第一章 怒涛の一日目
プロローグ 『始まりの余熱』
____これは本気でヤバい。
固い地べたの感触を顔面に味わい、彼は自分がうつ伏せに倒れたのだと気付いた。
全身に力が入らず、手先の感覚はすでにない。
ただ、喉をかきむしりたくなるほどの熱が体の真ん中を支配している。
____熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い。
叫び声を上げようとした瞬間、こぼれ出たのは絶叫ではなく血塊だ。
せき込み、喉からこみ上げる命の源を思うさまに吐い出す。ごぼごぼと、口の端を血泡が浮かぶほどの吐血。ぼんやりとした視界に、真っ赤に染まった地面が見える。
____ああ、これ全部、俺の血かよ。