「うわぁ〜!ついに、来ちゃったんだ...」
桜舞い散る春の日のこと。
門を抜けると、真新しい建物が姿を現した。
ルミナス魔法学校....つまりここは魔法を学ぶところだ。
私もそのために、この地を踏んでいるのである。
「あら?あなたも新入生ですか?入学式はあっちで開かれますよ」
女性が話しかけてきた。先生?背が高くて綺麗な人だな...
「お気遣い、ありがとうございます。これからよろしくお願いします!」
そう言って私は一礼すると、女性の指差す方に足を進めた。
向こうにあるのは体育館かな...?
私は歩きながら、親に見送られたときのことを思い出していた。
「10歳が全寮制とか、だめだーっ!」
お父さんは結構親ばかだった。だから私が一人で学校だなんて聞いたときは
なかなか許してくれなかったけど.....
「私、立派な魔法使いになりたいの。お母さんみたいに!」
お母さんは小さい頃に死んじゃった。覚えているのは、尊敬できる魔法使いだったということ。
だから私は、お母さんを目指したい!って思ったの。
「くっ...なら、あいつみたいな魔法使いになるんだ!母さんは本当に立派な人だったからな!」
「いいの!?ありがとうお父さん!私、頑張るよ!」
そんなやりとりで、私は家を出ることを許された。
「きゃっ!」
誰かにぶつかった...? 突然の衝撃で現実に引き戻されたみたい。痛い。
「大丈夫かい?ごめんね、考え事をしていたものだから...」
「あ、大丈夫です。私も同じく考え事を...」
ぶつかったその人も先生みたいだった。とってもかっこいい男の人。
思わず見とれそうになったが、「すみません」と言って私は先を急ごうとした。
「痛っ...!」
今ので足をひねったみたいだった。結構痛くて、立ってるのがやっとくらい
「無理して立たなくてもいい。ちょっと座って」
優しく促され、私の足は自然に座っていた。
「....はぁっ!」
その人が、私の足に手を添えると、手の中が暖かい光に包まれ始めた。
「え、これって....」
しばらくすると、足の痛みは引いていた。動かしてもなんともない。
「ふふっ。君もここで勉強すればこれくらいかんたんに使えるようになるさ」
やっぱり、今のは魔法だったんだ....。
「ありがとうございます!あ、私、先を急がないと」
「体育館ならすぐそこだよ。それじゃあ、またあとで会おう」
「はい!」
またあとで....学校で会えるのかな?
そんなことを考えながら私は先を急いだ。