・何かが書きたくなった時とかに
・短編集 ジャンル様々
・綺麗な文章が書けるようになる為に
「私もう少しで死ぬんだって」
息をするみたいに平然と呟いた後 君はお決まりの笑顔で笑った。
別に驚く事では無かった、僕が毎日通院しても君が退院する様子はこれっぽっちも無かった。
ふうん、と僕がそっけなく返すともっと興味持ってくれてもいいじゃんか〜と君は僕の肩を叩いた。
「私さ、なんでだろう死ぬのが怖くないや。
私のいなくなった世界はどうなんだろうとかそっちばっか考えちゃう、まぁ何も変わらず地球は廻るだろうけどさッ!」
最後の言葉の勢いで君が立ち上がった、驚いた僕はそちらを見たがさんさんと照らす君に似た太陽の逆光のおかげで君の表情は読み取りにくくなった。
死ぬのが怖くない人なんて僕は君以外に見た事が無い、やっぱり君は変な人でそんな君に好意を抱いている僕も変な人だ。
「僕は驚いてないけど怖いよ」
君がいなくなるのが、と付け足して言った。
君は僕の方を向いたが、表情がよく読めない。
「終わりは始まりって言うでしょ、私がいる世界が終わって私のいない世界が始まるの。そこに---くんは生きるんだよ。」
それでも声色から君が笑顔じゃないことは分かった、君は鼻をひとすすりして一歩前に足を出したかと思えば振り向いて、僕に
「---くんには笑って欲しいな、---くんが私に笑って欲しいって思うように」
と言った。今度は顔がハッキリと見える、君は笑っていた。
去年ぐらいに書いたやつ
▽ ▽ ▽
初夏の夏休み、にこにこさんさん元気に照らしている太陽が鬱陶しい。額を流れる汗、直ぐに乾いてしまう喉。まさに主婦の喜ぶ良いお洗濯日和だろう。
因みに僕は主婦では無いからお洗濯が干せる事など嬉しくない、でも ただ一つ喜べることがある。ソレは気になるあの子の水着姿が見れることだ。______おっと、そんな変な目で見ないでおくれよ 男なら当然だろう?しかも好きな女の子なら尚更だ。
水泳部のあの子は 月水金と、このプールに泳ぎに来るらしい。僕が泳げたなら きっと水泳部へ入っただろう。だが御生憎様 僕は泳ぐのが超絶下手だ。プールの授業の際 泳いだところを溺れていると勘違いされ、先生に助けられるくらいなのだから僕は相当泳げないんだろう。
まぁそんなことより、僕はあの子の事が好きだ 誰よりも、なんて自信は無いかもしれないけれどまぁ普通の人よりは好きだ。あの子の水着姿を見て どきどきしてしまうくらいには好きだ。それだけで後悔なんて無いだろう。
「あ!ママはるだよ!」
散歩中だろうお母さんらしき人と手を繋いだ小さな子が水溜まりを指さしながらそう言った。
「本当だね、ゆうとくんの好きな春だね〜」
「うん、ぼくはるすき!」
僕はただの水溜まりを春と呼んだその親子に疑問を抱いた。春?
確かに今の季節は春で心地の良い気温だ。だが僕はお生憎春が嫌いだ。花粉症でマスクが無いと酷い事になってしまう、鼻水は無限洪水で目は真っ赤 おまけに僕の元カノも“はる”という名前でこの季節が来ると嫌な思い出が蘇る。そんな理由で僕は春が嫌いだ。
歩いていくうちにまた水溜まりを見ると
________春だ。
水の表面に桜の木が反射して青かった水溜まりがピンク色に染まる。
さっきの子は水溜まり越しに見える桜の木を春だと言ったのだ、。
「綺麗」
僕が大人になって死んでしまうようにこの桜の木はいずれ枯れて緑になる。
まあ僕は桜の木のように生まれ変わったり出来ないけど。
桜の木が綺麗なだけで春を好きになれるわけじゃないけど。
僕は暫く春の映る水溜まりを見て少し先にあるアイス屋へと歩いた。
(!)微百合注意
▽ ▽ ▽
私があの子を好きなのも
あの子が私をすきなのも
出会ったことさえ全部幻で私の夢だったとしたらどれほど楽だろう
「好きだよ」って言うと「私もすきだよ」って返ってくる事がどれほど虚しいのか知らないでしょ?
あの子の髪は透明感ある黒髪で隣に座るとシャンプーの匂いがする、男子の恋愛話によく出てくるのはいつもあの子だし女子からの印象も悪くは無いだろう。
「お腹すいたなぁ、アレ食べたい。パピコ!」
そう言う彼女の隣に歩く私、いっその事親友じゃなければ良かった。
「確かに〜...暑いし!コンビニ寄る?」
少し遠くにある7の光る数字を見てそう提案した、別に一緒にいるための時間稼ぎではない。
学校からの帰り、少し小腹が減る時間だ。私達は暑さから逃げるように小走りでコンビニに向かい、入店した。
涼しい店内に入りアイスコーナーに向かった。彼女はそれを見つけて手に取り 見っけ!と口角を上げた。
「最初はグーじゃんけんぽん!」
掛け声と同時に手を出す。彼女はチョキ、私はパー...負けた。私は喜ぶ彼女の手からパピコを取り、お会計を済ませた。
「今日は勝てると思ったんだけどな〜...」
外に出ると涼しかったはずの温度が一変し、熱気に囲まれる。私はパピコを袋から取り出して開けた、パキッと音を鳴らして彼女に片方をあげる。
「私に勝つなんて100年早い!」
受け取りながら誇らしげに笑う。
口をつければなめらかに広がる甘いコーヒーの味。んん〜!と美味しそうに味わって食べる彼女。
彼女の隣に歩いたって私は女の子で、パピコを半分こしたって私たちの未来は変われないんだ。
これは夢だ。
だから 空にはクラゲが飛んでるしそこら辺の花は踊ってる。
私は水の中で息が出来るし 隣にはあなたがいる。
あなたが私の顔を見て“__だよ”って笑う。
なんだろう、聞こえない。
あなたの声がノイズに邪魔されて聞こえなくなる。
“なあに。”と聞いてみる。
あなたの顔が歪む。泣いてる?涙は見えない。
これは夢で起きたらあなたはそんな顔してない筈だし、あなたの頭の中に私の居場所はどこにも無い。
なんだかそんなのもうずるくない?
私の頭の中を占領しているのはあなたで、だからこうやって夢にまで出てくるわけで...
夢のあなたは私を見つめる。何考えてるんだろう。
夢のあなたと見つめ合う、仮にも姿はあなたなのに私の心臓は動いてないんじゃないかってくらい穏やかだ。実は私は死んでいて これは人生最後の神様が見せてくれる幸せな夢なんじゃないかとすら思えてくる。
私の意志とは別に勝手に体があなたの方に進んでいく、相変わらず何一つ変わらない鼓動。
私、本当にこの人の事好きなのかな。もしかしたら勘違いだったかな。
ゆっくりと動く、私の鼻が彼の鼻につく。
後数ミリ_____
あなたしか見えてなかった視界が明るくなって、部屋の天井が見える。
起きた、私は夢から覚めた。窓からはちゅんちゅんと鳴く声が聞こえる。
「...惜しかったな」なんて呟いた後自分でも惨めだと思った。夢でしか縋れないんだから。
まあ仕方ないかと割り切ってスマホの充電を抜いた。
“さようなら”の5文字の合図で僕と君は別れた。
意外と簡単だった、別れようって言葉をきっかけに僕らはここまで進んだ。
ミーンミーンとうるさく鳴く蝉のおかげで最後の君の言葉ははっきりとは聞こえなかった
でも君は未練の欠片も無いように僕から去っていった。
君の後ろ姿を見ても僕は何も思わなかった。
こういうの大抵は 振られた側が悔しがったりするもんだろう、それでも僕は一人の部屋で泣くことすら出来なかった。
君が僕に別れを告げた理由も詳しくなんて知らない。
自分ってこんな冷たい人間だったかな、と過去を振り返ってみても何も思い出せない
___僕ってこんなんだっけ....
風鈴が鳴る。夏の終わりを感じる。
“夏の終わりって空が一番綺麗だよね、私は好き”
何故思い出すのか。君が夏の空を好きだってことも、でもこれから来る秋も涼しくて好きだってことも今となっては要らない記憶なのに。
もしかしたら 僕が悪かったのかもしれない。
君はごめんって言ってたけどもしかしたら僕の方が君にごめんを言わなきゃならなかったのかもしれない。
目頭が熱くなって、鼻がツーンと痛む。零れそうになり上を向く。大きな青空に白い雲が見えた。
確かに綺麗だ、そして儚い。そういえば君の笑顔もこんなだった。涙が頬を伝う。
太陽の眩しさなんて気にならなかった、そんなのより目の前に広げられた光景に釘付けになった。
もうすぐ夏が終わって秋が来る、そんな涼しさだった。
「宮田さんはさぁ、なんでピアス開けてるの」
思えばこれが初めて彼女に話しかけた言葉だった。
私がそう聞くと彼女は驚いた顔をしたあとに困ったように笑った。
別に彼女は不良なわけじゃないし授業もちゃんと聞いてるし、話したこともないようなやつからの急な質問にも無視せずにちゃんと対応しようとしてくれる。彼女は優しい。
私は耳たぶの事で先生に注意されてる宮田さんを何度も見たし、悪目立ちするピアスのおかげで“怖い”なんて周りからマイナスな印象がつくのは必然だろう。なのに彼女はピアスをつける。
しかも、ピアスホールもこの前と比べて増えてるような気がする。
「う〜ん、開けたいから...じゃ駄目?」
宮田さんは少し答えづらそうに言った。
彼女は下手くそだ。ピアスが無ければ先生にも注意されない、友達も増えるかもしれないのにただの欲望だけで動く彼女を心底下手くそだと思った。
「◇◇さんは、私とは違うんだよ」
彼女は笑う、目は笑ってない。
▽ ▽ ▽
途中だけど投げます。続きは書かないかな、ピアスを沢山あける行為は自;傷行為らしいですね
「愛情が足りてない人は甘いものを好むらしいよ」
カフェでパフェを頼んだ君に言い放った。
思い返せば君は男の子なのに私がケーキバイキングに行ったって付いてくるしアイスはチョコよりバニラが好きだしいわゆる甘党男子と言ったっていいだろう。
「へえ、物知りちゃんだ」
馬鹿にしてるよねそれ。君の笑うとできる目尻のしわは好きだけど私のことを馬鹿にする君は嫌いだ。
「甘いもの嫌いになるくらい君が俺の事愛してくれればいいんだけどなぁ」
腕を組みながらこちらに乗り上げてくる。鋭い目付きが私を捉えた。
「全力は尽くしてるんですけどねぇ」
熱い視線にそっぽを向く、向いた先にはガラス越しに忙しなくそれぞれの行先へ歩いていく人達が見えた。早送りに見えるその光景に私たちの方がスローモーションなのかもしれないと思った。
「お待たせ致しました」
店員さんがパフェとパンケーキを私たちの元へ運んできた。意外と早い。
君は店員さんに気づくとすぐに腕をどけて目を輝かせながら机に置かれるパフェを見ていた。
トレイの上のものがこちらの机に全て移動すると店員さんはぺこ、とお辞儀をしてまた元の道をたどって行った。
君はスプーンを手に取る。私はフォークとナイフを手に取る。やっぱりパフェにしとけば良かったな。
右手を動かすだけですぐさま愛情にありつける君が少しだけ憎く思えた。
カチャカチャと音を鳴らして分厚いパンケーキに刃を入れる、一欠片切り離して口に運ぶ。
甘酸っぱい苺とチョコレートソースが口の中で調和され幸せが溢れそうだった、否溢れていたのかもしれない。美味しいと口に出さずにはいられなかった。溜息のように出されたその4文字に君も共感したようで縦に首を振っていた。
この瞬間だけは愛情なんて少ないくらいで丁度いいと思えた。愛情でお腹がいっぱいになるくらいなら海に沈むようにこの幸せで満たされたい。
甘いものも嫌いになるくらい愛す。君の言葉を思い出して心底あの会話が馬鹿らしいと思った、愛はおしゃれじゃないのよ。数分前の君を殴った。
今日も夏だった。
蝉がうるさく鳴こうが麦わら帽子が風で靡こうが私は振り向かなかった。
夏が嫌いだった。
向日葵は今日も元気に伸びてこちらを見てる。いつか枯れるのに。
額に汗が滲み太陽からの視線が痛い。
ああ、明日も夏なんだろうな。
諦めるしか無かった。電車が通って風が吹けば白いお気に入りのワンピースが揺れた。
あの日見た波も白い雲も風も、簡単に忘れれるようなものじゃなかった。
「ポコポコッ」
夜中の一時、こんな時間にLINEしてくる人なんて君ぐらいしかいないだろう。
スマホ画面を見る。
“旅に出ようよ。”
ロック画面にはその一言だけが残されていた。
昔から君はこういう唐突な連絡を寄越す事が多かった。何の詳細も無く、ただしたいだけの欲求を私にぶつけるだけ。自由で自分の事だけしか考えられない君にしか出来ない事だった。
私は指紋認証でロックを解除しLINEを開く。
君とのトークをタップすれば以前の会話が繰り広げられ、君と海に行ったり山へ行ったり色んな事をした事がそこに記録としてあった。
旅ってなんだろう。抽象的なその要望は私には難しかった。
“旅ってどこへ?”
キーボードで打った後、送信を押して送った。
ドアが閉じたこの瞬間、ここは全てが抜け殻となった。
この家も、あのパーカーも、灰皿と煙草の空き箱、それと私の心。
ピーーーンと無音なはずなのに聞こえる音、いや無音だから聞こえるのか。
張り詰めた空気、彼を愛したあのダブルベッドも、このソファも
全部、私一人では大きすぎる。
彼の全てを愛していた。彼と過ごすあの日々が私の全てだった。
少し長い下睫毛に ほっぺのほくろ。唇を舐めるその癖にも飽きた日は無かった。
ここは彼の匂いが充満していて忘れれそうも無い。だからと言ってその匂いを忘れてしまうのも辛い。
私は彼の抜け殻に縋る女、そんなだけでも充分だと思えた。