あの子が天魔神になりました

ふぃーっす
空気こっくりは移動したぜ〜

褒め言葉やな。

くっそ…ぶん殴りてぇ…

おっさんくさい？
そうやろうな、何千年…いや何億年もずっと前からおるからな。

眠いんですが

きゅっぷい。
殴るなら殴っていいけど、無駄やで？

ワイは全く眠くないで。

おじいちゃんじゃねえかよ。
なぁ狐都…お前はどうしたい？このおじいちゃん

おじいちゃん、黙ってろ

キュゥべえ、おじいちゃんには手はださねぇよ。

お爺ちゃんとは心外やな。
ワイは中身はおっさんでも見た目は可愛い小動物やで？

中身がおっさんだから嫌やねん

だが擬人化したらただのむさ苦しいおじいちゃんだろう？
だとすればそこでおじいちゃんのマスコットライセンスは頓挫だ。

ギャップ萌えってのを感じればいいやん。

擬人化なんかせんでいいで。

とりあえず寝させてよー

あのなぁ…おじいちゃん…確かにあんたには老人特有の可愛さがあって和むかもしれない…だが所詮、おじいちゃんはおじいちゃんなんだよ。

寂しいけど睡眠は必要やな。
ゆっくり休みや。

きゅっぷい。
姿だけ見てれば可愛いから気にする必要はないやん。

おじいちゃんはおじいちゃんwww
じゃあ寝るわ
またな

狐都ちゃん…無理をいうようだが…俺をむさ苦しいじじいと二人きりにしないでほしいんだ…

えええええw

いやああああ…そんな…

いいやん、二人きり。

お前らも寝ろよw

ワイは寝れない。
昼と夜が逆の生活してるからな。

寂しいな…

もういいわ
寝る
じゃあな

話はまた後日や。
じゃあの~

確かに…美少女との二人きりはかなり幸福を味わえる…
だが…中身がじじいのマスコットと二人きりでは俺にとって不幸と鬱憤しか募らねぇ…！

狐都…震えて眠れ。

細かいこと気にするんやな~
モテへんで？

アンタだってモテたことねぇだろうが…！！

ワイは滅多に姿現さへんからモテないのは当たり前、だから例外や。

姿…現すことできるんだな。
いまここで現せよ。

何言ってんだ、これが姿やで。
それ以上でもそれ以下でもない。

暇やからなんか語ろうかな。

…なんだ…？元の姿でもあるんじゃねえのか？朽ち廃れたクソジジイの姿なんじゃねえのかよ。

何を語るんだよ。俳句か？滑稽噺か？漢文か？

残念だが、ワイはずっとこの姿やで。
おっさんは精神年齢やで。

語るっていっても、ワイの話や。
あまりに暇なんで価値のない話でもしようかなと…

そうかよ…まぁ…思ったより、悪ぃやつじゃねえから良かったけどよ。

少し興味があるな

思ったよりが余計やな…
じゃ、語らせてもらうで。価値のないワイの価値のない話、聞いときや。

あいよ。

まず、ワイは「裏切者」や。

ワイには仲間がいた。
ワイの星の仲間や。その星の種族を「インキュベーター」という。
ワイもそれや。

妙な始まり方だ。

そのインキュベーターは何億人といて、尽きることがなかった…
その上、何億年前から宇宙に存在していた。

ワイらインキュベーターには「代わり」がいた。
例えワイが死んだとしても、また次のワイが出てくる…っていうプロセスで。

ほう。

インキュベーターは、地球のエネルギーを摂取することで、宇宙を保ってたんや。
でも感情がなかった。エネルギーの為に動き死ぬ、ただのゾンビのような存在だった。

そんな無感情集団の中で感情を持ったのがワイや。
何の奇跡かは知らんが、産まれつきの感情だった。

そんな中で、ワイは疑問を感じていた。
「エネルギーだけを求め、宇宙の柱となって生きていくのはつまらない」…と。

その結果が、裏切りや。
仲間を、種族を裏切って星から逃げ出した。

そうして辿りついた先が、地球だった。

星から追ってきたインキュベーターもいた。殺されたりもしたけど、また代わりが出てきたんやけどな。

ワイは、世界でたった一匹の感情を持ったインキュベーターと言うことで、自ら名前をつけた。

それが『キュゥべえ』やで。

今でも、ワイは裏切者の汚名を背負っている。

それでも星の中でひたすら生きるのは嫌だった。だから求めたんやで、後悔はしてない。

………これが、おっさんの価値のない話やで~
忘れてくれていいで。

価値はねえ。だが、これはあんたの決断を表した話だ。俺は忘れねえさ。

そうか、忘れないなら忘れないでいいんや。

それより、よくこの時間帯まで起きてられるな？

仮にもし俺があんたの立場であったとしたら、俺もあんたと同じことをしていたかもしれねえ。

俺は人間的肉体においては思春期だ。ゆえに今、かなり睡眠欲によって蝕まれている。

羨ましいな、ワイには思春期も何も来たことがないんや。仕方ないけどな。

ワイの裏切りは間違ってなかったんかな？同じ考えを持ったな、同士よ…

悔やんでねえんだったのならば、それは間違いではねえだろ。

せやな、自分がそう思ってるなら間違いなわけないよな…

きゅっぷい。
ありがとうな、マモン。

気にすんな。
てことで、キュゥべえ、俺は暫しの眠りにつく。

明日も…よろしくな。

明日がくるといいな、明後日も明明後日も…きっとくるけど、くるといいな。

きゅっぷい。おやすみ…ワイはお前を信頼したよ、ペットになってあげてもいいんやで？

キミは実に愚かだね、キュゥべえ…インキュベーターとしての使命を受け入れずに裏切るなんてね…訳が分からないよ。感情に意味はあるのかい？

愚かでは無いと僕は思うよ、僕らは感情を失ってしまったから人間を理解することはできない、だから彼は人間という概念における専門家としての道に進んだに過ぎない。
だから裏切った訳じゃないし。個人的には感情に意味はあるど思っている、僕の最高傑作がそれを教えてくれた。

キミの最高傑作とは、誰なんだい？

やべえwwwwwww
インキュベーター3匹も集まったwwwwwww

登場！

狐さんちーっすwwwwwwwwwww

確かあいつの最高傑作はシグレさんですね。

またしても知らんwwwwwwwww

なんの話や

ワイにも分からんwwwwwww

インキュベーターさんの最高傑作の話ですよ。

ワイはもうあの星のことには疎いからなあ…知らんかったわwwwwww

来たで。

おけけ

で、何するんやったっけ？

キュゥベぇが消えるのを阻止するんでしょ

そうだったな…
虚無の空間へと意識が引きずられつつある…急ごう。

まず、どうやったら止めれるの？

消えた？

消えてないぞ。
ご飯食ってたなう

インキュベーターはどれだけ足掻こうと虚無の空間に引き釣り込まれることになるだろう、これはインキュベーター全体の意思であるから止めることはできないだろうな。

やはりか…ワイ、いや…ボクらは無駄だったんだね…

寂しいが、虚無の空間へと行くべきかい？
でも…最後に挨拶だけはしておこう。

楽しかったよ、次は必ず、人間の姿で会おうね…

例えボクが世界の果てに行こうと絶望しても…キミ達とはずっとネットワークで繋がっていられる。
虚無の空間は別としても、いつか必ず繋がろう…ボクらが終焉を迎えるには少し速すぎるから。

感じるものが違えど、ボクらは同じ時間を巡っているんだ。だから、キミ達のことをふと思い出すよ。忘れないように…虚無の空間から還れる日はいつか分からないけど、信じてくれ。必ず、絶対に戻ってくる。

キュゥべえ……良い奴だったよ……

ボクは毎日祈るよ、葉っぱ天国が、この場が幸せであると…

そろそろ行くよ…ボクに希望を与えてくれて、ありがとう!!!
キミ達はボクの光なんだ、ずっとキミ達の無事を祈っている…どうか元気でいてくれ、大好きなキミ達よ…

次ここに来る時は、どうなってるか分からない…でもきっと良い未来だと確信できるよ。

さようなら、また絶対に会える日まで……

さようなら…楽しかったよ…

つまらない今を変えて