西暦20XX年、青波市。
日本近海に浮かぶ人工島に建設された巨大水上都市。
安寧と繁栄を謳歌するネオン煌めく洋上の不夜城に『黒き神仙(チェルノボーグ)』の魔の手が迫る。
けれど、この街には不屈のヒーロー達が居た。
ならば、やるべき事は唯一つ。
さぁ、英雄譚の開幕だ。
「ま、待ちやがれ!!!!全員○してやるぅ!!!!」
と走ろうとするが震えてるせいか動けないようだ
…はー …っはぁ… っ
「 …まだ来んのかッ! 」
__初めっからしていた事の種類は少ない
来る奴、数居る奴らを片っ端から倒すだけ
…単純だが 体力に限界が無いわけではない
体は… 妙に、軽く感じても骨に疲れが来ている
[ゴキッ …]
___
( しかしながら心にまで疲れは来にくい
首の骨を鳴らしながら敵に構えを取る… )
__明らかな無茶に他ならない、…しかし彼の頭は
一度戦闘に浸かり過ぎれば単純にしか働かない
「 上等… 殴り倒すってんならまだまだ…!」
「わ、すごい、浮かんだ……!」
ふわりと不意に浮き上がる体、まるで月面にいるかのような感覚に冴月は目を見開き、その紫の瞳を輝かせ。
「ジョー? あの人達帰るって、その人は放っておいていいみたい」
周りを全く見ていないのか未だに戦闘を続けようとしている炎神ジョーに呆れ気味に言うと同時、冴月の体はセラフの方へ引き寄せられ。
「はぁ...はぁ...クソっ...燃料切れか....“あのお方”に報告しなければ....
うぐぅ...」
力を使い過ぎたせいか動きにくい
負霊達を呼び出し、最後に....
「撤退するぞ、アンタら.....はぁ...おりゃぁ!!!!」
天井の壁を破壊し、撤退する。
せめて最後は下敷きになるよう大きく斬った
「!─こちらもてったい!」
保護対象2名が無事であることを確認したところで、相手側の最後の置き土産とも言うべきか、天井が切り崩されるのをみて、問答無用でアビリティを発動し、瓦礫を無理やり停止させつつ保護対象をそとに送り出す、
「っ…!」
如何せん数が多いため、地震が動くのは最後になるだろうが、身内が全員逃げ切るまで、意地でも─!と、踏ん張る
はやく、集合地点へ─!
「······さすがに遠いな。まあ我らが歌姫様なら生きて帰ってくるだろ」
一瞬セラフを助けようか迷う仕草を見せるものの、断念する。
さて、と呟いて狙撃手も銃の構えを解き、体を起こす。
かなり距離があるため天井の崩落も援護も何もない。
ゆるりと回り道をして、だが迅速に集合地点への行動を開始する。
周囲に敵はいない――すぐに集合地点に到着するだろう。
「 … __(なんッか体が軽…過ぎねぇ…か?)」
(突如として薄れる戦いの気配 …自然と頭に
意識が回り、疲れに反して異様な軽さを感じて…)
[ ふわっ ] は?
( 浮遊する __今にようやく気付いて凝視する )
「 ……う、…浮いて… んのか…__!?」
____なんだコレ−ッ 冴月ィーっ!
「気付くの遅いよ……」
一言だけ呟いてジョーを一瞥し冴月はセラフの異能に身を委ね、ふわふわ浮かんだまま空中で停止した瓦礫を掻き分けながら皆のもとに向かう。冴月は空中を滑るように進みセラフの隣、安全圏に降り立った。
振り返れば空中で叫ぶジョーの姿、冴月は思わず吹き出しそうになるのを堪えて、ジョーの様子を見守って。
「あら、んふ…おおきになぁ」
姿が見えない相方に頬を膨らませつつも、戦場から一歩退いていた彼女の手の甲ににひらひらと止まった1匹赤い蝶。少し擽ったそうにしながらその蝶がもたらした情報に目を細めつつふっと微笑んで。敵はまだいるみたいやけど…、ここ向こうの方の陣地やし…そんなことを思いながら、ほろほろと蝶をが崩れるのを見守り、手を叩きこの場に残ってる人に聞こえるような声で告げる。
「味方の撤退を確認…やって。うちらも潰されへんうちに引き上げるで」
___どたばたが10秒続いた後
「 な、何とか… い、…行けるか?
ちょ 冴月ぃーっ どうやりゃいい!」
( 未知が過ぎる状態に、事前の情報がない炎神は
平泳ぎでゆっくりと冴月の方へ進んでいく …
歩けるように進める、とは考えた方が分からなくて
けど 空を泳ぐ感触は程々に心地がよかった )
「私もよくわからないけど、とにかく掴まってジョー」
冷静な声色で告げて、こんな状況でもいつも通りなのはある意味才能なのかも知れないと思いつつ、冴月は空中を泳ぐジョーに向かって文字通り“手”を伸ばす。
この異能に良い思い出は無いけれど、何かと便利な力であることは事実だった。
「っはぁ·····つかれた」
自他共に安全域にまで行ったのを確認して息を吐く、置き土産がデカすぎるのだと心の中で文句を言いつつ、ふわふわと浮かせている彼らをゆっくりと下ろす
「······よっ。まずはお疲れ様だ、歌姫様。······全員怪我はないな?」
ちょうどその時、回り道をしていたスコーピオンも安全域にたどり着く。ひとまず全員五体満足なことを確認すると一瞬破顔するが、即座に周囲の警戒に移る。
油断も隙もない。
顔を布で隠した青年は、大人しく灯莉の横で蝶を手のひらに載せ、現場の状況を把握していた。不意に聞こえた声と背中にかかる体重にため息を着く。
「疲れた〜、神影はんおぶって?」
「自分の力量間違えたお前が悪いだろ」
「扱いが雑!」
相方の姿を見かけて体を預けながら、いつものように痴話喧嘩が始まる。珠緒をおぶりながら全員の顔みてほっとむねをおろす。
「セラフもピオも、新人二人もお疲れ様さん」
「なるほど、そんな事が。それでそのヴィランは……」
集合地点、灯莉は皆の無事を確認し報告に耳を傾ける。
にこやかに微笑みながら、楽しそうに皆の話を聞くその姿は大人の余裕を感じさせた。
「さて、そこのお二人さん、ちょっと良いかな?」
一通り話終えた灯莉は冴月とジョーに向き直り先程とは一転した真剣な眼差しで二人を見つめ。
「ここに来るまでに色々と聞かされたと思うから私からは一つだけ、……私達の仲間になってくれる?」
告げたのは勧誘の言葉。
「ジョー……?」
灯莉の言葉を受けて冴月はジョーの反応を伺う。
ぼり… (視線を注がれ、…頭を掻きつつ 横目で応える)
「 …あぁ、聴いてる… 冴次も乗り気… だろ?
聞かされた限り悪いモンじゃねぇみてぇだし 」
[ぺこり](頭を下げ__声は少し低くして)
「 ひとつ よろしくお願ぇします。… 」
( …激動と変化の1日、今日 だけでいったいどれ程
知るべき事、変わるべき事が増えただろうか …
__戦いから離れれば 考えの回らない彼に
全てを知り置き、整理する柔軟さはない )
「 …[こそっ](冴月ぃ…挨拶… あれで良い…か?)」
__あまつさえ 言葉の正しさを隣の冴月へ求め…
「……[ぼそっ](年上なんだからこういう時くらいはしっかりしてよ……)」
あの勇ましさは何処へ消えたのか、なんとも頼りない相棒に落胆の表情を向けつつ、灯莉への言葉をゆっくりと紡いでいく。
「ヒーローとかまだ良くわからないけど……ジョーを危ないところに行かせるのは不安だし、その、私の力が役に立つなら、えっと。私もヒーローやってみます」
「と、この達は言っているけどみんなはどう?」
二人の意思表明を受けて灯莉は皆の方を見やる。
「ふぅ……」
全員無事であることを確認し、アビリティを解除して人追記をこぼす、声をかけてくれた仲間たちにゆるりと手を振り、保護対象の様子と仲間の一声に、我先に声を上げる
「しつもんむよう、ふたりとも、わたしのこうはい」
そう、二人の間に挟まり込むように身体を押し込み、2人の片腕に己の腕を絡めて告げる
「…………」
その様子にひとつため息を吐いて、男もタブレット2文字を打ち込む
『こちらも異論はない、伸びしろとやる気がある新人なら、断る理由もないだろう』
突然腕を絡められ二の腕に触れる温もりにビクリと肩を震わせ僅かに困惑の顔、しかしすぐに平静さを取り戻し。
「……よろしくお願いします、“先輩”」
この状況を受け入れ、傍らの自分よりずいぶんと小柄な少女にそう告げて。
「うちの仕事が減るならええんちゃいますの?文句はあらしまへん
」
「お前なぁ…そのサボり癖どうにか…」
相変わらず珠緒をおぶったままセラフや新人たちをみて片方は笑顔で片方は諦め顔で承諾する。このわがままな相方の言うことは絶対なのだ。ため息をつきながらせめて二人がまともな人でありますようにとキリキリと痛む胃を心配しながら視線を向ける。とはいっても布で隠れていてその表情を見ることはできないが、声音は歓迎してるように弾んでいた。
「神影はん?」
「…あー、はいはい、いーんじゃねぇんですか?ようこそ、お二人さん」
「んふふ」
周りの反応や、なにより、後輩本人からの「先輩」という言葉に、楽しそうにくふくふと笑う
「ふたりとも、いいこ、せいちょうがたのしみ」
そういってするひと、絡めた腕を後ろに引きながら抜き、己の腕を後ろに隠しながら、声を出す
「ごぞんじ、せらふ・ぱらいばとるまりん、─よろしく、こうはい」
あまり豊かではない顔に花のような笑みを浮かべ、告げた
「······じゃ、お姫様もしたことだし、俺も自己紹介するか。······スコーピオン、と呼んでくれ、お二人さん」
僅かに浮かべる笑い。当然ながら迷彩のフードは外して、狙撃銃を自分の後ろに回し、手を腰に当てる。
······そしてもう一つ、まるで雪のように手紙が舞い落ちてくる。次の瞬間、そこには少女が現れて、
「······私は······石鎚 篝です。よろしくお願いしますね」
とだけ、言った。
「さ、みんな帰るよ」
頃合いを見計らい灯莉が皆に呼び掛ける。
各々返事をして近くに停めてあった二台のバンに分かれて乗り込んでいく。
「冴月ちゃんとジョー君はこっちのバンに乗って」
灯莉に言われるがまま、新入り二人もバンに乗り込んだ、セラフも一緒だった。
「あかり、こうはいができたから、かんげいぱーてぃーしないと」
セラフが嬉しそうに口を開く。
「今からですか?」
灯莉がどこか困ったような口調で言う。
「もちろん、こんや」
「パーティーは明日にしません? 今から準備するのはちょっと面倒というか」
「じゃあ、あしたでいい」
「ということで新入りさん、明日はパーティーなので家まで迎えに行きますから、家の場所教えてくださいね」
言って運転席の灯莉がにこやかに微笑んでこちらを振り返る、どうやらパーティーに出席するのは決定事項のようだ。
『Prologue END』
villain side
本部の城に戻り、謁見の間へ向かったオドヘヤ
「只今戻りました...我ら世界のBoss
『べテリゲーイゼ』様」
高い階段の上から座って黙って見下していた者...
この異変の首謀者、べテリゲーイゼだ
彼はその冷たい瞳からこう言った。
「お前如きがそんなに負傷するとはな....
一体何処の奴なんだ?」
「青波市の奴らでございます.....申し訳ございません
次は必ず奴らをこr...」
「いや、お前は仕留められなかったそんな無能な奴は
いらない」
オドヘヤが言い切る前に大量の負霊達をオドヘヤの中に
入らせ、意識のない化け物に変えさせる
「え、待ってくだs...ま、まだ!!あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
変わり果てた猛獣になり、怪物(哺乳類)に分けられ
ラボ管理に転送された。
「...中将をまた一人昇格させてやろう、もう少しだ。
もう少しで....目的が果たせる」
べテリゲーイゼは少し笑みを浮かべていた
それは自分のユートピア以外考えられないのだろう
『Pretender in Chinatown』
青波中華街の大通りを行き交う人々の数は夜であっても昼間とそう変わらない、賑やか、喧騒、活気、そういった言葉がこの場所には相応しい。
それでも、ここ数日はこの近辺で連続して起きた事件の影響か客足は控え目になっているという。
「あぁ、例の物は届いた、……まったく君たちのボスにはいつも驚かされるよ、まさかこんなにも早く調達出来るなんてね」
青年は煌々と明かりに照らされた大通りを足早に歩きながら電話越しにある人物と会話していた、雑踏に紛れて移動し続けている以上会話の内容を盗み聞かれることはない。
「いや、今夜は行動を起こさなくてもいいだろう、これ以上はかえって怪しまれる」
「心配は無用さ、餌は充分に撒いた、必ず光の波動像は釣れる」
「彼女が中華街に現れ次第作戦開始、その辺りは手筈通りだ、それからライル・グッドフェローという男には手を出すな、奴は強い、君たちでは勝ち目がない程にね」
「それじゃ、健闘を祈る」
最後にそれだけ告げて青年は電話を切った。
スマホをズボンのポケットに仕舞うと雑踏から抜け出し、青年の姿は暗い路地に消えた。