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もっとロマンチックなことしよーぜ
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「あっ…」
塾で席に座ると入口からチェック柄のスカートにブレザーの制服を着た女子高生がやってきた。
何故か驚いて声を漏らすと不思議そうにこちらを見る。
目が合ったがパっと目を逸らしてしまった。彼女はなあんだ、という風に席に座り勉強道具を出し始めている。隣を見ることが出来ず自分も同じように緊張しながら参考書を出す。
先生の話を聞きながら私は考えていた。
あの制服は私立。そう、私立。私の住んでいるところは田舎だからチェック柄スカートは私立しかない。
公立に行けと言われている私はいいなぁ、とため息をつくとこうしちゃいられないと今ある問題に手を出す。
なんで私って行きたいところに行けないんだろう。
「でさ〜、私、ほらあそこの、バレーが強い私立行こうかなあって思っててさ」
そうなんですね、と愛想よく返すと満足したように先輩は帰っていく。
先輩は中学三年生。私は二年生。
先輩とは他校だけれど塾で知り合った人だ。物知りで先生ともよく話し周りにいつも人がいる。そんな人気者の彼女。
実は部活が楽しいということは知らなかったがバレーを本気でやりたいと思っているのは先ほど知ったばかりだった。
何かを熱心に取り組めるっていいですね。
そう言ったのに立花さんてば棒読みすぎでしょ〜〜と肩をたたいて笑われる。
そー、かな、言葉がぽつりぽつり千切れていく。