深い深い森の、さらに奥
そこには秘密の墓場が存在する――――その事を知っている者は数える程しか居ない
時々、処刑されて「そこに」消えていった筈の者が森から出てきたりする……
「何か」がある証拠としては、それで十分だろう
……興味を持った人間がそこに足を踏み入れる時――――彼ら彼女らは、一体何を見出だすのだろうか?
>>9
「貴女も何かしたのですか……」
(こんな場所に呼び寄せられる以上おそらくろくなことではない。……ただ、死体目的の自分よりは遥かに健全な理由とも言えるかも知れない)
「……しばらく誰も来なさそうですが……まあ、ゆっくりしていってください」
(薄闇に閉ざされた、もはや自分の庭同然の墓場を眺めて言う)
>>10
「ええ、ではお言葉に甘えさせてもらうわ」
言ってシロは先程まで凭れていた墓石に向き直りしゃがみ込む。
白い指先が墓碑銘を撫でる。
その墓碑銘に刻まれた生涯は決して褒められたものではないが、シロはそれを否定することはしなかった。