
ああ、やっと家に帰れる。今日も楽しかった。
お粗末さまですた。
蛇足後書き。
空とまあ描写できた。見返りは、飴でなんとか?真のトイレは、まあ読め(ガバガバ)
ん〜〜〜〜ホラーでしょう!これは!
めちゃくちゃ自分に甘いスタイルアンド言い訳乙