なりきりでしか呟かないスレ。
誰に成ってるかはメモ欄参照。
きっと俺らはこのまま。
どれだけあの人に近づいたって、結局あの人の本質を理解することなんて不可能なんだ。誰にもわからない。神の領域に踏み込むべきではない、"愚かな人間"は。
俺のような平凡な人生を歩んできたただのリーマンに、想像もつかないような人生を送ってきたあの人を理解することなんてできるわけがない。
狂った人間は同じ狂った人間を認識できない。自分のことを棚に上げて、"あいつは狂っている"と吹き込み始める。
だから、俺らも、それと同じ。
初恋の相手は、ありえないことに男の人だった。
病に倒れてから、日常はただ時間が経過していくだけの退屈なものに変わってしまった。身体は思うように動かないし、思考もなんだか頭が重くて回りにくい。副作用のせいだ。俺の身体は、俺が思っていた以上にボロボロになっている。
外されることのない精密機器のせいでスマホまで没収されてしまって、することは何も無くなった。本なんて読んでいたら眠くなる。窓から見える空は真っ青なのに、もう寝てしまうのは勿体ない気がした。
そんな俺のもとを毎日訪れる人がいた。面会終了時刻ギリギリに、病室のドアを叩くその人は、仕事が忙しいはずなのに欠かさず病室に通ってくれている。
声帯が麻痺している俺の代わりに、その人は世間話とか、どうでもいい日常の一コマとかを一人で話してくれる。時にはリンゴを剥きながら、時には窓の外をぼうっと見つめながら。その横顔を見るだけで、元気が出てくる気がした。依然身体は動かないままだけど。
声が戻ったら、一番に話をしたい人。身体が動くようになったら、一番に抱きつきたい人。24時間取り付けられた器具のせいで、鼓動が早くなるのをリアルに捉えさせられる。あの人のことを考えるだけで、無機質な機械音の鳴る感覚がどんどん短くなっていく。
この感情はバレバレかもしれない。こんなに脈が速いのは勿論伝わっていて。別に心臓の病気ではないんだから。
でも、いつか、この口で、この声で。
"好きです"って、伝えるんだ。
私はあなたが好きでした。たった、それだけでした。
気味の悪い蛇の尾を捨てた瞬間、下半身に言葉にならない痛みが走りました。
違う、本当に、声が出ない。
声を失い、脚の痛みに耐え。それでも追い求めたあなたは。
簡単に、私を捨てた。
苦しい、つらい、息ができない。痛みが私の心を突き刺し、悲鳴が喉を通って乾いた風の音に変わります。
渡されたナイフは、私の可愛がった愛刀。
それでも、どれだけ殺めるという行為を得意としていても、あなたの命を奪うことなど出来はしなかったのです。
太古の時代、命を落とした哀しい海の姫君。彼女の犠牲を繰り返すことのないよう、変化の呪いは歪められました。
"失恋しても生きてゆける変わりに__未来永劫、その痛みは、対象者の身を焦がすだろう"
__大蛇(おろち)姫。
闇しか見えない道筋って、本当に存在するらしい。
時間の感覚はとうに失せた。チャイムっていうものは意外と大事で、鳴らなくなった瞬間、ここまでリズムを狂わせられてしまう。
病院にチャイムなんてない。
そりゃあ多少悪いことはしたし、授業態度だってお世辞にも良いとは言い難かったけど。
だからといって、こんなことになるなんて。ただ日常を当たり前のように過ごしていただけなのに。
既に脚は動かない。手の指先は震えて、何かを食べようとしても飲み込むことができない。
難病なんて縁のない言葉だと思って生きていた。これは何の罰なのだろう。
脚が動かないからもう運動はできない。声が出しにくくて、マイクを握ることも難しい。
一体、俺は、何のために生きているのだろう。何のために生きてきたのだろう。
無駄に年だけ重ねて、何もできないまま、白いベッドで全てを終えるのか。
身体が思うように動かない。それだけなのに。未来から光が消え失せる。なんせ、今の症状はまだピークではない。これから全く動けなくなる。
__"もう、××たいよ。"
たすけて。だれか、たすけて。
満足に動けないままでは、助けを呼ぶことすらままならない。
絶望の海の存在すら知らなかった俺はもう過去のもの。今の俺は、このまま海に沈んで消えていくだけ。