きみのための物語

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1:◆RI:2020/11/01(日) 20:49

自分のキャラの過去話、裏話
スレッドにかけない小説のような話をどこかにあげたい人はここに書き込んでみてください

正直スレ主が欲しかっただけですがご自由にどうぞ

215:◆RI:2022/07/14(木) 21:46

愛しい君に、美しい恋を捧げよう

https://note.com/joyous_holly145/n/n76238f46ab9d

216:◆RI:2022/07/14(木) 21:47

この後友成に抱き抱えられながら外に出た白菊が見たものは、半壊した西園寺の屋敷とこちらを見て駆け寄ってくる友の姿
幼なじみの兄弟は自分の腕と顔を見てそれぞれ近くの物を破壊してそのまま屋敷を半壊から全壊させに行こうとし、源ノがそれを死んだ目で止めに行き
土御門や安倍はそれぞれ安否や傷を気にかけてくれた

あたたかい空間、いつもの私が知っている空間、私が居てもいいと許してくれた、私を望んでくれた場所

「おかえり、白菊」
「─ただいま、皆」

その時、なんの不安も遺憾もなく、私ははじめて笑えたのだと思う

217:◆RI:2022/07/21(木) 23:57

『お前と僕は』

1 https://i.imgur.com/lqCZQnN.jpg

2 https://i.imgur.com/KvIZ7VK.jpg

3 https://i.imgur.com/brAEgnp.jpg

4 https://i.imgur.com/wAVXKQy.jpg

5 https://i.imgur.com/bJwWH1G.jpg

6 https://i.imgur.com/eBUo8p9.jpg

7 https://i.imgur.com/RytCUG4.jpg

8 https://i.imgur.com/ay6EPCK.jpg

218:◆Qc:2022/08/03(水) 00:19

『とある場所』




「······いやぁ、なかなか面白い狂言だね······あそこの連中は絶対ここの存在に気付くことはない······か。我ながら良く出来てると思うよ······そう思わない?」
「思いませんが。······悪趣味ですよ。ヴラデク監視長の方が無干渉なだけもっとマシかも知れません」
「手厳しいなぁ。······でも、こうするしかなかったんだよね。わかるでしょ?」
「······納得はいきませんが」
「だよね。······私もそう思うよ。······まあ、あそこのお陰で『月の王』が成り立ってるから存在意義はあるでしょ」
「本当に大丈夫なんですかね······?」
「大丈夫大丈夫。何度も言うけど内部からは絶対干渉できないようにしてる。······問題なのは外世界から乗り込んでくる規格外だけ」
「規格外というと······」
「確か片方はタナトスとか言ったかな······?そいつは多分内部には干渉してこないとは思うけど······『月の王』に守られてる場所が怖いかな」
「あぁ······確か魂を布に変えるとか何とかいう存在でしたっけ······?」
「······そうだっけ?······まあともかく、まだそっちはマシなんだよ。······もう一つある。こっちは本当に何やってくるか分からない」
「タナトスと相打つ可能性はありますか?」
「相打つ可能性というか現在進行形で何かやってるみたいだよ。それでもどうにもならないみたい」
「ふむ······難儀なものですね。······まるで異民族から攻められる漢帝国みたいです」
「漢?」
「······え、ご存知でない?」
「············あぁいやわかるよわかる。とりあえず言いたいことは分かった。でもこればっかりはどうにも出来ないから······内側を中心にセキュリティ強化しようかな」
「了解しました。ではそのように伝えておきますね。······あ、『月の王』への影響はどのくらいになりそうですか?」
「え?えーっと······とりあえず大丈夫。通常通りでいいって上に言っておいて」

219:◆Qc:2022/08/04(木) 01:56

『妖幻の月族-1』


────月。
4代目の月の巫女が死んでから、時は経っていない。そう、丁度斬月が行動を起こす前の時である。
「······来客?」
『月族』の族長の一人である徊月は、『兎』による報告に首を傾げた。
「そうです。何でも『自分のことを覚えている奴が居るはず』とか言って······それ以外の事は何も喋りません」
「敵意は······ない?」
「少なくとも、表面上は」
「······そうか。ありがとう。とりあえず会ってみよう」
忙しいのにも関わらず、不思議な来客と会うという徊月。······これには、この月という場所にも関係している。
当然ながら空気もない、その上ここにある月族の建物には外部からは視認を含めた一切の干渉が出来ないようになっているのだ。どの道、それらを突破してここに来るというのは尋常ではない。
『月面大結界』維持の応援に行っている者や、地球に降りて次代の『月の巫女』を探し回っている者が粗方出払っている今、月族の地区はほとんど無人と言っても良かった。
今ここに残っている者は、待機することを命月から強制された者────徊月とその他数名しかいない。

やがて徊月は簡素な建物に足を踏み入れた。そこは、普段は『天人』や『兎』の有力者が会議前に待機をする場所として使われているのである。
たが今────ここは異質な女性の為に占領されていた。
「······」
灰色の髪をした彼女は目を閉じている。瞑想でもしているのかと思い、少しだけ動くのを躊躇われた徊月。
······しかし、ふと彼の脳裏に電流が走った。この女性の存在を、記憶の大海から拾い上げたからである。
「······張月。久しぶりだな」
女性はそこで初めて目を開いた。暗い、くすんだ目であったが······目許が少しだけ笑っていた。
「ほら、やっぱり覚えてたか······と言ってもお前だけだろうな。······徊月」
女性の名前は張月といった。そこから分かる通り、月族の一員である。
「何年ぶりだ······?月族が体系化された時に一回顔を出して以来だよな。思えばその時も······それまでの話を聞きそびれてた」
「はは······何せその時代は中国より日本が面白そうだったから」
張月は他の月族とは違い中国に行っていたらしいのである。そう言われてみれば、その格好も道家的な趣がある。
「······古参の特権だよな」
「そうだな。徊月······流石にお前には劣るが。······あぁ、折角だし土産話をしてやろう。······三国志は好きか?」

220:◆Qc:2022/08/04(木) 02:34

>>219
『妖幻の月族-2』


「······三国志?······まあ一般教養の範疇なら」
「なら流石に黄巾は知ってるか。······さて、なぞなぞだ。私は『張月』。何か気付くことは?」
張、という字を机になぞってまで強調する彼女であった。向かい合う徊月はしばらく悩んでいたようだったが、改めて張月の格好を眺めてようやく思い至る。
「張······って、黄巾の首謀者の苗字も同じ······何かやっただろ」
「ご明察。······って程でもないがまあいいさ。つまりだな······まあ何というか······儒家思想を道教思想、というか単純な欲望で破壊するのは楽しかったよ」
「··················うわぁ」
ようやく察した徊月である。
「それにしても弟達も凄かったが張角は凄い奴だったな。本当に幻術とか妖術使いこなしてるし······率いた物にもう少し頭があれば天下狙えただろうに」
「会ったのか······頭、というと?」
そう言われると色々と聞いてみたい徊月。しかし相手を優先し、最低限の相槌に留めていた。
「やっぱり賊だからか頭脳は弱いな。首領は悪くないが下が悪すぎる······お陰で簡単に取り入ることが出来た。父親の忘れ形見とか何とか言ってな」
「······で、そこで何を······?」
「幻術とか妖術とかを習った」
「は?え、陰謀とかは?」
「期待してたのか?」
純粋な興味だけで動いている人間とは恐ろしいものである。張月は確かに時代の証人にはなったようだが······時代は動かさなかったようである。

「······で、結局は?」
「どうもこうも。本拠地陥落したから雷雨に乗じて逃げてやった」
「その雷雨は······ってそれはともかく。······それだけじゃなさそうだな」
「ああ。五斗米道は知ってるか?」
「何となく。今でも続いているらしいから嫌でも耳に入る······ってまさかここでも何かやったのか······?」
一、二回で慣れる、ということはない。暫くはこのままの驚きが続くであろう。
「いや。ある役人に賄賂を払って取り入った辺りで漢中が落ちた。······まあ別にその後もついて行っても良かったんだが」
徊月は頭を抱えるのと同時に、畏怖に似た感情を覚えた。
幻や妖の術に精通するとなると、時間が無限に近い月族の身でも苦労は多い。ましてやそのような異能を持っていないのであれば。
ともかく、彼はその後の話は聞き飛ばした。道教発展に一枚噛んだとか、一時期日本に渡って陰陽道を学んだとか、その辺の話は脳が受け付けなかったのである。
「······とりあえずこれからはしばらく月でのんびりしようと思うよ。この時代でも今まで学んできた術が機能するか試してみたいんだ」
「······まぁ、気取られないようにな」
結局徊月はそれしか言えなかった。ただ、唯一彼が冷静だったのは、起こった事を命月に報告することを忘れなかった事である。
このお陰で、張月の特異性は、月中に有名となるのであった。

221:◆Qc hoge:2022/09/29(木) 01:03

『無題』



今日も今日とて怠惰な生活を送っている女性、御伽華。教職をすごい早さで解雇されたのが原因ではあるが、何故解雇されたかについてはわからない。
手元には数年は遊んで暮らせる程の退職金だけが残っている。そして生憎、華は遊んで暮らすような性格をしていない。
···そこにあるのは、虚無。色も形も何もない虚無である。

「···先生?」
そんな彼女にも、辛うじて交流はあった。
「···石鎚さ······篝ちゃん。ノックくらいしてよ」
「事前に手紙送っておいた方が良かったですかね······?」
「いや···寝かけてたからむしろよかった。おかげで目が覚めたよ」
虚空から前触れなく現れた少女が、華の意識を急速に鮮明にさせていく。冗談が通じなかった所はご愛嬌である。
······彼女の名前は石鎚篝。未だに華を『先生』と呼んでいることからも、その親愛······尊敬の情がわかる。
「······で、今日は何しに?」
「···特に用事はないですが······家に一人になったので······」
躊躇はするものの、ここに来た理由を包み隠さず言う篝。特に何もないのに来るというあたり、完全に慣れている。
「そっか。···最近どう?」
「ぼちぼち······ですね。あ、そういえばこれ······この問題分からないんですけど······」
「ぼちぼちかぁ······それで質問?嬉しいなぁ。······これはこうやってこうすれば······」
座りながらテーブルにノートを置く篝と、そのノートを見て解答例を赤ペンで書いていく華。······何となく距離が近い感じがする。
「この式が共通してるでしょ?これを文字に置き換えてコンパクトにして、因数分解した後に文字を元の式に戻せば簡単で確実だよ。時間はかかるかもしれないけどね」
「なるほど······こんな感じに······ありがとうございます」
篝はそう言った後も、そのままその場所を動かない。会話はなかった。

「······そういえば、最近冴月ちゃん達はどうしてる?」
先に空気に耐えきれなくなったのは華の方だった。大人の威厳などあったものではない。
「どうって······最近来てないんですか?」
「来てないね。······まあ、こんなになってる私に会いに来てくれる人なんて······よっぽどの物好きだよ」
「······」
華が教鞭を取っていたのは1年程度である。しかも、転任ならともかく······謎の解雇によって教員生命が中断されたのだ。ただでさえそのような文化が薄いのに、生徒が会いに来よう筈もない。
······篝と、先程話題に上った冴月を除いては。
「······篝ちゃん、無理に会いに来なくてもいいからね······?」
華はのんびりと言った。そこまで軽い調子で言える事柄ではないのは重々承知している。しかし彼女はこの生活でかなりネガティブになっていた。······少なくとも篝にとっては、今にも消えてしまいそうに見えたに違いない。
「······いえ。私は来たいから来てるんです。話をしたいから手紙を送ったり会いに来てるんです。一緒にいたいから······」
「······」
そこまで言って口を噤んだ篝に対して、華の反応はというと······赤面していた。
「······そこまで言われると、嬉しいを通り越して······恥ずかしくなってくるんだけど」
「······っ」

直後、華に負けず劣らず顔を赤くした篝は、すぐに手紙に自分を添付させ帰っていった。
······後には、僅かにかき混ぜられた空気と、珍しく頭を抱える華が残されていた。

222:◆cE hoge:2023/07/14(金) 21:40


「魔女」

 おとなは、みんな嘘ばっか。うそつき、みんな嘘つき、だからもう
 「だれも、しんじない。あおい、いがい、もうだれも」
 頭から血を流す妹を抱きしめながら、そっと頬を寄せる。誰も助けが来ない業火の中、片割れを背中に抱え割れた硝子の破片に映った自分を踏みつけた。

 訓練終わり、汗を拭い湯浴みを済ませたあとお茶を啜りながらにこにこと周りを見渡す。ここも随分と人が増えたものだ。子どもから大人まで、昔は二人だけだった訓練も今では大勢ですることも多くなった。随分と日が長くなった。そんなことを考えて目を瞑る。今日は朝から嫌にあの日のことを思い出す。

 昔から、私たちは一族に疎まれていた。一つは、双子で産まれたからという理由。二つは、二人が揃うといつも妖達が寄ってくるから。三つは、二人とも女であったから。
 父は私たちに目を向けず義務だけ果たすようにといい姿を現さない。母は、忌み子達を産んだから、そんな理由で安倍の権威を失墜しようとする者たちに私刑を下された。
 そんな中、味方となってくれる大人が一人だけいた。棗、彼はそう名乗り、なにか困ったことがあれば私たちに手を貸し、その変わりに私たちが妖達を退治した。人見知りで気が弱い葵も彼には心を許していた、それは私も同じだった。
 夏の暑い日だった。今日は朝から家が騒がしく、陽炎が燃えていた。二人で手を繋いで書物庫に籠っていると、突然父が現れ私たちの両手を力強く引っ張り外へと連れ出した。それを私たちをようやく見てくれた、必要としてくれたと勘違いし、二人ではしゃいでいると突然頬を叩かれる。
「なにを浮かれている。同じ顔で気味が悪い。この騒動を片付けろ。命を落としても」
 そういい、父は去っていった。なにを彼に期待していたのだろう。涙を堪えながら、二人で現れた敵を倒して、倒して、倒して、倒して、どれくらいたっただろうか。お互い体力も、霊力も限界を尽きた。六歳の二人が闘ったところで、鷹が知れている。そんな余計な考えが頭によぎった時だった。
 今までよりも大きい妖が現れた。
 幼い私たちはそれが今回の騒動の原因だなんて気付きもしなかった。葵の方をみて油断をしていた、その時だった。

「おねえちゃん!!!」

「…っ、あお、い?、あお…っ!」

 敵の攻撃を庇った妹が頭から大量の血を流し倒れていた。う、そ…うそ、死んじゃいや、嫌だ。

「あれ、まだ生きてたの?てっきり死んだかと」
「なつめさん、あおい、あおいが!」
「分かってるよ、死にそうなんでしょ。でもね、こっちも精一杯なんだ、強く生きなよ、じゃないとこの世界では生き残れないんだからさ、利用されて終わりだよ」
「…え、あ…いっ、いや、いやいやいやいやいやいやぁぁぁぁ!」
 そこからのことは覚えていない、気付いたらあの妖はこの手で潰していたらしい。周りには大量の瓦礫とボロボロになった刀があった。周りは業火に焼かれており、妹の息も弱まっていた。

 強くなければ、意味がない。
 弱いものは、淘汰される。

 その考えは良くも悪くも私たちを変えた。
 後から確認したが、棗はそもそも私たちをよく思っていなかったらしい。そして彼はあの騒動で命を落とした。笑える話だ。もしかしたら私が手にかけたのしれないが、記憶にないのだからなんとも言えない。
 妖達が寄り付く体質も、あの後術式と性格ごと入れ換えたあの日以来収まった。
 

223:◆cE hoge:2023/07/14(金) 21:41

「そんなことも、つい最近のことのように思えましたのに…。それにしてもなにも言わずに背後に立つなんて、御前でなければ許されませんわ」
 思い出した苦い感情にぐっと蓋をして、いつものように優しく笑顔を携える。これもあの後身に付いた生き残りの術だ。
「なにもせずとも、流れるものなのだから許しておくれ」
 思考を覗かれるのは慣れないが、そういうものだから仕方ない。どうせその他の情報に流される。
「ふふ、今師範や御前に向けている信頼は本当です。ですから心配せずとも…これで、裏切られたら、それこそ半狂乱の魔女にでもなるやもしれませんけれど」
「そんなことは起こり得ないはずだ、そのように目を配ってるのだから」
「私も、そうならないことを強く望みますわ」
 そっと視線を下げた先の湯呑みに映った自分の顔はあの日は違い、少しの笑みを携えていた。
 


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