西暦20XX年、青波市。
日本近海に浮かぶ人工島に建設された巨大水上都市。
安寧と繁栄を謳歌するネオン煌めく洋上の不夜城に『黒き神仙(チェルノボーグ)』の魔の手が迫る。
けれど、この街には不屈のヒーロー達が居た。
ならば、やるべき事は唯一つ。
さぁ、英雄譚の開幕だ。
『Prologue』
「……ん、ここは……何処?」
鐡 冴月が眠りから覚めるとそこは知らない部屋だった。
背中に感じる柔らかな感触、どうやらベッドに寝かされているらしい、起き上がろうとするが身体が思うように動かない、見れば手首に縄が巻かれていた、その縄はベッドの下へと延びている、反対の手首と両足も同様だ。
「……私、縛られてる? そうか、捕まったのか」
自分の置かれている状況はすぐに理解できた、同時にこうなっても仕方ないとも思った。
とにかく、ここから抜け出さなくては、冴月は四肢に意識を集中させる。
「『メタライズ』」
発動する金属化の異能、細長く変形する四肢、もはや縄など存在しないに等しかった、束縛から解放された冴月は異能を解除し立ち上がる。
室内は簡素なベッドが二つとスチールラックが一つ置かれているだけ。この部屋には何も無さそうだ。
冴月はドアへと向かいドアに耳を当てる、話し声も足音も聞こえてこない誰もいないようだ。
冴月はゆっくりとドアを開け外の様子を伺う、やはり誰もいない。
「待っててジョー、私が助けるから」
そう決意し冴月は未知の建物を探索し始めた。
『Prologue =ENGAMI side』
____拳一刀流…
「『返し討ちィッ!』」
同じ建物の何処か __伸びた一団が辺りに広がる中
腰を深く落とした瞬打が決まり、戦闘員が宙を舞う…
…だがすぐに次の集団が、ヒーロー1人を取り囲み
軽く腕力で彼らを越す炎神も、流石に不利を理解した
「 っへへ …流石にこりゃ
先走っちまったかな…! 」
_____だが嬉しいぞっ…
「 暴れるんなら…へへ、こんだけ居なくっちゃな…!」
やることなす事拳一丁。___啖呵を切れば
我先にと向かって来る敵の群れ、…だから楽しい
戦いがいが体の中で奮ってくる …疲れは感じない
「 だりゃぁーッ 『群狼拳ーッ!』 」
何も考えずに …ただ拳を振るって暴れ混む。
「いったい何事なんだよ〜...」
コツコツと歩く音
負霊達は恐怖で怯え、怪物化した者達も静まり返る。
「おい、これは...どういう状況なんだぁ?」
ーそ、そのぉ...今から彼奴らを捕らえるとこで御座いますぅ...中将殿。
「ふ〜ん...なら、お前らはそのまま奴らを捕らえておけ。俺は観戦しておくからさ」
―は、はいぃ!!野郎共行くぞぉぉぉ!!
負霊達は怪物化した者達に負の波動を送り
怪物化した者達はより凶暴化し、ヒーロー達を襲う。
上にいる負霊達が呼ぶ“中将殿”は葉を吸いながら高見の見物だった。
「さぁ...どう感じで俺を楽しませてくれるかねぇ...」
負霊達の戦闘姿を見ながら吸った。
怪物化の者達は全員で5体
スーツで眼鏡を掛けたトカゲ男
音楽の音符を身にまとう巨大犬女
数字のメモリーを背中に伝う機械
ハートが割れた赤黒い液体を出す3mの人形
筆を両手持っている血を流した骸骨
同時に襲いかかる
部屋の外に出て十分ほど経っただろうか、四つほど部屋を調べたがジョーの姿は見付けられなかった。
「この建物、広さのわりに人が少ない……」
それに利用された痕跡があまりない、誰かの私物やゴミ箱の中にゴミが見当たらない、先程捕らえられていた部屋もそうだ、取引用に用意した一時的な拠点と言ったところだろうか。
冴月はなおも人気の無い通路を進む、そして通路の突き当たりの階段に差し掛かろうとした時、どこかで喧騒が聞こえた。
「ジョー……待ってて」
自分の居ないところでジョーが傷付いていると思うと居ても立っても居られなかった、冴月は階段を駆け上がり階上へと向かう。
ジジジ...
小さな携帯から発した音を聞いて男は手を取る。
「なんだぁ?」
――主からの指示で集合してこいとな
「マジィ?今、敵とバトッててさぁ〜...なかなか死んでくれねぇんだよなぁ」
――その場合は俺が説明しといてやる。さっさと片付けておけ
「了解〜」
電波は途絶え男はまた葉を吸う
少しイラついた様子で見ていた。
「あ゛〜〜!!!!つーまーらーねーえー!!!」
グワングワンと椅子に座っている体を大きく揺らしながら喚くそれは、轟轟とおのれのあたまである焔を燃やす
「フェイトはいねぇし俺待機だし!!何っっでこんなつまんねー配置なのおれー!!!ざっけんなよボス!!!」
ここにいないおのれの大将にむかって悪態を着くその様子は、駄々をこねる子供のようで、そのヴィランは妙に人間臭かった
周りに転がる、人間の山さえなければ、の話だが
「ったく、なーにがころすなだよ、めんどくせぇ」
味方もろとも。…薄々の予想では回避できない強襲__
[どしゃぁっ!]
吹き飛ばされ 岩の壁に彼は叩き付けられる
…途端に響く"リアル"から逸脱した激しい衝撃音。
____っ てぇ…っ!
何とか持ち直す …眼前に現れるは戦闘員達とは
まるで違う、…そう "怪人" それも5体。___
「 …手加減、出来ねぇってか! …(いや…) 」
( ___それとも俺以外は見えてねぇのかな )
詳細を探らなくとも戦況は不利 …いや、絶望的。
向こうは言わずもがな、"見えて" 5体、…探れば
戦闘員含めたって骨が二、三本折れても不思議じゃない
総力がある確率は …濃厚だ 後ろの方から感じる気配が
ひしひしと今、という困難を理解させに来ている。
…無論、此方は疲れたっきり。息も切れてるし…
何より、周りに転がってる奴等もまだ生きてる
___だが向こうは俺ごとやっちまう気だ
「(へへ…___ まぁ〜た冴月に叱られちまう… かもなっ)」
…だが"馬鹿"は、それでも微笑む。
久し振りに疼く筋肉、…心に燃料が放り込まれる…!
「 …来な、負けらんねえからよ! 」
グワァァァァァァ!!!!
巨大な叫びと共にヒーローを襲う
先制にトカゲ男と骸骨がペーパーナイフと真ん中に針がある筆で投げ飛ばし
それと同時に巨大犬女が疾走し横にある♪を投げ噛みつこうとする。
機械の男は何かをチャージしている...人形は大量の小型のトカゲの人形でヒーローのとこへ向かっている...
巨大犬女「シネシネシネ!!!!ガルゥゥゥゥゥ!!」
連続の噛み攻撃!
巨大犬女はイラついた様子だ...
[!] ___
(__攻撃は待たない、待つ訳だって考えても無駄
だから洞察する… どうする? どう出る?
___ この一瞬で …ただの一手で__ )
前に屈んで地面に手を添え…
___ちょっとだけ 待ってから…っ
[ボッ] __ちゃぶ"っ…
「 でぇ…ッ! 」
[ドンガラガラッ!!] 〖返"しィッっ!!〗
だったら此処は防ぐまで。…地に足付けた場所から
少し前ぐらいの地面をくり抜いてはひっくり返すッ!!
「(さぁてっ…!)」
(__くり抜き、…目の前でひとまず一斉攻撃を防いだ
地面の壁 …初手から少し危うい手だが仕方はない)
「(…うまく行くか … よし、来いっ!)」
巨大犬女「キャウンっ!!!!クゥ〜....ン」
地面をひっくり返しされ倒れる
トカゲ男は上からジャンプ攻撃し、下からは小型のぬいぐるみがヒーローの足をまとりつく
トカゲ男「シネヤァァァッァァ!!!!!」
二本のナイフで攻撃する
負のエネルギーが増え続けているようだ...
…[すぅっ]
( やはり息つく暇もないらしい …なら
____此方からドンドン上げて行くしかない!)
…幅跳びみたく両手を後ろに…
次に全身で腰から上を背面へ傾け __少し遅れ
__上段へ向け両足の蹴り上げ …両足サマーソルト!
「〖地背陽快脚〗だぁーっ!!」
[ヒュパァンッッ!!] …しかし脚そのものは空振り
___纏わりついたぬいぐるみをトカゲへぶっ飛ばす!!
「 …っとと… …さぁーて」
(若干よろめく …も、立て直す
…__さっきからイヤな気を感じる)
___…どーすっかなっ
[ダッ__!]
(…とりあえず駆け出す。__向かう先は"イヤな気"…!)
トカゲのぬいぐるみ達は動けなくなり
男はそのままヒーローを○しに掛かる
トカゲ男「浮かれ野郎はシネェェェェェ!!!!」
ナイフで連続攻撃
その攻撃は止む事をしらない
「 あ?…! 」
__怯むも反応するもなくリザードマンは突進してきた
(炎神は… 続くラッシュを必然的に生身で受ける事となる!)
いっ ……
[シュザザザザザ!!]「でででででででっッ!?」
咄嗟も咄嗟、…致命傷の回避を代価に
刃物が防御する腕を切り裂き 鮮血が舞う!!
「でっ …っ こんっ___
(連撃は鋭く、容易く肌を切り裂く …だが
動きは単調 その上刃物のみに集約された体幹も…)
[が"っ]____掴んでしまえばただの的。
… ん"の"野"郎"ォッ!!!! 」
(刃物を持った手を取り すかさず反撃用意!)
根性頭突き一発っ
ドメット
「〖"怒滅斗"〗ぉっ!!」
( 一気に脳天振りかぶって石頭を蜥蜴に叩き付けるッ!! )
トカゲ男「グエェェェェ!!!!????」
頭を突かれれよろよろと動き
バタンと倒れる
トカゲ男から負のエネルギーが大幅に漏れている。
半分は一般人の男性と成していた。
「...へぇ、なかなかやるじゃん。あいつ」
「おい、麻薬男。お前が必要とする者が現れた。変わって援護してやれ」
「あ、シチート様...了解っす」
上の動きは男は戦場から離脱
威厳の女性が代わりに戦場に立った。
負霊「お、お前達!!もっとエネルギーを出しやがれぇぇぇぇぇ!!!!」
おおおおおお!!!!
負霊達は直ぐに男にエネルギーを送り込むのに必死のようだ
巨大犬女「ガルゥゥゥゥゥ....シネェェェェェ!!!!」
攻撃の麻痺から解放され、ヒーローに突進する
一部だけ一般の女性のようだがまだエネルギーに満ちている。
彼女はそのままヒーローの首を噛み○そうとしている
何処からか聞こえる喧騒を頼りに建物を駆け回り、冴月はようやく“彼”を見つけた。
「見つ、けた……!」
ようやく出会えた探し求めていた人の背中、しかしその向こうには牙を剥く半獣半人!
唸り声を上げ今にも飛び掛かろうとしている。
動かなきゃ、迷っている時間は一秒もない! 冴月は床を蹴り疾走する、一歩毎に大きくなる背中目掛け冴月は腕を広げ抱きついた。
「メタライズ!」
異能を発動させ疾走の勢いのままジョーの身体を軸に自身の身体を時計回りに半回転、ジョーとヴィランの間に割って入る。
巨大犬女「っ!そのままシネェェェェェ!!」
好機だと思い二人同時に噛みつこうとする
巨大犬女
数字の男は後援からテクノロジー攻撃を発動する
次々と緑の不安定な数字がヒーロー達を襲う
負霊「一人増えた!?だ、だがこちらの方が戦略は上だ!!そのまま叩き潰してやる!!!」
二部隊に別れて、今動ける怪物化達をエネルギー補給をし
もう一つの部隊はトカゲ男のエネルギーが大幅に漏れて元の状態になりそうな所を修復する作業に入る。
「...もう一人増えたか」
彼女は最新の携帯、右手中指の指輪からメールを打つ
ーーー此方ザヴァエヴァーニエ01、もう一人の者が確認された。
現在は不明、だが戦略上此方が有利。
そのまま負のエネルギーを増援させる
ーーー此方、リームスキィ・パーパ本部通信部隊
了解しました。主に全てを、オーバー
ーーー了解、主に全てを
「....私の出る幕はないだろうな」
___…状況は整理する事が難しくなってきた
蜥蜴怪人は頭突きで下し …その反動に目眩を起こして
ふらつく途中、新手の怪人と俺を遮って現れたのは…
「 が…っ お、おいっ冴月ぃ! 」
(軽くぶん殴られたような衝撃。…そう、痛い方の衝撃
文字通り人型の鉄塊に勢いよく激突したような… そして
__目の前に怪人が居るというのに 言うのはただの文句 )
「いてーよ!!!! いや、…怪人に殴られるより
ずっと痛ぇんだっ お前ぇのそれ、よぉっ!?」
巨大犬女「ガルゥゥゥゥゥ....」
噛みついてる状態食いちぎりたいが出来ないようだ
「ごめんなさい……。でも、ジョーは私みたいに傷を直せないから」
言って冴月はヴィラン達へ向き直る、それと同時大口を開けた半獣半人のヴィランが眼前に迫る、冴月は咄嗟に左腕で攻撃を受け止める。
「――くっ、これに噛みつかれたらきっと怪我する、私ジョーに怪我して欲しくない」
冴月は自身の左腕に半獣を食らいつかせたままジョーを見る。
一方半獣の女はヴィランと言えど犬の顎では鋼鉄を噛み砕くほどの咬合力は出し得ないのか冴月の太いとは言いがたい腕を食い千切れずに何度も噛みついていた。
負霊「お、お前達!!さっさと動けぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
その声で動いたのが機械と3mの人形
筆の骸骨。
骸骨は巨大犬女の援護で上から攻撃する
骸骨「シネェェェェェ!!!!」
両腕にある筆を剣に変え、ヒーロー達を襲う
剣からメモリーも追加された
機械による攻撃力が上げられた。
3mの人形は兎と猫の人形を出した。
兎はジョーという者に向かい、猫はもう一人のヒーローに牙を向けて攻撃しようとしている。
「───それいじょう、は、みのがせない」
2人の少年少女とヴィランの衝突が起こるその場所に、ふと、一つ、水面に落ちるひとつの雫のように響き渡る声が降る
「『─例えば、途切れた空が見えたなら、震える僕の声が聞こえるのなら─』」
どこからともなく聞こえる歌
美しく響くそれは、不思議と、この状況を鎮めるように、妙に落ち着くような感覚に陥る
「『─バラバラに砕けるほど舞い上がれ、引き裂かれた僕らの果てなき翼─』」
ふわりと、2人の少年少女の周りにゆるくかぜが巻き起こる、それは暖かく2人をつつみこみ、次の瞬間には、今までおっていた怪我や、うしなった体力がじわじわと回復してゆく……!