初めまして、文月と言います。
過去に(と言ってもだいぶ前)ここでKZを書いてたのを思い出し、またここでも執筆しようと考え 戻って参りました。
思いついたのをちょこちょこ書くので、暇な時ご覧ください(*^^*)
*原則 リレー小説等はここではしないです。
*新刊の感想挟ませていただきます。
*感想、アドバイス お待ちしております。
*誤字脱字は目を瞑っていただけると幸いです。
*過ぎる時*
10月半ば。秋の景色はまだ色濃く残っていて、紅葉は色味を増して 人々を魅了させる。
だが、時より吹き付ける風は 冬の訪れを暗示させた。
探偵チームKZが発足されて、約5年の歳月が経った。発足当時は小学6年だった彼らは もう高校2年生となり、来年の受験を見越して各々勉強を開始させていた。また、若武と上杉はクラブZに所属し、忙しい毎日を送っている。
そのため、必然的にKZメンバーで集まることも少なくなり、連絡を取り合うこともしなかった。
彩は その状況に寂しさを覚えたが、みんなの勉強の妨げになるからと、自ら彼らに連絡することを自粛していた。
怪しげに輝く星空の下、彩は秀明から自宅へと帰っていた。
その道中 どこからかアップテンポの音楽が流れてくる。耳をすませると、彩が中学1年だった時から人気を博しているクールボーイの曲であった。
彩は音楽に関して無関心であったが、クールボーイだけは別である。クールボーイにで一番人気のKAITOこと高宮は 彩の家に泊まったことがあった。その時から彩は、彼らの曲を聴くようになり 自分の中で彼らの曲が大切になっていた。
……
彩の足は自然とその音楽が流れている方へと動いていた。狭い路地裏を通り抜け、街灯が少ない道をしばらく歩くと、小さな公園が見えた。そこにいた一人の少女。
少女は薄暗い街灯の下踊っていた。彩に背を向けて踊っているため顔は見えないが、ミルクブラウンの髪を1つに束ねており、ステップを軽やかに踏むたびに その髪の毛が靡いているのがわかった。
また、女ということを忘れさせるような激しく、また情熱的な動き。けれど 一つ一つ一の動きに無駄がなく、指の先まで神経を張り巡らせている様に思われる 繊細な動きは、日本舞踊に似た雅な雰囲気を醸し出している。
彩は、少女のダンスに魅入っていた。少女が地面を蹴る音と、流されている曲だけが聞こえる。
曲の後半、ギターが激しく弾くリズムに合わせ 少女は宙に舞った。その姿は まるで翼を広げた天使のように美くしかった。とん、と着地するのと同時に曲が終わった。
「凄い……」
彩はそう言葉を漏らし拍手を送る。
少女は背を向けていた顔を、ゆっくりを彩の方にに向けた。
「……え」
彩は目を見開いて、彼女の顔を見た。
年齢は彩と同じか、もしくは年上であろう少女。星の如く澄んだ 茶色がかった瞳。白い肌によく映える朱色の頬。暑さのせいか 額から出る汗。スッと通った鼻筋に、甘やかな紅色の口。そして、絹のような肌を伝う無数の涙________
その涙は酷く綺麗で、儚く、憂いを含んでいるように思われた。
彩は 声をかけようと言葉を模索するが、いい言葉が見つからない。
そして、彩が口を開く前に 少女は涙を拭い少し恥ずかしそうに「変なところ見せて、ごめんね」と言った。
彩は口を開いては閉じ、開いては閉じを暫し繰り返してやっと言葉を発した。
「あの……ダンス、凄くかっこよかったです」
「……ありがとう」
彼女は瞳を和らげて、口元は弧を描いた。
けれど、その表情は 泣いているようにも見える。
「……どうして、泣いてるの? 」
彩は無意識のうちのそう呟いた。
その呟きはとても小さなものだったが、彩と少女しかいないこの静かな公園では、小さな呟きも少女の耳に届いたようだった。
少女は上げていた口元を元に戻し、空を仰いだ。
雲ひとつない闇空に、無数の星々が光り輝く。都会と呼ばれるこの地区で こんなにも星が望めるのは稀であった。
「無条件で過ぎていく時が嫌なの」
「え……? 」
彩はその言葉の意味がすぐに理解できなかった。
少女は横目に彩を見て、クスリと笑う。
「時間って 止まれ、と願っても 止まらない。
元に戻れ、と願っても元には戻らない。
時間は無条件に 一定の早さで進んでいく。
当たり前のことだけれど、それが凄く嫌なの。
だって、時が過ぎれば絶対に 私も、私を取り巻く状況も全て変わっていく。
こうやって光り輝いてる星も あと数千年後、ううん 明日には消えてしまうかもしれない」
……
彩は自分のことを言われている気分だった。
“変わらないものは何ひとつない” いつか黒木が言った言葉。
あの当時は その言葉の意味を理解していたものの、実感を持てなかったのだ。
でも今なら痛いほどわかる。
黒木が言ったあの言葉も、少女の言葉も。
「だからね、私は思うんだ。
好きで何かをやってたとしても、どうせ自分も周りの状況も変わってしまうのなら、始めから一生懸命 好きなことをやらないほうがいいんじゃないかって。そして、そのことを忘れたらいいのにって。だって、変わっていく現実が私を苦しめるんだのもの。好きでやってきたことほど、私を苦しめる。
……大好きなダンスだって、私を苦しめるの」
そう言う少女はガラスのように綺麗で 繊細で、今にもはち切れてしまいそうな苦しみを持っていた。
「……あのね、私はダンスが好きなの。ただただダンスをしたいの。
だから一生懸命練習して、ダンスを精一杯楽しんでた。それに、私の周りにもそういう子ばっかりいて 楽しく一緒にダンスをしていた。……それが私の幸せだった。
けれど、時というものは残酷なほどに過ぎていく。周りの子はもともと私よりも年上の子ばかりだったから、歳を重ねるごとに 必然的に会うことは少なくなるし、一緒に踊れなくなる。
そして 代わりに、新しい子が入ってくる。もちろん、新しい子たちが仲間に入ってくれて嬉しかった。けれど、その子たちは純粋にただ楽しむためにダンスをやってたわけじゃなかった。
誰かに認められるためにダンスをやっていたの。
別に、私はダンスをやる理由は人それぞれだから、そのことに対しては何も思わなかった。でも、誰かに認められようとするあまり 誰かを傷つけることがあったの。最初はそれを私も止めていたけど、だんだん止める行為が辛くなって黙認するようになってた。
それが嫌だった。周りの状況も、それを黙認する自分も。
ダンスが好きなのに、今はダンスをやると苦しい。変わっていく現実を見つめなきゃいけないことが苦しいの」
彩は少女の思いが痛いほどわかった。
なぜなら、彩自身も過ぎ行く時に対して、変わっていく状況に対して、少女と同じように 寂しさや苦しさを感じていたからである。
好きでやってたからこそ、変わっていく自分や状況に 寂しさを覚え、心臓を掴まれるような苦しさに襲われる。好きだったことが 自分を苦しめるのなら、初めから好きにならない方がいい、忘れてしまえばいい、と思うのは人間の心理だ。
そして、その感情は少しばかり恋に似ていている。相手に恋焦がれ、嬉しい気持ちにさせられるほど 苦しくなる。いっそのこと好きにならなかったほうが良かったと思うこともしばしばある。言ってしまえば、パラドックスようなものである。
彩は、もう一度少女を見た。
空を仰いでいる少女は、いま咲いたばかりの白い百合の花のような 楚楚とした艶かさを持っている。けれど、その奥にある表情は 必死に酸素を求めようと苦しんでるようだった。
(彼女の言いたいことはよくわかる。けれど……)
彩の中にモヤモヤとした蟠りがあった。
必死になってその蟠りの正体を探すも わからない。彩は唇をぎゅっと結んで、地面へと目線を落とした。そんな彩を見た少女は、彩に顔を向けて「ごめんね、変なこと言って。忘れて」そう言った。
そして、そこに置いてあったスマホを鞄の中にしまい バイバイ。と手を振って踵を返す。いや、正確には踵を返そうとした。しかし、できなかったのだ。彩が少女の腕を掴んでいたから。
「え……? 」
少女は小さく困惑の声をあげた。
一方、彩の方もあたふたと慌てていた。
(……勢いで掴んじゃった)
目を泳がせる彩に対し「どうしたの? 」と声をかける少女。けれど 彩は答えようとしない。暫く彩はそのままの状態で、必死に言葉を探した。
(なにか……なにか、彼女に言いたいことがあるのに、言葉で出てこない)
……
そして、数秒後 何かを思いついたのように少女を見、口を開いた。
「あのね、私も貴女と同じように 変わっていく状況が嫌いだったの。私にも生きがいと呼べるようなことがあって、でも高校に上がってそれを続けるのが難しくなってしまった。それがとてつもなく辛かったし、苦しかったの。
過ぎていく時間を恨んだこともある。あの時のまま止まってくれれば良かったのにって。けど、どんなに恨んでも 時間は過ぎていくし、変わるものは変わってしまう。
いっそのこと、その生きがいのことも忘れてしまえば、初めから出会ってなければ 楽なのかなって思うこともあった」
少女はじっと彩を見つめていた。
不安そうに揺れ動く焔が 少女の瞳の中にあった。
「でも、やっぱり忘れたくないし、生きがいに、彼らに出会えてよかったって思う瞬間の方が多かった。
貴女もそうだと思う。結局、大好きだからダンス続けているだと思うの……苦しくて、辛くて、投げ出したくなっても、ダンスが好きなんだよ。それは揺るぎない事実。そして、その思いは変わらないはずだよ。少なくとも過ぎていく時間が苦しいと思っている瞬間は、ダンスを好きなことに変わりはない。
この気持ちはもう、止められないし、変わらないの。
どんなに時が過ぎようが、好きという気持ちは 大きくなったり、小さくなったりするけれど、根本的なものは何1つ変わらないんだよ。それは忘れないで。
それにね、逆を言えば 今の状況だって時が過ぎればまた変化するの。いい方向に転ぶか悪い方に転ぶかは定かではないけれど、もし悪い方にいったとしても また時が過ぎれば変化する。苦しいことがずっと続くことはない。それが長いか短いか人それぞれだけれど、貴女にも またダンスを楽しむことができる時が来る。
貴女がダンスを好きでいる限り」
彩はそう言ったあと すぐに下を向いて、頬を赤く染めた。さっき出会ったばかりの相手に、熱く語ってしまったことに対しての羞恥心が彩を襲ったのだ。彩は小さく「ごめん」と言って 握っていた少女の腕を離した。
……
静寂の中 車の走る音が遠くから聞こえる。
(どうしよう……要らないこと言っちゃった)
時間に比例するように、彩の焦りは募るばかり。
その様子に対してか、彩の言葉に対してか、自分に対してか、はたまたそれら全部に対してか、少女は笑った。これまで見た中で一番輝いている笑顔だった。不安も何もかも吹っ切れたような、それまでの苦しさを忘れてしまったような、そんな笑顔。
「貴女って とても強いのね。
なんだか、悩んでた自分がアホらしく思えてきた。
ダンスが大好きって、それを思うだけでいいのよね。
過ぎていく時間を恨んだって、嫌がってって意味ない。
結局 この苦しみを救ってくれるのも 過ぎていく時間なんだから」
目を細めて笑う少女を見て、彩もまた満面の笑みを浮かべる。
「ありがとう」
そう言って、少女は今度こそ 踵を返し 彩が来た方向とは逆の出口へ向かった。
その足取りは、ほんの少し軽いように思われた。
……
「私の方こそ、ダンス見せてくれてありがとう! 」
少女は振り返って、口パクで “またね” そう言った……________
*追記*
まず、はじめに。 蓮スレごめんなさい。1つにまとめようとは思いましたが、字数が多すぎて入り切らず、これが限界でした。また、途中誤字脱字あるとは思いますがご了承ください。
この作品は “探偵チームKZ事件ノート16”にも起用させていただきます。
……
2日遅れてしまったけれど、ハッピーバースデー・アーヤ!
アーヤなら、きっと困ってたり悩んでる人に対して、適切な言葉をかけて励ますのだろうな。と思いながら今作を書き上げました。
deep口調を目指しましたが、上手くいきませんでした(T ^ T)
支離滅裂だし、アーヤだったらもっといい言葉かけられたはずなのに!と不満も多々ありますが、それは自分の技量のなさですね……反省します。
それに、思ったよりもお話が長くなってしまって、最後は力尽きて 適当に仕上げてしまった……
ううっ、情けない自分.°(ಗдಗ。)°.
それでも書いてて楽しかったので、よしとしましょう!
自己満足のために書いたものを読んでくださりありがとうございました!
※この作品は前に消してしまった作品を元に書いてあります。
昔、桜子という名で活動していた時に書いたお話。
ここに載せていたのを、コピペしました。
*聖なる夜*
タオルに包まれて 私の手に渡る、私の子供。
小さな紅葉のような手。
その手にそっと触れれば、キャキャと騒ぐ。
少しだけ、赤い身体は ふにふにと柔らかい。
頭を支えるように、抱きかかえた。
「……翔、生まれてきたね、私たちの子供」
「……だな」
目を細め、赤ちゃんの様子をじっと見つめる翔。
翔は、家族をつくる、というのが一番の目標だった。
快楽よりも、違うものを望んでいたんだ。
私たちが結婚する前に こう言っていた。
「俺の望みは、彩を独占すること。そして、家族をつくること。
俺自身の快楽なんか、二の次でいい」と。
母も、父も、望月さんも、あれだけ尊敬していたシュンさんも、失くした翔。
その傷は大きくて 深い。
でも、それを見せないように 頑張っていた翔は本当にかっこいい。
だから、惹かれていったんだ。
「望月さんが逮捕された日も クリスマスだったよね……」
ふと呟いた言葉。
その言葉に、明らかに顔を歪ませる。
ズキリ、と胸が痛んだ。
でも、同時に思った。
このままじゃダメだって。
だって、今日は最高の日なんだもの。
「毎年、クリスマスツリーを見るたび、翔は顔を歪ませていよね。
……でも、もう、そんな顔はしないで。
この子の誕生日だもの。
そんな顔を父親が見せたらダメだよ。
笑って、翔。
最悪の日も、最高の日に変えられるよ」
二、三度瞬きした後、翔はふっと笑った。
そして、こう言ったんだ。
「やっぱ、彩には敵わないや」
「何よ、それ……」
呆れた顔で、翔を見る。
暫く見つめ合うと、なんだか急におかしくなって ぷっと吹き出した。
それを見てか、手の中にいる子も 笑い出した。
……
「てか、そろそろ、俺にも抱かせてくれないか? 」
あ、そうだ!!
ずっと、私が抱いたままだった。
少し不貞腐れている翔に、そっと子供を渡す。
「……やっぱ、すげえ、可愛い。
聖奈が、彼氏連れて来たら、俺 ぶん殴りそうだわ……」
ちょっと……何 言ってるのよ。
そんな話、だいぶ先よ……
私は、苦笑しかできなかった。
でも、今 とっても幸せ。
嬉しすぎて、どうにかなりそう……
どうか、この幸せがずっと続きますように。
これから、私と翔と聖奈で 幸せなクリスマスが迎えられますように_____
*追記*
うん、下手くそですね。文章とか汚すぎて泣きたい.°(ಗдಗ。)°.
昔の自分はこんなものを書いてたのかと思うと怖い……((
砂原は黒木君と同じように幸せになって欲しいと私は思います。
彼らには、大きな重荷がずっとあって、簡単には話せない過去があって。
そんな2人には、お互いに認めるところ、認めたくないもの、憧れるものがきっとあるのでしょうね。
2人の間に生まれる雰囲気がたまらなく好きです。
砂黒、いつか書いてみたい!でも失敗しそう(^^;
読んでくださった方々ありがとうございました。
小説こーしん!
♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥
若「よし、みんな行くぞ。」
若武はそう言ってビルの中に入っていった。
黒「えーっと、オーディションの会場は、6階らしいよ。」
私達は、エレベーターがある所まで行き、エレベーターに乗った。そこに1人の女の子が乗ってきた。
謎女(結々)「ふぅ。」
大分急いで来たようだ。肩で息をしている。
若「ねぇ、君もオーディション?」
もう、若武ったら女の子が大好きな黒木君みたいじゃない。
結「そ。貴方達は何の楽器⁇」
若「えーっと、名前と一緒に紹介する。俺は『若武和臣。んで楽器は、フルート。そっちの方が上杉和典でバイオリン。この人が小塚和彦